23技能競技講 評主査 中坂 聖 歯科技工は3名の選手で行われました。今回も全員が国家資格である歯科技工士免許を取得しており、歯科技工を生業としている方々の競技となりました。 課題は、上顎9か所に処置が施された部位に歯科用ワックスを盛り上げて被せものの原型を製作します。下顎は連続して3本の歯を失った箇所に人工歯(既製品)を排列し、歯科用ワックスを用いて歯肉の形態を回復させる内容でした。 前歯の形態は顔のイメージと直結することから審美性が求められ、残存している歯の形態やバランスを考慮する必要があります。臼歯は上下の咬み合わせが重要となり、咀嚼機能の良し悪しに関わるためしっかりとしたものが求められます。また、顎運動を阻害せず歯列全体を違和感なく造形して整える力も必須です。 今回の課題は比較的時間に余裕のある設定としました。その分、競技中の様子からも1か所毎に十分注力して製作されていたように感じ、完成品を通しても随所にそれが表れていました。 歯科技工の仕事は、自分専用の技工机で個人の器具を扱いやすいように創意工夫して業務の効率化を図っています。器具に関しては使い慣れた物を持ち込んでいただきましたが、設備に関しては競技という事もあり簡易的な物になってしまいます。普段通りの実力が発揮しにくい状況でありながらも、臨機応変に対応されていたのが非常に印象的でした。今後の業務においても更に対応力、技術力を高めて良質な補綴物を提供し続けてほしいと思います。 最後になりましたが、今回も多くの方々のお力添えにより無事競技を行うことができました。参加選手、職場の方々のご理解やご支援、協賛協力いただいた各社、各団体および携わった皆様方に深く感謝申し上げます。歯科技工
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