第43回全国障害者技能競技大会報告書
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技能競技木工熊本県 はじめに、受賞した本人は会話も難しく文章を書くことができませんので代筆させていただきますことをご了承ください。 全国アビリンピックで金賞を受賞することができ、大きな喜びを感じております。息子の名前が呼ばれ、表彰されている姿を見てここまでの道のりが一気に思い出されました。 息子は現在、就労支援B型事業所カサチコで働いていますが、カサチコとのご縁は小学部から高等部までを過ごした熊本大学教育学部附属養護学校の先生から「(息子に)合っているかもしれない」と言われ、実習先に選んだのが始まりです。カサチコには国際アビリンピックに出場、入賞…された先輩方がおられ、4~5年経った頃三山所長のお声がけで息子のアビリンピックへの挑戦が始まりました。 課題の「蓋付き小箱」は初めて手にする工具ばかりで、多くの工程を息子が覚えられるだろうかと不安しかありませんでしたが、年に1回大きな目標に向かって頑張る経験だと捉え応援してきました。 それから10数年、毎年県大会に参加し、今回3度目の全国アビリンピックで念願の金賞をいただき本当に感無量です。本人の努力があったのはもちろんですが、根気強くご指導いただいた三山…所長の存在がなければ今の息子の姿はなかったことでしょう。 応援を続けてくださった息子のまわりの皆さまに深く感謝申し上げます。 息子は自分の気持ちを語ることはできませんが、金メダルをかけていただいた時の笑顔が最高の喜びを伝えてくれました。 練習で培った集中力や丁寧さを今後の仕事にも活かしてほしいと願います。 最後になりましたが、大会運営関係者の皆さま、お心遣いあふれる大会をありがとうござい…ました。代筆 宮﨑 信子 競技課題は「蓋付き小箱」の製作です。家具 製作には、「挽く」、「欠き取る」、「掘る」または 「削る」等の基本的作業があります。この作業には、「のこぎり」「のみ」「かんな」などの手工具を使用しますが、これらを使いこなすことは、 機械作業ではできないような完成度の高い、 洗練された製品を作り出すことを可能と します。競技課題のうち、箱本体は、部材の長さを木づくりし、図面を見ながら墨付けを行い、 のこぎり・のみで組み手を加工し、仮組み・ 目違い払い(板を組み合わせてできる段差を かんなで削る作業)を行った後、底板取り付け用の段欠き(角材や板材の一辺を直角に欠きとること)をします。そして、仕上げ削りの後、釘と接着剤で組み立てて、一部ダボを埋めてから、全体をかんなで削って完成させます。また、箱の蓋は、部材を仕上げ、面取り後に、留加工(棒材を45°にのこ挽きし、かんなで削る)を施し、全体を平紐で巻いて組み立てます。表裏の目違いを払った後、本体との位置決めを行うための桟を内側に打って完成となります。金賞受賞者の感想■ 参加選手数 11名54宮﨑 裕史CABINET MAKING-BASIC木工

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