中小企業における障害者の職場定着推進のための職場改善ケースブック 令和4年度 障害者雇用職場改善好事例の 応募企業等の取組より 独立行政法人高齢・障害・求職者雇用支援機構 はじめに  独立行政法人高齢・障害・求職者雇用支援機構(JEED)では、事業所における障害者の雇用及びその職場定着を進めるため、雇用管理や職場環境の整備等様々な改善・工夫を行った障害者雇用職場改善好事例を募集し、優れた事例を広く周知しています。  今般、令和4年度に実施した「中小企業における社内の支援人材の効果的な活用により、障害者の職場定着の推進に取り組んだ職場改善好事例」に応募いただいた企業の中から、具体的な事業所の取組や社員の声などを取りまとめ、「中小企業における障害者の職場定着推進のための職場改善ケースブック−令和4年度障害者雇用職場改善好事例の応募企業等の取組より−」として作成いたしました。  障害者雇用のより一層の進展のためには社内の支援人材の効果的な活用が重要であることから、本書では、障害者の職場定着及び障害者への理解促進等における社内の支援人材の活躍事例等、参考となる取組を掲載しています。ぜひ、障害者の雇用促進と職場定着のためにご活用いただければ幸いです。  最後に、本書の作成にご協力いただきました事業所の皆様、関係機関・団体などの皆様にあらためて感謝申し上げます。 令和6年1月 独立行政法人高齢・障害・求職者雇用支援機構 Contents はじめに1 目次3 用語解説4 各事業所の取組一覧6  〈各事業所の取組〉  支援人材の育成8  支援体制の整備26  障害理解の向上54  職域拡大・環境整備68  人事評価・キャリア支援112 職場改善のために事業所が作成した資料・支援ツール118 障害者雇用に役立つ資料168 障害者雇用を支援する施策177 連絡先一覧189 用語解説 全 般 ○社内の支援人材  障害者雇用を行う事業所において、雇用する障害者の障害特性等を背景とした個性に応じて行うきめ細かなサポートや、外部支援機関との役割分担を明確にする等により、障害者の雇用促進と職域の拡大及び職場定着の促進を図る役割を担っている社内の人材です。 ○中小企業  常用雇用労働者数300人以下の企業 ○特例子会社  事業主が一定の要件を満たした上で障害者の雇用に特別の配慮をした子会社を設立した場合には、特例としてその子会社に雇用されている労働者を親会社に雇用されているものとみなして、実雇用率を算定できる制度です。  事業主にとってのメリットとして、障害の特性に配慮した仕事の確保・職場環境の整備が容易となり、これにより障害者の能力を十分に引き出すことができるといったことがあげられます。 ○障害者雇用に関する優良な中小事業主に対する認定制度(もにす認定制度)  障害者の雇用の促進及び雇用の安定に関する取組の実施状況などが優良な中小事業主を厚生労働大臣が認定する制度です。  →厚生労働省「障害者雇用に関する優良な中小事業主に対する認定制度(もにす認定制度)」   https://www.mhlw.go.jp/stf/monisu.html 事 例 ○障害者就業・生活支援センター  就職や職場への定着にあたって、就業面における支援とあわせて、生活面における支援を必要とする障害者に対して、身近な地域で、雇用、保健福祉、教育などの関係機関との連携を行いながら、障害者の就業およびこれに伴う日常生活、社会生活上の相談・支援を一体的に行う支援機関です(令和5年8月時点、全国に計337か所設置)。 ○障害者職業生活相談員  5人以上の障害のある従業員が働いている事業所では、「障害者の雇用の促進等に関する法律」により、厚生労働省が定める資格を有する従業員のうちから障害者職業生活相談員を選任し、職業生活の相談・指導を行うよう義務付けられています((独)高齢・障害・求職者雇用支援機構各都道府県支部の高齢・障害者業務課で障害者職業生活相談員資格認定講習を実施しています。)。 ○ジョブコーチ(JC)支援  知的障害者、精神障害者、発達障害者などの職場適応を容易にするため、職場にジョブコーチを派遣し、事業所、障害者双方にきめ細やかな人的支援を行う制度です。ジョブコーチには地域障害者職業センターに所属する配置型ジョブコーチと、就労支援ノウハウを有する社会福祉法人などに所属する訪問型ジョブコーチ、事業主自ら配置する企業在籍型ジョブコーチがあります。  なお、上記のほか、自治体の独自の制度として養成されたジョブコーチも配置されています。 ○リワーク(RW)支援   主に気分障害などの精神疾患を原因として休職している労働者を対象とする、職場復帰に向けた専門的な支援です。企業内で行われる復職支援のためのプログラムを「リワーク」と呼ぶ場合があります。 ○重度知的障害  療育手帳制度によって、障害の程度が重度(A)と判定されることをいいます。なお、自治体によっては、独自に重度(A)とそれ以外(B)を細分化している場合もあります。 ○不安全行動  労働者本人または関係者の安全を阻害する可能性のある行動を意図的に行う行為をいいます。手間や労力、時間やコストを省くことを優先し、つい「これくらいは大丈夫だろう」、「面倒くさい」、「皆がやっているから」、「(作業を早く進めるためには)仕方がない」などと考えたり、「長年経験しているから大丈夫」、「自分が事故を起こすはずはない」など慣れや過信から、「あるべき姿」を逸脱する安易な行動がとられた結果、労働災害に発展するケースが少なくありません。  なお、自らとった行動が、意図しない結果をもたらすことは「ヒューマンエラー」といいます。 ○グループホーム  障害者総合支援法に基づく福祉サービスの1つ(共同生活援助)として提供されるものです。主として夜間において、共同生活を営むべき住居において行われる相談、入浴、排せつ又は食事の介護その他の必要な日常生活上の援助を行います。 ○ヘルスキーパー  理療(あんま・マッサージ・指圧・鍼(はり)灸(きゅう))の国家資格を持つ者が企業等に雇用され、その従業員等を対象にして施術等を行う者の呼称です。理療の施術やセルフケア指導、健康への助言を通じて業務中に生じた疲労やその他の症状を取り除き、業務の能率向上と従業員の健康増進に役立てることを目的としています。 各事業所の取組一覧 (注)各事業所の取組内容(P7のタイトル及びP8以降の本文)については、事業所の意向により「障害」「障がい」、「人材」「人財」と表記しています。 掲載 ページ テーマ 障害種別 事業所 タイトル 8 支援人材の育成 すべての障がい アフラック・ハートフル・サービス株式会社 支援人財で結成されたプロジェクトチームによる支援教育・研修体系づくり 12 知的障害 株式会社王将ハートフル 障害のあるリーダー、サブリーダー等の知識、資格取得支援を通じ、支援人材を育成 16 すべての障害 株式会社ダイキンサンライズ摂津 サブリーダー制の導入によるリーダー育成および相談情報の共有化 18 精神障害・発達障害 シダックスオフィスパートナー株式会社 精神障害者や発達障害者の問題点対応の仕組化による効果的な支援の実現と支援員のレベルアップを図った取組 22 すべての障害 シダックスオフィスパートナー株式会社 他社向け見学会や講演の講師経験を通じた支援員育成 24 知的障害 有限会社西部産業 障害者を支援するサポーターの育成 26 支援体制の整備 知的障害 株式会社王将ハートフル 安否確認訓練、避難訓練等の活動を通して社員全体の情報共有化を図った取組 28 すべての障害 株式会社ダイキンサンライズ摂津 業務日誌の活用と関係者間での情報共有により障害のある社員の体調等を確認し、支援体制を整備 32 精神障害・発達障害 シダックスオフィスパートナー株式会社 支援員が安心して対応できるように、休職から復職までを仕組化 34 すべての障害 太洋リネンサプライ株式会社 社内の役割分担や支援機関とのつながりを明確にし、安定した定着支援体制等を構築 38 すべての障害 電気硝子ユニバーサポート株式会社 障害者がジョブサポーターとなって日々の業務を支援することにより職場定着につなげた取組 40 すべての障がい トーマツチャレンジド株式会社 業務習得や定着を支援するチーム制による仕組みづくり 44 すべての障害 富士ソフト企画株式会社 同じように障害のある先輩社員が支援人材の役割を担い、新入社員の重層的な支援体制を整備 46 すべての障害 富士ソフト企画株式会社 在宅勤務の導入等新しい働き方に対応するための支援体制を整備 48 精神障害 富士ソフト企画株式会社 親会社・グループ会社のうつ病等による休職者のリワークを実施 50 知的障害 有限会社西部産業 「課題を翌日に残さない」を目標としたフォローアップ体制の構築 54 障害理解の向上 すべての障害 AIGハーモニー株式会社 「これくらいわかるだろう」ではなく、ゼロからの職務分析により作業を汎用化して生産性を高めた事例 56 身体障害・精神障害 株式会社リペアサービス 働きやすい環境(テレワーク等)と日々の社員間の情報共有を通して風通しのよい職場を構築 58 すべての障害 シダックスオフィスパートナー株式会社 全国事業所への障害者雇用の理解促進の取組(SOP通信の発行) 60 精神障害 高浪化学株式会社 支援機関の活用により障害特性をよく理解し、柔軟な対応で職場定着を図った取組 64 すべての障害 富士ソフト企画株式会社 専門職以外の相談窓口(JOBサポート窓口)を新たに設置し、会社全体で障害者雇用に関心を向けた取組 66 知的障害 有限会社西部産業 「グランドルール」の策定等で社員全体の意識を変えることにより障害者雇用をスムーズに推進した取組 68 職域拡大・環境整備 すべての障がい アフラック・ハートフル・サービス株式会社 障がいのある社員のパソコンスキル向上とデジタル化に対応する環境整備 72 身体障害 株式会社アールビーサポート 通勤が困難な障害者やパソコンスキルを持つ障害者が活躍できる「リモートワーク」の確立 74 知的障害 株式会社王将ハートフル 安全第一を掲げ、職場を安心して働ける場所にすることによりチームワークを強化 78 すべての障害 株式会社ダイキンサンライズ摂津 業務改善提案により業務改善(エラー率の低減等)につながった取組 80 知的障害 CTCひなり株式会社 知的障害者のIT業務への職域拡大 84 知的障害 CTCひなり株式会社 テレワーク時代の事務代行業務「O−WaaS」の職域構築 88 すべての障害 シダックスオフィスパートナー株式会社 新型コロナウイルス感染症の感染拡大による在宅勤務の導入等新しい働き方の構築 90 すべての障害 太洋リネンサプライ株式会社 女性・高齢者・障害者が“生き生きと働ける職場”環境づくりのための「ハード面」「ソフト面」の改善 94 すべての障害 電気硝子ユニバーサポート株式会社 事業所毎のチームリーダーが中心となって、作業の標準化、職域開発等に取り組んだ事例 98 すべての障がい トーマツチャレンジド株式会社 在宅勤務の導入に向けた取組 100 すべての障害 百五管理サービス株式会社 障害のある社員が主体的に運営する会議体の企画から3S活動や業務効率化の提案につなげた取組 106 すべての障害 富士ソフト企画株式会社 外部の研修機会等の提供や目標設定により全社員のスキルアップを図った取組 110 知的障害・精神障害 有限会社西部産業 障害特性に応じた工夫をすることで作業効率をアップさせた取組 112 人事評価・キャリア支援 知的障害 株式会社王将ハートフル オープンな基準で業務評価を行い、モチベーションの向上に結び付けた事例 116 すべての障害 新和金属株式会社 定期面談に基づく「多能工化の推進」及び「新人事評価制度構築」 〈各事業所の取組〉 --------------------------------------------------------------------- 支援人財で結成されたプロジェクトチームによる支援教育・研修体系づくり アフラック・ハートフル・サービス株式会社 すべての 障がい ※アフラック・ハートフル・サービス株式会社様のご意向により「障がい」「人財」と表記を統一しております。 ◆取組の背景 障がいのある社員数の増加に伴い、多様な特性に対する支援スキルの向上と管理職を含めた全社連携が求められるなか、支援教育・研修体系の整備が追い付いていなかった。そのため、これらの体系の仕組みを整え、人事制度とリンクさせた全社的な取組が必要であった。 ◆取組(支援員を「スタッフ」、障がいのある社員を「社員」と表記。) ○教育・研修体系づくり 支援人財(スタッフ)によるプロジェクトチームが管理職と連携し、スタッフの役割期待に連動した研修プログラムを体系化した(資料・支援ツール@(P119))。具体的には、共通研修、階層別研修、テーマ別研修に振り分け、就労や障がい福祉に関する様々なWEB講義を配信する有料オンライン研修(eラーニング)サービス「サポーターズカレッジ」を活用し、教育・研修体系を整備した。 ○支援体制の整備 (1)スタッフを対象とした研修・教育体系の整備 @「新入スタッフ社員OJTチェック表」(資料・支援ツールA(P120))により新入スタッフの経験値を確認し、入社後研修を本人の経験値に応じて、新卒用・中途用に区別した研修に変更し、教育体系を整備した(資料・支援ツールB(P121〜124))。また、サポートスキルを向上させるための研修を定期的に実施し、オンライン研修も活用することで研修の機会を増やすことができた。 A曖昧だった社内研修・外部研修の概念を整理し、研修受講フロー(資料・支援ツールC(P125〜126))を統一した。また、研修内容については社内で共有できるように研修報告書の運用・管理方法を確立した。 (2)管理職を含めた全社的な支援体制の強化 @管理職を含めた全スタッフが障害者職業生活相談員の資格を取得。 Aスタッフが企画・運営する「就労支援基礎知識研修」で、座学に加え、グループワークを交えたディスカッションを行い、障がい者支援の理解促進に努める(資料・支援ツールD(P127〜131))。 B定着支援担当のスタッフと管理職で、週に1回ミーティングを実施し、社員の支援状況等について情報共有を行い、支援と課題に対する協議を行う。 ○支援人財の育成 (1)支援スキル向上をビジネスプラン(年間目標)に明記 (2)対人援助スキルの強化 @合理的配慮や虐待防止の観点から「自己点検シートを活用したケーススタディ」を担当職種ごとに分かれ、実施した。具体的な場面での効果的な声掛けなどをテーマに参加者間で意見交換し、グループスーパービジョンを行った(資料・支援ツールE(P132))。 A「障がい者権利擁護(理解促進)」のため、発達障がいのいくつかの特性を当事者視点でVR体験(VR Angle Shift(株式会社シルバーウッド提供))する研修を実施した。当事者の立場に立った時に「何を感じ、どのように思うのか」を考え、普段行っている支援の振り返りと業務への配慮につなげた。 B社員との面談時に複数のスタッフで事前支援ミーティングを実施し、課題の共有や支援状況の確認を行うステップを設けた。その後、「定期面談管理表」を併用し、定められた面談頻度に基づき、担当スタッフが社員面談を実施している。 ○研修制度、自己啓発プログラムの充実化(テーマの充実) (1)Teamsを利用した研修情報共有 Teamsを通じて誰でも自由に書き込み・閲覧できる場を創設し、障がい者支援スキル・ビジネススキル等について情報共有を行った。 (2)障がい福祉分野の有料オンライン研修(eラーニング)サービス「サポーターズカレッジ」の利用 障がい福祉分野の知識習得のためWEBによる講義の受講を可能とした。短時間で必要な情報を受講できるため、各自がケースに応じた支援方法をいつでも学べる環境となった。 ◆取組後の効果 ・社員を支援する視点、認識のすり合わせを行うことができ、支援人財間での認識の隔たりが解消された。また、スタッフと管理職双方の考えや立場を理解するきっかけとなった。 ・入社時研修・OJTの見直しにより、新入スタッフの育成体制を確立することができた。また、研修進捗を把握できるOJTシートの活用やデジタルツールを利用した研修の実施により、新入スタッフ・育成担当者だけでなく、スタッフ全員で円滑なコミュニケーションをとりながら人財育成に取り組めるようになった。 ・研修体系の整備により、各々のバックグラウンドによるスキルのばらつきが緩和された。スタッフ全体で実際に起きている事象や困難ケースの対応策について学ぶ機会となり、支援の基礎的要素や支援のノウハウを共有することで、会社全体としての支援力の向上となった。 ◆担当者の声 (経営管理部長 矢野様) 弊社は定期的なミーティングなどコミュニケーションを図る場が大変豊富で、問題や悩みをスタッフ一人で抱え込まない風土が醸成されています。 今後の目標として、一つ目は障がいの有無や程度によらない、活躍している人が正しくフィードバックされる仕組みが必要だと考えており、人事制度をリニューアルします。二つ目はスタッフや社員全員が働くことにやりがいや幸福感を持てるよう社員エンゲージメントを高めるプロジェクト活動を進めていきたいと考えています。 スタッフが研修を受講している様子 ○支援人財の育成 (1)支援スキル向上をビジネスプラン(年間目標)に明記 (2)対人援助スキルの強化 @合理的配慮や虐待防止の観点から「自己点検シートを活用したケーススタディ」を担当職種ごとに分かれ、実施した。具体的な場面での効果的な声掛けなどをテーマに参加者間で意見交換し、グループスーパービジョンを行った(資料・支援ツールE(P132))。 A「障がい者権利擁護(理解促進)」のため、発達障がいのいくつかの特性を当事者視点でVR体験(VR Angle Shift(株式会社シルバーウッド提供))する研修を実施した。当事者の立場に立った時に「何を感じ、どのように思うのか」を考え、普段行っている支援の振り返りと業務への配慮につなげた。 B社員との面談時に複数のスタッフで事前支援ミーティングを実施し、課題の共有や支援状況の確認を行うステップを設けた。その後、「定期面談管理表」を併用し、定められた面談頻度に基づき、担当スタッフが社員面談を実施している。 ○研修制度、自己啓発プログラムの充実化(テーマの充実) (1)Teamsを利用した研修情報共有 Teamsを通じて誰でも自由に書き込み・閲覧できる場を創設し、障がい者支援スキル・ビジネススキル等について情報共有を行った。 (2)障がい福祉分野の有料オンライン研修(eラーニング)サービス「サポーターズカレッジ」の利用 障がい福祉分野の知識習得のためWEBによる講義の受講を可能とした。短時間で必要な情報を受講できるため、各自がケースに応じた支援方法をいつでも学べる環境となった。 ◆取組後の効果 ・社員を支援する視点、認識のすり合わせを行うことができ、支援人財間での認識の隔たりが解消された。また、スタッフと管理職双方の考えや立場を理解するきっかけとなった。 ・入社時研修・OJTの見直しにより、新入スタッフの育成体制を確立することができた。また、研修進捗を把握できるOJTシートの活用やデジタルツールを利用した研修の実施により、新入スタッフ・育成担当者だけでなく、スタッフ全員で円滑なコミュニケーションをとりながら人財育成に取り組めるようになった。 ・研修体系の整備により、各々のバックグラウンドによるスキルのばらつきが緩和された。スタッフ全体で実際に起きている事象や困難ケースの対応策について学ぶ機会となり、支援の基礎的要素や支援のノウハウを共有することで、会社全体としての支援力の向上となった。 ◆担当者の声 (経営管理部長 矢野様) 弊社は定期的なミーティングなどコミュニケーションを図る場が大変豊富で、問題や悩みをスタッフ一人で抱え込まない風土が醸成されています。 今後の目標として、一つ目は障がいの有無や程度によらない、活躍している人が正しくフィードバックされる仕組みが必要だと考えており、人事制度をリニューアルします。二つ目はスタッフや社員全員が働くことにやりがいや幸福感を持てるよう社員エンゲージメントを高めるプロジェクト活動を進めていきたいと考えています。 --------------------------------------------------------------------- 障害のあるリーダー、サブリーダー等の知識、資格取得支援を通じ、支援人材を育成 株式会社王将ハートフル 知的障害 ◆取組の背景 設立当時は、障害者雇用を積極的に進めるために「どんなことができるのか」「どこまで求められるのか」「どこまで配慮すれば」等手探りの状況で、雇用を進めていた。そのなかで、会社の成長のためには社員のスキルだけではなく、指導員のスキル向上、育成が必要だと考えられた。 ◆取組  @障害者職業生活相談員資格認定講習の受講 障害者雇用の担当者だけでなく、障害のあるリーダー格社員が講習を受講することで、職業生活全般サポートをどのように行うのか具体的に学び実践に活かすことができる。 A就労継続支援事業所の見学等 現場責任者となる指導員については、就労継続支援事業所を見学し、実際に障害者と共に働く現場を体験し、障害のある方のコミュニケーションの取り方、配慮事項を直感的に学ぶ。 B企業在籍型職場適応援助者(企業在籍型ジョブコーチ)養成研修の受講 指導員として着任後に企業在籍型職場適応援助者(企業在籍型ジョブコーチ)養成研修を受講することより、業務の課題を分析し、システマティック・インストラクション(課題分析、マニュアル化、トライアンドエラーによる支援等(P75参照))の手法を用いて、最終的には最小限の介入、支援で業務やそれにあたっての指導が安定化する。 C指導員勉強会の実施 3か月に1回、指導員が参加する勉強会を開催している。安全衛生、ハラスメント、アンガーコントロール等の知識を習得するとともに指導員自身の振り返りと障害のある社員への指導の効果の確認を目的としている。 D実習や見学の受入れ対応 他法人、学校等からの実習や見学をできるだけ受入れ、オリエンテーション後、着替えや移動、作業手順の説明をリーダー候補者が対応する。実習生評価にも参画する。 Eその他関連資格の取得や研修会への参加 メンタルヘルスマネジメント検定をはじめ、障害に限らず関連の資格を取得。その他外部の研修会にも参加し、他社及び関係機関の事例から学ぶ。 ◆取組後の効果 @リーダー格の障害のある社員が障害者雇用の基礎的な知識を習得することによって、様々な支援方策や障害特性の知識に関して、自身の職業生活に活かすだけでなく、周囲の社員にも伝達できるようになった。 A支援機関等での体験を通じて、障害のある社員との関わり方を学び、障害者雇用に関する具体的な課題や対応を理解し、自社の業務に吸収することができる。 B障害者雇用に関する基礎的な知識を超えて、企業在籍型ジョブコーチとしての本格的な支援技法を学ぶことにより、画一的な支援ではなく、対象者の特性等に合わせた支援をすることができるようになった。結果として、対象者のコミュニケーションスキルが向上する等、現場での支援が段々と不要になり、会社としての雇用管理がしやすくなった。 C就労支援の専門知識を習得することにより、自身の課題発見とその指導への反映に役立っている。副次効果として、個人の資格取得のモチベーションに寄与しているものと思われる。 Dリーダー(サブリーダー)の候補者を見学等の説明者として対応させることにより、自身の業務の深い理解につながると同時に能力向上への意欲が増している。また、このようなリーダー(サブリーダー)の候補者を目にした他の社員も「あの仕事がしたい」「あの先輩のような働き方がしてみたい」といった動きも出てきている。 E知識見識を広げることで自社での対応の参考になる。また自社での取り組みが間違った方向に進んでいないかという検証にもなる。 ◆担当者の声 支援スキルが向上することにより、毎日の微妙な体調変化の違いに気づきやすくなり、必要に応じて支援機関と連携する等、問題発生に先だった動きができるようになりました。また、指導員だけでなく社員全体のスキルや学ぼうとする意欲が向上し、会社全体として前向きに学び続ける雰囲気が醸成されています。 --------------------------------------------------------------------- サブリーダー制の導入によるリーダー育成および相談情報の共有化 株式会社ダイキンサンライズ摂津 すべての 障害 ◆取組の背景 障害者が主役となる特例子会社として、障害者雇用200人を目指している。従前から雇用する障害者を管理監督する担当として障害のある社員をリーダーに設定していたが、圧倒的に人数が少なく、障害のある社員20名に対してリーダー1名程であり、十分な業務ができていなかった。 ◆取組  ○サブリーダー制の導入 障害のある社員の中から管理監督業務に適性があると思われる人材を「サブリーダー」として新たに任命し、リーダーの補助だけでなく、障害のある社員の身近な相談窓口として機能させた。 新任のサブリーダーには、会社が主催する「サブリーダー研修」(資料・支援ツールH(P141〜143))の受講等を通して、その目的や心得を伝達している。また、サブリーダーがリーダーと部下となる障害のある社員の板挟みになる等のリスクを避けるため、リーダーとサブリーダーを中心として障害のある社員の業務日報の情報を共有化し、必要に応じて総務課に所属する総務支援員が個別に聞き取りを行う等、業務の心的負担の軽減に努めている。 サブリーダー研修を受講した社員の感想(一部抜粋) ラインメンバーに頼られた時にキチンと受け答えができるようになりたいと思っています。受けたい教育としては、P板や部品の知識とリサイクルをとおしてお客様にどう向き合うのかを知りたいと思います。今後も教育は新しい考え方を取り入れる機会と捉え、楽しみにしています。 ○相談情報の共有化 毎週火曜日と木曜日の昼休みを「みどりの時間」として、誰でも相談できる窓口を総務課に設置し、不安を抱える社員の悩み等に対応し、必要に応じて支援機関、医療機関やご家族と情報共有し、支援している。 2019年度 2020年度 2021年度 精神 18 22 22 知的 0 5 8 身体 0 1 4 合計 18 28 34 みどりの時間相談者(障害種別) 2019年度 2020年度 2021年度 1年目 1 9 11 2年目 3 4 7 3年目 4 4 4 その他 10 11 12 合計 18 28 34 みどりの時間相談者(入社年別) ◆取組後の効果 障害のある社員が悩み事や体調不良があっても従前はリーダーにしか相談ができず、人によっては相談しづらいこともあったが、サブリーダーを設定したこと、またそれ以外にも何かあれば工場長ほか管理職や総務課といった窓口にも相談することができる等、相談の受け皿を複数設定することにより、社員が相談しやすい風通しの良い職場が醸成できた。また、これらの取組により、障害のある社員の細かな体調変化等にも気づくことができるようになり、支援体制の充実とそれに伴う安定した業務運営が可能となった。結果として、障害の種類に関わらず職場定着率は非常に高まっている。 ◆担当者の声 (取締役製造部長 松本様) 障害のある社員をサブリーダーに任命することについて、長期的な視点で考えており、単に能力が高いだけ等では設定せず、1年位前から事前にサブリーダーになることをアナウンスしておくことにより、ある程度の心的プレッシャーを取り除いておくことが重要と思っています。認定することがモチベーションになる者もいますが、一方でプレッシャーにより任命辞退する者もいるので、慎重に進めることが必要です。特に入社1〜2年目の社員は悩みが多いと思われるので、様々な場面でその変化をキャッチして、その原因が何か等分析することが重要となります。 --------------------------------------------------------------------- 精神障害者や発達障害者の問題点対応の仕組化による効果的な支援の実現と支援員のレベルアップを図った取組 シダックスオフィスパートナー株式会社 精神障害 発達障害 ◆取組の背景 会社全体の約80%を占める精神障害のある社員の雇用管理を支援員個人の対応に任せている状態が続いていた。このままでは効果的な支援につながらず、また、支援員の経験年数により支援結果に差が生じてしまうため、支援方法を仕組化することとした。 ◆取組 1.障害から発生する問題点分析と問題点レベルの設定 これまでに障害から発生した問題点を16項目に集約し、さらに6段階の問題点レベルに分類した。各問題点レベルについて対応方法と共通の判断基準を定めた(資料・支援ツールJ(P145〜148))。 2.問題解決に向けた進め方の整理 コーチングスキル、ティーチングスキル、カウンセリングスキルを活用した面談により現状を分析し、問題点を毎週の事例検討会議で報告、検討する。レベル6は休職者対応となるため、全社的な対応とともに、外部機関に協力を依頼する。 また、問題点レベルごとに具体的な対応方法を決め、ふさわしいと思われる研修(グループワーク)のテーマを設定した。 <研修(グループワーク)テーマの例> ・セルフケア方法を学ぶ・適応的思考を学ぶ ・アンガーマネジメント <理解度を高めるための工夫> ・従来のグループワークで作成した模範的回答を活用し、これだけでは理解しにくい方には内容を噛み砕いて伝える。 ・独自の解釈をしている場合にも否定はせず、まずはその人の考えを聴いたうえで別の改善点を提案する。 ・日々のコミュニケーションの中で繰り返す。 ・1ヶ月は個人でじっくり取り組むための自己学習期間、次の1ヶ月はグループワーク開催月とし、じっくり取り組めるスケジュールとした。 コロナ禍後の研修(グループワーク)の様子 3.具体的な活動への展開 「問題解決のための対応方法」 に基づき、報告書を作成。解決できたものから、若干進展した事例、未解決の事例に分けて、未解決の事例も事例検討会議のテーマとして活用している。 ◆取組後の効果 1.会社全体の問題点として取り上げられ、支援員全員で考えることにより問題解決もスムーズに進むようになった。自社内での対応度が高まりナチュラルサポートが進展した。また、全支援員の勉強になるとともに、スキルアップが可能となり、障害者の定着にも大きく貢献している。 2.改善対応の1つとして、グループワークを活用することにより、他の障害者の意見を聞くことが可能となり、支援員とは違う目線の意見が参考になっている。これまでは研修(グループワーク)と日々の運営の関連性が今一歩であったが、今回の仕組化で研修と運営が一体化した。 ◆担当者の声 (写真右から、相談役担当部長 高橋様、渋谷事業所所長 田中様、調布事業所所長 栗田様、渋谷事業所業務部グループリーダー 大野様) 弊社は支援経験がほとんどない支援員も多いため、先輩支援員からアドバイスをもらいながら進めていけることは安心につながっており、支援員同士でどんな小さなことでも抱え込まず、吐き出せる場があることは大変心強いです。さらに、社員の変化には、日々接しているからこそ些細なことにも気づけるのではないかと実感していますし、支援員として大切なことだとも思っています。 ◆社員の声 (渋谷事業所業務部 リーダー 藤野様) この会社は相談体制がしっかりしていて、上司や支援機関に相談しやすい環境があります。また、各社員の能力をしっかり見極めて適切に仕事を割り振ってくれ、必要に応じて他の人が補い合う雰囲気も安心できます。 勤続10年となり、自分の目標を一つクリアできました。今後は周りのスタッフも大きな不調にならずに、全員で定年を迎えられるように、1人で抱え込まず極力早く対応できるよう、自らお手本を示し、安心感を与えられるよう心掛けていきます。 --------------------------------------------------------------------- 他社向け見学会や講演の講師経験を通じた支援員育成 シダックスオフィスパートナー株式会社 すべての 障害 ◆取組の背景 支援員の育成として社外研修に参加し、知識習得とプレゼンテーションのスキルアップについて目標を設定している。しかし、能動的な取組は少なかったため、支援員が講演を行うことを目的とした。 ◆取組 1.講演資料の整理 講演依頼先は@企業や支援機関、Aこれから就職を希望する障害者に分かれるため、講演資料を2種類準備した。 2.トークスクリプト(台本)の作成 トークスクリプトを作成し、全支援員が同様の講演ができるよう準備している。ただし、講演者独自の加筆を可能とし、講演者の能動的な考えを尊重している。 3.障害のある社員の講演準備 就職希望者の見学会では障害者の経験談が最も興味深い講演となるため、必要に応じ障害のある社員の講演を準備している。 4.講演の事前練習 初めて講演を担当する場合は事前練習を行い、スムーズに説明できているか意見交換を行う。 5.講演終了後の反省会 講演終了後は反省会を行い、次回講演の事前準備として意見交換を行う。 ◆取組後の効果 1.支援員が講演を行うことで様々な知識とスキルが身に付き、支援者としてもレベルアップが期待でき、カウンセリングスキル・コーチングスキル・ティーチングスキルの獲得も現実的となっている。また、障害のある社員が講演に参加することで障害のある社員自身も成長を実感している。 2.支援方法に困っている企業は多く、見学会や講演を通じて自社での支援のヒントになっている。 ◆担当者の声(P20に写真掲載) (相談役担当部長 高橋様、渋谷事業所所長 田中様、調布事業所所長 栗田様、渋谷事業所業務部グループリーダー 大野様) 講師の経験を重ねることで講演内容について理解が深まり、徐々に自社の取組について自信をもって話せるようになりました。話す際は声を大きく出すなど、細かい点についてもスキルが蓄積してきたと思います。外部機関の講師を行った際、他企業の方が苦慮していることも多く耳にしました。その時に「シダックスではこういう風に取り組んでいる」と自社の取組を発信できたり、反対に多くの参加者から素晴らしい意見を聞くことができたりしたときに講師をして良かったと感じます。 また、障害者就業・生活支援センターが開催する委員会の事務局も担っており、支援者側の視点も得られ、一方向で考えるのではなく、企業と福祉の立場や本人の考えを学ぶ大変有益な機会になっています。 --------------------------------------------------------------------- 他社向け見学会や講演の講師経験を通じた支援員育成 シダックスオフィスパートナー株式会社 ◆取組の背景 支援員の育成として社外研修に参加し、知識習得とプレゼンテーションのスキルアップについて目標を設定している。しかし、能動的な取組は少なかったため、支援員が講演を行うことを目的とした。 ◆取組 1.講演資料の整理 講演依頼先は@企業や支援機関、Aこれから就職を希望する障害者に分かれるため、講演資料を2種類準備した。 2.トークスクリプト(台本)の作成 トークスクリプトを作成し、全支援員が同様の講演ができるよう準備している。ただし、講演者独自の加筆を可能とし、講演者の能動的な考えを尊重している。 3.障害のある社員の講演準備 就職希望者の見学会では障害者の経験談が最も興味深い講演となるため、必要に応じ障害のある社員の講演を準備している。 4.講演の事前練習 初めて講演を担当する場合は事前練習を行い、スムーズに説明できているか意見交換を行う。 5.講演終了後の反省会 講演終了後は反省会を行い、次回講演の事前準備として意見交換を行う。 ◆取組後の効果 1.支援員が講演を行うことで様々な知識とスキルが身に付き、支援者としてもレベルアップが期待でき、カウンセリングスキル・コーチングスキル・ティーチングスキルの獲得も現実的となっている。また、障害のある社員が講演に参加することで障害のある社員自身も成長を実感している。 2.支援方法に困っている企業は多く、見学会や講演を通じて自社での支援のヒントになっている。 ◆担当者の声(P20に写真掲載) (相談役担当部長 高橋様、渋谷事業所所長 田中様、調布事業所所長 栗田様、渋谷事業所業務部グループリーダー 大野様) 講師の経験を重ねることで講演内容について理解が深まり、徐々に自社の取組について自信をもって話せるようになりました。話す際は声を大きく出すなど、細かい点についてもスキルが蓄積してきたと思います。外部機関の講師を行った際、他企業の方が苦慮していることも多く耳にしました。その時に「シダックスではこういう風に取り組んでいる」と自社の取組を発信できたり、反対に多くの参加者から素晴らしい意見を聞くことができたりしたときに講師をして良かったと感じます。 また、障害者就業・生活支援センターが開催する委員会の事務局も担っており、支援者側の視点も得られ、一方向で考えるのではなく、企業と福祉の立場や本人の考えを学ぶ大変有益な機会になっています。 --------------------------------------------------------------------- 安否確認訓練、避難訓練等の活動を通して社員全体の情報共有化を図った取組 株式会社王将ハートフル ◆取組の背景 知的障害のある社員が多く、普段から家族等との情報共有が重要であったが、コロナ禍においては、事業継続マネジメント(BCM=Business Continuity Management)の観点からもその重要性が増していた。また、キャベツの芯取り等の作業は親会社事業に欠かせない主力商品に関連するため、アクシデントが発生した際においても業務を継続することが重要であった。 ◆取組  年2回の避難訓練や年4回の安否確認訓練を実施し、有事の際に確実に会社に報告連絡することを繰り返し訓練した。 緊急連絡カード ◆取組後の効果 現時点において、幸いにも大きな災害は発生しておらず、実際に地震が発生した際に避難や会社への安否確認ができている。 副次効果として、訓練経験を通じて、障害者本人の報告、連絡、相談に対する意識が高まり、通勤時の遅れや体調不良など、従前であれば家族から連絡を受けていた事案についても本人から電話やメール等で確実に連絡ができるような体制ができあがった。 新型コロナウイルス感染拡大の際、一度に5名程度の自宅待機者が発生したが、問題なく業務継続することができ、結果として、健康管理、日常生活管理が安定した。 --------------------------------------------------------------------- 業務日誌の活用と関係者間での情報共有により障害のある社員の体調等を確認し、支援体制を整備 株式会社ダイキンサンライズ摂津 ◆取組の背景 近年、精神障害者の採用が急速に伸びてきたが、一般的に精神障害者の定着率は他の障害と比較して低い傾向にあることから、会社としての対応が必要と考えられた。また、新型コロナウイルス感染症感染拡大防止のため、毎日の朝礼ができなくなり、障害のある社員の体調変化を確認しづらくなっていた。 ◆取組  ○既存の業務日報の活用とその情報共有 毎日、社員が業務日報、作業日誌を作成し、上司(グループリーダー又はサブリーダー)に報告。上司はそれに対して毎日コメントを返すと同時に、業務日報の内容や上司としての気付き等を管理監督職で共有した。 実際の業務日報 ○SPIS(※)の活用 精神障害のあるサブリーダーを中心として、SPISを導入し、業務日報とは別に体調変化等の情報共有を図った。  (※)SPIS:Supporting People to Improve Stability 体調等を日々記録するWeb日報システムで、企業側の支援者や外部支援者と情報共有できるWebを活用したコミュニケーションツール。 ○精神障害者に限らず障害のある社員の活躍と職場定着を支える支援体制の構築 日々の体調管理だけでなく、現場では対応できない生活面での問題等について、総務課に精神保健福祉士や職場適応援助者(ジョブコーチ)等の資格や経験を持つ社員を配置し、家族、支援機関や行政機関等との情報共有と連携を通じて、職場定着を支えている。 ○職場定着推進会議の開催 メンバーは職場管理監督業務を担当する者で構成されている。 ◆取組後の効果 ・業務日報ではその日の目当て(目的)を認識させるのと同時に、障害のある社員が自身の体調を客観的に確認できるよう「就業状況」「健康状況」「相談」それぞれの項目について、選択できることから、自然と自身の毎日の状況を記載できるようなツールとなっている。これに対して、リーダー(サブリーダー)からのコメントを確認することにより、自身が会社から見守られていることを実感することができている。また、作業日誌からは自身の業務への評価や達成度合いを実感することができる等、労働意欲の向上に役立っている。併せて、管理監督業務を担当する工場長他(リーダー、サブリーダー、総務課支援員 等)でこれらの情報を共有化することにより、より迅速で客観的な対応が図れるようになった。 ・精神障害のある社員の体調変化を把握するために非常に役立っている。特に精神障害のあるサブリーダーに対しては、その役目に伴うストレス等もあり、僅かな体調変化も見落とさないよう、注意が必要であるため、SPISの活用は重要であると考えられる。 ・日々の日報等には反映しづらいことも相談窓口を増やすことや専門知識を持つ社員の協力によりその情報を共有化できることで、社員の職場定着につながっている。 ・定期的に会議を実施することにより、メンバーとの意見交換や支援スキルの向上が図られている。 ◆担当者の声 (取締役工場長 斉藤様) 業務日誌には単純に記載された内容だけでなく、本人が抱えている様子がそれ以外にも反映されます。例えば、書いている字体や筆圧の変化だけとってみてもその人のその日の感情が見えてくることがあり、リーダーを始め、監督業務の担当者はこれらの情報と直接顔を見たときの諸状態を併せた変化を感じ取ることが重要だと考えています。 --------------------------------------------------------------------- 支援員が安心して対応できるように、休職から復職までを仕組化 シダックスオフィスパートナー株式会社 精神障害 発達障害 ◆取組の背景 精神障害者や発達障害者は体調不良から欠勤や休職に繋がるケースが多く、かつ、当事者の状況は様々であるため、支援方法も極めて難しく、支援員の負担となる場合もあった。そのため、支援員全員で、また会社全体で対応する方法に変更することとした。 ◆取組 厚生労働省の「心の健康問題により休業した労働者の職場復帰支援の手引き」を参考に、社内で実際にあったケースを当てはめながら、休職〜復職まで6ステップにまとめ、独自の手引きを作成した。 <手引き:職場復帰支援のフロー> (1)第1ステップ…病気による休職開始及び休職中のケア (2)第2ステップ…主治医及び支援機関による職場復帰可能の診断(従業員による生活記録の作成を依頼する場合あり) (3)第3ステップ…職場復帰の可否の判断及び職場復帰支援プランの作成 (4)第4ステップ…最終的な職場復帰の決定 ⇒  職場復帰  (5)第5ステップ…職場復帰勤務先の検討、決定 (6)第6ステップ…職場復帰のフォローアップ <手引きの主な内容・ポイント> ・休職期間…グループの就業規則に順じて定めた。 ・活用対象…1か月以上の休職者とし、1ヶ月未満の休職者は就業規則に準ずる。 ・休職期間の対応…(1)休職期間の会社対応 (2)連絡方法          (3)1人暮らしの対応について、まとめた。 ・職場復帰判定メンバー…グループ全体の関係者と支援機関、必要に応じ外部機関も参加する。 ・そ  の  他…トラブル発生時や専門的判断が必要な場合は、労働基準監督署やハローワークの意見を参考にする。 ◆取組後の効果 手引き作成以降は全支援員で役割分担し、総合力での対応が可能となった。休職の各段階で会社として判断するため、支援員個人の負担が軽減され、特に、新人支援員においては他の支援員の協力のもとに支援が進捗するようになった。 ◆担当者の声(P20に写真掲載) (相談役担当部長 高橋様、渋谷事業所所長 田中様、調布事業所所長 栗田様、渋谷事業所業務部グループリーダー 大野様) 手引き作成は、過去に休職した方への対応で苦慮した経験からスタートした取組です。休職は年に1〜2人ほど発生しており、一人暮らしなどで連絡が取れなくなるなど、想定しうる様々なケースに対応できる準備が必要だと感じています。 