障害者雇用があまり進んでいない業種における雇用事例(Web掲載用低解像度PDF)
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 佐藤さんは、入社して約3年であり、主に産業廃棄物管理票(マニフェスト)の作成と社員の名刺作成の業務を行っている。もともと施工管理関係の資格・経験があり、今後はそういった分野の職務を担うことも検討されている。 視野狭窄により自動車の運転ができないため、通勤のバス時間に合わせた勤務時間の設定という配慮がなされている。 門脇さんが勤務する宍道湖東部浄化センターは、松江市及び近隣の家庭や事業所から出る下水を浄化して自然に還元する施設である。4人のチームで水質検査を行い、門脇さんはその補助的業務を担っている。 門脇さんが入社した8年ほど前は、法定雇用率に達しておらず、これを充足するために公共性の強い同センターで受け入れることとなった。 門脇さんの1日は、まず、採水と各種機械の電源を入れるといった準備作業から始まる。採水は、250mほど離れた屋外の設備から、前日から溜まった2ℓほどの処理水を運んでくる。次に、水質検査のため、ビーカーにセットする濾紙を作り、ビーカーに漏斗を挿し、濾紙をセットして、電導度やPH値を測定する。さまざまな処理段階の検体を測定し、その値を紙に書き写す作業である。四捨五入の扱いが難しい。さらに、前秤量作業という、SS(浮遊物質)を図るために事前に濾紙の重さを測る作業がある。専用の濾紙をピンセットで電機秤に乗せ、重量とパソコンに表示される番号を確認し、濾紙を取り出しアルミホイルに挟んで保管する、という流れである。工程が複雑で、難しい作業である。 そして、ポリ瓶、ビーカー、試験管等器具全般の洗浄作業と清掃である。洗浄といっても、検体を捨てる、すすぐ、洗浄機にかける、乾燥機にかける、という工程があり、器具の種類も多いため、時間や回数がそれぞれで異なる。 職務の創出・拡大に当たっては、地域障害者職業センターに職務の分析を依頼し、難しい作業はジョブコーチの協力を得てマニュアルを作成して対応した。 門脇さんの入社直後は、洗浄作業と清掃だけであったが、指導者の高橋さん曰く「真面目にコツコツ取り組んでいる」、「気づかれにくいよう、少しずつ仕事を増やしていった」、「職場の雰囲気が明るくなった」とのことである。

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