障害者雇用事例集(H31)
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傷病の治療等と就労の両立を可能とする勤務制度24①傷病欠勤・短時間勤務制度の体系的整備短時間勤務制度などのルールを体系的に整備しつつ、職務の見直しなどで本人の自信と意欲を向上②職務の見直し③働く意欲向上に向けた各種サポート株式会社ニッセイ・ニュークリエーション (大阪府大阪市)改善前の状況従来から個々の状況に応じて、時間単位での傷病欠勤の取得を柔軟に認めてきたが、明確な運用ルールがなく、必ずしも本人の働く意欲の向上、勤務の安定化につながっていなかった。Aさんの場合も、欠勤と短時間出勤の繰り返しが長期化していた。改善策1改善後の効果Aさんは当初の「週3日・12時間」の短時間勤務から、「週4日・23.5時間」の勤務まで段階的に勤務時間を延長したが、安定して出勤することができた。就業規則に制度として定め、適用要件なども明確化されたことで、より安心して、また目標感をもって、体調や状況に応じた勤務時間の設定・延長に取り組めるようになった。Aさんが意欲的に遂行できる職務を与えることで、自信や達成感が得られ、モチベーションの向上につながった。社内のサポートと社外の専門機関の活用により生活面、体調面の安定につながった。Aさんの場合、体調不良による欠勤と精神面の不調が重なり、週3日・12時間程度の勤務と1〜3ヵ月程度の傷病欠勤の取得を繰り返していた。従来のような運用面での個別対応ルールでは、将来的な目標につながりづらいことや、安心して休暇などを取得することができないといった課題があり、傷病の治療等と就労の両立を可能とする勤務制度として、①時間単位での傷病欠勤の取得等に関する運用ルールを整備、②「通常勤務復帰支援特別勤務制度」、「傷病治療等両立短時間勤務制度」を新設し、勤務時間の延長を段階的にうながすこととした。 「通常勤務復帰支援特別勤務制度」とは、最長1年間、1日5時間以上の勤務から始めて、段階的に勤務延長をしていくことができる制度である。この制度を利用し、通常勤務への復帰が困難な場合は、「傷病治療等両立短時間勤務制度」へ移行し、週20時間以上の短時間勤務からフルタイム勤務を目ざすこともできる。Aさんは、時間単位での傷病欠勤の取得について、運用ルールが整備されたのを機に、原則週25時間以上の勤務要件の充足を目標として勤務。その後、新設された「通常勤務復帰支援特別勤務制度」を適用し、フルタイム勤務に向けて段階的に勤務時間を増やしていっている。精神面の不調による意欲の低下や、加齢による体力の低下をふまえ、Aさんの職務を見直すこととした。これまでに経験のある職務のうち、比較的習熟度の高い庶務についてAさんの専任の業務として担当してもらうこととしたほか、ミス防止のチェック表を作成して仕事の質も向上させ、Aさんに自信や達成感を感じてもらえるようにした。同社では、社内の上司や同僚、産業医(精神科医)のほか、社外の主治医、支援機関とのネットワーク(50ページ参照)を構築し、社員をサポートする体制を整備している。Aさんに対しても、周囲の同僚が日常的にAさんを応援し、精神面でのサポートをするほか、産業医、主治医、支援機関とも連携して勤務の安定化に向けてフォローを行った。

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