障害者の加齢に伴う課題の克服や就労継続に向けた職場改善ケースブック 令和6年度 障害者雇用職場改善好事例の 応募企業等の取組より 独立行政法人高齢・障害・求職者雇用支援機構 はじめに  独立行政法人高齢・障害・求職者雇用支援機構(JEED)では、事業所における障害者の雇用及びその職場定着を進めるため、雇用管理や職場環境の整備等について様々な改善・工夫を行った職場改善好事例を募集し、優れた事例を広く周知しています。 今般、令和6年度に実施した加齢に伴う体力・能力等の変化や、就労継続に着目した職場改善好事例の募集に応募いただいた企業の中から代表的なものをピックアップして、具体的な事業所の取組や社員の声などを取りまとめ、ケースブックという形にいたしました。 本書では、加齢に伴う体力・能力等の変化や就労継続に伴い生じる諸課題に対する事業所の配慮・工夫について、参考となる取組を広く掲載しています。障害者の雇用促進と職場定着のためにご活用いただければ幸いです。 最後に、本書の作成にご協力いただきました事業所の皆様、関係機関・団体などの皆様に改めて感謝申し上げます。 令和8年2月 独立行政法人高齢・障害・求職者雇用支援機構 Contents はじめに1 目次2 用語解説4 〈各事業所の取組〉 (注) 各事業所の取組内容については、事業所の意向により「障害」「障がい」と表記しています。 [障害者の加齢に対する配慮・工夫を行った取組] 1.障害や加齢に伴う筋力の低下に対応した作業環境や勤務体制等の改善、配慮により、課内の団結を強め、本人の就労意欲向上につながった取組8 2.体力・能力等の変化に対する作業工夫、業務創出及び加齢による能力変化のモニタリングを行った取組14 3.仕事をスキル別に分類し、個人スキルと適正にマッチングすることにより加齢に伴うスキルダウンに対応した取組20 4.加齢による変化に対応した機器の導入や高齢社員の活用及び生活支援と連携した長期の職場定着を図った取組28 <取組1>雇用と生活両面での支援 <取組2>心身機能の低下を補う設備などの導入 <取組3>高齢社員の活用(指導的立場への登用) <取組4>長期の職場定着を図るための相談体制の整備〜業務と生活面の連携による実施〜 <取組5>健康管理・増進活動、スポーツ活動の推進 5.通勤困難になった職員の業務継続を図るためにテレワーク環境を整備した取組40 6.加齢や障害特性に配慮し、仕事・健康・生活にかかる一体的な支援の取組46 <取組1>加齢や障害特性などに配慮した勤務・担当業務の設定により、職場定着を実現した取組 <取組2>社員の加齢や障害特性に配慮した働きやすい職場づくりをした取組 7.採用した高齢障害者がやりがいをもって働ける制度を構築し、寄り添った配慮・工夫により健康維持やキャリアアップをサポートした取組54 8.障害や加齢に伴う身体機能の低下に対して作業負担の軽減と心身の健康サポートにより、持てる能力と経験を発揮し、他の職員の励みにもなった取組62 9.長期雇用に伴う障がいのある社員の健康の維持・向上によるワークライフバランスの充実を図った取組68 10.障害のある社員の長期勤続に伴う高齢化と能力・適性に合わせた作業面への配慮や配置転換などを行い、就労意欲の向上や着実な定着を図った取組72 11.加齢に係る課題を体力・能力・気力(意欲)の3側面から構造的にアプローチし、デジタル技術を活用した業務のDX化等を行った取組78 <取組1>主に体力低下への対策 <取組2>主に能力低下への対策(デジタル技術の活用) <取組3>主に気力(意欲)低下への対策 [就労継続に向けた配慮・工夫を行った取組] 12.親会社と連携し、能力発揮が困難になりつつあった社員の配置転換及び全社の障害者理解が一層深まった取組90 <取組1>職場環境の変化により、特例子会社での能力発揮が困難になりつつあった社員を親会社へ配置転換することにより職域開発、就労意欲の喚起につなげた取組 <取組2>特例子会社の経営の実践を通じて、「社員のやりがいと成長」という経営方針を明確化し、その実現を目指した制度づくりをした取組 13.障がい特性や病状などに配慮した勤務制度、指導体制及びキャリアアップ制度を整備した取組98 14.誰もが使いやすい治具や仕組みを工夫する「ユニバーサル改善」の組織的な取組106 <取組1>生産工程において加齢に伴う障がいの変化による作業負荷を軽減するための治具の制作を行った取組 <取組2>作業動画マニュアル導入による理解度向上を図った取組 JEEDの障害者雇用に役立つ資料118 障害者雇用を支援する施策131 JEED施設連絡先一覧143 用語解説  このケースブックをお読みいただくにあたり、事例に掲載されている支援制度などの主な用語について概要をご説明いたします。 ○特例子会社   障害者の雇用に特別の配慮をした子会社です。事業主は一定の要件を満たす場合には、特例としてその子会社に雇用されている労働者を親会社に雇用されているものとみなして、実雇用率を算定できます。 事業主にとってのメリットとしては、障害の特性に配慮した仕事の確保・職場環境の整備が容易となり、これにより障害者の能力を十分に引き出すことができるといったことがあげられます。 ○障害者就業・生活支援センター   障害者の就業及びこれに伴う日常生活、社会生活上の相談・支援を一体的に行う支援機関です(令和7年6月現在、全国に計 339か所設置)。 就職や職場への定着にあたって、就業面における支援とあわせて、生活面における支援を必要とする障害者に対して、身近な地域で、雇用、保健福祉、教育などの関係機関との連携を行いながら支援します。 ○障害者職業生活相談員   障害者の職業生活全般に関する相談や指導を行う担当者です。 5人以上の障害のある従業員が働いている事業所では、「障害者の雇用の促進等に関する法律」により、厚生労働省が定める資格を有する従業員のうちから障害者職業生活相談員を選任し、職業生活の相談・指導を行うよう義務付けられています(JEEDは民間企業等に対して障害者職業生活相談員資格認定講習を実施しています。)。 ○ジョブコーチ(JC)支援   知的障害者、精神障害者、発達障害者などの職場適応を容易にするため、職場にジョブコーチを派遣し、事業所、障害者双方にきめ細やかな人的支援を行う制度です。ジョブコーチには地域障害者職業センターに所属する配置型ジョブコーチと、就労支援ノウハウを有する社会福祉法人などに所属する訪問型ジョブコーチ、事業主自ら配置する企業在籍型ジョブコーチがあります。 なお、上記のほか、自治体の独自の制度として養成されたジョブコーチもあります。 ○グループホーム  知的障害者や精神障害者、認知症高齢者などが専門スタッフまたはヘルパーの支援のもと、集団で生活を行う家のことです。知的障害者や精神障害者が自立的に生活できるように組まれた生活援助事業としてのグループホームと認知症高齢者などが認知症の症状の進行を緩和させるため日常生活に近い形で集団生活をする介護サービスの2つに分けられます。 ○就労継続支援事業(A型、B型) A型: 通常の事業所に雇用されることが困難であり、雇用契約に基づく就労が可能である者に対して、雇用契約の締結等による就労の機会の提供及び生産活動の機会の提供その他の就労に必要な知識及び能力の向上のために必要な訓練その他の必要な支援を行います。 B型: 通常の事業所に雇用されることが困難であり、雇用契約に基づく就労が困難である者に対して、就労の機会の提供及び生産活動の機会の提供その他の就労に必要な知識及び能力の向上のために必要な訓練その他の必要な支援を行います。 ○障害者技能競技大会(アビリンピック)  障害のある方々が、日頃培った技能を互いに競い合うことにより、その職業能力の向上を図るとともに、企業や社会一般の人々に障害のある方々に対する理解と認識を深めてもらい、その雇用の促進を図ることを目的として JEEDが開催しているものです。 ○安全衛生委員会  労働災害の防止対策や労働者の健康維持について、労使が一体となって調査審議を行う組織です。 労働安全衛生法に基づき、一定の基準に該当する事業場では安全委員会、衛生委員会(または両委員会を統合した安全衛生委員会)を設置しなければならないこととなっています。安全委員会や衛生委員会において、労働者の危険または健康障害を防止するための基本となるべき対策(労働災害の原因及び再発防止対策等)などの重要事項について、労働者の意見を反映させるよう十分な調査審議を行う必要があります。 ○メンター制度  豊富な知識と職業経験を有した社内の先輩社員(メンター)が、後輩社員(メンティ)に対して行う個別支援活動です。キャリア形成上の課題解決を援助して個人の成長を支えるとともに、職場内での悩みや問題解決をサポートする役割を果たします。 ○PDCAサイクル  「Plan(計画)→ Do(実行)→ Check(評価)→ Action(改善)」という一連のプロセスを繰り返し行うことで、業務などの改善や効率化を図る考え方の一つです。 ○DEI  「Diversity(多様性)」「Equity(公平性)」「Inclusion(包括性)」の略語です。 企業の競争力強化の視点で考えたとき、「Diversity(多様性)」とは、性別、年齢、人種などの属性や価値観、キャリア、働き方の意向などを限定せず、経営戦略の実現に必要と考えられる多様な人材によって組織を構成することです。 「Equity(公平性)」とは、一人ひとりが違うスタートラインに立っているという前提のもと、多様な人材が能力を十分発揮できるよう、制度や業務プロセスなどで阻害される要因があればそれを是正し、適切な機会を提供して支援することです。 「Inclusion(包括性)」とは、一人ひとりが、組織に帰属感を持ち、本人ならではの強みを十分に発揮して組織に貢献できていると実感している状態をつくることです。 多様な人材が組織に所属しているだけではなく、「Equity(公平性)」と 「Inclusion(包括性)」の対応を行ってはじめて、「Diversity(多様性)」を活かすことができるという観点が重要です。 ○DX  「Digital Transformation(デジタルトランスフォーメーション)」の略語です。 直訳すると「デジタル変革」となりますが、「デジタル技術で人々の生活をより良いものに変革する」という意味になります。 なお、英語圏では「Trans」を「X」と書く習慣があることから「DT」ではなく「DX」と表記されます。 ○ナチュラルサポート  障害のある人が働いている職場の一般従業員(上司や同僚など)が、職場内において(通勤は含む)、障害のある人が働き続けるために必要なさまざまな援助を、自然もしくは計画的に提供することです。 ○エルゴノミクス  人間工学とも呼ばれ、働きやすい職場や生活しやすい環境を実現し、安全で使いやすい道具や機械をつくることに役立つ実践的な科学技術です。 〈各事業所の取組〉 [障害者の加齢に対する配慮・工夫を行った取組] --------------------------------------------------------------------- 1.障害や加齢に伴う筋力の低下に対応した作業環境や勤務体制等の改善、配慮により、課内の団結を強め、本人の就労意欲向上につながった取組 視覚障害 ◆事業所の概要、取組の背景と課題 荒川工業株式会社は様々な車種の部品を生産する自動車部品加工や水道関連機器製造等の事業を行っている。 Mさん(勤続年数35年、54歳)は、7年前に網膜色素変性症を発症。視力が0.02まで低下し、視野の中心部分が欠けて(イメージ図)、暗いところで物が見えにくくなったり、色を認識する力が弱くなったりする症状が発現した。同疾病は進行性の指定難病で、現在もゆっくりであるものの、症状が進行している。 もともとは設備課にて、新規立ち上げラインに使用する設備製作や設備修理など、図面確認を伴う細かな作業をしていたが、視覚障害となり同じ作業はできなくなってしまった。同社としては、Mさんに働き続けて欲しいと考え、同課の改善チームに配置転換を行い、現場で使用する台車や部品棚等の製作といった、ミリ単位での加工を必要としない業務に切り替えることで長年の経験と勘を活かしてもらうこととした。また、図面を見ながらの細かな作業は白黒反転に設定した拡大読書器を活用することとした。 しかしながら、それでも障害に起因する様々な問題点が見られた。例えば、部品棚からネジなどの部品を取る作業では部品棚の表示が小さく文字が見えづらいことから、部品を取るまでに時間がかかり、作業効率が悪かった。 さらに、加齢による筋力低下等も見られており、重量物の運搬等身体に過重な負荷がかかる作業において、労働災害の予防的取組の必要性も生じていた。 こうした状態を心配した同課の課員を中心に、Mさんの作業がスムーズに進むよう、作業環境や勤務体制等の改善をしていくこととなった。 (イメージ図)Mさんの視野 拡大読書器を活用している様子 ◆取組  〇作業環境や作業内容への配慮 <視覚障害に対する作業環境の改善> 1 部品ケース及び部品棚の改善 (改善前) ・部品棚には部品が入った段ボール箱が積み重なって保管されており、取り出しにくかった。また、段ボール箱に貼付されているラベルには部品に関する情報が多く記載されており、文字が小さく読み取りづらかった。 (改善後) ・Mさんは障害の影響により色を認識する力が弱くなっており、特にオレンジと赤は見えづらいことから、部品棚の表示は見やすい白地に黒文字で作成することとした(色覚障害への対策)。 ・長年の経験により使用する部品については全て把握しているため、詳細な情報を削除して大きな文字の端的な表示とし、Mさん一人でも確認できるようにした(視野・視力障害への対策)。 ・部品を段ボール箱から蓋のないトレー状のケースに移し、部品を取り出しやすくした(工程削減の対策)。 改善前の部品棚 改善後の部品棚 2 LED蛍光灯の設置 (改善前) ・作業場所によっては、ペンキ塗り作業や組立作業時に手元が照明の影になり、見えにくい状況があった。 (改善後) ・明るい環境で作業ができるよう可動式の LED蛍光灯を設置し、作業に応じて照明の位置を細かく調整できるようにした(暗くなると見えにくくなることへの対策)。 可動式の LED蛍光灯を設置した様子 <筋力低下に対する作業内容の改善> (改善前) ・ラインの新規立ち上げ時には現場まで重量物を運搬する際などに、10s程度の重量物はリフトを使用せずに、自ら持ち上げて運搬することが多かった。二人で運ぶこともあったが、年齢を重ねるごとに腰への負担が高まっていた。 (改善後) ・10s以上の重量物の運搬など身体に過重な負荷がかかる業務は他者に手伝ってもらい、身体的な業務負担の軽減を図った。 〇勤務体制への配慮 <周囲のナチュラルサポート> 同社では、これまで障害者雇用に際して、支援機関と連携し、ジョブコーチ支援等を利用しているが、Mさんは受障以前から勤務していたこともあり、専門的支援は求めず、課のメンバー自らがMさんの困っている状況に気づき、協力して支えてきた。前述の部品棚の改善等はMさんからの依頼ではなく、課員の自発的な配慮(ナチュラルサポート)でなされたものである。 また、受障以前は1人で行っていた大型組み立て作業は、ネジ穴が見にくいため、うまく取り付けられず、姿勢が不安定となり落下や転倒などの危険があったことから、一部の社員からは安全な作業のみに従事させる方が良いとの声があったが、Mさんにこれまでの経験を活かして、仕事をしてもらいたいとの周囲の思いもあり、課内で安全を確保するサポートをしようとの機運が高まり、組み立て時には、課員がネジ穴の場所を教えるなどすることで危険を避けることが可能となった。 <勤務時間の変更> 受障以前は夜勤もあったが、現在は昼勤のみとし、定時勤務(8〜17時)で帰宅できるようにしている。現在は単独で電車を利用し、帰宅することもできるが、可能な日は退社時間が同じ課員がMさんに声掛けし、最寄りの駅や自宅まで送るようにしている。 ◆取組の効果 <作業面の効果> 1 作業効率の向上 部品棚の改善により、部品が特定しやすく、また取り出しやすくなったこともあり、部品の取り出し作業にかかる1回あたりの時間が10〜15分短縮した。この部品の取り出し作業は1日に10回以上あることから、全体で150分程度の作業時間の短縮となり、その結果、現場から依頼のあった製作物を早く提供でき、依頼に即対応できるようになった。 2 身体負荷の軽減 作業内容の改善により、現在は、加齢に伴う筋力低下による過度な疲労や怪我等もなく、安全に業務に従事している。 <社内の団結意識の醸成> 作業環境の改善はMさんにとって安心して働きやすい職場となる要因となっているが、それらは障害者の業務だけを特別扱いするものではなく、同社の通常業務の改善にもなっている。つまり、Mさんが働きやすい職場は他の課員にとっても働きやすい環境につながっているといえる。 こうしたことから、Mさんの存在は、結果として課内のチームワークをより良くし、課員同士の団結を強めることに寄与している。 後述の「社員の声」にもあるように、受障時は仕事への不安や障害者であることを認めたくないとの思いから、自暴自棄になってしまったこともあった。しかし、課員をはじめ同社を上げて職場環境を改善し、温かいサポートが得られている現在は、「課員メンバーの皆さんに感謝の思いでいっぱい。仕事を続けられるのは、皆さんのおかげ。」と笑顔で話している。Mさんが障害を受け入れて、仕事に前向きに取り組めていることが、取組後の大きな効果であると考えられる。 ◆担当者の声 (職場の上司 グループ長 K様) Mさんは視覚障害になる前から同じ職場で仕事をしてきた仲間なので、障害者としては接していません。普通に接していますが、Mさんに配慮を持って接することは大切と考えています。 部品棚を使いやすくすることや、照度を上げて作業環境を改善することは課員が自然に行っていることで指示したわけではありません。 健常者でも得意・不得意があるように、障害になったところが不得意になってしまったと考え、Mさんができる仕事を担当してもらい、得意な作業で職場に貢献してもらっています。 また、今回の取材で初めて分かったのですが、自暴自棄になっていた精神状態から自分とのエピソードがきっかけで、前向きに考えるまでになったと聞いて、とても嬉しく思っています。 ◆社員の声 (M様) 私の障害は先天性ではなく、数年前に発症しました。障害となり1年は精神的に落ち込み、他人がやれることが自分にはできないという、やりきれない思いでした。また孤独感も感じていました。その時、そんな自分を本気で叱咤激励してくれた上司の言葉が嬉しく、立ち直るきっかけとなりました。課員の皆さんが自分にできる仕事を回してくれているおかげで、自分にもできることがあり、役に立っていると思えるようになりました。健常者の頃は気づかなかった人の親切や、部品を触って形で部番を覚えられる能力が以前より上っていることなど障害がマイナスな側面だけではないことに目を向けられるようになりました。 周りの人達のサポートがありがたいです。今後も職場に貢献できるよう取り組みます。 [障害者の加齢に対する配慮・工夫を行った取組] --------------------------------------------------------------------- 2. 体カ・能力等の変化に対する作業工夫、業務創出及び加齢による能力変化のモニタリングを行った取組 すべての障害 ◆事業所の概要、取組の背景 エプソンミズベ株式会社は特例子会社であり、身体障害者を中心に15名で部品組立作業からスタートし、その後、印刷業務、清掃業務等へ事業を拡大した。現在、請け負っている業務内容はオフィスサポート、デジタル業務自動化、DTP、インクカートリッジ類の仕分け、生産用部品の再生など25種類以上にわたる。障害のある社員は160名在籍し、障害種別の内訳は知的障害者109名、身体障害者28名、精神障害者23名である。 昭和58年の創業から40年以上経過する中で、社員の平均年齢は徐々に高まり、同社では加齢に伴う影響による新たな就労への配慮や工夫が必要になってきた。 また、同社は「信頼できる仲間と、安心して、楽しく、いつまでも働くことができる」を経営理念に掲げ、社員本人の働く意欲を応援しているが、この経営理念を実現するためには就労環境の整備が必要であると考え、従業員が置かれている状況に応じて様々な取組を進めている。一方で、能力や体力の変化やスピードは個人によって異なるため、唯一の正解となる有効な打開策があるわけではなく、試行錯誤しながら社員それぞれに適した対策を講じている。 ◆課題と取組  1.能力変化に配慮した作業の工夫(荷物固定作業のエルゴノミクス(人間工学)改善事例) 【課題】 110cm四方のパレットに荷物を載せて運ぶ際に、荷崩れ防止のためのストレッチフィルム(ポリエチレン製の透明なフィルムで、大きなラップのような伸縮性のある梱包材の一種)を床から高さ約150cmまで巻く作業をしている。1日あたり6〜8枚のパレットを巻くが、固定強度を高めるために下側は多めにフィルムを巻きつける必要がある。腰を屈めた状態でフィルムを何周も巻き付ける作業姿勢の影響で、従業員から腰痛を訴える声が上がっていた。 腰を屈めた状態でパレットの下側にストレッチフィルムを巻き付ける様子 腰を屈めた状態で何周もストレッチフィルムを巻き付ける様子 【取組:治具の製作】 当初、ストレッチフィルムの代替品として固定ネットの活用を試したが、荷崩れが発生した。改めてストレッチフィルムの巻き方を検討する中で、グループ会社でも同様の課題を抱えていると知り、連携して対策を検討した。 その結果、エルゴノミクスを考慮した治具の導入に至った。治具の大きさは180cm程で、伸縮可能なパイプで製作されている。また、比較的安価に製作でき、メンテナンスも年に1度消耗品を交換するのみであるため、治具を管理するための職場負担も少ない。 伸縮可能なパイプで製作されたエルゴノミクスを考慮した治具 2.体力変化と判断力の変化に伴う新たな業務の創出 【課題】 同社の主力業務である清掃でも体力や判断力の変化による以下の課題が見られるようになった。 ・体力の変化 清掃作業は1日あたり約20,000歩を歩くため、体力が必須である。加齢に伴う体力変化により、定められた時間内に清掃を終えることが難しい社員が出てきた。 ・判断力の変化 清掃のやり方は様々なパターンがあるが、場所(トイレ、廊下、会議室、階段等)ごとの汚れ具合や仕上がり具合に応じて、社員は適切な清掃方法を限られた時間の中で判断する必要があり、迅速かつ的確な判断力が求められるが、臨機応変な対応が求められる場面も多く、それを負担に感じる社員も出てきた。 【取組:軽作業の創出】 体力と判断力の変化に対応するため、以下2つの軽作業を創出した。 ・洗濯業務 グループで働く社員の作業着を洗濯する業務で、回収から梱包・発送までを担っている。作業部屋には数台の洗濯機が設置されており、洗濯後は同室の乾燥エリアで乾燥させる流れである。これら一連の作業は短い導線のため、体力的に少ない負荷で業務に従事できる。   作業部屋に設置されている洗濯機で洗濯する様子 作業部屋の乾燥エリアで乾燥している様子 乾燥が終わった作業着をたたむ様子 ・折りたたみコンテナの清掃業務 コンテナ清掃は、定められた作業スペースの中でコンテナに貼られているシールを剥がして再利用できるようにする作業である。