上肢に障害を有する肢体不自由者のための職場改善好事例集 ー平成22年度障害者雇用職場改善好事例募集の入賞事例からー 咲かせよう。障害者雇用の花を・・・。 独立行政法人 高齢・障害者雇用支援機構 はじめに 独立行政法人高齢・障害者雇用支援機構では、事業所における障害者雇用及び職場定着を進めるため、雇用管理や職場環境の整備等様々な改善・工夫を行った障害者雇用職場改善好事例を募集し、優秀な事例を表彰、広く周知しています。本募集は平成3年度から開始し、近年では年度ごとにテーマを設定し募集を行っております。 平成22年度においては、上肢に障害を有する肢体不自由者の雇用促進と職域の拡大及び職場定着の促進に向けて創意工夫を図った好事例を募集いたしました。全国の事業主の皆様から多数のご応募をいただき、審査員による厳正なる審査の結果、11事業所の入賞を決定いたしました。 このたび、これらの事例を「上肢に障害を有する肢体不自由者のための職場改善に関する好事例集−平成22年度障害者雇用職場改善好事例募集の入賞事例から−」としてご紹介します。上肢に障害を有する肢体不自由者の雇用促進と職域拡大のためにご活用いただければ幸いです。 最後に、ご応募いただきました事業主の皆様、そしてご協力いただいた関係機関・団体等の皆様には改めて感謝申し上げます。 平成23年3月 独立行政法人高齢・障害者雇用支援機構 CONTENTS はじめに P1 目次 最優秀賞 P2 オムロン京都太陽株式会社 チャレンジ精神により常に改善に取り組み続ける 優秀賞 P8 株式会社富士通ビー・エス・シー 職場復帰にあたり、支援機関との連携により作業環境等を整備 P12 株式会社沖ワークウェル コミュニケーションシステムの開発により在宅雇用を推進 P16 大東コーポレートサービス株式会社 障害の内容にとらわれず働きやすい職場づくりを進める P20 有限会社化成フロンティアサービス ちょっとした工夫が効果的な改善につながる P24 ソニー・太陽株式会社 一人ひとりの特性に応じた職場環境作りによる職域拡大とモチベーション向上 奨励賞 P28 木村メタル産業株式会社関エコテクノロジーセンター 本人の長所を活かした職域拡大と能力開発 P32 社会福祉法人共生シンフォニー がんばカンパニー 一人ひとりの特性に応じた配置、作業環境の導入 P36 JFEアップル西日本株式会社 倉敷事業所  作業量分担による在宅雇用で重度上下肢障害のある従業員を雇用 P40 JFEアップル西日本株式会社 頑張る従業員の雇用継続上の課題を補助具製作等で解決 P44 サンアクアTOTO株式会社 作業スピードと併せて安全性の向上を図るための治具開発 P48 上肢障害のための支援ツール P64 その他の応募事業所 P65 応募状況 P66 応募要項 P68 入賞事業所一覧 P70 支援制度 P74 広域障害者職業センター P75 地域障害者職業センター 2ページ〜 平成22年度 最優秀賞 チャレンジ精神により常に改善に取り組み続ける オムロン京都太陽 株式会社 (京都府京都市)製造業 取り組みの紹介一覧 1.作業要領書を電子化 2.ラベル貼り合わせ作業の治具を製作 3.防水カバーへのパッキン貼付作業の治具を製作 4.袋詰め作業の治具を製作 事業主の声 代表取締役社長 梶原 誠一さん 事業の成長は人が支えており、事業所・従業員ともに成長していることが大切です。 その意味でレーティングにより作業者の適材適所を考え、各自がステップアップできる教育体系を確立し、徹底3S活動に全員参加することなどを通じ、これらが積み重なって障害者にとって働きやすい職場になります。 経営理念の中で特に「チャレンジ精神の発揮」を大事にしています。障害の有無にかかわらず、従業員が活き活きと働ける環境が、チャレンジ溢れる風土につながり、事業を支えています。治具による改善はそのための一つです。 (写真説明)(左から) 森本社会福祉法人太陽の家事業課長 佐藤社会福祉法人太陽の家本部長補佐 梶原代表取締役社長 吉岡社長付CSR推進リーダー 社長付CSR推進リーダー 吉岡 隆さん 従業員の平均年齢が上がってきており、障害の重度化が進んでいくことが予測されます。治具による対応については、より精度の高いものを開発していきたいと思います。 機種も煩雑化してきており、作業の幅が拡がってきていることも考え、障害があっても作業ができる治具が必要となってきます。 社会福祉法人太陽の家 本部長補佐 佐藤 光博さん 生産性向上の取り組みと、上肢障害等への配慮の差違は微妙なものです。片手でできなかった作業ができるようになることは生産性に繋がりますし、両手でできていた従業員はさらに生産性の向上につながる可能性があります。 片手でも利き手(使用手)の違いで治具の構造に違いが出てくるので、治具の製作や改善は個人用に行っていると言ってもいいと思います。 社会福祉法人太陽の家 事業課長 森本 泰秀さん 作業や従業員の状況は日々変わっていきます。現状に満足するのではなく、従業員にとっての使いやすさと生産性の向上に向けた改善に取り組み続けていくことが大事です。 事業所の概要 オムロンの企業理念「企業は社会の公器である」を実践するため、「車イスのある工場」として、昭和47年に「オムロン太陽」を設立し、社会福祉法人「太陽の家」と協同で障害者雇用に取り組んでいる。同社はオムロン株式会社の2番目の特例子会社として昭和61年に操業を開始した。同社の従業員が生産管理、生産技術、品質管理等を担当し、社会福祉法人太陽の家が生産を担当。従業員一人ひとりの職域拡大と技術力の向上に取り組んでいる。 主な事業内容 オムロン制御機器製品の製造工場として、ソケットやセンサといった産業用機械で使われる製品を中心に製造している。 (上肢障害のある従業員は、各製品の組立作業や、生産管理課・品質環境課・技術課にてパソコンによるデータ管理に従事している) 上肢障害者雇用の経緯 特例子会社としての設立にあたって当初は、「身体障害者手帳を有する人」を雇用対象としていた。現在は知的障害者の雇用にも取り組んでいる。 上肢障害者雇用状況 従業員数 168名 上肢障害者雇用数 35名 改善の取り組みについて 治具製作等を担当する改善チームは4名の従業員から構成されている。障害への配慮と同時に生産性の向上を図るため、年20件の改善ノルマを課して取り組んでいる。 (写真説明)治具を製作、改良する工作室 担当者の声 岩井 清さん 治具の考案や製作を担当しています。現場から出てくる要望に応えられるよう取り組んでいます。パッキン貼りの治具製作は3ヶ月を要しかなり苦労しました。治具の製作には、安全であることと重度障害のある作業員でもできることを念頭に取り組んでいます。 なお、オムロン京都太陽株式会社の治具製作等といった業務改善や3S活動の取り組みを、社内ホームページ「徹底3S活動」で広く紹介しています。 (ホームページアドレス)http://www.kyoto-taiyo.omron.co.jp/kufu/3s.html#namelink (写真説明)治具製作に取り組む岩井さん 改善策1 作業要領書を電子化 ポイント 電子化 作業内容 ハンダ付け 課題点 光電センサ組立ラインでハンダ付けに従事していた山口良太さんは、筋ジストロフィー症の進行により握力が非常に低下していたため、400仕様の機種を日に20回ほど切り替える度に発生する作業要領書の差し替えにおいて、ファイルを持つことが困難な状況であった。そのため差し替えはその都度隣の従業員に頼み、非常に時間を要していた。 改善内容 全ての作業要領書を電子化しパソコン画面で確認できるようにした。その際画像を多用し注意部分を赤文字にした。 作業要領書の切り替えにあたっては、個々の作業指図書にバーコードを設け、それを読み込むプログラムを作成した。さらに、現在はバーコードの読み取りにより、使用する部品や治具の収納トレイが棚から自動的に出てくる仕組みになっている。 なお、この改善は山口さん自身が日頃の不自由を感じたことから、作業の合間を使って約1年要して完成した。電子化は自身が担当する工程のみならず、光電センサ組立ラインの全行程の作業要領書に対して行われた。 改善の効果 上肢の負担軽減、作業時間の短縮、作業上の注意喚起(正確性の向上)が図られたことから、作業要領書の電子化は全社的な取り組みに発展し、「生産ナビゲーションシステム」として、現在12のラインまで電子化が終了している。 また紙の使用量も節減できたことも改善の効果である。 作業要領書の電子化 改善前(写真説明) スペースに制約があり、説明にも限界があった また、絵も手書きだったりで、分かりづらい部分があった こんなにもかさ張り、置き場を確保するのにも苦労していた しかも重く、これだけで2kgもある 改善後(写真説明) 大きなイラストや写真で作業要領書をモニター表示 バーコード読み取りで機種切替もスピーディーに対応 (写真説明)バーコード読取機とモニター (写真説明)作業指示書のバーコード (写真説明)バーコード読み取りにより使用部品や治具の収納トレイが棚から押し出される 従業員の声 山口 良太さん 担当ラインのリーダーと相談し、製品の出荷検査で使用していたバーコードを活用し作業指図書の電子化に取り組みました。1年を要し400仕様を電子化しました。これからも改良の依頼に応じて取り組んでいきたいと思います。 改善策2 ラベル貼り合わせ作業の治具を製作 ポイント 治具製作 作業内容 ラベル貼り 課題点 PLCメンテナンス用バッテリーのリード線に品名ラベルを貼り合わせる作業においては、ズレを1mm以下とする基準があり、手に震えが生じる巽一夫さんには対応が困難な状況であった。 改善内容 バッテリーとラベルを所定の場所にセットしレバーを下げるだけで正確にラベルが貼り合わされる治具を製作した。 (写真説明)このように品名ラベルを貼り合わせる ただし、貼り合わせのズレは1o以下に (写真説明)ラベルが貼られたバッテリー (写真説明)ラベル貼り合わせ治具の使い方 (写真説明)ここに品名ラベルをセットする (写真説明)このようにバッテリーをセットし、ラベルの上にコードを乗せる (写真説明)レバーを指で下げる。するとラベルを乗せた部分が合わさる (写真説明)レバーを離すとラベルが合わさったものが出来上がる 改善の効果 片手のみで作業が可能となったほか、手に震えがある従業員でも正確な作業が遂行できるようになったため、従来上肢障害のない従業員が対応していたものを、現在は重度の上肢障害のある従業員が行っている。 なお、治具はコンパクトな機構なので場所をとらず、操作が容易なため作業従事者の拡大が図れた。 従業員の声 巽 一夫さん ラベル貼り作業を担当しています。両手の震えが大きいので作業になれるまで時間がかかりましたができるようになりました。これからもラベル貼り作業に取り組んでいきたいと思います。 改善策3  防水カバーへのパッキン貼付作業の治具を製作 ポイント 治具製作 作業内容 パッキン貼り 課題点 長方形の金属枠にパッキンを4辺の余白を均等に貼り付ける作業において、上肢障害のある山本嘉弘さんが対応することが困難であった。 また治具を製作するにあたって、金属枠についているフックを避けて貼り付けることが難題であった。 改善内容 エアーシリンダを用いた若干大がかりな簡便自動化の治具を製作し、金属枠とパッキンをそれぞれのマウントにセットし、スイッチを入れるだけの作業となった。 なお全4種類のサイズの金属枠に対応したマウントを製作し、ワンタッチで交換できるようにした。 ・パッキンと金属枠 (写真説明)この金属枠の中にパッキンを貼り付ける 【条件】 各4辺の枠とパッキンの隙間は一定であること 基本は隙間が無いようにキッチリ隙間を埋めるように貼ること ただし、突起物が3箇所ある (写真説明)パッキンはシールになっており、一度貼り付くと横にズラスことはムリである。そのため、最初の位置の決めが肝心である (写真説明)この2箇所の取付けフックが、パッキン貼りの最大の難関である ・パッキン貼り治具の稼働順序 (写真説明)パッキンをセットする。(シールの紙を剥がしたもの) 金属枠をセットする (写真説明)起動スイッチを押す パッキン型が動き出す (写真説明)金属枠の型が合わさる瞬間に一旦上がり、その直後に下がるのがポイント (写真説明)左右の型が離れる ・防水カバーのパッキン貼り工程 @パッキンを型にセットする(写真説明) A金属枠をマウントにセットする(写真説明) Bパッキンのシールの紙を剥がす(写真説明) C起動スイッチを押す(写真説明) 完成品(写真説明) マウントの交換により4種類の金属枠に対応できる(写真説明) 改善の効果 手指の高い巧緻性が必要であるため上肢障害のある従業員には困難とされていた作業が対応可能となり、職域拡大につながった。 なお、このような機種が約400種類あるため、特に重度の上肢障害のある従業員が対応できるよう治具を継続して考案していく必要がある。 従業員の声 山本 嘉弘さん パッキン貼りを担当しています。治具により片手のみでもやりにくい作業はありません。治具は部品が取り出しやすいような造りになっています。最初は両手でも10分かかっていたものが、治具により片手のみでも1分で作業できます。 改善策4  袋詰め作業の治具を製作 ポイント 治具製作 作業内容 袋詰め 課題点 ナットやネジ、ワッシャ等の細かな部品を必要個数、専用のビニール袋に詰める作業において、密着したビニール袋を開きその状態を保持しながら部品を詰めることと、細かな部品を必要個数分つまむことが、特に指先動作に障害のある村上智彦さんには対応が困難であった。 改善内容 @袋開け治具を製作し、100束のビニール袋をバキュームで1枚吸い上げる機能と、袋のあけ口を2方向から吸い上げ、バキュームの先端を空いたビニール袋の中に押し込むことで、袋が空いた状態を保持することができるようにした。 A部品を整列する治具にセットし、シリンダーで1個ずつ押し出し、開いたビニール袋に詰めることのできる機構の治具を製作した。必要個数をプログラムすることで確実に指定された数をビニール袋に詰めることができる。 ・袋詰め作業の改善(ナット1個出し治具)(写真説明) ナット押し出しシリンダー 180枚のワッシャがセット可能 ワッシャの飛び出す方向を矯正するカバー 1oのワッシャが抜ける隙間を確保 見事にワッシャが袋の中に入っている シリンダーがワッシャを1枚押し出す ・袋詰め作業の改善(袋開き治具)(写真説明) ビニール袋ホルダー(通常100枚セット) ビニール袋開口治具部 ビニールの袋を2ツのバキュームで吸い上げる ビニール袋をバキュームで吸い上げたまま、開口治具部まで移送する 両面から、バキュームで吸い、ビニール袋を開いた状態にする バキュームが3箇所であるのがこの改善のポイント 改善の効果 ビニール袋を開くことや細かな部品を必要個数つまむことが困難であっても作業することが可能となり、職域が拡大された。またビニール袋を開く治具はコンパクトであるので、持ち運びが自由である。 従業員の声 村上 智彦さん 部品の袋詰め作業を担当しています。細かな作業をはじめは手で行っていましたが、治具により一日の作業量が800から1400にまで上がりました。また不良も無くなり満足しています。 8ページ〜 平成22年度 優秀賞 職場復帰にあたり、支援機関との連携により作業環境等を整備 株式会社 富士通ビー・エス・シー (東京都港区)情報通信業 取り組みの紹介一覧 1.医療・就労支援機関との連携により、社内の体制を整備 2.障害特性に配慮した作業環境の整備 事業主の声 人事統括部 HRD推進部 田中 優子 さん 総務統括部 仙台開発センター  齋藤  基 さん 佐藤拓哉さんは受障前からとにかく何事にも頑張る方でした。そのため、仙台開発センターの職場に復帰するにあたっては、社内においてもできる限り環境を整備して迎え入れようとの声が聞かれ、ご家族、病院、福祉施設、宮城障害者職業センターの支援と共に障害者雇用助成金制度等を利用しながら取り組みを進めました。 相談したいことがある場合は、窓口として、宮城障害者職業センターに連絡しています。宮城障害者職業センターは、各支援機関と連携しているので、連絡後には必ず支援者から適切な回答が返ってきたことから、安心感がありました。 佐藤さんは、上肢だけでなく下肢にも障害があり、車いすを利用されていることから、ビルのオーナーに協力を求め、トイレの手すり設置、事務所内のスロープ設置等を行いました。また、自分からすすんで休憩を取る方ではなかったので、長期的に勤務してもらうには、周囲が疲労面に配慮し、勤務時間や休憩時間の設定等にも考慮しながら復帰を進める必要がありました。 事業所の概要 昭和38年に設立され、ソフトウェア開発とソフトウェアサービスを行い、国内に複数の事業所を有している。多様性を尊重する企業として、障害者雇用には従来から積極的に取り組んでいる。障害のある人・ない人が共にいきいきと働ける環境づくりを目指し、在職障害者には定期的な面談機会を設ける一方で、社内に向けて障害の理解を促進するためのホームページを設ける等、相互の理解に努めている。 主な事業内容 ソフトウェア開発、ソフトウェアサービス及びソリューションの販売 上肢障害者雇用の経緯 システムエンジニアとして勤務していた佐藤さんが、脳出血により両上下肢機能障害となったため、職場復帰にあたり、リハビリを行った病院担当者と宮城障害者職業センターの障害者職業カウンセラー、ジョブコーチ支援を活用し、復職に必要な職場内の作業環境整備に取り組んだ。 上肢障害者雇用状況 従業員数 1,999名 上肢障害者雇用数 8名 改善策1 医療・就労支援機関との連携により、社内の体制を整備 ポイント 社内体制整備 作業内容 ー 課題点 佐藤さんの休職期間の終了時期がせまり、仙台開発センター内での受け入れ等について、作業内容、労働条件等の検討を社内で行っていた。しかし、本人の上肢等の障害状況に応じた検討が十分でなかった。 改善内容 宮城障害者職業センターの障害者職業カウンセラーに連絡し、職場復帰に向けた相談を開始した。佐藤さんがリハビリを行っていた医療機関、障害者福祉センター、ご両親とは障害者職業カウンセラーが中心となって相談を行った。その間佐藤さんは、障害者職業センターに通所し、相談や作業体験を繰り返した。それらの情報をもとに、職場復帰するにあたっての配慮事項をまとめた文書を障害者職業カウンセラーが作成した。その文書の内容は、職場復帰後に佐藤さんが従事する作業の遂行に必要な様々な配慮事項、事務所やトイレ等の職場環境整備が詳しく書かれたもので、その提案をもとに検討した。 そして、各支援機関、家族と連携し、スムーズに職場復帰を進めるために、社内の各部署の役割分担を決めて取り組んだ。 @本社ビジネスサポート本部人事総括部長:復職に係る諸問題対応、勤務条件等検討 A本社HRD推進部障がい者支援担当者:宮城障害者職業センターとの連携、職場内理解支援、障害者雇用助成金の 申請等 B仙台開発センター長:ご家族との連携、産業医と病院との連携 C仙台開発センター総務部担当者:職場環境改善工事、業務遂行等に係る本社、各支援機関との連絡調整等 このうちAの役割において、社内のホームページ内に「障がいを知り理解しよう」のページを設け、脳血管障害の原因、内容、サポートについて記載し周知した。また、在籍している障害者(下肢、内部障害)が作成した車いす対応マニュアルを配布し、社内の理解を図った。 (写真説明)社内ホームページでの啓発 改善の効果 宮城障害者職業センターが作成した文書を基に進めることで、作業環境や勤務条件を整える際に試行錯誤をすることなく、スムーズに職場復帰を進められたため、事業所のコストや負担等が軽減された。 社内ホームページの活用は、障害に関する知識を得ることが比較的容易にできるツールであり、職場の従業員が佐藤さんとコミュニケーションを取る際のきっかけとなった。その後も、在籍している障害のある従業員の障害特性に関する記事を掲載しつづけ、障害理解の啓発活動にも一役買っている。 従業員の声 仙台開発センター 佐藤 拓哉さん 職場復帰にあたって、上肢のことはもちろんのこと、自分の握力で車いすをこいだり、トイレを一人で利用できるよう、スロープや手すりをつけてくれる等、職場の環境が整備されたことで、復帰し頑張ることができています。これからも頑張り続けたいと思っています。また、毎日送迎してくれている両親にも感謝しています。 改善策2  障害特性に配慮した作業環境の整備 ポイント 操作性の改善 作業内容 スキャンニング書類整理 課題点 @佐藤さんの復職に向け、紙ベースの文書をデータ化してもらうため、専用のソフトと作業効率化のために高性能な小型のオートシートフーダー付きスキャナを導入した。しかし、手指の震えから紙をシートフィーダーに挿入することができず、単独での遂行が困難だった。 A手指の震えから通常のマウスでは、スムーズにスクロール、クリックすることができず、入力等の操作に支障が生じていた。 Bスキャン後、機密文書を鍵の掛かる机の引き出しに保管する必要があったが、握力が弱かったため、引き出しを開けることができなかった。 C疾病の後遺症のため、物が二重に見える複視が生じていることから、小さな文字が見にくく、読んだり確認したりすることに時間を要した。ディスプレイ上の表示を大きくし過ぎると、一画面に表示できる文字数が減り、文字を確認するためにスクロールする回数が増えることから、マウス操作が頻繁になり、作業効率の低下、上肢の疲労が懸念された。 改善内容 @以前に使用していたフラット型のスキャナ(プリンター複合機)に戻した。原稿台ガラスに紙を置く際に、紙の置き位置が固定しやすくなるよう工夫する必要があり、市販のスポンジテープを所定の位置数カ所に貼り付けた。 A手指の震えがあっても操作ができるよう、通常のマウスの代わりに高齢・障害者雇用支援機構の就労支援機器の貸出し制度を活用しトラックボール型マウスを導入した。 Bジョブコーチと相談し、机の引き出しにリング状の取っ手を取り付け、自身で開け閉めができるようにした。 C障害者職業カウンセラーが事前に作成した配慮事項をもとに、モニターを17インチに拡大した上で、マウスの操作頻度も考慮しつつ一画面に表示できる文字数を1.5倍に抑え、見やすいフォントに変更した。 (写真説明)@フラット型のスキャナを操作する佐藤さん (写真説明)@原稿台ガラスに紙がきちんと置けるよう、市販の両面スポンジテープを隅に貼り付けている (写真説明)Aトラックボール型マウスを操作する佐藤さん (写真説明)B引き出しに付けた取っ手 (写真説明)C文字が拡大できるよう書見台にルーペを取り付けている (写真説明)C文字の大きさやアイコン等を通常の1.5倍表示としている 改善の効果 @古いスキャナを再度使用することは、作業の効率化の面からは逆行する面もあるが、手指に震えがあっても単独での作業遂行が可能となった。また、指導者の介助を必要としなくなったため、当該作業にかかるコストを抑えることができた。 A手の震えによるマウス操作への影響がほとんどなくなった。作業によっては、左右の上肢を使い分けて操作している。なお、高齢・障害者雇用支援機構の就労支援機器の貸出し制度を活用したことで、購入前に操作状況等マッチングを確認でき、コスト面でも経済的だった。 B手指を使わないで引き出しを開け閉めできる構造のため、介助なく書類を保管することができた。市販の養生テープ等身近な事務用品を活用して作成したため、経費はほとんどかかっていない。 Cマウス操作時の両上肢の状態を考慮しつつ、文字やアイコン等の大きさを通常の1.5倍で表示することで、判別がしやすくなった。(これ以上大きくすると、1画面に表示できるデータ量が少なくなるため、マウスのスクロール操作が増え、作業性が低下することになる。)また、書見台にルーペを取り付けることで、両上肢がフリーになり、入力作業の効率が向上した。 12ページ〜 平成22年度 優秀賞 コミュニケーションシステムの開発により在宅雇用を推進 株式会社 沖ワークウェル (東京都港区)情報通信業 取り組みの紹介一覧 1.在宅勤務の職場環境を改善 2.コミュニケーションシステムを自社開発 事業主の声 取締役社長 津田 貴 さん 在宅雇用の対象者は、通勤が困難=下肢障害のある人とイメージされる方もおられますが、むしろ通勤が困難なのは車いすや自家用車の操作が難しい上肢障害のある人だと考えています。 また、上肢障害のために作業時間がかかる人でも仕事として成立するために、「ワークウェルコミュニケータ」を利用し、従業員のみならず顧客ともリアルタイムで打合せや説明を行うことで仕事の効率化を図ることができます。 在宅雇用の取り組み「ワークウェルコミュニケータ」の開発は、上肢に障害のある人のための取り組みであるといっても過言ではありません。 上肢障害者雇用の経緯 平成10年に事業所としては初めて重度身体障害者の在宅雇用制度を打ち立て、重度身体障害者の在宅勤務チーム「OKIネットワーカーズ」が発足。 在宅雇用に取り組むきっかけは、平成9年に社会貢献活動事業としてWebコンテンツ制作をある社会福祉法人を通して障害のある人に発注した。請け負ったのが脊髄損傷により首から上しか動かない重度障害のある人であったことから、重度障害があってもパソコンを使用すれば仕事ができることを認識したことであった。 当初はホームページの制作を職務とする3名の雇用から開始した。グループ内企業もこの雇用制度を採用し、平成16年になお一層の障害者雇用を図るため、各社のOKIネットワーカーズを集約し、株式会社沖ワークウェルが設立された。 採用の経路については、宮崎県の社会福祉法人が実施する「宮崎県障がい者在宅就業者育成研修」(年間10数名)の修了者に対して数ヶ月のインターンシップを通じて採用するか、求職者から直接申込みを受けている。今年度は3名を採用した。従業員のうち1割ほどはOKIグループ内で障害を負った人を登用している。このようなケースが近年増えてきている。 障害者の在宅雇用で難しいのは仕事の平準化である。仕事が少ない、あるいは無いと従業員はつまらなくなってしまい、多すぎると身体を壊して辞めてしまう。従来はコーディネータが在宅勤務者の業務量を調整する役割を担っていたが、仕事の量や在宅勤務者が増えてきたため、在宅勤務者の中で取りまとめ能力のある従業員をディレクタに任命し、コーディネータの調整の下で管理業務を行う仕組みを作った。 なお在宅雇用の就業規則については、他事業所からの問い合わせも多く、10月にホームページ上で「在宅勤務制度の紹介」を公開した。(http://www.okiworkwel.co.jp/system/) 事業所の概要 平成16年4月に沖電気工業株式会社の子会社として設立。同年5月に特例子会社の認定とともに、OKIグループ4社障害者雇用率制度を同一の事業主として取り扱うことについての認定を受ける。 重度障害者のテレワーク(在宅勤務)を中心に障害者(チャレンジド)雇用を専門に行う日本初の特例子会社である。OKIグループのCSRの取り組みの一つとして、現在36名の高度なITスキルを持つ重度障害者が自宅でパソコンとインターネットを使用しながら、アクセシビリティを考慮したホームページの作成、ポスターデザイン等を行っている。 主な事業内容 ・ホームページ作成等Web関連業務、・ポスターデザイン、・パソコン作業全般、・名刺作成、・障害者在宅雇用コンサルテーション 上肢障害者雇用状況 従業員数 55名(平成23年1月21日時点) 上肢障害者雇用数 35名 改善策1 在宅勤務の職場環境を改善 ポイント 職場改善 作業内容 デザイン作成等 課題点 通勤が困難な重度障害者を在宅で雇用する取り組みを進めてきたなかで、勤務で活用していたスカイプ(インターネット電話サービス。一般の電話との相互通話が可能)がセキュリティ管理上、使用できなくなる事態が発生した。 改善内容 在宅勤務職場の改善として「職場がおうちへやってきた」プロジェクトを開始した。家にいても「あたかも会社にいて仕事をしている」状況を作り出すため、テレワークツールと仕事の仕方の改善を計画した。 取り組みの内容として、イントラネット上の業務管理システムの画面に、従業員の出勤在席状況や仕事の繁忙状況、年休・通院・ヘルパー受け入れ等といった連絡事項を表示できるようにした。在宅勤務者からは、朝の業務開始時に挨拶メール(出社)、夕方の業務終了時に終了メールを業務管理システムの画面を通じて従業員全員に送信するルールとなっている。 また、在宅勤務による孤独感を軽減するため、グループウェアとWebカメラを使用し、事務所のライブ風景や業務管理を行うコーディネータの在席状況、またユーザー打合せで顧客の顔を自宅のパソコン画面に映し出せるようにした。 従業員の声 新原 弘一さん 私は現在、鹿児島市の自宅でポスターやパンフレット、ホームページのデザインの作成に従事しています。6年前にインターネットで「在宅勤務」で検索し、OKIワークウェルを知り就職することができました。 「ワークウェルコミュニケータ」を使うことで、他の在宅勤務の従業員との会議もできるほか、他の従業員同士のやりとりが聞こえることで職場で仕事をしているように感じることができます。 身体の都合が許す限り勤務を続け、できれば定年まで勤務したいと思っています。        改善策2  コミュニケーションシステムを自社開発 ポイント コミュニケーション 作業内容 Web制作 改善内容 「職場がおうちへやってきた」プロジェクトとして、平成18年から平成20年にかけ「ワークウェルコミュニケータ」という多地点音声コミュニケーションシステムを自社開発した。 このシステムにより、在宅勤務者もいつでも自由にメンバーを集めてチーム・ミーティングができることや、常時接続されているため、ワイワイ、ガヤガヤといった雰囲気が生まれ、職場で仕事をしているような臨場感を感じることができるようになった。 このシステムを開発するにあたって、頸椎損傷や筋疾患等により上肢に障害のある従業員はキーボード入力や電話の受話器を握るといった動作に困難が伴うことを考慮する必要があった。このような上肢に障害者のある従業員の負担の軽減を図るため、ワンタッチの操作でアクセスできる機能をシステムに組み込み、迅速な意思決定や情報共有、効果的なOJTを行うことにより、多数の上肢に障害を有する従業員を雇用することが可能となった。 (写真説明)ワークウェルコミュニケータ用の機器一式 (左から)マイク、パソコン、テンキー ワークウェルコミュニケータのシステムイメージ(図省略) ワークウェルコミュニケータの操作画面(図省略) ワークウェルコミュニケータの操作について マイクのマークをクリックすると音声を伝達することが可能。クリックするマーク配置のレイアウトはテンキーのボタンに対応しているので、マウス操作が困難な従業員はテンキーにより入力することができる。実際、菜箸や鼻でキー入力し、トラックボールを顎を動かしてマウス操作する従業員が多い。 なお、株式会社沖ワークウェルの在宅就業の取り組みは、「障害者の在宅就業支援ホームページ(チャレンジホームオフィス)」でも紹介しています。 (http//www.challenge.jeed.or.jp/exp/exp_web_1.html) 土屋竜一さんは、外付けのタッチパッドを使い、僅かな手の可動域により小指でパソコン操作している。また、気管障害があり発声が困難なので、日常よく使用する台詞をコンピュータに登録しマウスでクリックすると該当の台詞が読まれる機能(自動発声機能)を使用している。下の写真で土屋さんは菜箸を持っているが、これは手のバランスを取るためのものであり、入力用ではない。 (写真説明)土屋さんの在宅勤務風景 (写真説明)ワークウェルコミュニケータの自動発声機能画面 (写真説明)土屋さんのワークウェルコミュニケータ画面 中村亜矢子さんは、手によるキーボード入力が困難なため、トラックボールを立て、顎でボールを回すことによりマウス操作を行っている。 (写真説明)中村さんの在宅勤務風景 改善の効果 これらの改善により、以下の効果が見られている。 @コーディネータの負荷が軽減された A仕事の効率とスピードが向上した B顧客と在宅勤務者が直接打合せできるので、在宅勤務者のモチベーションや顧客からの信頼度が上がった C在宅勤務者の就労状況が一覧で把握できるため、相互のやり取りがスムーズにできるようになった D新入社員も打合せに参加することができるのでOJTが実現できる Eコミュニケーションシステムを使用した勉強会が自発的に発足された F「仲間と一緒に仕事をしている」雰囲気が在宅勤務者の孤独感を解消した G本社と顧客の映像もフリーソフトにより見ることができ、孤独感の解消につながった H業務効率化によりグループ会社の総務の業務を請け負うことができるようになった コミュニケーションシステムを使用することで、在宅の従業員同士で打ち合わせができるだけでなく、客先においてもコーディネータがパソコンを持参することで、在宅の技術者である本人がその場で直接顧客とやりとりし質問に回答することができる。顧客からの宿題を持ち帰る手間が省ける分、効率的に仕事を進めることができる。 16ページ〜 平成22年度 優秀賞 障害の内容にとらわれず働きやすい職場づくりを進める 大東コーポレートサービス 株式会社 (東京都港区)サービス業 取り組みの紹介一覧 1.マニュアル作成を通じてOJTスキルの向上を図る 2.業務ローテーション制を導入し作業への自信と意欲を高める 3.固定イスを導入し安全性と作業スペースを確保 4.SSTを導入しコミュニケーションの課題を改善 事業主の声 代表取締役社長 山ア 亨さん 当社ではコミュニケーションやマナーを大切にしておりますが、これは上肢に障害のある従業員にも言えることです。障害の種類や程度にとらわれず従業員のみなさんが働きやすいと思える環境づくりやチームワークの構築を心がけています。また、障害者職業生活相談員を介し業務を調整することで、どんな障害があっても円滑に業務をすすめることができると実感しています。 今後は、障害者職業生活相談員を介さず、障害のある従業員だけで業務を成り立たせることができるような環境づくりを目指していきたいと考えています。 (写真説明)(左から)原係長、藤本教嗣さん、林位江さん、山ア代表取締役社長 事業所の概要 平成17年5月に、障害者の雇用を目的に大東建託株式会社100%出資の子会社として設立。同年8月に特例子会社の認定を受ける。設立時は知的障害者4名、身体障害者1名、障害者職業生活相談員3名の計8名でスタート。親会社や事務作業を受託して職域を広げ、平成22年10月1日現在、従業員数は75名となっており、身体障害者及び知的障害者、精神障害者が共に業務を行っている。なお、品川本社では従業員44名のうち、33名の障害者を雇用している。 上肢障害者雇用の経緯 平成17年に特例子会社として設立時に、上肢に障害のある肢体不自由者1名を雇用した後、平成18年8月に更に1名雇用し、現在に至る。 主な事業内容 主に親会社である大東建託及びその関連会社の事務作業を行っている。また名刺作製、ペーパークラフト、お客様向けの冊子の印刷・製本・発送等、約400種類以上の業務を幅広く取り組んでいる。     上肢障害者雇用状況 従業員数 75名 上肢障害者雇用数 2名 改善策1  マニュアル作成を通じてOJTスキルの向上を図る ポイント リーダーシップ 作業内容 OJT 課題点 設立当初から勤務していた藤本教嗣さんは、親会社の品質管理部から毎日届く作業員名簿への入力業務について周囲の従業員に作業指導する際に、手順書が無いため、従業員をフル活用できずに業務を遂行していた。 改善内容 新しく立ち上げた課に精神障害のある従業員を配置したことをきっかけに、スムーズかつ正確に入力ができるよう、入力工程を番号化し欄外にその解説を付けた操作手順マニュアルを藤本さんが作成した。手順書は全16ページの内容となった。 また、従業員に作業を指示する際には、手順書に加えて藤本さんが口頭で説明を補うことにより、入力業務に関する注意点を周囲の従業員に丁寧に伝えることができるようになった。 (写真説明)作業手順マニュアル (写真説明)作業員名簿 (写真説明)作業員名簿への入力作業 (写真説明)工程番号に対応した解説を欄外に表記した 改善の効果 マニュアルを用いて障害のある他の従業員へのOJT(オン・ザ・ジョブトレーニングの略。職場での実務を通じて行う従業員の教育訓練)を行うことで、藤本さんは業務に対するリーダーシップを経験することができた。また、藤本さんが積極的に他の従業員と関わることで、社内の雰囲気が和やかになった。 さらに入力業務をこなせる従業員が増えたことで、スピードアップが実現し、親会社への業務貢献につながった。 この経験を通して、現在藤本さんは、知的障害のある従業員に書類のスキャン作業をOJT・サポートする役割も担い、教えることを通して自己スキルを上げている等、従業員同士が互いに助け合う体制が確立されつつある。 従業員の声 藤本 教嗣さん 作業手順マニュアルを作成したことにより、大幅な時間短縮に伴い作業効率がアップし、自分に自信がつきました。他の業務を行う時も作業効率をどのようにして上げるかを考えながら業務を行うことができるようになりました。 今後は現在の業務を行いながら、業務課の人事・総務等の管理部門といった他の業務にもチャレンジしてみたいです。 改善策2  業務ローテーション制を導入し作業への自信と意欲を高める ポイント 業務経験 作業内容 名刺作製 課題点 名刺作製業務を担当するサービス2課で勤務している林位江さんは、国立職業リハビリテーションセンターで職業訓練を受けた経歴はあるが実践でスキルを活かしたことがない。それゆえ、多くの業務経験が必要であったが、「業務担当制」をとっていたため、一部分の業務を担当していた。 改善内容 注文用紙の入力、入力文字のチェック、試し印刷・本印刷、裁断、箱数の検査、支店ごとの梱包、メールボックスへの投函、関連会社への発送、電話対応等、名刺作製に関わる一連の流れを「業務ローテーション制」に変え、半日?1日単位でローテーションを組むことにより毎日同じ工程を繰り返すことを防いだ。サービス2課では林さんを含めた8名の従業員への作業の割り振りは係長の野村さんが行っている。 改善の効果 課全体で工程をローテーションさせることによって、林さんが従事可能な業務が徐々に増え、仕事のマンネリ化を防ぐとともに、モチベーションが上がるきっかけともなった。 また、文字入力の誤字や名刺用紙のカウントミス等、不得手な工程に挑戦することで苦手意識を克服することができた。 名刺作製の一工程からスタートした林さんは、現在18工程に携わり、名刺のデザインや校正を含む全工程に対し自信を持って対応できるようになった。 (写真説明)ホワイトボードにローテーションを示す (写真説明)入力した文字をチェック (写真説明)本印刷し、内容を確認 (写真説明)名刺を裁断 (写真説明)作製した名刺を支店別に梱包 (写真説明)箱数を検査 従業員の声 林 位江さん 今まで自分ができなかったことがひとつひとつできるようになったのが嬉しいと思いました。今後は課の中の他にもやっていない作業や、新しい作業に取り組んでいきたいです。 改善策3  固定イスを導入し安全性と作業スペースを確保 ポイント 安全性 作業内容 データ入力 課題点 林さんが名刺データ入力等デスクワークをする際に、既存の回転イスでは座りづらさがあり、作業時の安全性に欠けていた。 改善内容 安全面に配慮し、固定イスを購入した。またそのことにより作業スペースの後ろに余裕ができた。 改善の効果 使いやすく安全面にも配慮した固定イスを用意し、広めのスペースを確保したことにより、安心して働ける環境を保証することができた。 (写真説明)林さんの作業スペース (写真説明)標準的な従業員の作業スペース (写真説明)月1万ケース(1ケース100枚)の作製に貢献 改善策4  SSTを導入しコミュニケーションの課題を改善 ポイント コミュニケーション 作業内容 電話応対 課題点 林さんにとっては初めての職場ということもあり、親会社の支店からの電話に対して、メモ取りを行うために相手に「少々お待ちください」と伝えることが難しい等、コミュニケーションに不安が感じられていた。 また、上司に自分の考えや思いをうまく伝えられないことから、林さんにもストレスが溜まっていた。 改善内容 SSTの担当者である障害者職業生活相談員が相談を受けたことをきっかけに、勤務終了後、「電話応対」や「上司に伝える」をテーマに1対1のロールプレイによる会話の練習(ひとりSST)に自主的に取り組んだ。また職場の研修として、希望する従業員に対して行っているコミュニケーションの練習(グループSST)に林さんも参加している。 SSTとは? ソーシャルスキルズトレーニング(社会生活技能訓練)の略。日常生活の中で必要な対人技能やストレス対処技術の獲得を支援する訓練方法。 改善の効果 林さんはSSTで習得したスキルを実践し、電話応対ではクレームにも対応できるようになった。また、自分の意見を伝えることや、時には冗談を交えて会話ができるようになった。 (写真説明)電話対応教材 平成22年度 優秀賞 ちょっとした工夫が効果的な改善につながる 有限会社 化成フロンティアサービス (福岡県北九州市)サービス業 取り組みの紹介一覧 1.データ入力業務で書見台を製作 2.社内便の集配作業で領収書を改善 3.社内便の集配作業で紐掛け機を導入 4.社内便の集配作業で社有車のハンドルを改善 5.ペアで集配作業を行う 事業主の声 人間の集団として誇れる事業所として、企業の理念である、一隅を照らす=従業員一人ひとりを大切にするという意味の「一燈照隅」の実践に取り組んでいます。また、事業所内活動だけにとどまらず職業能力開発の講師や福祉の相談員の派遣等地域への貢献活動にも取り組んでいます。見学者も数多く受け入れていますので、是非見学にいらしてください。 (写真説明)(左から) 安田篤 企画管理部企画グループグループマネージャー、佐藤健一 常務取締役、企画管理部 高橋好彦さん 事業所の概要 障害者の一層の雇用促進を図り、企業としての社会的責任を果たすとともに、一人ひとりが活き活きと働ける職場づくりを実現するために、三菱化学株式会社(当時三菱化成株式会社)の特例子会社(県内では初の親会社による全額出資)として平成5年3月に設立し、同年12月から営業を開始。 「障害者の一層の雇用促進を図り、企業としての社会的責任を果たすとともに、一人ひとりが活き活きと働ける職場づくりを実現する」目標を達成するために、「会社と従業員は運命共同体」という従業員観を頂点に据え、「すべての従業員が働きやすい職場環境づくり」を基本的な考え方として取り組んでいる。 上肢障害者雇用状況 従業員数 123名 上肢障害者雇用数 28名 主な事業内容 @情報処理サービス(データ入力、データ加工・処理、ワープロ文書作成、ホームページ作成等) A印刷全般(企画、デザイン、印刷:名刺やハガキから一般印刷まで) B親会社からの受託業務(社内便集配、浴場管理、制服クリーニング等) 上肢障害者雇用の経緯 @情報処理サービス(データ入力、データ加工・処理、ワープロ文書作成、ホームページ作成等) A印刷全般(企画、デザイン、印刷:名刺やハガキから一般印刷まで) B親会社からの受託業務(社内便集配、浴場管理、制服クリーニング等) 上肢障害者雇用の経緯 特例子会社として設立後、事業の拡大とともに、障害の種別に関係なく、業務に適した障害者を特別支援学校や職業能力開発校等からの職場実習を経てハローワークを通じて採用し現在に至っている。 結果として上肢に障害のある肢体不自由者の雇用者数は雇用障害者82名のうち28名(うち重度障害者22名)となっている。 改善策1   データ入力業務で書見台を製作 ポイント 治具製作 作業内容 データ入力 課題点 テクニカル部門にて勤務する西和平さんはデータ入力作業に従事しているが、腕を伸ばせる範囲が狭く、肩から上に腕を上げることが困難であるため、原稿をめくることに時間がかかり作業効率が上がらない状況であった。 また、連続2時間程度、前のめりの姿勢で入力するため身体的な負担も強かった。 改善内容 身体の真正面にあるキーボードの上で原稿を見ることができ、自由に置き場所が変えられる書見台を作成した。 改善の効果 キーボードのテンキーで入力する際に腕の稼働範囲内でスムーズに原稿をめくることができるようになったことで、作業スピードが向上し、また手の負担も軽減された。 (写真説明)書見台 (写真説明)書見台を使用し入力する西さん (写真説明)別タイプの書見台。台の幅を広げることができる 従業員の声 西 和平さん 入力作業では、最初は脇に置いた書類に手が伸びにくく時間がかかりましたが、書見台ができてからは作業時間が5?10分短くなり、作業効率が上がりました。 改善策2  社内便の集配作業で領収書を改善 ポイント 書類変更 作業内容 領収書記載 課題点 メール・写真部門にて勤務する公山由美さんは、集配時に発行する領収書を1日平均20枚弱記載しているが、右上肢に障害があるため左手で記載するにあたって、領収書が左綴じ(横開き)であるため、手が綴じ位置に当たり記載しにくい状況であった。また、お客さんをその場で待たせているためプレッシャーも感じていた。 改善内容 社内で作成している領収書を上綴じのものに変更した。 改善の効果 領収書の手に当たる部分が平坦になったため、筆記に余計な負担がかからなくなった。領収書の形態を変えただけの簡単な改善であるが、公山さんは日に何度も領収書に記載するため、大幅な負担軽減となるとともに、お客さんを待たせる時間も短縮されたため心的負担も軽減された。 (写真説明)改善前(横綴じ)の領収書 (写真説明)改善後(上綴じ)の領収書 (写真説明)領収書に記入する公山さん 従業員の声 公山 由美さん 領収書の綴じ位置を変えることで書く時間が短くなり、お客さんを待たせるプレッシャーが無くなりました。 改善策3  社内便の集配作業で紐掛け機を導入 ポイント 補助機器購入 作業内容 集配 課題点 メール・写真部門にて勤務する友瀬隆さんは、集配係として倉庫や門等20ヵ所ほどへの集配を日に4回行っているが、右上肢に障害があり荷物の持ち運びは左手のみで行わざるを得ないため、大きな荷物を持ち上げることが困難であり、周囲の従業員の手助けが必要であった。 改善内容 荷物を荷台に載せ紐をスロットへ差し込むだけで荷物に紐が巻ける機械(紐掛け機)を導入した。 改善の効果 紐掛け機で巻いた紐を持つことにより、左手のみで容易に持ち運ぶことが可能となった。 (写真説明)改善前の友瀬さんの運搬状況 (写真説明)導入した紐掛け機 (写真説明)紐をスロットに差し込むだけで紐が掛かる (写真説明)紐を掛けた荷物を運搬する友瀬さん 改善策4  社内便の集配作業で社有車のハンドルを改善 ポイント 補助具購入 作業内容 集配 課題点 友瀬さんが集配を行うにあたって、社有車を運転する際には左手のみのハンドル操作が困難な状況であった。 改善内容 左手のみでも容易にハンドルが回せるよう、市販の旋回装置を取り付けた。  なお、集配において上下肢障害のある従業員が社有車を運転するにあたり、手でアクセルとブレーキ操作ができるよう改造している。 改善の効果 左手のみでのハンドル操作が容易となり、安全性も向上した。 (写真説明)旋回装置 (写真説明)手動のアクセルとブレーキ 改善策5  ペアで集配作業を行う ポイント ペア作業 作業内容 集配 課題点 右上肢に障害がある友瀬さんが単独で集配するにあたっては、重量物の運搬が困難であるばかりでなく、階段の昇降でバランスを崩すといった危険性もうかがわれた。また1回当たり1時間程度の運搬において、荷物を抱える状態での運搬には身体全体の負荷もかかっていた。 改善内容 身体の丈夫な知的障害のある従業員とペアを組んで集配業務を行う体制に変更した。友瀬さんのペアを含めて4グループを設けた。上肢障害のある従業員は運転を中心に行い、知的障害のある従業員は荷物運搬を中心に行っている。友瀬さんは原広和さんとペアを組んで集配しているが、2人とも責任をもって自分の業務に従事している。 改善の効果 人件費はかかったが、障害特性にあった役割分担で作業ができるようになり、上肢障害のある従業員の職域を拡大することができた。 (写真説明)原さんが荷物を出し入れし、友瀬さんが運転する (写真説明)広大な敷地内を、日に4回、20ヵ所程、車で集配する 従業員の声 (写真説明) 紐掛け機の導入や、社有車の改造、原さんとのペアにより、片手に障害があっても集配作業がスムーズにできるようになりました。 友瀬 隆さん (写真右) 友瀬さんと一緒に集配を頑張っています。 原 広和さん (写真左) 改善の取り組みについて 改善の取り組みは、本人、周囲の従業員、上司により、その都度、各部門の従業員で構成され、社内の安全活動を推進するRC(レスポンシブル・ケア)推進委員会に課題を提起している。あげられた課題は同委員会において改善策を検討、必要に応じ治具を製作している。 このような改善の取り組みにより、障害のある従業員が「職場の一員として貢献している」意識が強まることも大きな効果と言える。 (写真説明)企業モットーを掲示 (写真説明)重ねた資料をテーブルの下に容易にかつ効率的に置くことができるよう、キャスター・取っ手付きの台を製作 24ページ〜 平成22年度 優秀賞 一人ひとりの特性に応じた職場環境作りによる職域拡大とモチベーション向上 ソニー・太陽 株式会社 (大分県速見郡)製造業 取り組みの紹介一覧 1.上肢のまひに配慮した作業環境整備 2.一人で全工程に従事するための作業環境作り 事業主の声 代表取締役社長 寺岡 千年 さん 当社はもの造りの会社ですが、これまで多くの障害のある方を採用し、もの造りに取り組んでもらっています。就労する際には、障害のある方の実情に合わせ、障壁となる全ての条件をクリアーできるようにする。いわゆる、従業員が明るく楽しくいきいきと働きやすいように作業環境を整えることは勿論ですが、その都度本人とのコミュニケーションにより改善をする等最適な環境作りを重要視し取り組んでいます。また、障害のある方はもの造りだけではなく、間接業務・技術業務・マネジメント等職域も拡大し、それぞれの職域で活躍できる環境作りにもトライしこれからも引き続き、会社の中核人材育成も合わせて取り組みたいと考えています。 ビジネス推進部生産技術課統括課長 荒木 広重 さん 今回の取り組みで、個人の能力を最大限に発揮する環境を形にすることができ、効率や品質、本人や周囲のモチベーション向上など多くの効果を得ることができました。改善しなかった場合、組立工程の一部しかできないまま定年を迎えてしまい、仕事の目標ややりがいを得ることがなかったかもしれません。現在もハンディがあるとは思えない仕事ぶりで日々会社に貢献されており、改善費用以上の効果と価値を生み出すことができたと感じています。 事業所の概要 昭和53年にソニー株式会社と社会福祉法人太陽の家との共同出資により設立され、昭和56年にソニー株式会社の特例子会社として認定された。マイクロホンの設計からデバイス、組立、修理・メンテナンス等のサービスまで一貫生産を行っている。改善活動に積極的に取り組み、障害の個性に配慮したカスタムセル方式を採用している。 主な事業内容 マイクロホン、ヘッドホン、ビデオカメラ等周辺機器の製造等 上肢障害者雇用の経緯 創業者等の企業理念に基づき、障害が仕事の障壁にならないような組織風土が整っている。必要な治具や補助具等は、障害者本人、生産技術課、産業医(リハビリテーション医)、本人の上司等で構成される生産革新活動(改善活動)にて検討、製作している。また改善のアイデアについては、社内のホームページを活用し、募集している。なお、定期的な面談により従業員自身の就労上の改善点を把握し、個々の特性に応じた作業環境改善に繋げた結果、一つとして同じ作業台がない状況にまでに至っている。 上肢障害者雇用状況 従業員数 187名 上肢障害者雇用数 24名 改善策1  上肢のまひに配慮した作業環境整備 ポイント 作業台製作 作業内容 データ入力 課題点 山口直二郎さんは、パソコンを主に使う業務を行っているが、障害の重度化が進み、肩や腰、首などの痛みで会社を休むこともあった。作業による体への負担が増え、作業効率も低下してきた。 改善内容 山口さん、産業医と意見交換し、筋緊張と不随意運動の症状を和らげる状態を模索し、負担の少ない作業環境を作ることとした。その時々の状態の変化に関わらず作業効率が維持できるよう作業台の高さ調節機能、キーボードの傾き調整、モニター位置調整、前腕を安定させるアームスタンド等が調整できる作業台を製作した。 (写真説明)山口さん用の作業台 (写真説明)市販のモニター用アームに取り付け、モニターの向き、角度等がフレキシブルに変更できる (写真説明)プラスチック製で、表面に滑り止めのシートが貼ってある/両前腕を安定させるためのアームスタンド 状態に合わせ傾斜している/作業台の高さを調整する場合に回すハンドル 改善の効果 肩や腰、首の痛みに対し、上体と上腕を安定させることで筋緊張を和らげ、疲労も軽減することができた。また作業がしやすい体勢がつくれるようになったため、キー入力やマウス操作が効率よく遂行できるようになった。 従業員の声 山口 直二郎さん 私は生まれつきの障害で身体の筋緊張があり細かい作業が難しく日常生活と仕事の中でも手先の作業で苦戦する日々を送っていました。現在の仕事はデスクワ−クでパソコン作業を実施しています。作業の中で手の緊張や震えを押さえるため、パソコンのキーボードを乗せているテ−ブルの角度を斜めに調整して肘から手先までが固定できるようになりました。頚椎症があるためパソコン画面を目線の高さで調整ができる様になり、身体への負担が軽減されて仕事がやり易くなりました。日々の生活で障害が変化する中、職場の方との検討や相談により、望ましい作業環境を作っていただけていることに感謝いたします。 改善策2  一人で全工程に従事するための作業環境作り ポイント 作業台製作 作業内容 組立検査梱包 課題点 骨形成不全の障害により低身長で上肢の可動領域が狭く、握力も弱い末吉優子さんは、対応できる作業が限られていた。セル生産の効率化の課題として、全工程を3名で生産していると、工程間の待ち時間のロスが出たり、1工程でトラブルが起きると次工程に影響が出たり、欠勤代行がないと生産が停止したりする等問題が生じていた。 また、通常使用している作業台は高いため、電動リフターでイスを上げ、高さを調整していたが、乗り降りに手間がかかり、また停電時にはイスが下がらない恐れがあった。 (写真説明)末吉さんの作業風景 (写真説明)組立工程@ (写真説明)組立工程A (写真説明)検査・梱包工程 (写真説明)赤矢印のとおりテーブルが移動・回転し、各工程に必要な部品が出てくる仕組み 改善内容 全工程を一人で生産するカスタムセル生産方式を取るため、@組立工程で使う33点の部品配置を手が届く25p以内に並べる、A検査・梱包作業も末吉さんが一人で行う、B組立部品の締付け作業の身体的負担を軽減する、等を十分に検討した。その結果、末吉さんの身長や腕のさ等特性に応じた作業台について、工程に応じてスイッチを押すと順番に部品が取れるように回転機構のテーブルを左右に配置、治具は小型化し、握力が必要な作業は保持する治具を製作し、梱包作業の部品テーブルは手元に移動する等の構造とした。 ※セル生産方式:生産革新活動で発案された「細胞のような自律した生産方式」を意味する言葉。一人から数人が全工程を担当し、部品や工具・治具を 配置した「セル」と呼ばれる作業台で作業を行うもの。 (写真説明)B使用する治具、工具が小型化されている (写真説明)B従来のピンセット:手の大きさに合わせ、従来のものより少ない力で部品をつかむことができる (写真説明)作業台を改善する前は、電動リフターでイスの高さを調整していた (写真説明)A3種類の電動ドライバーが必要な時に手前にスライドするため、使いやすい (写真説明)B高さや姿勢が合わせやすい市販のイスを使用 (写真説明)A梱包作業時には、資材とテーブルが手前にスライドする (写真説明)A手が届く範囲に様々な工具・治具が配置され、必要に応じて手前にスライドしてくるため、取りやすく、間違った工具や、材料を使うことがない 改善の効果 末吉さんは一人で全工程担当することができ、3名で担当していたときと比較し、工程間のロスがない、トラブルによるライン停止の影響が少ない、欠勤時の対応が容易になる、機種切り替え時のロスが少ない等の効果が得られ、生産性が10%向上した。また、組立ノウハウを全て把握できるため、製品の品質が安定し、その日の体調に合わせたスピードで作業ができることにより、体への負担の軽減と無理のない作業で長期就労に適した環境となった。併せて、一人で作る責任感、達成感、新しいスキルの習得等によりモチベーションも向上した。なお、改善に取り組んだメンバーの改善スキルが向上し、他の従業員への刺激にもなる等、他にも多くの効果が見られた。 従業員の声 末吉 優子さん 入社してからずっと前加工やライン作業をしてきました。カスタムセルを製作してもらい、一人でマイクロホンの生産を任せてもらえるようになり、仕事にやりがいができました。品質第一に考え、良い製品を作っていきたいです。 28ページ〜 平成22年度 奨励賞 本人の長所を活かした職域拡大と能力開発 木村メタル産業株式会社関エコテクノロジーセンター(岐阜県関市)リサイクル業 取り組みの紹介一覧 1.個人の長所を活かすため、監督者的な職務権限と責任を与える作業環境(その1) 2.個人の長所を活かすため、監督者的な職務権限と責任を与える作業環境(その2) 事業主の声 代表取締役社長 木村 光彦さん 私たちは地域との繋がりを大切にする中で、何か貢献できないかとの思いから障害者雇用を出発させました。最初は本当に手探り状態からの始まりでした。まず、福祉施設を訪問して仕事の内容等を相談し、4名?5名位で会社内での作業実習がスタートしました。