作成にあたっては、様々なマニュアルや規定等のサンプル等は参考になるものの、そのままでの活用は難しく、やはりその企業の決まりや風土等を踏まえて制度も整理する必要があり、休職から復職までのプロセスを整理することで活用可能となりました。自社に即したオリジナルの手引きに仕上がり、特に社内外の多岐にわたる職場復帰判定メンバーが加わっていることがポイントとなっています。また、休職となる社員にも提示しているので、復職までの流れや要件を確認でき、社員自身の安心にもつながっています。 ◆社員の声 (調布事業所業務部 トレーナー 吉田様) 現在、人事業務として他メンバーを管理するトレーナー業務も担っています。実は、入社後に休職したことがあり、復職前に自分の負担や適性、意欲等を踏まえて復帰する所属部署を選ばせていただけたことが大変ありがたかったことを覚えています。今は頑張りすぎず、自身の体調をモニタリングしながら1日1日を頑張りたいと思っています。 --------------------------------------------------------------------- 社内の役割分担や支援機関とのつながりを明確にし、安定した定着支援体制等を構築 太洋リネンサプライ株式会社 すべての障害 取組の背景 改善前は、一人の相談員(現場リーダー)が自身の業務に加え、現場での指導、職場実習生の受入れ対応等、何役もこなすような運用であったため、組織体制の改善が必要であった。 ◆取組  ○社内の役割分担・連携 経営者、工場責任者、現場リーダー、人事・労務担当者が障害者職業生活相談員の資格を取得し、取得後も障害者雇用に関連する様々な講習へ積極的に参加することで、それぞれが最新の情報をアップデートし、知識、理解を深めている。 ○障害者支援グループLINEの設置 業務用のSNS(LINE WORKS)を活用し、迅速な連絡体制や相談員同士の情報共有、気軽に障害のある社員からの個別相談に応えられるような体制づくりを行い、時代の流れに沿った雇用管理の在り方を工夫している。 社内の担当者間で活用しているLINE WORKSの画面(2枚) ○支援機関等とのつながり 障害者就業・生活支援センターの定期的な訪問による支援機関との連携だけでなく、少なくとも年1回、事前アンケート調査をもとに保護者を交えて面談を実施し、家族と連携を図りながら指導にあたっている。 <面談で共有する内容例> ・生活環境    ・生活リズムの変化の有無 ・服薬の状況   ・職場での様子 <実際にあった相談例> ・スマートフォン(携帯電話)の高額な請求に関する相談 ・夜更かしにより日中の業務に支障をきたした相談 安全配慮や合理的配慮を行う際には診断書等医療機関の判断をもとに、産業医の意見も参考に、より細やかな支援が受けられるよう工夫している。家族の高齢化など勤務外の様々な問題にも対応できるよう、総合的な相談業務先として、石垣市障がい者基幹相談支援センターともつながっている。 【事例】 長期化するコロナ禍において、メンタル不調を訴える社員が発生した。6か月の休養期間を設け、治療に専念できる環境を整え、職場復帰前には産業医から勤務日数の調整や勤務時間の設定、無理のない作業計画など助言や指導を受けた。職場復帰直後は午前中3時間程の勤務から始め、1か月後には本人の申し出もあり5時間勤務(昼休憩あり)をこなせるまでに回復した。 ◆取組後の効果 経営者、工場責任者、現場リーダー、人事・労務担当者に障害者職業生活相談員を配置し、部門を横断した、“働きやすい職場” 形成に努めたことで、障害者職業生活相談員1人ひとりの負担が減り、よりきめ細やかな指導ができるようになった。 同居家族の高齢化など職場の外でも色々な問題が発生しても、一企業だけで悩みを抱え込まず、保護者(施設入居者は施設サービス管理者)、学校、就労支援機関、産業医、行政機関とつながることで、チームによる問題解決に取り組めている。 当事業所の障害のある社員の平均勤続年数は24年8か月であり、障害のない社員の平均勤続年数12年10か月の約2倍と、長期の職場定着率を実現している。 ◆担当者の声 (写真右から、取締役統括部長 三木様、現場リーダー 喜舎場様、人事・労務担当 古堅様、工場長 宜保様) <面談で共有する内容例> ・生活環境    ・生活リズムの変化の有無 ・服薬の状況   ・職場での様子 <実際にあった相談例> ・スマートフォン(携帯電話)の高額な請求に関する相談 ・夜更かしにより日中の業務に支障をきたした相談 従来の「一人で何役もこなすやり方」から障害者職業生活相談員を複数人配置し、支援機関とのつながりや社内外の役割を明確にした組織体制に改善いたしました。また、これまでの弊社が培ってきた実績や経験、さらに社会の変化に合わせ、職場環境づくりを整備に努めたことで、きめ細やかな指導や目配りができるようになりました。以上のような取組が、帰属意識や愛社精神、障害者の定着率の高さや社員の戦力化へのつながり、地域からも感謝され地元企業としてのPR、ひいてはもにす認定の取得に結びついていると感じております。 --------------------------------------------------------------------- 障害者がジョブサポーターとなって日々の業務を支援することにより職場定着につなげた取組 電気硝子ユニバーサポート株式会社 すべての 障害 ◆取組の背景 特例子会社として長年にわたって障害者雇用に取り組んできたが、障害者への支援が所属長や特定の社員等に集中している現状があり、自然と負担感なく就業できる環境を構築する必要があった。 ◆取組 ○障害のある社員が他の障害者への指導役を担う「ジョブサポーター」の設置 従前よりジョブサポーターの制度はあったが、指導役を担っていたのは健常者で、障害者はその補佐を担当していた。そこで、障害者による障害者へのサポート体制を目指して、適性があると思われる障害のある社員をジョブサポーターとして任命し、他の障害者への普段の業務のサポート、アドバイス役の主担当とした。 ○ジョブサポーターの適性判定と処遇への反映 3か月に1度職場グループリーダーが実施する面談において、ジョブサポーターを目指す意思を確認し、希望者に対して適性判定表に基づき、一定以上の評価である者をジョブサポーターとして任命している。さらにジョブサポーターとなった後も定期的にグレード評価を行い、一定以上の質の維持向上を求めている。同じジョブサポーターでもグレードによって評価が異なり、作業着に付けるバッジの意匠を変えている(ラインの有無)。さらにジョブサポーターとしての評価も給与・賞与を含む人事考課に反映させている(資料・支援ツールK(P149〜150))。 ジョブサポーター適性判定表 ジョブサポーターのグレード判定項目 ◆取組後の効果 障害者のジョブサポーターへの登用が定着することにより、自身もジョブサポーターとして活動したいと考える障害のある社員が増えた。これにより日々の身近な支援がスムーズにでき、職域拡大と相まって仕事へのモチベーションが高まった。結果として、定着率が高まり、長く働ける環境ができた。 ◆担当者の声 (写真左から、能登川事業所 メンテグループ ジョブサポーター 堀田様、同 ジョブサポーター 宇田様) 日々のサポーターの活動等を通して、社員の中で「ありがとう表彰」「さん付け運動」などの取組が浸透する等、風通しが良く、働きやすい職場になってきています。いわゆるナチュラルサポートを目指す土壌が醸成されてきたと感じます。 --------------------------------------------------------------------- 業務習得や定着を支援するチーム制による仕組みづくり トーマツチャレンジド株式会社 すべての障がい ※トーマツチャレンジド株式会社様のご意向により「障がい」と表記を統一しております。 ◆取組の背景 管理・指導職員は企業経験者や福祉経験者などバックグラウンドが様々であるが、以前は広く一律の役割を期待していたため、経験の違いが適切に活かされていなかった。また、障がいのある職員も多様な特性や能力を有していることから、障がいのある職員の業務習得や定着において、管理・指導職員もそれぞれの強みを活かしつつ、理論に沿った論理的な支援を行う必要があると考えるに至った。 ◆取組(障がいのある職員を「スタッフ」と表記。) ○チーム制による職場定着の促進 3つのチームに分かれ、スタッフの職場定着に向けた連携支援を実施している。 <各チームの役割> ワークチーム (上司・業務指示者) ・業務や職場生活でわからないことがある時の質問先 ・業務に関する報告・連絡・相談先 ・休暇取得時の申し出先 ジョブコーチチーム ・業務習得の躓きに対する集中支援の実施 ・ワークチームとの関係構築 ・業務上の課題に関する支援機関との連携 専門支援チーム <本人からの申し出に応じた面談の実施> ※スタッフが毎日記入する自己管理シート(資料・支援ツールN(P153))を導入し、最低限の健康状態をモニタリングするとともに、適宜に面談希望を申請できる体制を整えている。 ・体調、気分に関する相談先 ・業務配慮の相談先 ・業務に対する不安・心配の相談先 社内外の相談先を明記した「担当者一覧」をスタッフに配布し、相談先を明確にすることや相談者の優先順位を示すことで、常時相談に対応できるようにしている。また、管理・指導職員においては、指導や定着支援の目線を合わせるため、基本姿勢を定めた「管理・指導職員向けスタンダード」を作成している。指導や定着支援の具体的な事例などを挙げて説明し、共通の価値観で指導方針や基準の統一を図るとともに、社内外研修にて、障がい者雇用や支援技法の理論(応用行動分析等)を学ぶ機会を設けている。 さらに、円滑に支援を進めるため、取締役を交えたミーティング(月2回)、各チームリーダーのミーティング(月2回)、各チームメンバーのミーティング・朝礼等、チーム内の情報共有や他チームとの連携の機会を多数設けている。また、新たに管理・指導職員向けに“気軽になんでも話せる”相談窓口「ふらっと」を設置した。 管理・指導職員スタンダード(一部抜粋) ○フェーズに応じた育成・専門的支援 スタッフが入社してから業務指導計画書(資料・支援ツールO(P154))を作成し、フェーズに応じて各チームが連携して定着支援を行う。 (1)入社時 ・スタッフから申し出があった合理的配慮、入社後1年間で習得してもらいたい業務、習得期間などを業務指導計画書に明記し、本人の合意を得たうえで計画に沿った支援を実施している。 ・「トーマツチャレンジドスタンダード」(資料・支援ツールP(P155))に照らし、スタッフに求められるスキルを明示し、目線を合わせながら指導の記録・評価・振り返りを実施している。 ※「トーマツチャレンジドスタンダード」…@業務指示遵守(誠実性)A情報管理遵守B勤怠CビジネスマナーDストレス耐性の5項目で構成されている。 (2)異動・その他 ・異動時の他、業務習得状況に躓きのある場合等には一定期間ジョブコーチが介入し、本人に向けた支援を実施し、上司・業務指示者にも障がい特性や対応のポイントを明確化し、展開する。 【事例】 あるスタッフに改善が望まれる行動が見られていたため、本人と相談のうえ、セルフチェック表(資料・支援ツールQ(P156))を活用し、改善に向けて取り組むこととした。セルフチェック表の項目ごとに改善に向けた望ましい行動を明示し、毎日、本人とワークチーム及びジョブコーチチームの管理・指導職員のそれぞれの視点で「○(できた)/×(できない)/−(未実施)」でチェックした。当初は、どちらも「×」の評価が続いたが、毎日のフィードバックと意識付けにより行動が改善された。 ≪本人の感想≫ 毎日フィードバックを貰えることで、守れなかったことを振り返ることができ、自分の課題が分かりやすくなった。最初は「×」がつくことが不安だったが、○がつくようになって自信になった。 <支援のPoint> ・禁止事項を設定するのではなく、取るべき望ましい行動を提示する。(例:「タイムカードの打刻を忘れてはいけない」⇒「○時にタイムカードを押す」) ・セルフチェック表作成後は本人と読み合わせを行い、実際の行動とつなげられるか確認する。 ・本人が「×」を付けていても管理・指導職員側から見てよい点があればその内容をフィードバックしたり、本人の評価が厳しすぎてしまう場合には話し合った結果「〇」に変更したりするなど、モチベーション維持に努める。 ・本人と管理・指導職員の評価が不一致の場合はその項目をカラーペンでマーキングする等、双方の目線合わせをした上で、改善が必要な項目に本人の意識が向くように工夫する。 ・〇×―が本人にとって分かりやすいと考え実施しているが、×がつくことで気持ちが落ち込むなど、効果的な支援ツールにならないケースもあり、そのような場合には記号のつけ方を△にするなど、個人の特性によって変えることもある。 ◆取組後の効果 <管理・指導職員> ・上司となるワークチームは業務遂行(ともに働くこと)に集中することができ、ジョブコーチチーム・専門支援チームは上下の関係ではなく斜めの関係から関わることで、スタッフへの定着支援をより専門的に考え、実施することができるようになった <スタッフ> ・2023年度に正職員登用の機会を迎える対象者のうち94%が正職員に登用された。業務指導計画書を用いて目標や課題のすり合わせを実施した結果、本人、上司、関係者間で登用の目線合わせや合意がとりやすくなっている。 ・本人からの申請に基づく面談体制を整備することで自己発信する力を身につけることにもつながった。 <管理・指導職員/スタッフ> ・入社時に「トーマツチャレンジドスタンダード」、「管理・指導職員向けスタンダード」の基準を共有することで、スタッフや管理・指導職員それぞれに対し、会社が求めることが明示できるようになった。 ・個別に作成するチェックリスト等は、望ましい行動や日々の自己評価・他者評価が視覚的に確認でき、即時フィードバックにもつながっている。 --------------------------------------------------------------------- 同じように障害のある先輩社員が支援人材の役割を担い、新入社員の重層的な支援体制を整備 富士ソフト企画株式会社 すべての 障害 ◆取組の背景 新入社員の定着支援の課題に加え、勤務する社員の9割が多様な障害をもつ社内において、個々のモチベーションアップ、自主性を活かした能動的な業務遂行の強化が課題であった。 ◆取組 <従前の取組> ○教育事業部による定期面談 新入社員研修を実施した教育事業部の社員が各部署の新入社員を定期的に訪問し、面談内容をカルテに記入する。面談では、主に利用している支援機関の確認、何か困っていることがないかをヒアリング。 <新たな取組> ○ブラザーシスター制度 同部署内の比較的勤務年数が浅い先輩社員がブラザーあるいはシスターとなり、新入社員への業務の指示出しや身近な相談相手となるブラザーシスター制度を設けた。新入社員の外部支援機関との面談にもブラザー・シスターが同席し、情報を共有する。 ◆取組後の効果 重層的な相談体制を設けることにより、入社後、様々な相談場所があるという安心感を持つことができる。 ブラザーシスター制度の導入により、業務指示の一本化だけでなく、日常的な業務の中で困ったことについてすぐに相談できる、身近な関係性に基づく体制ができた。同じような障害のある社員、または異なる障害の社員を組み合わせ、お互いが補い合い、伸ばしあえる効果がみられる。 ◆担当者の声 (業務統括東京グループ副グループ長 梅澤様) ブラザーやシスターは、専門知識に欠ける部分があるかもしれませんが、専門的な部分は医者等に任せればよく、お互いが同じ障害をもつ強みから共感性を高め、身近なカウンセリング機能も果たすなど、この制度を通じて新入社員の予期不安などを軽減できています。また、ブラザーやシスターを経験することにより彼らも自信になり、互助関係につながっています。 ◆社員の声 (業務統括東京グループ秋葉原オフィス 山口様) シスターを経験し、現在はブラザー、シスターのスーパーバイズの役割を担ったり、ブラザー、シスターが休みの際の代理を務めることもあります。前職の経験から、新入社員や後輩に接する際は相手が負担になっていないか、どんな気持ちになっているかを常に考えるように心がけています。これらは病気を発症した経験が活きていると感じています。また、職場で話しやすい相手がいることは心強いものなので、ブラザーシスター制度はとてもよい制度だと感じています。 シスターが業務の指示だしを行っている場面 ブラザーが新入社員と相談を行っている場面 --------------------------------------------------------------------- 在宅勤務の導入等新しい働き方に対応するための支援体制を整備 富士ソフト企画株式会社 すべての 障害 ◆取組の背景 新型コロナウイルス感染症感染拡大により、親会社をはじめとした各部署で在宅勤務が開始された。特例子会社においても在宅勤務を行ったが、勤怠リズムの崩れや孤立化の懸念があり、これらを防ぐことが急務となった。さらに、ある社員から「社員を勇気づけるための取組を展開できたら」との声が上がった。 ◆取組 従前の1人1台のパソコン配布に加え、在宅勤務用にノートパソコン、WI-FI、アプリの貸与などを行った。在宅勤務時はメンタル面の悪化等を防止するため、リモートで行う朝礼・昼礼・終礼では、上司が出退勤や業務上の成果を確認するだけでなく、必ず部下の状況や体調を把握するよう心掛け、メール・チャット以外にもZOOMやテレビ電話などお互いの顔を見ながらコミュニケーションをとる時間を大切にした。 「こころのマスク」はコロナ禍の在宅勤務時に社員を勇気づけるための情報を集め、展開することを目的とし、3か月かけてアイディアを出し合いながら作成した。教育事業部が健康管理や在宅勤務時の過ごし方等を記事にまとめ、DTP部門に冊子のデザインや挿絵を依頼し、3バージョン作成した。 緊急事態宣言が明け、職場に出勤する従前の勤務体制に戻してからは、社内の消毒業務を担当し、親会社やグループ会社の安全衛生を担ってきた。 ◆取組後の効果 表情や動作などは社員のささいな状態にも気づくために大変有効である。朝が苦手な社員には出勤時間に合わせて声掛けを行うなど、従前から特に会話を大切にしてきたことで、在宅勤務においても社員が孤立を感じることはなく、出勤と変わらないリズムを維持することができた。 「こころのマスク」は社内でも好評であり、「自分たちに何ができるかわかったのでもっと教えてほしい」という声が寄せられたりもした。また、社内の安全衛生の役割を担うことで、多くの社員の安心につながっており、特例子会社の社員も他の社員を感染から守るという気概がやる気とモチベーションにつながった。 ◆担当者の声 (企画開発部採用チーム 課長代理 槻田様) リモートワーク時の心のケアとして「こころのマスク」を発案しました。健常者の場合、自己申告を待つ場合が多いように思いますが、特例子会社では積極的なコミュニケーションが重要ですので、様々なコミュニケーションの手立てを工夫し、日ごろからの仲間意識・情報共有に厚みがあることが、新たな働き方を導入する前提として重要だと考えています。 現在の昼礼の様子 「こころのマスク」冊子(3バージョン) --------------------------------------------------------------------- 親会社・グループ会社のうつ病等による休職者のリワークを実施 富士ソフト企画株式会社 精神 障害 ◆取組の背景 親会社・グループ会社のうつ病等による休職者を対象とした企業内リワークに関して、リワークの効果を高めるために特例子会社の社員の協力を得ることとなった。また、在宅勤務開始以降、親会社・グループ会社ではうつ病になる社員の発生が目立ち、うつ病予防のための取組を展開させていく必要性もあった。 ◆取組 <リワーク概要(資料・支援ツールR(P157〜158))> ・対 象 者:翌月に復職を予定しているグループ会社社員のうち、希望者 ・実施場所:特例子会社内 ・期   間:10日間 ・実施時間:10:00〜16:00   ・内   容:講義の実施、認知行動療法受講等。休職者自身が担当する各講義で質疑応答の時間を設け、障害のある社員とのやりとりも活発に行われる。 ・進行管理等:特例子会社の社員が行い、リワーク実施報告書を作成。 <カリキュラムの一例> 講義 テーマごとにパワーポイント等で資料を作成し、特例子会社の社員に対して休職者自ら講義を行う。 (テーマ)休職者自身の業務について教える/休職者自身の人生について語る    など 認知行動療法 様々なテーマで、個人ワークやグループワークを行う。 (テーマ)ストレスについて/考え方の癖をつかむ/自身を客観的に知る/アサーショントレーニング    など <うつ病予防の取組> 特例子会社内で発信していた視覚障害のあるヘルスキーパーが執筆した健康コラム(運動やストレッチ等を紹介)を毎月2回イントラネットで発信し、親会社・グループ会社へと幅広く展開させた。 ◆取組後の効果 リワークは100名を超える利用実績があり、年間10〜15人程度受け入れている。本リワークを体験した休職者の約8割が復職している。この事業では、障害のある社員が「天性のカウンセラー」となり、復職に向けたリワーク参加者のカタルシス効果を促し、自信回復を支える一方で、リワーク参加者という社外の方と接し、リワーク参加者の技術等を教えていただく学びの機会となる等自社の社員も刺激を受けている。また、本社では障害のある方と話をする機会がない社員も多いが、リワーク後に復職した社員やその周辺の方には、自社を気にかけてもらうメリットもある。 健康コラムは、在宅勤務の親会社、グループ会社の社員も活用しており、健康コラムで紹介された運動やストレッチがコロナ禍のうつ病の予防・未病に寄与している。 ◆担当者の声(P47に写真掲載) (企画開発部採用チーム 課長代理 槻田様) 今のリワーク体系を形づくるにあたり、最初は苦慮することが多くありました。特に、考え方や抱えている事情は一人ひとり違うため、やはりリワークが合わない社員もいましたし、復職までの時間的制約がある場合もありますが、リワーク事業で貢献していくために、利用する社員にも安心感を持ってもらうことを心掛けています。