要求品質が明確で、曖昧な要素が少ないことから、判断に迷うことなく業務を遂行できる。 コンテナに清掃用の液体を吹きかけている様子 コンテナに貼られているシールを工具で剥がす様子 コンテナをタオルで拭き上げる様子 3.能力把握方法の確立に向けて 【課題】 加齢の影響による体力や能力の変化によって、従事している業務の遂行が難しくなってきた社員が年々増えてきた。一方で、同社が掲げている「長く働き続ける」という理念の実現には、能力の変化を早期に察知し、仕事や作業の工夫に加え、能力維持に向けた対策を講じる必要がある。しかし、同社には能力を把握するための体系立った方法が整備されていなかった。 【取組:経時的に能力変化を把握する方法の検討】 能力変化をモニタリングする方法について、社内で様々な検討をした。当初は、市販の検査・測定ツールや同社オリジナルテストの活用を検討したが、測定項目の不足や信憑性に懸念があり、導入を断念した。その後、入社の段階で実施している「厚生労働省編一般職業適性検査」を能力把握ツールとしても活用することを検討し、導入に至った。「厚生労働省編一般職業適性検査」は認知・知覚・運動に関する能力を測定する検査であり、同社が把握したい体力、能力の定量的かつ客観的な測定に適した方法であった。 ◆取組の効果 1.能力変化に配慮した作業の工夫(荷物固定作業のエルゴノミクス改善事例) ・腰痛軽減 ストレッチフィルムをセッティングする時以外は直立で作業することが可能となり、腰への負担が減った。 「作業姿勢が楽になった」「腰痛が無くなった」との声もあり、治具の導入によって快適に作業できるようになった。 ・業務品質の向上 治具の使用によって巻き方の品質が一定化され、荷崩れがゼロとなった。作業効率の向上を含め、十分な費用対効果が得られた。 荷物固定作業において、直立でストレッチフィルムを巻く様子 2.体力変化と判断力の変化に伴う新たな業務の創出 ・体力面における効果 洗濯業務と折りたたみコンテナの清掃業務はどちらも場所が固定されているため、もともと従事していた清掃と比較して歩く距離が短く、体力に自信がない社員でも従事できるようになった。 ・判断力における効果 求められる仕上がり品質が一定のため、判断基準が明確で作業が分かりやすくなった。曖昧な判断を委ねられる場面が減り、従業員の心理的負荷が軽減され、安定的に能力を発揮して業務遂行できる環境づくりができた。 3.能力把握方法の確立に向けて 同社は令和6年下期から「厚生労働省編一般職業適性検査」を用いて、順次対応を開始しており、フレイル(加齢による心身の能力変化)予防に関する学術的な研究結果に基づき、40歳以降は毎年モニタリングを実施し、加齢に伴う能力変化の早期発見及び対応につなげていく考えである。 一部の社員から開始しており、現時点ではモニタリングを実施した対象者に対して、個別にフィードバックしている。 また、今後は把握した能力に応じて、業務を工夫しながら社員の成長・能力維持に向けて対策を講じていく予定である。 ◆担当者の声 (諏訪事業部 課長 宮坂様) 障がいのある社員が「長く働き続けるためにはどうすべきか?」を常に考え、作業負担の低減や作業配置を工夫するようにしています。今後もどんなことが苦手なのか、どんなことに困っているのかを可視化することで、適切な支援行動に役立てていきたいと考えています。 ◆社員の声 (諏訪事業部 牛山様) 清掃作業では、離れたところにある建屋まで移動する必要があるので、歩く距離が長いです。また、午後は曜日ごとに違うスケジュールで動くので、大変だと思います。清掃も洗濯も、汚れが落ちてきれいになることにやりがいを感じています。洗濯業務がスケジュールに入ると、体力的に少し楽になっています。 [障害者の加齢に対する配慮・工夫を行った取組] --------------------------------------------------------------------- 3.仕事をスキル別に分類し、個人スキルと適正にマッチングすることにより加齢に伴うスキルダウンに対応した取組 知的障害 ◆事業所の概要、取組の背景と課題 株式会社オープンアップウィズは特例子会社であり、231人(令和6年4月1日時点)の障がい者スタッフのうち、知的障がい者スタッフが全体の56%を占める。また、知的障がい者スタッフは平均勤続年数が23年と長く、多くの研究報告においてスキルダウンが現れるといわれている40歳以上の割合が48%となっている。 このような状況において、同社では知的障がい者スタッフの加齢に伴う@業務ストレスによる就労意欲の減退、A注意力の散漫・手順の忘却等を原因として作業時間が増加し、漸次生産性が逓減していた。 特にステーショナリー事業においては、知的障がい者スタッフのスキルダウンが顕著に見られた。本事業では、不要紙をリサイクルし、エコ循環作業(分別・シュレッダー・紙漉き)によってできる再生紙を用いて、グループ会社で使用するカレンダー、販促品、その他様々なステーショナリー製品を手作りで製作しており、今後も需要の増加が見込まれるものである。一方、2026年には、本事業に所属する45歳以上の知的障がい者スタッフの数は2024年と比べて横ばい、50歳以上の知的障がい者スタッフは1.4倍の増加が見込まれ、本事業における高年齢化に伴う課題の深刻化が想定される。 このような中で、効果的に産出の絶対量を増加させるために、知的障がい者スタッフへの対応を喫緊の課題として、業務改善に取り組むこととした。 知的障がい者スタッフの年齢構成 ステーショナリー事業の知的障がい者スタッフの年齢構成別推移(青:男性、赤:女性) ◆取組 1.ステーショナリー事業の仕事を必要スキル別に分類 (1)ステーショナリー事業では、これまで原材料の回収から製品の出荷までを一連の作業として、業務の繁忙に合わせて、知的障がい者スタッフを各工程に配置し、出荷量で全体としてのスキルを把握してきたことから、個人としてのスキル把握はしておらず、適正配置の課題が挙げられていた。これに対する改善策として、まず、ステーショナリー事業の仕事フローを作業の特性や求められる能力等の視点から整理し、4つの仕事ユニット(「紙の加工作業ユニット」、「紙漉き業務ユニット」、「軽作業 内職業務ユニット」、「仕分け・シュレッダーユニット」)に分類した。そのうえで、仕事ユニットごとに「基礎スキル(視力、知的能力、体力)」と「繊細(より緻密な作業)・タフ(体を動かすこと)」の2軸に基づいてスキルレベルを分類し、必要とされるスキル幅を設定することで、仕事ユニットごとの仕事量を把握することとした。 この結果、「紙の加工作業ユニット」と「紙漉き業務ユニット」のスキルレベルはほぼ同等であり、「仕分け・シュレッダーユニット」が最も基本的なスキルで業務可能であることが分かった。 ステーショナリー事業における4つの仕事ユニット分類とスキルレベル分類 (2)さらに、上記(1)で分類した「仕分け・シュレッダーユニット」について、再度、作業の特性や求められる能力等の視点から整理し直し、4つの作業(「取り外し作業」、「分別」、「カット作業」、「シュレダー機にかける」)に細分化し、加齢に伴うスキルダウンに、より細かく対応できることを目指した。縦軸を「視力、指先の感触、手ざわり」、横軸を「正確な動作(手を動かすこと)・視力(弱視も可)、判断能力」としてスキルレベルをプロットした。 この結果、「取り外し作業」と「カット作業」はほぼ同等のスキルレベルであり、また、「分別」と「シュレッダー機にかける」作業もほぼ同等のスキルレベルであった。 仕分け・シュレッダーユニットの細分化とスキルレベル分類 2.個人スキルの適正把握及びマルチタスク化の促進 (1)健康状態や身体機能等は高齢になるほど個人差が拡大するとされており、個人のスキル把握では、継続的かつ客観的な確認が不可欠である。このため、毎月1回、全スタッフを対象に実施している同社のカウンセラーとの定期面談において、従事している業務内容や遂行状況等について本人及び指導員双方に聞き取りを行う相互確認を導入し、健康状態や身体機能等に関する最新の個人スキルの把握に努めている。同社だけで対応が難しいケースでは、支援機関が実施している定着面談を起点に連携をとり、面談内容を共有し、個人スキルの適正な把握に努めている。 (2)上記(1)で把握した個人スキルを踏まえて、数度の配置換えを経験させ、一人で複数の業務ができるようになるマルチタスク化も目指している。マルチタスク化を図ることにより、ひとつの業務だけではなく、様々な業務ができるという自信もつくことで、生産力の維持・向上のための取組もスムーズに進められる。 3.仕事の必要スキルと個人スキルの適正マッチング 上記1、2の取組を導入後、スタッフの配置換えを行い、一定期間適性を確認した後、他の業務の適性も見ながら、3年間で知的障がい者スタッフ6名の配置転換を行った。概要は以下のとおり。 (1)「紙の加工作業ユニット」から「紙漉き業務ユニット」に配置転換 スキルダウンが現れた年齢 現れた現象 Aさん 47歳 ・手先の動きが鈍くなる (2)「軽作業 内職業務」から「仕分け・シュレッダー」に配置転換 スキルダウンが現れた年齢 現れた現象 Bさん 47歳 ・作業スピードが極端に遅くなる ・単純ミスが多くなる Cさん 51歳 ・作業手順を忘れることが多くなる Dさん 50歳 ・作業手順を忘れることが多くなる ・視力の低下で移動の際に製品を床に落とすことが何度もある Eさん 48歳 ・作業手順を忘れて、ぼーっとしている時間が長くなる ・仕事のスピードが遅くなる Fさん 40歳 ・数え間違いが多くなる ・作業手順を忘れることが多くなる 知的障がい者スタッフ6名の配置転換のイメージ図 [事例] 当時50歳のDさんは加齢の影響で視力が低下していたため、作業場で人とぶつかったり、製品を何度も床に落としてしまうことがあり、検品でもミスが増えていた。定期面談で、座り仕事である分別やシュレッダー作業への配置換えを提案したところ、当初、Dさんはやり慣れた軽作業の仕事を続けることを希望していた。そこで、Dさんとの面談を重ねながら、現作業における職務遂行の客観的な状況を伝え、業務上の負荷を軽減するので無理なく働き続けてほしいこと、経験のある分別作業で力を発揮してもらいたいことといった会社の期待を丁寧に説明し、理解を得られるようにした。また、再配属先においても自信を持ってもらえるよう、ポジティブなフィードバックをしながら話をしたことで、Dさんは今後の働き方のイメージを鮮明に持つことができ、配置換えを前向きに受け入れることができた。 ◆取組の効果 1.従業員のストレス解消・安心安全の確保 Dさんは、「座って作業をすることで他の人とぶつからず、また紙の取り扱いだけなので、落としてしまっても問題はなく、安心して作業に取り組むことができる」と配置換え後の面談で話されている。このように安全な環境が整えられ、業務上のストレスが解消されたことが、Dさんの安心につながったと考えられる。現在は、シュレッダーの最後の工程である紙を機械に入れる業務に従事し、指導員からは以前の業務よりも自主性が発揮され、積極的に取り組む姿勢への変化が見られていると評価されており、配置換えはDさんのモチベーションの向上にもつながった。 2.生産量の増加 (1)紙のシュレッダー量の増加  (令和3年)3.8t/年 → (令和6年)7.3t/年  ⇒加工前原材料 192%増加 (2)製品出荷量の増加  (令和3年)4,000部/年 → (令和6年)8,000部/年  ⇒製品の出荷量 200%増産 (3)古紙(機密情報)回収社数の拡大 (令和3年)2社/年 → (令和6年)14社/年  ⇒古紙(機密情報)回収対象会社拡大7倍 回収対象会社の拡大により各社が負担していた古紙の分別作業時間の削減 3.原材料の選別の細分化と製品の質の向上 (1)古紙(機密情報)の分別の細分化 (令和3年)分別2工程 → (令和6年)分別4工程 ⇒ 分別作業の細分化により原材料を厳選できるようになり、製品の質が向上   ◆担当者の声 (ユニット長 佐々木様) 今回の加齢に伴うスキルダウンによる配置換えがスムーズに行われたのは、定期的に通常業務の配置換えを行っていたことが大きな要因です。作業環境が変わることは本人にとってストレスや不安が強く現れる場合がありますが、これは配置換えの経験の有無で大きな差が生じると考えます。当社ではひとつの業務に固執せずに、様々な業務を遂行できるほうが良いことを丁寧に説明しています。加齢に伴いスキルの低下がみられた場合はそのことを本人が自覚し、納得した形で業務ができるよう意識して話を進めています。そして、自信を常に持たせるようにしたことで、最初はためらっていた方の配置換えも、スムーズに進めることができています。 数年後にはさらに45歳以上の障がい者スタッフの人数の増加が見込まれるので、引き続き仕事の細分化と本人のスキル把握、面談の継続、仕事とのマッチングを丁寧に行っていきたいと思います。 [障害者の加齢に対する配慮・工夫を行った取組] --------------------------------------------------------------------- 4.加齢による変化に対応した機器の導入や高齢社員の活用及び生活支援と連携した長期の職場定着を図った取組 すべての障害 ◆事業所の概要 株式会社新陽ランドリー(宮城県仙台市)は昭和29年の創業で、病院や工場、宿泊施設などの寝具、ユニフォームのクリーニング及びリースを手がけている。障害者雇用については、昭和54年に特別支援学校の卒業生の採用を契機に継続的に取り組んでおり、令和6年3月時点での社員数は46名、うち障害のある社員は27名(聴覚障害者2名、肢体不自由者1名、知的障害者22名、精神障害者2名)である。 同社では、「社員は家族」と考えており、障害のある社員を正社員で雇用し、定年までの雇用に向けた様々な取組を行ってきたことから、長年勤務する社員が多い。また、長年勤務する社員が多いからこそ、加齢による心身機能の低下や、家庭環境の変化に応じた対応が必要となるが、そうした面でも様々な取組が行われてきた。 本ケースブックでは、同社の様々な取組の中から、5つの取組(@雇用と生活両面での支援、A心身機能の低下を補う設備などの導入、B高齢社員の活用、C長期の職場定着を図るための相談体制の整備、D健康管理・増進活動、スポーツ活動の推進)について、取組の背景と課題、取組の概況と効果、担当者(経営者)・当事者の声を紹介する。 <取組1> 雇用と生活両面での支援 ◆取組の背景と課題 同社が障害者雇用に取り組み始めてから40年以上が経過し、障害のある社員27名のうち、14名が40歳以上となっている。同社の定年は60歳であるが、すでに定年に達した社員、定年を迎えようとする社員も少なくない。社員の中には、加齢による心身機能の低下や、生活能力の低下が生ずる場合もある。また、社員の家族(親など)の高齢化により、家族による生活面での支援に困難が生ずる場合もある。 そうした状況への対応として、雇用と生活の両面での支援拡充が必要であり、そのための体制の整備が必要と考えた。 ◆取組  @関連会社の設立と生活支援体制の組織化 同社では、障害のある社員を社長の自宅に近い社員寮に受け入れて、社長が生活面での支援を長年行ってきた。そうした社員への支援体制を組織として行えるようにするため、平成23年に社長が中心となり、関連会社を同社の隣接地に設立し、社員寮をグループホームとして、組織的に支援・運営ができる体制づくりを行った。そして、複数あった社員寮を順々にグループホームへ移行していった。 現在、関連会社では7棟のグループホームを運営しており、27名の障害のある社員のうち13名がグループホームを利用している。 もともと社員寮は、児童養護施設の出身者や自宅が遠方の方が利用者であったが、グループホームは家族などの支援者がいなかったり、家族の高齢化などにより自宅で暮らすことが困難になった社員なども利用している。 また、関連会社はクリーニング業を作業内容とする就労継続支援B型事業所も運営している。 A定年後の多様な就労継続の取組 取組の背景と課題で述べたとおり、障害者雇用の取組が40年以上となることから、定年を迎える障害のある社員が徐々に出てきている。令和3年には1名、令和4年には1名が定年を迎えた。同社では定年後も本人の就労希望があれば、就労の機会を提供している。先の2名のうち、1名は再雇用で定年前と同じ工場に勤務している。もう1名は、体力の低下などを踏まえ、B型事業所で福祉的就労をしている。 定年後も規則正しく通う場所があり、自身の状況に合わせて働く場所があることは、張りのある生活を保ち、能力低下の防止になっていると同社では考えている。 ◆取組の効果 @家族のもとで暮らせなかったり、単身での生活が困難な社員も、グループホームを利用することで、必要な支援を受けながら同社での勤務が継続できている。また、現在、グループホームを利用していない社員についても、必要があればグループホームを利用して働き続けられるという「安心して長く働ける職場」であることが理解され、安定就労につながっている。 A多様な就労継続に向けて 先に紹介したように、定年を迎えた2名についても、本人の希望や心身の状況などに応じて就労継続につなげることができている。1名は同社、1名はB型事業所での就労であるが、両名とも長年携わってきたクリーニング作業に、自信を持ち、意欲的に取り組んでいる。 また、同社では定年前であっても、障害のある社員の希望、加齢や障害状況の変化などに応じて、B型事業所の利用につなげることを行っている。同社の就労現場より、B型事業所で手厚い支援を受けながら自分のペースに合わせた作業をしたいなどの希望や相談があった際には、B型事業所と連携して対応しているが、B型事業所に移行した方は現在までに20名ほどである。移行した方の作業は、それまで携わっていたクリーニング作業であり、周囲に慣れ親しんだ仲間が多くいるため、大きな環境の変化がなく、ストレスを感じることなく速やかに移行ができ、健康的でやりがいのある職業生活が送れている。 @、Aの取組の結果、同社の離職者は少ない。過去10年間の短期(在職3年未満)離職者は0名で、在職10年未満での離職者も2名となっている。現在の障害のある社員の平均勤続年数は17.6年であり、20年以上働いている社員(12名)が全体の44%を占めている。 <取組2> 心身機能の低下を補う設備などの導入 ◆取組の背景と課題 障害のある社員27名のうち、14名が40歳以上であり、加齢による心身機能(体力、筋力、視力、注意力など)の低下への対応が求められたことから、新しい設備やシステムの導入などの改善に取り組んできた。そのうちの主な取組を次に紹介する。 ◆取組 @洗剤の自動計量・投入システムの導入 業務用洗濯機に品物ごとに必要な工程を自動プログラムとして組み込み、品物に応じたプログラムを選んでスイッチを1回押すだけで、洗剤の自動計量・投入をはじめとする、全ての洗濯工程が完了するシステムを導入した。このシスシテムの導入により、品物による洗剤の種類や投入量、投入回数の違いなどの複雑な注意や判断が不要となった。 洗剤の自動計量・投入システム AユニフォームICチップ管理システムの導入 リースのユニフォームにICチップを取り付け、集荷時と納品時にセンサーで読み込み、集荷・納品日、得意先、数量などを管理するシステムを導入した。このシステムの導入により、これまで目視で行っていた数量チェックや仕分けなどの細かな作業をシステムが補うことで負担が少なくなり、より正確に作業ができるようになった。 ユニフォームICチップ管理システム    Bシーツ投入機とビデオメジャーの導入 シーツ投入機は、アイロナー(洗濯後のリネン品をアイロンに通すことで大量の洗いジワを短時間で伸ばす機器)にシーツを自動的に投入する機器である。シーツ投入機導入前は、2〜4名が組になり、シーツの形状を確認しながら手作業でアイロナーに投入しており、技術と身体動作が必要であった。投入機の導入により、縦横を確認し、両端をクリップに挟むだけで大きさの違うシーツもアイロナーに正確に投入されるようになり、作業の簡素化と身体的負担の軽減につながった。 また、ビデオメジャーはカメラにより、シーツのしみや破れのチェックを自動的に行う機器で、この導入により視力低下や不注意によるチェックミスが減少した。 シーツ投入機 ビデオメジャー Cトンネルフィニッシャー仕上げ向けユニフォームへの切り替え リース品のユニフォームをトンネルフィニッシャーで仕上げるタイプに切り替え、従来のアイロンプレス作業を減らした。新しいユニフォームはハンガーにかけ、トンネルフィニッシャーに通すだけで仕上がるため、細かい技術が不要となることから失敗が少なく、身体負荷の軽減にもつながった。そして、切り替え後は、かがまずに立位で作業ができるため、腰痛の軽減や防止になるなど、安全・安心な職場づくりにもつながった。 ユニフォームのトンネルフィニッシャー仕上げ ◆取組の効果 紹介したように設備やシステムなどの改善は、作業の簡素化、注意力や判断力の補完、身体的負担の軽減などにつながり、加齢への効果的な取組となった。また、加齢だけでなく、社員全体の働きやすさや、腰痛防止などの安全衛生面での向上にもつながっている。 同社では今後もクリーニング業務の全工程において社員が働きやすくなるための改善などを行っていくこととしている。 <取組3> 高齢社員の活用(指導的立場への登用) ◆取組の背景と課題 高齢社員の活躍、能力発揮はどの企業にとっても重要課題である。同社でも障害のある高齢社員の活躍に取り組んでいる。 なお、「高齢」とは65歳以上の方を指すことが多いが、ここでは50歳代以上の方も含めている。 ◆取組 定年後に再雇用した障害のある社員を、入社3年目の社員への指導担当に登用し、技術を必要とする白衣のアイロンプレス作業の指導を担当させている。長年の経験を踏まえた指導により、作業準備から作業手順、細かい作業上の留意点などの継承につながっている。 また、ある50代の社員を、同社工場に来ているB型事業所からの施設外就労の利用者に対する指導担当者として選任し、作業工程や作業内容の確認・助言などを担当させている。 ◆取組の効果 高齢社員が、自分の作業で精一杯という立場から、長年の経験を活かして、「教えたり、成果などを確認する」後輩の指導役という立場に変わることで、責任感と技術への自信が生まれ、仕事を続けるモチベーションにつながっている。また、障害のある社員間での知識・技能などの継承や職業人としての育成にもつながっている。 <取組4> 長期の職場定着を図るための相談体制の整備 〜業務と生活面の連携による実施〜 ◆取組の背景と課題 障害のある社員の長期の職場定着を図るためには、まず社内の相談・支援体制の整備が必要であり、その基盤として、相談・支援の担当者の配置・育成が重要と同社では考えている。 また、長期の職業生活においては様々な状況の変化や課題に直面することもある。そうした場合に雇用事業所の雇用管理だけで対応するのは困難なこともあり、生活支援と連携した対応が必要である。 このため、同社では、社内の相談・支援担当者の配置・育成及び雇用管理と生活支援が連携した相談体制の整備に取り組むこととした。 ◆取組 @雇用管理における相談・支援担当者の人材育成及び資格取得の推進 担当者の専門的知識の向上と適切な相談及び指導のために、外部機関が行う研修の受講や資格取得を推進している。