廃OA機器等を解体処理する作業を通して、自立に向けた応援ができる喜びを感じるとともに、中途半端では終われず、継続することの大切さを実感しました。 本格的な障害者雇用を進めるため、特別支援学校からの受け入れを始めていきました。その後、岐阜県関市の新工場(関エコテクノロジーセンター)、埼玉県熊谷事業所においても開所当時から、福祉施設での経験者の方(ジョブコーチ)に入社していただくことができ、障害者雇用、教育指導、ジョブコーチの育成等にも弾みがつき、障害者作業施設としての形が少しずつ見えてきました。 障害者の方たちは、一人ひとりが素晴らしい能力を持っています。特性に応じた作業配置をすることで、障害のない人にも勝る能力を発揮していただいております。障害者の方が社会人として認められ、地域社会に貢献できる人づくりのために応援し続けます。 事業所の概要 昭和57年4月に設立された関エコテクノロジーセンターは平成18年に操業を開始した。非鉄金属類の回収、加工、販売等のいわゆるマテリアルリサイクルを行っている。 雇用管理のため、福祉施設等で支援経験のある人をジョブコーチという職名で採用し、指導担当者として配置している。雇用管理の重要ポイントとしては、楽しい中で働き、力を発揮することとしている。 社会貢献に積極的で、岐阜県が行っているハート雇用(県単事業)におけるジョブコーチの養成研修に関与したり、取引先事業所に対しても障害者雇用に関する情報を発信したりする等、取引先事業所、地元の支援機関とのつながりを重視しながら障害者雇用に取り組んでいる。 上肢障害者雇用の経緯 障害者雇用を推進するため、工場建設時からバリアフリー構造を整えていたこと、また、知的障害者雇用を積極的に進めている過程で、ハローワークや各支援機関と連携していたこと等から、地域在住者からの見学・面接の希望があり雇用している。 主な事業内容 非鉄金属類の回収、加工、販売。OA機器の解体処理及びリサイクル、リユース 上肢障害者雇用状況 従業員数 59名 上肢障害者雇用数 2名 改善策1  個人の長所を活かすため、監督者的な職務権限と責任を与える作業環境(その1) ポイント 職務設定 作業内容 選別検査 課題点 右上肢機能全廃の障害のある佐合真吾さんは、上肢に障害があると作業に影響が出やすいというイメージがあったことから、電子基板の解体作業という手先の器用さを求められるが単純な作業のチームに配属されていた。チームでは、視力が良いこと、扱う素材に関する知識もあり選別する能力が高いこと、社交的であることから、チームの同僚である知的障害者から、困ったときに助けを求められる存在だったが、佐合さん自身は苦手意識を持ちながらこの作業に従事していた。また、本来なら職務経験を通じて培われる管理能力やリーダーシップを発揮する機会には恵まれていなかった。その他、所属チームの構成員個々が独立して作業に従事しており、作業ペースが緩慢になりやすく、チームとしての連帯感も不足していた。 改善内容 佐合さんの長所を活かすため、監督者的な職務権限と責任を与えることができるよう、チーム内の工程レイアウトを変更し、コンベアラインを敷き、流れ作業とした。その中で佐合さんを、ラインの末端に配置し、主に選別検査を行う役割を任せた。苦手意識のある細かな解体作業は同僚に任せ、選別のポイントを指示したり、全体の状況を把握し、気を配ることを佐合さんの役割とした。 (写真説明)佐合さんを配置している解体工程ライン (写真説明)分別作業に従事しながら工程内の作業者の状況を確認している佐合さん 改善の効果 選別検査に専念してもらうことで、佐合さんの選別能力が向上し、多種にわたる素材の種類分け、選別ができるようになった。また、佐合さんの的確なアドバイスによりチーム全体の作業能率が従前の2倍程度まで向上し、質の高い作業を協同で遂行していることの自覚と誇りを持つことができた。 佐合さん自身は、仕事に対するやりがいを持てるようになり、広い視野で職場に貢献しようとする自覚も身に付けることができた。 従業員の声 佐合 真吾さん これまでのように単独で解体作業を続けていたときよりも、今の部署の職務の方が正直やる気が湧き、頑張ることができます。配置の変更により、自分の力を引き出してもらっているという感じがしていて、励みになります。 改善策2 個人の長所を活かすため、監督者的な職務権限と責任を与える作業環境(その2) ポイント 職務設定 作業内容 重機運転 課題点 重機運転の経歴があることから、重機運転の専任者として採用された奥村英寿さんは、OA機器の粉砕ラインにおける材料投入作業に従事していた。しかし、前職では重機運転中の事故により右上肢の全指を欠損していたため、重機の操作時にはストレスを感じていた。 改善内容 工場長は、奥村さんのことを誠実かつ勤勉で指導されたことに対して確実に応える人物であり、五感が強く、重機の操作時において細やかな気配りができると判断していた。 そのため、破砕プラントのオペレーターとして、工程全般を管理する役割に変更した。緻密な手作業は不要で、材料に合わせたライン制御と異常を感知することが求められることから、3年間かけてOJTを実施した。なお、ストレスを感じていた重機操作は、プラントのオペレーターと兼務することとした。 改善の効果 鋭い五感とこれまでの知識から、プラント管理能力を身に付けることができた。事業拡大によるプラントの増設計画においても、主戦力として評価されている。また、奥村さんは、自身が経験した日々の実践において、材料投入に適した制御方法を、社内のノウハウとして蓄積することにも貢献している。長所を活かし、監督者的な職務権限と責任を持たせたことで、能力の向上に繋げることができた。 (写真説明)OA機器の粉砕ラインの様子(中央が奥村さん) (写真説明)重機操作中の奥村さん 従業員の声 奥村 英寿さん 私はこの会社が関工場建設中の時から障害者雇用を積極的に進めている事を知り、面接を受け入社しました。しかし、同じ重機に乗るにしても作業内容が違うことと乗ること自体にストレスを感じ、もう一度重機に乗る感覚を思い出すのに苦労しました。 そんな私を、社長は中心的な役割の部署に配属し、あえて責任ある職務に就けてくれました。工場長・同僚に長い間見守りをしていただいたおかげで、今ではオペレーターとして勤めています。これからも仲間とともに会社のために頑張りたいと思います。 改善策1・2による作業環境の変化 課題点と改善内容(佐合さんの事例)(図省略) 改善前 細かな作業に対して苦手意識を持っており、これまでリーダーシップを発揮する機会もなかった。また皆が独立して作業に従事しており、作業ペースが緩慢になりやすいなど非効率であった。 改善後 知識があり、社交的で皆から頼られる佐合さんの特徴を活かし、監督的な権限と責任を任せた。また工程レイアウトを変更し流れ作業にすることで、佐合さんが選別検査に従事することとなった。 佐合さんが作業チームに的確な指示を与えることによって、作業がスムーズになった。 課題点と改善内容(奥村さんの事例)(図省略) 改善前 重機を運転し、解体品を粉砕機へ投入する作業を担当していたが、ストレスを感じながら行なっていた。 改善後 奥村さんは細やかな気配りができ、信頼されているので、重機作業と責任のあるプラントのオペレーターを兼務することとした。 奥村さんは、プラントの増設計画の主戦力となっている。 32ページ〜 平成22年度 奨励賞 一人ひとりの特性に応じた配置、作業環境の導入 社会福祉法人共生シンフォニー がんばカンパニー(滋賀県大津市)製造業 取り組みの紹介一覧 1.勤務時間の弾力的な設定 2.お互いの障害特性を補完し、作業効率を向上させるための職場配置 3.作業環境の整備 事業主の声 管理・営業支援担当 水野 武さん 基本的な事務力があれば採用には問題を感じません。事業所として経営していくためには、従業員一人ひとりが利潤を生み出せることが必要であると考え、本人にあった職場配置や業務分担、作業効率向上のための工夫に日々努めています。 作業効率向上のための工夫に関しては、障害の部位や個人の状況によって工夫する内容が異なるため、実際に作業を行ってもらってから、補助する用具や支援の仕方を考えます。障害を持った本人が、自分のことをよく知っておられるので、本人からの改善要望を基にしています。改善のポイントは、いかに人的な支援を少なくし、作業能力を上げられるかという点であり、安価な手作りの道具と工夫でかなり改善されることが多いのです。 事業所の概要 昭和61年に「商いでノーマライゼーション」をキャッチフレーズに無認可小規模作業所として設立。多くが重度の脳性まひ者であったため、手先を使う製造等ではなく、お茶や珈琲等の仕入れ販売を事業内容とした。平成7年からは個人事業所として、障害者全員と雇用契約を締結した。平成9年からは菓子製造部門を新設し、知的障害者、精神障害者の雇用を進めた。平成20年には就労継続支援A型の認可を受けている。 主な事業内容 製菓業  無添加のオリジナルクッキーの製造・直売、企業等のOEMやPB商品製造。 上肢障害者雇用の経緯 採用経路は、ハローワークや障害者就業・生活支援センターといった支援機関からの紹介等により採用を進めている。本人の特性に応じて事務職、製造職等従事業務を選定し、作業効率を上げるための様々な補助具製作、配置転換等を柔軟に行っている。 上肢障害者雇用状況 従業員数 61名 上肢障害者雇用数 5名 改善策1   勤務時間の弾力的な設定 ポイント 通勤時間 作業内容 ー 課題点 中野佐代子さん、倉田ゆかりさんはともに自動車通勤であり、事業所の付近は幹線道路のため、出退勤の時間帯は非常に混雑していた。そのため、必要以上に通勤時間がかかり、通勤だけでかなり体力が消耗し、上肢等の疲労が著しかった。また、時期によっては体調が不定になりやすかった。 改善内容 混雑する時間帯を避けるため、始業時間を10時からとし、終業時間はそれぞれの体力と生活習慣に合わせ、倉田さんは16時まで、中野さんは18時までとした。併せて、疲労や体調に応じて休みが取りやすくなるよう、時間給で労働条件を設定した。 改善の効果 混雑する時間帯を避けて出社できるため、通勤に係る疲労がかなり軽減され、業務に打ち込みやすくなった。また、弾力的に勤務時間が変更できるようになったため、通院がしやすくなった。 従業員の声 (写真説明)作業中の中野さん (写真説明)作業中の倉田さん 中野 佐代子さん 倉田さん、杉本さんと役割を分担したことで、以前のように車いす(電動で昇降するタイプ)を下げ、引出しから書類を取ったり、無理をして物を取ったりすることがなくなりました。そのため体力的にも楽になり、効率良く作業に取り組めるので、疲労が軽くなりました。 倉田 ゆかりさん 作業しているデスク周りに工夫がされたことで、上肢等の負担が軽くなり、随分と作業がしやすくなり、能率が向上しました。併せて、通勤時間の配慮もあるため、ラッシュを避けて通勤できるので疲労が軽くなりました。これからも長く働き続けることができます。 改善策2 お互いの障害特性を補完し、作業効率を向上させるための職場配置 ポイント 職場配置 作業内容 電話受付事務処理 課題点 中野さんは、骨形成不全の後遺症により低身長で、上肢の可動域が狭い。さらに、車いすを利用していることから、事務机周りの高い位置のものも取ることができなかった。一方、倉田さんは、拘縮と脂肪腫が発生する疾病により、全身の関節の可動域が非常に狭いため、低い位置のものを取ることができなかった。 改善内容 製造職ではなく事務職として配置し、主に電話の取り次ぎと受付を担当業務とした。事務作業の内容については、遂行期限の比較的緩やかな伝票の入力内容チェックと月計、月締めの請求書発行、買掛金のチェック、毎日の郵便収受業務等を行うこととした。カウンター付きデスクの高い位置で倉田さんが、低い位置で中野さんがそれぞれ業務に取り組んでいる。 (写真説明)倉田さん/新たに採用した杉本さん 当初は中野さんがここで倉田さんとペアを組んで作業していた/中野さん 杉本さんの採用後は、この位置で作業 (写真説明)左から倉田さん、中野さん、杉本さん 改善の効果 ユニットという考え方で配置したことで、それぞれの得手、不得手をそれぞれが補完し合うことができた。身体的な状況に応じた範囲の中で作業に従事できたことから、作業効率の向上や、上肢等の疲労の軽減が可能となった。なお、2人で補完し合うことになったことから、介助する職員を別途配置する必要がなくなり、人件費を抑えることに繋がっている。 現在では、2人のユニットに下肢障害のある杉本さんを採用・配置し、3名がそれぞれの障害を補う役割を担いながら勤務しているため、これまでよりも作業効率が向上している。 改善策3   作業環境の整備 ポイント 作業環境 作業内容 電話受付事務処理 課題点 2人のユニットによる職場配置の効果を高めるために、カウンター付きの机での事務作業が効率的に遂行できるよう、工夫をする必要があった。 改善内容 倉田さんの上下肢の可動域の状況に合わせ、通常の事務机より高い受付用のカウンターに対応できるよう、高さが調整できるOAチェア(丸イス)を使用した。倉田さんにとっては、それでも机の高さが低かったため、机の上にガラス製のパソコンディスプレイ置き台を設置した。ガラス製のため台の下段に置いた書類や事務用品を見ることができたり、上肢の可動域内に事務用品を置くこともできるなど、作業スペースを有効に活用した。また、床に物を落としたときに自身で拾うためのマジックハンド等も用意した。 一方で、中野さんはこれまでの事務机よりも高くなったが、高さが調整できる電動車いすを使用していたため、上肢への影響はなかった。上肢の可動域に留意し、電話台は傾斜をつけ、パソコンはデスクトップ型ではなく、小型のノート型を設置した。また、両手でのキータッチができなかったため、スクリーンキーボードをマウスで操作することした。 (写真説明)電話の位置、傾斜等は手腕の状況に配慮したもの 改善の効果  それぞれの上肢の障害状況に応じた工夫がなされているため、身体的な疲労の軽減、能率の向上が図られた。3名がそれぞれを補う役割を担っているが、補助具を活用することで、各人の自立度はより高まり、生産性の向上が期待できる。 (写真説明)高さが調整できる市販のOAチェアを使用 腰を乗せている程度で立位状態に近い (写真説明)ガラス製のディスプレイ 置き台の通常の使用方法 (写真説明)下段のメモを確認しながら上段で書類作成できるため、作業効率も大幅に向上 (写真説明)マジックハンド (写真説明)持ち運ぶために折りたたんだ状態 (写真説明)マジックハンドの両先端にゴムサックを付け、滑らないよう工夫 (写真説明)床に落としたペン等を取るときは、マジックハンドを使用 (写真説明)引出し等、モノを引っかけるときに使う治具 (写真説明)治具の先端部分の拡大 (写真説明)治具を使用して引出しを開けている様子 36ページ〜 平成22年度 奨励賞 作業量分担による在宅雇用で重度上下肢障害のある従業員を雇用 JFEアップル西日本株式会社 倉敷事業所 (岡山県倉敷市)サービス業 取り組みの紹介一覧 1.進行性筋ジストロフィー症(両上下肢障害)の兄弟を在宅雇用する 2.パソコン操作等について改善し、作業量を分担 事業主の声 倉敷業務課長 原田 精一さん 藤岡展弘さん・義典さんは筋ジストロフィー症のため、月1回主治医による定期診断と、半年に1回検査入院が必要です。風邪等ひかないよう体調に気をつけて勤務して欲しいと思います。 今後も必要があれば在宅雇用について検討していきたいと思います。 作業指導担当 山本 悟さん 展弘さん・義典さんは、真面目に黙々と勤務しています。体調に気をつけペースを保ちながら仕事に取り組んで欲しいと思います。 事業所の概要 いつも明るく前を向いて社会に貢献することを事業所理念として平成4年にJFEスチール株式会社の特例子会社として設立したJFEアップル西日本株式会社において、福山地区に続き倉敷地区においても障害者雇用を進めるため、平成16年8月に開設された。 上肢障害者雇用状況 従業員数 22名 上肢障害者雇用数 7名 主な事業内容 @パソコン業務(文書作成、図面作成、各種データの情報入力、名刺作成等) Aガス計器検査(各種ガス検知器の検査、調整、部品交換、検知器履歴入力、集計・伝票作成) B頒布業務(請求書の仕分け発送、OB等への配布物仕分け発送) 上肢障害者雇用の経緯 特例子会社設立の際に事務所を全面改装し、重度障害者雇用を重点にスタートすることとした。求人募集にあたっては、パソコン入力がある程度可能で通勤可能であれば障害部位は問わず、障害者6名のうち4名の上下肢障害者については、事務所の改装状態やパソコン備品等により業務に支障なしと判断し雇用した。 改善策1 進行性筋ジストロフィー症(両上下肢障害)の兄弟を在宅雇用する ポイント 在宅雇用 作業内容 作図作業 課題点 国立吉備高原職業リハビリテーションセンターから、CAD作成の技能を習得した藤岡展弘さん・義典さん兄弟の雇用について雇用の相談を受けたが、当初は作業に必要なソフトや指導者も無い状況であったことや、電動車いすでの通勤については、送迎バスがないため困難であった。また週5日、9:00?17:30のフルタイム勤務は体力面や上肢の負担を考慮すると厳しい状況であった。 一度に2人を同時雇用することには指導面や安全管理面において無理があった。 改善内容 展弘さん・義典さんのパソコンに関する技術が従業員と同じレベルのものを有していたこと、印刷された図面をデータ化し作成する作業の依頼はあったことから、作図業務については表計算ソフトで作業することで2人の職務を確保することとした。表計算ソフトを使用した作図作業の技能習得については、吉備高原職業リハビリテーションセンターにおける技術指導と2週間の職場実習を行い解決した。 2人の雇用にあたっては、上肢等の負担を考慮し、既に従業員1人を在宅雇用していた管理体制を生かして在宅雇用に取り組むこととした。なお当初在宅雇用を導入する際には、他に在宅雇用に取り組んでいた事業所を参考にするほか岡山職業能力開発促進センターからのアドバイスを受けた。 (写真説明)自宅での作図作業風景 (写真説明)船田副主任からアドバイスを受ける 在宅雇用にあたっては、「在宅勤務に関する取り決め事項」(P.39参照)に基づき勤務管理を行うこととしたが、具体的な勤務条件は以下のとおり。 @体力面や上肢の負担を考慮し、勤務時間は9:00〜15:00、勤務日は週5日とした。休憩時間は午前の15分と昼の50分に加え、上肢や目の疲労を考慮し1時間に10分小休止するようにしている。 A連絡に使用する電話・Eメールについては専用回線を設け、始業時及び終業時に報告するようにした。 B業務実績について、毎週毎に職場に提出するようにした。 C月1回は家族の送迎により出社し業務報告を行うこととした。業務の質問は電話で対応しているが、詳細部分については出社の際に作業指導担当である船田啓介副主任、山本悟さんからアドバイスを受けることとした。 D緊急時には自宅訪問するようにした。 E勤務で発生する電気代や備品購入費等の諸費用について、「在宅勤務に関する費用請求取決め事項」(P.39参照)に基づき、事業所で負担することとした。 F展弘さん・義典さんの籍がある福山事業所(本社)に月一度出社し、勤務表の確認を受けることとした。 改善策2 パソコン操作等について改善し、作業量を分担 ポイント 在宅雇用 作業内容 作図作業 課題点 藤岡さん兄弟が従事する作図作業において、2人ともキーボードによる入力作業が困難であった。 