内部障害者のための職場改善に関する好事例集 ―平成18年度障害者雇用職場改善好事例募集の入賞事例から― だれもが安心して働ける 職場環境づくり 独立行政法人 高齢・障害者雇用支援機構 はじめに 独立行政法人高齢・障害者支援機構では、事業所における障害者雇用および職場定着を進めるため、雇用管理や職場環境の整備などを改善・工夫し、さまざまな取り組みを行った事例を全国の事業主の皆様から募集し、広く周知、普及しています。障害者雇用職場改善好事例の募集については平成3年度から開始し、最近はテーマを設定して募集を行っております。  平成18年度につきましては、「内部障害者にとって働きやすい職場にするための創意工夫を図った好事例」をテーマに募集しましたところ、全国の事業主の皆様から多数のご応募をいただき、審査員の方々による厳正なる審査の結果、9事業所の入賞を決定いたしました。そしてこのたび、これらの入賞事業所などの事例を「内部障害者のための職場改善に関する好事例集― 平成18年度障害者雇用職場改善好事例募集の入賞事例から―」としてとりまとめました。この事例集を内部障害者の雇用の促進および職域拡大のためにご活用いただければ幸いです。  最後に、ご応募いただきました事業主の皆様、そしてご協力いただいた関係機関・団体等の皆様方には改めて感謝申し上げます。 平成19年3月 独立行政法人高齢・障害者雇用支援機構 ※内部障害者とは、心臓機能障害、じん臓機能障害、呼吸器機能障害、ぼうこう又は直腸の機能障害、小腸機能障害、ヒト免疫不全ウィルスによる免疫機能障害のいずれかの障害のある方をいいます。 目次 内部障害者のための職場改善に関する好事例集 ―平成18年度障害者雇用職場改善好事例募集の入賞事例から― ●はじめに                               1 ●入賞事例 最優秀賞 株式会社スタッフサービス・ビジネスサポート               4 安心して働ける健康管理を主軸とした雇用管理面への配慮と仕組みづくり 優秀賞 株式会社リクルートオフィスサポート                   14 心身ともに働ける職場環境づくり ―トータルサポートが受けられる職場― 株式会社かんでんエルハート                       20 障害とうまく付合いながらはつらつと働ける「安心感」のある職場づくり 松本技術コンサルタント株式会社                    26 腎臓障害による人工透析治療者の継続雇用に必要な職場適応措置 医療法人青仁会 池田病院                        32 腎臓機能障害を抱えるからこそできる役回りと継続雇用での人材活用 奨励賞 社会福祉法人札親会                           38 重度中途心臓機能障害者の職場復帰・継続雇用への取り組み 株式会社シャトル 44 継続雇用を基本とした重度中途障害者の働きやすい職場環境づくり タカタ株式会社 50 内部障害者雇用における雇用環境等の改善・支援体制・従業員の理解促進 株式会社島津製作所 56 内部障害者のスキルアップと働きやすい職場環境の実現 ●その他の応募事業所 62 ●応募事業所の概要 74 ●応募要項 75 ●各種助成金の内容           77 ●関係機関一覧 78 最優秀賞 株式会社スタッフサービス・ビジネスサポート 安心して働ける健康管理を主軸とした 雇用管理面への配慮と仕組みづくり 企業プロフィール 株式会社スタッフサービス・ビジネスサポート ■代表者:代表取締役社長 座間章 〒229-003 神奈川県相模原市鹿沼台1-9-15 プロミティふちのべビル TEL042-776-9901 FAX042-750-2905 http://www.biz-support.co.jp 業種および主な事業内容 主に親会社およびグループ各社のデータ入力、給与計算、システム構築、テレフォンサービスなど事務処理代行サービスと、付帯する発送、物流、印刷、製本、資料保管など支援事業の受託業務を行っている。独自のレストラン運営なども展開。また、全国52カ所のスタッフサービスオフィスにビジネスサポートを行う従業員を駐在させている。 従業員数 394名(平成19年2月1日現在) うち障害者数296名 <内訳> 内部障害者193名 聴覚障害者18名 視覚障害者3名 肢体不自由者など62名 知的障害者19名 精神障害者1名 改善の注目点 Main Point 内部障害者、特に腎臓機能障害者は人工透析のための時間的配慮と健康管理面に留意する必要があるため就労の場が少なかった →透析治療に配慮した勤務体制と職場環境を整えることによって積極的に雇用 内部障害者の内訳:腎臓機能障害者183名、心臓機能障害者10名 事業所の概要と障害者雇用の経過  人材派遣業大手の潟Xタッフサービス・ホールディングスの特例子会社として、2000年3月に設立。当初は、内部障害の中でも人工透析を必要とするため、就労が厳しい状況といわれていた腎臓機能障害者20名でスタートした。同じ障害であっても、一人ひとり状態は違うという認識のもと、それぞれの能力を発揮できる就労体制・業務、人工透析に配慮した勤務時間や健康管理などを会社側と従業員双方が意見を出し合い、共につくりあげてきた。  現在では従業員394名中、内部障害者は193名と、特例子会社中最多の雇用者数を誇り、肢体不自由、聴覚障害・視覚障害・知的障害などさまざまな障害をもった従業員を積極的に雇用している。また、全国にネットワークを持つ親会社スタッフサービスの52の支社に内部障害のある1〜8名の業務サポートを行う従業員を駐在させている。業務の中心は親会社とグループ各社の事務処理代行と支援事業で、近年はグループ外からの業務も受注している。 内部障害者 雇用の背景 すべての人がありのままの姿で自立し、 自由に社会活動に参加することが理想 ■完全参加と平等。ノーマライゼーションという理念をかたちにする  内部障害者を中心に雇用を進めている企業は全国的にも珍しい。その理念の基になったのが、「ノーマライゼーション」という考え方だ。デンマークのバンク=ミケルセン氏が知的障害者福祉への取り組みの過程で提唱したもので、「いかなる差別や偏見も排除し、すべての人が、ありのままの姿で自立し、普通の生活を営み、社会活動に自由に参加できるようにする」というもの。  この考え方に深く共鳴していた座間社長が、腎臓結石の治療で訪れた相模原クリニックの永岡先生と出会ったことが、ビジネスサポートという会社を世に送り出した。  人工透析の専門医である永岡先生の口から、腎臓機能障害者の厳しい状況が次々と明らかにされた。「透析者はなかなか働く機会を得られないこと、周囲に隠して無理をして働き体調を悪化させてしまうこと、週3日の透析を受けるという制約さえ乗り越えれば、能力的には何ら問題がないこと、規則正しく勤務することがむしろ健康維持に役立つこと」など…。  心を動かされた座間社長は、環境さえ整えば、腎臓機能障害のある人でも、自分の能力を生かして安心して働けるのではないかと考えるようになる。 個々の障害の事情に合った環境をつくり、その中で特別扱いを受けるのではなく、同じ労働者として働くことができれば――それこそが「ノーマライゼーション」ではないかと。 ■障害のある人に働きやすい職場を提供することは当然の責務  企業が障害のある人たちの社会参加を支援すること、特に、「人」を扱う人材派遣というビジネスを展開するスタッフサービスグループにとって、人権を尊重し、障害者が働きやすい環境を整えた職場の提供に努めることは、当然の責務ではないか――。  折から、グループ全体として事業拡大が続いており、常用労働者数が急速に増加しているという現実があった。企業の社会的責任を果たすために、障害者雇用率を達成する必要にも迫られていた。  提案者である座間社長に会社設立の任務が課せられた。親会社のスタッフサービスに勤務していた勇退間近の70歳の時のことだ。全国でも例を見ない内部障害者、特に人工透析が必要な腎臓機能障害のある人を雇用の柱にした特例子会社、株式会社スタッフサービス・ビジネスサポートはこうして産声を上げた。2000年3月のことだ。  しかし、採用は困難を極めた。障害者雇用の実績のない会社には、なかなか人が集まらなかった。そのため、永岡先生のアドバイスで、腎臓機能障害者の集まりである全国腎友会や各都道府県の腎臓病患者会の協力をあおいで、ようやく動き出した。永岡先生をはじめ医療機関の指導を受けながら、社内公募で集まったマネージャー候補者やスタッフが、就職希望者を交えて、人工透析の時間を確保する就業体制や業務、健康管理をはじめ職場の環境づくりなどが話し合われた。 その土台は、7年を経た現在も生き続けている。 ■仕事に関しては人並み以上が求められる障害があるからという妥協は許さない  仕事に関しては、障害があるからという妥協を一切許さない厳しさがある。納期の厳守、作業の正確さやスキルアップへの努力は、健常者と何ら変わるところがない。  「『ノーマライゼーション』とは、特別扱いすることではなく、一人ひとりの能力や適性に合わせた環境をみんなでつくることですから」(座間社長)  そのためにも、常に環境に優しく、高品質で安定的なサービスを提供することが求められる。従業員の意識の高揚を図る目的もあって、2003年には国際規準であるISO14001(環境)とISO9001(品質)を取得、また、プライバシーマーク制度に基づき個人情報保護方針を定めている。  ノーマライゼーションをベースに、2年前からは「自律と創造」をテーマに掲げ、さらなる業務の拡大、飛躍へ向けて、新たな歩を踏み出した。常に同じところに留まらず、成長し続ける会社といえる。 「自律と創造」で新たな飛躍を 座間 章代表取締役社長  当社の基本理念である「ノーマライゼーション」は、何も難しく考えることはない、要は“垣根がない”ということです。誰でも働ける人は働く場が必要で、障害者だからと特別視する必要はないし、健常者と共に、お互いに生きていくというごく普通のことなのです。  この考え方は私自身が幼少の頃、夜盲症というハンデがあり、人並み以上に努力しないと生きていけないという体験をしていることが、根底にあるかもしれません。  2年前からは、「自律と創造」というテーマに取り組んでいます。ノーマライゼーションを実現するためには、共に生きていく、平等でなくてはならない。そうするためには、自分のことは自分でしっかりやらないといけない。つまり自律です。そして、この会社は自分たちで考えて自分たちでつくっていくという創造の姿勢を求めています。  当初は内部障害者だけでスタートしましたが、さまざまな障害のある人たちに門戸を広げています。そうでなければ真のノーマライゼーションではないからです。一人ひとりの社員が自律していけば、どんどん仲間を増やすことができるでしょう。  グループの中の一事業会社という位置づけで、どんどん新規に仕事を取ってくる。それはグループの拡大に貢献することになります。ITの進展に対応できる能力も身につけていかないといけない。業務を固定化することなく、絶えず成長していきたいと思っています。 ANGLE1 改善のポイントと効果 透析治療に配慮した早番・遅番の勤務シフト 業務に支障ないワークシェアリングを実現  人工透析者は隔日ごとに4時間程度の透析治療が必要なため、勤務時間を透析時間に合わせるという考え方が取られた。当初は1週間に3日間の就業体制を考えていたが、「毎日働くほうが生活リズムがあり、働きがいがある」という社員の希望が多く、シフト制にした。  現在、午前8:30から午後3:00までの早番と、午前10:45から午後6:30までの遅番の勤務体制。