障害者雇用事例集(H31)
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(左)山室代表取締役社長 (右)齋藤取締役15優秀賞特別支援学校の先生からのお話を契機として、職場実習生を受け入れ、同校の卒業生を新卒採用したり、社員の健康増進を目的としたヘルスキーパーの導入のため、視覚障害の方を雇用したりと、新しい取組も行っています。小売業にとってホスピタリティの精神がプラスに作用します。障害のある方を雇用することで、社員のホスピタリティが醸成されると感じます。社員の声社員の声企業の声企業の声山室 隆さん(代表取締役社長)齋藤 紀昭さん(取締役 総務部長)当社は百貨店ですので、お客様の満足度を高めることが第一ですが、そのためには社員の満足度の向上も重要で、常に社員が安心して快く働けるように心がけています。商品が百貨であるように、社員の働き方も百通りあってよいと考えています。また、多様な人材に適材適所で働いてほしいとも思います。業務と社員との間でミスマッチが生じているのであれば、障害の有無に関わらず、個人の事情に応じて柔軟に配置転換や勤務時間の見直しを行っています。現場担当者の声現場担当者の声初田 泰子さん(勤続27年)入社以来、食品売場を中心に勤務していましたが、「多発性硬化症」のため、2013年に長期に休暇を取得することになりました。両下肢まひとなり歩行が困難な状態でしたので、元の職場へは復帰できないと思っていましたが、会社から、事務職での復帰を打診されたので、家族とも相談し、また仕事に戻ることとしました。金子 さおりさん(総務部 人事・労務担当)初田さんの場合は、疾病により、歩行だけでなく、重量物の運搬、スピーディな行動がむずかしくなったので、従来配置していた売場で販売業務を行うことは困難になりました。離職させず復帰させるための検討を行い、本人ができ得る業務として「事務職」を、移動できる範囲に保健室やトイレなどがある「用度担当」への配置転換を行うこととしました。配置が変わったおかげで、会社内のさまざまな部署の方ともコミュニケーションをとれるようになりました。現在は短時間勤務をしていますが、接客でないこともあり、予定どおりに帰れるようになりました。新しい職場での仕事は、はじめて経験する仕事ばかりで覚えなければならないことも多いですが、できないところは周囲の方たちがサポートしてくれます。仕事が終わってお礼を言われたときは嬉しく感じます。業務面だけではなく、昼食のときなども歩行距離が短くてすむように、一番ドアに近い席を空けてくれるなど、上司や同僚の気遣いにあたたかさを感じます。今後は、できる仕事の幅を増やし、他の方から頼られる存在になりたいと思います。最初は慣れない仕事で戸惑われたかもしれませんが、一所懸命に仕事を覚えておられ、最近では初田さんを頼る声も聞こえてきます。現在は荷物用のカートを使って自力で歩行されていますが、疾病の悪化で移動のむずかしさも増しているようですので、本人の状況に随時気を配り、安心して仕事が続けられるようにサポートしたいと思います。

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