令和4年度就業支援ハンドブック
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第3章第3節第3項 ネットワークの構築174 第3章 就業支援に必要な考え方1)ネットワークを構築するための基本的要件 就業支援のためのネットワークに参加する機関は、第1項で記述した共通認識を土台にして、本人のニーズに即応できる体制を構築することが望ましい。 そのためには、第1に、本人のニーズを明確にしておかなければならない。本人が、ネットワーク参加の機関のどこに相談に来ようと、そのニーズを的確に把握したり、自己のニーズを明確化できるようにすることが必要であろう。第2に、ネットワークの構築と維持は実務担当者個人が主体であることを理解することである。また、専門領域や専門性の尊厳を保ち、特定職種の見方や画一的な視点に陥らないようにすべきである。第3に、自機関の能力と限界を明らかにすることである。得意とする支援サービスを含んだ個々の機関の特徴を、他のネットワーク関係機関に承知してもらうことである。個々の機関が提供できるサービスの特徴が明確になっていると、本人のニーズに応じた関係機関の選択も容易になり、ネットワークどは、行政機関の連携を進めるとともに、自らも行政組織を超えたネットワーク化に取り組むことが必要だろう。 第6として、企業自身の就業支援ネットワークへの参画である。これにより障害者本人の持つ能力を充分に発揮できるような職場環境を作ることが重要となる。就労継続支援A型事業所、特例子会社、重度障害者多数雇用事業所、企業などが加わった就業支援ネットワークがあれば、障害者雇用の経験が少ない企業に対して、ノウハウを持つ企業が雇用管理ノウハウを提供したり、企業単独でのサポートが難しい場合には、ネットワークにより障害者および企業を支援することができよう。 就業支援ネットワークは、こうした多様な社会資源を取り込むことが望ましいのだが、他方で、支援機関の数や就業支援の質において地域格差が大きいことも指摘されている。そのため、地域の特性や実情に応じた、各機関の強みを充分に活かした効果的な役割分担やネットワークの構成を検討することが重要だろう。

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