透析治療当日は早番、翌日は遅番にすることで、人工透析の通院に要する時間や治療翌日の負担軽減を図っている。  図にあるような2種類の勤務シフトを各人が選択する。1人分の仕事を時差のある2人がワークシェアすることで、業務上の引継ぎがスムーズとなり、加えて、より多くの障害者に働いてもらうことができている。 第三者の目で客観的にアドバイス 相模原クリニック院長 永岡 隆先生 健康面を支える産業医の永岡先生  産業医として、月に1回健康相談を行っていますが、社員の皆さんは食事のコントロールなど概ね上手に自己管理されていますね。私の役目は、現在の治療のやり方や投薬などについて、第三者の立場からデータを見ながらアドバイスをすること。担当の先生には聞きづらいことも、話しやすいのではないかと思っています。  社会的にも生活習慣病に代表される慢性の病気が増えています。自分で体調をコントロールしながら仕事を継続していくことが求められますが、そういった意味でもビジネスサポートは非常に良いモデルですね。こうした会社がどんどん増えれば、内部障害を持つ方たちの励みになるのではないでしょうか。  専門医が見た腎臓機能障害者就業のポイント ● 人工透析に対する周囲の理解を得ること ● 規則正しく生活することが健康維持に ● 体調の自己コントロールによる長期就業 ANGLE2 改善のポイントと効果 人工透析の経験がある看護師の常駐と 産業医による月1回の健康相談を実施  腎臓機能障害をもった社員にとって、日常の健康管理と透析治療に配慮した職場環境づくりは欠かせない。そのため、看護師が常駐し、日常生活面での指導をはじめ、健康相談やアドバイスをいつでも受けられる体制をとっている。  また、66床の人工透析施設を持つ相模原クリニックの永岡先生と嘱託提携し、月1回、健康相談日を設けている。腎臓機能障害のある社員一人ひとりの健康状態の把握、きめ細かなアドバイスにより、安心して仕事に取り組めると社員の評価も高い。  さらに、水分管理、制限食、血圧コントロールなど自己管理に努めるよう、朝礼や集会などの機会を通じて常に啓発を行っている。 ANGLE3 改善のポイントと効果 仕事中の体調不良に備えて、血圧計、AED などを配備した健康管理ルームを設置  どんなに自己管理していても、時に体調がすぐれなくなることがある。就業時間中に気分が悪くなった時のために、ベッドを備えた健康管理ルームを設置している。ここには、血圧計、心電図、AED(除細動器)が配備されており、体調不良や不測の事態への対応は万全だ。常駐する看護師による応急処置も可能なため、腎臓機能障害のある人だけでなく、社員全員にとってもいざという時、安心な環境だ。  さらに、休憩室にはカーテンで仕切られたベッドが用意されており、横になって休息し、リフレッシュしてまた仕事に打ち込むことができる。 ANGLE4 改善のポイントと効果 一人ひとりの健康状態を把握しておくため独自の健康管理システムを導入  腎臓機能障害者が通院している透析施設での血液検査の数値をはじめ、血圧、内服薬、注射薬などのデータを自己申告により入力し、これらのデータを時系列で蓄積することによって、提携先の相模原クリニックの産業医と看護師が必要に応じてアドバイスできる独自の健康管理システムを導入した。  これにより、産業医が本人の健康状態を把握でき、必要な場合には主治医に相談するよう促す。ただし、これらデータについてはプライバシーに配慮し、産業医と看護師だけが見られる仕組みにしている。この健康管理システムは全国の関係会社オフィスに駐在する腎臓機能障害者にも適用されており、本社以外に勤務する社員の状況を把握し、雇用管理する上でも有効でセーフティネットの役割も果たしている。 ANGLE5 改善のポイントと効果 コンピュータによる「日報」システムなど 現場の問題点を拾い上げる仕組みづくり  常に快適な職場環境が保たれているか、社長自らが先頭に立って問題点を拾い上げるよう努めている。社員と社長とが1対1でオンラインの「日報」を交わす。会社設立時から続いており、現場や社員を知るための情報交換ツールとして役立っている。これは勤務管理も兼ねたもので、文章入力スキルの向上などIT化に遅れを取らないねらいもある。  またグループウェアの掲示板への書込みや、守秘義務契約を結んだ外部の業者によるカウンセリングなど、風通しの良い環境づくりにも積極的だ。 ANGLE6 改善のポイントと効果 健康管理についての意識の徹底を図り 機会あるごとに自己啓発をうながす  腎臓機能障害についての知識を全社で共有化する試みを徹底させている。朝礼やミーティングなどの場を利用して、日常生活での水分管理、制限食、血圧コントロールなど、自己管理の大切さを常に意識するよう啓発に努めている。  社員食堂も兼ねている「れすとらんハーモニー」では、カロリー、たんぱく質、塩分、カリウム、リンを表示した減塩メニューを日替わりで提供しており、健康管理に役立っている。  月に1度の全体朝礼では、体調不良者のために椅子席を常に用意。また、透析時間を考慮して、車での通勤を認めるなど、健康管理面での配慮がなされている。 REPORT●私たちの業務● ●発送・物流 スタッフサービスグループ各社の取引先へのダイレクトメールやパンフレットなど印刷物の仕分け、封入、梱包、発送作業を行っている。 内部障害者24名勤務 ●印刷・製本 大型印刷機を用いて、スタッフサービスグループ各社と他社からのマニュアルなどリーフレット、冊子、名刺などのデザイン・印刷・製本業務を請け負っている。 内部障害者5名勤務 ●給与計算 親会社の給与計算上必要な入退社、異動、人事諸届けなどの人事情報の入出力・配信処理およびグループ各社の給与計算処理を行っている。 内部障害者17名勤務 ●PCセットアップ・携帯電話管理 スタッフサービスグループ内で使用しているパソコンのセットアップや携帯電話・PDAの保守管理を行っている。 内部障害者1名勤務 ●オフィス駐在 親会社を含むスタッフサービスグループ各社の地方オフィスで、パンフレット管理や勤務表の入力など、オフィス内で発生する事務の補助作業を行っている。 内部障害者119名勤務 管理責任者に聞く Close Up 取締役 和田 厚志さん ●同じ仲間がいるから、共に頑張れる  私自身が12年前から人工透析をしており、前職を辞めざるを得なくなるという経験をしています。いくつもの壁を乗り越えて就職したこの会社では、同じ内部障害を持つ人たちが元気に出社し、張り切って仕事する姿に励まされています。少しぐらい体調が悪くても、「よし、今日も頑張ろう」という気持ちになれるのです。透析20年、25年という“大先輩”が元気で仕事されていますから、心強いですし、役職と関係なく相談に乗ってもらっています。 ●悩みを相談できる窓口は多いほうがいい  一般の会社に比べ年齢も就業経験もまちまちな人たちの集団ですから、社員同士のコミュニケーションを図ることが管理の基本。相談窓口を沢山設けて、社員がチョイスできるようにしています。  体調はもちろん、仕事上や人間関係などさまざまな悩みについて、希望があれば面談というかたちを取っています。直属の上司に相談しにくいことは、人事など客観的な立場の人間に話を聞いてもらったり、グループウェアの掲示板を活用するなどの方法を取っています。  産業医による毎月1回の定期健康診断や、看護師も常駐していますから、気持ちの問題を含めて相談してほしい。このほかにも、インサイドカウンセリングということで、外部の業者と守秘義務契約を結び、電話での相談に応じてもらっています。個々が持つ障害についてざっくばらんに話し合える環境は何ものにも代えがたい。この先もお互いの個性を認め、補い合えるかたちを目指していきます。 ●不測の事態に備えた業務の標準化を推進  こうした特例子会社を存続させるためには、仕事の結果がどうしても求められます。障害があるからという甘えは許されません。信頼を勝ち得るために、納期の厳守は絶対条件。時間的な制約のある中で仕事せざるを得ないわけですが、突然の欠勤という場面にもしっかり対応するには、マニュアルの整備や業務上で頻繁に活用する用語についての共通認識を高めるなど業務の標準化が最大の課題です。朝礼や各職場ごとのミーティングで意識の徹底を図っているところです。  また、ビジネスサポート独自の仕事を構築する努力も重ねていきたい。レストラン部門の展開はその結晶の1つです。この会社に安心して勤められる喜びを、1人でも多くの仲間に分け与えたい。障害のある人にとっても、サポートしていただいている健常者にとっても、あるいは外部の方にとってもより魅力ある会社にしていきたいと思っています。 従業員の声 業務部ゼネラルマネージャー補佐 楚田 俊二さん  前の会社では透析していることは隠し、かなり無理をして働いていました。内部障害があると出世できないといわれたことが退職の理由です。この会社ではマネージャーや取締役への道も開かれていることにやりがいを感じています。  私は月曜と水曜は早番で3時に帰りますが、あと1回の透析を土曜にすることで、火曜・木曜・金曜は目いっぱい働けます。厳しい食事制限はありませんので、栄養面の管理を心がけるぐらいですね。  個人情報資料の保管と給与明細発送業務の管理を任されていますが、残業が多い部署でした。皆で話し合い、グループ分けして各担当者を置き、責任の所在を明らかにする体制をとったことで、定時に終われるようになり、評価していただけたことは大きな喜びです。組織が大きくなるほどつねに創意工夫で新しい試みをしていく必要があると痛感しています。 給与計算業務 岩崎 敦夫さん  この会社は病院のソーシャルワーカーの方から紹介されました。腎臓機能に障害があっても働ける場があったことが驚きであり、感謝しています。  入社当時55kgとスリムだったのが、毎日規則正しく働いているせいか、今70kg(笑)。趣味の卓球で少し体重を絞ろうと考えています。外食が多いので栄養成分を気にするぐらいで、食事の管理はあまり神経質にしていません。常時看護師さんがいてくれますし、いざという時に電話などで相談できる環境が整っているので安心です。  グループの正社員、契約社員、アルバイトやパートの方たち約4000人の給与計算が主な仕事で、支給日の1週間前からは忙しい。透析がある日に仕事をやり残して3時に帰社するのは少々心苦しいのですが、その分、透析がない日は遅くまで仕事するようにしています。  給与計算のスペシャリストになるのが夢。知識を増やして給与関係の資格や、エクセル検定1級取得を目指します。 TOPICSトピックス 体に優しい「れすとらんハーモニー」を運営  腎臓機能障害者と知的障害者が中心になって運営しているのが「れすとらんハーモニー」。2005年に本社近くにオープンした。“体に優しい食事”をモットーに、内部障害のある人に配慮したメニュー、手づくりのおいしさを提供している。  ビジネスサポートの社員食堂も兼ねているが、「地域のお客様が確実に増えていてうれしいですね」と、食堂責任者として仲間たちを引っ張る引田公明さん。引田さんも人工透析者で、前職はすし職人。会社では印刷業務に携わっていたが、調理師免許を持っているため、その技能を生かしたいと、レストラン開設時の社内公募でここにきた。「いろいろな人たちのふれあいの場として、どんどん利用してほしい」。  店内には近くの障害者施設の人たちが製作した手工芸品や陶器なども定期的に展示、カップなどはレストランで使用している。  今後は弁当業務にも力を入れ、近隣の企業や福祉作業所、老人介護施設などに、「おいしさと栄養に配慮したお弁当を届けたい」と、引田さんは張り切っている。 