第41回全国障害者技能競技大会報告書
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21技能競技講 評主査 水澤 二郎 コロナ禍で開催された東京オリンピック・パラリンピック、そして東京アビリンピック2021。アビリンピックは選手及び関係者のみの参加による開催でしたが、メディア等を通じて多くの人が競技に熱中し、様々な喜びや感動を得られたのではないかと思います。パラリンピック競技のなかで、多くの選手が義肢(義手、義足)を使用しておりましたが、日常生活はもとより、こうした競技までも可能とさせているのが本課題の「ソケット」部分の適合や構造によるものです。生体と機械部分の接合部分としてのクッション性と実使用に耐えうる剛性を、いかに整合性の良い構造として実用的なものにするかは、機械加工のみに頼った方法だけでは難しいところであり、ハンドメイドにより達成できるところも含まれております。 参加選手は3名と少数で、みなさん経験年数も余り長くはないのですが、事前にしっかりとした対策を講じてきた様子で、競技前日の下見においても、持参工具の確認、作業台の仕様及び使用機器類の調整、動作確認を入念に行っておりました。競技当日は、緊張の面持ちではありましたが、準備をしてきた自分を信じて熱心に競技に打ち込み、全員が無事に規定時間内に完成しました。義足のソケット製作が、いかに実使用に繋がるかを、寸法精度、出来栄え、作業態度、作業速度などの面から厳正に審査させていただいた結果、僅かながら金賞には届かず、銀賞2名、銅賞1名の結果となりました。僅かながらの部分は、今後のさらなる研鑽を積むことで埋められますが、何よりも参加選手の全員が、常に作業台上の整理・整頓をしながら進めていたことは大いに評価できることであり、ものづくりの基本として続けていただきたいところです。 最後になりましたが、選手の皆様をはじめ関係各所の皆様、コロナ禍における厳重なる対策・運営をしていただいた高齢・障害・求職者雇用支援機構、東京都の皆様に心より感謝申し上げます。義肢

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