第44回全国障害者技能競技大会報告書
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9技能競技家具主査 競技課題の「花台」は、製作図に基づき、現寸図を作成し、手工具、木工機械を使用して競技作品を製作…します。競技課題の技能レベルは、技能検定「2級家具製作(家具手加工作業)」課題と同程度となっており、中級技能者が通常有すべき技能が必要な内容となっています。(※) 今年度の大会では、5名の選手が参加し厳正な審査の結果、1名が銅賞の受賞となり、入賞は逃しましたが、初挑戦の各選手の集中力や堂々とした仕事ぶりは、多くの人に感動や気づきを与えました。ぜひ来年度に向け以下の3点を踏まえ再挑戦してください。 1点目は、修正作業にかけている時間を各自検証してください。ほぞとほぞ穴がゆるくなることを恐れ、ほぞを必要以上に厚く加工し、のみや際かんなでの修正に時間をかけていないでしょうか。墨際を加工する…ことにより大幅な時間の短縮につながります。2点目は、手工具に無理な力をかけていないでしょうか。…ほぞ挽のこぎりの鋸身はコンマ数ミリと薄く、こじったりすると割れるおそれがあります。また、のみの…使用時も刃先の延長線上に材料を押さえている左手があると、勢い余った際に大きな怪我につながります。自分の安全を常に意識することが周囲に対する安全配慮につながります。3点目は、競技大会では、勘違いや想定外のことが多々起こります。見慣れた図面であっても最後まで大切に扱い、競技作品の前後左右の…確認は一歩離れ客観的に判断する姿勢が求められます。 冒頭にも触れましたが、中級技能者が有すべき技能として自ら刃物を研ぎ、道具を調整することが微かな変化に気づく礎となり、自分に対する自信につながります。日々の継続的な取り組みが冷静な視点を養い、万が一のトラブルにも動じない胆力を発揮します。 結びに、選手の方々には家具競技に臨んだ勇気に心から敬意を払います。また、選手を支える指導者や…周りの皆様、大会関係者に感謝いたします。(※)実務経験2年以上(職業訓練歴、学歴等により短縮される場合があります。)小山 真子講評

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