藤岡さん兄弟が従事する作業内容 @職場:紙の図面をスキャニングし、PDFデータにしたものをUSBメモリーに保存し紙の図面とともに2人に手渡す。 A本人:自宅のパソコンにて、表計算ソフト画面にPDFデータを貼り付け、PDF上に図面どおりに図形のパーツ(オートシェイプ)を貼り付ける。 B本人:図面は一件あたり数ページ分あるものが多く、1枚作成ごとにデータを職場に持参する。 改善内容 パソコン操作に関する改善 @文字入力の際にWindowsのアクセサリーであるスクリーンキーボードを使用するようにした。 Aマウス操作においてはトラックボールを購入した。 B作図作業におけるマニュアルを作成した。 C使用頻度の高い図形のパーツは、船田副主任、山本さんがあらかじめパソコンに登録した。 作業量を分担 展弘さん・義典さんは腕が上がらず食事やトイレ等介助が必要であるため、2人に1人分ずつの作業を担当することは困難なことから、複数枚分のデータを2人で分担して作図作業をすることとした。 作業で不明な点やアドバイスが必要な点については、出社の際に船田副主任、山本さんが指導を行っている。 (写真説明)作図画面。入力はスクリーンキーボードを使用 (写真説明)トラックボールを使用 改善の効果 藤岡さん兄弟を雇用したことで、図面データ作成のニーズに対応できるようになった。 在宅雇用に分担作業体制を加えたことで、重度の上下肢障害者の雇用の場を確保することができ、従業員に重度障害があっても仕事に取り組む勇気と自覚を身に付けさせることができた。 パソコン操作における改善により、作業効率の低下を最小限に防ぐとともに、2人の上肢にかかる負担を軽減することができた。 (写真説明)「在宅勤務に関する取り決め事項」 (写真説明)「在宅勤務に関する費用請求取り決め事項」 従業員の声(写真説明) 藤岡 展弘さん(写真右) なかなか普通の仕事をすることは難しいと思っていましたが、在宅勤務することができて良かったと思います。 藤岡 義典さん(写真左) 職場に通って働くイメージを持っていましたが、在宅勤務をしてみて自分に合った働き方がわかりました。 なお、本事例は、「障害者の在宅就業支援ホームページ(チャレンジホームオフィス)」でも紹介しています。 (http//www.challenge.jeed.or.jp/ exp_pit_exa_3.html) 40ページ〜 平成22年度 奨励賞 頑張る従業員の雇用継続上の課題を補助具製作等で解決 JFEアップル西日本株式会社(広島県福山市)サービス業 取り組みの紹介一覧 1.マウス操作時の痛みを軽減するため、トラックボール型マウスを導入 2.介助なしで車いすを車内に積み込むための木製スロープを製作 3.腱鞘炎改善のための木製リストレストを製作 事業主の声 取締役総務部長 叶木 清実さん 製鉄業の特例子会社として1992年に発足した当社は、全従業員93名でそのうち障害者64名の体制で頑張っております。採用に当たっては、コミュニケーション能力と職務遂行能力を最大の合否基準としており、職場配置にあたっては施設・設備の配慮も重視してまいりました。 しかしながら、採用後の障害の進行や新たな障害の発症等、職場定着に向けた事象の発生も少なからずあり、課題克服のため職場の知恵を実践してきました。このように、従業員と管理者が一緒になって1つのテーマに取り組むことで、連帯感、信頼関係が生まれることを何よりも財産と考え、どんな小さなことでも力を合わせて取り組みを重ねていくという社風が根付いているのではと感じています。 第1業務課 主任 藤井 宣美さん 私は管理職と現場従業員の中間の役割のため、頻繁に従業員とコミュニケーションを取っています。そこで現場の従業員から出される要望、改善の提案等については、従業員自身が社外の人にも伝えることができるレベルの文書にまとめた上で、社内で毎月開催される「改善提案」において発表するよう伝えています。そして私自身としては、出された要望等に対しては、作業上必要な要望等は全て対応したいと考えています。なぜなら、それらを本人の努力の範囲内で対応することとして片付けてしまうと、それ以上の向上を期待しないことになるからです。一人ひとりには、「自分でできた」という自信を持ってもらいたいのです。 事業所の概要 JFEスチール株式会社の特例子会社として平成4年4月に設立された。パソコンでのデータ入力を柱にメールサービス、名刺印刷、計量器検査等多彩なサービスを業務として行っている。平成16年からは岡山県倉敷市に倉敷事業所を設立した。 主な事業内容 パソコンデータ入力、文書入力、計量器検査、プリントサービス、名刺・挨拶状印刷、メールサービス、書類頒布、鋼片硬度・粗さ測定等 上肢障害者雇用の経緯 障害者雇用にあたっては、採用する人の職業能力を最重要に考えているため、障害部位で採否を判断する活動は行っていない。 上肢障害者雇用状況 従業員数 89名 上肢障害者雇用数 8名 改善策1 マウス操作時の痛みを軽減するため、トラックボール型マウスを導入 ポイント 機器導入 作業内容 画像等処理 課題点 頸椎損傷により受障した永井文康さんは、上肢は手指が屈曲した状態で、キーボード操作時には、親指を主に使い、人差指はかろうじて使えるという状態であったが、得意なパソコンで写真や図形の処理を行う業務を担当していた。数年が経過した頃からマウス操作をする際に、手首に激痛が走るようになりだした。それでも激痛に堪えながら継続して作業していたが、次第に作業能率が低下し、疲労も蓄積し、1日6時間の勤務もままならなくなり、時折休暇を取るようになってきた。 改善内容 手指への負担軽減、作業能率の向上のため、親指のみでマウスのクリック・ボタン操作ができる市販のトラックボール型マウスを導入した。 (写真説明)親指でトラックボール型マウス、キーボードを操作する永井さん (写真説明)4つのボタンに予め頻繁に使うコマンドを登録しておくことで、効率化を図っている 改善の効果 トラックボール型マウスの導入後、作業性は格段に向上し、痛みや疲労が改善された。その後に同様の障害のある従業員を雇用した際には同様のマウスを導入し、その従業員の職場定着を図っている。永井さんに導入した頃とは異なり、数種類のトラックボール型マウスが一般市場に出回るようになったため、現在は苦労することなく導入できるようになっている。 従業員の声 永井 文康さん トラックボール型マウスが導入されるまでは、痛みを我慢して作業していましたが、導入により随分と楽に操作できるようになりました。時折、他のデスク上のパソコンで通常のマウスを使うことがありますが、作業能率や使用後の疲労が全く違うことを実感できます。 改善策2 介助なしで車いすを車内に積み込むための木製スロープを製作 ポイント 補助具製作 作業内容 ー 課題点 谷本壱志さんは全身の筋肉が未発達のため、腕力や握力が弱く(左右の握力が各4s)、通勤の際に家を出発するときの自家用車への車いすの積み込みは家族が、また職場で自家用車から車いすを降ろすときは従業員がそれぞれ介助していた。谷本さんは、面接時に「自力で通勤して働きたい」と話しており、周囲の介助をいつまでも受けるわけにはいかなかったことから、自家用車の荷室に滑車を付け、車いすをつり上げてバックドアから積み込む方法を試みた。しかし、車いすの積み込み後に車内に乗り込むことは、身体的な負担が伴う等不都合が多く、別の方法を検討せざるを得なかった。 改善内容 車いすをスロープに乗せて積み込む方法を取ることにした。製作するスロープの材質については、強度と軽さの両方の要件を満たし、なおかつ加工が容易なものである必要があったことから木製とした。スロープは持ちやすいこと、車いすを車内に引き込みやすくなる角度になることについて留意しながら、幾度も試行錯誤しながら製作した。 「工夫のポイント」として、大きさ、軽さ、強度の3点。まっすぐ積み込めるようスロープの両端にガイド枠を取り付け、握力が弱くても持ちやすいよう取っ手部分をくり抜き、強度と軽さが両立するよう、板の材質を変更する等細かな工夫がなされている。 (写真説明)手指全体で握りやすいよう、スロープをくり抜いてある (写真説明)両端のガイド枠 (写真説明)上肢の筋力を考慮し、助手席に固定できるよう留め金具がつくられている 改善の効果 握力が4s程度であっても、谷本さんは自力で8sある車いすを積み込み、自力で通勤できるようにり、本人の強い願いを実現させることができた。 なお、同社では屋根付き駐車場を相当数準備していたものの、谷本さんを雇用した時には、空きがない状態であった。自力通勤する谷本さんの様子を見ていた従業員から、車の置き方を工夫し駐車スペースを確保してあげたいとの提案があった。谷本さんの面接に対応し、スロープを製作した第一業務課の境課長は、この提案を聞いたときに、従業員同士の連帯感が強く根付いていることを実感した。 従業員の声 谷本 壱志さん 木製スロープを使用するようになってからは、働くことにも自信が持てるようになり、外出することへの躊躇がなくなりました。気軽に買い物に行ったり、地元の音楽サークルに参加する等、生活の幅が広がりました。そのため、これまで以上に仕事に打ち込めるようになりました。 改善策3 腱鞘炎改善のための 木製リストレストを製作 ポイント 補助具製作 作業内容 文書入力 課題点 パソコンを使用し、文書入力作業に従事している藤井雪一さんは、両上肢関節拘縮のため、キーボードやマウスの操作時にはどうしても上肢が不自然な姿勢になるため作業能率が低下し、疲労しやすい状況にあった。頑張り屋の藤井さんは、我慢強く勤務を続けたが、ついに1年経過後、両手首の腱鞘炎を訴えるようになった。藤井さんが無理のない角度で操作ができないか検討し、市販のリストレストを導入した。 しかし、市販のリストレストは低反発クッションの柔らかい素材でできているため、上腕をリストレストに乗せると沈み込んだり、キーボード入力時に上腕を横にスライドさせると摩擦が生じるためにかえって操作性が低下した。 改善内容 リストレストに乗せた上腕が沈み込まず、横にスライドさせることが容易にできるよう、一定の固さがある木製のリストレストを製作した。製作にあたっては、長さや幅、高さ、傾斜角度、表面の滑らかさ等何度も試行錯誤を重ねた。完成したリストレストは、作業台にネジ固定して使用している。 (写真説明)マウスを置く部分をカット (写真説明)縦横の長さは可動域を考慮している (写真説明)この傾斜角度がポイント。乗せている上腕の痛み、 (写真説明)スライドしやすさなどを確認しながら調整した 改善の効果 木製のリストレストを使用してからは、腱鞘炎は治癒し、その後藤井さんが痛みを訴えることはなくなった。作業能率に関しても、入力スピードが格段に向上し、360文字/10分間だったものが、600文字/10分間に増加した。その成果として、平成22年度の全国障害者技能競技大会(アビリンピック)においては、データ入力競技の広島県代表として出場するまでになっている。 従業員の声 藤井 雪一さん 木製のリストレストを使用するまでは、両手首、肘に痛みがあっても仕事だからと我慢して作業していました。あまりにも痛みがひどくなったので、上司に相談したところ、素晴らしいリストレストができました。痛みはもちろんなくなりましたが、入力スピードが随分と速くなったことが喜びです。検定試験やアビリンピック等にも自信を持って取り組めます。 44ページ〜 平成22年度 奨励賞 作業スピードと併せて安全性の向上を図るための治具開発 サンアクアTOTO株式会社 (福岡県北九州市)製造業  取り組みの紹介一覧 1.水栓部品梱包作業における補助装置を考案 2.製品レッテル作成作業における印刷機を改造 事業主の声 取締役社長 西村 和芳さん 組立課組立係 係長 古賀 光司さん 小さな改善でもコツコツと継続して取り組むことが大事です。それから、作業で必要なのは「見えること」。対象が遮られて見えない状態はNGです。障害のない従業員には見えても、障害のある従業員にとっては見えないこともあり、見えることによってミスや事故を防ぐことができます。工具や部品、生産品を定位置に置くこともこの考えに基づいています。 他の事業所の方々には是非当社の工場を見学していただき参考にしていただければと思います。(西村和芳 取締役社長) 治具の製作や改善を担当しています。常に職場を見ながら従業員が働きやすい環境を考えています。(古賀光司 組立課組立係 係長) (写真説明)西村和芳 取締役社長 (写真説明)左から西村取締役社長、組立課 横田さん、古賀組立課組立係長 事業所の概要 平成5年2月に福岡県、北九州市、TOTO株式会社の共同出資による第三セクター方式の重度障害者雇用企業として設立、平成6年7月から創業を開始した。 体が不自由な人でも障害のない従業員と一緒に働けるよう、車いすからの乗降が余裕で行えるスペースの屋根付き駐車場や、全て段差のない床、車いすや杖を使用しても支障のない広さの通路、障害状況に合わせて広さや手すり、補助具が設置されているトイレ、体をあずけても転倒せず、立ち上がる際の補助具となるテーブルの設置等、きめ細かな配慮が見られる。またミスや事故防止のための整理整頓の意識も徹底されている。 上肢障害者雇用状況 従業員数 39名 上肢障害者雇用数 11名 主な事業内容 ・水栓金具及び給排水配管等の製品・商品の加工・組立 ・印刷物の版下製作及び給水・給湯の配管工事の設計 上肢障害者雇用の経緯 重度障害者雇用を目的に設立した経緯から、採用にあたっては重度障害者を優先的に雇用している。上肢・下肢の区別はしておらず人物本位としているが、事前にインターンシップを行い求職者の就労能力を確認する場を経て採用の可否を判断している。 職場の安全確保のため、障害をサポートできることを重視し従業員を配置している。 改善策1 水栓部品梱包作業における 補助装置を考案 ポイント 治具製作 作業内容 部品梱包 課題点 作業担当の作本誠さんは右手に麻痺があるため、部品(配管隠し)の袋詰め作業を行う際、両手で同時に作業することが非常に困難で、作業遂行に時間がかかっていた。 改善内容 右手の作業負荷を軽減するため、左手作業と連動で作動する半自動化装置「モチツキ君」を考案した。 【「モチツキ君」による作業工程】 @バキュームで吸い上げられるビニール袋に部品を1枚入れ、溶着場所へ置きスイッチを押す。 スイッチを押すと、以下の工程が同時に行われる ・ビニール袋の溶着 ・次に使用するビニール袋がバキュームで吸い上げられ口が開く ・袋に入れるレッテルをバキュームで吸い上げる ・トレイに置いた溶着済みの部品入りビニール袋がエアーにより所定の箱に送られる。 ・カウンターが作動する。 A溶着されたビニール袋を、トレイに乗せる (以下、@−Aの繰り返し) 改善内容 半自動化することで、両手で同時に作業する場合と同じ作業スピードで遂行できるようになった(障害のない従業員と同じスピードでの生産が可能となった:日産の生産高が1,000個から1,700個に増加した)。 生産数量のカウンターと連動させることで数量間違いが防止された。 なお、「モチツキ君」は最初の製作時点では、部品を入れたビニール袋を溶着場所に置き上から押さえることでスイッチが起動するものであったが、麻痺がある従業員が手の震えにより溶着部分がずれてしまうことを防ぐため、ビニール袋は置くだけにしてボタン式スイッチで起動する等改良を重ねている(現在3代目)。なお、2種類の部品の袋詰めに対応できるよう切替機能の追加もされており、「モチツキ君」は現在も改善が進められている。 【部品の袋詰め作業工程】(写真説明) @部品員数を確認し20枚並べる→Aビニール袋に1枚部品を入れる→B溶着機により袋口を封印する→C箱に納める (写真説明) レッテルがバキュームで吸い上げられる 次に使用するビニール袋がバキュームで吸い上げられ口が開く ビニール袋の溶着場所 スイッチ エアーによってトレイを流れたビニール袋が入る箱 溶着したビニール袋を置くトレイ エアーの吹き出し口 従業員の声 作本 誠さん 右手を使った袋詰め作業が困難でしたが、半自動化の改善を行った事で、左手だけでも障害のない従業員と同じ生産性を得ることができました。 今回は半自動化の改善を行いましたが、ビニール袋の開口作業に改善の余地が残されていますので、今後もさらなる生産性の向上を目指し、改善を行います。 改善策2 製品レッテル作成作業における印刷機を改造 ポイント 機器改造 作業内容 印刷 課題点 右手に麻痺がある河上史郎さんが、レッテル印刷機のレッテルや カーボン交換・清掃作業を行う際に以下の課題があった。 @レッテル交換作業は日に10回行うが、その都度約2.5sの金属製カバーを開けることが困難であった。 A作業中に起動スイッチに手が触れ誤作動する危険があった。 Bカバーが鋭利な金属製のため、手を切る危険があった。 (写真説明)改善前の金属製カバー 改善内容 @手作りで約10sのプラスチックダンボール(プラダン)製のカバーに交換した。 Aカバーを開いた時に起動スイッチに覆いがかかり起動しないようにした。 B作業しやすい位置に印刷機を動かせるよう、印刷機の下にコロとターンテーブルを設けた。 Cなお、使用途中で一旦印刷機から外したレッテルが芯から離れないよう固定できる治具も製作した。 (写真説明)@改善後のプラダン製カバー (写真説明)Aカバーを開けるとスイッチが覆われる構造 (写真説明)B印刷機下のターンテーブルとコロ (写真説明)Cスプリングと指サックによりレッテルを押さえる 改善の効果 カバーを軽量化することで、手に負担をかけずに開閉することが可能となった。 カバーを開けた状態で起動スイッチの誤作動を防止することができた。 カバーの材質をプラダン製に変えることで切創を防止することができた。 片手で自由に印刷機の位置を変えることで、スムーズな交換・清掃作業が可能となった。 従業員の声 河上 史郎さん カバーが重く、レッテルやカーボンの交換時の開閉が困難で、第3者にお願いすることがありましたが、軽量化することで作業が自己完結できるようになりました。他の作業においても片手では困難な作業もありますので、今後も自分の障害をカバーする改善に努めます。 改善の取り組みについて 各部署が改善課題を揚げて自主的に取り組んでいる。簡易な改善については従業員全員が取り組んでいるが、高度な技術が必要な治具の場合は専門的な技能のある生産技術担当者が本人や上司と相談して製作している。 改善の取り組みについては毎月、「10UP報告会(生産性を10%上げるための工夫を報告する会)」として、各部署を訪れた社長に対し、改善の報告を行っている。 下の半自動化装置「マー坊」も、このような取り組みの成果として製作されたものである。 握力の弱い従業員が負担をかけずに、まとめてゴムパッキンをビスへ押し込むことができる半自動化装置「マー坊」を製作。トレイに部品を乗せスイッチを押すだけで一度に20個を同時に押し込むことができるため大幅な作業量の増加につながっている。 (写真説明)半自動化装置「マー坊」 (写真説明)治具を製作する「改善場」 (写真説明)治具の製作風景 48ページ〜 上肢障害のための支援ツール 今回応募いただいた事例の中には、上肢障害というハンディを補うために、職場で様々なく工夫を凝らして支援ツールを製作しているものも数多くありました。