また、特例子会社の社員の多くもリワークを経験しているので、その経験をこの事業に生かすことができる、障害者ならではの強みを生かした事業だといえます。 --------------------------------------------------------------------- 「課題を翌日に残さない」を目標としたフォローアップ体制の構築 有限会社西部産業 知的障害 ◆取組  @フォローアップ体制の整備 障害者活躍促進におけるフォローアップ体制図 障害のある社員に対する支援方針について、各部署リーダー、相談窓口、経営者間で情報を共有し、課題に対して一貫した対応を心掛ける。社員間等のトラブルが発生しても、支援者の違いによって方策が変わることが無いよう、ぶれない支援をすることを徹底した。各部署の管理者などは障害者職業生活相談員の資格を保有しており、3ヶ月に一度フォローアップ体制会議(CSR会議)を開催し、障害のある社員への支援状況等について、報告と課題に対する協議を行う。 A障がい者専用「相談窓口」の設置 各部署にリーダー及びサブリーダーを設定するとともに、障害者と支援者双方の精神の安定を守る為に、福祉部署による相談窓口を配置した。 <相談窓口リーダーの役割> ・障害者個々の特性を理解しアドバイスや助言を行い、各部署のリーダー等と情報を共有する。 ・必要に応じて支援機関やグループホームと連携し、専門的な知見を取り入れる。 「障がい者専用「相談窓口」の設置」資料 Bグループホームとの連携 雇用する障害者の生活面でのサポートを行うため、グループホームの立ち上げおよび福祉部署を創設し、サービス管理者、介護福祉士、生活支援員、世話人等の人員体制を整備した。また、各支援機関との連携により福祉サービスの提供や社内での3ヶ月毎のフォローアップ体制会議(CSR会議)を開催し、障害のある社員への支援状況や課題については、他部署で困っている事への支援方法などアドバイスや助言を行う。障害特性については、医療的情報も踏まえながらわかりやすく説明し、他部署への講師的役割を担う。 ◆取組後の効果 @会社としての支援方針がぶれないことにより、安心して相談できるだけでなく、課題を無意味に長引かせず、障害者本人が納得した状態で就労継続ができるようになった。 A現場にリーダー、サブリーダーを設定することにより日々の些細な体調変化にも気付くことができ、またその情報を関係者で共有し、統一した方針も共有していることから、支援にブレが生じず、職場で何か課題が発生したとしても障害者と健常者双方が安心して就労、相談する環境ができている。 B安心して就労継続するためには、生活の場が安定することも重要との観点から、グループホームを立ち上げ、そこにも生活支援員を配置することにより生活と就労場面両方からのケアが可能となり、孤独感を感じることなく安心感につながった。 全体として、生活の場と働く場が確保されたことによる安心感だけでなく、いつでも相談できる環境があり、また、相談した結果としての支援が一貫していることによる安心感が支えとなっている。結果として、いきいきと働き続けることができ、高い定着率につながっている。 ◆担当者の声 (福祉部署 生活支援員 角舘様) 支援のなかで最も重要視しているのは「ブレのない支援」であり、ブレのない支援のためには支援者間での「情報共有」が必要と感じています。日々の試行錯誤も必要ですが、個々の障害特性に応じた対応を心掛けることで、多少の課題が生じても相談しやすい環境ができており、より大きな問題に発展することを未然に防ぐことができています。 --------------------------------------------------------------------- 「これくらいわかるだろう」ではなく、ゼロからの職務分析により作業を汎用化して生産性を高めた事例 AIGハーモニー株式会社 すべての障害 ◆取組の背景 障害者雇用の実績がほとんどない状態からのスタートであり、障害者の業務遂行能力が分からない等の先入観から、障害者の業務と健常者の業務を切り分けた結果、健常者の業務負担が大きく、残業が常態化する等、生産性が低い状態だった。また、障害のある社員には安全で単純な作業のみを設定していたが、「ていねいに」「きれいに」といった抽象的な指示が理解できない場合もあった。 ◆取組  ○作業工程の洗い出し 複数チームがそれぞれ異なった運用ルールとなっている同様の作業を、単純な1工程(=動作)に分解し、共通作業を切り出すとともにそれ以外の作業についても一連の流れを汎用化した。また工程管理票を作成し、作業実施者がフォロー(確認)できる流れとした。 ○進捗状況(スケジュール)の可視化 現時点で会社がどの程度の作業量を抱えていて、また、その作業がどの程度進捗できているのかをボード上で作業毎に色分け等して分かりやすく可視化した。 ○勉強会の実施 支援機関等の専門家を講師とした勉強会を実施し、社員全体の障害に対する理解を深めた。 進捗確認用のボード ◆取組後の効果 作業工程を汎用化することにより、作業毎のバラツキが無くなり、作業に慣れた障害のある社員の対応できる作業の幅が広がり、これまで健常者しか対応できないと考えていた作業を障害のある社員が実施できるようになった。結果として、健常者が担当していた仕事量が軽減され、残業が大幅に減った。 障害のある社員への作業指示について、従前はジョブコーチが対応していたが、作業工程の汎用化により、工程管理票やサンプルを提示する等、健常者が障害のある社員に直接説明できるようになった。 スケジュールを可視化することにより、チーム全体の進捗確認することができ、障害者同士での確認だけでなく、互いをサポートすることもできるようになった。 勉強会を通して、障害の種類毎の特性を社員が理解することができ、日常のコミュニケーションに役立っている。 以上により、全体として生産性が向上し、障害のある社員の対応できる業務の幅が広がったことから、グループ他部署からの業務依頼が増える等の効果があった。 ◆担当者の声 (ビジネスアシスト部グループリーダー 西野様) ゼロからの障害者雇用でしたが、職場全体の理解、作業工程の汎用化等を通してなんとか軌道に乗ったと考えています。ただ、そのなかで一番重要だと感じているのは課題が発生した時でもトライアンドエラーを繰り返すことだと思います。障害者お一人お一人得意なこと不得意なことが異なるので、確実に成功間違いないという方策は無く、常に課題を改善していく姿勢が重要ではないかと考えています。 郵送物数量を超えないための目安 --------------------------------------------------------------------- 働きやすい環境(テレワーク等)と日々の社員間の情報共有を通して風通しのよい職場を構築 株式会社リペアサービス 身体障害 精神障害 ◆取組の背景 会社の人手不足と併せて、業務時間の硬直化や個人スキルに頼った場面もみられ、働き方改革の観点から従業員のニーズに寄り添った業務展開が必要であり、そのためには障害者雇用が重要であると考えた。雇用開始当初から障害者は会社の重要な「戦力」として捉えており、障害に起因する就業上の障壁は可能な限り配慮することとした。 ◆取組  <就業上の配慮事例> ○テレワークの導入 本人の障害特性に応じて取り入れており、朝礼や部署内ミーティングなどにもWebを通じて参加し、孤独感の軽減を図っている。 ○情報共有シートの活用 情報共有シート(資料・支援ツールS(P159))の項目内容については、電話、メールでの連絡も可であり、毎日の朝礼での会話なども踏まえ、本人の体調変化を把握する。 ○企業在籍型職場適応援助者(ジョブコーチ)、障害者職業生活相談員の配置 これらの専門講習の受講を推奨し、障害のある社員の精神面のケアの窓口とした。 ○定期的な面談 本人、支援員、会社の面談を2週間に1回実施し、本人と支援機関との面談を年2回実施している。 ○毎日の朝礼 障害の有無に関係なく、毎日の情報共有や互いの顔を見られるコミュニケーションの場として機能している。 ◆取組後の効果 精神障害のある方を採用したが、当初は、気分の浮き沈みが激しく、自身のルールを周囲に求めてしまうことがあった。しかし、在宅勤務を許可したことや毎日の朝礼で本人や会社の状況が確認しあえる状況ができたことにより、社員間の疎外感が無くなった。また、体調が悪い時なども情報共有シートや支援員を通して状況を訴えることができ、働くことに安心感が生まれた。結果として、本人にとって働きやすい職場となり、定着が図られている。 ◆担当者の声 (広報・庶務部主任 菅様) 障害者雇用は手探りで始めたところですが、障害者だからということではなく、会社の戦力として大切にしています。そのために心掛けていることは、本人の希望を聞き、可能な範囲で働きやすい環境を整えること、疎外感を与えないことです。障害をもつ方については、確かに障害特性等を考慮する必要はあるかもしれませんが、基本姿勢は障害の有無に関係ありません。 朝礼風景 --------------------------------------------------------------------- 全国事業所への障害者雇用の理解促進の取組(SOP通信の発行) シダックスオフィスパートナー株式会社 すべての障害 ◆取組の背景 全国事業所に勤務する障害者約550名の定着支援は全国を12ブロックに分け、各ブロックに定着支援員を1名配置し、日々の採用業務と定着業務を行っている。しかし、全国の事業所での障害者雇用の認識は高まらず、グループ全体の課題となっていた。 ◆取組 全国の事業所にイントラネットを活用した「SOP(Shidax Office Partner)通信」を発行し、障害者雇用のワンポイントアドバイスや障害者雇用事業所の好事例を発信することとした。 <SOP通信の概要> 1.発行頻度 2か月に1回の発行を目指し、作成。 2.中心となる記事 障害者雇用のワンポイントアドバイスや障害者雇用事業所の好事例の紹介、特例子会社の考え方や業界情報、障害者雇用の決まり(法律関係)など、幅広い情報を発信している。 3.誰もが閲覧できる内容に配慮 障害の有無に関わらず多くの社員が閲覧することを想定し、誰が読んでも違和感を感じない内容を目指した。 4.支援員の総合力で作成 各記事の内容により支援員の中から担当者を決め、記事の作成及び撮影を行い、最終的な作成担当は支援員の1名を指名。 SOP通信 ◆取組後の効果 これまでは問題が発生しても連絡先が分からず未解決で留まっていたケースが、好事例等を確認することで解決策のヒントになると想定している。また、過去に解決が難しかった事例についても新たな気づきが生まれる場合もあり、解決のヒントになる可能性が高い。さらに、好事例事業所への直接の連絡が可能となることで横の連携が促進され、一層の雇用ノウハウの浸透や雇用環境の整備の進展に期待する。 ◆担当者の声(P20に写真掲載) (相談役担当部長 高橋様、渋谷事業所所長 田中様、調布事業所所長 栗田様、渋谷事業所業務部グループリーダー 大野様) SOP通信では、時事や障害者雇用に関する弱みのすくい上げ、功績を称えられた社員にスポットを当てており、タイムリーかつ為になる記事を掲載しています。記事執筆だけでなく、デザインなども作成担当支援員が行っています。 全国事業所の中にはSOP通信を職場に掲示していたり、訪問した際には記事にしたストレス対処方法について「参考になった」と一般社員からコメントをもらったこともありました。さらに、お客様からSOP通信に掲載してほしいと依頼されたこともあり、障害者雇用の関係者だけでなく、全社員が閲覧可能となり、全社的により障害者雇用について理解を深める機会になると実感しています。ダイバーシティの理解が促進され、職場環境の整理に繋がることを期待しています。 --------------------------------------------------------------------- 支援機関の活用により障害特性をよく理解し、柔軟な対応で職場定着を図った取組 高浪化学株式会社 精神障害 ◆取組の背景 新規業務(ペットボトルキャップの再生原料への再利用)を開始するにあたって、障害者が担当する業務として対応できるのではないかと思い立った。ただ、障害者雇用自体が初めてであったことから、募集・採用の段階から勝手が分からず、初めに県や障害者職業センターに相談し、就労継続支援B型事業所に所属する精神障害のある方を採用して、障害者雇用がスタートした。 ◆取組 @雇用支援体制の整備 日常の障害のある対象社員の社内支援担当者とは別に、対象社員の生活面、業務全般の監督を行う支援統括員(部長)を配置した。支援統括員は対象社員だけでなく、社内支援担当者に対しても日頃からフォローアップをする等配慮した。また、支援員とは朝礼後に「朝会」を実施することにより、対象社員に係る情報交換や課題、支援方針を共有した。 さらに、対象社員本人と支援担当者もスマートフォンSNSのグループ設定によりつながりができており、体調管理等の日々の連絡はスムーズにできている。 A「自分専用マニュアル」の作成 初めて担当する業務等について、社員全体に対する共通マニュアルではなく、対象社員本人が経験した作業内容を通じて自身での作業用マニュアルを作成させ、業務に反映させた(資料・支援ツール(P160〜162))。 B障害特性の把握と能力開発 対象社員の適性については障害者就業・生活支援センターを通した職場実習等を通じて把握し、適切と思われる工程に配置している。機械から発する動作音が大きい工程があり、これらの音により集中しにくい障害特性がある対象社員については、作業場の安全を十分に配慮したうえで、対象社員本人が好きな音楽を流しながら作業することを許可した。 さらに、職場での経験を通して、自身の業務が問題なくこなせるようになったと判断した場合は、新しい業務にチャレンジできるようにした。 支援体制(組織図) ◆取組後の効果 @対象社員の体調管理や抱える課題について、面談という形式にこだわらず、日々の何気ない挨拶や日常会話から変化を感じ取ることにより、支援員内で情報共有できていた。また、課題が発生した場合であっても毎日の情報共有により、即時に対応することができ、問題がさらに大きくする心配はなかった。さらに、SNSでも簡単に情報伝達できることから、対象社員からは安心感が生まれると同時に、支援担当者としては情報共有がより簡便となった。 A一般的な共有マニュアルではなく、自作のマニュアルを本人に作らせることにより、担当開始当初はミス等が目立ったが、自分専用マニュアルが充実するたびに、より対象作業への理解が深まり、結果としてミスが低減された。 B通常のデスクワークや同僚とのコミュニケーションが必須となる職場ではなかなか困難と思われるが、決められた作業を繰り返すことがメインとなることから、自身の好きな音楽を聴きながらリラックスした状態で作業ができるようになったため、生産性が向上した。 また、本人に別業務へのステップアップすることによりモチベーションアップにつながり、自身の能力への自信も出てきた。これにより普段の働きぶりも目に見えて活力がでてきているように見受けられた。結果として長い定着率につながっていると考えられる。 ◆担当者の声 (取締役部長 蛯沢様) 採用当初は不安がありましたし、多少の課題も発生しましたが、お互いに試行錯誤を繰り返すことにより、特性を理解し、どこを配慮すべきなのか分かってからは、特段大きな問題は発生していません。労働者の採用から定着における姿勢は障害の有無に関係なく、健常者と同様であると感じています。 試行錯誤を繰り返す場合においても障害特性等をよく知っている支援機関(就労移行支援事業所、訪問型ジョブコーチ、障害者職業センター等)の存在が大きいと感じています。実際には何もなくても、何かあったときに相談できる窓口があると支援者として安心できます。 --------------------------------------------------------------------- 専門職以外の相談窓口(JOBサポート窓口)を新たに設置し、会社全体で障害者雇用に関心を向けた取組 富士ソフト企画株式会社 すべての障害 ◆取組の背景 これまでは相談窓口であるカウンセリング室の設置により、常時2名の専属カウンセラーが配置されていた。しかし、社員からの相談が集中し、業務時間外や休日にも相談がなされるような状況にあり、また、専門職だけが障害を理解するという風潮にもつながっていた。 ◆取組 カウンセリング室を廃止し、JOBサポート窓口を新たに設置した。JOBサポート窓口では、社員(上司や管理者含む)が抱える問題の整理や問題解決のための行動等を支援している。企業在籍型ジョブコーチの資格をもつ社員も織り交ぜた、ある程度の経験を積んだ社員を担当者とし、様々な部署から集まった4名を配置。定期的にJOBサポート窓口担当をローテーションし、対応している。 <相談〜社内連携の流れ> @相談希望者が、定型フォームからJOBサポート窓口に相談を依頼する。 AJOBサポート窓口の担当者と相談日時等を決め、就業時間内に面談やメール等で相談を行う(1回〜複数回)。 B月1回、社長以下、部長(責任者)、4名の担当者によるJOBサポート会議により共有が行われる。 ◆取組後の効果 基本的には上司に相談することになっているが、それがしづらい場合の受け皿となっている。相談窓口の仕組みを一新したことにより、相談を受ける窓口担当者の負担を解消でき、相談する側、相談を受ける側双方が障害者であることが多いため、互いに配慮し合える関係がみられる。 ◆担当者の声(P47に写真掲載) (企画開発部採用チーム 課長代理 槻田様) 資格の有無にかかわらず窓口担当を選任しており、今年からは親会社から出向している社員も窓口担当に据えています。さらに、数年ごとに窓口担当を入れ替えるなど、会社全体がカウンセリングマインドを持てるように工夫しています。この会社は上に伸びていこうという気持ちを助けてくれる風土があります。障害者の場合、得意なこと、苦手なことがはっきり出てきて、状態が悪いときには視野が狭くなったりもします。そうしたときにお互いサポートできるような言葉遣いや態度が必要となりますが、そこに周りへの気遣いが自然になされる富士ソフトの強みがあると考えています。 JOBサポート窓口の利用の流れ --------------------------------------------------------------------- 「グランドルール」の策定等で社員全体の意識を変えることにより障害者雇用をスムーズに推進した取組 有限会社西部産業 知的障害 ◆取組の背景 それまで障害者雇用の実績が乏しく、経営陣が障害者雇用に取り組む方針を示した際、これまで障害者と接する機会がなかったことから、多くの社員から不安の声が聞こえた。 ◆取組  @「雇用におけるグランドルール」の策定 行政機関が作成している指針や支援機関が行っている講習資料等を参照し、会社としての「雇用におけるグランドルール」を策定した。その内容は、(@認め合い、A分かち合い、Bささえ合い、C助け合い)の意味における会社の理念と社会におけるノーマライゼーションであり、これを再認識してもらった。 A研修会の実施 障害の有無に関わらず、新規採用社員と中途採用社員に対して、障害の種類や特徴、社内の支援体制や職場実習から採用・職場定着までのサポーター等の取組等について説明し、会社の障害者雇用に対する考え方について理解を深めてもらった。 支援担当役員は、外部機関が開催する研修会等に積極的に参加し、自社に取り入れられる障害者雇用に関する情報等を基に、社内研修用の障害者雇用管理のテキストを作成した。 ◆取組後の効果 「グランドルール」が社員全体に浸透したことと併せて、幸運なことに、採用した障害者と会社のマッチングがスムーズで、非常に優秀であったことから会社でも重要な戦力として認知されてきた。これにより「グランドルール」が社員の実感として認識され、実践できるようになった。 その結果、「グランドルール」の策定は、障害者雇用のための方針というだけではなく、障害の有無に関わらず社会の差別や偏見において、社員同士が、認め合い、分かち合い、支え合い、助け合うことの重要性とその効果を実感することができ、社内の意識がより高まるという好循環が生まれた。 ◆担当者の声 (常務取締役 吉田様) 障害者雇用にあたっては、経営者の理念も重要ですが、会社全体としての意識の共有がもっと大切であり、これができていれば社員同士が支え合う体制ができあがると考えています。 雇用におけるグランドルール --------------------------------------------------------------------- 障がいのある社員のパソコンスキル向上とデジタル化に対応する環境整備 アフラック・ハートフル・サービス株式会社 すべての障がい ※アフラック・ハートフル・サービス株式会社様のご意向により「障がい」「人財」と表記を統一しております。 ◆取組の背景 グループ会社全体でペーパーレス化およびDX(デジタルトランスフォーメーション)推進が浸透する中、障がいのある社員はパソコンスキル不足や使用経験の少ない方が多い。また、パソコンの数も限られているなど社内環境も十分に整備されていなかった。このため、デジタル領域における人財育成と社内環境整備が必要であった。 ◆取組(支援員を「スタッフ」、障がいのある社員を「社員」と表記。) ○パソコンスキルアップ支援体制の整備 (1)スキルアッププロジェクト @全社員にスキルチェック(P検、ワークサンプル幕張版OAソフト)を実施し、その結果から社員の強みを活かせる人財配置を行った。 Aa)社内ジョブローテーション、b)スタッフが行っていたパソコン業務を社員へ移行、c)パソコンスキルアップ、d)パソコン以外のスキルアップに分けてトレーニングを行った。また、Excel等のテキストを社内に常備し、社員が主体的に取り組める環境を整備した。 <パソコンスキル向上のトレーニングの一例> 基礎的なパソコンスキルを有する社員を対象に、外部講師(公益財団法人東京しごと財団)による社内パソコン講座の研修を実施した。