障害者雇用事例集(H31)
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31企業の声企業の声社員の声社員の声現場担当者の声現場担当者の声奨励賞上田 剛士さん(代表取締役)平成22年に先代社長である父から経営を引き継ぎました。両親が障害者雇用に取り組む姿を幼少期から近くで見てきたことから、障害者雇用は我が社にとって当たり前のことでした。私も先代からの経営理念である「感謝と奉仕」を大切に、障害のある社員を我が子と思って会社とともに育ててきました。今では知的障害のある社員が会社を支える貴重な「戦力」として各部門で活躍してくれています。特別支援学校からの職場実習生も積極的に受け入れ、15年ぐらい前からは新卒採用は障害者雇用が基本となっています。Aさん(勤続28年)病気(脳出血)により、左手の動きが悪くなり、仕事が少しやりにくくなりました。病気の前はグループで行う作業でしたが、現在はひとりでの作業に変わりました。また、病気療養のあと、職場復帰するときにはまず午前中だけの勤務からスタートし、いまでは前と同じ勤務時間に戻っています。作業するときには、おしぼりをまっすぐに機械に入れ、曲がらないように気をつけています。新しい仕事にも慣れ、リハビリで手の動きがよくなったこともあり、困っていることはありません。疲れることもありますが、働けることは楽しいです。上田 智子さん(常務取締役)当社では障害のある社員が中心となって活躍しており、障害のない社員とも相互に助け合うフラットな関係です。障害のある社員が日々「仕事が楽しくて仕方ない。」「毎日仕事に来ることが楽しい。」と言ってくれること、自分の仕事に誇りをもって取り組む姿に彼らの成長を感じています。一方で、障害者雇用に長く取り組んできたが故に、勤続年数が20年、30年を超える中高年齢層の社員も複数おり、70歳定年の我が社にとって働く意思を持つ彼らの雇用継続にどう取り組んでいくか、現在模索しているところです。就職希望者に選ばれる業界、企業となるべく魅力のある職場づくりを進めていきたいと考えています。これから障害者雇用に取り組まれる企業のみなさんには、中小企業であってもダイバーシティへの対応が必要になってきていることから、さまざまな人が働ける環境づくりにチャレンジしていくことが大事であることをお伝えしたいです。休みの日には家事をまとめてすませており、買い物や調理が楽しみです。なにか困ったことがあっても相談に乗ってくれる人が近所にいて、助かっています。Aさんが脳出血による休職から職場復帰をする際、仕事好きのAさんは早く復帰したい意向が強く、会社側がブレーキをかけたほどでした。Aさんに関しては、後遺症による作業効率の低下は見られるものの安心して仕事を任せることができ、長く働き続けてほしいと願っています。今は外部の支援者のサポートも受けながら課題の改善に取り組んでいるところです。社員の高齢化に備えた会社としての取組はまだまだこれからですが、当面は個々に生じる課題を解決しながら、高齢化への対応のノウハウも積み重ねていきたいと考えています。

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