省庁だより 令和6年度 予算の概要 (障害者雇用施策関係部分の抜粋版) 厚生労働省 職業安定局 厚生労働省職業安定局より発表された「令和6年度予算の概要」について、障害者雇用施策関係部分の抜粋版を紹介します。 障害者の就労促進 【163億円(158億円)】 ※( )内は前年度当初予算額 中小企業をはじめとした障害者の雇入れ等の支援 53億円(52億円) ●「障害者向けチーム支援」の実施等によるハローワークマッチングの強化 予算額 17億円(17億円)  福祉施設等の利用者をはじめ、就職を希望する障害者一人ひとりに対して、ハローワーク職員(主査)と福祉施設の職員、その他の就職支援者がチームを結成し、就職から職場定着まで一貫した支援を実施(平成18年度から実施)。 ●障害者雇用ゼロ企業等に対する「企業向けチーム支援」の実施等 予算額 10億円(10億円)  障害者の雇用経験や雇用ノウハウが不足している雇用ゼロ企業に対して、ハローワークが中心となって各種支援機関と連携し、企業ごとのニーズに合わせて、求人ニーズに適合した求職者の開拓等の準備段階から採用後の定着支援まで障害者雇用を一貫して支援する。 ●精神障害者等の就職及び雇用継続の促進に向けた支援(精神・発 達障害者雇用サポーター) 予算額 19億円(19億円)  きめ細やかな支援を要する精神障害及び発達障害のある求職者が増加していることから、障害特性を踏まえた専門的な就職支援や職場定着支援、及び事業主に対する精神障害者等の雇用に係る課題解決のための相談援助を実施する必要がある。  ハローワークに精神・発達障害者等の専門知識や支援経験を有する者を配置し、障害特性に応じた専門的な就職支援を実施する。 ●難病相談支援センターと連携した就労支援の強化 予算額 3.3億円(2.2億円)  ハローワークに「難病患者就職サポーター」を配置し、難病相談支援センターをはじめとした地域の関係機関と連携しながら、個々の難病患者の希望や特性、配慮事項等を踏まえたきめ細かな職業相談・職業紹介及び定着支援等総合的な支援を実施。 ●障害者雇用相談援助事業の適正な実施等 予算額 3.0億円(2.8億円)  今後、法定雇用率の段階的な引上げと除外率の引下げが予定されている中で、企業に対する支援の強化が求められている。  このため、特に障害者雇用に関するノウハウを十分に有しない中小企業等を中心に、雇入れから雇用管理、職場定着までの一体的な伴走型支援を実施し、着実な雇入れを実現するために「障害者雇用相談援助助成金」が創設される。本助成金を活用した障害者雇用相談援助事業における相談援助等の質を担保する等適切な事業運営を図る必要がある。  また、地域の就労支援機関等関係機関のネットワークの構築、連携強化、相互理解を図ることを通じて、引き続き、企業における一般就労の実現を推進する。 ●就職活動に困難な課題を抱える障害のある学生等への就職支援 予算額 1.2億円(1.2億円)  発達障害等のために専門的な支援がないと就職活動自体が困難な学生や、発達障害に限らず障害があり、障害特性に応じた就職支援を必要としている学生等への支援の実施のために、大学等と連携して支援が必要な学生等の早期把握を図るとともに、当該学生等に対する就職準備から就職・職場定着までの一貫したチーム支援を行う。 ●公務部門における障害者雇用に関する支援について 予算額 93百万円(2億円)  公務部門においては、障害者雇用に関する基本方針等に基づき、順調に障害者の採用が進んだことにより、今後は採用された障害者の職場定着支援や支援体制づくりを重点的に実施するための取組を行う。 ●障害者に対する差別禁止・合理的配慮等に係るノウハウ普及・対応支援事業 予算額 58百万円(58百万円)  平成28年4月から改正障害者雇用促進法の差別禁止及び合理的配慮の提供義務が施行され、平成30年4月から精神障害者が法定雇用率の算定基礎へ追加されたこと等から、障害者が能力を十分に活かして働き続けることができる雇用の場の創出、障害者の職場定着への一層の支援が求められている。  このため、全国7ブロックに障害者雇用に係る事業主の相談窓口を設置し合理的配慮等のノウハウを提供するとともに、障害特性に配慮した雇用管理や雇用形態の見直し等の優れた措置を実施し、その先進的な取組を普及する事業を実施する。 ●障害者の雇用を促進するためのテレワークの推進 予算額 43百万円(75百万円)  障害者の多様な働き方の推進や、通勤が困難な者、感覚過敏等により通常の職場での勤務が困難な者等の雇用機会の確保のため、障害者雇用におけるテレワークの更なる推進が必要である。  しかしながら、事業所から遠方に住む障害者のテレワーク時の雇用管理への不安から導入を躊躇する企業も多く、また、実際に新たに障害者のテレワークを導入した企業においては、テレワーク勤務におけるコミュニケーションや雇用管理等の課題が生じているところ。  企業に対して、個々の企業の状況を踏まえて、障害者のテレワーク勤務の導入に向けた相談支援や、雇用している障害者のテレワーク時の雇用管理面での課題解決に向けた相談支援を行う。  また、企業に障害者雇用の選択肢の1つとして、テレワークによる障害者の雇用を検討してもらえるよう、インターネット上で事例の周知を図る。 ●トライアル雇用助成金(障害者トライアルコース・短時間トライアルコース) 予算額 12億円(12億円)  障害者雇用の取組が遅れている事業所では、障害者雇用の経験が乏しいために、障害者に合った職域開発、雇用管理等のノウハウがなく、障害者を雇い入れることを躊躇する面があるところである。このため、これらの事業所に対して、障害者の試行雇用を通じ、障害者の雇用に対する理解を促進するとともに、障害者の業務遂行の可能性を見極め、試行雇用終了後に常用雇用への移行を進め、就業機会の確保を図ることとする。 ●特定求職者雇用開発助成金(発達障害者・難治性疾患患者雇用開発コース) 予算額 5.8億円(6.3億円)  発達障害者は、社会性やコミュニケーション能力に困難を抱えている場合が多く、就職・職場定着には困難が伴っている。  また、難病患者は、慢性疾患化して十分に働くことができる場合もあるが、実際の就労に当たっては様々な制限・困難に直面している。このため、発達障害者及び難病患者の雇用を促進するため、これらの者を新たに雇用し、雇用管理等について配慮を行う事業主に対する助成を行う。 障害者就業・生活支援センターによる地域における就業支援の促進 85億円(81億円) ●障害者就業・生活支援センターによる地域における就業支援 予算額 85億円(81億円)  障害者就業・生活支援センター(以下「センター」という。)は障害者の職業生活における自立を図るため、雇用、保健、福祉、教育等の関係機関との連携の下、障害者の身近な地域において就業面及び生活面における一体的な支援を行い、障害者の雇用の促進及び安定を図る。  更に、全国の障害保健福祉圏域ごとに設置しているセンターは、各地域における中核的な就労支援機関として位置づけられており、個々の障害者のニーズに応じた相談・支援に加えて、地域の支援機関のネットワークの拠点としての役割を担う。 ※本誌では通常西暦で表記していますが、この記事では元号で表記しています