令和4年度就業支援ハンドブック
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第3章第1節 リハビリテーションに関する定義はいくつかあるが、国際連合の障害者に関する世界行動計画において1982年に提示された「身体的・精神的・社会的に最も適した機能水準の達成を可能にすることで、各個人が自らの人生を変革して行く手段の提供を目指し、かつ時間を限定したプロセス」は、最もよく引用されるものである。 この定義には、以下の4つの重要な概念が含まれている。第1は「身体的・精神的・社会的に」とあるように、リハビリテーションは医学分野に限るものではなく、教育や社会的分野に加えて職業的な分野も重要な構成要因であり、いわゆる総合リハビリテーションの視点に立つことが不可欠である。第2は「最も適した機能水準の達成」にあるとおり、リハビリテーション活動は、個人の置かれている様々な環境(職業や職場なども当然この中に含まれる。)との関わりにおいて「最適な機能水準」となる関係性を目指すものであり、発症以前の状態にまで回復させる「最高の状態」を求めるのではない。第3は「各個人が自らの人生を変革して行く」とあるように、対象者本人の意思決定や自主性、更にはそのためのエンパワーメントの向上を重視している。そして、第4に「時間を限定したプロセス」とあるように、実行プログラムには始まりと終わりがあるがゆえに、実施に際してはケースマネジメントの視点が不可欠であること、などが内包されている。150 第3章 就業支援に必要な考え方◇リハビリテーション◇

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