19技能競技義肢講 評主査 義肢(義手・義足)の使用において最も重要とされているところは、「ソケット」と呼ばれる義肢と切断端との接合部分です。他の部品の性能や義肢全体の出来栄えが優れていたとしても、このソケット部分の適合が悪いと実使用に至らなくなります。本競技課題は、下腿義足のソケット製作がいかに実使用に繋がるかを評価します。具体的には寸法精度、出来栄えに加え、作業態度、作業速度もその対象になります。義肢使用者に安全に安心して使用していただける製品は、製作者の安全に対する意識から生じるものですので技術・技能の一つと考えられます。 競技前日の下見では、定められた持参すべき工具の確認、使用機器の調整、動作確認のほか、新型コロナウイルス感染拡大防止のため、例年よりも広い競技エリア内での移動経路の確認など、万全な準備を行いました。競技当日、3名の選手は観客の有無に関わらず、一心不乱に競技に打ち込み、全員が規定時間内に完成しました。競技後、各評価要素について、厳正に審査させていただいた結果、残念ながら銅賞1名のみの結果となりました。しかし、他の2名の方々を含め、義肢製作においては比較的短期間での修得経験であることを鑑みると、規定時間内に怪我なく完成させた点については大いに評価されるべきところです。また、さらに申し上げるとすると、製品製作における一つ一つの工程は、すべてがその結果に反映されます。限られた時間の中で、いかに工程ごとに作り込むことができるかが技術・技能の向上に繋がるとお考えいただき、今後さらなる研鑽を積み、使用者にとってより良い義肢を製作していただきますよう期待しております。 最後になりましたが、選手の皆様をはじめ関係各所の皆様、コロナ禍における厳重なる対策・運営をしていただいた高齢・障害・求職者雇用支援機構、愛知県の皆様に心より感謝申し上げます。水澤 二郎
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