現在、企業在籍型ジョブコーチ2名、障害者職業生活相談員6名がおり、障害のある社員の職場定着に向け活動している。 A雇用管理と生活支援が連携した相談及び支援の実施 グループホームを利用している社員については、同社の相談担当者と関連会社の相談担当者が連携して対応している。 新陽ランドリー相談担当者 情報共有 関連会社(グループホーム)相談担当者 職場でミスがあった、いつもと様子が違う、同僚とのトラブルがあったなどの際には、同社の担当者からグループホームの支援員と情報共有し、相談、サポートを行ったり、グループホームから体調面での連絡があれば、同社の担当者が仕事中の様子に留意するなど、双方の相談担当者が協力して対応している。 グループホーム利用者でない社員についても、必要に応じて連携している。自宅(家族同居)から通勤していたが、事情により自宅から通うことが難しくなったケースでは、会社の担当者は関連会社のサービス管理責任者と相談し、グループホームの利用につなげ、就労を継続した。 同社だけで解決できない課題などがあっても、関連会社と連携することで解決を図り、長期の職場定着につなげている。 ◆取組の効果 社内の相談・支援担当者が研修などにより専門的知識や資格を有しているため、社員個々の障害特性や状況に応じた相談及び支援が行えている。 社員の加齢や家族の高齢化により直面する健康管理や生活拠点の確保など、雇用管理面のアプローチだけでは難しい内容についても、関連会社の生活支援の担当者と連携することで解決につながっている。 このように業務と生活、両面のサポート体制があるため、支援の対象である社員は精神的な安定が図られ、遅刻、欠勤はほとんどなく出勤できている。 <取組5> 健康管理・増進活動、スポーツ活動の推進 ◆取組の背景 職業生活の維持には、健康管理や余暇活動などの充実、社内行事の開催なども重要である。職業生活だけでなく、社員がその人らしく、生き生きとした生活を送るためには、趣味やスポーツ活動なども重要であると同社は考えている。 そのため、同社では健康管理活動や社内行事の開催、余暇活動・スポーツ活動などに取り組んでいる。その際には、関連会社と協力体制を組んで行うものが多い。 ◆取組 @スポーツ活動への支援 〇同社取締役がコーチとなり、希望者を対象に週末や余暇時間に卓球とバスケットボールを行っている。また、大会に出場する際には、休暇を優先的に取得できるよう配慮している。 〇関連会社(グループホーム)の支援員が指導者となり、毎週末に空手クラブを開催している。グループホーム入所者が主であるが、入所者以外の社員も参加している。 〇毎年行われる障害者スポーツ大会への参加を社として奨励している。同社の社員とB型事業所利用者がチームとなり、希望する種目(卓球、フライングディスク、陸上競技など)に参加している。 A健康管理への支援 通常の健康診断を行うほか、インフルエンザの予防接種にかかる費用を会社が補助し、社員は自己負担なしで受けられるようにしている。 グループホームに入所する社員については、定期的に訪問看護師による健康チェックを行っている。必要に応じて、グループホームの支援員が定期通院や服薬管理の支援を行い、個々の状況を同社と共有することで通院に支障がないようにシフトを組むなど、協力体制を構築している。また、グループホームで規則正しい生活や健康的な食事の管理、指導を行い、体力維持のため毎日メニューを決め、軽い筋力トレーニングを行うなど、健康管理に努めている。 B社内行事や余暇活動への支援 社内の年間行事として、夏の社員旅行やクリスマスパーティを共催している。クリスマスパーティは各社員の家族、出身校・出身施設の職員を招待し、動画で会社やグループホームでの様子を紹介している。社員は久々に先生や職員と会い、励ましを受ける機会にもなっている。 また、グループホームでは、季節ごとにバーベキューや芋煮会、ハロウィンパーティを開いたり、買物や映画館に行くなど、皆で楽しめるような行事を随時行っている。その他にも、地域のお祭りに参加し、神輿の担ぎ手になるなど、地域交流も楽しめるようにしている。 ◆取組の効果 スポーツ活動の奨励は、体力の維持や老化防止だけではなく、ストレスの発散ができるため、精神面の安定や対人関係のトラブルの減少にもつながっている。また、若年時からの定期的な運動習慣は、40代以降の体力維持につながっている。さらに、スポーツを通じて挑戦すること、目的や自信を持つことが就労意欲や新しいことへ取り組むモチベーションにもつながっており、同僚とのコミュニケーションを深める機会にもなっている。 社員の健康管理や体力の維持等については、健康状況の把握、感染症の予防などを通じて、職業生活維持につながっている。また、関連会社のグループホームと連携することは、社員の自己管理の向上につながっている。 社内行事・余暇活動についても、参加者の楽しみや就労意欲などにつながり、生き生き「働く」と「生活する」ことの両面にプラスとなっている。そして、社員間に「信頼関係」と「団結力」も形成され、職場定着につながっていると、同社は考えている。 ◆経営者の声 障害者の方の採用を始めて40年以上になります。一貫して大切にしてきたのは、「障害のある社員は家族」ということです。それは、採用した人はずっと働いてもらうということを意味します。そのために会社としてできることを色々工夫してきました。グループホーム(社員寮)やB型事業所もそのひとつです。それと同様に、社員に会社の戦力となってもらうことも重視してきました。会社として利益をあげ、事業を継続していくことは大前提です。そのために、設備・機器の改善、仕事の進め方や指導方法の工夫に取り組んできました。また、営業品目も当社の競争力・優位性が発揮できるものを選んできました。 障害者雇用に取り組む経営者の方に伝えたいのは、会社のトップが社内の担当者に「採用した人を辞めさせずに、戦力化を目指す。」と伝えることが一番大事だということです。 ◆担当者の声 (指導員A様) 指導員は当社独自の職名ですが、現在4名です。指導員の職務は、クリーニング工場(3か所)の業務管理・進捗管理などの業務と障害のある社員への指導・支援、困りごとへの相談などの業務です。日々、様々な出来事・トラブルが起き、その一つひとつに対応し、その日に処理すべき作業を終わらせるのは大変ですが、やりがいもあります。うまくいかないことがあっても、作業手順を変えたり、その人に応じた指導方法にすることで解決することができます。 障害のある方の指導や育成に携わる方には、一人ひとりの良いところを見つけ、それを大切にしながら関わっていただければと思います。その中で、「関わっていくことの楽しさ」を必ず見つけることができると思います。 ◆当事者の声 (矢萩様) この会社に就職して約40年です。これまでに配送、洗い場、たたみなど様々な仕事を担当し、現在は洗い場を担当しています。 現場の作業のほかにも、「ピアサポーター」という役割も一年ほど前から担当しています。ピアサポーターとしては、周りの社員の仕事の様子を見て助言などのサポートをしています(Aさんによると、矢萩さんには、工場業務の管理的業務とピアサポーターを担ってもらっているとのこと)。 これから働こうという人には、挑戦することが大事だということを伝えたいと思います。 最初は大変だと思うことがあっても、続けていく中でだんだんできるようになっていきます。 加藤代表取締役(右)と加藤専務(左) 矢萩様 [障害者の加齢に対する配慮・工夫を行った取組] --------------------------------------------------------------------- 5.通勤困難になった職員の業務継続を図るためにテレワーク環境を整備した取組 すべての障害 ◆事業所概要、取組の背景と課題 株式会社スミセイハーモニーは平成13年に設立した特例子会社であり、設立当初は身体障がい者の採用からスタートしたが、その後、知的障がい者、精神障がい者、発達障がい者の採用を順次拡大し、現在では様々な障がいのある職員を多数雇用している。 長年、障がい者を雇用する中で、同社に入社後、一定期間が経過した職員の中には、加齢等に伴う心身機能の低下や障がい程度の増進などから諸能力が低下し、働きにくさを感じる者が出てくるようになった。当事者は継続して働く意欲があり、働く意欲のある障がい者に対して積極的に雇用の場を創出・提供するという同社の企業理念に基づき、会社としても可能な限り能力を発揮してもらいたいと考え、職員の負担を軽減できるような働き方を構築する必要があった。折しも、コロナ禍で国をあげて在宅勤務等が推奨され、多くの企業で実施され始めたことも追い風になり、令和2年度から在宅勤務実施に向けた検討を開始した。 ◆取組  1.在宅勤務にかかる意識調査 在宅勤務にかかる制度の検討に先立ち、令和2年11月に障がいのある職員全員を対象とした「在宅勤務に関する意識調査」を実施した。調査においては、全ての障がいのある職員が在宅勤務の制度について具体的にイメージできるように設問を工夫し、在宅勤務に関する認識を揃えたうえで、現時点の意向を確認した。 「在宅勤務に関する意識調査」の調査用紙(一部) 2.規定等改正 上記1の調査結果の回答を集計し、在宅勤務の実施にあたり、障がいのある職員がどのような点を気にしていて、どのような配慮が必要かを分析した。分析の結果、多くの職員が在宅勤務のメリットとして、「通勤・移動時間を削減できる」、「感染症対策として外出を控えることができる」といった点を挙げており、概ね前向きに捉えていることが分かった。 一方で、在宅勤務のデメリットとしては、「他の職員との交流が少なくなる」、「通信機器等の不具合が心配」、「困ったときに直接相談できない」といったコミュニケーションの希薄さやトラブル発生時の対応等を心配する回答が見られた。 「在宅勤務に関する意識調査」の回答結果(一部) これらデメリットの対策については評価体系や管理体制等の幅広い観点から検討し、新たな制度等に盛り込むとともに、実際の運用時の留意事項とした。詳しくは、以降の各項で紹介している。 並行して、一般的な在宅勤務制度の処遇面や親会社の制度との整合性を考慮しながら、社内の在宅勤務にかかる制度を構築し、令和3年4月に就業規則等の改正を行った。 <改正内容(一部)> @在宅勤務手当を新設 A在宅勤務の対象者(下記「3.評価体系」を参照)、在宅勤務の基本ルール、勤務時の費用負担等を規定 3.評価体系 同社は様々な障がい種別の職員が同じグループで業務を行う体制としており、定量面の評価よりも定性面(安定して勤務できるか、同僚と協力して勤務できるか等)の評価を重視しているが、在宅勤務者は後段の評価がしづらくなるため、原則として標準者の評価を適用することとした。また、在宅勤務発令には一定の基準を設け、「通勤困難、かつ自律して業務遂行でき、一定以上の評価取得者」を対象とすることとした。 4.業務内容 在宅勤務にあたっては、従来の業務からテレワーク可能な業務を広く切り出し、その前後の業務は出社している職員が担う体制とすることで、自宅で会社貸与の端末を使い、職場と同じ業務を行えるようにした。 <テレワークの業務例> ・契約管理事務のうち、公的機関からの契約内容照会について、契約有無を専用端末で確認し、回答文書を作成。 5.機密情報保護 機密性の高い契約に関する事務という性質上、機密情報(個人情報)保護の遵守、リスク管理は重要事項であり、「シャットダウン時にデスクトップ上にデータが残らない」、「プリントアウトや外部媒体での保存ができない」仕組みとすることで対応した。そうすることで、紛失や盗難による情報漏えいのリスクを低減でき、かつ、高いセキュリティネットワーク環境であれば、どこからでも安全に業務環境へアクセスできることから、在宅勤務においてもこの仕組みは有用と判断した。 6.管理体制 上記2の意識調査の分析結果の中で多かった「他の職員との交流が少なくなる」、「困ったときに直接相談できない」といった不安を踏まえ、勤怠管理として始業時間及び終業時間に全員でTeamsでの朝暮礼を実施したり、オンラインでの在宅勤務報告書(体調面の報告も含む)や週間報告により雇用管理を行っている。 また、入力された在宅勤務報告書の内容は、管理者が一覧で把握できるようにし、個々の職員の進捗状況や体調等について、管理者側でもなるべく早い段階で変化や課題に気づける仕組みとしている。 さらに、Teamsのチャット機能で、いつでもグループ長及び同僚に相談可としており、業務の抱え込みや孤立化の防止を図っている。 オンライン画面上の在宅勤務報告書(一部) 在宅勤務報告書(管理者画面)(一部) 7.導入事例 (1)A職員(体幹機能障がい) 平成15年入社。体幹機能障がいにより朝の起床に困難があり、加齢等による筋力低下等も進行していたため、11時始業の変則勤務としていた。今回の在宅勤務制度の導入にあたり、A職員は在宅勤務発令の基準に達しており、本人から利用希望も聞かれたため、制度立ち上げ時から在宅勤務を利用することとなった。通勤負担がなくなったことから、始業時間を早めることが可能になり、かつ、自宅で負担のない姿勢で業務に従事できたことにより、勤務時間も延長することができた。 (2)B職員(両足関節機能全廃) 平成20年入社。長年の勤務の中で令和5年10月から膝の痛みが生じて通勤できなくなり、出社が困難な状況が継続し、メンタル面の落ち込みも見られた。B職員から在宅勤務の利用希望を挙げられたが、当時は別部署に所属し、パソコン作業がない業務を行っており、パソコン業務には不慣れであったため、在宅勤務発令の対象とはなれなかった。そこで、同社の総合事業部にてパソコンを使用して契約有無を調べたり、回答書を作成する等の訓練を約3か月間行い、必要なスキルを身につけ、在宅勤務の開始に至った。通勤の課題が解消でき、痛みのある膝を労わりながら業務に従事できるようになったことにより、体調面、精神面ともに安定し、現在も順調に業務を遂行している。 ◆取組の効果 A職員、B職員ともに、加齢等に伴う障がい程度の増進により通常勤務が困難となったため、時短勤務等をされていたが、在宅勤務制度を導入したことで、A職員は勤務時間の延長、B職員は通常勤務に戻ることができた。在宅勤務を開始してから特段の不都合はなく、両者とも「いい制度を利用させてもらい、ありがたい」旨の感想を述べられている。 当初3名が在宅勤務を開始したが、その後も加齢等に伴う能力変化、体調面等の様々な事情で在宅勤務を希望する職員が発生している。そのため、順次、在宅勤務発令しており、現在はグループ長を含め7名が専従で在宅勤務を行っている。 当事者には好評な制度であり、体調不良者(メンタル不調者含む)は発生していない。会社への感謝とともに業務に向かうモチベーションも高く維持されている。 また、「機密情報(個人情報)管理」についても問題は発生していないため、さらに在宅勤務の範囲を拡げる方向で新たな業務の受託を検討している。 ◆担当者の声 (リモートグループ長 Y様) リモート業務が開始されて、一番難しく大変だと思ったことは、コミュニケーションの取り方でした。定期的な面談(Teamsでチャットを活用)を実施し、業務面や体調面、少し雑談も含めた面談を行うことで、意思の疎通ができるようになったと感じています。 [障害者の加齢に対する配慮・工夫を行った取組] --------------------------------------------------------------------- 6.加齢や障害特性に配慮し、仕事・健康・生活にかかる一体的な支援の取組 ◆事業所の概要、取組の背景 株式会社テルベは北海道北見市にある特例子会社である。設立は平成6年3月で、設立理念として、「ノーマライゼーションの実践企業として、ハンディのある人もない人も、若い人も高齢者も、それぞれの特色を生かし、平等な立場で就業可能な職場を創設する。」を掲げている。平成29年度には「障害者活躍企業」、令和元年度には「ユースエール企業」の認定を受けている。 事業内容は、印刷事業(製版・印刷・製本)と椎茸事業(椎茸栽培)である。就業場所は、本社(北見市)と、東京事業所(千代田区)があり、本社では印刷事業と椎茸事業、東京事業所ではコピーを中心としたオフィスサービスが行われている。 令和6年4月時点の社員数は38名、そのうち障害のある社員は22名(身体障害者6名、知的障害者16名)で、本社では20名の障害のある社員が勤務している。 令和6年に創業30年を迎え、創業期から勤務する障害のある社員の中には、加齢による身体機能の低下により、就労上の課題が生じる社員が出てきていた。 また、社員全体の勤続年数が長くなる中で中高年齢化も進んでおり、障害の有無に関係なく、すべての社員が働きやすい職場づくりの取組も求められていた。 本ケースブックでは、同社において、就労上の課題が生じた社員への個別の取組と、社員全体の働きやすい職場づくりの取組について紹介する。 <取組1>  加齢や障害特性などに配慮した勤務・担当業務の設定により、職場定着を実現した取組 知的障害 ◆課題 ・加齢による身体機能の低下により、勤務上の課題や意欲の低下に直面 創業期に採用したKさんは、障害のある社員で現在50代後半。40代後半から加齢による身体機能の低下(記憶力の低下、めまい、難聴傾向)や、通院回数の増加がみられ、これまでの週5日勤務(月曜日から金曜日)は困難と思われた。Kさん自身も身体の不調を自覚して、自信を無くし、意欲も低下したようであり、会社としては対応の必要性を感じていた。 ◆取組 ・身体状況に応じた勤務条件の調整(勤務日数の変更など)と担当業務の調整 Kさんの負担軽減に配慮し、週4日勤務で水曜日を休日とした。その結果、「2日連続勤務(月・火)→休日→2日連続勤務(木・金)→土・日休」の勤務となった。 また、Kさんの意欲向上に向け、担当業務を拡大した。Kさんは同社に就職してからずっと印刷事業(製本業務)に従事していたが、ここ数年、同社の印刷事業は社会のペーパーレス化により縮小する一方で、椎茸事業の出荷量が拡大し、忙しくなっていた。そうした状況もあって、Kさんには椎茸業務への応援にも関わってもらうこととした。その際、Kさんには、担当業務はあくまで印刷(製本)業務であり、椎茸業務は応援であることを伝え、意欲面での向上につながることを期待した。 ◆取組の効果 ・勤務条件調整の効果 勤務日を週4日とし、また、2日勤務したら休むというパターンとしたことで、Kさんは十分に疲労を回復することができた。また、通院日を休日(水曜日)に設定することで、気兼ねなく通院することもでき、体調が安定した。週5日勤務時代は調子を崩し、入院したこともあったが、週4日勤務となってからはそうしたことはなく、安定した勤務がすでに5年継続している。 ・担当業務調整の効果 Kさんの現在の勤務は、午前中が椎茸業務、午後が製本業務である。忙しい他部門への応援ということで、Kさんは使命感・責任感を自覚して、積極的に取り組んでおり、意欲面での向上が見られた。 なお、Kさんには難聴の兆候があることから、製本業務、椎茸業務ともに一緒に働いている社員とチームを組んで勤務させている。こうした配慮により、Kさんはスムーズに力を発揮できている。 印刷(製本)業務を行うKさん 椎茸業務を行うKさん ◆担当者の声 (総務部マネジャー 小林様)  Kさんは40代後半から体調不良による休みが増え、自信をなくしつつありました。そのため、本人や支援機関と相談しながら週4日の勤務へ変更したところ、疲労回復に加え、通院日を確保できるようになり、安定した勤務につながりました。また、多忙な椎茸事業を応援することで、自信や意欲を取り戻すこともでき、元気に活躍しています。 また、Kさんは耳がやや遠くなり、指示がうまく聞き取れないことなどがありましたが、Kさんのことをよく分かっている私が一緒に取り組むことで、阿吽の呼吸で仕事を進めることができています。 ◆当事者の声 (印刷事業部 鬼海様)※事例Kさん 小林さんと一緒に働くことができて、毎日の仕事が楽しくなりました。小林さんが休みの日でも自分1人で頑張ってできるようになりました。 <取組2>  社員の加齢や障害特性に配慮した働きやすい職場づくりをした取組 すべての障害 ◆課題 同社では、知的障害者の雇用者数が増え、障害のある社員一人ひとりに配慮した職場づくりを進めてきたが、勤続年数の長い社員も多くなり、加齢や障害により心身の不調などが生じる者が出てきた。そうした状況の中で、全ての社員が働きやすい職場づくりの必要性を同社は感じていた。 ◆取組 全ての社員が働きやすい職場づくりを目指し、安全衛生委員会を設置するとともに、関係者面談及び定着会議の実施に取り組んだ。詳細は以下のとおり。 (1)安全衛生委員会 同社の社員数は38名で、安全衛生委員会設置の法的義務はなかったが、事業内容が製造業であること、障害のある社員が多いことから、安全衛生委員会を設置し、毎月開催している。同委員会では、安全衛生に関することだけではなく、業務や社内で困っていること、改善を要することなど、幅広く情報や意見交換を行う中で社員の要望を把握し、対応している。また、同委員会には東京からオンライン会議システムを利用して親会社の障害者雇用担当部長と同社社長も参加しており、ダイレクトなコミュニケーションができている。 (2)関係者面談及び定着会議 同社で働く障害のある社員は、グループホームや障害者就業・生活支援センターなどの支援機関を利用している者が多い。また、障害については知的障害のある社員が多い。 障害のある社員の中には、私生活の悩みが仕事に影響したり、逆に仕事上の悩みが私生活に影響したりすることが少なくない。一般的には、生活上(健康面や日常生活面、金銭管理など)の課題は、本人や家族、支援機関が対応し、会社は仕事に関することに対応するのが基本ではあるが、障害のある社員の職場定着のためには、本人に加えて関係者(特に、グループホームを運営する支援機関の職員)と密接に情報共有し合い、連携することが必要と同社は考えた。そのため、定期的(半年ごと)に関係者(同社の担当者、障害のある社員とその家族、支援機関の担当者)が参加する関係者面談を行うこととした。 関係者面談では、会社側から障害のある社員本人の仕事の状況や職場での様子と課題について、家族・支援機関からは生活上の様子や課題について、情報共有を行い、課題に対して関係者全員で対応を検討している。面談では様々な情報をもとに仕事上と生活上の両面を通じた検討をすることで、効果的な対応につながっている。また、会議の後半には、障害のある社員本人が出席し、半年ごとの振り返りと今後の目標設定、仕事や生活、人間関係の悩み、会社やグループホームに対する合理的配慮を含む要望を伝えている。関係者面談では障害のある社員本人の成長を確かめることができる一方、加齢による仕事への配慮や通院、福祉への移行といった具体的な対応を議論する場ともなっている。 このほか、毎月、定着会議を開催している。参加者は、同社社長と管理職全員、そして親会社の障害者雇用担当部長で、会議では仕事面での成長や課題、グループホームから申し送りのあった生活面や健康面の課題について、1か月単位という短いスパンでの報告と情報共有を実施することで、半年毎に実施している関係者面談よりも即応力を持って課題について対策を協議することができている。なお、安全衛生委員会と定着会議は同日に開催している。   ◆取組の効果 (1)安全衛生委員会 同委員会を開催することにより、業務上での配慮が必要な状況や意見の把握と具体的検討・改善につながり、障害のある社員だけではなく、会社全体の労働衛生環境の改善につながった。また、同委員会で障害者雇用に関して幅広に検討され、社内での共有などが進められたことで、障害のある社員への配慮と労働安全に対する会社全体の意識向上につながった。 (2)定着会議、関係者面談など 定着会議を開催することにより、管理職間の情報共有・共通認識が図られ、何らかの課題があっても多面的な検討がなされるため、課題の解決に向けた役割分担と連携ができ、スムーズな課題解決につながっている。 また、関係者面談を定期的に行うことで、加齢による変化を含む本人の生活場面や職場での状況が具体的に理解され、顕在化している課題に関係者全員で対処できている。同時に、関係者面談は本人の頑張りや成長の様子が共有される場でもあり、久しぶりに会う家族にとっては成長が実感でき、支援機関の担当者にとっても励みになっている。面談の後半には障害のある社員本人が出席することで、的確な評価が本人に伝えられ、自信がつき、積極的な目標設定と頑張りにつながる機会となっている。 なお、同社では企業在籍型ジョブコーチや障害者職業生活相談員資格を保有している社員が必要に応じてサポートを行っているが、日常的には各ライン上での上司と部下の関係や、同僚間で仕事を丁寧に教えていく「ナチュラルサポート」が基本となっており、社員同士が支え合って仕事を進めている。他方、障害のある社員が抱える不安や悩み、業務上のトラブル、体調不安や私生活に関わる課題の発生時には、ジョブコーチと人事部門が関与し、課題解決に向けた取組を管理職とともに実施している。 なお、同社の定着会議、関係者面談などの取組は平成13年頃から、安全衛生委員会は平成26年頃から進められており、令和3年度から5年度まで、障害のある社員の離職者数は0名で、高い定着率を実現している。 安全衛生委員会及び定着会議の様子(東京からはリモートでの参加) 関係者面談の様子 [障害者の加齢に対する配慮・工夫を行った取組] --------------------------------------------------------------------- 7.採用した高齢障害者がやりがいをもって働ける制度を構築し、寄り添った配慮・工夫により健康維持やキャリアアップをサポートした取組 身体障害 ◆事業所の概要、取組の背景と課題 社会福祉法人青谷学園は障害者支援施設や特定相談支援事業等を運営している。令和4年の障害者の雇用の促進等に関する法律の改正で同法人も障害者雇用義務の対象となり、障害者雇用を進めるに至った。 令和4年、当時64歳の車いす利用のMさん(肢体不自由)は、同法人の知的障害者の入所施設における生活支援員の事務補助の求人(非正規職員)に応募された。Mさんは、生活支援員としての業務経験や障害者支援施設等での就労経験はないものの、これまでの事務職の経験を活かし、関心のある福祉業界でやりがいを得て、自身のキャリアを積み重ねていくことを望まれていた。 しかし、採用にあたり、同施設では障害者雇用の経験が乏しく、高齢の身体障害者を雇用するうえでのノウハウは持ち合わせておらず、採用後の必要な配慮などは手探りの状態であった。 他方で、同法人では、令和5年4月にDE I宣言をし、令和5年度に有期雇用の雇い止め年齢の撤廃、令和6年度には非正規職員も対象としたキャリアパス制度(役職制度)の導入を行っている。キャリアパス制度(役職制度)には年齢条件を設けてはいるが、これにより正規職員と同様に障害のある職員も人事考課による昇給や昇進をする制度を構築した。 また、令和6年度からは年齢に関係なく週20時間以上の全ての職員を健康診断の対象とし、生活習慣病予防健診の予約代行とそれに伴う5大がん検診の費用を法人が負担することとした。 これらにより、障害の有無に関係なく、ミドル世代・シニア世代の職員も健康に留意しつつ、役職者としてより一層活躍できる基盤が整ったタイミングでもあった。 そのため、採用以降もMさんと面談の時間を持ち、必要な配慮や工夫、チャレンジしたい仕事などを聞き取りながら、寄り添った方策を立て、健康維持やキャリア形成をサポートすることとした。 ◆取組  1.求人内容の変更 当初募集していた業務内容では入所施設の利用者の支援も行う必要があったが、肢体不自由である身体状態を考慮し、Mさんと相談のうえ、利用者支援を行わない事務専任の事務員として採用した。 2.就業場所の変更 入職当初は、元の求人内容の関係から利用者が生活する2階の職員詰め所で勤務していたが、次第に1階の事務員と連携して内線等で指示を受けながら仕事を行うことが増え、不明点の確認なども主に電話でのやり取りとなり、業務が捗りにくい面があった。 また、1階にある車いす用トイレへの移動の不便さから尿意を我慢してしまい、腎盂腎炎を発症し、数日間休まれることもあった。 そのような状況への対策を検討する中で、2階の利用者の生活エリアで新型コロナの集団感染が発生したことを契機として、障害のある方の感染時の重症化リスクも考慮し、1階の職員室に就業場所を変更した。1階の職員室は元々十分なスペースがあったが、より良い環境で働いてもらえるように、机の配置替えを行い、自席から車いす用トイレまでの動線を改良するとともに、業務で使用する頻度の高い複合機にも近づけた。 1階職員室での業務風景 3.専用駐車場の整備 Mさんは自家用車で通勤し、当初は既存の車いす専用駐車場を利用していたが、この専用駐車場は職員通用口から遠く、日々の移動が負担になっていた。この状況を考慮した理事長から「施設出入口のスロープに近く、車いすの乗降に必要なスペースもある場所を専用の駐車場にするように」との指示があり、Mさんとも相談した結果、車いすの乗降のために運転席側に広いスペースが取れ、施設の出入口スロープに近い場所を専用の駐車場とし、雨でもあまり濡れることなく、楽に職場に行けるよう配慮した。 ↑出入口スロープから近い専用の駐車場 車いすの乗降の様子→ 4.ミドル・シニア交流会への参加 同施設では、風通しの良い職場環境をつくり、職員間の信頼関係の構築や様々な情報交換の場として、令和5年度にランチミーティング形式で、非正規職員全員を対象としたミドル・シニア交流会を開催した。休憩時間に合わせた企画で、ランチ(同法人の給食)とケーキ、コーヒー代は法人が負担する。これまではシニア職員等の交流の機会があまり多くなかったが、交流会開催後にSNSで実施したアンケートで参加者全員から好評だったこともあり、定期開催(年1回)となった。令和6年度からはシニア職員自身が計画、立案、募集、主催している。 入職後、Mさんは不慣れな環境で高い緊張感を持って業務に従事されていたが、早く職場に馴染み、戦力となれるようにと、業務外のコミュニケーションの場としてこのミドル・シニア交流会について情報提供し、参加を促した。 ミドル・シニア交流会 5.健康維持サポート 厚生労働省が令和2年3月に策定した「高年齢労働者の安全と健康確保のためのガイドライン(エイジフレンドリーガイドライン)」に示されているように、健康診断等の積極的な受診促進を行うことにより、事業者とMさんの双方が健康状況を把握できるようになった。業務については健康診断等の結果に基づき、本人と話し合ったうえで、健康や体力等の状況に応じて決定している。 ◆取組の効果 1.円滑な業務遂行及び就労意欲の維持 就業場所の変更等により、Mさんは快適に作業や移動ができるようになった。また、他の事務員との距離も近くなり、対面で同じパソコン画面を見ながら質問できるようになったことで、スムーズに業務が行えるようになった。その結果、担当業務も拡充し、銀行の入出金確認と仕訳、それらに付随する経理業務などの新しい仕事に挑戦する機会が増えた。現在は同法人が進めるDX推進の重要な仕事も担っている。 また、自身の仕事の正確性を確実なものにするために自発的にマニュアルも作るなど、向上心を持って仕事に取り組めるようになった。なお、同法人では、正規・非正規も年齢も関係なく業務に関係する資格取得支援を推奨し、合格の際はお祝い金(1万円以上)を支給しており、Mさんも今後挑戦することが期待されている。 拡充した業務に取り組まれる様子 このように、やりがいをもって長く働ける制度を整え、Mさんの要望を丁寧に聞き取り、配慮・工夫を行った結果、Mさんから就労時間の延長希望があり、今では週24時間(6時間/日×週4日)勤務となり、社会保険にも加入された。 昇進は週の所定労働時間が25時間以上の職員を対象としているため、今のところ対象者ではないが、本人の希望により週25時間以上となれば、昇進の機会を得ることとなる。 今後の勤務時間や日数などは、Mさんの希望に合わせて決定していく。Mさんは、ミドル・シニア交流会にも参加し、職場での仲間づくりにも積極的に関わりながら、末永く働くことを希望している。 2. 障害の有無に関係なく、キャリア形成や健康維持をサポートする制度の構築 (1)同社はDEI宣言後、65歳以上の14名の社員が有期雇用の雇い止め年齢の撤廃の対象となり、Mさんも対象となっている。また、無期雇用の定年(72歳)以降の就労を希望した3名の社員が雇用継続となっている。さらに、正規雇用の60〜65歳の選択定年を導入後、4名の社員がこの制度を活用している。 (2)令和7年4月、非正規職員で初めてのキャリアパス制度による昇進と昇給を行った。37名の非正規職員のうち、6名が「エキスパート」(担当している仕事のエキスパートであること、その他の非正規職員の統括)に昇進し、役職手当が付与された。また、16名が制度に則り昇給となった。 (3)職員の健康診断等の結果に基づき、対象者と話し合いのうえ、必要に応じて労働時間の短縮や作業の転換等就業上の措置を講じたり、職員自らが体力維持や生活習慣の改善の必要性を理解できるよう支援し、より一層健康に留意して長く元気に働いてもらえる職場環境となった。 3.法人全体への相乗効果 DEIを推進することを宣言し、高齢や障害、子育てや介護、健康上の理由など、様々な背景を持つ職員が互いに思いやる心を大切に、誰もが働きやすい職場づくりを目指すといった法人の方針を掲げることにより、多くの職員がここで永く働けるビジョンを持つことができている。本事例の他に、例えば、がんにり患した職員の治療と仕事の両立支援として年間15日の有給休暇を新設したり、メンタル不調による休職者が復帰しやすいように試行出勤や段階的復職を制度化したりするなど職員の個々の事情に合わせた制度を順次整備している。これらにより、職員の定着が図られ、活気のある職場となることは、安定した事業運営や利用者への質の高いサービスの提供にもつながっていくと考えられる。 ◆担当者の声 (施設長 小林様) 初めて肢体不自由の職員を雇用するにあたり、どのような配慮が必要なのか、Mさんからの要望を丁寧にヒヤリングして対応してきたつもりでした。しかし、Mさんの控えめな性格もあり「問題ないです。大丈夫です。」と言われると、これで良いのかと思ってしまう部分もありました。 移動の不便さに配慮し、1階での業務に変更したことで些細な疑問も他の事務員とパソコンの画面を一緒に見ながら確認することができるようになりました。コミュニケーションも増え、以前よりも笑顔で、和気あいあい、活き活きと働いておられるように感じます。 Mさんから要望を出すことは遠慮もあって少ないのだと思います。「問題のない職場」と「働きやすい職場」は違います。本当に働きやすい職場環境を整えるために、もう一歩踏み込み、Mさんの気持ちや状況を「想像」して改善提案をすることで、より活き活きと働ける職場づくりをしていきたいと思います。 ◆社員の声 (森長様)※事例Mさん 仕事をするうえで動線や駐車場の位置などいろいろと配慮してくださり大変感謝しています。車いすでの移動のため、どうしても時間がかかります。法人全体がDXを進めており、紙を印刷しての提出や職員への配布もほとんどなく、頻繁な移動も必要ないことが働きやすさにつながっています。 今後も体調を維持してできる仕事を増やしていき、皆さんのフォローができるように頑張りたいと思っています。 施設長 小林様 森長様 [障害者の加齢に対する配慮・工夫を行った取組] --------------------------------------------------------------------- 8.障害や加齢に伴う身体機能の低下に対して作業負担の軽減と心身の健康サポートにより、持てる能力と経験を発揮し、他の職員の励みにもなった取組 内部障害 ◆事業所の概要、取組の背景と課題 社会福祉法人清河会は特別養護老人ホーム、デイサービス、ケアハウス等の高齢者向け介護施設及びクリニックの運営を行っている。 約10年前に同施設の介護職求人に応募されたAさん(当時69歳)は、入職後しばらくして心臓機能障害(身体障害者手帳3級)が生じ、心身に過重な負担がかかる活動を制限せざるを得ない状況となった。さらに、加齢(本取組時80歳)に伴う筋力低下等の身体的な機能低下もみられるようになり、現業務の身体介護は心身に過重な負担がかかりやすく、現状の勤務日数では疲労の蓄積が顕著に見られ、労働安全衛生管理上のリスクが高い状態であった。 Aさんは前職も介護の仕事を行っており、介護福祉士をはじめレクリエーション、リハビリテーション等の資格も複数取得し、これまでのスキル・経験を活かして介護の仕事を続けたいとの意向であった。採用時からAさんの年齢及び希望を踏まえ、日勤のみの勤務やショートステイの担当配置による業務負担軽減などの配慮を行っていたが、事業所として労働安全衛生対策を講じる必要性に鑑み、Aさんとの話し合いを行い、心身に過剰な負担がかからずにできることを確認するとともにAさんの希望に合わせた配慮を検討することとした。 ◆取組  1.安定雇用に向けた働きやすい職場環境実現のための体制の整備 同法人では、障害のある職員を含む全ての職員に対して適切な雇用管理を組織的かつ継続的に実施するため、部門ごとに雇用管理に関する役割を明確にした体制を整備している。法人本部においては、多様な人材の採用及び適性等を踏まえた配置、関係機関との連携窓口の設置、個々の職員の事情に応じた勤務形態や勤務時間の措置(夜勤・当直の免除、隔日勤務等)等を行っている。また、各施設においては担当業務の調整、日常的な声掛け・雇用管理等実務レベルでの配慮・工夫を行っている。 Aさんについては、状況を確認し、勤務日数の短縮や業務の軽減等の就業上の措置を講ずるにあたり、十分な話し合いを通じてAさんの了解が得られるよう努めた。 2.業務負担の軽減 (1)勤務日数の軽減 介護職の基本勤務日数である月22日勤務を月15日勤務とした。 (2)身体介護の担当作業の限定 介護職の主要業務である抱きかかえや体位変換、移動を伴う身体介護も担当していたが、自力移動が可能な利用者に限ったトイレ介助や着替え介助など、負荷の軽い一部の介助に限定た。 (3)作業内容や作業時間の変動の回避 介護業務においては、利用者の変調やスタッフの出勤状況に応じて、他のユニットへの応援や残業が随時発生するが、Aさんに対しては他ユニットへの応援業務は免除し、残業についても当人の希望がある場合を除き、指示を行っていない。   3.スタッフ同士がフォローし合える職場風土の醸成 スタッフの数に余裕の無い状況で上記2の配慮を行うと、通常は他のメンバーの負担が増すこととなるところである。しかし、同法人では約15年前に身体障害者を採用して以降、積極的に障害者雇用に取り組み、多様な人材が働くことが当たり前になっている。この他にも、職員の状況変化(発病等)に応じた就労上の配慮・工夫を行っており、働き続けられる安心感を身近で感じられることから、様々な事情を抱える職員の働き方に対して周囲の理解が得られやすい風土が醸成されている。 また、実際の現場の状況に応じた対策を検討するために、Aさんの了解を得たうえで、スタッフチーム内でAさんの健康状態や働き方の希望等を共有し、周囲のスタッフからも意見が上がりやすい雰囲気づくりに努めている。Aさんに対しても、周囲のスタッフの考えを知ってもらうことで、互いを尊重し合い、周囲のスタッフとAさん双方の就労意欲の減退につながらないよう留意している。 その結果、スタッフが互いにフォローし合える関係を築き、スタッフチーム内では、Aさんについて、「イチマイナス」の戦力と捉えず、「ゼロプラス」の戦力との考え方が浸透している。 4.心身の健康サポート (1)相談窓口の指定 Aさんが自身の体調や仕事等について気軽に相談できるように、身近にいる特定のスタッフを窓口として定めている。また、窓口となるスタッフは日々Aさんの業務中の様子を把握し、変化を感じた際には都度声掛けを行い、必要に応じて上長等への相談・報告も行うことで、予防的関わりや早期の課題解決が図られている。 (2)福利厚生等の活用 同法人は福利厚生としてレジャークラブの法人会員となっており、職員は同クラブの宿泊施設等の利用が可能である。また、同法人が経営するクリニックが本部に併設されており、健康に関する相談にも利用しやすい環境となっている。 (3)介護業務との相乗効果 Aさんの介護業務の一環として、担当ユニット内での日常的なレクリエーション企画、運営を担当してもらっており、年代的に近い利用者とともに体操や踊りで体を動かし、歌を歌うことが、利用者はもちろんAさんにとっても心身の健康維持に大きな効果があると考えられる。 ◆取組の効果 ・Aさんは、自身の健康や体力等の状況に応じて、安全と健康の点で適合する業務に専従できるようになり、自身のペースでこれまでの経験と持てる能力を活かし、施設のマンパワーを構成する一員として貴重な戦力となっている。また、業務を通じて心身の機能の維持向上に継続的に取り組めている。 ・同法人における多様な人材の働き方の先駆事例となっている。また、周囲のスタッフにとって、高年齢になっても活躍できる姿を間近に見ることは、励みになるとともに、長期的な雇用継続の安心感を与えている。 ・Aさんは利用者と年齢が近く、友達のように寄り添ったコミュニケーションをとっていることが施設のアットホームな雰囲気づくりの醸成に貢献している。 ◆担当者の声 (管理者 T様) 周りのスタッフはAさんの経験豊かな知識や考え方等を尊敬しており、Aさんが負担になってきている業務については、それを感じさせないよう配慮・フォローするよう工夫していました。 ◆同僚の声 (B様) 第一に、介護の仕事にハンディを感じさせず、その年齢でも続けられていることがストレートに凄いことと思っています。利用者と年齢が近いことで、実際に経験した人でしか話せない話題もあると思われますし、そのことを私たちも一緒に仕事をする中でAさんから吸収させてもらい、利用者のバックグラウンドや今の気持ちへの理解を深めたいと思います。利用者とのコミュニケーションのヒントにさせてもらうこともあるので、Aさんは貴重な存在だと感じています。 [障害者の加齢に対する配慮・工夫を行った取組] --------------------------------------------------------------------- 9.長期雇用に伴う障がいのある社員の健康の維持・向上によるワークライフバランスの充実を図った取組 身体障害 ◆事業所の概要、取組の背景と課題 東京都チャレンジドプラスTOPPAN株式会社は、凸版印刷株式会社(現:TOPPAN株式会社)が東京都及び板橋区との共同出資により、重度障がい者雇用モデル企業として設立した第三セクター方式の特例子会社である。平成5年の設立以降、出版印刷物の印刷前工程(写植文字組版等)を主な事業としてきたが、近年の出版市場の大幅な縮小を受けて、事業を多角化しつつ145名(うち重度50名)の障がい者を雇用している。設立時は身体障がい者中心でスタートしたが、現在は知的障がい者、精神障がい者も多く雇用している(身体48名、知的44名、精神53名)。 @定期通院への配慮 障がいを有している社員は、自身の健康維持・向上のため、多くの場合、最低月1回程度の定期通院が必須となる。これまで定期通院の際には、年次有給休暇を利用するか、あるいは会社規定による無給休暇を利用するかの二者択一であった。年次有給休暇を利用すれば給与は保障されるが、個々人の生活を有意義なものにするために年次有給休暇を活用する機会は制約され、無給休暇を利用すれば給与が保障されず、個々の基本的生活に影響を与えていた。 このため、同社は年次有給休暇を健常者と同様に、個人の自由な事由で活用してもらい、ワークライフバランスの充実に資することができる施策を模索したいと考えていた。 A加齢に伴う健康リスク上昇と障がいの進行 同社の主要拠点である小豆沢本社には100名の社員が勤務しており、その平均年齢は47.6歳である。そのうち、車椅子ユーザーを含む下肢障がい者は24名で、その平均年齢は49.6歳である。令和5年に定年延長を実施し、70歳まで働くことができる制度を採用したにも関わらず、加齢に伴う健康リスクの上昇や障がいの進行により、働くことに制約が生じることを何とかして防ぐ必要があった。 B車椅子ユーザーを中心とする下肢障がい者の加齢に伴う障がいの進行 創業以来、車椅子ユーザーの褥瘡対策を主な目的に、「小上がり(床から少し高くなったスペース)」の畳敷き休憩室を設置していたが、加齢とともに「小上がり」に移ることが難しい社員が増加し、利用頻度が減少したため、休憩室が単なる物置場になってしまっていた。同社では、60分の昼休みのほかに、70分毎に10分の休憩時間を設けているものの、車椅子ユーザーが身体を休めるために有効な休憩時間となっておらず、課題となっていた。 ◆取組  @定期通院時に利用できるサポート休暇制度の導入 令和4年に障がい者手帳に起因する定期通院を事由に取得できる有給のサポート休暇制度を導入した。サポート休暇制度は勤続年数に関わらず年間12日付与され、月1日使用することができる。また、半日単位でも取得することができ、その場合は、月2回を上限に使用することができる。車椅子ユーザーや装具品使用ユーザーについては、器具の修理をする際にも利用できることとした。 Aヘルスアップルームの新設 令和5年に小豆沢本社内にヘルスアップルームを新設し、車椅子ユーザーや身体に障がいを有する社員のニーズに基づき、休憩時間や定時時間外に使用できるパーソナルトレーニング機器を2台設置した。この機器は、一般的なトレーニングルームにある筋力アップを目的とする機器ではなく、筋肉をほぐし、関節の可動域を拡大することで、首痛、腰痛や肩こりの改善を図るもので、車椅子ユーザーも利用できるものである。 令和5年12月に、同機器の安全で有効な使い方及び個々の体格・体形に合わせたトレーニング講座(第1回パーソナルサポート)を、専門のトレーナーから一人30分の時間を割いて実施した。同機器の利用を希望する約50名(小豆沢勤務者の半数)が受講した。 さらに、令和6年4月に同様の方法で、フォロー講座を開講し、個々の3か月間の振り返りと、トレーニング機器利用方法の再トレーニング(第2回パーソナルサポート)を実施した。今後は年1回のフォロー講座を行う計画である。 ヘルスアップルーム B休憩室を一新 下肢に障がいのある方、車椅子を利用する方を中心に、休憩時間にしっかりと身体を休めることができる環境を整えるために、社員の意見を踏まえ、休憩室を完全リニューアルした。「小上がり」の畳敷き休憩室を廃止し、寝転がって休めるソファーを多数設置するとともに、観葉植物を配置するなど環境にも十分配慮した休憩室となった。 