研修後、社員による研修成果発表会を開催し、習得したスキルを活用したプレゼンテーション形式で各自が発表を行い、その後の業務に活用している。 (2)学び応援プロジェクト @“学び応援プロジェクト”という自己啓発支援制度の説明会で自己啓発制度の仕組みやメリットを説明し、スキルアップを推奨する風土を醸成した。 特にMOS資格の取得促進のため、講座受講や受験のサポート額を増額し、チャレンジしやすい仕組みに変更した(資料・支援ツールF(P133〜138))。 Aパソコンスキルアップ講座や試験内容の理解促進のため「クイズ形式」で講座を紹介している。さらに、こういった資料を社員が作成することで、スキルアップにつなげている。 ○パソコン活用の機会創出 ・テンプレートの活用等によりお客様への業務完了報告等のEメール連絡を社員が自ら行えるよう業務習得。 ・ほぼ全社員が業績考課をデータ入力へと移行。 ・社員による「マニュアル作成チーム」「実績票作成チーム」「ポスター作成チーム」等の立ち上げ。 ・コロナ禍で出社制限があった時には、自宅のパソコン環境が整っている社員向けにパソコンを活用した課題(資料・支援ツールG(P139〜140))を提案。 ・朝礼・夕礼の連絡事項をスタッフがTeamsで発信し、既読した社員は「いいね」マークで返信する。業務における確認や連絡等はスタッフへTeamsを通して報告。 【事例】 Aさんは自宅にパソコンがなく、デジタル機器に対する苦手意識が強かったが、変化しつつある受託業務に対応するため、パソコンに対する抵抗感の軽減に取り組むこととなった。 まず、Aさんにはパソコン電源のオン・オフとログインを日々行ってもらった。メモを取ることが得意で几帳面なAさんは、メモの活用で各操作を1週間で覚えることができた。Aさんから「もっと覚えてみたい」という前向きな発言があったため、月に2回、ログインを忘れている社員を確認してもらった。以来、主体的にログインし、忘れている社員にも声掛けをすることができるようになった。 現在、スタッフが行っていた実績記録表へのデータ入力、連絡事項への文字入力、作成物を印刷、掲示する係などに段階を踏んで取り組んでいる。 ◆社員の声 (Aさん) はじめは苦手なのでどうしようかなと思いましたが、ログインから練習を繰り返し、やっているうちに慣れてきました。コピー・ペーストのやり方が難しかったですが、パソコントレーニングで入力を頑張り、今では社内掲示物を作成するなど業務の幅が広がりました。今後もパソコンがうまくなるように頑張っていきたいです。 ○社内環境の整備 (1)特にポテンシャルのある社員のジョブローテーションを実施。新規執務室を整え、一人一台パソコンを付与した。発信された朝礼・夕礼の連絡事項を各自確認し、報連相もパソコンを利用する。社内全体の社員用パソコン台数は、2020年の43台から2022年5月現在で75台と増加した。 ◆取組後の効果 ・パソコンスキル向上への社員の意識が確実に高まり、新しい業務への期待感やモチベーションへつながった。 ・社員のパソコンスキルを可視化したことで、効果的なジョブマッチ、ジョブローテーションの実現につながった。また、パソコンスキルアップのために今後必要な支援や施策を理解することができた。 ・パソコン業務に携わっている社員は、2020年12月時点で社員全体の18%であったが、2022年5月現在で74%と大幅に増加し、資材管理や業務マニュアル作成、納品時のメール連絡など、これまでスタッフが担っていたパソコン業務を社員が行えるようになった。業務の切り出し、調整が行い易くなったり、業務依頼元の担当者が在宅勤務であっても業務を遂行できる等、環境変化に対応しながら受託業務の拡大を見通せるようになった。 ◆担当者の声 (事業推進部事業推進課長 新井様) 業務に対してやりがいを持っていること、必要とされることが大事なことであり、現状の適性で業務をマッチングさせるだけでなく、必要とされる業務でスキルを発揮してほしい思いがあります。そのために、これからも社員のスキルアップに力を入れて取り組み、会社としても一人ひとりの可能性を追求できるサポートを大切にしていきたいと考えています。 スキルチェック 概要 社員が作成した、学び応援プロジェクトの講座を紹介するクイズ形式の資料 整備された環境で各自パソコン業務を行う社員 --------------------------------------------------------------------- 通勤が困難な障害者やパソコンスキルを持つ障害者が活躍できる「リモートワーク」の確立 株式会社アールビーサポート 身体障害 ◆取組の背景 令和2年に県委託事業「障がい者のテレワーク促進事業」に参加し、実習生である重度身体障害者のAさん、Bさんのアバターとして人型通信ロボットを導入し、介護施設利用者とのコミュニケーションを図ったところ、利用者等から好評であり、業務として成立することが確認できた。翌年に「障がい者委託訓練事業」を受託し、実習を終えた2名の適性を鑑み、遠隔によるコミュニケーション業務と事務業務に分かれ、訓練を開始した。 ◆取組  ○遠隔によるコミュニケーション業務 Aさんは自宅からZOOMを繋ぎ、タブレット前にいるデイサービス利用者と会話を交わす。事業所から「ケアサービスに対するアンケート」等の会話のヒントを提供しているが、現在はZOOMの画面共有機能を用いた画像や動画によるコミュニケーションの幅を広げている(題材:体操、クイズ、実家の風景など)。さらに、タブレットとデイホールの音響設備をつなぎ、利用者全員にアナウンスする仕事も担えるようになっている。 業務報告、記録については、ZOOMやLINE等のチャット機能を活用し、Aさんが困ったときにはスタッフへ電話連絡を行うなど、円滑に業務に取り組める体制が整備されている。 ○事務業務 Bさんは遠隔ソフト(クイックアシスト)を用いて、在宅で利用請求書の一部転記や介護提供チェック表などの入力作業を行っている。業務習得までは担当指導者と画面共有し、電話も併用しながら説明していたが、習得後は概ね自立した業務が可能となっている。指導担当者を複数人配置し、途切れなく指導できるような勤務体制も整えた。 事務所での入力作業だけでなく、介護部署における記録作業など、複数の部署を跨いだ作業があるため、業務曜日・時間別の「業務時間割表」を作成し、各部署に指導担当者を配置した。また、自宅にデュアルディスプレイを整備し、さらに作業効率が向上した。 ○障害者雇用における社内支援体制、関係機関との連携 事業部長が各関係機関との窓口となり、事業スケジュールの管理・連携を図った。また、実習生の訓練にあたっては、デイサービス主任と事務主任がそれぞれ中心となり、業務スケジュールを作成したり、指導スタッフを配置した。さらに、就労支援機関もAさん、Bさんとの定期的な面談を行っており、事業所と就労支援機関の連携体制も構築されている。 ◆取組後の効果 「障がい者委託訓練事業」終了後、Aさん、Bさんが入社。障害により公共交通機関の利用が困難、あるいは遠方在住等の事情があっても、ICTの活用により勤務が可能となり、事業所全体としてリモートワークの可能性が広がり、社内スタッフが障害のある社員への理解を深めるきっかけになった。 さらに、ケアスタッフが従事している業務を担ってもらうことで、慢性的な人員不足が続く介護現場の一助となっている。また、利用者一人ひとりの声を聴いてもらうことで、利用者の満足度も高まり、相乗効果が生まれている。 ZOOMにて利用者と会話をするAさん デュアルディスプレイを活用し、在宅で事務業務を行うBさん --------------------------------------------------------------------- 安全第一を掲げ、職場を安心して働ける場所にすることによりチームワークを強化 株式会社王将ハートフル 知的障害 ◆取組の背景 王将フードサービス全体で障害者雇用が思うように進まないこともあり特例子会社の設立を決定したが、指導員等にとって初めての経験だったため作業手順や安全指導等すべてが手探り状態であった。そのような中、まずは「安全をすべてに優先させる」取り組みから愚直に推進していった。 ◆取組  @毎日の面談の実施 指導員との1対1の面談を毎日実施し、今日の振り返り、当面の課題、体調管理等について確認している。安心して作業ができるよう、相手やその時の状況によって細かに対応や伝え方を変えている。本人から提出される業務日誌も重要な判断材料となる。 A「不安全行動撲滅6ヶ条」の制定 社員の安全が最優先であることから、「安全第一」をモットーに「不安全行動撲滅6ヶ条」を制定した。現場で「それはダメ!」「危ない!」と注意してもなかなか伝わらないため、分かりやすい言葉とリズムで表現した標記6ヶ条を制定し、様々な機会を通じて浸透させていった。 併せて、現場の危険箇所ごとに安全のための具体的行動を指導員だけでなくリーダー、サブリーダーも中心となって社員に教育した。 B作業手順の均一化、マニュアル化(システマティック・インストラクション(※)の考え方を参考) キャベツの芯取り作業などは一定程度以上の効率が求められるが、従前は個人毎にやり方が異なることから効率が異なっていた。作業工程を詳細に分解し、マニュアル化した。 (※)システマティック・インストラクション 作業工程の分析、指示の方法(マニュアル化等)のほかに、習熟度に合わせた介入度合の変更、賞賛修正の仕方などを含めた支援技術のこと。 ◆取組後の効果 @毎日の面談を通して、会社が障害のある社員の日々の変化に気付けるだけでなく、障害のある社員本人に対しても、「会社は安心して働ける場所」「会社が自分の居場所」といった認識が芽生える効果があり、高い定着率に結びついている。また、障害特性や性格、体調等によって伝え方を変えることにより、無理なく今日すべき作業についてスムーズに認識してもらうことができる。 A作業経験の少ない新入社員でも仕事をするうえで大切なことは安全であることを認識できるようになった。各作業グループにおいて安全に対する意識を地道に定着させることにより、ヒヤリハットの共有やKYT(危険予知訓練)の実践ができるようになるなど好循環が生まれている。結果として、創業以来2,000日超の業務上無災害記録を継続中である。 B詳細なマニュアルを作成し、全員が習熟することにより作業の均一化だけでなく、効率化による生産性の向上も図れた。また、すべての作業マニュアルを整備し常にブラッシュアップしていくことにより、社員全員がどの作業にも対応できるマルチタスク化ができた。副次的な効果として、障害のある社員本人の理解の向上だけでなく、指導員のスキルアップや安全意識の更なる向上にもつながり、会社全体としての生産性が向上した。 ◆社員の声 創業当初はすべてが手探り状態で何が正解なのかわからず、試行錯誤を繰り返していました。他社等から素直に学び親会社の支援も受けながら愚直な取り組みを継続した結果、徐々に生産性の向上や品質改善に効果が表れ、現在では弊社が重要な戦力として認識されています。 不安全行動撲滅6ヶ条 安全記録ボード --------------------------------------------------------------------- 業務改善提案により業務改善(エラー率の低減等)につながった取組 株式会社ダイキンサンライズ摂津 すべての障害 ◆取組の背景 主に製造ラインにおけるピッキング作業では一定程度のエラーが発生しており、担当者のその日の体調等によりエラー率に変動があった。それ以外の生産場面においても、生産性を低減させるおそれのある事案が発生していた。 ◆取組  会社のモットーである「品質第一」の理念から、職場の改善活動を通じて効果が期待される方策として、全てのリーダーに対して年間2テーマを掲げて業務に取り組み、提案をさせた。 <業務改善提案の例>(資料・支援ツールI(P144)) @オンラインピッキングシステムの導入 ピッキングにおけるエリア、棚等毎に設定したライト(色、点滅等により区分)により、ピッキングすべき材料の種類及び数量に誤りが無いようにシステム化した(適切な材料と数量を選択しない場合は、作業が進まない等の工夫)。 社内のオンラインピッキングシステム 改善した運搬用パレット A運搬用パレットの改善(聴覚過敏の社員に対する改善方策) 従前使用しているパレットでは持上げ時に金属音が必ず発生していたが、パレット底面に造作を加えることにより金属音を発生しないようにした。 B作業場所の目印設置 作業場所を移動するとパニックにより自身の場所が分からなくなる社員に対して、廊下に矢印やコーン等の目印を設定した。 C積極的な見学の受入れ 支援学校や企業、団体等からの工場見学を積極的に受け入れた。 ◆取組後の効果 @オンラインピッキングシステムの導入により従前発生していたエラーが激減し、ほとんどなくなり、生産性が向上した。 A金属音が発生しなくなったことにより聴覚過敏を持つ社員が業務に集中することができ、生産性が向上した。 B職場長やサブリーダーを中心に、現場での具体的改善を設定することにより、パニックが起きにくくなり、作業が安定した。 C外部の人から就労場面の視察をされることにより、自身の業務に対する意識が高まり、結果として障害のある社員の就労意欲が高まった。高い定着率にも寄与していると思われる。 ◆担当者の声 (製造部第一製造課長 高田様) 上記以外にも実施効果が高いと思われる業務改善提案に対しては、グループ毎に「実施賞」として臨時の報酬が出ることにより、改善に対する社員のモチベーションがさらに高まり、より良い提案が出る好循環となっています。 グループでの改善方策も有効ですが、社員個々の就業場面での悩みやニーズを汲み取ることも業務改善においては重要と思っています。 --------------------------------------------------------------------- 知的障害者のIT業務への職域拡大 CTCひなり株式会社 知的障害 ◆取組の背景 IT業界では作業の増加、多様化が課題となっており、親会社である伊藤忠テクノソリューションズ(以下「CTC」という。)から業務創出の相談があった。一方、社内では中核事業である清掃業務の在り方の見直し、社員のキャリアアップや高齢化対応、グループ内での価値向上を目標としていることから、CTCと共同でデータ加工専門チーム(ひなりDPサービス)を立ち上げた。 ◆取組(障害のある社員を「スタッフ」と表記。) DP(データ・プレパレ−ション)業務・・・AIでよく使用されるプログラミング言語(Python等)を使用して大量のデータを分析可能な状態に整形する業務。例えば、「お客様と顧客」、「取締役と役員」などの用語の名寄せや全角と半角を含めた表記ルールの適用、重複した用語の削除や異常値の除去といった作業である。 企業在籍型職場適応援助者(以下「ジョブサポーター」という。)から作業がし易い様、細分化された業務の指示とサポートを受ける形で、障害者スタッフ(以下「スタッフ」という。)が業務を遂行する。 ○業務体制 ひなり/スタッフ2名、ジョブサポーター2名 CTC/上級SE1名、SE2名 ひなり/スタッフ4名、一般社員1名、ジョブサポーター2名 CTC/上級SE1名、SE2名(現在は1名) ※スタッフは、プログラム開発経験が無いものの、パソコン作業への適性等を踏まえ選任した。 ○人材教育 ・当初はPython習得のため、一般向けのプログラミング基礎の演習課題を繰り返し実施したが、記憶に定着しづらかったため、実践的なプログラミングを通して実現したいことを説明し、その実現手段としてWebで調べる方法を示し、実践を通じてプログラミング技量を上げる取組を2021年度から1年弱継続した。 DPサービス化までの道のり <AI作業のベースづくりのためのスタッフ・ジョブサポーターのアクション> 類型 スタッフのアクション ジョブサポーターのアクション 社会性向上教育 何が、どうした、どうしたいを簡潔に伝えることを意識する。 一人ひとりに、相手が理解できる言葉で話し、起承転結で話すことをスタッフの目標に設定する。図表を使って必要に応じて説明資料を作成する。 1人でため込んでしまったら相談する。 「分からないのは恥ずかしいことではない」を意識付け、適時声掛け。 知りたいこと、調べた結果疑問に思うこと、自分の解釈をグループ内で共有、意見交換のコミュニケーションを図る。 コミュニケ―ションのファシリテーター、必要に応じてアドバイザーとなる。 自主性向上教育 具体的な作業指示への対応に自主性を発揮する。必要に応じてグループワークで取り組むことを判断。 作業指示への理解が足りない、またはグループ内で解決できない場合は、ジョブサポーターがサポートする。 IT基礎教育 Pythonの実装方法やエラー事象の対応方法をネット検索で調べる。 分からないことへの調べ方を教える。 ・ネット検索のやり方を教える(検索キーワード=知りたい事柄、検索条件は広範囲から徐々に絞り込む)。 ◆取組後の効果 プログラミング作業を通じてIT技術の他、社会性や自主性が一層定着したチームにより、生産性が上がり品質が改善した。Pythonによるデータ準備プログラム全体の所要時間は、1年前には2日間弱要していたが0.5日に短縮した。ジョブサポーターの的確な指示のもと、過去の経験と類似した作業は経験を活かして処理でき、能力として定着したことが確認できている。 言葉を駆使するコミュニケーション能力が非常に高まった。スタッフ自らミス再発防止について考えたり、判断に迷った時にジョブサポーター等の意見を聞くなど社会性が高くなり、スタッフ自身が安心感を得るとともに、自己の判断の補強・修正ができるようになった。 プログラミング作業を行うスタッフ --------------------------------------------------------------------- テレワーク時代の事務代行業務「O-WaaS」の職域構築 CTCひなり株式会社 知的障害 ◆取組の背景 親会社の伊藤忠テクノソリューションズ及び、グループ会社(以下「CTCグループ」という。)ではコロナ禍を契機にテレワークが広がったが、CTCひなりでは清掃や洗濯、機器解体など業務の特性上、出社勤務が基本であった。そこで、CTCグループの現地業務を担うため、事務作業を代行する「O-WaaS(Onsite-Work as a Service)」業務を立ち上げることになった。 CTCひなりでは、障害のある社員をスタッフといい、業務の支援を行う社員をジョブサポーター(企業在籍型職場適応援助者)という。 ◆取組 ○O-WaaS業務 <担当スタッフ> 清掃業務担当の知的障害のあるスタッフから3名を選抜 <業務内容> ・紙媒体の電子化(PDF化) ・ポスティング ・データ・プレパレーション業務(データ分析の事前準備作業) スタッフがO-WaaS業務を行う様子 複合機を使用し、PDF化作業を行う様子 <留意点> ・間違いを見逃さないよう、作業は2人(以上)で実施。 ・作業を統一させるためにマニュアルを作成。 ・休憩は、作業の妨げとならないように時間を固定せず作業が完結した後に取る。 ・個々の障害特性に応じた役割と作業量を見極める。 ・残業にならないように日中の勤務時間内にスケジュールを行う。 <作業の進め方> @手順書を作成し、開始前にジョブサポーターからスタッフに説明 Aジョブサポーターがスタッフごとの障害特性に合わせて作業の役割を決定し、実施 スタッフの役割 ・用紙サイズの異なる資料を、電子化を進める順番に並び替える ・PDF化する複合機の操作 ・電子化したデータファイルの名称入力 ジョブサポーターの役割 ・スタッフの進歩状況の確認と作業手順の確認 ・スタッフからの質問対応と最終チェック ≪作業工程組立てのポイント≫ ・スタッフの作業理解を深めるために、一度に大量の情報を与えるのではなく、作業全体を細かなプロセスに分割し、ミスを起こしにくいように組む。 ◆取組後の効果 ・2,110人分の個人データをPDFにして所定場所へ格納する作業を40日間で実施。スタッフの疲れへの配慮により納品精度を保ちつつ納期も厳守することを両立させる方法を確立した。その後、外部署から紙書類のPDF化作業等、新たな業務を獲得している。 ・依頼元から「一般の同業者と同等か、それ以上の成果」と評価を得ることができた。実績を積み重ね、スタッフの成長と自信につながっている。また、受注の段階から依頼元へスタッフの障害特性を説明し、障害特性を踏まえた作業組み立て、進め方について会話を重ねさせてもらい、着実に業務への信頼を得ていくことにより、今後もO-WaaS業務の幅を広げていく。 --------------------------------------------------------------------- 新型コロナウイルス感染症の感染拡大による在宅勤務の導入等新しい働き方の構築 シダックスオフィスパートナー株式会社 すべての障害 ◆取組の背景 新型コロナウイルス感染症感染拡大により、在宅勤務を取り入れることと、安全性を最優先した対策を構築することが急務であった。しかし、大半の障害のある社員は在宅勤務が難しかったため、幅広く新しい働き方を模索した。 ◆取組 1.在宅勤務の導入 週2日の休業を導入し、給与は100%保証とした。支援員と在宅勤務可能な障害のある社員は週2日の在宅勤務を導入した。 2.時間差出勤の導入 通勤ラッシュを避けるため、一部の社員は通常始業時間より1時間早い出勤とした。 3.移動の大幅な制限 出張禁止・他施設の訪問禁止・勤務場所フロア各階の移動禁止・リアル会議の禁止・他社訪問禁止・特別な理由がない限り来客の入館禁止など、移動については大幅に制限した。 4.オンラインの活用 上記3への対応策として、研修・支援機関との打合せ・通常面談等全てZoom対応とした。 5.その他 オリジナル新型コロナ対策基準を設定した。 ◆取組後の効果 1.障害のある社員の多くは在宅勤務が難しく、休業との選択となった(当時の全体の出勤率は約60%で推移)。また、特例子会社の業務の特性上、来社なくして仕事に取り掛かることは難しく、今後の課題として残ったが、感染拡大期の昼食は、外食を控え持ち帰りやデリバリーを推奨し、その他の対応含め安全性には大きく貢献できた。 