53技能競技縫製講 評主査 第40回大会はコロナ禍の中で昨年と同じ中部国際空港に隣接した国際展示場で、無観客、Web配信と初めての環境のなかで開催されました。縫製種目は招聘者1名を含む10名の参加と、ここ数年の参加者を大きく下回りました。今大会は国際大会の選考会を兼ねており、先の大会で悔しさや納得できない結果を残した選手のリベンジがありました。国際大会出場を目指しそれぞれの環境の中で日々努力されたことでしょう。また、コロナ禍の中で出場を断念された方もあるのではと推察いたします。 競技は午前の部が10時から13時までの3時間、午後は14時から15時の1時間で合計4時間の製作時間ですが、今回の課題はポケットに丸みが加わり前回の課題よりアイロン操作テクニックが必要となる箇所が増えています。皆さん自信に満ち、淡々と各自が練習の中で考え作り上げた作業工程を進行して行きました。大会の雰囲気全体としては、参加者にかつてない落ち着きとマイペース感が見られました。また、参加者は時間を有効に使い自分のやるべきこと、練習したことを出し切るといったパワーも感じましたが、やはり、再度の参加者と初参加者との間にはスピードだけではなく、アイロン操作などテクニックにも差が見え出しました。これは結果に表れ、全員が時間内に完成とはいきませんでしたが、金メダル1名、銀メダル1名、銅メダル2名の入賞者のうち、2名が二度目以降の参加者という結果でした。 全員が参加された総評では涙する選手の姿も見られましたが、結果だけではなくアビリンピックに参加する過程が選手にとって、どのような場面においても粘り強さや強い精神力、集中力の向上へと繋がるものだと強く感じております。 多くの方々が、目標に向かって輝き、就労への道が広がる本大会に関わることができたことに感謝いたします。最後になりましたが、関係する全ての方々のおかげで、競技が円滑に進行できましたことを心より御礼申し上げます。野中 恭子
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