優秀賞 株式会社リクルートオフィスサポート 心身ともに健康に働ける職場環境づくり ―トータルサポートが受けられる職場― 企業プロフィール 株式会社リクルートオフィスサポート ■代表者:代表取締役 島宏一 〒104-0054東京都中央区勝どき3-13-1 FOREFRONT TOWERU TEL 03-5560-2151 FAX 03-5560-2181 http://www.recruit-os.co.jp 業種および主な事業内容 株式会社リクルートおよびリクルート各社へのサービス、1.社内印刷物の印刷(軽オフセット)・製本・コピー 2.名刺作成 3.データ入力・加工 4.経理事務代行 5.総務事務代行 6.鍼・灸・マッサージサービス 従業員数 145名(平成18年10月1日現在) うち障害者数113名 <内訳> 内部障害者20名 視覚障害者4名 聴覚障害者11名 肢体不自由者72名 知的障害者5名 その他 1名 事業所の概要と障害者雇用の経過  株式会社リクルートおよびリクルートグループに対する各種サービスを提供している。平均年齢34.5歳。雇用している障害者の人数が多く障害の種類も多様なことに加え、障害者の成長を促す組織づくりをしている点でも注目されている。  平成元年、株式会社リクルートがハローワークから障害者雇用率向上の勧告を受け、特例子会社設立準備室を設置。それまでの障害者雇用率は0.12%であった。平成2年、障害者雇用の特例子会社「株式会社リクルートプラシス」を設立(株式会社リクルート100%出資)。  採用に当たって、障害の部位や程度ではなく、共に働きたいと思う人材であることを重視し、その人材に適した職場をつくることを基本姿勢としてきた。平成7年には法定雇用率を達成。平成18年に株式会社リクルートオフィスサポートに社名変更。 改善の注目点 Main Point 内部障害者に対して、どの程度の業務負荷をかけてよいかがわからない →「心身ともに健康に働ける職場環境づくり」にポイントを置き、健康管理の制度や仕組みを整備するとともに、それを利用しやすい、良好な人間関係を含む企業風土づくりを進める 内部障害者の内訳:腎臓機能障害者3名、心臓機能障害者11名 小腸機能障害者4名 他2名 内部障害者 雇用の背景 社会により貢献する企業に 障害者が働きやすい環境づくりを目指す ■特例子会社制度が突破口になり障害者雇用に踏み出す  各種情報誌を発行するリクルートが本格的に障害者雇用に取り組むきっかけは、昭和63年からの、いわゆるリクルート事件後の社内改革であった。法令遵守や社会貢献の必要性が強く認識され、未達成だった障害者の法定雇用率も改善プロジェクトの一つに取り上げられた。  しかし、情報誌の制作現場はめまぐるしく動き、かつ非定型的な仕事が多いことから、雇用は困難とされた。何をしてよいかわからず、初めの一歩がなかなか踏み出せない。そんな中、特例子会社制度が突破口を開くのではないかという考えの下、プロジェクトのメンバーが調査し提案した。  「会社の業務の性質上、時間に追われる慌ただしい職場ですので、どうしても障害者にとって厳しい環境になってしまいます。別会社であれば、働きやすい環境を用意することができる。この制度を利用することにしました」(事業推進室個人情報管理センター兼社外広報担当グループマネジャー・近藤康昭氏、以下、同氏)。  成功している特例子会社の事例に学びながら、平成2年、グループ内の事務処理サービスを行うリクルートプラシス(現リクルートオフィスサポート)が設立された。 ■グループの内部共通機能を集約しシェアードサービスの一翼を担う  当初採用は、できるだけいろいろな障害のある人を受け入れるという方針のもとで行われた。結果的に、年齢面でも能力面でも多様性のある組織となり、視覚障害者、聴覚障害者、肢体不自由者、内部障害者、知的障害者が働いている。 一般に会社組織は、できるだけ均質な集団とする方が効率的であるが、それとは異なる採用方針である。  リクルートオフィスサポートでは、リクルート本社やグループ会社の経理や総務業務のアウトソーシングを受託している。  「当初は、本業から外れた細切れの仕事を寄せ集めたような業務内容でした。ようやく最近、グループの内部共通機能をここに集約するという、シェアードサービスの一翼を担えるようになってきました」  例えば、経理であればリクルート本社とグループ会社を含めた連結決算を取りまとめる。総務であれば備品や会議室の管理、コピーや簡易印刷物などを担当する。定型的な仕事、パッケージにまとめられる仕事を整理して、リクルートオフィスサポートにアウトソーシングしてもらう。そうすることにより、制作部門など中心となるビジネスでは本業に集中でき、さらに付加価値の高い生産物をつくり出すことにつながる。一方、受託側では業務の品質と専門性を高めることができる。  「ベテラン社員にとっては単純な仕事が、社会経験が少なく本格的な仕事はこれからという人にとっては、よいモチベーションになる場合が少なからずあります。最初からハードルの高い仕事では、社会参加の入口になりにくいですから。グループでうまく分配していけたらと思います」 ■職務設計、人間関係などを含めたトータルなサポートを目指す  リクルートオフィスサポートでは内部障害者を雇用するにあたっての最大のポイントを「心身ともに健康に働ける職場環境づくり」に置いている。この職場環境とは、健康管理のための制度に加えて、職務設計や人間関係、職場風土、そして主治医・専門医などの外部機関の支援などを含み、総合的にサポートを受けられる状態を指す。  その背景には、内部障害の場合、障害の内容から業務の負荷にどの程度耐えられるか理解しにくいことがある。障害に起因する体調不良のため、勤務が不安定になったり、急に長期の療養に入ることもある。また、健康に対する自己管理の甘さが勤務に影響を与えがちな障害でもある。  十分に配慮された仕組みがあり、それを利用しやすい企業風土であれば、症状が軽いうちに対応をとることができる。あるいは、無理せず働ける環境である安心感が症状の悪化をとどめる力になっている。  多様な障害に柔軟に対応し、意欲的に雇用するリクルートオフィスサポートの先進的な試みに期待したい。 企業理念 私たちはあらゆる人が能力・意欲の発揮できる機会を創造し成果を高めることにより豊かで人に優しい社会の実現を目指します 経営の3原則 1. 個の尊重 2. 可能性の追求 3. 社会への貢献 ANGLE1 改善のポイントと効果 健康管理を支援する制度 通院のための申請方法や通院時間を配慮 ●定期通院許可制度  同社では、障害に起因する疾病の予防のため、定期的な通院を特別休暇扱いにできる制度が利用できる。実働時間とはみなされないが、利用回数に制限はなく、申請書も簡便にしている。この制度は、使うかどうかにかかわらず、制度の存在自体が安心につながっている。 ●健康相談の実施  年1回の定期健康診断のほか、毎月1回、産業医が来社し、健康相談ができる日を設定している。これにより、障害を持つ求職者の応募への動機が後押しできる。 ●フレックスタイム制度  事務のコアタイム(11〜14時)を除く時間帯で、事前に申告すれば、月間の所定労働時間内で出退社時間が調整できる。朝のラッシュ時を避けた通勤も可能であるため、体力負荷が軽減できる。 ●メンタルヘルスケア  直属の上司に相談しにくい職場での悩みなどがある場合に「職場アンケート」で指定した者(人事担当者や他部門の管理職者など)に面談でき、クリニックも利用できる。本人の同意なしに第三者に内容を伝えることはない。職場アンケートには、時に不満に関する記述もあるが、ストレス緩和に有効である。 ANGLE2 改善のポイントと効果 健康管理に配慮した採用と配置 多様な勤務方法を提示し負荷を軽減する ●短時間勤務者の受け入れ  人工透析者で時間的な制約がある人については、健康状態、職務、処遇、通勤環境などについて本人と話し合い、複数の処遇(時間給制、月給制アルバイター、正社員)から、最も本人の勤務に適した条件を個別に設定している。週3回の人工透析のため、正社員としては所定労働時間に満たない短時間勤務の希望者に時給制勤務の処遇を提示し、採用に至った例がある。 ●職務選定  基本的に肉体的に負荷の少ないデスクワークに配置。身体的負荷をかけない職務にすることで、無理なく所定労働時間の勤務ができる。内部障害者は、一見、障害の有無がわからないため、仕事量の加減がしにくく、メンバーも「大丈夫です、がんばります」と言うことが多い。障害を配慮した職場配置により、それを抑止できる。 ●複数人体制による集中負荷の回避  同社は、一つの業務を複数の人数で遂行するような職場にすることで、内部障害者への体力的集中を避けるとともに、バックアップ可能な状態にしている。このことにより、突発的に長期の休みに入っても初期対応が可能であるとともに、業務が過度に集中することを避けることができる。 ANGLE3 改善のポイントと効果 健康管理を支援する体制、マネジメント、風土 良好なコミュニケーションが多様性の受容へ ●健康に関する情報の共有  職場の直属の上司は、障害を持つメンバーの健康に関する情報を本人の同意を得た上で把握するようにしている。これを日々のマネジメントに活用し、かつ異動時の引継ぎ事項とする。万が一、障害に起因する病状が悪化した場合の措置や主治医の連絡先などがわかっていれば、安心して雇用管理に当たれる。さらに、留意すべき勤務態度についても、正しい情報を持つことで自己管理を促し、適切に指導することができる。 ●マネジャー会議でのマネジメント情報の共有  隔週で実施している全社の管理職および役員による会議の開催時に、担当事業の状況報告のほか、メンバーに関する情報の共有を行う。管理者は、ここで討議される障害をもつメンバーの情報を日々のマネジメントに反映する。このことが、業務実績以外に重要な健康に関する情報にも関心を向けてもらうよい機会となっている。また、全社的な視点から多面的に障害のあるメンバーを支援するよい機会ともいえる。 ●組織体制  情報共有や判断をより早くするため、できるだけ職階の少ない組織体制で、活動の大半がグループ単位にまとめられている。これにより、もし、メンバーに障害に起因する雇用管理面の課題が発生した場合でも、判断の遅れによる状況の悪化を少しでも回避することが可能である。 ●保健室の設置  静かな場所に配置するとともに、腹膜透析や車椅子メンバーのじょくそう予防ができる設備にしている。 REPORT●私たちの設備・工夫● エレベータ ボタンを車椅子利用者が手の届きやすい位置に設置。 自動販売機 車椅子に乗った人が使いやすい位置に料金の投入口や飲み物の取出口がある。 保健室 体調を崩したメンバーが静かな所で休養を取ることができるよう、保健室は事務スペースと区切られている。 車椅子用トイレ 車椅子で回転するための十分な広さがある。 視覚障害用拡大読書機 処理伝票などを拡大して見ることができる。 社内のコピー/FAX 車椅子使用者も液晶の操作パネルを見ることができるよう、操作部分と排出部分を分けている。 上肢障害者用鉛筆 マジックテープ付きのベルトで手にしっかり固定。端末入力もできる。 床のバリアフリー化/自動ドア ケーブル類などを排除し、できるだけ段差のない床に。自動ドアは車椅子で楽に出入できる横開きを採用している。 管理担当者に聞く Close Up 事業推進室個人情報管理センター兼社外広報担当グループマネジャー・近藤 康昭さん ●制度や仕組みを利用しやすくしたい 内部障害のある人を雇用していくために「こうだ!」という決め手があるわけではありません。私たちも今、試行錯誤しながら、このあたりからやっていこうという実践に取り組んでいるところです。  基本的なあり方として、健康管理のための制度や仕組みを整え、障害に起因するハンディの軽減を図り、本人の能力が最大限に発揮されることを支援しています。しかし、健康管理の仕組みを有効に機能させられるかどうかは、その利用のしやすさにかかっています。  