2.Zoom対応とした会議・面談・研修・打合せ・来社・訪問は極めて効果的であり、特に、研修は新たなスタイルが確立された(自席での研修参加が可能となった)。また、全国から集まる会議や打合せ・訪問等は移動時間が削減され、時間の効率化に大きく貢献した。 --------------------------------------------------------------------- 女性・高齢者・障害者が“生き生きと働ける職場”環境づくりのための「ハード面」「ソフト面」の改善 太洋リネンサプライ株式会社 ◆取組の背景 新石垣空港の開港以降、観光客の増加と新たな宿泊施設の開業を背景に受注量が増加し、時間外勤務の増加や夏場の工場内の暑さなどが社員の負担になっていた。既存の設備等では対応力に限界がきていたため、機械設備などの「ハード面」と新卒募集の開始などの「ソフト面」の改善に取り組むこととした。 ◆取組  ○職場環境の整備 「企業は人なり」との言葉が後押しとなり、多額の費用を投じて洗濯機械の選定やスポットクーラーの設置を行った。 従来の文字だけの手順書からイラストや写真入りの作業マニュアルに変更した。資料作成が得意な社員に作成を依頼し、自前で作成した様々なポスター等を工場内の至る所に掲示することで、安全教育や衛生教育にも力を入れている。 ○地域の人材確保に向けたPR活動 ハローワークが主催する高校生向け企業説明会参加や高等学校での「仕事説明」「就労に関する取組」に関する講話、生徒や保護者を含めた「見学会の開催」、在校生の「職場体験の受入れ」を実施した。 【事例】 上地さんは特別支援学校在学時に職場見学会へ参加し、会社や仕事内容の講話、出前講座を通じて会社に興味をもち、職場適応訓練生として受け入れることとなった。 訓練当初はプレス作業のスピードが遅かったが、自宅で洗濯物をたたむなど日々練習を重ね、1ヶ月経過した頃から大幅なスピードアップが見られた。保護者や学校から生活面や特性等を聴き取り、また、定期的に支援センターを交えて面談を行い、安定した職業生活ができているかお互いに確認していった。常用雇用後も定期的に現場リーダーや支援者等が連携し、定着支援を継続している。 ◆社員の声 (上地様) シーツや布団カバーのプレス作業は体力を必要とする作業ですが、大変なことはなく、作業をしている時が一番楽しいです。元々運動が好きで、今も帰宅後に走ったり、筋トレをして体力には自信があります。目標としている先輩をお手本に、これからは下の作業(洗い場)もやってみたいです。 将来は車の免許を取ることと旅行に行くことを楽しみに、仕事を頑張ります。 ◆取組後の効果 設備投資の成果として洗濯処理能力が倍増し、品質の向上、スピード対応、顧客満足の向上が図られた。また、社員(特に女性、高齢者、障害者)の負担が軽減し、作業時間の短縮、効率化が図られた。 特別支援学校の職場見学会および出前講座に参加した学生が会社に興味を持ち、さらに、保護者や進路指導教諭からも就職先として強く希望が上がった。この学生を職場適応訓練生(クリーニングスタッフ)として受け入れるなど、様々な活動の成果に結び付いている。 シーツのプレス作業をする上地さん 作成した作業マニュアル 企業説明会の様子 高等学校で行った職業講話の様子 --------------------------------------------------------------------- 事業所毎のチームリーダーが中心となって、作業の標準化、職域開発等に取り組んだ事例 電気硝子ユニバーサポート株式会社 すべての障害 ◆取組の背景 特例子会社として長年にわたって障害者雇用に取り組んできたが、法定雇用率の引上げ等、更なる障害者雇用への取組が必要となったことにより、健康で安全かつ多様性を認める職場の構築を目指すこととなった。 ◆取組 ○サポート体制の強化  各事業所のチームリーダーが主体となって、地区定着推進委員会メンバー(地区チームリーダー(議長・進行)、事業所長、グループ長、リーダー、ジョブサポーター、推進員)で構成されている地区障害者定着会議を開催し、「障害者職場定着推進委員会」にて進捗状況を管理、推進することとした。他に職場リーダーは定期的な面談により合理的配慮の確認を行う。障害者のメイン職場に「ジョブサポーター」を配置し、障害者の日常業務の課題や悩みに対応する(資料・支援ツールL(P151))。 ○作業の標準化と職域拡大(ワックスプロジェクト)  障害者が定着しやすい定常業務内容に絞ることを目的に、マルチタスクを要求される専門性の高い業務は、他グループ会社へ移管し、これまで外注していた床ワックス掛けや、構内の駐車場線引き作業、消火器の点検作業などを内製化し、プロジェクトを立ち上げ職域拡大を図った。新規事業を取り込むにあたり、作業手順を動画撮影し、マニュアルと共に作業を標準化し理解度を上げた(資料・支援ツールM(P152)) ジョブサポーター指導風景 ワックス掛け作業 オリジナル治具を使用した清掃作業 清掃作業 浴室清掃作業 消化器点検作業 ワックスかけ指導風景 白線ひき作業 ◆取組後の効果 新たに委員会を設置したことにより、日々の支援(=ジョブサポーター、職場リーダー、推進員)、事業所内の定期的な雇用管理(=チームリーダー)、全社的な取り組みの方針策定、進捗管理(=障害者職場定着推進委員会)という構成で支援体制が整理され、うまく役割分担をすることができるようになった。併せて、社内にも支援体制を示すことにより、会社としての障害者雇用に対する姿勢(障害を特別視せず、互いに理解し助け合う職場を目指す)を浸透させることができた。 作業の平準化について、例えば清掃業務では社員を3班に分けて、異なる場所を同時に作業するが、各作業工程を単純な工程に分解し、分単位等で進捗管理することにより、スムーズな業務遂行ができるだけでなく、同じグループ内でも進捗に差が出た場合に互いにサポートすることができるようになった。 結果として、様々な取り組みが奏功したことにより、働きやすさが向上し、障害者の職場定着率が従前より高まった。 ◆担当者の声 (写真左から、能登川事業所長 條野様、障害者雇用統括部長 中ア様) 会社としての方針を伝えるだけでなく、現場の意見を汲み取ったり、課題を話し合える、情報共有できる体制が重要だと考えます。 --------------------------------------------------------------------- 在宅勤務の導入に向けた取組 トーマツチャレンジド株式会社 すべての障がい ※トーマツチャレンジド株式会社様のご意向により「障がい」と表記を統一しております。 ◆取組の背景 新型コロナウイルス感染症の影響で当社を含めたグループ会社全体が在宅勤務を全面的に開始したことを受け、障がいのある職員についても在宅勤務が可能になるように取り組んでいる。また、デジタル化社会に応じた職域拡大、人材育成の観点から、在宅勤務に対応できるスキルを習得しておく必要性も高まっている。 ◆取組(障がいのある職員を「スタッフ」と表記。) 1.在宅勤務者選定時のチェックリスト(勤怠の安定、パソコン環境、報告・連絡・相談スキル等の項目)を活用し、在宅勤務が可能かどうかを管理・指導職員が同一の基準で確認する。 2.グループ会社の規定に基づき、在宅勤務に向けたガイドラインをスタッフにもわかりやすいように文言等を修正し作成した。 ≪修正のPoint≫ ・在宅勤務までの流れを1枚にまとめて明示することで、在宅勤務のイメージを持ちやすくした。 ・管理・指導職員が同じ説明が出来るように、根拠となる規定の参照ページを追加した。 3.在宅勤務でのパソコン操作に不安を持つスタッフも多かったため、事前に必要なパソコン操作(勤怠管理システム、Teams、Zoom等の基本的な使用方法)のレクチャーを行った。 4.在宅勤務の開始後を見据え、Excel・Word・PowerPointの問題集、習熟度確認のためのテストを準備した。業務指示者が確認しやすいよう、習得したスキルの一覧表を整備した。 ◆取組後の効果 ・これまでパソコンを使った業務に携わることが少なかった知的障がいのスタッフも、パソコン操作がスムーズにできたことから、在宅勤務が可能な対象者を広げられることが分かった。 ・パソコン操作のレクチャーを行った結果、パソコン貸与率が66.7%から82.9%に引き上がり、パソコンを使用した新規業務の獲得にもつながった。 ・障がいの有無に関わらず在宅勤務の可能性が認められグループ会社のプログラムである、障がいのある学生や既卒者向けデジタル人材育成と就労支援を行う「Diverse Abilitiesインターンシッププログラム」にも発展した。 ◆管理・指導職員の声 ・取組を進める中で、障がいの種別に関わらず、多様な可能性があることに改めて気づかされました。 ・感染症の拡大やデジタル化社会の進化など、急速な社会の変化に対応できる人材育成は、障がいの有無に関わらず大変重要であると考えています。 --------------------------------------------------------------------- 障害のある社員が主体的に運営する会議体の企画から3S活動や業務効率化の提案につなげた取組 百五管理サービス株式会社 すべての障害 ◆取組の背景 障害者雇用優良中小事業主認定(もにす認定)を取得するにあたり、社内で未着手の評価要素を精査したところ、障害当事者が主体の構成員となって参画している会議体がないことが分かった。 ◆取組(障害のある社員を「チャレンジド」と表記。) ○チャレンジドが参加する社内会議体系の変遷 ○2022年3月までの「チャレンジド会議」の運営 <運営内容> ・会議の参加者はチャレンジド全員と支援担当者。本社と分室でそれぞれ開催。 ・議事作成、進行は希望を踏まえたうえで、チャレンジドが当番制で担当。事前に議題内容や進行方法を担当チャレンジドと支援担当者が打合せ、進行時は支援担当者がフォローを行う。 ・議題は「3S活動(整理・整頓・清掃)」、「作業方法の見直し」、「SDGs」、「グリーン推進」など。 <他の会議とのつながり> ・会議内の提案は支援担当者判断により安全衛生委員会に諮ったうえで実行に移す。非常に有効な提案や運営全般に関わる提案などについては、社内の提案制度を利用し、役員や管理者間で協議・審査する。 ○2022年4月から新チャレンジド会議(少人数グループ制)へ移行 <運営内容(本社)> ・毎月1回以上、担当業務ごとにグループで会議を開催。1グループ4〜6人程度+支援担当者1人。 ・会議内容の共有や違う目線からの意見を拾うため、各グループからチャレンジド、支援担当者各1名が出席する「チャレンジド(代表者)会議」を月1回開催。 <他の会議とのつながり> ・3S活動や業務効率化、SDGs、グリーン会議などは、2022年4月から新たに立ち上げた「カイゼン委員会」に、会議内の提案を報告する。安全衛生に関連する議題は、安全衛生委員会に報告する。 Point 議論や提案しやすい雰囲気づくりへの工夫・配慮等 ・聴覚障害のある社員には事前に会議資料を渡し、会議中は電子メモパッドを用いて内容を説明する。 ・人前で発言が苦手なチャレンジドも多いため、発言は無理強いしない、事前に個別で聴き取りを行い指導者が書面にしておく等により、参加者の緊張感を和らげる。 ・支援担当者はチャレンジドから出た意見を否定せず、しっかり受け止めてから回答を行うことで、次の発言に繋がるよう心掛ける。 ・入力しやすいフォーマットを用意し、書面に沿った入力ができるよう配慮する。表現が難しい内容等については、支援担当者が追記しフォローする。 Point 障害のある社員に対する会議の目的や参加の仕方への理解の深め方  ・会議の目的や運営方法、日々の仕事にどういった意識で取り組んでいくかなどを書面で説明。  ・チャレンジド以外の社員全員にフォローしてもらうため、同内容を掲示板に張り出して周知し、毎回の会議の議事録を回覧。毎月の全体会議でも議事録を発表し、周知徹底を行う。  ・チャレンジドの意見やアイデアを取り上げることで、自分たちの作業や執務環境の改善に反映する実感を持ってもらう。 ◆取組後の効果 ・チャレンジド会議の提案件数は、39件(2022年4月〜2023年1月)。うち、カイゼン委員会への提案は、15件。  <提案例> ・新しいカッティングマシンが設置されたので、今後は定期的にメンテナンスを行っていくようにする。 ・身長の低いチャレンジド等が作業しやすいよう、高所の保管棚に「補充ライン」を示す。 ・日々の仕事の中で「何か改善・効率化につながることはないか」という気持ちをもって取り組むことが定着しつつある。また、担当作業に対して責任感と向上心が高まり、各チャレンジドのスキル向上及び職場全体の作業能力の向上につながっている。少人数制に変更後、自分なりに気づいたことを会議で発言、実行することで自信やモチベーションアップに繋がっているチャレンジドも増えている。 ・支援担当者においては、チャレンジド目線で仕事の見直しを意識するようになっている。また、チャレンジドの作業上の気づきを拾い上げていくことで共通のテーマを持ったコミュニケーションをとることができる。 ◆社員の声 (川口様) 会議の内容を自分で考えて、指導員と打合せするのでやりがいがありました。進行では、チャレンジド全員に分かりやすいようにゆっくり説明することを心がけ、みんなの前で話す経験を何度も持ち、自信がつきました。 チャレンジド会議は、上司に指示されたことをするだけでなく、自分たちで考える意識が身に付く機会になっています。現在の少人数グループ会議になってもっと発言しやすくなり、仕事でのチャレンジド同士のコミュニケーションも深まっています。 チャレンジド会議の風景 「補充ラインここまで」と示された保管棚 川口さんが作成した事前メモ --------------------------------------------------------------------- 外部の研修機会等の提供や目標設定により全社員のスキルアップを図った取組 富士ソフト企画株式会社 すべての障害 ◆取組の背景 管理職を含む社内の9割が障害のある社員であるため、お互いの障害理解が必要であった。また、社員の昇進・昇格のための教育や研修も必要となっていた。 ◆取組 公益財団法人東京しごと財団、(独)高齢・障害・求職者雇用支援機構、都道府県などで実施されている障害者雇用に係る外部研修に、管理職や労務管理に直接携わる社員以外の社員も万遍なく参加させた。また、他の企業の健常者が多数参加する企業合同新入社員研修等のグループワーク等にも参加させた。 また、個々の社員が業務上の目標を持ち、積極的に資格取得等スキルアップを目指せるよう日頃から声掛け、面談を実施し、モチベーションを維持できるようサポートしている。 ◆取組後の効果 障害者雇用に関する各種研修に参加した社員は、幅広い障害知識を得られるだけでなく、障害のない参加者との交流により、上手くできなかった経験も含め、自身の長所短所にも気づき、社会性・対人スキルが身についた。様々な企業の方々と学ぶ機会を得て自分を客観視することにより、参加者の上司や現場も成長を感じているとの声をきく。また、これらの交流は障害者との交流が少なかった他の参加者の障害に対する理解促進にもつながっているようである。 また、個々の社員が自主的に業務上の目標を持ち、各々のスキルアップやキャリアアップに向け、安心して取り組むことができている。また、様々な資格を取得することで、本人の自信にもつながっている。 ◆社員の声 (企画開発部採用チーム 畑野様) 前職でテレアポイント業務の経験があったため、上司から秘書検定を受けてみてはと助言をいただきました。合格により自分の努力が可視化され、自分のやってきたことが間違いではなかったと確認でき、自信がつきました。現在はビジネス実務検定の受験に向け準備をしています。人事・採用業務に携わっているので、今後も人と関わる仕事に携わっていきたいです。 (業務統括東京グループ秋葉原オフィス 山口様) 自分の仕事はチェック業務なので、さらに工夫できるように日々の業務でプログラム化できないかと考えています。具体的にはExcelでいろいろな機能を使いこなすことで時間短縮を図れないかと考えていて、仕事外の時間にどんなものが自分に合うか探したり、改善を図りたいところについて得意な人に聞いたりしています。 (業務統括東京グループ秋葉原オフィス 荒井様) まずは自分自身が安定した状態を保てるよう、日々の体調維持・安定のために色々試しています。休憩を取りながら○分で、この仕事を終わらせようと区切りをつけたり、土日は趣味の絵を描くなどしてオン・オフの切り替えにより、メリハリをつけることが大事です。また、コミュニケーションも大切なので、同僚が同じ画面をずっと見ているようであれば、休憩するよう声をかけています。 将来は秋葉原オフィスをサポートする立場にたち、色々な人と関われたらと思っています。親会社の女性管理職の仕事ぶりをお見掛けし、女性として障壁がある中で頑張っていらしたことを想像すると、障害と女性の障壁を持っている自分も頑張れます。 --------------------------------------------------------------------- 障害特性に応じた工夫をすることで作業効率をアップさせた取組 有限会社西部産業 知的障害 精神障害 ◆取組の背景 障害者の雇用継続を図る中で、効果的な支援を実施するために個々の障害者の障害特性を把握することが重要であるが、就労する障害者の障害種類が多様化してくることにより、従前の方策では対応しづらくなってきた。 ◆取組  知的障害、精神障害の特性を大きく3つに区分して、それぞれの特性に合わせた取組方針とした(身体障害については、個々の障害部位に合わせた対応とした)。 〇重度知的障害 指示は可能な限り簡潔に、色・番号・イラスト等で分かりやすく表示する。 現場では言葉だけでなく簡単なジェスチャー(手信号)でも意思確認する。また、指示後の理解確認においては必ず復唱させてからその後の実行動で再確認をすることも重要。 〇重度以外知的障害 支援者が障害のある社員の話(訴え)を最後まで聞くことが重要とのスタンス。全て聞いたうえで、間違っている点があれば、その理由を細分化して内容の補足を説明し再指導、伝達する。 〇精神障害 言葉のとらえ方の個人差が大きいので、複数人で聞き取りを行ったうえで、課題を整理する。できるだけ曖昧な言葉は使わないようにする(例:「具合はどうか?」→「お腹の調子は?」)。 また、大声を発生してしまう者については、言葉を指導して時刻や注意に関する掛け声や号令に転換し発声させる事によって、周囲に対する配慮と現場の集中力を切らせないような工夫を実施。 ◆取組後の効果 障害特性に応じた工夫を各工程で行ったことにより、作業が効率化され、生産性も向上した。また、障害があったとしても可能な限り3工程以上の作業をマスターすることを当面の目標とすることができた(多能工化)。さらに意欲と能力がある社員は、さらに進んだ工程をマスターできるような環境も整備することができた。 障害特性に応じた支援方策をとることにより、課題を残すことなく効率的な作業を行うことができた。障害のある社員本人が納得できる環境での就労が継続できることにより、高い定着率に結びついたと考えられる。 ◆担当者の声 (製造部署 課長 大下様) これまで障害者には危険ではないかと思われていた工程(刃物やドリル系の作業工程)についても、練習を通して安全に問題なく作業することができるようになりました。さらに、そのことが社員自身の職務を広げるモチベーション向上にも影響しています。また、本人の成長と共に目標設定や支援方法を変えていく事も重要です。 (左)意思疎通が難しい社員が健康状態を指さしで表明できる体調確認ツール (右)作業の順番や指示を正確に伝えるための数字と色による工夫 --------------------------------------------------------------------- オープンな基準で業務評価を行い、モチベーションの向上に結び付けた事例 株式会社王将ハートフル 知的障害 ◆取組の背景 障害のある社員について会社が一方的に評価するのではなく、社員自身も納得できる明確な業務面での評価が必要と考えていた。一方で、会社が業務面で求めていること以外にも真面目に取り組む姿勢や礼儀正しさといった日常面での評価も必要ではないかとも考えていた。 ◆取組  @客観的評価(職務プロセス評価、作業能力評価) 職業準備性が重要であるとの観点から、健康管理や日常生活管理(身だしなみ、余暇活動、睡眠時間確保等)や対人スキル(挨拶、声掛け、セルフコントロール)を職務プロセス評価として評価する。 加えて、作業能力評価として、業務を細分化・スキルマップ化し、「一人でできる」を基準とした作業能力評価を行っている。各個人の作業能力が視覚的に分かるよう一覧にし、事務所に掲示(社員全員が閲覧可)している。 A評価面談と目標設定 年2回の面談を実施し、3段階の評価結果(A〜C)を伝達する。面談時には、上記@の結果を受け、職務プロセス、作業能力それぞれにおいて何ができ、これから何ができるようになればよいか、自身はどうなりたいのか等を話し合い、次回評価までの目標を設定する。 B等級制度とリーダー・サブリーダー手当への設定 能力の高い障害者社員について、期待される役割毎にリーダー、サブリーダーの役割とそれぞれの手当(給与)を設定した。リーダー、サブリーダーは、他社員への指示指導や備品管理等の業務を行い、他社員からの報告を指導員に伝達を行う等、通常業務以外も担当することとなる。 C従業員満足度調査の実施 仕事内容、コミュニケーション、職場環境、教育、イベント、評価(面談)の6項目(30問クローズドクエスチョン)の質問により確認している。 D社内報「はーとふるGO」の実施 人事評価のほか、3か月に1度社内報「はーとふるGO」を発行し、その中で社員研修や会社としての受賞のお知らせなどを行っている。他、外部の講習を修了した社員については、親会社の朝礼で発表される等、社員のモチベーション向上に貢献している。 ◆取組後の効果 @職務プロセス評価と作業能力評価の合わせて100項目以上の客観的な指標により評価することにより、明確に達成度合いが確認できる。これによりどの社員がどの程度対応可能か判断することができ、社員のマルチタスク化や事業継続性(BCP)に貢献している。 A上記@の評価結果を年2回(半年に1回)の面談時に本人にフィードバックすることにより、次回評価への具体的な目標設定ができる。「よく頑張った」等の定性的な評価ではなく、明確な3段階評価で伝達することと作業能力評価については自身の到達レベルが図示されていることから、「次はこの項目にチャレンジしなければ」と自覚を持ち、より高い段階へのモチベーションが高まっている。 B能力の高い障害のある社員をリーダー、サブリーダーに任命することにより、業務理解や管理面への理解度が高まった。 C従業員満足度調査の結果は、関係者において内容を分析し、今後の課題の洗い出し、教育や環境整備の実施方策に役立てている。またこれに関連して、「ありがとうカード」(社員同士で感謝の気持ちを掲示板で伝え合う)を設置し、感謝の気持ちを持ち、相手に伝えることで、気持ちの良い職場環境を職場環境を醸成している。 D社員の成長、会社からの連絡事項や最近の取り組み等を伝えるために社内報「はーとふるGO」の発行を開始した。「知ってもらう」だけでなく、自分から家族へ仕事について上手に伝えることができない従業員にとって、家族との会話ツールとなっている。現在は配布先を支援機関まで広げ、ご家族や支援機関へ協力いただきたい具体的事項について記載することで、円滑な事業運営に繋がっている。 職務プロセス評価表 ありがとうを伝えるコーナー 社内報「はーとふるGO」 --------------------------------------------------------------------- 定期面談に基づく「多能工化の推進」及び「新人事評価制度構築」 新和金属株式会社 すべての障害 ◆取組の背景 現社長が就任当時、若年社員の離職が多く、その原因を確認するために、一人ひとりと面談を実施した。この過程で休暇を取得しやすい環境づくりのための多能工化の推進と同時に、新しい人事制度の構築によるモチベーション向上を図ることが障害の有無に関わらず、全社員にとって必要であると感じた。 ◆取組  ○作業の見える化 全ての業務(作業)を記載した「業務一覧」及び業務に必要な資格等を記載した「資格一覧」として整理することで、作業の「見える化」を図った(資料・支援ツール(P163))。 ○新評価制度(Try navi制度)の構築 資格等の習得難易度に合わせてポイントを付与し、基本給に連動させることで多能工化の推進を促すとともに、これらをベースとして、a)等級制の導入、b)等級ごとに必要となる能力表、c)賞与につながる独自の評価基準シート等を作成し、新しい人事評価制度(Try navi制度)を構築した。評価基準シートは、事業所スローガン「FACTORYからWACTORY(「和」「枠取り」「ワクワク」の意味を込めた造語)へ」やSDGsに関連する環境改善や地域貢献等への企画、取組を評価するものである(資料・支援ツール(P164〜166))。 ○説明会実施及びフォロー体制 取組に対する理解促進や加速を目的として、社員に対する説明会を実施するとともに、3ヶ月ごとに育成シート(資料・支援ツール(P167))を活用した評価面談等を行い、育成面談をフォローする仕組みを構築した。 ◆取組後の効果 給与レンジのスタートは全社員同じであり、能力等に応じて1階層ずつ上がっていく明確な仕組化が出来上がった。障害のある社員においても、専門知識、技術を持つスペシャリストや検査業務を高い精度で行える就労継続支援B型事業所から採用した社員など、1人1人の能力を評価でき、育成することができている。 本取組を開始してから社内の満足度アンケートは高くなっており、特にリーダーになる手前のスタッフ層において、モチベーションの向上につながっている。さらに、離職するケースは大幅に減少し、長期にわたって休職する社員も発生していない。最も長く勤務している障害のある社員は勤続44年に至っている。 ◆担当者の声 (代表取締役社長 新谷様) 地域の方々から、障害の有無に関わらず「住んでいる近くで働ける場所があったら」との声を聴くことが度々ありました。弊社は、障害者雇用という言葉がない時代から障害者雇用を独自に進めてきた歴史があり、マッチング次第で非常に能力が高い方ややりがいをもって働いてくれる方も多くいることから、雇用側の障害者雇用のイメージを変えることで、障害者の方々の地位向上や活躍場所の拡大を目指したいという考えを持っています。偏見を持たず特性を生かした採用と配属を行うとともに、就労移行支援事業の運営も行うなど、様々な人が生きやすい地域づくりに取り組んでいます。 創業60周年記念時の様子 --------------------------------------------------------------------- 職場改善のために事業所が作成した資料・支援ツール  職場改善のために作成した資料や障害のある社員の方などに対して用いた支援ツールを、取材先事業所のご了承のもと掲載しています。職場改善に役立つ実践的な資料ですので、是非参考にしてください。 アフラック・ハートフル・サービス株式会社 @ 研修プログラム体系図(テーマ別・階層別)(P8参照) A 新入スタッフ社員OJTチェック表(一部編集)(P8参照) B-1 新入スタッフ社員OJTフロー(P8参照) B-2 定期面談同席 実施記録シート(P8参照) B-3 定期面談実施(SV付き)実施記録シート(P8参照) C 社内研修・社外研修に関する資料(一部抜粋)(P8参照) D 「就労支援基礎知識研修」資料(一部編集)(P9参照) E 障がい者虐待防止自己点検 ディスカッションシート(P10参照) F 「学び応援プロジェクトのご案内」資料(P69参照) G 自宅用パソコン課題(一部掲載)(P69参照) 株式会社ダイキンサンライズ摂津 H 「サブリーダー研修」資料(P16参照) I 品質教育に関する資料(P78参照) シダックスオフィスパートナー株式会社 J 「問題解決のための対応方法」資料(P18参照) 電気硝子ユニバーサポート株式会社 K ジョブサポーター資料(P38参照) L 会議委員会組織図(P94参照) M 「ワックスプロジェクト」説明資料(P94参照) トーマツチャレンジド株式会社 N 自己管理シート(P40参照) O 業務指導計画書(P41参照) P トーマツチャレンジドスタンダード(P41参照) Q セルフチェック表(P42参照) 富士ソフト企画株式会社 R リワーク資料(P48参照) 株式会社リペアサービス S 情報共有シート(P56参照) 高浪化学株式会社  「自分専用マニュアル」資料(P61参照) 新和金属株式会社  業務一覧・資格一覧(P116参照)  「Try navi制度」説明資料(一部抜粋)(P116参照)  育成シート(P116参照) アフラック・ハートフル・サービス株式会社 @ 研修プログラム体系図(テーマ別・階層別) A 新入スタッフ社員OJTチェック表(一部編集) B-1 新入スタッフ社員OJTフロー B-2 定期面談同席 実施記録シート B-3 定期面談実施(SV付き)実施記録シート C 社内研修・社外研修に関する資料(一部抜粋) D 「就労支援基礎知識研修」資料(一部編集) E 障がい者虐待防止自己点検 ディスカッションシート F 「学び応援プロジェクトのご案内」資料 G 自宅用パソコン課題(一部掲載) 株式会社ダイキンサンライズ摂津 H 「サブリーダー研修」資料 I 品質教育に関する資料 シダックスオフィスパートナー株式会社 J 「問題解決のための対応方法」資料 電気硝子ユニバーサポート株式会社 K ジョブサポーター資料 L 会議委員会組織図 M 「ワックスプロジェクト」説明資料 トーマツチャレンジド株式会社 N 自己管理シート O 業務指導計画書 P トーマツチャレンジドスタンダード Q セルフチェック表 富士ソフト企画株式会社 R リワーク資料 株式会社リペアサービス S 情報共有シート 高浪化学株式会社 21 「自分専用マニュアル」資料 新和金属株式会社 22 業務一覧・資格一覧 23 「Try navi制度」説明資料(一部抜粋) 24 育成シート --------------------------------------------------------------------- 障害者雇用に役立つ資料  当機構ホームページの「障害者雇用に取り組む事業主の方へのお役立ちページ」で障害者雇用に取り組む事業主の方に役立つ情報を掲載しています。 ○はじめての障害者雇用 〜事業主のためのQ&A〜 ○障害者の労働安全衛生対策 (https://www.jeed.go.jp/disability/data/handbook/index.html) 障害者雇用職場改善好事例集  障害者の雇用管理や雇用形態、職場環境、職域開発などについて事業所が創意・工夫している取組を、テーマ別に取りまとめて紹介した事例集を作成しています。 過去に作成した好事例集の一例 ○障害者の労働安全衛生対策ケースブック ○中高年齢層の障害のある方の雇用継続に取り組んだ職場改善好事例集 ○精神障害・発達障害のある方の雇用促進・キャリアアップに取り組んだ職場改善好事例集 ○身体障害、難病のある方などの雇用促進・職場定着に取り組んだ職場改善好事例集 ○中小企業等における精神障害者や発達障害者の職場改善好事例集 ○就職困難性の高い障害者のための職場改善好事例集 (https://www.jeed.go.jp/disability/data/handbook/ca_ls/ca_ls.html) 障害者雇用のためのマニュアル  (独)高齢・障害・求職者雇用支援機構では、事業主が障害者雇用を進める上で参考となる資料を作成しています。 (https://www.jeed.go.jp/disability/data/  handbook/manual/emp_ls_comic.html) 障害者雇用のためのDVD  障害者雇用を積極的に進めている企業の取組や、活き活きと働く障害者の様子、企業や障害者を支える支援者の姿を映像で紹介するとともに、企業担当者へのインタビュー等を通じて、雇用管理等に関するさまざまなノウハウをわかりやすく解説したDVDです。 お問い合わせ 障害者雇用開発推進部 TEL:043-297-9513 FAX:043-297-9547 当機構ホームページに動画を掲載しています。 ◆この他にも、障害者雇用への理解を深めていただくために様々なDVDの無料貸出しを行っています。  詳しくは以下のホームページをご覧ください。 (https://www.jeed.go.jp/disability/data/handbook/dvd/index.html) 中央障害者雇用情報センターのごあんない  障害者雇用に豊富な経験を有する障害者雇用支援ネットワークコーディネーターが、企業の規模・業種の特性に応じた雇用管理や合理的配慮の提供等に関する相談・援助を行っています。また、就労支援機器アドバイザーが、障害者の就労を支援する機器の紹介や貸出しに関する相談を行っています。まずはお問い合わせください。 1.障害者雇用に関する相談・援助 障害者雇用支援ネットワークコーディネーターが、職域拡大や賃金体系の整備等に関する雇用管理相談や特例子会社の設置・運営に係るご相談に応じます。 2.障害者雇用管理サポーターによる支援 障害者の雇用管理に係る専門的な支援を必要とする事業所に、労務管理、医療、建築などさまざまな分野の専門家「障害者雇用管理サポーター」の紹介・派遣を行っています。支援をご希望の場合は、障害者雇用支援ネットワークコーディネーターにご相談ください。 3.就労支援機器等普及啓発事業 就労支援機器アドバイザーが、支援機器の活用事例のご紹介やデモンストレーション、導入についてのご相談に対応します。また、支援機器を無料で貸出します。 障害者雇用支援人材ネットワークシステム  障害者雇用の課題に対応した経験を持つ、労務管理、医療、建築などさまざまな分野の専門家「障害者雇用管理サポーター」を検索できます。企業の皆様が抱える疑問や課題に応じて実務的な助言・援助を行います。 (https://shienjinzai.jeed.go.jp/) 就労支援機器普及啓発ホームページ  就労支援機器に関する情報、貸出制度の概要を掲載しています。 (https://www.kiki.jeed.go.jp/) 障害者雇用事例リファレンスサービス  障害者雇用について創意工夫を行い積極的に取り組んでいる事業所の事例(モデル事例)や合理的配慮の提供に関する事例をホームページで紹介しています。 (https://www.ref.jeed.go.jp/) 障害者の在宅就業支援ホームページ チャレンジホームオフィス  通勤困難な障害者の就業機会を促進するため、在宅勤務の事例や在宅就業を支援する団体等をホームページで紹介しています。 (https://www.challenge.jeed.go.jp/) --------------------------------------------------------------------- 障害者雇用を支援する施策 障害者雇用率制度  障害者の雇用の促進等に関する法律(以下「法」という。)では、「障害者雇用率制度」を定めており、事業主に対して常時雇用している労働者に障害者雇用率を乗じて得た数以上の障害者を雇用することを義務づけています。  事業主は、毎年6月1日時点の障害者雇用状況をハローワークに報告しなければなりません。また、障害者の雇用の促進と継続を図るための「障害者雇用推進者」を選任するよう努めなければなりません。 法定雇用率  令和5年度以降の民間企業における障害者の法定雇用率は、2.7%です(ただし、令和5年度中は2.3%に据え置き、令和6年4月から2.5%、令和8年7月から2.7%と段階的に引き上げることとしています)。  対象となる民間企業の範囲は、常用雇用労働者数37.5人(令和5年度中は43.5人、令和6年度から40.0人、令和8年7月から37.5人)以上の事業主となります。  例えば、常時雇用している労働者120人の企業は、120人×2.7%=3.24人≒3人(小数点以下は切り捨て)となり、障害者雇用率制度においては、3人以上の障害者雇用義務があることになります。 企業において雇用率を算出する際の障害者の算定方法  障害者雇用率制度において、雇用障害者の数を算定する際は、以下の表 のとおりとなります。 週の所定労働時間 30時間以上 20時間以上30時間未満 (短時間労働) 10時間以上20時間未満 (特定短時間労働)(注2) 身体障害者 (重度以外) 1人を1人として 算定 1人を0.5人として算定 − 身体障害者 (重度) 1人を2人として 算定 1人を1人として算定 1人を0.5人として算定 知的障害者 (重度以外) 1人を1人として 算定 1人を0.5人として算定 − 知的障害者 (重度) 1人を2人として 算定 1人を1人として算定 1人を0.5人として算定 精神障害者 1人を1人として 算定 1人を1人として算定 (注1) 1人を0.5人として算定  一方で、法定雇用障害者数の算定の基礎となる労働者の数を算定する際は、障害の種類や程度に関係なく、短時間以外の常用雇用労働者を1人、短時間労働者を0.5人として算定します。 (注1)精神障害者である短時間労働者については、令和5年4月1日からの精神障害者の算定特例の延長に伴い、当面の間、雇入れからの期間等に関係なく、1人をもって1人とみなすこととしています。 (注2)令和6年度から、重度身体障害者、重度知的障害者及び精神障害者である特定短時間労働者(週の所定労働時間が10時間以上20時間未満である者)について、1人を0.5人として算定。 <障害者雇用率の算定例> (例)A企業 常時雇用している労働者250人(障害者7名雇用(身体3人、知的2人、精神2人))の場合、雇用労働者の勤務時間や雇用障害者の障害種別等をふまえて算定すると以下のようになります。 A企業全体 (うち障害者雇用7名) @ 短時間以外の常用雇用労働者 200人 B 知的障害者(重度) 1人 C 身体障害者(重度以外) 1人 A 短時間労働者 40人 D 身体障害者(重度) 1人 E 知的障害者(重度以外) 1人 F 精神障害者 1人 特定短時間労働者 10人 G 身体障害者(重度) 1人 H 精神障害者 1人 合計 250人 <雇用率> B(2人)+C(1人)+D(1人)+E(0.5人)+F(1人)+G(0.5人)+H(0.5人)×100=2.95% @200人 + A(40人×0.5) A企業の障害者雇用率は、2.95%となります。 除外率制度  機械的に一律の雇用率を適用することになじまない性質の職務もあることから、障害者の就業が一般的に困難であると認められる業種について、雇用する労働者数を計算する際に、除外率に相当する労働者数を控除する制度を設けています。  この除外率制度は、法の本則上廃止された上で、当面の間、法の附則において廃止の方向で段階的に除外率を引き下げ、縮小することとされており、平成16年4月と平成22年7月に、それぞれ、一律に10ポイントの引下げを実施したほか、令和7年4月に、一律に10ポイント引き下げる予定となっています。 ⇒厚生労働省「除外率制度について」 https://www.mhlw.go.jp/content/001133551.pdf 障害者の雇入れに関する計画  障害者雇用の数が法定雇用障害者数を大きく下回っている企業に対して、ハローワークの所長は障害者の雇入れ計画に関する計画作成命令ができることになっています。 雇入れ計画の実施を怠っているなどの場合は、適正実施勧告がなされ、それでも従わない場合は、厚生労働大臣がその旨を公表する場合があります。企業名が公表されると企業のイメージダウンや社会的評価の低下につながり、企業経営に影響がでる場合もあります。 --------------------------------------------------------------------- 障害者トライアル雇用 障害者トライアル雇用事業  障害者雇用の知識や経験に乏しい事業主は、障害者雇用に取り組む意欲があっても雇い入れることに躊躇することがあります。  また、障害者の側でも「どのような職種が向いているかわからない」「仕事に耐えられるだろうか」といった不安を感じている場合があります。  そこで、障害者を短期間の試行雇用(トライアル雇用)の形で受け入れることにより、事業主の障害者雇用のきっかけをつくり、常用雇用への移行を促進することを目的とするトライアル雇用を実施しています。  トライアル雇用の期間は原則として3か月間(テレワーク勤務を行う者は原則3か月以上6か月以内。精神障害者は6か月以上12か月以内)で、ハローワークまたは民間の職業紹介事業者等の紹介により、事業主と対象障害者との間で有期雇用契約を締結します。トライアル雇用期間中の労働条件は、労働基準法などの労働関係法令に基づき定めなければなりません。 <助成額> @トライアル雇用助成金(障害者トライアルコース)  トライアル雇用を実施した事業主に対して、トライアル雇用終了後に助成します。 〇精神障害者以外 支給対象者1人につき、月額最大4万円(最長3か月間) 〇精神障害者 支給対象者1人につき、3か月間は月額最大8万円、4か月目以降は月額最大4万円(最長6か月間) Aトライアル雇用助成金(障害者短時間トライアルコース)  直ちに週20時間以上勤務することが難しい精神障害者や発達障害者について、3〜12か月の期間をかけながら20時間以上勤務を目指して試行雇用を行う事業主に対して助成します。  支給対象者1人につき、月額最大4万円(最長12か月間) ※助成金を受給するには要件があります。 ◆お問い合わせ 都道府県労働局、ハローワーク --------------------------------------------------------------------- ジョブコーチ支援 職場適応援助者(ジョブコーチ)による支援  障害者が円滑に職場に適応することができるように、ジョブコーチを事業所へ派遣し、障害者と事業主に対して障害特性を踏まえた直接的、専門的な支援を行います。   事業所内のサポート体制をつくり、ジョブコーチによる支援の頻度を徐々に減らしつつ、事業主が主体的に支援できるようになることを目標としています。  〇障害者に対する支援  「作業手順を覚える」「作業のミスを防ぐ」などの職務を遂行するための支援、「質問や報告を適切に行う」など仕事をするうえで円滑にコミュニケーションをとるための支援などを行います。  また、「不安の軽減」や「ストレス・疲労への対処」のための相談を中心とした支援も行います。  〇事業主に対する支援  事業主や職場の社員に対して「障害を理解し、適切な配慮をするための助言」や「仕事内容や指導方法に対する助言」などの支援を行います。 ジョブコーチ @配置型ジョブコーチ:地域障害者職業センターに所属するジョブコーチ A訪問型ジョブコーチ:就労支援を行っている社会福祉法人等に所属するジョブコーチ B企業在籍型ジョブコーチ:障害者を雇用する企業に所属するジョブコーチ  ジョブコーチとして活動するには、職場適応援助者養成研修を受講し修了することが必要です。 ⇒当機構の養成研修 https://www.jeed.go.jp/disability/supporter/seminar/job_adapt02.html  また、A訪問型ジョブコーチ、B企業在籍型ジョブコーチによる支援に関しては、助成金(職場適応援助者助成金)制度が設けられています。 ◆お問い合わせ 地域障害者職業センターなど --------------------------------------------------------------------- 特定求職者雇用開発助成金 特定求職者雇用開発助成金(特定就職困難者コース)  身体障害者、知的障害者または精神障害者などの就職が特に困難な方をハローワークなどの紹介により継続して雇用する労働者として新たに雇い入れた事業主に対して、その賃金の一部に相当する額を一定期間助成することにより、これらの方の雇用機会の増大を図るものです。  