応募事業所における工夫の取り組みを紹介します。 支援ツール一覧 1.事務 (1)書類の整理 1書類を揃えるための治具@ 株式会社ニッセイ・ニュークリエーション 2片手で書類を輪ゴムで結束するための治具 株式会社ニッセイ・ニュークリエーション 3片手で書類にクリップとめをするための治具 株式会社ニッセイ・ニュークリエーション 4書類を揃えるための治具A ソニー・太陽株式会社 5ダブルクリップのとめ外しを行うための治具 ソニー・太陽株式会社 (2)パソコン操作 6キー入力するための治具 株式会社ニッセイ・ニュークリエーション 7パソコンのキーを押さえるためのペンチ JFEアップル西日本株式会社倉敷事業所 8膝の上で手を安定させるための足踏み台 JFEアップル西日本株式会社倉敷事業所 9高さや傾きが調整できるノートパソコン台 ソニー・太陽株式会社 (3)受付 10ヘッドホンタイプの受話器 株式会社ダイキンサンライズ摂津 (4)事務業務全般 11ファイルを片手でキャビネットから取り出すための治具 株式会社ニッセイ・ニュークリエーション 12片手で取り出し押印しやすいゴム印と収納箱 株式会社ニッセイ・ニュークリエーション 13施錠しやすくするための治具 株式会社ニッセイ・ニュークリエーション 2.現業 (1)作業関係 14運搬中に積み重ねた製品が崩れないコンテナ オムロン京都太陽株式会社 15小型部品を整列した状態で袋詰めするための治具 オムロン京都太陽株式会社 16コードの芯線をよじるための治具 オムロン京都太陽株式会社 17ワッシャーを積み重ねるための治具 オムロン京都太陽株式会社 18片手で部品が取り外せるよう台紙を固定 オムロン京都太陽株式会社 19平座金を取るための治具 株式会社ダイキンサンライズ摂津 20高さを調節できる作業台 サンアクアTOTO株式会社、ソニー・太陽株式会社 21数種類のボタンをまとめたフットスイッチ ソニー・太陽株式会社 22容器を片手で開けるための治具 ソニー・太陽株式会社 23ホチキスとめ作業の治具 ソニー・太陽株式会社 24シールをシートから片手で剥がすための治具 ソニー・太陽株式会社 25部品の整列工程を自動化 オムロン太陽株式会社 26端子のソケット挿入工程を自動化 オムロン太陽株式会社 (2)整理関係 27引き出し式の作業棚 オムロン京都太陽株式会社 28目の前で工具を手に取り、手を離すと元の位置に戻る治具 サンアクアTOTO株式会社 29ファイルが取り出しやすいラック サンアクアTOTO株式会社 30上下段の部品が全て確認でき取り出しやすいラック サンアクアTOTO株式会社 支援ツール No.1 事務/書類の整理 書類を揃えるための治具@ 株式会社ニッセイ・ニュークリエーション 課題点 用紙の大きさが違う書類を種類ごとに区分けして揃え束ねる作業が困難であった。 改善内容 アクリル板で書類の角がきれいに揃う治具を製作した。 改善の効果 容易に書類の角を揃えることができるようになったことで、手指に障害のない従業員に偏った作業が無くなった。 (写真説明)アクリル板に書類を乗せる (写真説明)アクリル板を左右上下に振る No.2 事務/書類の整理 片手で書類を輪ゴムで結束するための治具 株式会社ニッセイ・ニュークリエーション 課題点 片麻痺のある従業員は、書類を輪ゴムで結束することが大変困難で、20秒の時間を要していた。 改善内容 クリップボードの角をカットし小さな切り込みを入れた治具を作製した。 改善の効果 輪ゴムで書類を結束する時間が15秒短縮された。 (写真説明) 加工したクリップボードを体と机の間に挟み書類を入れる 小さな切れ込みに輪ゴムをかける 斜めに引き抜くことで輪ゴムは書類を結束 No.3 事務/書類の整理 片手で書類にクリップとめをするための治具 株式会社ニッセイ・ニュークリエーション 課題点 片麻痺のある従業員は、クリップとめにおいて、書類が多くなると、揃えたりとめることが困難になり8秒の時間を要していた。 改善内容 特定の形状にカットしたクリアファイルをデスクに固定した。 改善の効果 書類を揃えクリップをとめる一連の作業がスムーズにできるようになり、所要時間が3秒短縮された。 (図省略)机に固定したクリアファイルに書類をセットする (写真説明)カットした箇所でクリップをとめる No.4 事務/書類の整理 書類を揃えるための治具A ソニー・太陽株式会社 課題点 会議資料等の枚数が多くなると、片手で揃えるのに時間がかかった。 改善内容 書類を揃えるための箱を用意した。 改善の効果 書類を揃える時間が短縮した。 (写真説明)バラバラの書類を入れ左右前後に10回くらい揺らす (写真説明)書類が整列する No.5 事務/書類の整理 ダブルクリップのとめ外しを行うための治具 ソニー・太陽株式会社 課題点 会議資料の枚数が多くなると、ダブルクリップも大きくなり、握力が弱いととめ外し作業ができず、他の従業員に依頼していた。 改善内容 力を必要とせずにダブルクリップを開く治具を製作した。 改善の効果 他者に依頼することなく作業ができるようになった。なお、この治具は3サイズのダブルクリップに対応できる。 (写真説明)治具にダブルクリップをセット (写真説明)てこの原理でダブルクリップが開く No.6 事務/パソコン操作 キー入力するための治具 株式会社ニッセイ・ニュークリエーション 課題点 パソコン操作において、特にキーボードタッチにかなりの負荷と時間がかかっていた。打ちたいキーを思うようにタッチできず、ペンを使ってもタッチ面が滑って打ちにくかった。 改善内容 キャップが平らで軽く持ちやすいマーカーペン等に指サックをはめた。 改善の効果 打ちたいキーを小さな力で確実かつスムーズにタッチできるので、入力時間が短縮できた。 (図省略)穴をあけた指サックをペンにはめる (写真説明)指サックの先端部に空洞ができるので、ソフトタッチで入力できる No.7 事務/パソコン操作 パソコンのキーを押さえるためのペンチ JFEアップル西日本株式会社倉敷事業所 課題点 パソコンのキー入力において、SHIFTキーを押したまま他のキーを押すことが困難であった。 改善内容 市販の先の曲がったペンチを使用した。 改善の効果 SHIFTキーが押された状態で片手でキー入力が可能となった。 (写真説明)SHIFTキーにペンチの先を乗せる No.8 事務/パソコン操作 膝の上で手を安定させるための足踏み台 JFEアップル西日本株式会社倉敷事業所 課題点 パソコンのキー入力がしやすい高さに手を安定させる必要があった。 改善内容 市販のプラスチックボックスを足踏み台として使用した。 改善の効果 足踏み台に載せた膝の上に手を置くことで、安定してキーを入力することができるようになった。 (写真説明)足踏み台に載せた膝の上に手を置く No.9 事務/パソコン操作 高さや傾きが調整できるノートパソコン台 ソニー・太陽株式会社 課題点 パソコン操作において関節や手の動作の制約で、キー入力に適した位置に手を置けない場合があった。 改善内容 高さや傾きを自由に調整できる台を製作した。 改善の効果 キー入力が負担無くスムーズに行えるようになった。 (写真説明)特定の角度に保持できる金具を使用 (写真説明)キーボード用の台も製作 No.10 事務/受付 ヘッドホンタイプの受話器 株式会社ダイキンサンライズ摂津 課題点 サービスセンターでの受付業務において、受話器を持った状態でパソコンでお客の情報を調べることに時間がかかり、またメモも取れず再度お客に電話し確認することが多かった。 改善内容 受話器を持つ必要のない、ヘッドホンタイプの受話器に変更した。 改善の効果 電話応対しながらパソコンでお客の情報を調べたりメモ取りができることから、電話をいただいたその場で対応ができるようになり作業効率が上がった。 (写真説明)ヘッドホンタイプの受話器 (写真説明)電話応対しながらメモ取りが可能 No.11 事務/事務業務全般 ファイルを片手でキャビネットから取り出すための治具 株式会社ニッセイ・ニュークリエーション 課題点 資料を保管している共有ファイルがたくさんあり、ファイルとファイルの間が密着した状態では片手でキャビネットから必要なファイルを取り出すことが困難であった。 改善内容 各ファイルにリングを付けた。 改善の効果 リングを指で引っ掛け引き出すことで、ファイルを取り出す時の摘む負荷が無くなり、ファイルの落下も無くなった。 (図省略)ひもをファイルとリングに通す (写真説明)リングに指を引っ掛けて引き出す No.12 事務/事務業務全般 片手で取り出し押印しやすいゴム印と収納箱 株式会社ニッセイ・ニュークリエーション 課題点 @ゴム印とゴム印の間隔がない収納箱では必要なゴム印を取り出しにくかった。 Aゴム印の持ち手が短いため押印がずれないよう両手で持つことができず力が入らなかった。 改善内容 @収納箱を段状にし傾斜をつけた。 Aゴム印の持ち手を長くした。 改善の効果 スムーズにゴム印を取り出せるようになり他の従業員に頼むことも無くなった。また、押印の失敗が無くなった。 (写真説明)(図省略)収納箱に傾斜をつけた (写真説明)(図省略)ゴム印の持ち手を長くした No.13 事務/事務業務全般 施錠しやすくするための治具 株式会社ニッセイ・ニュークリエーション 課題点 キャビネットの鍵が小さく持ちにくいので施錠しにくく、他の従業員に頼んで施錠していた。 改善内容 アクリル板で大きな持ち手を取付け加工した。 改善の効果 単独でスムーズに施錠ができるようになった。 (図省略)廃材のアクリル板で持ち手を作成 (写真説明)持ち手を指にはさんで鍵を回す No.14 現業/作業関係 運搬中に積み重ねた製品が崩れないコンテナ オムロン京都太陽株式会社 課題点 コの字型の製品をコンテナに重ねて収納し運搬する際、崩れてしまった製品をコンテナから取り出すのに手間がかかった。 改善内容 コンテナ内に発泡スチロールで製品をセットする骨組みを作成した。なお、積んだ数量が一目でわかるよう、骨組みに目盛りを付けた。 改善の効果 製品を骨組みに合わせて積み重ねていくだけで、容易に製品を取り出すことができるほか、製品を傷つけずに運搬できかつ数量も容易に確認することができるようになった。 (写真説明)コの字型の製品。そのままではきれいに積みにくい (写真説明)骨組みに合わせて製品を積む No.15 現業/作業関係 小型部品を整列した状態で袋詰めするための治具 オムロン京都太陽株式会社 課題点 細かな部品を多量に一袋に詰める作業において、バラバラに詰めると手直しに時間を要する。 改善内容 袋と同じ幅のちりとり状の治具を作製した。 改善の効果 治具に部品を乗せ袋に差し入れることで整列した状態で部品が袋に入るため、手直しが不要となり作業時間を大幅に短縮することができた。 (写真説明)治具に部品を乗せ袋に詰める (写真説明)部品がずれずに袋に入る No.16 現業/作業関係 コードの芯線をよじるための治具 オムロン京都太陽株式会社 課題点 コード加工作業において、コードの芯線をよじることが困難であった。 改善内容 廃材を使用した台座とローラーの役割のプラスチック板を用意した。 改善の効果 指の負担無くコードの芯線をよじることができるようになったほか、作業時間が短縮された。 (写真説明)改善前のよじり方 (写真説明)改善後:台座にコードを乗せ上からプラスチック板をずらすだけで、芯に「よじり」ができる。 No.17 現業/作業関係 ワッシャーを積み重ねるための治具 オムロン京都太陽株式会社 課題点 ワッシャーを一枚ずつつまみ積み重ねることが困難であった。 改善内容 パイプを加工し筒を製作した。 改善の効果 多量のワッシャーをすばやく積み重ねた状態にすることができるようになった。 (写真説明)筒にワッシャーを入れる (写真説明)筒を振るだけでワッシャーがきれいに積み重ねられる No.18 現業/作業関係 片手で部品が取り外せるよう台紙を固定 オムロン京都太陽株式会社 課題点 バッテリー端子を置く台紙の両面テープの粘着力が強いため、台紙を押さえながらバッテリー端子を取り外さねばならなかった。 改善内容 壁に台紙を固定した。 改善の効果 片手でバッテリー端子を台紙から取り外すことができ、手の負担が軽減され作業スピードが向上した。 (写真説明)改善前のバッテリー端子と台紙 (写真説明)改善後:壁に台紙を固定した No.19 現業/作業関係 平座金を取るための治具 株式会社ダイキンサンライズ摂津 課題点 分配弁センターロッドキットの組立作業において、平座金を1枚手に取ることに非常に時間がかかっていた。 改善内容 平座金を立てた状態で置ける部品保持台を作製した。また、棒状のセンターロッドも立てて置くことができるようにした。 改善の効果 平座金やセンターロッドがすばやくつかめるようになり、障害のない従業員と同じスピードで組立作業ができるようになった。また部品保持台に4種類の部品を5セット置くことにより、員数管理が徹底できるようになった。 (写真説明)平座金を立てた状態で置けるため、手に取りやすい No.20 現業/作業関係 高さを調節できる作業台 サンアクアTOTO株式会社、ソニー・太陽株式会社 課題点 通常使用する作業台の高さでは、上肢の可動域に制限がある従業員にとっては作業しにくい場面が見られた。 改善内容 作業台を作製する際にジャッキを取り付け高さが調整できるようにした。 改善の効果 最も適した作業台の高さで作業することが可能となった。 (写真説明)サンアクアTOTO株式会社のジャッキ付き作業台 (写真説明)ソニー・太陽株式会社のジャッキ付き作業台 No.21 現業/作業関係 数種類のボタンをまとめたフットスイッチ ソニー・太陽株式会社 課題点 実装基板の目視検査工程において、作業台の照明や顕微鏡の倍率調節、テーブルの高さ調節等の各スイッチを操作しながら組み立てることが困難であった。 改善内容 複数のスイッチを足で操作できるよう、フットスイッチを製作した。 改善の効果 調節スイッチを足で操作することで、手の負担が軽減され作業が効率化された。 (写真説明)顕微鏡/照明/デスクの上下機構 (写真説明)6種類のボタンをまとめたフットスイッチ No.22 現業/作業関係 容器を片手で開けるための治具 ソニー・太陽株式会社 課題点 クリーム状のハンダの容器のフタを回すのに力を要するため、フタ開けが困難であった。 改善内容 容器を保持する治具を製作し、作業机に固定した。 改善の効果 片手でフタを回せるようになり、フタ開けの負荷が大幅に軽減された。 (写真説明)レバーをロックし容器を固定してフタを回す (写真説明)容器を固定する治具 No.23 現業/作業関係 ホチキスとめ作業の治具 ソニー・太陽株式会社 課題点 製品をブリスター梱包する際に、握力の弱い従業員等は溶着部分を超音波ホチキスでとめる作業が困難であった。 改善内容 ホチキスにエアシリンダーを取り付け、ホチキスに少し力を入れるだけでエアシリンダーが作動するようにした。 改善の効果 手に負荷をかけずにホチキスとめ作業ができるようになった。 (写真説明)ホチキスにエアシリンダーを取り付けた (写真説明)ホチキスでとめる溶着部分 No.24 現業/作業関係 シールをシートから片手で剥がすための治具 ソニー・太陽株式会社 課題点 片手で小さなシールをシートから剥がすことが困難であった 改善内容 シールを半分剥がすことのできる治具を作製した。 改善の効果 治具には片手でシートをセットすることができ、容易にシールが剥がせるようになった(シール1枚あたり2秒短縮された)。 (写真説明)ノブを回してシートを送りシールを半分剥がす (写真説明)シールのシート(1枚は小指の爪ほどの大きさ) No.25 現業/作業関係 部品の整列工程を自動化 オムロン太陽株式会社 課題点 ソケット生産の前段取りと後工程において、端子挿入前のソケットあるいは端子挿入ソケットを一つずつ手で一定の向きに整列しなければならず、手や肩に相当な負担がかかっていた。 改善内容 前段取りと後工程においてスライド機能の治具を製作し、ソケットの移動を自動化した (写真説明)改善前:端子挿入ソケットを手で取り出し整列させていた (写真説明)改善後:端子挿入ソケットをスライドさせて取り出す No.26 端子のソケット挿入工程を自動化 オムロン太陽株式会社 課題点 端子をソケットに挿入する作業において、一本一本手で挿入していたため、手や肩に相当な負担がかかっていた。 改善内容 スイッチを押すと、ソケットが端子を挿入する位置まで横移動し、端子が自動的に挿入されるジグを製作した。 (写真説明)改善前:端子を手で挿入 (写真説明)改善後:ソケットの移動と端子挿入を自動化 改善の効果 手や肩の負担が大幅に低減でき、また1個あたりの作業時間を短縮することができた。 No.27 現業/整理関係 引き出し式の作業棚 オムロン京都太陽株式会社 課題点 コンテナが積み重なっている作業棚では、下のコンテナを取り出す際に力を要し取り出しにくい。 改善内容 コンテナを引き出せる構造の作業棚に改造した。 改善の効果 手の負担無く容易に全てのコンテナが取り出せるようになった。 (写真説明)引き出し式の作業棚 No.28 現業/整理関係 目の前で工具を手に取り、手を離すと 元の位置に戻る治具 サンアクアTOTO株式会社 課題点 作業に使用する複数の工具を定位置化する場合、工具を机上に置くとスムーズに取ることができず、工具もバラバラになりがちである。 改善内容 滑車と水を入れたペットボトルの重りを用いて工具を目の前に吊り下げた。 改善の効果 工具が目の前にぶら下がり、使用後は手を離すと工具が元の位置に戻るので、僅かな動作で工具が使用できるようになった。また工具の紛失も防ぐことができる。 (写真説明)工具の重さとのバランスを考えペットボトルに水を入れる (写真説明)吊り下げられた工具(工具の重さに応じて重りの重量を変えることができる) No.29 現業/整理関係 ファイルが取り出しやすいラック サンアクアTOTO株式会社 課題点 作業指導票のファイルをラックから取り出す時に、隣のファイルとの間に隙間がないと取り出しにくい。 改善内容 ファイルとファイルの間にしきりを設けたラックを作製した。 改善の効果 片手で容易にファイルを取り出すことが可能になった。 (写真説明)しきりがあるので、片手でファイルをつかみやすい No.30 現業/整理関係 上下段の部品が全て確認でき取り出しやすいラック サンアクアTOTO株式会社 課題点 従来の一般的なラックでは、下段の作業部品が取りにくく、またどこにどの部品があるのか分かりにくい。 改善内容 傾斜をつけ、ひな壇状にしたラックを作製した。 改善の効果 部品が取りやすく、かつ下段のラックの部品が見えやすくなり、作業効率が向上した。 (写真説明)最下段のラックの部品も取り出しやすい 64ページ その他の応募事業所 平成22年度の障害者雇用職場改善好事例募集において、上肢に障害を有する肢体不自由者の雇用促進と職域の拡大及び職場定着の促進をテーマに募集したところ、全国66事業所からご応募がありました。 入賞事業所以外の応募事業所は以下のとおりです。 