定期通院許可制度にしても、使いたいと思った時に、「今休むとまわりに迷惑がかかる」「怠けているように見えるのではないか」といった気兼ねやためらいがあったのでは、なんの役にも立ちません。そうしたことを感じさせない企業風土づくりが必要なのだと思います。 ●多様性を受容する環境づくりへ  つまり、障害理解を含む「個人の理解」ができていること、そして支え合い、励まし合う風土があってこそ、仕組みや制度が活かされ、安定した雇用が可能になるのではないでしょうか。  考えてみますと、このことは内部障害者に限ったことではなく、男女の性差や年齢層の違いなど、多様性を受容する環境づくりにもつながります。終わりのない改善の繰り返しをとおして、よりよい職場のあり方を追求していきたいと思います。 従業員の声 事業推進室ドキュメント管理センター 田谷 敏行さん ●配慮された制度や設備が心強いですね  15年ほど前に発病して人工肛門をつけることになり、内部障害者の認定を受けました。入社3年目の現在、主にリクルートグループやその業務委託先の個人情報保護に関する書類の取りまとめや保管・管理に当たっています。  この会社を志望した理由は、設備や制度がしっかりしていたこと、障害者の方がたくさん働いていることでした。前職は大手運送会社の事務職で、いろいろ配慮していただいたのですが、障害者は私1人でした。ここでは、視覚障害や肢体不自由など、いろいろな障害をもつ人が多数働いていて、障害に配慮した制度や施設もあり、心強いですね。  内部障害の場合、病気の部分に気を付けていれば、健常の方と同じように働けると思います。設備や制度を堂々と利用していきたいですね。 経営企画室人事・総務グループ M・Iさん ●相談しやすく、働きやすいです  入社して3年になります。小腸機能障害がありますが、食事の自己管理面で気を付ける以外、勤務に問題はありません。面接などをする人事系担当者の募集だったことと、障害をケアする体制ができていたことから、当社を志望しました。最初は、上司をさんづけで呼ぶのにとまどいましたが、壁がなくコミュニケーションがスムーズにいき、仕事のしやすさにつながっていると思います。相談もしやすいです。  現在は総務関係の仕事が中心で、面接にも少し携わっています。昨年行われた会社の引越しでは、オフィスのレイアウトを担当するなど、これまで体験したことがない仕事もできました。障害に関することも率直に相談できるため、よりよい職場づくりにつながっているのではないかと思っています。 優秀賞 株式会社かんでんエルハート 障害とうまくつき合いながらはつらつと働ける「安心感」のある職場づくり 企業プロフィール 株式会社かんでんエルハート ■代表者:代表取締役社長 香川次朗 〒559-0023 大阪府大阪市住之江区泉1-1-110-58 TEL 06-6686-6874 FAX 06-6684-2132 http://www.klh.co.jp 業種および主な事業内容 花卉栽培・花卉販売・花壇保守、 広告企画・デザイン・印刷・製本、ノベルティ商品の販売・箱詰め・包装、社内文書の発・受信サービス、メールサービス、厚生サービス、電話受付サービス、データ入力・編集加工など各種データ処理サービス、産業マッサージ・セルフケア講習会ほか 従業員数 140名(平成19年2月1日現在)うち障害者数97名 <内訳> 内部障害者  4名 視覚障害者 11名 聴覚障害者  8名 肢体不自由者22名 知的障害者 48名 精神障害者 4名 事業所の概要と障害者雇用の経過  平成5年12月9日の障害者の日に、関西電力、大阪府、大阪市の共同出資による第3セクター方式で設立した特例子会社。特に雇用の遅れている重度身体障害者と知的障害者、精神障害者を多数雇用するために、多様な業務を行っている。  電気事業の職種枠を超えて多彩な職域を開拓し、あらゆる障害者の特性や可能性を最大限に生かすように運営されているのが特徴。内部障害者は開業4年目に初めて入社した。ともすれば閉鎖的になりがちな障害者同士が理解し合い、助け合い協力し合う交流の場でもある。また、見学会や講習会の依頼を積極的に受け入れ、障害者理解・障害者雇用を伝える発信基地としての役割も担っている。開業以降の見学者は4万5000人を超え、注目のほどがうかがえる。 改善の注目点 Main Point 見た目に「障害」がわからないため、思いやりや配慮が遅れがち →内部障害者の病状・特性を理解し、医療機関と連携が図れる体制をつくる 職務内容、勤務形態などが過重にならないようきめ細かな配慮をする 内部障害者の内訳:腎臓機能障害者2名、心臓機能障害者2名 内部障害者 雇用の背景 通院にかかる負担や体力的な問題を十分理解したうえで能力に見合った仕事を ■健常者と遜色ない内部障害者の作業能力や業務遂行能力  関西電力の特例子会社として、すでに多くの障害者が働いていた「かんでんエルハート」が内部障害者を採用したのは偶然の出会いからだった。車を運転して知的障害者を花壇保守の現場に送迎し、かつ園芸指導やサポートができる草花に詳しい人材を求め農芸高校に出向いた時、たまたま洞不全症候群で心臓にペースメーカーをつけた高校生に出会った。就職希望とのことだったので、採用試験の後採用を決定した。現在、園芸課に勤務する樋口さんである。その後、内部障害者の数は増え、現在エルハートには彼のほかに両肺移植者が1人、腎臓移植者が2人、計4人が働いている。  内部障害者の場合、自身の健康管理については自らが十分に注意しており、周囲の支援を必要とすることはほとんどない。また作業能力、業務遂行能力(職業特性)についても健常者とほとんど遜色なく、事業主としても内部障害者の雇用に負担を感じることはあまりない。では、一般の企業でも十分勤まると思われる彼らが、なぜ特例子会社であるエルハートを選んだのだろうか。 ■一般の企業でも十分勤まると思われる内部障害者がエルハートに就職した理由  入社後、管理職が「なぜうちの会社を選んだのか?」と彼らに聞いてみたところ、次のような回答が返ってきた。  「一般の会社は、障害者というだけで正社員として扱ってくれない」「障害者手帳を持っているというだけで嘱託や契約社員としてしか雇ってくれない」「能力があっても仕事を任せてくれず、定時になると帰るようにいわれる」「移植後1年半と日が浅いため、まだ体力的に無理ができない。この会社なら残業などの面で配慮してもらえると思った」「通院や定期入院で休まなければならないが、一般の会社は休暇がとりにくい風潮がある」「自分の持っている能力を生かしてバリバリやっていきたい。それがこの会社だったらできそうなので選んだ」などである。  彼らが「通院にかかる負担や体力的な問題を会社側に十分理解してもらった上で、低い評価をされることなく能力に見合った仕事を得たい」と願っていることがわかる。その願いは、逆にいえば「内部障害があるということが雇用主の不安となっており、能力があってもその能力を発揮する機会が得にくく、自分の持っているもので勝負しにくい社会である」と聞こえてくる。 ■障害者が「ここで働くことがとにかく楽しい」という会社に成長 障害の有無にかかわらず、人が就労する上で必要とされる事柄をその優先順位で並べた大阪障害者職業センター作成の「就労ピラミッド」によれば、企業人として就業生活を送る上で必要なことは「@健康管理(病状管理)」「A日常生活管理・基本的な生活のリズム」「B社会生活能力・対人技能」「C基本的労働習慣」「D職業適性」の5つで、そのいずれかが崩れると、それを基盤としていた上の部分も崩れ、就労が困難になるという。  内部障害者の場合は他の障害者と異なり、A〜Dのいずれも十分備わっていることが多いため、会社側の特別な支援を必要とすることはほとんどない。ただ、多くの内部障害者が、仕事をする上で最も重要と考えられる@の「健康管理(病状管理)」の部分に不安を抱えている。もっとも@に関して会社側が専門的な支援を行うことは困難である。エルハートでは内部障害者に対する日常的な配慮として、職務内容・勤務条件などが身体的に過重なものにならないよう気をつけている。ここで働く内部障害者の4人全員が「この会社で働くことがとにかく楽しい」と言う。そんな彼らを身近で見てきた上司が、「みんな仕事が大好きのようです。仕事をしすぎる傾向があり、こちらの方が心配になってしまう」と苦笑いするほど。「障害とうまくつき合いながらはつらつと働ける『安心感』のある職場づくり」が、着実に育っている。 P22REPORT●私たちの業務● ●花卉栽培・花壇保守業務 花壇用草花の育成、花壇への植え付けと管理、販売などを行う園芸課。知的障害者が中心の部署で、園芸業務のほか知的障害者を統率し運転して作業現場へ出かけたり、指導やサポートの役割を担う。 ●印刷営業業務 各種広報誌やチラシ、ポスター、パンフレットなどの企画・デザイン・印刷を行う印刷課に所属。肢体不自由者(車椅子利用者)や聴覚障害者が中心の部署なので、営業として日々顧客を訪問し直に接する。 ●メールサービス業務 関西電力本社のビジネスアシストセンターで郵便物や社内文書の仕分け・集配を行うメールサービス部門。知的障害者中心の部署なので、わかりやすく単純化した作業手順を考えたり、指導や支援を行う。 ●印刷データサービス業務 ビジネスアシストセンターの印刷データサービス部門。肢体不自由者、聴覚障害者が中心の部署で、名刺受付から発送までを行う。また、売上計上や請求書発行などの経理の一部、また、ほかの業務の支援なども行っている。 ANGLE1 改善のポイントと効果 「緊急時用引継カード」を本人と所属長が携帯し 万一の場合迅速に対応できるシステムを導入  万一勤務中などに倒れ、自身で意思伝達ができない状態になった時も、周囲の者が迅速かつ的確に医療機関と連携が図れるよう、救急時の注意事項(例:心臓ペースメーカー使用のためMRI検査は厳禁など)やかかりつけの病院・主治医の連絡先、投薬の種類などを書いた「緊急時用引継カード」を胸のネームプレート内に携帯。所属長も同じものを携帯している。他の社員もカードの存在については認識しており、本人に意識がない時は周囲の者が迅速に対応できるシステムになっている。 ANGLE2改善のポイントと効果 月に1回、産業医による健康相談を実施 職場における健康管理のための整備を行う  月に1回、会社が委託している産業医による健康診断を実施し、職場における健康管理のための整備を行っている。また、産業医が常駐している提携病院は本社から至近距離にあるので、社員に何かあった時はただちにそこにかかれるような体制を整えている。しかし、障害の種類によっては提携病院で対処できないこともあるので、そういう場合は「緊急時用引継カード」に記された病院や主治医に連絡をとり、対処するようにしている。 ANGLE3 改善のポイントと効果 入社時は元より入社後も本人と定期的に面談し 個々の障害特性に応じたきめ細かな配慮を実施  入社時の面接で、「障害」「症状」「社会生活上留意すべきこと」などを十分にヒアリングする時間をとっている。その上で、本人の希望と会社のニーズがうまくマッチングする適材適所の配置に心がけている。  入社後も代表取締役との面談を年に1回、所属長との面談を年に2回持つようにし、画一的ではなく、それぞれの障害特性に応じたきめ細かな配慮ができるようにしている。勤務時間についても、障害の程度に応じて融通が利くようにしている。また、必要に応じて月に1回程度ケース会議を開き、それぞれの社員の勤務時間や仕事の内容などを、体調に応じて臨機応変に変えるなどの対処を行っている。 ANGLE4 改善のポイントと効果 障害者職業生活相談員を養成し各職場に配置 内部障害者が気軽に相談できる環境を整備  障害者職業生活相談員(現在18名在籍)を養成し各職場に配置している。