バルブの取り付けは、間違えれば自動車事故にもつながる重要な作業であり、ラインが動く中で、一定のペースで丁寧に作業する必要がある。このため、ライン上に大きな写真を掲示し、正常な状態(正常品)と異常な状態(異常品)について、「スキマなし」や「バルブが斜めになっている」のように、それぞれ簡潔なコメントを付けることで、自らの作業が正しく行われているかをその場で確認できるよう工夫している。 Aさんを含めた4人の知的障害者は、作業指示者(現場担当者)の上田さん、作業量が多い時にはもう1名の作業員とともに、通常5~6人のチームで自動車用ホイールの梱包作業を行っている。 まず、工場から運ばれたホイールを、キズなどをつけないように慎重に、一つひとつラインのレールの上に乗せる。 次に、ラインに乗せられたホイールにバルブをすき間なく真っすぐに取り付ける。細かい作業なので丁寧に行う必要がある。 そして、それらをクッション材で包み、2個1組で段ポールケースに入れていく。一定のペースを保ち、ここでもキズをつけないよう慎重さが求められる。 さらに、段ボールケースのフタを専用の機械を操作しながらクラフトテープで閉じる。ここでは、機械操作のスキルが求められる。最後に、段ボールケースをパレットに乗せ積み上げる。かなりの重量があるので、体力を必要とする。 知的障害者でもスムーズに作業できるよう、職務を細分化、単純化し、それぞれを一定のローテーションで担当する。 そして作業全般の確認や、トラブル発生時の対応、梱包前後のフォークリフト操作などは、上田さんが行っている。
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