障害者雇用事例集(H31)
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商品仕分け中のAさん現場担当者の声6治療の必要性に合わせた勤務時間の設定と身体的負荷を軽減する配置転換株式会社シーエックスカーゴ 桶川流通センター (埼玉県桶川市)改善前の状況知的障害のあるAさんは、採用後、腎不全を発症し、透析治療が必要となった。また、年齢とともにスピーディな作業は負担になってきていた。改善策1改善後の効果 休暇を取得しなくても、週3日の透析治療を確実に行えるようになり、安心して勤務できるようになっただけでなく、担当業務を変えたことで、身体的にも精神的にも負担の軽減ができた。また、一つの作業を特化して行っていることから、その作業に関しては事業所内のだれよりも詳しくなり、そのおかげで、今ではAさんはリーダー的存在になり、ほかの社員への指示や、職場実習生への指導を行うまでになった。①勤務時間の柔軟な対応 Aさんの場合、週3日(火・木・土曜)の午後に透析の治療が必要となった。Aさんはフルタイム勤務のため、通常の勤務時間であれば9時から17時15分であるが、治療時間を確保するために、火・土曜の2日間は12時までの勤務に変更し、木曜は休業日として確実に休めるよう配慮した。佐藤 優子さん(桶川流通センター障害者職業生活相談員) Aさんが配置されている部署は5人の社員がチームとなって仕分け業務を行っています。自分の業務を行いながらも、声をかけ合うことが自然とできる環境であることから、Aさんも精神的な負担を感じることなく仕事ができています。また体調を崩すことも少なくなり、業務見直しの効果を感じています。②個人の状況に応じた業務の見直し 当初Aさんは、使用後の宅配用の商品を入れるオリコン(折りたたみ式の箱)に汚れや異物混入、破損がないかを点検する業務にたずさわっていた。この業務は、点検するオリコン数が相当数あることから、スピーディに確認を終えて、ベルトコンベアを使って次の工程にオリコンを流さなければならず、正確性、迅速性が求められた。Aさんは年齢を重ねるごとに、素早くオリコンを移動させることや、一定の速度を保って点検していくことが身体的にも、精神的にも負担になり、体調の悪化につながってきた。 Aさんの負担を取り除く方策について検討し、負担が少ない仕分け業務へ配置転換することとした。 この業務であれば、①比較的に自分のペースで作業が進められる。②仕分け業務は複数の作業に分けて複数の社員がローテーションで行うため、配置された社員は通常はすべての作業を行うことになるが、Aさんの身体的負担を軽減できるように、重いダンボール箱の運搬作業などの作業は避け、負担が少ない一つの作業のみを担当させることができる。また、③複数の社員で作業を分担していることから、重たい荷物を運搬しなければならないときがあっても、他の社員が代わりに行うなど、スムーズにサポートができることとなった。

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