彼らは、内部障害者がどんなことでも気軽に相談できるキーパーソンとなっている。また、タイムレコーダーを玄関入り口の事務室に設置し、社員が毎朝出勤すると近くの人間が声をかけ、その日の体調を聞くようにしている。 ANGLE5 改善のポイントと効果 名札や執務室に「ハートプラスマーク」をつけ 外部に内部障害者の存在を知らせ理解を求める  内部障害者は見た目ではわからないので、他社の従業員や外部の人から誤解をうけたり、配慮してもらえなかったりする場合がある。そこで本人のネームプレートや執務室の入り口に「ハートプラスマーク」をつけ、内部障害者に対する理解と配慮を求めるようにしている。 従業員の声 花卉栽培・花壇保守業務 樋口 亮さん ●チームワークで働いているので不安はありません  自分が農芸高校で学んできた専門分野が生かせるし、障害のことも配慮してくださるというので入社しました。私の場合は5年に1度、ペースメーカーの電池交換のために約1週間の入院が必要なのです。仕事は、知的障害者のメンバーを毎朝トラックに乗せて現場に伴い、作業の指導をしています。ペースメーカーを入れているのでマラソンのように長時間負荷がかかるようなことは無理ですが、作業はチームワークで行うのである程度体力を使うような仕事も大丈夫です。メンバーもよく協力してくれるし、障害が軽度の人は私の体のことに気を遣ってくれるので不安はありません。 メールサービス業務 板垣志郎さん ●働く意欲のある移植仲間にぜひ紹介したい会社です  23歳の頃、原発性肺高血圧症という病気になり、31歳の時に日本初の両肺移植を受けました。私の場合、2カ月に1度の通院と、年に1度は1週間に及ぶ検査入院が必要です。また免疫抑制剤を飲んでいるので抵抗力が弱い。ですから通院や入院のために定期的に休みをとらなければならない私にとって、休みがとりやすい環境は本当にありがたいですね。主治医の先生は「緊急時用引継カード」を見て、「障害にそれほど理解のある会社はほかにはない!」と感心しています。今の会社は勉強になることも多いので、目標を持って生活できるようになりました。 支援担当者に聞く Close Up 業務課主任 上林康典さん ●「休憩させてください」が言いやすい環境をつくる  内部障害者は、入社当時に共通した特徴がありました。それは、障害のことを隠すわけではないが、聞かれない限りは自ら話さないということです。自分の健康管理については自己責任であると考え、わざわざ周囲に支援を求めたりはしない、またその必要もないと思っていたようです。内部障害は外からは見えにくいので、一緒に働いている社員も、ともすれば障害のことに気づかない、知っていても忘れてしまうという傾向にありました。しかし実際は、内部障害者のほとんどが、自分の身にいつ何時、万が一のことが起こるかもしれないという不安を一人で抱えていたのでした。  例えば内部障害者の多くは「明日、病院に行かなければならないので休ませてください」という言葉は言えても、仕事中に体の具合が悪くなった時「ちょっとしんどいので休憩させてください」という言葉が言えませんでした。つい頑張ってしまうのです。ある日そのことに気づき、「しんどい」「休憩させてください」が言いやすい環境をつくらなければならないということを痛感しました。「ハートプラスマーク」を使っているのもそうしたことがきっかけです。ハートプラスマークを掲げることで、外からはわかりにくい内部障害者の存在を、外部の人にご理解いただくのに役立っています。 ●いざという時のために「緊急時用引継カード」を作成  医療サポートの面でも工夫が必要です。とはいえ、実際に企業内で医療的なサポートを行うことはなかなか難しい。しかし社内でいざという時になんとか支援できる体制だけはきちんと整備しておこうと思いました。そこでつくったのが「緊急時用引継カード」です。これは、特に内部障害者にとって必要かつ安心なシステムだと思います。社員旅行でグアムや台湾に出かけた時は、英語版や北京語版もつくりました。海外で万が一のことがあった時でも役に立つだろうと思ったからです。それぞれが胸に付けたカードが、現地で話題になったことは楽しい思い出です。 ●障害の種類に応じた具体策を講ずる  それぞれに対する具体策としては、例えば空気の悪い環境がダメという両肺移植を受けた社員のために、彼の働くビジネスアシストセンター内のいたるところに空気清浄機を設置しました。心臓のペースメーカーを使用している社員のためには、強い電磁波が機器に誤作動を生じさせる原因になりかねないので、配属の際には職場の電磁波の状況を検査し、問題がないことを本人に確認してもらってから行ってもらうようにしています。また腎臓移植を受けた社員の場合、移植後約5年は体調面に不調をきたすことがあるので、体力的に負担の少ない部署に配属するなどの配慮をしています。  こうした取り組みの結果、無理しがちだった内部障害者が自らの体調を考えるようになり、休息や休暇の申し出もしやすくなったようです。彼らの勤務ぶりを見ていて、私個人としては内部障害者のほとんどがどんな会社でもやっていける人材だと確信するようになりました。こうした優れた人材を採用しないのは社会の損失以外のなにものでもありません。今後も彼らの話に耳を傾け、はつらつと働ける「安心感」のある職場づくりに努めてきたいと思っています。 優秀賞 松本技術コンサルタント株式会社 腎臓機能障害による人工透析治療者の 継続雇用に必要な職場適応措置 企業プロフィール 松本技術コンサルタント株式会社 ■代表者:代表取締役社長 松本邦男 〒871-0161 大分県中津市大字上池永1285-10 TEL 0979-23-3636 FAX 0979-23-4139 http://www.matsugc.co.jp 業種および主な事業内容 河川・砂防ダム、下水道、道路・橋梁・トンネルの設計から、測量、地籍調査、公園施設・補修補強など、建設分野の総合コンサルタント業務。また調査業務の一環として、バルーンを使った航空写真撮影、公共事業に伴う補償業務ほか。 従業員数 37名(平成19年2月1日現在) うち障害者数1名 <内訳> 内部障害者 1名 事業所の概要と障害者雇用の経過 大分県北部近隣の市町村および国土交通省・大分県出先機関をはじめとして、県下全域の官公庁を主体とした受注・コンサルティング活動を展開。  創業は昭和51年12月で、約30年間にわたり公共工事用の測量・設計を通じて地方社会のインフラ整備に貢献している。  平成15年当時、調査部部長だった該当社員が急性腎不全を発病。半年間休職し自宅療養を続けたが、最終的には人工透析が必要となった。しかし本人は創業当初より会社に貢献し、雇用の継続を強く望んでいたので継続雇用を決定、現在に至る。 改善の注目点 Main Point 重圧がかかる現場作業からの配置転換と新業務への対応 →全社的な理解と協力のもと、本人の健康状態、新しい職場への適応状態をみながら、少しずつ着実に進めていった 内部障害者の内訳:腎臓機能障害者1名 内部障害者 雇用の背景 突然の発病で、治療を可能にする労働条件の整備と、本人の業務適応が急務 ■雇用を継続させるために体力的、時間的に就業可能な職場に配置転換  松本技術コンサルタントは、生活環境の基盤整備を中心とした建設コンサルティング業務をとおして、「安全で安心できる国土の建設」、「自然の豊かさとゆとりある生活空間の創造」を目指してきた。その創造の中心には常に人間がいて、人々の生活がある。すべての人が豊かに安心して暮らせることを目標にしている。堀さんが突然病に倒れ、腎臓機能障害者となった。病気の状況を見ながら、共に働ける環境の整備を、会社として模索しはじめた。  堀さんは、会社を3人で発足させた当時からの仲間であり、発展していく過程で会社に大きく貢献してくれた人材だった。平成12年1月に体調の異変を訴え入院、すぐにステロイド治療を始めた。治療中も本人は復職を強く希望していたが、病状はよくならず、平成15年11月から16年4月まで休職して治療に専念し、平成16年5月に職場復帰が可能なまでに回復し、会社に迎えられた。  今までは測量部門の責任者として調査部部長の職位にあり、測量の現場で指揮をとるなど、体力的、精神的に重圧のかかる仕事を担っていた。  しかし、復職してからも週3回の人工透析、食事制限、水分補給の管理などが必要な状況から、これまでの業務を行うには、体力的、時間的にも無理だった。 ■職場復帰のためのハードルを越えるためには同僚・上司の理解と協力は不可欠  職場復帰のためには決して低くはないハードルがいくつかあった。復職のためにまず、重作業・肉体労働を伴う現場作業がある今までの業務から事務作業に移ってもらうことにした。現場作業で指揮をとっていた者が、適応できるだろうかと危惧されたが、人工透析をしながら仕事を続けるための環境、労働条件の整備と配慮は満たさなければならない最低限の条件だった。  内部障害者は、外見では健常者とほとんど変わらず、その障害が周囲に理解されにくいこともある。内部障害者が勤めやすくするためには、特に社員全員の理解と協力という環境整備が欠かせない。そのため、差別などの人権尊重に関する社内意識を徹底させなければならないと考えた。  幸い、松本技術コンサルタントにおいては、高齢者や障害者、同和者などの雇用問題、人権保護について考える、中津市主催の「人権学習会」に、6年前から定期的に参加していたため、役員、社員の障害者に対する人権意識はきわめて高かった。さらに、大分県労働基準協会と中央労働災害防止協会共催の「メンタルヘルスケア指針基礎研修」にも積極的に参加していたため、健康問題に対する対応もスムーズだった。従って、今回の職場復帰のための適応措置が比較的順調に推移しているのは、この教育の成果が大きかったと考えられる。 ANGLE1 改善のポイントと効果 配置転換で体力的負担を軽減し 一般職復帰で時間的・精神的余裕を生む  測量という業務は現場作業で、重労働を伴うことが多い。そのため、体力的な負担を軽減するために、事務部門の企画営業部へ配属した。配置転換にあたっては、体力的な負担を軽減したり、人工透析を優先できるように時間的な融通がきく業務を行うという障害を配慮することと本人の能力、気持ちの尊重の必要性を考慮した。  配属して1年6カ月後、厚生労働省作成の「職場性ストレス簡易調査法」によるストレス調査を行った結果、対人関係の構築、職場内支援度といった項目でストレスが多く発現していることがわかった。原因としては、人間関係が希薄になって疎外感を持っていることが考えられた。そこで、企画営業部長と協議して、以前担当していた測量部門との接触機会を今以上に持てるよう配慮した。測量部門からの技術的な質問に対してアドバイスできるようにしたところ、3カ月後の調査では、ストレスは大きく改善されていた。さらに、本人の状態を確認しつつ話し合いの中で、業務を広げていった。 ANGLE2 改善のポイントと効果 透析治療に合わせ労働条件を整備 給与体系を時給契約にシフト  労働条件の整備で最優先したことは、週3日の人工透析だった。病院の透析可能な時間帯と、本人の希望を考慮して、管理職は重責を伴うため、一般職としての復帰などの条件を決定した。  これらは、本人が仕事と治療の両立しやすさに加え、他の従業員の理解が得られるよう配慮した。また、企画営業部を個室に移し、室内の温度、湿度の調整をしやすくするなど、ハード面を整えた。  他の社員とのバランスを考え、給与体系は時給契約へ変更し、治療時間をとりやすい環境をつくった。また、病院での定期検査に対応する場合の有給休暇取得をとりやすくするため、事前に承認し、時間外の業務はなしとした。 