令和4年度就業支援ハンドブック
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第4章第1節 ト.その他の精神症状(意欲障害、感情障害、病識欠如など)1)知的障害の概要 ① 知的障害とは 知的障害については「身体障害者福祉法」、「精神保健及び精神障害者福祉に関する法律」と異なり、「知的障害者福祉法」に知的障害の定義に関する条文もなく、法令上の定義は明確ではない。また、福祉サービス等の利用の対象者であることを証するものとしての療育手帳に関する条文もなく、療育手帳は都道府県(政令指定都市)独自の施策としてそれぞれの判第2項 知的障害<引用文献>1)大川弥生:“高次脳機能障害とは”.職リハネットワーク(No.22).1993.P4-7<参考文献>〇独立行政法人高齢・障害・求職者雇用支援機構:2019年度版障害者職業生活相談員資格認定講習テキスト.2019〇中村隆一監修ほか:入門 リハビリテーション医学(第3版).医歯薬出版.2007〇高次脳機能障害支援コーディネート研究会監修:高次脳機能障害支援コーディネートマニュアル.中央法規出版.2006〇中島八十一・寺島彰編集:高次脳機能障害ハンドブック 診断・評価から自立支援まで.医学書院.2006 脳損傷により、前述の高次脳機能障害の他にも精神的な問題が発生することがある。周囲への無関心・無為・無欲などの発動性の低下、情動体験の平板化・貧困化や抑うつ、焦燥感、固執傾向、過緊張、感情失禁、情緒不安定など精神心理的な症状や感情表出面での障害が見られる場合もある(意欲障害、感情障害)。 また、障害の受容における問題も指摘される。この場合、現在の自分の障害を理解せず、回復に対しての過度の楽観や、自己の能力の過大視といったことが生じる。このような障害受容の困難さや自己認識の乏しさは、対人関係に支障をきたしやすい(病識欠如)。 いずれにしても、課題が生じる原因は障害のみならず、周囲の環境によるものとも考えられるので、まず原因を正確に把握することが支援に向けての一歩となる。 第1節 障害特性と職業的課題(知的障害) 197

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