株式会社ほくでんアソシエ 北海道 株式会社エーアイサイン 青森県 株式会社第一ビル管理センター 青森県 東洋建物管理株式会社 青森県 セルプステーション青森 青森県 株式会社岩手日日新聞社 岩手県 株式会社モリヤ 宮城県 株式会社ウジエクリーンサービス 宮城県 山形陸運株式会社 山形県 株式会社山形ビルサービス 山形県 株式会社山新 茨城県 株式会社日立情報制御ソリューションズ 茨城県 株式会社博報堂DYアイ・オー 東京都 株式会社アイエスエフネットハーモニー 東京都 ジョブサポートパワー株式会社 神奈川県 日本フルハーフ株式会社 神奈川県 株式会社スタッフサービス・ビジネスサポート 神奈川県 新潟ワコール縫製株式会社 新潟県 北陸発電工事株式会社 富山県 株式会社アスコ 富山県 ヤマダアルミ建材株式会社 富山県 港観光タクシー株式会社 石川県 有限会社創栄産業 福井県 株式会社三国屋 福井県 株式会社市川工務店 岐阜県 株式会社ヤマハアイワークス 静岡県 株式会社旭化成アビリティ富士営業所 静岡県 電気硝子ユニバーサポート株式会社 滋賀県 有限会社ビーオブエス 京都府 オムロンパーソネル株式会社 京都府 株式会社島屋大阪店 大阪府 株式会社かんでんエルハート 大阪府 株式会社ニッセイ・ニュークリエーション 大阪府 SMBCグリーンサービス株式会社 大阪府 株式会社ダイキンサンライズ摂津 大阪府 ポート産業株式会社 兵庫県 シスメックス株式会社 兵庫県 阪神友愛食品株式会社 兵庫県 社会福祉法人愛徳園 和歌山県 障害者生活支援センターすてっぷ 鳥取県 株式会社エナテクス 鳥取県 有限会社日高林産 島根県 株式会社広島情報シンフォニー 広島県 有限会社リベルタス興産 山口県 株式会社大塚製薬工場 徳島県 あなぶきパートナー株式会社 香川県 株式会社パラレル 愛媛県 株式会社セラテック 愛媛県 株式会社三井ハイテック 福岡県 株式会社伊万里鉄工所 佐賀県 長崎市心身障害者団体連合会 長崎県 オムロン太陽株式会社 大分県 NPO任意団体湯輪夢 大分県 吉川セミコンダクタ株式会社 宮崎県 株式会社伊東商会 鹿児島県 65ページ 平成22年度障害者雇用職場改善好事例応募状況 1.都道府県別応募数 都道府県 計 北海道 1 青森 4 岩手 1 宮城 2 秋田 0 山形 2 福島 0 茨城 2 栃木 0 群馬 0 埼玉 0 千葉 0 東京 5 神奈川 3 山梨 0 長野 0 新潟 1 富山 3 石川 1 福井 2 岐阜 2 静岡 2 愛知 0 三重 0 滋賀 2 京都 3 大阪 5 兵庫 3 奈良 0 和歌山 1 鳥取 2 島根 1 岡山 0 広島 3 山口 1 徳島 1 香川 1 愛媛 2 高知 0 福岡 3 佐賀 1 長崎 1 熊本 0 大分 3 宮崎 1 鹿児島 1 沖縄 0 合計 66 2.事業所規模別応募数 事業所規模 計 1,000人〜 10 500人〜999人 3 300人〜499人 4 100人〜299人 20 56人〜99人 11 55人以下 18 合  計 66 3.産業分類別応募数 産業分類 計 建設業 3 総合工事業 2 設備工事業 1 製造業 21 食料品製造業 2 繊維工業 1 木材・木製品製造業 1 印刷・同関連業 3 化学工業 2 金属製品製造業 2 はん用機械器具製造業 1 生産用機械器具製造業 1 業務用機械器具製造業 1 電子部品・デバイス・電子回路製造業 1 電気機械器具製造業 3 情報通信機械器具製造業 1 輸送用機械器具製造業 1 その他の製造業 1 電気・ガス・熱供給・水道業 1 電気業 1 情報通信業 4 情報サービス業 3 映像・音声・文字情報制作業 1 運輸業、郵便業 2 道路旅客運送業 1 道路貨物運送業 1 卸売業、小売業 7 各種商品卸売業 1 飲食料品卸売業 2 各種商品小売業 1 飲食料品小売業 1 その他の小売業 2 医療・福祉 2 社会保険・社会福祉・介護事業 2 サービス業 25 職業紹介・労働者派遣業 1 その他の事業サービス業 24 分類不能の産業 1 分類不能の産業 1 合  計 66 4.部門別応募数 一般企業A(301人以上) 16 一般企業B(300人以下) 24 特例子会社 26 合  計 66 66ページ〜 平成22年度障害者雇用職場改善好事例応募要項 1趣旨 障害者雇用において雇用管理、雇用環境等を改善・工夫し、様々な取組を行っている事業所の中から、他の事業所のモデルとなる好事例を募集し、これを広く一般に周知することにより、事業所における障害者の雇用促進と職域の拡大及び職場定着の促進を図るとともに、障害者雇用に関する理解の向上に資することを目的とします。 2募集テーマ 肢体不自由者については、重度化・重複化が進んでおり、特に上肢機能に障害を有する場合、就職困難度が高いことが指摘されています。 そこで、平成22年度においては、上肢切断又は上肢機能障害、全身性障害により上肢に障害を有する肢体不自由者の雇用促進と職域の拡大及び職場定着の促進を図ることを目的として、以下に掲げる職場改善好事例を募集します。 (1)職務遂行能力に配慮した職務の設計や勤務形態、勤務場所等を改善した好事例 例:@上肢の作業スピードが重視される職務に限定せず、プログラム開発等専門的知識を活用できる職務の開発や教育研修を実施した事例 A通勤の負担軽減や自宅で生活介助が受けやすいように在宅勤務を導入した事例 B体力に応じた短時間勤務の導入や、褥そう防止のため休息時間を確保した事例 (2)就労支援機器の導入や作業工程の改善等、作業が容易になるよう改善した好事例 例:@上肢機能をサポートする就労支援機器を活用した事例 A作業工程の改善、障害特性に配慮したペア又はチーム作業等により、職務遂行能力向上につなげた事例 (3)通勤や職場内における移動が容易になるよう改善した好事例 例:@ラッシュを避け、時差出勤を導入した事例 A段差の解消(エレベーターやスロープの活用等)、通路の整頓、作業座席の配置の工夫等を行った事例 (4)支援者の配置等職場における援助体制を整備した好事例  例:@職場内で指導者を配置し、新規雇用や異動した障害者に対して、職務遂行能力向上のための支援を行った事例 A地域障害者職業センター等のジョブコーチ支援を活用し職場定着につながった事例 B障害者と定期的に相談できる体制や健康相談医師の委嘱等、社内におけるサポート体制を構築した事例    (5)その他上肢に障害を有する肢体不自由者の雇用促進と職域の拡大及び職場定着の促進を図るために工夫・改善した好事例(安全衛生管理、キャリアアップに関する改善等) 3主催 独立行政法人高齢・障害者雇用支援機構 4後援 厚生労働省 5応募締切日 平成22年6月1日(火)(必着) 6応募資格 (1)上肢に障害を有する肢体不自由者を雇用している企業又は事業所 (2)応募時点において、労働関係法令に関し重大な違反がないこと及びその他の法令上又は社会通念上、表彰するにふさわしくないと判断される問題を起こしていないこと。 *応募事例の対象となる「上肢に障害を有する肢体不自由者」とは、次の方々をいいます。 @上肢切断者 A上肢機能障害者 B全身性障害者(脳性まひや頚椎損傷、進行性筋萎縮性疾患等により四肢体幹にわたり運動機能障害を有する者) 7応募方法 (1)指定の応募用紙を使用し、応募用紙のみで改善の内容が簡潔にわかるようにご記入下さい。また、応募用紙の各項目は変更しないでください。なお、参考資料として、図、イラスト、写真等をつけても構いません(添付資料はA4サイズにおさめてください)。 (2)応募する事例については、上記2の募集テーマ(1)?(5)の全部又は一部に該当するものとします。 (3)応募用紙は、表紙に記載している「提出先・お問い合わせ先」のほか、厚生労働省、都道府県労働局、ハローワーク、地域障害者職業センター、各都道府県受託法人等で配布します。また、独立行政法人高齢・障害者雇用支援機構のホームページからダウンロードした用紙も使用できます。 (4)応募用紙は、表紙に記載している「提出先・お問い合わせ先」に郵送またはメールにて提出してください。 8賞 優秀な事例には、最優秀賞(厚生労働大臣賞)、優秀賞(独立行政法人高齢・障害者雇用支援機構理事長賞)、奨励賞(独立行政法人高齢・障害者雇用支援機構理事長賞)を贈ります。 なお、優秀賞と奨励賞については、部門(一般部門、特例子会社部門)を設け、部門ごとに賞を贈ります。 9審査 独立行政法人高齢・障害者雇用支援機構に審査員会を設置し、審査します。 10表彰 上記の最優秀賞、優秀賞の入賞事業所の表彰式は、平成22年9月に東京で開催する予定です。 11その他 (1)応募の際、事例の対象となる障害者の承諾を得てください。 (2)応募書類は、返却しません。 (3)応募した文書の著作権及びこれに付随する一切の権利は、独立行政法人高齢・障害者雇用支援機構に帰属するものとします。 (4)応募に際して得られた個人情報は、独立行政法人高齢・障害者雇用支援機構が管理し、本募集の実施運営にかかわる作業と障害者雇用の普及・啓発に関する資料送付のみを目的として使用します。 (5)応募事例については好事例集としてまとめ、事業所、関係団体等に配布します。このうち、入賞事例については取材を行い、具体的な事例の内容を好事例集へ掲載するとともに、独立行政法人高齢・障害者雇用支援機構のホームページにも掲載します。 【審査員の構成】 審査員名/所属/役職 遠藤 和夫/社団法人日本経済団体連合会 労働政策本部/主幹 菊池恵美子/帝京平成大学健康メディカル学部 作業療法学科/学科長 藤井 礼一/厚生労働省職業安定局 地域就労支援室/室長 堀込真理子/社会福祉法人東京コロニー トーコロ情報処理センター職能開発室/事業所長 吉光  清/九州看護福祉大学看護福祉学部 社会福祉学科/学科長 五月女英介/独立行政法人高齢・障害者雇用支援機構/理事長代理 (敬称略五十音順、所属・役職は平成22年7月31日現在) 68ページ〜 平成22年度障害者雇用職場改善好事例入賞事業所一覧 最優秀賞(厚生労働大臣賞 1件) 区分 特例子会社  都道府県 京都府  事業所名 オムロン京都太陽株式会社 講評 片上肢機能障害のある社員が正確にラベルの貼り合わせができる治具等を製作する等により、上肢障害のある社員を従事可能とするとともに生産性を大幅に向上させた。また、持ち運びが大変だった約400種類の作業要領書を電子化するとともに、作業指図書のバーコードで該当する作業要領書を瞬時に呼び出すことができるようにする改善により、負担軽減と併せて作業効率の大幅な向上に繋げるなど、生産性の向上を図りつつ一人ひとりの特性に応じたきめ細かな各種の取組は、他の企業にも大いに参考となる。 優秀賞(独立行政法人高齢・障害者雇用支援機構理事長賞 5件) 区分 一般事業所 都道府県 東京都 事業所名 株式会社富士通ビー・エス・シー 講評 ジョブコーチとの連携により指に負担をかけずに引き出しを開閉できる補助具を製作するなど効果的な改善が見られる。また、短時間勤務、フレックスタイムの導入など障害に配慮した適切な改善が見られる。障害特性について社内理解の促進に努めている点も評価できる。 特例子会社 東京都 株式会社沖ワークウェル 上肢障害のある重度の肢体不自由者を在宅勤務により雇用する取組。在宅勤務においてマウス操作等が困難な上肢障害のある社員の負担の軽減を図るため、ワンタッチの操作でアクセスできる雇用管理システムを開発し、グループ内の迅速な意思決定や情報共有、効果的なOJTを行うことにより、多数の上肢障害のある社員を雇用している点が評価できる。 区分 特例子会社 都道府県 東京都 事業所名 株式会社沖ワークウェル 講評 上肢障害のある重度の肢体不自由者を在宅勤務により雇用する取組。在宅勤務においてマウス操作等が困難な上肢障害のある社員の負担の軽減を図るため、ワンタッチの操作でアクセスできる雇用管理システムを開発し、グループ内の迅速な意思決定や情報共有、効果的なOJTを行うことにより、多数の上肢障害のある社員を雇用している点が評価できる。 区分 特例子会社 都道府県 東京都 事業所名 大東コーポレートサービス株式会社 講評 書類のホチキス外しやパソコン入力など、上肢障害のある社員が不得手な作業に対して時間をかけて挑戦できる機会を設けたり、業務ローテーション制を導入し従事可能な業務数を徐々に増やすことにより仕事のマンネリ化を防ぎ、社員のモチベーションや自信が高まる効果が見られることが評価できる。知的障害や精神障害のある社員に対しても有効な改善である。 区分 特例子会社 都道府県 福岡県 講評 事業所名 有限会社化成フロンティアサービス 上肢障害があってもスムーズに作業遂行できるように、領収書の綴じ位置を手の円滑な移動を妨げる横開きから上開きに変更して記入しやすくしたこと、荷物の持ち運びを容易にするための紐掛け機を導入したこと、及び可動範囲を補う書見台を製作したことなど、一人ひとりの特性に応じた改善がなされている。少しの工夫が効果的な改善となっており、他社にも参考となる点が評価できる。 区分 特例子会社 都道府県 大分県 事業所名 ソニー・太陽株式会社 講評 組立作業において、手の届く範囲が狭く握力が弱いためごく一部の作業工程しか対応できなかった社員のために、産業医と連携して、一人で取れる範囲内に全ての部品を配置できるよう回転機構等のある専用作業台を製作するとともに、治具を小型化した改善など、一人ひとりの特性に応じた改善が評価できる。 奨励賞(独立行政法人高齢・障害者雇用支援機構理事長賞 5件) 区分 一般事業所 都道府県 岐阜県 事業所名 木村メタル産業株式会社 関エコテクノロジーセンター 講評 障害の状況に加え、本人の能力やスキル、人柄を的確に評価し、上肢障害のある社員を知的障害のある社員が配置されている解体作業ラインのリーダーやプラントオペレータに登用するなど、一人ひとりの長所を活かした職域拡大と能力開発の改善が評価できる。 区分 特例子会社 都道府県 滋賀県 事業所名 社会福祉法人共生シンフォニー がんばカンパニー 講評 上肢障害があるため高い位置への動作が困難な社員と、低い位置への動作が困難な社員をペア勤務させることによりお互いを補完させている。また、各々の体格に応じて机の高さを調節したり、体力低下への配慮と通勤ラッシュを避けるために勤務時間を弾力的に設定するなど、一人ひとりの特性に応じた改善が評価できる。 区分 特例子会社 都道府県 岡山県 事業所名 JFEアップル西日本株式会社倉敷事業所 講評 両上下肢障害のある筋ジストロフィー症の兄弟に対し、スクリーンキーボード等の補助機器を活用することで図面作成作業を可能としたこと、上肢の疲労を考慮し短時間勤務として作業をワークシェアリングしたこと、図面作成マニュアルを作成し在宅勤務を可能としていること、及び障害者雇用を進めることが社員の士気の高揚につながったことが評価できる。 区分 特例子会社  都道府県 広島県 事業所名 JFEアップル西日本株式会社 講評 パソコン操作に上肢の負担がかかっていた社員に対し、本人と相談しながらトラックボール機能のマウスの導入やリストレストの製作等の改善により継続雇用が図られている。また、これらの補助具は他の企業にも応用することが容易である点が評価できる。 区分 特例子会社  都道府県 福岡県 事業所名 サンアクアTOTO株式会社 講評 片上肢障害のある社員が包装作業やレッテル作成作業に従事するにあたり片手で遂行できる半自動化装置を製作したことにより、作業スピードとあわせて安全性の向上が図られた改善は評価できる。 70ページ 支援制度 障害者雇用納付金制度の概要 障害者を雇用するには、作業施設や設備の改善、職場環境の整備、特別の雇用管理等が必要とされることが多く、経済的負担が伴うことから、雇用義務を履行している事業主と履行していない事業主とではその経済的負担に差が生じることとなります。 障害者雇用納付金制度は、障害者を雇用することは事業主が共同して果たしていくべき責任であるとの社会連帯責任の理念に立って、事業主間の障害者雇用に伴う経済的負担の調整を図るとともに、障害者を雇用する事業主に対して助成、援助を行うことにより、障害者雇用の促進と職業の安定を図るため「障害者の雇用の促進等に関する法律」に基づき設けられた制度です。 障害者雇用納付金の徴収 1人当たり月額 50,000円 *常用雇用労働者数が200人を 超える事業主は、 ・毎年度、納付金の申告が必要 ・法定雇用率を達成している場合も申告が必要 ・法定雇用率(1.8%)を下回っている場合は、申告とともに納付金の納付が必要 独立行政法人高齢・障害者雇用支援機構 障害者雇用調整金の支給 1人当たり月額27,000円 ・常用雇用労働者数が200人を超えており、雇用障害者数が法定雇用率を超えている事業主 報奨金の支給 1人当たり月額21,000円 ・常用雇用労働者数が200人以下で、支給要件として定められている数を超えて障害者を雇用している事業主 在宅就業障害者特例調整金の支給 ・在宅就業障害者等に仕事を発注した納付金申告事業主の申請に基づき、支払った業務の対価に応じた額を支給 在宅就業障害者特例報奨金の支給 ・在宅就業障害者等に仕事を発注した報奨金申請事業主の申請に基づき、支払った業務の対価に応じた額を支給 各種助成金の支給 ・障害者を雇い入れたり、雇用を継続するために職場環境の整備等を行う事業主の申請に基づき費用の一部を助成 法定雇用率を下回っている事業主:納付金 雇用している身体、知的、精神障害者の数 法定雇用率 (1.8%)相当数 法定雇用率を超えている事業主:調整金 *「障害者雇用納付金制度」が一部改正されました 「障害者の雇用の促進等に関する法律」の一部を改正する法律(平成20年法律第96号)が成立し、平成21年4月から段階的に施行されています。これに伴い、「障害者雇用納付金制度」の一部が平成22年7月1日から次のように改正されました。 @新たに、常用雇用労働者数が200人を超え人以上300人以下のすべての中小企業に障害者雇用納付金の申告を行っていただくこととなりました。 A週20時間以上30時間未満の短時間労働者も障害者雇用納付金の申告・障害者雇用調整金等の支給申請の対象となりました。(労働者の数及び雇用障害者数ともに算入) B除外率設定業種の除外率がそれぞれ10%ポイント引き下げられました。 ※平成27年4月1日からは、常用雇用労働者数が100人を超え200人以下の事業主に納付金制度の適用が拡大されます。 1障害者雇用納付金制度に基づく助成金 事業主が障害者を新たに雇い入れたり、障害者の安定した雇用を維持するために、少なからぬ経済的負担がかかることがあります。障害者雇用納付金制度に基づく助成金は、その費用の一部を助成し、負担の軽減を図ることで障害者の雇い入れや継続雇用を容易にしようとする制度です。 助成金の種類 (助成金の対象、助成率、限度額、手続き等は当機構ホームページhttps://www.jeed.go.jp/disability/subsidy/をご覧下さい。) 障害者作業施設設置等助成金 内容:障害者を常用労働者として雇い入れるか継続して雇用している事業主が、その障害者が障害を克服し作業を容易に行うことができるよう配慮された作業施設または改善等がなされた作業設備の整備等を行う費用に対する助成金です。 障害者福祉施設設置等助成金 内容:障害者を常用労働者として雇い入れるか継続して雇用している事業主またはその事業主が加入している事業主団体が、障害者である労働者の福祉の増進を図るため、障害者が利用できるよう配慮された福利厚生施設の整備等を行う費用に対する助成金です。 