ANGLE3 改善のポイントと効果 事務能力取得のために3カ年の措置計画を立案 治療体制や体力を勘案し費用は会社負担で社内研修  本人の人工透析治療により、体力を十分考慮した上で、現場での技術職から事務職への適応を高めるため、3ヵ年の事務能力習得の研修計画を立案した。社内研修を主体とし、外部研修については、日程や講習時間についても十分吟味し、本人の健康を考えて妥当と判断した場合に限定した。なお各種外部研修費用や研修旅費については会社負担で行うよう決めた。  教育に当たっては測量業務管理、技術者としてのキャリアを考慮し、比較的適応が容易と考えられる測量業務関連の事務から行っていった。当初予定していた外部講習会については、ほとんどが遠隔地で、移動に伴う体力負担や、緊急の病変のリスクに対応できないことも考えられたために実施できなかった。それでもISO外部監査や社内部門会議には同席し、加えてOJT(オン・ザ・ジョブ・トレーニング)を行うなど、実践場面での教育を積み重ねている。教育の成果は、「職場性ストレス調査」ではコントロール度、仕事の適合性の面でストレス値が高かったが、2年目に社内OJTを進めた結果、仕事の適合性については大きく改善された。 ANGLE4 改善のポイントと効果 人事管理部門から全社員に勤務体制変更への理解・協力を求める  勤務体制について社内の理解・協力を得るために、部長会議を通じ人事管理部門の総務部から、本人の病状、透析治療の実態、変更した勤務条件などを、可能な限り開示するとともに、本人の復職にあたっての社長の方針を説明した。さらに、会社に助成金が支給されることなども話し、社員の中の不公平感をぬぐいさるようにした。  営業企画部長も状況を把握していて、残業については勤務条件変更以来、定時退社させている。同じ部署の同僚には担当部長を通じて理解・協力の要請を行い、忙しい場合には仕事を手伝うなどの支援体制を整えている。また、以前所属していた測量部門の社員も、技術的アドバイスを受けているので、よきアドバイザーという感覚で接しはじめている。 管理担当者に聞く Close Up 総務部部長 秋本豊師さん  最初は病気のことはわかりませんでした。だから、会社の制度内で、就業規則に則って病欠、有給休暇、休業などの名目で休みを取らせ、社会保険からの補助を利用して対応し様子を見ていました。創業時から長い間、会社に貢献してきた人ですから、それに報いたいという役員の思いもあって、半年間の休職の後、本人の希望もあって復職してもらいました。  測量士という国家資格を持っているキャリアも能力もある人ですから、その能力をどうしたら活用できるか、そのためにはどうすれば本人が働きやすくなるのかを考えました。まずは社内の同意、条件の整備、社員教育、そしてメンタルヘルスに注意すること。そのような改善の流れに沿って労働条件について役員の同意をとりながら本人と話し合いました。  透析のスケジュールに合わせることを最優先し、就業時間を決めました。治療は週に3回、約4時間かかりますが、体力の消耗や気力の減退を考慮して十分に時間を空けることが必要です。通常の勤務時間は午前8時15分から午後5時15分ですが、透析をする火曜、木曜、土曜日は午前11時45分で退社してもらいます。本人はまじめ人間で「途中で退社しづらい」というので、しばらく就業データを採った後に、給与体系を含めた雇用契約から見直しました。退職金を払い一時退職扱いとし、給与は時間給とし、嘱託で定年時まで雇用する契約にしたのです。  今まで経験のない仕事をしてもらうわけですから、教育が必要でした。本来ならプログラムを組んで研修を受けさせるのですが、自分で(仕事の)問題点を探し出せる人ですから、上司にOJT(オン・ザ・ジョブ・トレーニング)を行ってもらいました。具体的には、パソコンを操作しエクセルを使って見積書を作る作業などですが、すぐに覚えたようです。外部で行う教育については、研修地が遠隔地のことが多く、健康管理の面から困難が予想されたので社内でできることに限定して行いました。  仕事に慣れてくると、今度は別の意味で問題も出てきます。本人がどういう働き方をしたいのか、就業中の健康管理は今のままでいいのか、ということです。聞き取り調査では、「外に出たい」という希望が強く、それがストレスになっているようでした。その希望に沿うとなると健康管理上問題が生じることも考えられます。真面目すぎて、ついつい頑張りすぎてしまうのです。現在では、測量スタッフとのコミュニケーションの場を設けるなどの対応でストレスはかなり抑えられています。 従業員の声 企画営業部 堀俊之さん  平成12年に体調が悪化して、病院にいったら急性進行性の腎臓病だといわれ、びっくりしました。即入院させられ、ステロイド治療をうけました。平成16年の5月から復職しました。  火曜、木曜、土曜日の週3日、透析を続けて3年間、正直体はきついです。自分のやりたい仕事はありますが、体がついていかず、自分に怒りを覚えたものです。病気を受け入れるまでに1年半かかりました。  前の仕事は、管理職ということもあって大変でした。今は見積書などを作っていますが、家でもノートパソコンを買い、自分なりに勉強しました。私は会社の創業時からの社員で、今では一番の古株です。経験を生かして、前の部署の若い人たちと話すのは、やはり楽しいですね。  週3日は12時に会社を出て透析に行きます。終わるのは5時過ぎでそのまま家に帰ります。自家用車を持っているので、自分で車を運転しての夜間透析も考えましたが、目が疲れるし夜の運転は危ないのでやめました。健康管理の面では、夏場はいいのですが、冬場は水分の調節が難しい。食事は少なくなりました。  60歳定年ですが、手に職はあっても不安です。体調がよければ働き続けたいと思っています。 Report●私の業務● 企画営業部のデスク・ワーク。パソコンで営業見積積算業務や品質マネジメントシステム(ISO)事務などの書類作成。健康管理の必要からお弁当を持参している。 優秀賞 医療法人青仁会池田病院 腎臓機能障害を抱えるからこそできる 役回りと継続雇用での人材活用 企業プロフィール 医療法人青仁会池田病院 ■代表者:理事長 池田徹 〒893-0024 鹿児島県鹿屋市下祓川町1830番地 TEL 0994-43-3434 FAX 0994-40-1117 http://www.ikeda-hp.com 業種および主な事業内容 池田病院での健診事業をはじめ、プライマリー・ケアから急性期、回復期から慢性期への医療提供、加えて在宅医療まで対応の総合ヘルス・ケア・サービス業務。外来透析センター、総合リハビリテーション、介護・療養病棟、介護用施設&居宅サービス、介護支援センターほか 従業員数 508名(平成19年2月1日現在) うち障害者数8名 <内訳> 内部障害者  4名 視覚障害者  3名 ( うち1名は腎臓機能障害と重複) 肢体不自由者 2名 事業所の概要と障害者雇用の経過  昭和38年12月、池田病院を開設、同47年11月、医療法人・青仁会の設立に伴い、青仁会池田病院となる。同60年に透析外来治療棟を新設し、平成2年の病院新築移転に併せ、老人保健施設ナーシングホームひだまりを開設した。以後、鹿屋訪問看護ステーション、介護保険相談センターひだまり、居宅介護支援事業所いけだ、鹿屋市在宅介護支援センターひだまりを順次開所・開設した。現在の池田病院の入院病床数は、一般・療養・介護病棟に分かれ合計189床。  昭和53年以降、慢性腎不全患者に対し人工透析を行いながら、腎移植希望患者に対しては、名古屋第2赤十字病院と連携し移植支援も行ってきた。当時、透析患者のうち腎移植手術を受け社会復帰を果たした数名を、本人たちの希望もあり雇用した。そして慢性腎不全を再発し、再び人工透析を受ける状態になったが、引き続き職員として雇用し現在に至る。 改善の注目点 Main Point 障害者であっても特別扱いはしないという環境づくり →透析治療を通じて、自らの工夫や体験談を生かして 患者とのコミュニケーションを図る 内部障害者の内訳:腎臓機能障害者4名 内部障害者 雇用の背景 本人の精神的、心理的負担を考慮し障害者を特別扱いしない環境づくりを目指す  病院で雇用する内部障害者は4名で、全員が慢性腎不全の患者。従って仕事が終わってから週に3回、透析治療を受けている。内部障害者は「体調管理がうまくいっていれば」通常の業務に就くことはさほど難しいことではない。  4名のうち2名は外来透析センターで勤務しているため、仕事が終わってから、それまでの職場で治療を受ける。また、1人は、以前、当病院を通じて腎移植手術を受け健常者として働いていたが、腎不全を再発させた。いずれも緊急の場合は、就業しながら治療を受けることが可能で、他の業種に就く人よりは時間的にも物理的にも恵まれた環境にある。病院はもともとバリアフリーで動きやすい。エレベーターなども台数は多く、患者はもちろん、障害がある職員には使用を勧めている。  医療サービスを提供する側としては、特別に雇用環境を改善する努力をしたわけではないが、「笑顔と真心で良質な医療サービスを行う」というモットーの下に、職員であっても特別扱いはしないが内部障害者としての身体的負担増につながらないよう配慮している。病気や障害のある人たちの早期回復と、社会復帰を支援することは当然のことであり、これらの処遇はノーマライゼーションの実現を目指す病院の基本姿勢と合致するところでもあった。  ただし、「体調管理がうまくいっていれば」といっても、就業中は、いつも体調がいいというわけにはいかない。特別扱いしないということは、健常なスタッフと同じ扱いになるということ。とはいえ、急な体調の変化などで休みが必要な場合には、優先的に有給休暇扱いにするなど、就業規則の解釈を柔軟に行っている。  池田病院の透析患者の中には、勤務する内部障害者を通して、将来、就業を希望する者もいるが、すべてに応えられる状況には無い。病院という特殊な職場では、雇用される側も専門的な知識や技術、資格が要求される。パソコン技能を身につけているなど、事務系の業務なら受入れの可能性がありそうだ。 ANGLE1 改善のポイントと効果 患者会を通じ、患者の要望に応えサービス向上に努める  病院の人工透析センターには、外来透析センターと病棟透析室があり、それぞれ90台、13台の人工透析器を設置し、外来、入院あわせて約240名の患者に対応している。今後、外来に透析器を20台増やす計画がある。  腎臓や肝臓病、パーキンソン病などの難病に関しては、全国にそれぞれにその病気の患者会が組織されていることが多い。鹿児島県の場合は、難病連(鹿児島県難病団体連絡協議会)の下に鹿児島腎臓病患者連絡協議会(鹿腎協)があり、「腎友会」という医療施設で組織される患者会がある。池田病院の場合も「池田病院腎友会」があり、約6割程度の患者が加入している。  外来透析センターの山下さんは腎臓病患者として患者会の活動にも積極的で、腎友会の役員を交代で引き受けて、病気を抱えて日常生活を送る工夫や体験談を会で紹介したり、病院や病院のスタッフに対する不満や疑問などの相談に乗ったりしている。また、そのことを病院に申し入れるなど、障害を抱える者だからこそわかる、患者と病院との橋渡し役を勤め、病院側の業務改善や、外来透析センター内の施設の整備など患者に対するサービスの向上に役立っている。また、鹿児島県の腎友会が主催する運動会などのイベントに、池田病院の患者会から参加する者があれば、職員が手伝いに出ることもある。  リハビリセンターでマッサージ師として勤務する川崎さんは、糖尿病から複数の障害を抱えていて、外部からの講演依頼も多い。本人が了解すれば休みを取って行くことは許されている。遠隔地に行く場合は、単独で行動することは無理なので、病院のスタッフを一人出張扱いで付き添いとして同行させている。 