助成金を受給するためには、助成額の対象となる要件を満たすことのほか、事業主が申請期間内に適正な支給申請を行うことが必要になりますので、ハローワークと十分に確認することが必要です。 主な 受給要件  受給するためには、次の要件のいずれも満たすことが必要です。  また、このほかにも、雇用関係助成金共通の要件などいくつかの支給要件がありますので、詳しくは「お問い合わせ先」までご確認ください。 @ハローワークまたは民間の職業紹介事業者等の紹介により雇い入れること。 A雇用保険一般被保険者として雇い入れ、継続して雇用すること(※)が確実であると認められること。 (※)対象労働者の年齢が65歳以上に達するまで継続して雇用し、かつ、当該雇用期間が継続して2年以上であることをいいます。 助成額など 対象労働者 助成額 助成対象期間 大企業 中小企業※2 大企業 中小企業 身体障害者、知的障害者 (短時間労働者 ※1以外) 50万円 120万円 1年 2年 身体障害者、知的障害者、精神障害者(短時間労働者) 30万円 80万円 1年 2年 重度身体・知的障害者、精神障害者、45歳以上の身体・知的障害者(短時間労働者以外) 100万円 240万円 1年6ヶ月 3年 ※1 「短時間労働者」とは、1週間の所定労働時間が20時間以上30時間未満の者をいいます。 ※2 ここでいう「中小企業の範囲」は下表のとおりです。 中小企業の 範囲 産業分野 資本または出資額 常時雇用する労働者数 小売業(飲食店含む) 5,000万円以下 50人以下 サービス業 5,000万円以下 100人以下 卸売業 1億円以下 100人以下 その他業種 3億円以下 300人以下 ◆お問い合わせ 都道府県労働局、ハローワーク --------------------------------------------------------------------- 障害者雇用納付金制度 障害者雇用納付金制度とは  障害者を雇用するには、作業施設や設備の改善、職場環境の整備、特別の雇用管理等が必要とされることが多く、経済的負担が伴うことから、雇用義務を履行している事業主と履行していない事業主とではその経済的負担に差が生じることとなります。  障害者雇用納付金制度は、身体障害者、知的障害者及び精神障害者を雇用することは事業主が共同して果たしていくべき責任であるとの社会連帯責任の理念に立って、事業主間の障害者雇用に伴う経済的負担の調整を図るとともに、障害者を雇用する事業主に対して助成、援助を行うことにより、障害者の雇用の促進と職業の安定を図るため「障害者の雇用の促進等に関する法律」に基づき設けられた制度です。 ◆障害者雇用納付金制度の概要 ◆詳細説明 https://www.jeed.go.jp/disability/koyounohu/index.html ◆お問い合わせ (独)高齢・障害・求職者雇用支援機構 都道府県支部高齢・障害者業務課(東京及び大阪は高齢・障害者窓口サービス課) https://www.jeed.go.jp/location/shibu/index.html --------------------------------------------------------------------- 障害者雇用納付金制度に基づく助成金 障害者雇用納付金制度に基づく助成金とは  事業主等が障害者の雇用にあたって、施設・設備の整備や適切な雇用管理を行うための特別な措置などを行わなければ、新規雇い入れや雇用の継続が難しいと認められる場合に、予算の範囲内で助成金を支給することで、一時的な経済的負担を軽くして、障害者雇用の促進や継続を図ることを目的としています。 ◆助成金の種類 助成金 内 容 障害者作業施設設置等 助成金 障害者を労働者として雇い入れる、または継続して雇用している事業主が、当該障害者が障害を克服し作業を容易に行えるよう配慮された作業施設、附帯施設(トイレ、スロープなど)もしくは作業設備(作業を容易にすることを目的として製造されたもの等)の設置または整備を行う場合に助成します。 障害者福祉施設設置等 助成金 障害者を労働者として雇用している事業主またはその事業主の加入している事業主の団体が、障害者である労働者の福祉の増進を図るため、障害特性に配慮した休憩室等の福祉施設の設置または整備を行う場合に助成します。 障害者介助等助成金 障害者を労働者として雇い入れる、または継続して雇用している事業主が、障害の種類や程度に応じた適切な雇用管理のために必要な介助等の措置を行う場合に助成します。 職場適応援助者助成金 職場適応に課題を抱える障害者に対して、職場適応援助者(ジョブコーチ)の支援を実施する場合に助成します。 重度障害者等 通勤対策助成金 重度身体障害者、知的障害者、精神障害者または通勤が特に困難と認められる身体障害者を雇い入れる、または継続して雇用する事業主、またはこれらの重度障害者等を雇用している事業主を構成員とする事業主の団体が、これらの障害者の通勤を容易にするための措置を行う場合に助成します。 重度障害者多数雇用事業所 施設設置等助成金 重度障害者を多数継続して雇用するために必要となる事業施設等の設置または整備を行うことと併せて、障害者を雇用する事業所としてのモデル性が認められる場合に助成します。 ◆詳細説明 https://www.jeed.go.jp/disability/subsidy/index.html ◆お問い合わせ (独)高齢・障害・求職者雇用支援機構 都道府県支部高齢・障害者業務課(東京及び大阪は高齢・障害者窓口サービス課) https://www.jeed.go.jp/location/shibu/index.html --------------------------------------------------------------------- 連絡先一覧 地域障害者職業センター 一覧  障害者職業カウンセラーが配置され、ハローワーク、障害者就業・生活支援センター、病院、特別支援学校等の関係機関との密接な連携の下、各都道府県における中核的な職業リハビリテーション機関として、地域に密着した職業リハビリテーションサービスを提供しています。 名 称 郵便番号 所 在 地 電話番号 FAX番号 北海道障害者 職業センター 001-0024 札幌市北区北二十四条西5-1-1 札幌サンプラザ5階 011-747-8231 011-747-8134 北海道障害者 職業センター 旭川支所 070-0034 旭川市四条通8丁目右1号 LEE旭川ビル5階 0166-26-8231 0166-26-8232 青森障害者 職業センター 030-0845 青森市緑2-17-2 017-774-7123 017-776-2610 岩手障害者 職業センター 020-0133 盛岡市青山4-12-30 019-646-4117 019-646-6860 宮城障害者 職業センター 983-0836 仙台市宮城野区幸町4-6-1 022-257-5601 022-257-5675 秋田障害者 職業センター 010-0944 秋田市川尻若葉町4-48 018-864-3608 018-864-3609 山形障害者 職業センター 990-0021 山形市小白川町2-3-68 023-624-2102 023-624-2179 福島障害者 職業センター 960-8054 福島市三河北町7-14 福島職業能力開発促進センター内 024-526-1005 024-535-1000 茨城障害者 職業センター 309-1703 笠間市鯉淵6528-66 0296-77-7373 0296-77-4752 栃木障害者 職業センター 320-0865 宇都宮市睦町3-8 028-637-3216 028-637-3190 群馬障害者 職業センター 379-2154 前橋市天川大島町130-1 ハローワーク前橋3階 027-290-2540 027-290-2541 埼玉障害者 職業センター 338-0825 さいたま市桜区下大久保136-1 048-854-3222 048-854-3260 千葉障害者 職業センター 261-0001 千葉市美浜区幸町1-1-3 ハローワーク千葉4階 043-204-2080 043-204-2083 東京障害者 職業センター 110-0015 台東区東上野4-27-3 上野トーセイビル3階 03-6673-3938 03-6673-3948 東京障害者 職業センター 多摩支所 190-0012 立川市曙町2-38-5 立川ビジネスセンタービル5階 042-529-3341 042-529-3356 神奈川障害者 職業センター 252-0315 相模原市南区桜台13-1 042-745-3131 042-742-5789 新潟障害者 職業センター 950-0067 新潟市東区大山2-13-1 025-271-0333 025-271-9522 富山障害者 職業センター 930-0004 富山市桜橋通り1-18 北日本桜橋ビル7階 076-413-5515 076-413-5516 石川障害者 職業センター 920-0901 金沢市彦三町1-2-1 アソルティ金沢彦三2階 076-225-5011 076-225-5017 福井障害者 職業センター 910-0026 福井市光陽2-3-32 0776-25-3685 0776-25-3694 山梨障害者 職業センター 400-0864 甲府市湯田2-17-14 055-232-7069 055-232-7077 長野障害者 職業センター 380-0935 長野市中御所3-2-4 026-227-9774 026-224-7089 岐阜障害者 職業センター 502-0933 岐阜市日光町6-30 058-231-1222 058-231-1049 静岡障害者 職業センター 420-0851 静岡市葵区黒金町59-6 大同生命静岡ビル7階 054-652-3322 054-652-3325 愛知障害者 職業センター 460-0003 名古屋市中区錦町1-10-1 MIテラス名古屋伏見5階 052-218-2380 052-218-2379 愛知障害者 職業センター 豊橋支所 440-0888 豊橋市駅前大通1-27 MUS豊橋ビル6階 0532-56-3861 0532-56-3860 三重障害者 職業センター 514-0002 津市島崎町327-1 ハローワーク津3階 059-224-4726 059-224-4707 滋賀障害者 職業センター 525-0027 草津市野村2-20-5 077-564-1641 077-564-1663 京都障害者 職業センター 600-8235 京都市下京区西洞院通塩小路 下る東油小路町803 ハローワーク京都七条5階 075-341-2666 075-341-2678 大阪障害者 職業センター 541-0056 大阪市中央区久太郎町2-4-11 クラボウアネックスビル4階 06-6261-7005 06-6261-7066 大阪障害者 職業センター 南大阪支所 591-8025 堺市北区長曽根町130-23 堺商工会議所5階 072-258-7137 072-258-7139 兵庫障害者 職業センター 657-0833 神戸市灘区大内通5-2-2 ハローワーク灘3階 078-881-6776 078-881-6596 奈良障害者 職業センター 630-8014 奈良市四条大路4-2-4 0742-34-5335 0742-34-1899 和歌山障害者 職業センター 640-8323 和歌山市太田130-3 073-472-3233 073-474-3069 鳥取障害者 職業センター 680-0842 鳥取市吉方189 0857-22-0260 0857-26-1987 島根障害者 職業センター 690-0877 松江市春日町532 0852-21-0900 0852-21-1909 岡山障害者 職業センター 700-0821 岡山市北区中山下1-8-45 NTTクレド岡山ビル17階 086-235-0830 086-235-0831 広島障害者 職業センター 730-0004 広島市中区東白島町14-15 NTTクレド白島ビル12階 082-502-4795 082-211-4070 山口障害者 職業センター 747-0803 防府市岡村町3-1 0835-21-0520 0835-21-0569 徳島障害者 職業センター 770-0823 徳島市出来島本町1-5 ハローワーク徳島4階 088-611-8111 088-611-8220 香川障害者 職業センター 760-0055 高松市観光通2-5-20 087-861-6868 087-861-6880 愛媛障害者 職業センター 790-0808 松山市若草町7-2 089-921-1213 089-921-1214 高知障害者 職業センター 781-5102 高知市大津甲770-3 088-866-2111 088-866-0676 福岡障害者 職業センター 810-0042 福岡市中央区赤坂1-6-19 ワークプラザ赤坂5階 092-752-5801 092-752-5751 福岡障害者 職業センター 北九州支所 802-0066 北九州市小倉北区萩崎町1-27 093-941-8521 093-941-8513 佐賀障害者 職業センター 840-0851 佐賀市天祐1-8-5 0952-24-8030 0952-24-8035 長崎障害者 職業センター 852-8104 長崎市茂里町3-26 095-844-3431 095-848-1886 熊本障害者 職業センター 862-0971 熊本市中央区大江6-1-38 ハローワーク熊本4階 096-371-8333 096-371-8806 大分障害者 職業センター 870-0131 大分市皆春1483-1 ポリテクセンター大分内 第1教室棟3階・4階 097-503-6600 097-503-6601 宮崎障害者 職業センター 880-0014 宮崎市鶴島2-14-17 0985-26-5226 0985-25-6425 鹿児島障害者 職業センター 890-0063 鹿児島市鴨池2-30-10 099-257-9240 099-257-9281 沖縄障害者 職業センター 900-0006 那覇市おもろまち1-3-25 沖縄職業総合庁舎5階 098-861-1254 098-861-1116 広域障害者職業センター 一覧  障害者職業カウンセラー及び職業訓練指導員が配置され、医療リハビリテーションとの連携を図りながら、職業評価、職業指導、職業訓練等を一貫した体系の中で実施しています。 名 称 郵便番号 所 在 地 電話番号 FAX番号 国立職業 リハビリテーションセンター (中央障害者職業能力開発校) 359-0042 埼玉県所沢市並木4-2 04-2995-1711 04-2995-1052 国立吉備高原職業 リハビリテーションセンター (吉備高原障害者職業能力開発校) 716-1241 岡山県加賀郡 吉備中央町吉川7520 0866-56-9000 0866-56-7636 都道府県支部 高齢・障害者業務課 一覧 (※東京、大阪は高齢・障害者窓口サービス課を含む)  障害者の雇用に関する相談・援助、障害者雇用納付金制度に基づく申告・申請の受付、啓発等の業務を実施しているほか、高年齢者等の雇用に関する相談・援助、各種給付金の申請の受付等を実施しています。 都道府県 郵便番号 所 在 地 電話番号 FAX番号 北海道 063-0804 札幌市西区二十四軒4条1-4-1 北海道職業能力開発促進センター内 011-622-3351 011-622-3354 青森 030-0822 青森市中央3-20-2 青森職業能力開発促進センター内 017-721-2125 017-721-2127 岩手 020-0024 盛岡市菜園1-12-18 盛岡菜園センタービル3階 019-654-2081 019-654-2082 宮城 985-8550 宮城県多賀城市明月2-2-1 宮城職業能力開発促進センター内 022-361-6288 022-361-6291 秋田 010-0101 秋田県潟上市天王字上北野4-143 秋田職業能力開発促進センター内 018-872-1801 018-873-8090 山形 990-2161 山形市漆山1954 山形職業能力開発促進センター内 023-674-9567 023-687-5733 福島 960-8054 福島市三河北町7-14 福島職業能力開発促進センター内 024-526-1510 024-526-1513 茨城 310-0803 茨城県水戸市城南1-4-7 第5プリンスビル5階 029-300-1215 029-300-1217 栃木 320-0072 宇都宮市若草1-4-23 栃木職業能力開発促進センター内 028-650-6226 028-623-0015 群馬 379-2154 前橋市天川大島町130-1 ハローワーク前橋3階 027-287-1511 027-287-1512 埼玉 336-0931 さいたま市緑区原山2-18-8 埼玉職業能力開発促進センター内 048-813-1112 048-813-1114 千葉 263-0004 千葉市稲毛区六方町274 千葉職業能力開発促進センター内 043-304-7730 043-304-7733 東京 130-0022 墨田区江東橋2-19-12 ハローワーク墨田5階 03-5638-2284 03-5638-2282 神奈川 241-0824 横浜市旭区南希望が丘78 関東職業能力開発促進センター内 045-360-6010 045-360-6011 新潟 951-8061 新潟市中央区西堀通6-866 NEXT21ビル12階 025-226-6011 025-226-6013 富山 933-0982 富山県高岡市八ケ55 富山職業能力開発促進センター内 0766-26-1881 0766-26-8022 石川 920-0352 金沢市観音堂町へ1 石川職業能力開発促進センター内 076-267-6001 076-267-6084 福井 915-0853 福井県越前市行松町25-10 福井職業能力開発促進センター内 0778-23-1021 0778-23-1055 山梨 400-0854 甲府市中小河原町403-1 山梨職業能力開発促進センター内 055-242-3723 055-242-3721 長野 381-0043 長野市吉田4-25-12 長野職業能力開発促進センター内 026-258-6001 026-243-2077 岐阜 500-8842 岐阜市金町5-25 G-frontU7階 058-265-5823 058-266-5329 静岡 422-8033 静岡市駿河区登呂3-1-35 静岡職業能力開発促進センター内 054-280-3622 054-280-3623 愛知 460-0003 名古屋市中区錦1-10-1 MIテラス名古屋伏見4階 052-218-3385 052-218-3389 三重 514-0002 津市島崎町327-1 ハローワーク津2階 059-213-9255 059-213-9270 滋賀 520-0856 大津市光が丘町3-13 滋賀職業能力開発促進センター内 077-537-1214 077-537-1215 京都 617-0843 長岡京市友岡1-2-1 京都職業能力開発促進センター内 075-951-7481 075-951-7483 大阪 566-0022 大阪府摂津市三島1-2-1 関西職業能力開発促進センター内 06-7664-0782 06-7664-0645 兵庫 661-0045 兵庫県尼崎市武庫豊町3-1-50 兵庫職業能力開発促進センター内 06-6431-8201 06-6431-8220 奈良 634-0033 橿原市城殿町433 奈良職業能力開発促進センター内 0744-22-5232 0744-22-5234 和歌山 640-8483 和歌山市園部1276 和歌山職業能力開発促進センター内 073-462-6900 073-462-6810 鳥取 689-1112 鳥取市若葉台南7-1-11 鳥取職業能力開発促進センター内 0857-52-8803 0857-52-8785 島根 690-0001 松江市東朝日町267 島根職業能力開発促進センター内 0852-60-1677 0852-60-1678 岡山 700-0951 岡山市北区田中580 岡山職業能力開発促進センター内 086-241-0166 086-241-0178 広島 730-0825 広島市中区光南5-2-65 広島職業能力開発促進センター内 082-545-7150 082-545-7152 山口 753-0861 山口市矢原1284-1 山口職業能力開発促進センター内 083-995-2050 083-995-2051 徳島 770-0823 徳島市出来島本町1-5 ハローワーク徳島5階 088-611-2388 088-611-2390 香川 761-8063 高松市花ノ宮町2-4-3 香川職業能力開発促進センター内 087-814-3791 087-814-3792 愛媛 791-8044 松山市西垣生町2184 愛媛職業能力開発促進センター内 089-905-6780 089-905-6781 高知 780-8010 高知市桟橋通4-15-68 高知職業能力開発促進センター内 088-837-1160 088-837-1163 福岡 810-0042 福岡市中央区赤坂1-10-17 しんくみ赤坂ビル6階 092-718-1310 092-718-1314 佐賀 849-0911 佐賀市兵庫町若宮1042-2 佐賀職業能力開発促進センター内 0952-37-9117 0952-37-9118 長崎 854-0062 諫早市小船越町1113 長崎職業能力開発促進センター内 0957-35-4721 0957-35-4723 熊本 861-1102 熊本県合志市須屋2505-3 熊本職業能力開発促進センター内 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