休憩室リニューアル前の「小上がり」 リニューアル後の休憩室 ◆取組の効果 @定期通院時に利用できるサポート休暇制度の導入 サポート休暇制度の令和5年度の利用対象者は36名。総取得日数は263日となり、60.1%の取得率となった。一方、障がい者全体の年次有給休暇取得率も77.9%(平均取得日数14.0日)と高く、健康の維持・向上とワークライフバランスの充実に貢献したものと考えられる。 Aヘルスアップルームの新設 第1回パーソナルサポート実施に先立って行ったアンケート調査では、総愁訴数(首、腰、肩、背中等の強い疲労感、強い痛み、軽い痛み)が148個、一人あたりの愁訴保有数が4.1個と非常に多いことが分かった。そうした方々を対象にしてパーソナルサポートを実施した結果、98%の社員は「パーソナルサポートに参加して大変良かった」と回答し、93%の社員が「今後もパーソナルサポートに参加したい」と回答したことから多くの社員が効果を感じていることが把握できた。 第2回パーソナルサポート前に実施したアンケートでは、多くの社員がパーソナルサポートでアドバイスを受けた運動を継続することにより、総愁訴数が73個、一人あたりの愁訴保有数が1.9個と、それぞれ半減された。 今後もパーソナルサポート講座を継続することにより、社員個々に必要な運動が実施され、愁訴件数を削減していきたいと考えている。 B休憩室を一新 リニューアルした休憩室は下肢障がい者、車椅子ユーザーからの評価も高く、休憩時間にソファーに寝転んで休む姿が多くみられ、有効に活用されている。 ◆担当者の声 (星様) 以前の休憩室は、居酒屋の小上がりのような畳敷きだったので、使い勝手が悪く、社員から改善の要望が出ていました。また、社員の生活習慣病の検査結果は決して良好とは言えず、特に運動不足にその原因があることが分かっていたので、社員の皆さんには運動を習慣づける機会を作れればよいと考えていました。 こうした課題を今回の取組により一歩前進できたことを嬉しく思っています。 今後も、社員一人ひとりのニーズやウォンツを吸い上げて施策に反映したいと思っています。 ◆社員の声 (小野様) サポート休暇導入前は、リハビリ通院のために年休を使用していましたが、休暇の残日数が気になり、月1回が限界でした。導入後は休暇の残日数を気にせず定期的に通院でき、体の緊張もコントロールしやすくなりました。さらに、年休をリフレッシュに使えるようになり、ライフワークバランスも改善しました。 今後もサポート休暇を活用し、健康を維持しながら長く働けるよう努めたいと思います。 [障害者の加齢に対する配慮・工夫を行った取組] --------------------------------------------------------------------- 10.障害のある社員の長期勤続に伴う高齢化と能力・適性に合わせた作業面への配慮や配置転換などを行い、就労意欲の向上や着実な定着を図った取組 すべての障害 ◆事業所の概要、取組の背景と課題 日本フネン株式会社は玄関ドア等の建築部材を中心とする製品の企画・開発・製造・販売を行っている。 同社は以前から法定雇用率は達成していたものの、約8年前の総務部の担当者の変更を機に、障害のある社員の高齢化等を見据え、障害者の採用活動の見直しを行うこととした。ハローワークや障害者就業・生活支援センター等に障害者の新規採用や定着にかかる相談をしたところ、障害者の着実な雇用につながり、令和6年4月1日現在、障害のある社員は14名となっている。若年層の新規採用に伴い、平均年齢は39歳となっているが、勤続年数が15年以上の社員が複数名出てくるなど定着期間の長い者が増えており、障害のある社員も長期勤続できる職場となっている。 当時の総務部長は、年2回実施する各社員との社内ヒアリングを通じて、障害のある社員の能力や適性に応じた仕事の変化の重要性を認識した。社内の役職者に実施案を提案し、多くの賛同を得られたことから社内稟議に上げ、障害の有無に関わらない異動や昇給といった社内規定等の変更を進めてきた。加えて、休憩時間を含め日常的なコミュニケーションによる風通しのよい職場づくりに取り組み、社員の声を把握するよう努めている。 また、同社が扱う製品の特性上、身体に負担がかかる作業が多く、高齢化に伴って想定される体力や身体機能の低下、発病等による業務への影響は避けられない。しかし、障害のある社員も長く働いて欲しいとの考えから、高齢になっても意欲を持ち、活躍できるための方策を検討することとした。 同社の課題に対する様々な取組について、以下に紹介していく。 ◆取組  ○作業負担軽減による長期勤続への取組 1 残業への配慮 残業は通常1〜2時間程度発生することがあるが、本人からの申し出あるいは支援機関の担当者との相談等により社員の体調等を考慮し、現場の上長の判断で過度な負担がかからないような作業としている。特に長期療養をした者等には健康状態等に応じて残業時間の短縮や免除等の配慮をしている。 2 重量物を扱う作業への配慮 障害者が多く配属されている部署においては、ドアを持ち上げて裏返す工程があるが、中には30sを超える重いドアを扱う場合がある。通常、重いドアと比較的軽いドアを交互に作業できるよう割り当てられているが、高齢等により特に足腰への負担が心配される場合には、重いドアの扱いは20代30代の社員と交代させることとした。 3 無理のない作業姿勢への変更 ドアの鏡面にテープを貼る工程は、従来ドアを床に置いて作業していたが、しゃがみこんでの作業のため、腰部に負担がかかっていた。そこで、作業者が腰を曲げずに作業できるようにドアを乗せる台を設置し、その上にドアを乗せ換え、作業を行うこととした。 ドア鏡面のテープ貼りの工程で設置した積み上げられたパレット 4 台車の利用 製品を数メートル離れた場所に運搬してもらう際に、手足や腰への負担を軽減するため、同社で作った台車を利用するようにした。移動がしやすいよう、台車の車輪は大きめに作っている。 ○就労意欲の減退やキャリア形成の停滞感の防止に向けた長期勤続への取組 1 能力に応じた他部署への配置換え 障害のある社員が従事してきた既存の業務に捉われず、本人の能力や適性に合った他部署への異動を実施する。 2 永年勤続表彰の授与 長年活躍している社員には永年勤続表彰(10年、20年、30年、40年)として賞状と副賞を創立記念式典で贈呈し、同社への貢献を評価し、感謝の意を示す。 [事例] Nさん(43歳、知的障害、勤続15年)は、令和2年度までは玄関ドアの養生シートを剥がす工程を担当していたが、ミスもほとんどなく優秀であったため、当時の製造部長から「新たな仕事にチャレンジしてみては」と配置転換を勧められ、健常者が行っているスポット溶接の作業工程に令和3年4月より異動した。Nさんは既に10年永年勤続表彰を受賞しており、今後も20年30年と長く活躍していただくことが期待されている。 ○安全面、健康面からの長期勤続への取組 1 安全環境パトロール等による労働安全対策 ・月1回安全環境パトロールを実施し、構内の危険箇所(でっぱり、へこみ等)の写真等を共有した後、担当部署で改善を行い、改善結果を写真等で報告している。 ・毎月の安全衛生委員会で工場長や社員の代表者からヒヤリハット事案の報告を行い、労働安全に関する対策をしている。 ・改善提案制度(注)により、業務上の細部に至るまで社員一人ひとりの目線で労働安全への取組がなされている。 (注) 月1回全社員から改善提案を募る制度。提案のある者は、改善提案書に改善の前と後の状況を記載し、上司承認のもと事務局に提出。集められた同提案書は、事務局が着想・努力・効果等の観点で審査をし、高評価の提案は四半期毎及び創立記念式で表彰を行う。なお、提案者には一律100円、提案が採用されると500円が支給される。 2 健康診断結果に基づく指導 日本健康会議が認定する健康経営優良法人に認定されており、定期的な健康診断の結果を踏まえ、必要に応じて産業医からの助言や保健指導を実施している。また、健康診断の結果については総務部でデータを集計し、男性、女性それぞれを担当者として、指導対象者への問い合わせ等においては同性への相談ができる体制を整えている。 3 総務部に相談窓口を設置 心身のストレスや健康問題についての相談窓口を総務部に設置し、全ての社員が自身の不調や働く上での負担感等を相談できる。 この他にも、社員の声を聞き取る目安箱を設置し、案件に応じて内部監査室等に相談をするなど、社員からの相談を受け付ける制度を重層的に整備している。 ○支援機関との連携による長期勤続への取組 障害者就業・生活支援センターには月1回程度、定期的に訪問対応していただき、障害のある社員と面談していただいている。面談内容については必要に応じて情報共有してもらい、適宜対応している。 例えば、60歳を過ぎた障害のある社員が就労継続の意思はあるものの、病気のため作業に負担感を感じていることを自分で伝えられずにいた。その際も、障害者就業・生活支援センターにサポートいただくことで、本人の気持ちを正確に汲み取り、負担が軽い業務に転換することで、定年の65歳まで勤務継続することができた。 ◆取組の効果 ○作業負担軽減による長期勤続への取組の効果 作業負担軽減の取組により、障害者の定着は徐々に進み、毎年法定雇用率を上回っている。2名の社員は勤続年数15年と長期勤務できている。 また、通院等にも柔軟に配慮しており、ペア作業の場合、一方の通院等の休暇に合わせて、もう一方のペア作業者は計画的に休暇を取得できるようになった。 ○就労意欲の減退やキャリア形成の停滞感の防止に向けた長期勤続への取組の効果 永年勤続表彰にて、障害のある社員4名が10年表彰を受賞された。 Nさんの異動に際して、異動先の管理者は障害のある社員にスポット溶接を任せることに気掛かりな点はあった。しかし、実際に担当させたところ、Nさんの仕事に対する満足度やモチベーションが向上し、同工程の中で1番の生産量をこなすまでになった。 同社は、Nさんの想像以上の活躍に感銘を受け、Nさんに長く活躍していただくことを期待するとともに、障害のある社員の職務拡大の可能性について手応えを得た。 ○安全面、健康面からの長期勤続への取組 特定保健指導等でピックアップされた社員については障害のある社員も含めて全員指導を受けており、特定保健指導の実施率は100%となっている。また、事故等の防止は徹底されている。 以上のように、長期勤続の実現に関して、同社で実施でき得る限りのきめ細やかな配慮をすることにより、障害のある社員の定着は進んでおり、同社にとっても、社員にとってもwin‐winの関係が築けるようになっている。 ◆担当者の声 (改善当時:本社製造長 現在:同生産技術部長 O様) 当時、障害のある方に溶接作業をしていただくのは初めての試みでしたが、Nさんは、現在溶接作業者3名の中で最も業績が良く、居なくてはならない存在となっています。 異動の決断をして正解だったと強く感じています。 ◆社員の声 (N様) 異動前の業務より、覚えることは多く、頭を使うことも多くなりました。しかし慣れもあり、今はこの仕事が前よりも良いと感じています。 [障害者の加齢に対する配慮・工夫を行った取組] --------------------------------------------------------------------- 11.加齢に係る課題を体力・能力・気力(意欲)の3側面から構造的にアプローチし、デジタル技術を活用した業務のDX化等を行った取組 すべての障害 ◆事業所の概要、取組の背景と課題 ポラスシェアード株式会社は住宅建設・不動産開発事業全般を行うポラスグループを統括するポラス株式会社の特例子会社である。ビジネスサポート課とローンサポート課の2課で構成され、グループ各社から設計補助業務や事務等の代行業務等を受託している。本事例で取り上げるビジネスサポート課には、身体(視覚・聴覚・上下肢・内部疾患)、知的、精神(発達含む)に障がいがある社員が在籍している。令和7年11月時点の社員数は66名、平均年齢は38.8才である。 同課は当初から「職場改善プロジェクトチーム」が中心となって、業務の見える化や助け合いのルール化等の工夫に取り組んできたことから、加齢による顕著な課題は発生していなかったが、平成27年の会社設立以来、継続的に社員を増やしていった結果、現在では40才以上が42.4%(28名)を占めるようになり、社員の今後の就業継続を考えるにあたり、高齢化やスキルの維持・継承問題が避けられない喫緊の課題となっていた。 そこで、同社は加齢に伴う課題について、「体力」、「能力」、「気力(意欲)」の3側面の低下に着目し、親会社の各種制度を活用しながら、各人がやりがいをもって働き続けられるよう、予防的な取組を行うこととした(取組の概要は次ページのとおり)。 各課題への取組の概要 <取組1> 主に体力低下への対策 ◆取組 @職場環境の改善 従来の休憩スペースは基本的にオープンで、周囲の視線が気になる方がいたことから、パネルソファを購入し、休憩室の窓側に置いた。 また、物資倉庫については、必要な物がなかなか見つからず、雑多に積み上げた物の下から取り出すなど無駄な労力を費やしていたため、何がどこにあるかすぐに把握できるように整理整頓を行った。そのほか、事務所の階段には手すりを設置し、正面玄関は自動ドアに変更した。 休憩スペースのパネルソファ A業務面の体制整備 内部疾患のある社員に対しては、定期的に行っている個人面談の中で上司が通院状況や負担の度合いを把握し、曜日ごとに勤務時間を調整した。 また、ヘルプマークや災害時支援バンダナ等の障がい者支援ツールについて、定期開催している「課内勉強会」で社員に周知し、活用促進を図った。 「課内勉強会」の資料(一部) ◆取組の効果 @職場環境の改善 導入したパネルソファは、周囲の視線が気にならなくなるとともに、個室に近い空間が作れるため、「短時間で質の高い休憩がとれる」と社員に好評である。 加齢対策として設置した階段手すりは、幅広い年齢層の社員から「階段が楽になった」との声を聞いている。 その他、正面玄関の自動ドア化や物資倉庫の整理整頓により、作業する上で身体的負担が軽減された。 以前の物資倉庫 整理整頓後の物資倉庫 A業務面の体制整備 内部疾患のある社員からは、曜日ごとに柔軟に勤務時間が調整できるようになった結果、最適な透析方法が可能になった。身体にかかる負担が軽減されただけでなく、精神的な安心感につながり、QOLが上がったと報告を受けている。 また、障がい者支援ツールについては、「課内勉強会」で初めて知ったという社員もいたことから、その後の避難訓練などで活用方法を確認し、有事の際に社員同士がお互いに助け合えるよう風土の醸成に努めている。 <取組2> 主に能力低下への対策(デジタル技術の活用) ◆取組 @作業能力低下への対策 課内の業務は設計補助業務から事務代行業務まで多岐にわたり、個人情報を扱う業務もあるため、正確さが要求される。そこで、加齢に伴い作業速度・持久力・機敏性・精度が落ちることを想定し、業務のRPA(ロボティックプロセスオートメーション(Robotic Process Automation))稼働等のDX化を促進させた。また、グループ全会社を対象とした「RPA開発者育成講座」を活用して、RPAシナリオ開発者の育成・増員を行った。 「RPA業務」の画面(一部) A記憶力低下への対策 記憶力の低下対策や業務手順の再確認ツールとして、業務マニュアルの「動画化」を行った。 業務マニュアル(動画)の一部 業務マニュアルの「動画化」には「動画編集ソフト」を活用しているため、その操作ができる人材の育成にも取り組んだ。 「動画編集ソフト」の画面 また、加齢による判断力・記憶力の低下を補う目的で、「ワークリスト」を活用して業務の優先度や期日管理をすることとした。障がい特性上「マルチタスク」が苦手な社員にも有用であると考える。 「ワークリスト」の画面 その他、聴覚障がい者への情報保障のため、音声を文字に変換する「自動文字起こし機能」を、朝礼要約の事後発信や課内会議の議事録まとめ等に活用することとした。議事録は聴覚障がい者以外の社員にも配信され、内容確認や記憶の保持等に役立っている。 「自動文字起こし機能」の画面 ◆取組の効果 @作業能力低下への対策の効果 定型作業を自動化(RPA稼働)したことで、人為的なミス発生が低下され、安心して業務にあたることができている。実際に各業務のミス発生率は低下傾向にあり、結果としてサービスの品質向上に発展した。 A記憶力低下への対策の効果 業務マニュアルの「動画化」は、文字情報に頼らず視覚的に手順を確認できるので、幅広い年代の社員に有効と考えている。他方、マニュアル作成に手間と時間がかかる点は今後の課題である。 しかしながら、動画編集ソフトの活用によるマニュアル作成は、本人の能力開発になるほか、今後の受託業務の拡大にもつながる。確かに作業には集中力を要するが、受託拡大が見込める技能であるため、技能習得後は安定した就労継続につながり、中高年齢の社員にとっても魅力的な業務となった。また、人材募集時に広範な業務を告知できることで、今後の障がい者雇用の「質の向上」にもつながると考えられる。 「自動文字起こし機能」の活用については、聴覚障がい者のタイムリーな情報保障が実現できるとともに、議事録等をまとめる職員の負担軽減になっている。 <取組3> 主に気力(意欲)低下への対策 ◆取組 @自己管理能力の向上 ア.定年後の雇用形態の周知 定期面談において再雇用の意思の確認等を行う中で、定年後の雇用形態について定められている規定文書がどこに保存されているのか知らない社員が多いということが分かった。そこで、規定文書の閲覧方法を周知するとともに、朝礼やチャットを利用して規定の主な内容を分かりやすく説明し、社員自身が定年後の働き方について考える機会を設けた。 イ.「目標管理シート」の活用 上司との定期面談には「目標管理シート」を活用し、自己評価と目標に対する達成度・課題を相互確認(作業面の数値的なフィードバックも含む)することとした。 定年後の働き方については、定年前の評価において就業継続要件をクリアしていることが条件になる場合もあり、定年後に取り得る選択肢の幅を広げる意味でも有用である。 目標管理シート 定期面談の様子 A自己研鑽の支援、自己肯定感の向上 自己研鑽の支援として、書籍コーナーを新設して各種資格試験(宅建、ITパスポート、第一種衛生管理者等)やメンタルヘルスに関係する書籍を配備した。定期面談の中でも資格取得が昇格につながることを伝えたところ、資格試験にチャレンジする風土が醸成され、先に資格取得した社員がこれから取得を目指す社員にレクチャーする場面も見られた。 また、課内活動としてThanks Card(日常業務で助けてもらったり、良い行動を見たときにカードにコメントを書き、社員同士で感謝の気持ちを交換し合うもの)を導入し、自己肯定感を向上させる取組を行った。 そのほか、親会社の方でも各種報奨制度の拡充や表彰者の発表等により、意欲の向上を図っている。 ◆取組の効果 @自己管理能力の向上 社内に再雇用制度の周知がいきわたり、障がいのある社員も自身に合った雇用形態での継続勤務を考えられるようになった。 定年後に理想的なワークライフバランスを実現した社員の活躍ぶりは、今後定年を控えている社員のロールモデルとなり、意欲の向上にもつながっている。 同課及び親会社としては、今後も社員が自身の定年後の働き方に関心をもてるよう、活動を継続・発展させていきたいと考えている。 また、定期面談では、自己評価の確認とともに作業面の数値的なフィードバックを併せて行っているので、過去の自身の作業量等と比較する中で「加齢に伴う変化」に気付く機会になっている。 A自己研鑽の支援、自己肯定感の向上 自己研鑽による資格取得、Thanks Card、各種報奨制度の拡充、表彰者の発表等は自己肯定感の向上につながり、長期の継続就労への意欲が高まった。過去に優秀社員賞受賞歴のある社員の活躍は、若い世代の社員にとっても見本になっている。 ◆担当者の声 (ビジネスサポート課 課長 鈴木様) 様々な障がい、年齢のメンバーがいる中で、「職場改善プロジェクトチーム」が試行錯誤しながら展開している施策は、障がい者雇用職場には本当に有用な取組となっています。特例子会社にとっては「加齢」という大きな課題は避けて通れないので、メンバーとともに引き続き真摯に取り組んでまいります。 就労継続に向けた配慮・工夫を行った取組 --------------------------------------------------------------------- 12.親会社と連携し、能力発揮が困難になりつつあった社員の配置転換及び全社の障害者理解が一層深まった取組 ◆事業所の概要 株式会社王将ハートフルは特例子会社であり、親会社は株式会社王将フードサービスである。同社は京都府内に拠点を構え、令和6年5月1日時点の社員数は全体で34名、うち障害のある社員は29名(知的障害者26名、精神障害者3名)である。 同社は、職場の変化により就労上の課題が生じた社員Aさんの継続雇用への取組や、特例子会社としての経営目的の明確化と制度づくりの取組が評価され、障害者雇用優良事業所として、JEEDの理事長賞を受けている。 それぞれの背景と取組、効果、同社の担当者・当事者の声などを紹介する。 <取組1> 職場環境の変化により、特例子会社での能力発揮が困難になりつつあった社員を親会社へ配置転換することにより職域開発、就労意欲の喚起につなげた取組 精神障害 ◆取組の背景と課題 Aさんは精神障害のある方で、入社して5年目。障害特性として、一人で黙々と作業することは得意だが、周囲とコミュニケーションをとりながら協調して作業することは苦手であった。入社時は落ち着いて仕事に取り組んでいたが、社員が増える中で、徐々に連携や協調を求められる場面が増え、Aさんには作業のミスや、コミュニケーション面での課題が見られようになり、意欲面の低下もあった。 同社では対応の必要性を感じており、Aさん自身もそうした状況につらさを感じていた。 ◆取組  ・支援機関との連携 課題解決に向け、障害者職業センターや障害者就業・生活支援センターと連携して取組を行った。 同社では障害のある社員の指導などを担当する者として「指導員」を配置しており、支援機関と連携しながら、Aさんとの面談を行ったほか、職業センターのジョブコーチによる支援なども活用したが、なかなか課題の解決には至らなかった。 ・親会社と連携した職域開発 同社は色々な取組を進める中で、社内だけでの取組に限界を感じ、Aさんの特性を生かした職域開発のため、親会社に連携を依頼した。親会社も連携することに同意し、同社の担当者とAさんは親会社の工場見学を行った。見学では親会社の工場長が同行し、工場の仕事を一つひとつ確認する中で、「コンテナクリーン場の作業」が候補として選ばれた。試しに作業体験をしたところ、順調な作業ぶりで、Aさんも手ごたえを感じたことから、親会社の工場で実習を行うこととなった。 実習は親会社での研修という位置づけで、2か月間行われた。Aさんの仕事ぶりは良好で、親会社の評価も高く、Aさん自身もやりがいを感じ、その作業での就労を希望した。 そうした状況を踏まえ、同社は親会社への「出向」(配置転換)による就労継続を提案した。同社の提案を受けて、親会社はAさんの受入れを了承した。 