第41回全国障害者技能競技大会報告書
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11技能競技講 評主査 小山 真子 家具職種の競技課題のレベルは、技能検定「2級家具製作(家具手加工作業)」課題と同程度となっています。競技課題は、板物の「甲板」と角材の「脚部」からなる「花台」を製作します。競技課題に現寸図(脚部の側面図)作成が加わり、4年目となる今年は、墨付け時や仮組み時の確認に活用する姿が定着し、寸法精度が高くなってきました。 今年度の東京大会では、4名の選手が技を競い合い、全員が競技時間内に完成させることができました。厳正な審査の結果、金賞1名、銅賞2名、努力賞1名の受賞となり、次にあげる3点が評価につながりました。 1点目は、現寸図を用いて確認する要点が整理され、形状寸法の精度が高くなったこと。2点目は、加工精度が正確になり、接合部の割れや、貫通穴によるミスが無く、仕上がりの減点がなかったこと。3点目は、接着剤の硬化時間を考慮した作業工程を理解し、時間内に完成させる意識が高くなったことが挙げられます。 競技後の総評時に甲板と脚部の接合部の木ネジ部分について触れましたが、甲板と脚部を隙間なく取り付けるためには、脚の上端の木口と脚と脚を連結する幕板の上端が同一面上に加工されている必要があります。そのためには、木口台の活用や、平かんな(中仕込みかんな)や長台かんなを用いた回し削りの技量を上げると、より美しい仕上がりとなります。 以上のことを参考に、指導者の方は、手工具の目的にあった適切な使用方法や調整方法を再考し、日々の技能研鑽を通じ選手の自ら考える力や工夫する力を育んでください。 結びに、世界中が先行きの見えない時代、家具職種競技に挑戦した選手に敬意を払うと共に、指導者の皆様、選手を支える周りの皆様、大会関係者に心から感謝いたします。家具

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