ANGLE2 改善のポイントと効果 周囲の人たちで見守ってはいるが職員でも特別扱いはしない  どんな場面でも職員が障害者だからといって特別扱いはしないことを徹底している。病院という場所柄、どんな患者にも特別扱いせず接するのは当たり前のことだが、病院にとっては患者がお客様、透析治療の現場では、職員がお客様になるわけだから、職員として勤務している時と、患者として治療を受ける時とを、きちんと区別することが大切だ。これは彼ら以外の病院スタッフにも徹底していて、職場を離れたら、他の患者と同じに接するよういっている。優遇するようなことが起こりそうになると、彼らのほうから、同じように扱ってほしいと言っているので、気持ちの切り替えはきちんとできている。  また、彼らが人工透析を受けるために抜ける時間帯の勤務は、他のスタッフがカバーしている。もともと病院業務は時間的に制約のきつい仕事、専門職なので各部署の責任者が指示を出し、現場で決めたローテーションで業務遂行している。  この病気の場合は、緊急の場合も想定されるが、病院勤務だからこそ他業種の人たちよりは恵まれた環境にある。「特別扱いしない」ということは、普通に接するということ、ただし、彼らの健康については、周りの人たちが普段の勤務の中で見守っている。 ANGLE3 改善のポイントと効果 風呂場、トイレ、休憩室など透析センターの施設を改善  職場環境として改善した点を挙げれば、仕事の後に治療を受けるために、透析センター内の施設を改善した。サウナつきの浴室を整備し車椅子でも使えるトイレを増設した。食事をしたり透析前後に体を休めることができる休憩室も床を高くし、車椅子からの乗り降りを容易にした。将来的にはもっと広くする予定だ。また、駐車場を施設に近いところに確保した。  しかしこれらの施設は、職員だけではなく一般外来の患者も使用するため、障害者雇用のために行った特別な施設・設備改修ではないと考えている。施設の改修には「腎友会」の意見も大幅に取り入れたため、病院スタッフと患者のコミュニケーションがうまくいき、信頼関係が生まれるという効果もある。 ANGLE4 改善のポイントと効果 バリアフリー化を徹底し働きやすい環境づくりに気を配る  病院だから当たり前だが、手すりは全廊下についているし、移動しやすい環境は整っている。エレベータの台数も、ほかの企業よりは多いし、大きく乗りやすい。ただし一般の職員には、なるべく使わないことを励行している。  だから雇用した障害者に特別なフォローをしているというほどではないが、働きやすい職場環境づくりには常に気を配っている。職員としてでも患者としてでも、特別扱いでものを考えると、病院としてはかえってやりにくい面もあるので、気持ちの上でもバリアーをなくし、また職員が透析を受ける場合であっても患者と同じく「特別扱いしない」ことも、心のバリアフリーだ。 管理担当者に聞く Close Up 事務局長 濱田守正さん  障害者雇用への取り組みとしては、ここは病院ですので内部障害者にとって、治療設備がありますから、そもそも働ける環境がそろっているということです。理事長、会長、院長ら病院としても、適材適所で積極的に雇用するという方針です。  青仁会が大きく発展した時、病院も規模が拡大していきました。当然スタッフの数も増やしていかなければなりませんでした。外来の患者さんが増え、さらに高齢者の患者さんが増えると、送迎用のバスも車椅子対応を考えなければならないし、そうすると控え室やロッカーも車椅子の患者さんの使いやすいように変えなければなりませんでした。患者さんのために行った改修が、職員である内部障害者にも好結果が得られたのです。  内部障害者雇用の始まりは、透析の患者さんの中から募って2人を採用し、透析技師の資格を取ってもらいました。  現在、透析を受けている患者さんの中には、就職を希望する患者さんもいらっしゃるようですが、現実の問題として、看護や技師など資格が必要な仕事で雇用するのは難しいでしょう。  医療事務課に透析をしている者が一人います。以前家庭の事情でいったんやめたのですが、再度声をかけて復帰してもらいました。新しく採用できるとしたら、パソコンなどを扱う事務系でしょうか、雇用の可能性はあると思います。  透析の場合は、時間的にも制限がありますが、病院の場合はその点余裕があります。病院内での気配りは怠りませんが、何度も言うように、特別はありません。職員が透析を受けるのであっても、他の患者さんと区別はありません。彼らのほうでも同じようにしてくれたほうが働きやすいと言っています。 従業員の声 外来透析センター副部長 山下義孝さん  臨床工学技師として、透析、ICU、人工肺などを扱う現場でトータル的に患者と接しています。透析センターでは、特に入院している重症の患者を担当しています。私自身中学生で発症して、高校時代から透析を始めました。熊本で4年間勤務していましたが、故郷でもある鹿屋に帰ってきて昭和58年からここで勤務しています。私自身の透析は勤務時間が終わってから、夜間に行っています。  昨年まで患者会(腎友会)の会計係をやっていました。最近は透析患者も高齢化と若年化が進んでいて、食事や水分制限のリスクを自覚していない人が多い。本人や家族に説明したり、そんな患者と病院との間を取り持つ、架け橋みたいな役割をしていますが、私自身が同じ病気をもっているので、両方によくわかってもらえます。  腎友会としては、国や県、市町村に対して患者の医療費負担などの問題について請願を行ったりもします。もちろん患者同士の交歓会や病院の施設改善など、身近なことについても話し合っています。ロッカールームの改修など、われわれも働きやすくなりました。 運動療法士 川崎 悟さん  私は15歳で相撲の世界に入って、幕内の前頭上位までいったんですが、糖尿病になって合併症で目が見えなくなり、人工透析をはじめました。相撲界は華やかな世界です。やめた当時はもう人生をあきらめていましたが、このままではいけないと思い、故郷の鹿児島の県立盲学校に入学して資格を取りました。  今の私は目が見えない。片足を膝下切断しもう片方は人工骨とうで、歩行器を使っています。周りのリハビリセンターの人たちがいろいろと手を貸してくれます。自分の治療の時も、やはり透析のところまで送ってくれる。ここは上に立つ人、ドクターもみんな理解があります。仕事の上ではハンデを背負っていることを感じさせない対応をしてくれますから、やりがいがあります。  マッサージの仕事は3名で受け持っていて、1日の外来は50〜60人の患者数があります。私には障害者団体や学校、一般の企業から講演の依頼があります。対象は子どもたちや高齢者ですが、1時間30分くらい、障害をもってがんばって生きているという話をしています。遠くから呼ばれることもありますが、病院はそれにも理解を示してくれています。 Report●私たちの業務● 山下さんは入院している重症患者を診るほか、患者会(腎友会)の役員も担当して、患者と病院の間との架け橋的な役割も果たしている。 リハビリセンターで患者の治療を行う。マッサージ台は足が不自由な川崎さん用の特注品。 奨励賞 社会福祉法人札親会 重度中途心臓機能障害者の 職場復帰・継続雇用への取り組み 企業プロフィール 社会福祉法人札親会 ■代表者:理事長 室田昌幸 〒001-0901 北海道札幌市北区新琴似1条12丁目6-47 TEL 011-761-2811 FAX 011-761-2851 http://www.satsuoyakai.or.jp 業種および主な事業内容 知的障害者援護施設、知的障害者通所授産施設、知的障害者福祉工場、知的障害者地域生活支援センターおよび保育所の運営。 従業員数 170名(平成18年7月1日現在) うち障害者数 33名 <内訳> 内部障害者   2名 知的障害者  31名 改善の注目点Main Point 新事業への移行途中に、施設運営の責任者が重度心臓機能障害者となった →障害者助成金を活用して職場適応措置計画を策定、手術後すぐに職場復帰できる体制を整えた 内部障害者の内訳:心臓機能障害者2名 事業所の概要と障害者雇用の経過 社会福祉法人札親会は昭和61年に「札幌市手をつなぐ育成会」を母体として設立される。同育成会は、昭和34年に設立された知的障害のある子どもを持つ保護者を中心とした「札幌市精神薄弱者育成会」を前身とする。  平成4年に知的障害者30名を札幌公共職業案内所の紹介により雇用し、知的障害者福祉工場の作業員に配置する。現在、雇用する障害者の総数は33名。  福祉工場である札幌市社会自立センターでは、遊戯台の解体作業、玄関マットのクリーニング、図書館の清掃業務委託などを行い、2名の心臓機能障害者が働く。1名は施設長として施設運営を担当、1名は遊戯台の解体などにあたっている。 内部障害者 雇用の背景 医師のアドバイスをもとに障害に配慮した勤務体制を整える ■管理職として多忙を極める中重度心臓機能障害と診断される 平成15年2月、社会福祉法人札親会の事務局長・中原明さんは、突然、同会が運営する福祉工場の一つ「札幌市社会自立センター」の所長である上松和志さんから相談を受けた。医師から、心臓機能障害のブルガダ症候群と宣告されたという。 ブルガダ症候群とは最重症の不整脈で、心室が全く不規則な収縮状態となり、ポンプとして機能しない心停止に陥って意識を失い、その状態が3分以上続くと脳機能も停止する。  「不整脈自体は健康診断で10年以上前からあったんですが、薬を飲んで治療していました。心電図の波形を見た医師から専門医に診てもらうことを勧められました」(上松さん)  専門医のもとで、擬似的に器具で発作を発生させて調べた結果は、やはりブルガダ症候群とのこと。上松さんが医師から示された選択肢は2つ。一つは、これまでと同様の治療を続けること。しかしこの場合、発作が起きたら助からない可能性が高い。もう一つは、植え込み型除細動器を使うこと。これは心臓の近くに埋め込む手術をしなければならない。  上松さんは即決で後者を選択する。  しかし、時期が最悪だった。  「ちょうど決算の時期だったんです。しかも、ちょうど新しい事業への切り替えを進めていました。すぐに除細動器を入れてくれと医師に言われたんですが、事業の骨子がまとまるまでは入院できない。入院も、普通は1〜1ヵ月半入院のところを2週間で帰ってきました」(上松さん)。 しかし、あまりに退院が早すぎて縫合部がほころび、再度病院に行くことになった。 ■知的障害者の社会参加を目的に保護者が設立した法人  上松さんは、札親会が運営する知的障害者援護施設・白石かがやき園が平成6年に開設されると同時に生活指導員として雇用された。その後知的障害者授産施設、知的障害者更生施設における生活指導員として勤務し、平成12年4月に札幌市社会自立センターに所長として配属された。熱心な仕事ぶりが評価されたものである。  札親会は、札幌市内の知的障害の子どもを持つ保護者を中心とした社会福祉法人である。昭和34年設立の「札幌市精神薄弱者育成会」(のちに札幌市手をつなぐ育成会)を母体とし、より活動しやすくするために社会福祉法人の認可を得て昭和61年に設立された。子どもたちが「社会生活が営めるように……」「社会参加ができるように……」との設立以来の思いを実現するには、行政との連携や補助金利用を進める必要があり、それには従来の社団法人では限界があった。  札親会には、「人としての当り前にある想いを大切に」しなければならないとして、生命の尊厳、個人の尊重、人権擁護、社会参加、専門的支援を柱とする倫理綱領が定められている。  事務局長の中原さんは「職員が心臓に疾患があっても働き続けられる環境を整えなければと。そうでなければ、設立の理念を外の人に言えないですからね」 ■担当医師から注意事項を聞き負荷の少ない職場復帰に取り組む  中原さんは、上松さんといっしょに担当医師に会い、仕事を続けるうえでの注意事項を聞き、すぐに対応に乗り出す。