両社は出向に関する「覚書」を締結し、令和6年1月からAさんは親会社へ出向し、コンテナクリーン作業での勤務をスタートした。 ◆取組の効果 出向先でのAさんの仕事は、コンベアから流れてきた洗浄済みのコンテナをパレットに積み、パレットごとラッピングするもので、他の社員との共同作業は少なく、Aさんの特性を生かした職域で、現在(令和7年7月)も同じ作業に従事している。安定的な勤務や仕事ぶりで、親会社の評価は高く、Aさん本人も「仕事が楽しい」と周りの人に話し、表情も明るくなるなど、働きがいを感じている。親会社への出向により、障害のある社員の特性や職場の変化に応じた職域を見出したと言える。 また、Aさんの例を契機に、親会社も含めた同社での障害者雇用への取組も進展した。 具体的には、親会社と同社(特例子会社)との情報交換会の定例化、親会社の社員(Aさんの出向受け入れ部署の責任者)による障害者職業生活相談員資格認定講習の受講、グループ企業における特例子会社の役割・貢献に関する理解の深化、評価の向上、出向による障害者雇用の拡大などにつながっている。 作業中のAさん (写真提供:「働く広場2024年5月号」) ◆担当者の声 同社の担当者(事業部係長 吉村様) 今回(Aさん)の事例により、障害のある社員が様々なポジションで活躍できることが親会社にも理解されました。今後は、コンテナクリーン場においてさらに業務拡大を進め、新人の受け入れやサポートができるよう育てていきたいと考えています。 当社では毎年、最も活躍した社員を表彰(MVP賞)しています。令和7年はAさんが受賞し、働く社員(同僚)に挑戦することの大切さを伝えることにつながりました。 親会社の担当者(製造本部 久御山工場長 八田様) 最初は新たな仕事に慣れるかどうか、周囲と連携できるかなど不安もありましたが、Aさんの働きぶりはすぐに周囲へ好影響を与えました。業務に対して真摯に向き合う姿に「大切に育てていこう」という雰囲気が生まれ、職場の活性化につながりました。Aさんは、今後はさらに業務の幅を広げるために、フォークリフト免許の取得も検討しています。「現在の仕事」という枠にとらわれず、障害のある社員の可能性を最大限に引き出し、戦力として活躍されることを大いに期待しています。 ◆社員の声 (A様) 以前の仕事では楽しいと感じる時間が少なく、業務を難しいと感じていました。コンテナクリーン場での実習は、新しいことに挑戦するワクワクした気持ちと同時に、自分に合っているのか、できるのかという不安もありましたが、実際にやってみると、とても優しく分かりやすく教えていただき、安心して仕事ができました。私の後にも出向した社員がおり、仲間が来てくれたことが嬉しく、切磋琢磨して頑張っています。 <取組2>  特例子会社の経営の実践を通じて、「社員のやりがいと成長」という経営方針を明確化し、その実現を目指した制度づくりをした取組 すべての障害 ◆取組の背景 同社は特例子会社として、平成29年4月の事業開始から7年間の様々な取組や経験を通じて、特例子会社としての経営の目的を明確化するとともに、その実現に向けた制度づくりと運用を進める必要が生じていた。 ◆取組 ・経営目的の変化(明確化) 同社の設立目的は法定雇用率の達成であったが、実際に障害者を雇用し、事業を運営する中で目的は変化していった。現在は、「社員のやりがいと成長を追求する」を目的とし、目的の実現に向けた制度づくりや運用に取り組んでいる。 また、同社がそうした目的で取り組んでいることを、会議や朝礼など、様々な機会を利用して伝え、社内の理解促進に努めている。  ・制度づくりの現状 役職制度(指導員、リーダー職、サブリーダー職)、等級制度、賃金制度、表彰制度、従業員満足度調査などを順次整えていった。主たる制度の概要は以下のとおり。 <役職制度の概要> 「指導員」は障害のある社員に業務を教える(指導する)役割で、障害のない社員が主である。 「リーダー」は障害のある社員の中で、障害のある社員に業務上の指示やサポートを担当する者で、「サブリーダー」はリーダーを補佐する者である。 <等級制度・賃金制度の概要> 社員の職務に応じて5区分(1等級から5等級)を設定している。採用時は1等級からスタートし、サブリーダー等の役職に応じて昇格する。リーダーは4等級、指導員は5等級で準管理職である。 賃金は、等級に応じた基本給、勤続年数による額と、役職手当、通勤手当等の各種手当で決定している。 また、親会社への出向事例を契機に出向制度も整えた。 ・社員の育成・教育について  障害のある社員の育成・教育面でも、各種研修の実施、OFF−JTの継続実施に取り組んでいる。指導員についても、定期的に研修を実施している。 ・親会社と連携した取組 同社から親会社へ出向することで、職域開発・意欲喚起などにつながった事例があったことから、出向制度も整えた。出向者がいる場合には、両社の担当者による情報交換会を定期的に設けるとともに、特例子会社の経験も踏まえ、親会社への助言を行うなど、連携して取り組んでいる。 ・「キャリアパス」の構築 各種制度の整備や運用・実践をもとに、障害のある社員の「キャリアパス」を以下のように構築している。 キャリアパスの概要 ◆取組の効果 ・定着状況など 障害特性等に応じた雇用管理や、社員のやりがいなどに配慮した取組を進めていることなどが功を奏し、定着状況は良好である(令和7年1月の状況で、過去3年間に採用した者の6か月後の定着率は100%、1年後93%、3年後87%)。 満足度調査で把握された意見等も職場改善等に活かしており、満足度も高くなっている。 ・キャリアアップなど 育成などに力を入れることで、リーダー、サブリーダーに任命される者が出ている(現在リーダー1名、サブリーダー3名が任命されている)。また、指導員は障害のない社員が担っていたが、リーダーから昇進した障害のある社員1名が令和6年6月からはじめて指導員となったり、障害のある社員が障害者職業生活導員の資格を取得し、相談員として活躍するなど、障害のある社員の成長やキャリアアップが実現している。 ・親会社の取組の進展 親会社と同社が連携することで、親会社の障害者雇用の取組も進められている。その背景には、同社の障害のある社員の確実な仕事ぶり(作業へのクレーム激減や労災事故ゼロなど)に対する親会社の高い評価がある。令和5年度からは親会社から同社への新規事業(ポリッシャー事業)の受託がなされ、今後も更なる受託業務の拡大などがなされる予定である。また、久御山工場では全管理職が障害者職業生活相談員の資格を取得し、親会社における障害者雇用の体制も整備されており、障害者雇用が進んでいる。親会社と同社の連携による更なる進展が期待される。 ◆担当者の声 同社の担当者(取締役 太田様) 社員が成長していく姿は様々なので、複線型のキャリアパスを示しています。 リーダー的な資質のある社員は意図的にサブリーダーやリーダーに任命し、チームをまとめていく役割を与え、得意なスキルを持つ者には専門性を伸ばす仕事の与え方をしました。 障害のある社員として初めて指導員となった岩前さんは、入社当初からリーダーの素質があり、自ら「みんなを引っ張っていき、信頼される存在になりたい」と公言していました。そんな彼に会社は期待し、指導員に抜擢すると、当初は苦労していましたが徐々に本領を発揮し、今では立派に指導員として現場を指導してくれています。彼の活躍を見て、次のリーダーやサブリーダー達も育ってきています。今後は、更なるキャリアパスとして、優秀なリーダー層の中から親会社へ出向させる計画も練っているところです。 ◆当事者の声 (事業部 岩前様)※障害のある社員で、はじめて指導員に任命された方 自分が仕事を頑張ってきたことが認められ、自分を信頼してもらえたと感じました。今まで以上に周りを見る力を磨くため、自分のできない所を認め、周りの意見を聞くようにしています。 会社設立時の一期生として入社しましたが、社員が増えるとともに業務が増え、制度が整い、環境はどんどん変わっていきました。私はその変化、成長を面白いと感じています。 今までで一番楽しかった経験は、店舗での経験。自分達が加工した食材が、どのようにしてお店で使われているか知ることができ、大変勉強になりました。 就労継続に向けた配慮・工夫を行った取組 --------------------------------------------------------------------- 13.障がい特性や病状などに配慮した勤務制度、指導体制及びキャリアアップ制度を整備した取組 すべての障害 ◆事業所の概要、取組の背景と課題 株式会社ダイユーエイトは東北地方を中心にホームセンターなど100店弱の店舗を運営しており、障がいのある社員40名を雇用している(令和6年4月1日時点)。社員の障がいは、身体障がい、知的障がい、精神障がいと多岐にわたっていた。障がいのある社員の多くは店舗に勤務し、商品の補充・陳列作業に従事していた。補充・陳列作業はチームで行っており、指導や相談などは店長や主任等が担当していた。 課題1:障がい特性や病状、加齢による変化などに配慮した勤務制度 などの必要性 内部障がいのある社員や精神障がいのある社員については、病状や体調の変化への対応が必要であり、ケースバイケースで対応していた。また、社員全体の年齢が上がっており、障がいのある社員についても同様であった。同社では、障がいの有無に関係なく、社員が働きやすい職場環境を整え、やりがいをもって働き続けてほしいと考えており、障がい特性や病状、加齢による変化に対応した勤務制度の整備や職場環境の整備、具体的配慮の提供が必要と認識していた。 課題2:担当者による指導や配慮の統一的対応の必要性 一店舗に勤務する障がいのある社員数は1〜2名で、配置店舗数は22か所と多い。そのため、店舗や担当者により指導方法や配慮内容などが異なり、必ずしも統一されていなかった。そして、障がいのある社員の離職者も一定数あり、課題と認識していた。 課題3:スキルアップ、キャリアアップなどに関する支援の必要性 社員のスキルアップ、キャリアアップが重要と考えており、障がいのある社員についても取組が必要と考えていた。例えば、販売士、DIYアドバイザー、自転車整備士など同社の業務に役立つ様々な資格があり、それらの資格を取得することは、社員のスキルアップ、キャリアアップにつながり、会社にとってもメリットがある。障がいのある社員にとっても同様であることから、資格取得に向けた支援が必要と考えていた。 また、人事評価においては、障がいの有無に関係なく、資格取得状況や職遂遂行状況など、客観的な評価に基づき、昇進などを行いたいと考えていた。 ◆取組  前述の各課題に応じて、以下の取組を行った。 取組1: 障がい特性などに応じた勤務制度の運用と配慮の実施、職場の安全確保 @休職制度  病状などにより勤務できない状況になった場合には休職制度を利用して治療に専念してもらい、勤務できるようになってから復帰してもらうようにしている。復帰に際しては、主治医や社内の関係者(所属長、人事担当、産業医など)と相談しながら無理のないように復帰できるようにしている。必要な場合には、少ない勤務時間や勤務日から段階的に増やしていくような配慮も行っている。 A環境整備 加齢などに対応した安全な職場環境の整備として、店内はもちろん、バックヤード(倉庫など)でも段差をなくすなど、転倒事故防止措置などを講じている。また、社内の安全衛生委員会では障がいのある社員や高齢社員の安全確保を最重要項目に設定し、委員会活動で積極的に取り組んでいる。 働きやすい環境づくりにも取り組んでおり、商品の補充・陳列作業では、重量物は台車を使う、棚の表示を見やすくするなどの配慮を行っている。また、視力低下した社員は細かい物品の扱いは避ける、高齢社員は重量物を扱わないなどの取組を行っている。 段差をなくしたバックヤード 台車を使った作業場面 棚への商品補充場面 取組2:研修などを通じた指導方法・指導体制の向上、面談機会の確保 障がいのある社員の指導などを担当する社員向けの研修を本社主催で行った。当該研修で障がい特性と特性に応じた指導方法やコーチングの方法などについて学ぶことで、指導力の向上を目指した。 また、研修に先立ち、指導方法などについて会社全体の考え方や方法について統一し、明確にした。その明確にした考え方・方針については本社から各店舗に周知し、全社的に理解できるようにした。 さらに、同社でトレーナー(メンター)制度を導入し、障がいのある社員についても同制度の対象としていた。トレーナーには、障がい特性などについて学ぶ機会を設け、適切に関わることができることを目指した。 なお、同社では、店長(本社であれば部長)との定期的な面談が持たれている(人事評価面談年間2回、働き方に関する面談年間2回)。障がいのある社員についても同様である。 本社主催の研修場面 障がいのある社員との面談場面 取組3:資格取得支援、キャリアアップ支援の必要性 同社は、業務に役立つ資格の取得に向けた支援として、通信講座や受験費用の一部を補助していた。また、資格取得者については資格手当を支給していた。障がいのある社員についても当然対象であり、補助の内容や手続きについて説明し、資格取得を勧め、補助を行った(過去3年間で3名が補助対象)。 そして、キャリアアップについては、障がいの有無に関係なく、資格取得状況や職遂遂行状況など客観的な評価に基づき行っている。 ◆取組の効果 取組1の効果:休職制度、安全確保 @休職制度 障がいのある社員が心身の不調により休職するケースはあるが、状態が良くなるまで会社が待つ方針であることは社内で理解されており、該当者は治療やリハビリに専念できている。休職制度の利用者は、過去3年間で9名、平均すると1か月程度が休職期間である。 復帰の際にも、本人と相談しつつ、主治医や産業医とも連携しながら、勤務時間を段階的に増やすなどの工夫を行い、復職希望者は全員が復帰している。また、前項同様、休職や復帰に関する取組は全ての社員が対象であり、会社全体の働きやすさにもつながっている。 なお、前項とも関連するが、勤務時間の調整や休職の取組については、休んだ社員のカバーをどのようにするかが課題であった。当該職場の状況によって対応は異なるが、例えば、本社の経費負担で当該店舗にアルバイトを配置するなどカバーに努めた。 会社の方針を示したうえで、具体的な対応を模索することで、現場の理解と協力が得られ、勤務時間の調整や休職の際には大きな支障は生じていない。 A環境整備 安全な職場づくりや見やすい表示、重量物の扱いの制限などにより、障がいのある社員からは働きやすいとの感想が聞かれている。実際に、障がいのある社員の事故は起きておらず、業務上のミスなども少ない。そして、障がいのある社員だけでなく、障がいのない社員にとっても安全で働きやすい職場につながっている。 本社でも環境整備に取り組んでおり、車いすを利用している社員向けにスロープを設置し、当該社員の働きやすさにつながっている(設置に際してはJEEDの助成金を活用している。)。 本社に設置されたスロープ 取組2の効果:研修などを通じた指導方法・指導体制の向上 チームリーダーなどへの研修により、統一的な指導や必要な配慮が行われるようになり、指導する側のばらつきなどがなくなった。指導する側も、障がい特性や指導方法について理解し、安心して取り組むことができた。トレーナーについても同様であった。そして、チームリーダーなどの取組事例を収集・分析することで、ノウハウの蓄積・共有にもなり、指導・支援の質の向上、体制の整備につながった。障がいのある社員の離職者数も減少している。 取組3の効果:資格取得とキャリアアップ 資格取得の経費補助により、障がいのある社員の資格取得者があった。資格取得者には資格手当を支給するほか、職務の拡大などにもつなげており、業務に貢献している。 なお、現在までには知的障がいのある社員の資格取得者はいないが、資格によっては取得可能と同社が考える資格もある。本人の意向を尊重しながらではあるが、取得希望者には経費補助だけでなく、有資格者が支援するなどにも取り組みたいと考えている。 キャリアップについても、人事評価においては、障がいの有無に関係なく、資格取得状況や職遂遂行状況など、客観的な評価に基づき、昇進などを行っている。そうした取組の結果、障がいのある社員がフォークリフト運転資格を取得し、運転業務に従事するなど他の障がいのある社員の励みになっている。 入社後、フォークリフト運転資格を取得し、運転する様子 ◆担当者の声 (管理部人事グループ人事課 齋藤様) 障がいのある方が安心して働けるよう、勤務時間の柔軟な調整や休職制度の活用を支援し、個々の状況に寄り添った職場環境づくりに努めています。障がい者の特性に応じた柔軟な働き方や支援制度の導入が、雇用の安定や職場定着に大きく貢献していると感じています。 ◆担当者の声 (取締役管理部長 馬場様) 障がい者雇用に関する研修を通じて、職場の理解促進と支援体制の強化を図りました。多様な働き方への理解を深めることで、誰もが安心して働ける環境づくりにつなげていきたいと考えています。 ◆当事者の声 (福島西店 菅野様)※フォークリフト運転資格取得者 入社してからフォークリフトの運転免許を取得できました。費用は会社負担でしたので、積極的にチャレンジできました。 就労継続に向けた配慮・工夫を行った取組 --------------------------------------------------------------------- 14.誰もが使いやすい治具や仕組みを工夫する「ユニバーサル改善」の組織的な取組 <取組1> 生産工程において加齢に伴う障がいの変化に よる作業負荷を軽減するための治具の制作を行った取組 身体障害 ◆事業所の概要、取組の背景と課題 ホンダ太陽株式会社は昭和56年に設立された特例子会社である。 同社の雇用する障がいを持った従業員215名のうち、肢体不自由者は97名で全体の45%を占めており、うち67名は身体障害者手帳の重度と判定されているが、長年の勤務の中で身体的負荷が高くなる作業や生産効率が落ちる工程もあった。例えば、1日125個だった生産数が100個に落ちた社員もおり、調査を行ったところ、障がいや加齢による体力等の低下の影響が明らかになった。 以下に、その主な工程を2つ挙げている。 1 バケット移動の工程 製造工程においては、製品の入・出荷をバケット(容器)により行っており、「供給バケットからの製品の取り出し」→「部材組立」→「完成品のバケット入れ」という流れとなっている。また、供給されたバケットはそのまま次工程へ流用されるため、自分で移動する必要がある。 作業によっては1日9個程度のバケットの入れ替えが必要であるが、バケットは満杯になると4.45kgもの重量となるため、肢体不自由の程度が重い作業者や車いすの作業者には、長年の勤務の中で大きな身体的負担となっていた。 また、体幹機能に障がいのある作業者や手指機能の弱い作業者は組立等の作業は可能であるが、バケットの持ち上げができないために、本工程に配置できない等の課題も生じていた。 2 ラベル貼りの工程 障がいにより片手のみが使用できる者が行う作業にラベル貼りの作業があるが、ロール状のラベルを手で保持できず、ラベルが転がってしまうため、作業効率が低調であった。 いずれの工程も一人でできないときは、都度、周囲の同僚に応援を頼んで手伝ってもらうが、作業が自己完結できないため、作業者の精神的な負担にもつながっている側面があった。 これらに対して、班長と作業者の日常的なコミュニケーションにより困りごとを汲み取り、設備管理課と連携し、改善に向けて着手することとした。 ◆取組  1 作業負荷軽減のための治具の製作 作業上の負担感を感じている作業者の要望を元に、設備管理課が周辺設備を設計・製作した。 (1)作業者自身の最小限の力によるレバー操作やボタン操作で自力で作業ができるように、からくり機構(動力に依らない、重力などの自然エネルギーや、歯車やてこの原理などで動く簡単な仕組み・装置)を考え、自重や「コロコン」と呼ばれる駆動源をもたないローラーを使い、バケットの移動が容易にできるように作業改善を行った。 コロコン 実際の製作物には、勾配と自重・重りでバケットを左右に移動させることができるものやバケットの持上げ、段積みをするもの、奥側へ移動するものなどがある。 パッキン作業の改善 チューブ梱包作業の改善 アウターハンドルシューターの改善 (2)ロール状のラベルが転がらないように保持する治具を製作し、片手でも作業がしやすいようにした。  ラベル貼り作業の改善 ◆取組の効果 1 作業負荷軽減のための治具の作成 (1)バケット移動の作業改善 ・バケット移動などの身体負荷の高い付随作業に労力を使わなくて良くなった。それにより、生産に集中できる時間が長くなったことで生産数が向上した。 例) 空調部品ライン生産数が1日340個から350個へ、アウターハンドル(自動車ドア外ハンドル)ライン1日751台から780台へそれぞれ向上した。 ・組立作業さえできれば該当ラインに配置可能となったことで、作業者の職域拡大につながった。 (2)ラベル貼りの作業改善 ・ロール状のラベルでも保持が容易になり、100枚あたり106秒から50秒へ作業時間短縮ができた。 ・1か月あたりラベル 6000枚の作業を行うので、月あたり 3360秒の作業時間短縮ができた。 2 作業者への効果 ・バケット移動の度に同僚に声掛けして手伝いを頼む必要がなくなり、作業を自己完結できるようになった。 ・「同僚が忙しいタイミングだとバケット移動を頼みづらかったが、そうした気を使わずによくなった」という意見があった。取組前は、周りが手伝いをすることで作業が成り立っている状態が作業者の精神的な負担となっていたが、その負担を軽減することができた。 ・作業者によっては「自分たちのために治具を作ってくれたから頑張ろう!」とモチベーションが向上し、「スムーズな作業のためにもっとこんな物が欲しい」等の建設的な意見もあげてくるようになった。このように、作業効率の向上に伴って、社員の前向きに取り組む姿勢が見られるといった相乗効果が生まれた。 ◆今後の取組 高齢化も要因とされた課題に関して施策展開を行っている期間にも、加齢により能力は低下しているため、当初見込んでいた結果よりも効果が低くなることが想定された。加齢とともに体力・能力が落ちてくると、ますます身体的負荷の高い作業ができなくなってくることが考えられることから、状態に応じた改善策について継続して検討していく。 ◆担当者の声 (施設管理課 技術主任 松尾様) 改善を行ったラインを担当している作業者から「楽になった、ありがとう」と言われたことが何よりうれしかったです。 社内にはまだまだ身体負荷の高いラインが存在するので様々なアイディアを盛り込みながら負荷低減できるよう展開していきたいと思います。 ◆社員の声 (土屋様) 今まではバケットが低い位置にある時や重たい時は取れなくて大変でしたが、それがなくなり身体的に楽になりました。 <取組2> 作業動画マニュアル導入による理解度向上を図った取組 すべての障害 ◆取組の背景と課題 前述の同社の高齢化と障害状況を要因とする製造工程における身体負荷軽減の取組と併せて、誰もが使いやすい仕組みを工夫する「ユニバーサル改善」の組織的な試みである本取組も紹介する。 近年の傾向として精神障がい・発達障がいがある方の入社が増えてきている。従来の健常者・身体障がい者向けに作られた紙媒体での作業標準書では教育の際に実作業の細かい動作等がなかなか伝わらず、作業教育に時間がかかることが多くなっていた。