障害者雇用事例集(H31)
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家族会総会の様子12①外部の支援機関との連携②家族との連携、情報提供支援者間の連携、生活状況の把握③自宅でのケア会議の開催④医療面に関する支援長野リネンサプライ株式会社 (長野県長野市)改善前の状況知的障害のあるGさんは、家族構成の変化で一人暮らしとなった。年を追うごとに、生活面、健康面の管理の苦手さから体調をくずし職場で座り込んでしまうなど仕事に影響が出るようになった。改善策改善後の効果企業と社員、家族、支援機関が情報共有することで、課題に応じた支援実績が豊富な支援機関による的確な支援に結びついた。Gさんが安心して医療機関を受診できるようになったことから社員の適切な健康管理に結びつき、不調でなくても定期的に保健師と相談できるようになったため、精神面の安定も図られた。安全衛生委員会の活動により、障害のある社員が血圧ノートを記入するなど、社員全体の健康に対する意識が高まった。企業の立場として、普段から市町村の自立支援協議会就労部会などに出席し、月1回程度、福祉・行政の関係者と話す機会を持っている。一方Gさんは、これまで自宅で家族のみのサポートを受け生活してきた。生活面を支ええる支援機関との結びつきはまったくなかったが、家族構成の変化により、身内のサポートは遠方に住む家族のみとなってしまった。同社の障害指導課(13ページ参照)の担当者は、生活面で課題があり、支援が必要であることは把握したが、どのような課題をどの機関に相談すればよいかわからなかった。生活や健康の課題については企業だけで取り組むより、内容によっては、ふさわしい役割の支援機関などにサポートを依頼したほうがより的確に対応してもらえると考えた。そこで、系列の社会福祉法人の担当者を通じ、課題に関連する支援機関への相談に結び付いた。家族は、Gさんの生活について何とかしたいとの思いがあったが、遠方で生活していることから、情報がなくできることが限られていた。そこで障害指導課から家族会(13ページ参照)について情報提供を行った。同社から各支援機関に依頼し、Gさんのケア会議を行うことになった。開催場所をGさんの自宅とし、自宅での生活の状況もある程度把握する機会を持つことにした。Gさんの住まいのある地域を担当する生活支援機関や自治体の福祉課、遠方に住む家族が出席した。話し合いにより、Gさんは、仕事にも熱心だが、趣味にも同じように力を入れてしまったために食生活などがないがしろにされていたことなどがわかった。その結果、成年後見人制度、日常生活自立支援制度による金銭管理サービス、週1回のヘルパー訪問のほか、今後も定期的にケア会議を行い、状況の把握と支援者間の情報共有をすることが決まった。最初に不調になった時は、同社の担当者が病院受診に付き添った。しかし、病院を一人で受診したことがなかったこと、不調がいったん治まっても定期的な通院が必要だったことから、毎回の通院をサポートする人が必要と考えられた。ケア会議での検討の結果、ホームへルプサービスを利用し受診に同行してもらうこととなった。また、知的障害のある社員全体の傾向として、病院を受診し、自ら医師に不調を相談することが苦手な者が多い。Gさんの件をきっかけに、月1回開催されている安全衛生委員会で障害のある社員の健康面の自己管理が議題となった。そこで、産業保健の一環として、系列の社会福祉法人が運営する支援機関から月1〜2回同社へ保健師の訪問を受けることにした。

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