障害者介助等助成金 内容:重度身体障害者、知的障害者、精神障害者または就職が特に困難と認められる身体障害者を常用労働者として雇い入れるか継続して雇用している事業主が、障害の種類や程度に応じた適切な雇用管理のために必要な介助等の措置を実施する費用に対する助成金です。 職場適応援助者助成金 内容:職場適応援助者による援助を受けなければ、事業主による雇い入れまたは雇用の継続が困難と認められる障害者に対して、職場に適応することを容易にするために職場適応援助者(機構が行う養成研修または厚生労働大臣が定める研修を修了し、援助の実施に関し必要な相当程度の経験及び能力を有すると認められる者)を配置し援助を実施する費用に対する助成金です。 重度障害者等通勤対策助成金   内容:重度身体障害者、知的障害者、精神障害者または通勤が特に困難と認められる身体障害者を常用労働者として雇い入れるか継続して雇用している事業主、またはこれらの事業主が加入している事業主団体が、これらの障害者の通勤を容易にするための措置を行う費用に対する助成金です。 重度障害者多数雇用事業所施設設置等助成金   内容:重度身体障害者、知的障害者または精神障害者を常用労働者として多数雇い入れるか継続して雇用し、かつ、安定した雇用を継続することができると認められる事業主が、これらの障害者のために事業施設等の整備等を行う費用に対する助成金です。 障害者能力開発助成金   内容: 障害者の職業に必要な能力を開発し、向上させるための能力開発訓練事業(厚生労働大臣告示による基準に該当するもの)を行う事業主等が、能力開発訓練のために施設・設備の整備等を行う費用、その能力開発訓練事業を運営する費用や障害者である労働者を常用労働者として雇用する事業主が、その障害者である労働者に障害者能力開発訓練を受講させる費用に対する助成金です。 2特定求職者雇用開発助成金 (特定就職困難者雇用開発助成金) 問い合わせ 都道府県労働局、 ハローワーク(公共職業安定所) 身体障害者、知的障害者または精神障害者等の就職が特に困難な者を新たに公共職業安定所等の紹介により雇い入れた事業主に対して、その賃金の一部を雇い入れた日から一定期間助成することにより、雇用機会の増大を図るものです。 ・対象事業主 受給できるのは、次の全ての要件を満たす事業主です。 @ ハローワーク又は適正な運用を期すことのできる有料・無料職業紹介事業者の紹介により、身体障害者、知的障害者又は精神障害者等(65歳未満の者に限る。)を継続して雇用する労働者として雇い入れ、助成金支給後も引き続き相当期間雇用することが確実であると認められる雇用保険の適用事業主。 A当該雇い入れの前及び後6ヶ月間において当該雇い入れに係る事業所で雇用する被保険者を事業主の都合により解雇したことがないものであること。 B当該雇い入れの前及び後6ヶ月間において当該雇い入れに係る事業所において特定受給資格者となる離職理由により雇用する被保険者を、当該雇い入れ日における被保険者の6%を超えて離職させていないこと(特定受給資格者となる離職理由により離職した者が3人以下である場合を除く。) ・助成額・助成期間等 助成額、助成期間は次の表のとおりです。助成対象期間を6ヶ月ごとの支給対象期に区切り、この支給対象期ごとに支給されます。 対象労働者 短時間労働者以外 (1)身体障害者、知的障害者((2)に該当する者を除く) 企業規模 @中小企業事業主以外 助成対象期間 1年 支給総額 50万円 支給回数 2回 第1期支給額 25万円 第2期支給額 25万円 企業規模 A中小企業事業主 助成対象期間 1年6月 支給総額 135万円 支給回数 3回 第1期支給額 45万円 第2期支給額 45万円 第3期支給額 45万円 (2)重度障害者等 企業規模 @中小企業事業主以外 助成対象期間 1年6月 支給総額 100万円 支給回数 3回 第1期支給額 33万円 第2期支給額 33万円 第3期支給額 34万円 企業規模 A中小企業事業主 助成対象期間 2年 支給総額 240万円 支給回数 4回 第1期支給額 60万円 第2期支給額 60万円 第3期支給額 60万円 第4期支給額 60万円 対象労働者 短時間労働者 身体障害者、知的障害者、精神障害者 企業規模 @中小企業事業主以外 助成対象期間 1年 支給総額 30万円 支給回数 2回 第1期支給額 15万円 第2期支給額 15万円 企業規模 A中小企業事業主 助成対象期間 1年6月 支給総額 90万円 支給回数 3回 第1期支給額 30万円 第2期支給額 30万円 第3期支給額 30万円 ※「短時間労働者」とは、1週間の所定労働時間が20時間以上30時間未満の者をいう。 ※「重度障害者等」とは、重度身体障害者、45歳以上の身体障害者、重度知的障害者、45歳以上の知的障害者及び精神障害者であって、短時間労働者として雇い入れられた者を除く。 ただし、対象労働者を雇い入れた事業主が当該対象労働者について最低賃金の減額の特例の許可を受けている場合は、支給対象期について対象労働者に支払った賃金額に次の助成率を乗じた額(上表の支給対象期ごとの支給額が上限)となります。 対象労働者 イ.ロ以外の者 中小企業事業主以外 1/4 中小企業事業主 1/3 ロ.重度障害者等 中小企業事業主以外 1/3 中小企業事業主 1/2 3障害者初回雇用奨励金(ファースト・ステップ奨励金) 問い合わせ 都道府県労働局、ハローワーク(公共職業安定所) 中小企業における雇用状況は低水準で推移しており、特に中小企業における法定雇用率未達成企業のうち雇用障害者数が0人である企業が約8割を占めていること、また、今般の景気悪化により障害者の雇用情勢が後退するおそれがあること等の状況の中で、障害者雇用の経験のない中小企業において、初めて身体障害者、知的障害者又は精神障害者を雇用した場合に奨励金を支給することにより、障害者雇用の促進を図るものです。なお、特定求職者雇用開発助成金、試行雇用奨励金との併給は可能です。 ・対象事業主 障害者雇用の経験のない中小企業(障害者の雇用義務制度の対象となる56人?300人規模の中小企業)の事業主 ・支給額 1人目の障害者を雇用する場合100万円支給(雇い入れ後6ヶ月経過後に支給) 4障害者試行雇用(トライアル雇用)事業 問い合わせ ハローワーク(公共職業安定所) 障害者に関する知識や経験がないことから、障害者雇用をためらっている事業所に、障害者を試行雇用(トライアル雇用)の形で受け入れていただき、本格的な障害者雇用に取り組むきっかけづくりを進める事業です。 対象事業主 ・雇用保険の適用事業の事業主であること ・過去6ヶ月の間に労働者の解雇を行っていないこと ・雇い入れた対象者を過去3年の間に雇用していないこと など ただし、国、地方公共団体及び特定独立行政法人は対象となりません。 トライアル雇用実施期間 トライアル雇用の期間は原則として3ヶ月間で、ハローワークの職業紹介により、事業主と対象障害者との間で有期雇用契約を締結します。 トライアル雇用期間を途中で中断させて常用雇用に移行することも可能です。3ヶ月の期間を経過し常用雇用に至らなかった場合は、契約期間満了による終了となります。ただし、契約期間中に事業主の都合で中止した場合は解雇の扱いとなります。 トライアル雇用期間中の労働条件 トライアル雇用は、事業主と対象障害者との間の有期雇用契約です。したがって、トライアル雇用期間中の労働条件は労働基準法等の労働関係法令に基づき定めなければなりません。また、通常の労働者として要件を満たす場合は労働保険等が適用されます。 トライアル雇用の申込手続き トライアル雇用に係る求人申し込みを当該事業所を管轄するハローワークで行ってください。 トライアル雇用奨励金の支給 トライアル雇用を実施した事業主に対しては、トライアル雇用終了後、トライアル雇用奨励金が支給されます。奨励金の額は、原則としてトライアル雇用した対象者1人当たり1ヶ月40,000円です。 トライアル雇用に係る職業リハビリテーションサービスの利用 トライアル雇用実施に当たり障害者の雇用管理に係る支援等が必要な場合は、トライアル雇用開始前から、地域障害者職業センター等が実施する各種職業リハビリテーションサービスを利用することができます。 (図省略) 5職場適応援助者(ジョブコーチ)による支援 問い合わせ 地域障害者職業センター 障害者が円滑に適応することができるよう、ジョブコーチが事務所に出向き、職場内においてさまざまな支援を行います。地域障害者職業センターに所属するジョブコーチ(配置型ジョブコーチ)と社会福祉法人等に所属するジョブコーチ(第1号職場適応援助者)が各地域に配置されており、必要に応じて両者が連携して支援を行います。 上記のジョブコーチ以外に事業主が自ら雇用する障害者(在職者)のために、職場適応援助者を配置することができます(第2号職場適応援助者)。また、第1号及び第2号職場適応援助者配置に関し、助成金が支給されます。 6障害者雇用事例リファレンスサービス  障害者雇用における課題に対して解決の参考となる、全国の事業所の取組事例等をホームページで紹介しています。 https://www.ref.jeed.go.jp/ (図省略) 74ページ 広域障害者職業センター 障害者職業カウンセラー、職業指導員が配置され、医療リハビリテーションとの連携を図りながら、職業評価、職業指導、職業訓練などの職業リハビリテーションサービスを提供しています。 国立職業リハビリテーションセンター及び国立吉備高原職業リハビリテーションセンターでは、全国の広範な地域から、精神障害者、発達障害者、高次脳機能障害者等を含む職業訓練上特別な支援を要する障害者を積極的に受け入れ、先導的な職業訓練を実施しています。 また、その成果をもとに、職業訓練上特別な支援を要する障害者に対する職業訓練の内容、指導技法等の開発を行い、マニュアルなどにとりまとめるとともに、障害者能力開発指導者交流集会、他の障害者職業能力開発校などの訓練指導員等を対象とした研修などをとおして広く提供し、障害者職業訓練全体のレベルアップに寄与しています。 名称 国立職業リハビリテーションセンター(中央障害者職業能力開発校) 所在地:〒359-0042 埼玉県所沢市並木4-2 電話番号:04-2995-1711 FAX番号:04-2995-1052 名称 国立吉備高原職業リハビリテーションセンター(吉備高原障害者職業能力開発校) 所在地:〒716-1241 岡山県加賀郡吉備中央町吉川7520 電話番号:0866-56-9000 FAX番号:0866-56-7636 75ページ 地域障害者職業センター 都道府県における職業リハビリテーションの中核として、ハローワークなどの関係機関と緊密な連携を図り、障害者に対して専門的な職業リハビリテーションサービスを行うとともに、事業主に対して雇用管理に関する相談・援助を行っています。また、地域の関係機関に対して職業リハビリテーションに関する助言・援助を行っています。 名称/所在地/電話番号/FAX番号 北海道障害者職業センター/〒001-0024 札幌市北区北二十四条西5-1-1 札幌サンプラザ5F/011-747-8231/011-747-8134 北海道障害者職業センター旭川支所/〒070-0034 旭川市四条通8丁目右1号 ツジビル5F/0166-26-8231/0166-26-8232 青森障害者職業センター/〒030-0845 青森市緑2-17-2/017-774-7123/017-776-2610 岩手障害者職業センター/〒020-0133 盛岡市青山4-12-30/019-646-4117/019-646-6860 宮城障害者職業センター/〒983-0836 仙台市宮城野区幸町4-6-1/022-257-5601/022-257-5675 秋田障害者職業センター/〒010-0944 秋田市川尻若葉町4-48/018-864-3608/018-864-3609 山形障害者職業センター/〒990-0021 山形市小白川町2-3-68/23-624-2102/023-624-2179 福島障害者職業センター/〒960-8135 福島市腰浜町23-28/024-522-2230/024-522-2261 茨城障害者職業センター/〒309-1703 笠間市鯉淵6528-66/0296-77-7373/0296-77-4752 栃木障害者職業センター/〒320-0865 宇都宮市睦町3-8/028-637-3216/028-637-3190 群馬障害者職業センター/〒379-2154 前橋市天川大島町130-1/027-290-2540/027-290-2541 埼玉障害者職業センター/〒338-0825 さいたま市桜区下大久保136-1/048-854-3222/048-854-3260 千葉障害者職業センター/〒261-0001 千葉市美浜区幸町1-1-3/043-204-2080/043-204-2083 東京障害者職業センター/〒110-0015 台東区東上野4-27-3 上野トーセイビル3F/03-6673-3938/03-6673-3948 東京障害者職業センター多摩支所/〒190-0012 立川市曙町2-38-5 立川ビジネスセンタービル5F/042-529-3341/042-529-3356 神奈川障害者職業センター/〒228-0315 相模原市南区桜台13-1/042-745-3131/042-742-5789 新潟障害者職業センター/〒950-0067 新潟市東区大山2-13-1/025-271-0333/025-271-9522 富山障害者職業センター/〒930-0004 富山市桜橋通り1-18 住友生命富山ビル7F/076-413-5515/076-413-5516 石川障害者職業センター/〒920-0856 金沢市昭和町16-1 ヴィサージュ1F/076-225-5011/076-225-5017 福井障害者職業センター/〒910-0026 福井市光陽2-3-32/0776-25-3685/0776-25-3694 山梨障害者職業センター/〒400-0864 甲府市湯田2-17-14/055-232-7069/055-232-7077 長野障害者職業センター/〒380-0935 長野市中御所3-2-4/026-227-9774/026-224-7089 岐阜障害者職業センター/〒502-0933 岐阜市日光町6-30/058-231-1222/058-231-1049 静岡障害者職業センター/〒420-0851 静岡市葵区黒金町59-6 大同生命静岡ビル7F/054-652-3322/054-652-3325 愛知障害者職業センター/〒453-0015 名古屋市中村区椿町1-16 井門名古屋ビル4F/052-452-3541/052-452-6218 愛知障害者職業センター豊橋支所/〒440-0888 豊橋市駅前大通り1-27 三菱UFJ証券豊橋ビル6F/0532-56-3861/0532-56-3860 三重障害者職業センター/〒514-0002 津市島崎町327-1/059-224-4726/059-224-4707 滋賀障害者職業センター/〒525-0027 草津市野村2-20-5/077-564-1641/077-564-1663 京都障害者職業センター/〒600-8235 京都市下京区西洞院通塩小路下る東油小路町803/075-341-2666/075-341-2678 大阪障害者職業センター/〒541-0056 大阪市中央区久太郎町2-4-11 クラボウアネックスビル4F/06-6261-7005/06-6261-7066 大阪障害者職業センター南大阪支所/〒591-8025 堺市北区長曽根町130-23 堺商工会議所5F/072-258-7137/072-258-7139 兵庫障害者職業センター/〒657-0833 神戸市灘区大内通5-2-2/078-881-6776/078-881-6596 奈良障害者職業センター/〒630-8014 奈良市四条大路4-2-4/0742-34-5335/0742-34-1899 和歌山障害者職業センター/〒640-8323 和歌山市太田130-3/073-472-3233/073-474-3069 鳥取障害者職業センター/〒680-0842 鳥取市吉方189/0857-22-0260/0857-26-1987 島根障害者職業センター/〒690-0877 松江市春日町532/0852-21-0900/0852-21-1909 岡山障害者職業センター/〒700-0821 岡山市北区中山下1-8-45 NTTクレド岡山ビル17F/086-235-0830/086-235-0831 広島障害者職業センター/〒732-0052 広島市東区光町2-15-55/082-263-7080/082-263-7319 山口障害者職業センター/〒747-0803 防府市岡村町3-1/0835-21-0520/0835-21-0569 徳島障害者職業センター/〒770-0823 徳島市出来島本町1-5/088-611-8111/088-611-8220 香川障害者職業センター/〒760-0055 高松市観光通2-5-20/087-861-6868/087-861-6880 愛媛障害者職業センター/〒790-0808 松山市若草町7-2/089-921-1213/089-921-1214 高知障害者職業センター/〒781-5102 高知市大津甲770-3/088-866-2111/088-866-0676 福岡障害者職業センター/〒810-0042 福岡市中央区赤坂1-6-19 ワークプラザ赤坂5F/092-752-5801/092-752-5751 福岡障害者職業センター北九州支所/〒802-0066 北九州市小倉北区萩崎町1-27/093-941-8521/093-941-8513 佐賀障害者職業センター/〒840-0851 佐賀市天祐1-8-5/0952-24-8030/0952-24-8035 長崎障害者職業センター/〒852-8104 長崎市茂里町3-26/095-844-3431/095-848-1886 熊本障害者職業センター/〒862-0971 熊本市大江6-1-38-4F/096-371-8333/096-371-8806 大分障害者職業センター/〒874-0905 別府市上野口町3088-170/0977-25-9035/0977-25-9042 宮崎障害者職業センター/〒880-0014 宮崎市鶴島2-14-17/0985-26-5226/0985-25-6425 鹿児島障害者職業センター/〒890-0063 鹿児島市鴨池2-30-10/099-257-9240/099-257-9281 沖縄障害者職業センター/〒900-0006 那覇市おもろまち1-3-25 沖縄職業総合庁舎5F/098-861-1254/098-861-1116 裏表紙 誰もが職業をとおして社会参加できる「共生社会」を目指しています。 企画/発行 独立行政法人高齢・障害者雇用支援機構 雇用開発推進部 〒105-0022 東京都港区海岸1-11-1 ニューピア竹芝ノースタワー内 TEL 03-5400-1625 FAX 03-5400-1608 URL https://www.jeed.go.jp/ 平成23年3月発行 上肢に障害を有する肢体不自由者のための職場改善好事例集 平成22年度 障害者雇用職場改善好事例募集の入賞事例から