第42回全国障害者技能競技大会 大会報告書
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技能競技9家具 家具職種の競技課題のレベルは、技能検定「2級家具製作(家具手加工作業)」課題と同程度となっています。競技課題は、板材と板材の接合による「甲板」と角材と角材の接合による「脚部」から構成される「花台」を製作します。 今もなお続くコロナ禍の中、今年度の大会では、1名の選手が参加し厳正な審査の結果、銅賞の受賞となり、次にあげる3点が評価につながりました。 1点目は、時間内に完成させる強い意志が終始一貫し持続したこと。2点目は、加工は荒削りであるが基本ができており、ミスが生じても気持ちの切り替えが早く、仕上がりに影響が少なかったこと。3点目は、脚部の接着・組み立て時に、全体の歪みを現寸図のシナベニアの直角を利用して、一瞬にして直したのは実に見事でした。その場に居合わせた者は、鳥肌が立つ程の技でした。今でも脳裏に焼き付いています。 毎年、講評では競技時間内に課題を完成させるための作業手順や、形状寸法の精度を高めるための勝手墨や合印の重要性を伝えてきました。今後、寸法精度を高めるためには、材料がどこの場所に使われるのか分かるようにする勝手墨を付けることを徹底してください。勝手墨を付けることにより、加工時の判断する時間が劇的に速くなり、加工のミスも減り、作業効率が高まります。 指導者の方は勝手墨の利便性と共に、部材を適切な位置に配置して付加価値を高めるための見方や考え方を指導し、選手自らが考え判断する力を育んでください。 以上を踏まえ、次年度の大会では多くの選手が技を競い合うことを切望しています。 結びに、参加選手は、競技中は終始、観客や大会スタッフの視線を一身に浴びる重圧をものともせず、軽やかに時間内に完成させました。その強い精神力に心から敬意を払います。また、選手を支える指導者や周りの皆様、大会関係者に感謝いたします。小山 真子講評主査

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