そのような状況から作業教育時の課題として、@教育を受ける側の理解度向上、A教育する側(指導者)の負担軽減があげられた。 これらの課題を解決するために、より効果的な教育方法がないか模索した結果、料理レシピの動画サイトから着想を得て、作業者目線で撮影した動画によるマニュアルを用いた教育が最適案ではないかとの考えに至り、班長を中心に取組を開始した。 ◆取組  1 作業標準書(作業手順書)の分析 対象となる97種類の作業標準書を分析し、重要な手順や安全に関する情報、注意が必要な箇所を選定し、動画化する範囲について優先順位を付けた。 作業標準書の一例 2 作業者目線での撮影・編集 当初は、既存の社内備品(カメラ、パソコン等)で撮影、編集し、できあがった動画マニュアルを様々な作業者に試し、意見・感想を聞き取りながら修正することを繰り返した。 なお、本取組は社内に前例がなかったため、予算の捻出や周囲の理解を得るまでに苦労したが、これらの成果が認められたことから、ハンズフリーで撮影できる高性能の小型カメラや編集ソフト等の購入に至った。 作業者の頭に小型カメラを装着し、作業者目線で撮影することによって、実際の作業に近い視点で視聴することができるようにした。 しかし、ただ映像にするだけでは注意するポイントが伝わらず、単調な作業動画になってしまうので、どうすれば注意するポイントが伝わりやすいか、何度も検討を重ねた。特に、動画の視点や照明の当て方、コメントなどの加え方、作業者が必要とする注意点を表示するタイミングなどの編集方法などに苦慮した。 また、ベテラン作業者の作業スピードが速すぎて伝わらなかったということも分かり、作業者自身が解説を入れながら作業してもらう等撮影方法も模索しながら進めた。 このように、より理解度が向上するように動画編集方法を勉強しながら、字幕の出し方など編集を工夫し、障がいの有無に関わらず直感的に手順が理解できる構成とした。 作業動画マニュアルの画面 3 教育環境の整備 新たに導入した動画マニュアル(22本)を活用した教育方法を推し進めるために、作業者が現場で視聴しやすいタブレット端末や形状を自在に変えられるフレキシブルアームを用意し、作業しながらでも動画を見やすい環境を整えた。 ◆取組の効果 1 作業内容の理解度の向上 ・物を取るときの手の軌道など、紙媒体では伝わりにくい熟練者の無駄のない動きやカン・コツの部分などが伝わりやすくなった。 ・作業内容の理解度が上がったことでヒューマンエラーによるミスが低減できた。 ・精神障がい、発達障がいの方のみならず、聴覚障がい、中高齢者など年齢や障がいの有無を問わず、広く効果が感じられた。 2 教育時間の減少 ・本取組を実施したラインにおいて、作業者及び指導者、各1名あたりの教育時間は以下の表のとおり削減された。 取組前の所要時間 取組後の所要時間 削減された時間 作業者 105時間 70.7時間 34.3時間 指導者 10時間 6.5時間 3.5時間 本取組を行った年には、社員5名に対して動画マニュアルによる教育を行ったことから、全体の削減時間は、(34.3時間+3.5時間)×5名=189時間 となった。 3 人に聞くことを負担に感じていた者の精神面の負担軽減 ・作業動画マニュアルの操作に関しては動画サイトなどで馴染みがあるので、ほとんどの作業者は違和感なくできている。 ・「分からない部分があっても、何度も聞きにくい」、「人に聞くことがそもそも苦手」等のコミュニケーションが苦手な者も多いが、作業動画マニュアルを使うことで人に聞かずに自分で何度でも見直すことができ、精神面での負担が減少した。 ◆今後の取組 現在、他ラインにも動画マニュアルを導入する取組を継続しているが、今後の課題として、動画編集者の育成が上げられる。本テーマはすでに今年度の同社の実施計画に盛り込まれており、新たにラインに配属される前の製品の勉強会の一部資料を動画に代えることとしたため、担当部署6名が動画作成を経験している。 ◆担当者の声 (事業1課2係 班長 高柳様) 作業動画マニュアルを導入したことで、理解度が上がり、教育時間も短縮できました。さらに、コミュニケーションに不安を持つ方のストレスを軽減することができました。 聞きづらいから分からないままにしてしまうということが減り、結果的に作業品質の安定にもつながっていると感じています。今後は編集作業者の教育や拡充を進め、さらに効果を広げていきたいと考えています。 ◆社員の声 (佐藤様) 作業時に注意するポイントで一度映像が止まり、説明が入る点などが分かりやすかったです。 作業標準書と同じ流れで動画にして目で流れを追いながら理解ができる点が良いと思います。 ◆社員の声  (中村様) 紙の作業標準書も同時に使いながら教育を受けました。聴覚障がい者は字幕を見ますが、分からない時に都度動画を止めて聞ける所が良かったです。 --------------------------------------------------------------------- JEED の障害者雇用に役立つ資料 障害者雇用に取り組む事業主の方へのお役立ちページ ホームページの「障害者雇用に取り組む事業主の方へのお役立ちページ」で障害者雇用に取り組む事業主の方に役立つ情報を掲載しています。 〇はじめての障害者雇用 〜事業主のためのQ&A〜 「障害者雇用はどのように進めればいい?」、「どのような仕事をしてもらったらいい?」など、企業の方が障害者雇用を進めるにあたって直面することが多い不安などに対して、具体的な方策や関連情報をQ&A形式で解説しています。 〇障害者の労働安全衛生対策 障害ごとに配慮した職場における安全衛生に関する様々な対策を紹介しています。 「障害者の労働安全衛生対策」ページの画像 (https://www.jeed.go.jp/disability/data/handbook/index.html) 障害者雇用職場改善好事例集 障害者の雇用管理や雇用形態、職場環境、職域開発などについて事業所が創意・工夫している取組を、テーマ別に取りまとめて紹介した事例集を作成しています。 過去に作成した好事例集の一例 ○中小企業における障害者の職場定着推進のための職場改善ケースブック ○障害者の労働安全衛生対策ケースブック ○中高年齢層の障害のある方の雇用継続に取り組んだ職場改善好事例集 ○精神障害・発達障害のある方の雇用促進・キャリアアップに取り組んだ職場改善好事例集 ○身体障害、難病のある方などの雇用促進・職場定着に取り組んだ職場改善好事例集 ○中小企業等における精神障害者や発達障害者の職場改善好事例集 ○就職困難性の高い障害者のための職場改善好事例集 (https://www.jeed.go.jp/disability/data/handbook/ca_ls/ca_ls.html) 障害者雇用事例リファレンスサービス 障害者雇用について創意工夫を行い積極的に取り組んでいる事業所の事例(モデル事例)や合理的配慮の提供に関する事例をホームページで紹介しています。 (https://www.ref.jeed.go.jp/) 障害者雇用のためのマニュアル 事業主が障害者雇用を進めるうえで参考となる資料を作成しています。 ○コミック版 (https://www.jeed.go.jp/disability/data/handbook/manual/emp_ls_comic.html) ○新シリーズ(障害別に順次刊行) (https://www.jeed.go.jp/disability/data/handbook/v1tt1c0000001cim.html) 障害者雇用のための DVD 障害者雇用を積極的に進めている企業の取組や、活き活きと働く障害者の様子、企業や障害者を支える支援者の姿を映像で紹介するとともに、企業担当者へのインタビュー等を通じて、雇用管理等に関するさまざまなノウハウをわかりやすく解説したDVDです。 お問合せ 障害者雇用開発推進部 TEL:043-297-9513 FAX:043-297-9547 JEEDホームページに動画を掲載しています。 ◆この他にも、障害者雇用への理解を深めていただくために様々なDVDの無料貸出しを行っています。  詳しくは以下のホームページをご覧ください。 (https://www.jeed.go.jp/disability/data/handbook/dvd/index.html) 就労支援機器貸出・相談窓口のごあんない 福祉情報技術に関する高い専門性を有する就労支援機器アドバイザーが、障害者の就労を支援する機器の紹介や活用方法に関する相談を行っています。機器の展示コーナーを設けていますので、実際に手に取ってお試しいただくこともできます。また、障害者を雇用する事業主への無料貸出に関する案内を行っています。 1.就労支援機器の展示・相談受付 就労支援機器アドバイザーが、障害の状況、職務内容、就労環境などをお伺いしたうえで、支援機器の活用事例の紹介やデモンストレーションを交えて、機器導入についての相談に丁寧に対応します。 2.就労支援機器の貸出 就労支援機器を事業主に無料で貸し出します。 (1)貸出の対象となる事業主 障害者を雇用している、または雇用しようとしている事業主など (国、地方公共団体、独立行政法人などは除く) (2)貸出期間 原則として6か月以内(必要に応じて1回限り延長可能。最長1年間の貸出) ※職場実習や採用試験、トライアル雇用の場合も利用できます。 (3)貸出の流れ 貸出についてのご相談 まずは就労支援機器貸出・相談窓口までお問い合わせください。 ↓ 申請書のご提出 申請書に必要事項を記入し、メールまたは郵送でご提出ください。 ↓ 貸出の決定と提供 貸出内容を通知し、機器をお送りします。 ↓ 貸出の終了とご返却 宅配業者を手配し、回収に伺います。 就労支援機器貸出・相談窓口 住所 〒130-0022 東京都墨田区江東橋2丁目19番12号ハローワーク墨田 5階 電話 03-5638-2792 FAX 03-5638-2282 メールアドレス kiki@jeed.go.jp (https://www.jeed.go.jp/disability/employer/employer05.html) 就労支援機器普及啓発ホームページ 就労支援機器に関する情報、貸出制度の概要を掲載しています。 (https://www.kiki.jeed.go.jp/) 障害者雇用支援人材ネットワーク事業 障害者の雇用管理にかかる専門的な支援を必要とする事業主に対して、障害特性を踏まえた雇用管理及び合理的配慮の提供に関する相談・援助を行っています。具体的には、障害者雇用支援ネットワークコーディネーターが相談を実施するほか、障害者雇用にかかる専門的な知見を有する外部の専門家「障害者雇用管理サポーター」を事業所に派遣しています。 1.障害者雇用支援ネットワークコーディネーターによる相談・援助 障害者雇用に豊富な経験を有する障害者雇用支援ネットワークコーディネーターが、企業の規模・業種の特性に応じた雇用管理や合理的配慮の提供等に関する相談・援助を行っています(相談・援助等にかかる費用は無料です。)。 <障害者の雇用管理に関する相談例> ・職域拡大や新たな職域での雇用に関する具体的な相談・助言 ・企業の障害者雇用にかかる方針に関する相談・助言 ・特例子会社の設立・運営に関する相談・助言 ・就業規則や賃金体系等の労働条件に関する相談・助言 障害者雇用支援ネットワークコーディネーター配置センター 配置センター 所在地 問合せ先 管轄エリア 東京障害者職業センター 〒110-0015 東京都台東区東上野4-27-3上野トーセイビル3階 TEL:03-6673-3938 FAX:03-6673-3948 主に関東エリア 愛知障害者職業センター 〒460-0003 愛知県名古屋市中区錦1-10-1 MIテラス名古屋伏見5階 TEL:052-218-2380 FAX:052-218-2379 主に中部エリア 大阪障害者職業センター 〒541-0056 大阪府大阪市中央区久太郎町2-4-1 クラボウアネックスビル4階 TEL:06-6261-7005 FAX:06-6261-7066 主に近畿エリア 障害者職業総合センター 〒261-0014 千葉県千葉市美浜区若葉3-1-3 TEL:043-297-9072 FAX:043-297-9056 主に関東・中部・近畿以外のエリア メールアドレス(全コーディネーター共通):syougai-soudan@jeed.go.jp 2.障害者雇用管理サポーターによる支援 障害者の雇用管理にかかる専門的な支援を必要とする事業所に、労務管理、医療、建築などさまざまな分野の専門家「障害者雇用管理サポーター」の紹介・派遣を行っています。 障害者雇用管理サポーターによる支援をご希望の場合は、以下の方法で相談を受け付けています。 (1)障害者雇用支援ネットワークコーディネーターによるコーディネート 障害者雇用支援ネットワークコーディネーターが相談のうえ、事業主の相談内容に合わせて、サポーターと調整を行います(サポーターにかかる費用は無料です。)。 (2)障害者雇用管理サポーターへの直接連絡 障害者雇用管理サポーター検索サイト「障害者雇用支援人材ネットワークシステム」によりサポーターを検索し、直接連絡のうえ、支援の依頼について相談いただけます(支援に関する費用はサポーターによって異なります。サイトのサポーター検索結果からご連絡ください。)。 3.障害者雇用支援人材ネットワーク事業に関するホームページ @障害者雇用支援ネットワークコーディネーターによる相談・援助(上記1と2の(1)) ・障害者雇用支援ネットワークコーディネーターに相談したい。 ・障害者雇用管理サポーターの利用に向けて相談や調整をしてほしい。 (https://www.jeed.go.jp/disability/employer/shienjinzai.html) A障害者雇用支援人材ネットワークシステム(上記2の(2)) ・雇用管理サポーターを自分で探して、直接支援の依頼をしたい。 (https://shienjinzai.jeed.go.jp/)  障害者の在宅就業支援ホームページ チャレンジホームオフィス 通勤困難な障害者の就業機会を促進するため、在宅勤務の事例や在宅就業を支援する団体等をホームページで紹介しています。 (https://www.challenge.jeed.go.jp/) 障害者雇用を支援する施策 障害者雇用率制度 障害者の雇用の促進等に関する法律(以下「法」という。)では、「障害者雇用率制度」を定めており、事業主に対して常時雇用している労働者に障害者雇用率を乗じて得た数以上の障害者を雇用することを義務づけています。 事業主は、毎年6月1日時点の障害者雇用状況をハローワークに報告しなければなりません。また、障害者の雇用の促進と継続を図るための「障害者雇用推進者」を選任するよう努めなければなりません。 法定雇用率 民間企業における障害者の法定雇用率は、令和6年4月から2.5%、令和8年7月から2.7%です。 対象となる民間企業の範囲は、常用雇用労働者数が令和6年4月から40.0人、令和8年7月から37.5人以上の事業主となります。 例えば、令和8年7月以降、常時雇用している労働者120人の企業は、120人×2.7%=3.24人≒3人(小数点以下は切り捨て)となり、障害者雇用率制度においては、3人以上の障害者雇用義務があることになります。 企業において雇用率を算出する際の障害者の算定方法 障害者雇用率制度において、雇用障害者の数を算定する際は、以下の表のとおりとなります。 週の所定労働時間 30時間以上 20時間以上30時間未満(短時間労働) 10時間以上20時間未満(特定短時間労働)(注2) 身体障害者(重度以外) 1人を1人として算定 1人を0.5人として算定 − 身体障害者(重度) 1人を2人として算定 1人を1人として算定 1人を 0.5人として算定 知的障害者(重度以外) 1人を1人として算定 1人を0.5人として算定 − 知的障害者(重度) 1人を2人として算定 1人を1人として算定 1人を 0.5人として算定 精神障害者 1人を1人として算定 1人を1人として算定(注1) 1人を 0.5人として算定 一方で、法定雇用障害者数の算定の基礎となる労働者の数を算定する際は、障害の種類や程度に関係なく、短時間以外の常用雇用労働者を1人、短時間労働者を0.5人として算定します。 (注1)精神障害者である短時間労働者については、令和5年4月1日からの精神障害者の算定特例の延長に伴い、当面の間、雇入れからの期間等に関係なく、1人をもって1人とみなすこととしています。 (注2)令和6年度から、重度身体障害者、重度知的障害者及び精神障害者である特定短時間労働者(週の所定労働時間が10時間以上20時間未満である者)について、1人を0.5人として算定。 <障害者雇用率の算定例> (例)A企業 常時雇用している労働者250人(障害者7名雇用(身体3人、知的2人、精神2人)の場合、雇用労働者の勤務時間や雇用障害者の障害種別等をふまえて算定すると以下のようになります。 A企業全体 (うち障害者雇用7名) @ 短時間以外の常用雇用労働者 200人 B 知的障害者(重度) 1人 C 身体障害者(重度以外) 1人 A 短時間労働者 40人 D 身体障害者(重度) 1人 E 知的障害者(重度以外) 1人 F 精神障害者 1人 特定短時間労働者 10人 G 身体障害者(重度) 1人 H 精神障害者 1人 合計 250人 <雇用率> B(2人)+C(1人)+D(1人)+E(0.5人)+F(1人)+G(0.5人)+H(0.5人)×100=2.95% @200人 + A(40人×0.5) A企業の障害者雇用率は、2.95%となります。 除外率制度 一律の雇用率を適用することになじまない性質の職務もあることから、障害者の就業が一般的に困難であると認められる業種について、雇用する労働者数を計算する際に、除外率に相当する労働者数を控除する制度を設けています。 この除外率制度は、法の本則上廃止されたうえで、当面の間、法の附則において廃止の方向で段階的に除外率を引き下げ、縮小することとされており、平成16年4月、平成22年7月、令和7年4月に、それぞれ、一律に10ポイントの引下げが実施されました。 ⇒厚生労働省「除外率制度について」 https://www.mhlw.go.jp/content/001133551.pdf 障害者の雇入れに関する計画 障害者雇用の数が法定雇用障害者数を大きく下回っている企業に対して、ハローワークの所長は障害者の雇入れ計画に関する計画作成命令ができることになっています。 雇入れ計画の実施を怠っているなどの場合は、適正実施勧告がなされ、それでも従わない場合は、厚生労働大臣がその旨を公表する場合があります。企業名が公表されると企業のイメージダウンや社会的評価の低下につながり、企業経営に影響がでます。 障害者トライアル雇用 障害者トライアル雇用事業 障害者雇用の知識や経験に乏しい事業主は、障害者雇用に取り組む意欲があっても雇い入れることに躊躇することがあります。 また、障害者の側でも「どのような職種が向いているかわからない」「仕事に耐えられるだろうか」といった不安を感じている場合があります。 そこで、障害者を短期間の試行雇用(トライアル雇用)の形で受け入れることにより、事業主の障害者雇用のきっかけをつくり、常用雇用への移行を促進することを目的とするトライアル雇用を実施しています。 トライアル雇用の期間は原則として3か月間(テレワーク勤務を行う者は原則3か月以上6か月以内。精神障害者は6か月以上12か月以内)で、ハローワークまたは民間の職業紹介事業者等の紹介により、事業主と対象障害者との間で有期雇用契約を締結します。トライアル雇用期間中の労働条件は、労働基準法などの労働関係法令に基づき定めなければなりません。 <助成額> @トライアル雇用助成金(障害者トライアルコース)  トライアル雇用を実施した事業主に対して、トライアル雇用終了後に助成します。  〇精神障害者以外   支給対象者1人につき、月額最大4万円(最長3か月間)  〇精神障害者   支給対象者1人につき、3か月間は月額最大8万円、4か月目以降は月額 最大4万円(最長6か月間) Aトライアル雇用助成金(障害者短時間トライアルコース)  直ちに週20時間以上勤務することが難しい精神障害者や発達障害者について、3〜12か月の期間をかけながら20時間以上勤務を目指して試行雇用を行う事業主に対して助成します。  支給対象者1人につき、月額最大4万円(最長12か月間) ※助成金を受給するには要件があります。 ◆お問い合わせ 都道府県労働局、ハローワーク ジョブコーチ支援 職場適応援助者(ジョブコーチ)による支援 障害者が円滑に職場に適応することができるように、ジョブコーチを事業所へ派遣し、障害者と事業主に対して障害特性を踏まえた直接的、専門的な支援を行います。  事業所内のサポート体制をつくり、ジョブコーチによる支援の頻度を徐々に減らしつつ、事業主が主体的に支援できるようになることを目標としています。 〇障害者に対する支援 「作業手順を覚える」「作業のミスを防ぐ」などの職務を遂行するための支援、「質問や報告を適切に行う」など仕事をするうえで円滑にコミュニケーションをとるための支援などを行います。 また、「不安の軽減」や「ストレス・疲労への対処」のための相談を中心とした支援も行います。 〇事業主に対する支援 事業主や職場の社員に対して「障害を理解し、適切な配慮をするための助言」や「仕事内容や指導方法に対する助言」などの支援を行います。 ジョブコーチの種類 @配置型ジョブコーチ:地域障害者職業センターに所属するジョブコーチ A訪問型ジョブコーチ:就労支援を行っている社会福祉法人等に所属するジョブコーチ ⇒@Aに関するお問い合わせ 地域障害者職業センターなど B企業在籍型ジョブコーチ:障害者を雇用する企業に所属するジョブコーチ* *企業在籍型ジョブコーチは、自身が所属する企業で雇用されている障害者及び障害者とともに働く職場の社員等に対して、企業内で支援を行うものとなります。 企業在籍型ジョブコーチとして活動するには、職場適応援助者養成研修を受講し修了することが必要です。 また、企業在籍型ジョブコーチによる支援に関しては、助成金(職場適応援助者助成金)制度が設けられています。 ⇒JEEDの養成研修 https://www.jeed.go.jp/disability/supporter/seminar/job_adapt02.html 特定求職者雇用開発助成金 特定求職者雇用開発助成金(特定就職困難者コース) 身体障害者、知的障害者または精神障害者などの就職が特に困難な方をハローワークなどの紹介により継続して雇用する労働者として新たに雇い入れた事業主に対して、その賃金の一部に相当する額を一定期間助成することにより、これらの方の雇用機会の増大を図るものです。 助成金を受給するためには、助成額の対象となる要件を満たすことのほか、事業主が申請期間内に適正な支給申請を行うことが必要になりますので、ハローワークと十分に確認することが必要です。 主な 受給要件  受給するためには、次の要件のいずれも満たすことが必要です。  また、このほかにも、雇用関係助成金共通の要件などいくつかの支給要件がありますので、詳しくは「お問い合わせ先」までご確認ください。 @ハローワークまたは民間の職業紹介事業者等の紹介により雇い入れること。 A雇用保険一般被保険者として雇い入れ、継続して雇用すること(※)が確実であると認められること。 (※)対象労働者の年齢が65歳以上に達するまで継続して雇用し、かつ、当該雇用期間が継続して2年以上であることをいいます。 助成額など 対象労働者 助成額 助成対象期間 大企業 中小企業※2 大企業 中小企業 身体障害者、知的障害者 (短時間労働者 ※1以外) 50万円 120万円 1年 2年 身体障害者、知的障害者、精神障害者(短時間労働者) 30万円 80万円 1年 2年 重度身体・知的障害者、精神障害者、45歳以上の身体・知的障害者(短時間労働者以外) 100万円 240万円 1年6ヶ月 3年 ※1 「短時間労働者」とは、1週間の所定労働時間が20時間以上30時間未満の者をいいます。 ※2 ここでいう「中小企業の範囲」は下表のとおりです。 中小企業の 範囲 産業分野 資本または出資額 常時雇用する労働者数 小売業(飲食店含む) 5,000万円以下 50人以下 サービス業 5,000万円以下 100人以下 卸売業 1億円以下 100人以下 その他業種 3億円以下 300人以下 ◆お問い合わせ 都道府県労働局、ハローワーク 障害者雇用納付金制度 障害者雇用納付金制度とは 障害者を雇用するには、作業施設や設備の改善、職場環境の整備、特別の雇用管理等が必要とされることが多く、経済的負担が伴うことから、雇用義務を履行している事業主と履行していない事業主とではその経済的負担に差が生じることとなります。 障害者雇用納付金制度は、身体障害者、知的障害者及び精神障害者を雇用することは事業主が共同して果たしていくべき責任であるとの社会連帯責任の理念に立って、事業主間の障害者雇用に伴う経済的負担の調整を図るとともに、障害者を雇用する事業主に対して助成、援助を行うことにより、障害者の雇用の促進と職業の安定を図るため「障害者の雇用の促進等に関する法律」に基づき設けられた制度です。 ◆障害者雇用納付金制度の概要 ◆詳細説明 https://www.jeed.go.jp/disability/koyounohu/index.html ◆お問い合わせ   JEED 都道府県支部高齢・障害者業務課(東京及び大阪は高齢・障害者窓口サービス課) https://www.jeed.go.jp/location/shibu/index.html 障害者雇用納付金制度に基づく助成金 障害者雇用納付金制度に基づく助成金とは 事業主等が障害者の雇用にあたって、施設・設備の整備等や適切な雇用管理を図るための特別な措置を行わなければ、障害者の新規雇い入れや雇用の継続が困難であると認められる場合に、これらの事業主等に対して予算の範囲内で助成金を支給することにより、その一時的な経済的負担を軽減し、障害者の雇用の促進や雇用の継続を図ることを目的としています。 ◆助成金の種類 助成金の種類 内 容 障害者作業施設設置等 助成金 障害者を労働者として雇い入れるか継続して雇用する事業主が、その障害者が障害を克服し、作業を容易に行うことができるよう配慮された作業施設等の設置または整備を行う場合に、その費用の一部を助成します。 障害者福祉施設設置等 助成金 障害者を労働者として継続して雇用している事業主またはこれらの事業主を構成員とする事業主の団体が、その障害者である労働者の福祉の増進を図るため、障害者が利用できるように配慮された休憩室等の福祉施設の設置または整備を行う場合に、その費用の一部を助成します。 障害者介助等助成金 障害者を労働者として雇い入れるか継続して雇用している事業主が、障害の種類や程度に応じた適切な雇用管理のために必要な介助等の措置を行う場合に、その費用の一部を助成します。 職場適応援助者助成金 職場適応に課題を抱える障害者に対して、職場適応援助者(ジョブコーチ)による支援を行う場合に、その費用の一部を助成します。 重度障害者等 通勤対策助成金 重度身体障害者、知的障害者、精神障害者または通勤が特に困難と認められる身体障害者を労働者として雇い入れる、または継続して雇用する事業主またはこれらの事業主を構成員とする事業主の団体が、その障害者である労働者の通勤を容易にするための措置を行う場合に、その費用の一部を助成します。 重度障害者多数雇用事業所 施設設置等助成金 重度身体障害者、知的障害者または精神障害者を労働者として多数継続して雇用し、かつ、安定した雇用を継続することができると認められる事業主で、これらの障害者のために事業施設等の設置または整備を行い、モデル性が認められる場合に、その費用の一部を助成します。 障害者能力開発助成金 障害者能力開発訓練事業を行う事業主等へ、その費用の一部を助成します。 障害者雇用相談援助助成金 障害者雇用相談援助事業を実施する事業者が、当該事業を利用する事業主に障害者雇用相談援助事業を行った場合に、その費用の一部を助成します。 ◆詳細説明  https://www.jeed.go.jp/disability/subsidy/index.html ◆お問い合わせ JEED 都道府県支部高齢・障害者業務課(東京及び大阪は高齢・障害者窓口サービス課) https://www.jeed.go.jp/location/shibu/index.html JEED施設連絡先一覧 地域障害者職業センター 一覧 障害者職業カウンセラーが配置され、ハローワーク、障害者就業・生活支援センター、病院、特別支援学校等の関係機関との密接な連携の下、各都道府県における中核的な職業リハビリテーション機関として、地域に密着した職業リハビリテーションサービスを提供しています。 名称 郵便番号 所 在 地 電話番号 FAX番号 北海道障害者 職業センター 001-0024 札幌市北区北二十四条西5-1-1 札幌サンプラザ5階 011-747-8231 011-747-8134 北海道障害者 職業センター 旭川支所 070-0034 旭川市四条通8丁目右1号 LEE旭川ビル5階 0166-26-8231 0166-26-8232 青森障害者 職業センター 030-0845 青森市緑2-17-2 017-774-7123 017-776-2610 岩手障害者 職業センター 020-0133 盛岡市青山4-12-30 019-646-4117 019-646-6860 宮城障害者 職業センター 983-0836 仙台市宮城野区幸町4-6-1 022-257-5601 022-257-5675 秋田障害者 職業センター 010-0944 秋田市川尻若葉町4-48 018-864-3608 018-864-3609 山形障害者 職業センター 990-0021 山形市小白川町2-3-68 023-624-2102 023-624-2179 福島障害者 職業センター 960-8054 福島市三河北町7-14  福島職業能力開発促進センター内 024-526-1005 024-535-1000 茨城障害者 職業センター 309-1703 笠間市鯉淵6528-66 0296-77-7373 0296-77-4752 栃木障害者 職業センター 320-0865 宇都宮市睦町3-8 028-637-3216 028-637-3190 群馬障害者 職業センター 379-2154 前橋市天川大島町130-1  027-290-2540 027-290-2541 埼玉障害者 職業センター 338-0825 さいたま市桜区下大久保136-1 048-854-3222 048-854-3260 千葉障害者 職業センター 261-0001 千葉市美浜区幸町1-1-3  043-204-2080 043-204-2083 東京障害者 職業センター 110-0015 台東区東上野4-27-3  上野トーセイビル3階 03-6673-3938 03-6673-3948 東京障害者 職業センター 多摩支所 190-0012 立川市曙町2-38-5  立川ビジネスセンタービル5階 042-529-3341 042-529-3356 神奈川障害者 職業センター 252-0315 相模原市南区桜台13-1 042-745-3131 042-742-5789 新潟障害者 職業センター 950-0067 新潟市東区大山2-13-1 025-271-0333 025-271-9522 富山障害者 職業センター 930-0004 富山市桜橋通り1-18  北日本桜橋ビル7階 076-413-5515 076-413-5516 石川障害者 職業センター 920-0901 金沢市彦三町1-2-1  アソルティ金沢彦三2階 076-225-5011 076-225-5017 福井障害者 職業センター 910-0026 福井市光陽2-3-32 0776-25-3685 0776-25-3694 山梨障害者 職業センター 400-0864 甲府市湯田2-17-14 055-232-7069 055-232-7077 長野障害者 職業センター 380-0935 長野市中御所3-2-4 026-227-9774 026-224-7089 岐阜障害者 職業センター 502-0933 岐阜市日光町6-30 058-231-1222 058-231-1049 静岡障害者 職業センター 420-0851 静岡市葵区黒金町59-6  大同生命静岡ビル7階 054-652-3322 054-652-3325 愛知障害者 職業センター 460-0003 名古屋市中区錦1-10-1  MIテラス名古屋伏見5階 052-218-2380 052-218-2379 愛知障害者 職業センター 豊橋支所 440-0888 豊橋市駅前大通1-27  MUS豊橋ビル6階 0532-56-3861 0532-56-3860 三重障害者 職業センター 514-0002 津市島崎町327-1  059-224-4726 059-224-4707 滋賀障害者 職業センター 525-0027 草津市野村2-20-5 077-564-1641 077-564-1663 京都障害者 職業センター 600-8235 京都市下京区西洞院通塩小路 下る東油小路町803  075-341-2666 075-341-2678 大阪障害者 職業センター 541-0056 大阪市中央区久太郎町2-4-11 クラボウアネックスビル4階 06-6261-7005 06-6261-7066 大阪障害者 職業センター 南大阪支所 591-8025 堺市北区長曽根町130-23  堺商工会議所5階 072-258-7137 072-258-7139 兵庫障害者 職業センター 657-0833 神戸市灘区大内通5-2-2  078-881-6776 078-881-6596 奈良障害者 職業センター 630-8014 奈良市四条大路4-2-4 0742-34-5335 0742-34-1899 和歌山障害者 職業センター 640-8323 和歌山市太田130-3 073-472-3233 073-474-3069 鳥取障害者 職業センター 680-0842 鳥取市吉方189 0857-22-0260 0857-26-1987 島根障害者 職業センター 690-0877 松江市春日町532 0852-21-0900 0852-21-1909 岡山障害者 職業センター 700-0821 岡山市北区中山下1-8-45  GEEKS OKAYAMA 17階 086-235-0830 086-235-0831 広島障害者 職業センター 730-0004 広島市中区東白島町14-15 NTTクレド白島ビル12階 082-502-4795 082-211-4070 山口障害者 職業センター 747-0803 防府市岡村町3-1 0835-21-0520 0835-21-0569 徳島障害者 職業センター 770-0823 徳島市出来島本町1-5  088-611-8111 088-611-8220 香川障害者 職業センター 760-0055 高松市観光通2-5-20 087-861-6868 087-861-6880 愛媛障害者 職業センター 790-0808 松山市若草町7-2 089-921-1213 089-921-1214 高知障害者 職業センター 781-5102 高知市大津甲770-3 088-866-2111 088-866-0676 福岡障害者 職業センター 810-0042 福岡市中央区赤坂1-6-19  ワークプラザ赤坂5階 092-752-5801 092-752-5751 福岡障害者 職業センター 北九州支所 802-0066 北九州市小倉北区萩崎町1-27 093-941-8521 093-941-8513 佐賀障害者 職業センター 840-0851 佐賀市天祐1-8-5 0952-24-8030 0952-24-8035 長崎障害者 職業センター 852-8104 長崎市茂里町3-26 095-844-3431 095-848-1886 熊本障害者 職業センター 862-0971 熊本市中央区大江6-1-38 4階 096-371-8333 096-371-8806 大分障害者 職業センター 870-0131 大分市皆春1483-1 097-503-6600 097-503-6601 宮崎障害者 職業センター 880-0014 宮崎市鶴島2-14-17 0985-26-5226 0985-25-6425 鹿児島障害者 職業センター 890-0063 鹿児島市鴨池2-30-10 099-257-9240 099-257-9281 沖縄障害者 職業センター 900-0006 那覇市おもろまち1-3-25  沖縄職業総合庁舎5階 098-861-1254 098-861-1116 広域障害者職業センター 一覧 障害者職業カウンセラー及び職業訓練指導員が配置され、医療リハビリテーションとの連携を図りながら、職業評価、職業指導、職業訓練等を一貫した体系の中で実施しています。 名 称 郵便番号 所 在 地 電話番号 FAX番号 国立職業 リハビリテーションセンター (中央障害者職業能力開発校) 359-0042 所沢市並木4-2 04-2995-1711 04-2995-1052 国立吉備高原職業 リハビリテーションセンター (吉備高原障害者職業能力開発校) 716-1241 加賀郡 吉備中央町吉川7520 0866-56-9000 0866-56-7636 都道府県支部 高齢・障害者業務課 一覧 (※東京、大阪は高齢・障害者窓口サービス課を含む) 障害者の雇用に関する相談・援助、障害者雇用納付金制度に基づく申告・申請の受付、啓発等の業務を実施しているほか、高年齢者等の雇用に関する相談・援助、各種給付金の申請の受付等を実施しています。 都道府県 郵便番号 所 在 地 電話番号 FAX番号 北海道 063-0804 札幌市西区二十四軒4条1-4-1  北海道職業能力開発促進センター内 011-622-3351 011-622-3354 青森 030-0822 青森市中央3-20-2  青森職業能力開発促進センター内 017-721-2125 017-721-2127 岩手 020-0024 盛岡市菜園1-12-18  盛岡菜園センタービル3階 019-654-2081 019-654-2082 宮城 985-8550 多賀城市明月2-2-1 宮城職業能力開発促進センター内 022-361-6288 022-361-6291 秋田 010-0101 潟上市天王字上北野4-143  秋田職業能力開発促進センター内 018-872-1801 018-873-8090 山形 990-2161 山形市漆山1954  山形職業能力開発促進センター内 023-674-9567 023-687-5733 福島 960-8054 福島市三河北町7-14  福島職業能力開発促進センター内 024-526-1510 024-526-1513 茨城 310-0803 水戸市城南1-4-7  第5プリンスビル5階 029-300-1215 029-300-1217 栃木 320-0072 宇都宮市若草1-4-23  栃木職業能力開発促進センター内 028-650-6226 028-623-0015 群馬 379-2154 前橋市天川大島町130-1  ハローワーク前橋3階 027-287-1511 027-287-1512 埼玉 336-0931 さいたま市緑区原山2-18-8  埼玉職業能力開発促進センター内 048-813-1112 048-813-1114 千葉 263-0004 千葉市稲毛区六方町274  千葉職業能力開発促進センター内 043-304-7730 043-304-7733 東京 130-0022 墨田区江東橋2-19-12  ハローワーク墨田5階 03-5638-2794 03-5638-2282 神奈川 241-0824 横浜市旭区南希望が丘78  関東職業能力開発促進センター内 045-360-6010 045-360-6011 新潟 951-8061 新潟市中央区西堀通6-866  NEXT21ビル12階 025-226-6011 025-226-6013 富山 933-0982 高岡市八ケ55  富山職業能力開発促進センター内 0766-26-1881 0766-26-8022 石川 920-0352 金沢市観音堂町へ1  石川職業能力開発促進センター内 076-267-6001 076-267-6084 福井 915-0853 越前市行松町25-10  福井職業能力開発促進センター内 0778-23-1021 0778-23-1055 山梨 400-0854 甲府市中小河原町403-1  山梨職業能力開発促進センター内 055-242-3723 055-242-3721 長野 381-0043 長野市吉田4-25-12  長野職業能力開発促進センター内 026-258-6001 026-243-2077 岐阜 500-8842 岐阜市金町5-25  G-frontU7階 058-265-5823 058-266-5329 静岡 422-8033 静岡市駿河区登呂3-1-35  静岡職業能力開発促進センター内 054-280-3622 054-280-3623 愛知 460-0003 名古屋市中区錦1-10-1  MIテラス名古屋伏見4階 052-218-3385 052-218-3389 三重 514-0002 津市島崎町327-1  ハローワーク津2階 059-213-9255 059-213-9270 滋賀 520-0856 大津市光が丘町3-13  滋賀職業能力開発促進センター内 077-537-1214 077-537-1215 京都 617-0843 長岡京市友岡1-2-1  京都職業能力開発促進センター内 075-951-7481 075-951-7483 大阪 566-0022 摂津市三島1-2-1  関西職業能力開発促進センター内 06-7664-0782 06-7664-0645 兵庫 661-0045 尼崎市武庫豊町3-1-50  兵庫職業能力開発促進センター内 06-6431-8201 06-6431-8220 奈良 634-0033 橿原市城殿町433  奈良職業能力開発促進センター内 0744-22-5232 0744-22-5234 和歌山 640-8483 和歌山市園部1276  和歌山職業能力開発促進センター内 073-462-6900 073-462-6810 鳥取 689-1112 鳥取市若葉台南7-1-11  鳥取職業能力開発促進センター内 0857-52-8803 0857-52-8785 島根 690-0001 松江市東朝日町267  島根職業能力開発促進センター内 0852-60-1677 0852-60-1678 岡山 700-0951 岡山市北区田中580  岡山職業能力開発促進センター内 086-241-0166 086-241-0178 広島 730-0825 広島市中区光南5-2-65  広島職業能力開発促進センター内 082-545-7150 082-545-7152 山口 753-0861 山口市矢原1284-1  山口職業能力開発促進センター内 083-995-2050 083-995-2051 徳島 770-0823 徳島市出来島本町1-5  ハローワーク徳島5階 088-611-2388 088-611-2390 香川 761-8063 高松市花ノ宮町2-4-3  香川職業能力開発促進センター内 087-814-3791 087-814-3792 愛媛 791-8044 松山市西垣生町2184  愛媛職業能力開発促進センター内 089-905-6780 089-905-6781 高知 780-8010 高知市桟橋通4-15-68  高知職業能力開発促進センター内 088-837-1160 088-837-1163 福岡 810-0042 福岡市中央区赤坂1-10-17  しんくみ赤坂ビル6階 092-718-1310 092-718-1314 佐賀 849-0911 佐賀市兵庫町若宮1042-2  佐賀職業能力開発促進センター内 0952-37-9117 0952-37-9118 長崎 854-0062 諫早市小船越町1113  長崎職業能力開発促進センター内 0957-35-4721 0957-35-4723 熊本 861-1102 合志市須屋2505-3  熊本職業能力開発促進センター内 096-249-1888 096-249-1889 大分 870-0131 大分市皆春1483-1  大分職業能力開発促進センター内 097-522-7255 097-522-7256 宮崎 880-0916 宮崎市大字恒久4241  宮崎職業能力開発促進センター内 0985-51-1556 0985-51-1557 鹿児島 890-0068 鹿児島市東郡元町14-3  鹿児島職業能力開発促進センター内 099-813-0132 099-250-5152 沖縄 900-0006 那覇市おもろまち1-3-25  沖縄職業総合庁舎4階 098-941-3301 098-941-3302 就労支援機器貸出・相談窓口 障害者の就労を支援する機器の紹介や活用方法に関する相談、障害者を雇用する事業主への無料貸出に関する案内を行っています。 郵便番号 所 在 地 電話番号 FAX番号 130-0022 墨田区江東橋2-19-12  ハローワーク墨田5階 03-5638-2792 03-5638-2282 --------------------------------------------------------------------- 障害者の加齢に伴う課題の克服や就労継続に向けた職場改善ケースブック 2026年2月 初版発行 編集・発行 ― 独立行政法人高齢・障害・求職者雇用支援機構          〒261−0014 千葉県千葉市美浜区若葉3-1-3          障害者職業総合センター内          電話 043-297-9513(障害者雇用開発推進部雇用開発課)          FAX 043-297-9547          URL https://www.jeed.go.jp 印 刷 所 ― 社会福祉法人東京コロニー 東京都大田福祉工場 ---------------------------------------------------------------------