15技能競技建築CAD講 評主査 建築CAD競技は、7名の選手で行いました。課題は、建築汎用2次元CADシステム(AutoCADあるいはJW_CAD)を用いてA3版用紙2枚に鉄筋コンクリート造3階建て1/100の図面(各階平面図、立面図、断面図)を描き上げ、図面としての作品を作製するものです。各階平面図と断面図には、詳細な寸法の情報が記載されていないため、同時に配布する構造部材リスト、建具リスト、建築設備リスト、内部階段及び非常階段詳細図を参照しながら総合的に判断して図面を描き上げなければなりません。 今年は、サービス付き高齢者住宅を課題としました。1階は、管理事務室、厨房、医務室、エレベーター等を備え、2階と3階は、食事・談話コーナー、浴室、個人の居室となっています。描く図面もA3版、1枚から2枚になったこともあり、線の量が多くなりました。一方、各種建具、内部階段及び非常階段詳細図のデジタルデータを配布することで作図効率アップを目指しました。そのため、今年の課題は、さらにPC操作等、難易度が高くなりました。 競技の結果、2人の選手が銅賞となりました。今年のような課題に対応するためには、図面全体を詳細かつ的確に把握して図面を描き始めることが大事です。図面は、コピー元となる室空間の完成度を上げて作り込み、コピーや反転コピーを駆使しながら描く箇所と、躯体を大まかに作って建具を配置した後に建具を手がかりに躯体を整えて描く箇所に分かれます。配布されたデジタルデータを効率よく利用できるかが、図面完成の鍵となりました。 今年は、図面量の多さから、検討が十分でないまま作図に着手している様子が見られました。焦る気持ちを抑え、作図作業に入る前に効率的な作図プロセスを十分にイメージしてから描き始めることが大事です。今後は、CADによる建築図面作図力に磨きをかけると共に、読図力、臨機応変に課題に対応するスキル、効率的な作図方法も身につけることで、金賞、あるいは入賞が期待できます。次の大会での活躍を期待しています。 最後に、競技を無事に終えることができたことを選手及び選手に指導されている指導員の方、大会関係者、競技スタッフの方々に心から感謝いたします。和田 浩一
元のページ ../index.html#17