ー情報通信業(情報サービス業)一代表取締役渡邊治彦さん当社は1999年に親会社から分社化した経緯があります。独立した以上、雇用率を達成したいと考え、当時ハローワークやNPO法人などに相談しながら障害者雇用に取り組み、現在3人を雇用しています。企業として障害者の職務選定には悩みますし、長く雇用するためには周囲の従業員の理解を継続的に求めていく必要を感じています。当社では、障害者を雇用することによって社内のコミュニケーションが増えました。また、外国籍の方の雇用への理解など、多様な働き方を受け入れる社風となってきました。障害者雇用について、‘‘理念”や“法定雇用率’'だけを契機とした取組ではいけないと考えています。職務のマッチングは難しいですが、彼らを戦力として受け入れることが重要です。現在は、IT技術も進み障害特性による課題をサポートできる環境や雇用を支援してもらえる制度があるのですから、それらを積極的に活用すると良いと考えています。職務内容と工夫できる職務を積み重ねてキャリアアップを図る勤続13年目の内野さんは視覚障害者。会社として初めて受け入れる障害で不安もある中、内野さんのスキルや意欲に応じた職務内容をその都度検討しマッチングを行い、さらにはキャリアアップを図っている。(1)障害者トライアル雇用(3か月)活用時の職務総務部に所属。2~3週間すつ社内の各部署を体験しながら、資料・議事録の作成、雷話応対、受発注の管理などの職務を主担当について補助的に担った。当初は慣れないIT用語なともあったため、業務遂行には時間を要したとのこと。(2)総務部の職務内野さんは中途での受障で、前職では営業の経験があった。それを活かせる職務は何かを検討し、購買関係の職務を設定。物品等の見積りを取得し、業者を決定し、発注する職務を、介助者とともに担当した。その後、営業支援業務を担当。顧客向け資料の発送、顧客との電話によるやり取りの他、事業部門の収支資料のチェック等の職務を担当。6年目にはチーフに昇格。(3)事業本部の職務内野さんのスキルアップ希望もあり、勤続8年目に事業本部へ異動。顧客に対する見積作成等の営業支援業務の他、請求書発行システムのデータを管理し他の従業員の誤りを指摘し修正を指示する役割も担っている。11年目にサブプロデューサーに昇格。戦力となって活躍してもらうために雇用支援制度を活用内野さんのスキルを活かすために障害者雇用を支援する様々な制度を活用し戦力化を図っている。(1)職務とマッチングを図るために就労支援機器を整備内野さんは、視力0.01で水中を歩いているような見え方である。慣れにより通勤や社内の移動に大きな問題はないものの、見積り作成やデータ管理業務には必須のワープロソフトや表計算ソフト等の使用には、視覚障害者用の就労支援機器が不可欠であった。そのため、採用当初に「視覚障害者向けノート型パソコン」「パソコン接続型カラー拡大読書器」「卓上型カラー拡大読書器」を借り入れ(約1年)、後に作業施設設置等助成金を活用して就労支援機器を購入した。
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