9技能競技家具講 評主査 家具職種の競技課題のレベルは、技能検定「2級家具製作(家具手加工作業)」課題と同程度となって います。4年前、競技課題に現寸図(脚部の側面図)作製が加わり、墨付け時の生けどりや、組立時の形状確認に活用する姿が増え寸法精度も上がってきました。 今回の愛知大会では、10代から20代の4名の選手が技を競い合いました。競技の結果、3名の選手が時間内に完成し、金賞1名、努力賞1名の受賞となりました。 今年度は、新型コロナウイルス感染拡大防止に伴い、従来の閉会式後の個別講評を競技終了後に総評の形で全体に行いました。その際、競技時間内に課題を完成させるための作業手順や、形状寸法の精度を 高めるための勝手墨や合印の重要性の話をしました。 昨年度の講評でも触れましたが、全体的に共通していることは、寸法精度の伸びしろがまだまだあるということです。墨付け時の現寸図の活用や、加工精度は年々全体のレベルが高くなってきていますが、 接着・組み立て時の圧締の方法を再考する必要があります。端金を必要以上に圧締しすぎることにより、その分、しわ寄せが他の部分にひずみとして現れるので、どこで締め終わりを見極めるのかがポイント です。また、端金は、当て木を適性に併用することにより、圧締するだけでなく、矩やねじれを矯正することもできることを上手く活用してください。以上のことを踏まえ、次年度の大会では多くの選手が高いレベルで競い合うことを期待しています。 更には、指導者の方は指導技法を向上し、選手の自ら考える力や、工夫する力を伸ばして下さい。 また、個々の作業姿勢の癖が安全上、適切であるか客観的に安全指導することも大切です。 おわりに、新しい生活様式の中、競技を無事に終えることが出来できたことを、選手、指導者の方々、選手を支える周りの方々、大会関係者に心から感謝いたします。小山 真子
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