慣れた職場のほうが、精神的・肉体的負担が軽減できるだろうと考えられたので配置換えは行わないことにした。  中原さんは、2年間かがやき園で一緒に仕事をしていたこともあり、上松さんの仕事に対する考え方、取り組み方をよく知っていた。  「率先して障害者とともに汗を流す生活指導員の手本となるような人で、札幌市社会自立センターの所長として職員の信頼も厚い。また、それまで主業務だったおしぼりの洗濯から遊戯台の解体、玄関マットクリーニングへと切り替える仕事も手がけていました。迷いはありませんでした」 ANGLE1 改善のポイントと効果 労働行政機関に相談し助成金制度を活用して負担を軽減しながら職場復帰の方策をとる  貴重な人材に職場復帰してもらうには、どのようにすればいいか、労働基準監督署など、労働行政機関に出向き、相談した。そこで、ハローワーク札幌北の紹介により、相談機関および助成金窓口機関である社団法人北海道障害者雇用促進協会を知る。  この協会のアドバイスを受け、障害者雇用納付金制度に基づく助成金の中の、重度中途障害者等職場適応助成金を活用。費用負担の軽減を図りながら、ANGLE2で紹介するような職場適応措置計画をまとめることができた。職場復帰して3年が経過、この間、上松さんはほとんど欠勤していない。 ANGLE2 改善のポイントと効果 職場に内部障害者への理解を進め勤務体制などの仕組みを整える  医師からの注意事項をもとに、以下のような職場適応措置計画を立て、実施した。 @埋め込んだ除細動器が体内で安定固定するまでの期間、左上肢を上げたり回したりする可能性のある作業を本人が担当しないよう配慮する。 A肉体的疲労を軽減するために車両運転業務を伴う外勤業務を極力軽減し、内勤業務を主とする勤務体制にする。 B当分の間、早番業務(午前6時30分始業)を免除する。 C金属探知ゲートの使用はできないので、外勤時にコンビニエンスストアや空港登場口利用の際には同行職員がサポートする。なお、パソコンからの電磁波の影響がないことは本人の申し出により確認した。 D前記@〜Cを実行するために本人に補佐役または早番業務交代要員を1人配置する。  この措置計画は、職員に身体障害をテーマとする教育を行う上で格好のモデル事例となった。施設を利用している携帯電話所持者に、職員同様医療機器に与える影響およびマナー向上についての教育訓練を行うきっかけにもなった。  さらに、心臓機能障害などの内部障害者は、障害の種類、程度、および本人のつらさについて外見上の確認が困難なので、職員相互のコミュニケーションを以前にも増して緊密にとるよう配慮するようになった。 REPORT●私たちの業務● パチンコ台やスロット台といった遊戯台を毎日60台近く解体。解体された部品は、それぞれ色や形ごとに40種類くらいに分類されている。 毎日300〜400枚の玄関マットを洗濯している。力仕事なので、体格のいい人が担当。 自立センターは障害に配慮し、午前と午後に1回ずつ休憩時間を設けている。 管理担当者に聞く Close Up 社会福祉法人札親会事務局長 中原 明さん ●貴重な人材の雇用を継続するには  上松さんから相談を受け、担当医師の話を聞いた時は、全く知識がなかったので私の判断でご迷惑をかけたら大変なことになると思いました。運転してもいいのか、携帯電話は使えるのか、といったことです。あとで、運転も携帯電話も大丈夫だとわかりました。  経験豊かで熱心な上松さんは当会にとって貴重な人材です。自立センターの仕事が入れ替わる時期でもあり、人望もあるということで、どうしたら雇用が継続できるかだけを考えました。 ●適材適所で障害者の職場を広げたい  障害者が働くことは、これまでもずっと課題とされてきましたけれども、働く場が広がっているとはいえない状態です。市町村、国が施策を見直していってほしいですね。身体障害は比較的サポートされてきているものの、知的障害はほとんどありません。  仕事を精査していけば、フルタイムでないにしても、できる仕事はあるだろうと思います。そういったところをもっと考え、できる仕事があるとどんどん紹介していきたいと思います。  障害を受け入れながら、組織での位置づけに応じて、その人の力を発揮できるようなしくみを考えて「実は……」と障害があることを切り出せません。本人が働く意欲を持っている限りは、適材適所で障害に対応した職場配置にしたいと思っています。 従業員の声 社会福祉法人札親会札幌市社会自立センター所長 上松和志さん ●経過は順調、仕事に支障はありません  肢体不自由者施設での勤務経験もありましたが、まさか自分が障害者になるとは思ってもみませんでした。幸いこれまで発作は1度もありません。除細動器を入れていることで仕事に支障をきたすこともないですね。ただ最初のうちは、右腕が上げられず、ポケットに何か入っているような違和感がありました。今はそれもなくなり、腕も上げられます。  ブルガダ症候群とわかったのは、レンタルおしぼりの洗濯を請け負っていたのですが、そこがマットクリーニングに変えると言ってきた時期で休めませんでしたね。おしぼりの洗濯は多くの人数で行っていたので人が余ってしまう。そこへちょうど遊戯台の解体の話がありました。自立センターは福祉工場ですから、仕事が途切れるようなことがあってはいけないんです。賃金を支払い、就業規則、退職金制度があり、共済にも加入していますから。 ●障害者雇用をもっと進めるために  環境を整えれば、知的障害者は働くことができます。そこで、一つ提案があります。定年後に再雇用制度で働く人が障害者への支援担当者になるのです。そして、その人が会社の中で障害者ができる仕事を見つけたり、仕事を教えたりする。そうしたことを定めた法律ができればと思います。 奨励賞 株式会社シャトル 継続雇用を基本とした重度中途障害者の 働きやすい職場環境づくり 企業プロフィール 株式会社シャトル ■代表者:代表取締役社長 竹内紀昭 〒915-0801 福井県越前市家久町87-21-1 TEL 0778-23-1188 FAX 0778-22-7091 http://www.shuttle-corp.co.jp 業種および主な事業内容 学校教材、シャトル・織機部品、ゲートボールやニュースポーツ用品の製造、販売。精密金属部品加工。手打ちそば道具の製造、販売。ガーデニング用品、強化木、各種木工製品の製造販売。 従業員数 40名(平成19年2月12日現在) うち障害者数1名 <内訳> 内部障害者 1名 事業所の概要と障害者雇用の経過  織機の部品であるシャトル(木製)の総合メーカーとして、昭和22年9月に設立。その後、木材を素材とする製造技術を生かして、ボウリングピン、ゲートボール用具、そば道具など、さまざまなジャンルの製品を製造、販売している。また、天然木材の再利用事業として、中学校技術科(木工)用の教材を製造、販売。多種のキットが用意されたカタログから、生徒が選びたい教材をつくることができる教材として、30年以上日本全国の中学校に教材会社を通じて商品を納入している。機械部品加工における高い水準の技術力を基に、素材を木材のみにとどまることなく、精密金属部品加工も行っている。平成16年1月、血液検査の結果、1人の社員に重度の「腎臓機能障害」が発覚。継続雇用を基本とした上で、主に就業時間を考慮して職場での作業環境を改善した。 改善の注目点Main Point 人工透析のため、これまでの営業業務が困難になった →営業業務から製造業務に転属、営業時代はゲートボール用品担当のため、以前に培った商品知識、顧客ニーズなどを製造業務に生かすことができた 内部障害者の内訳:腎臓機能障害者1名 内部障害者 雇用の背景 本人のモチベーションを上げる配慮を第一に営業部時代のキャリアを生かせる職場に異動 ■障害前の業務ノウハウを生かせると判断し関連部署へ異動  木材を素材とする製造技術を生かした総合メーカーであるシャトルの営業部門で、20数年間勤務してきた社員が重度の腎臓機能障害となったことから会社としての内部障害者継続雇用の取組みが始まった。  中途障害者を継続雇用するためには、職場環境の改善、就労業務の見直し、就業時間の調整、さらには人的なサポートが欠かせない。そこで、管理部長を中心に、本人からヒアリングをするなど、今後の就労条件についての詳細な話し合いを行った。  営業部の管理職として仕事を続けることは困難であることから、業務内容の変更、ならびに関連部署への異動を行った。部署は変わったものの、担当商品が同じため、営業部時代に本人が蓄積したさまざまなノウハウ……商品知識、業界関係者や顧客とのつながり、足で集めたマーケティングなどを、今後は企画や製造という現場で生かすことができると判断した。 ■1日おきに透析治療が必要なため人的支援体制を整え、終業1時間前の退社を実現  人工透析を行う、週の3日については、終業1時間前に退社をさせ、その分の仕事を内勤の社員がサポートすることとなった。担当社員については、管理部長より詳細な説明とサポート業務における指導などをして、社員間のコミュニケーションが綿密になるよう十分に配慮した。  社内では、毎月1日に職場会議を開くこととなっており、この人的支援体制について、何か不具合が生じた場合は、会議の中でそれぞれの社員が発言をすることができる。日々の現場の仕事で解決できない問題は、上司や管理部に問題提起をするように指導している。今までのところ、本案件で会議に提起された問題はない。 ■安心して仕事ができる労働環境の整備と他社員との一体感を得られるコミュニケーションに配慮  腎臓機能に障害が生じた場合、寒冷などの気温条件は大きなダメージとなる。そこで、温暖な労働環境を維持できるように配慮した。また、食事療法も必要なため、社員食堂ではなく自宅で昼食をとることができるようにした。また、製造物の移動など、重量のある物の運搬などは他社員がサポートするよう指導している。  障害を視覚的に認知することができない分、人工透析による早退や、人的サポートなどに対して本人が負担を感じないよう、精神的なケアは日常的に行っているが、あくまでも自然に一緒に仕事をするという一体感が大切なため、本人から申し出以外は、過剰な対応はしないように心がけている。  発病前とつながりのある職場に異動させることによって、本人の仕事に対するモチベーションを維持し、働く喜びも感じられるよう、会社側では配慮している。 ANGLE1 改善のポイントと効果 人工透析のために週3日は1時間早退 人的支援体制を整えて自然に支援  週に3日、人工透析により終業1時間前に早退しなくてはならないため、職場では人的サポート体制を整えた。本人も始業30分前には仕事を開始し、前日の分の伝票をチェックしてPCに入力するなど、早めに仕事を進める努力をしている。内勤の男性社員1名が早退後の業務を引き継ぎ、出荷や受注などを受け持つようにしている。  特に春から秋にかけてのシーズン中は、注文も多く多忙な時期となる。本人は仕事がたまった状態のまま早退することが苦痛のようだが、周囲の支えによって、自然な形で仕事の分担や支援を行うよう心がけている。もともと家族的な社風なので、支援が特別なことのようには感じられない。むしろ、不都合な点はその場でオープンに発言し、話し合いによって解決できるような人間関係を構築している。 ANGLE2 改善のポイントと効果 適正な室温を維持できるように冷暖房機を完備 広く清潔な職場環境を整え感染症のリスクも低減  腎臓機能に障害を持っている場合、健常者と比較すると、温度や湿度など特に、身体を寒冷にさらされないよう配慮することも必要である。そこで、職場には大型エアコンと赤外線ヒーターを導入し、本人の体感に合わせて、室内の温度・湿度が調節できるように環境を整備した。具体的な業務はルーティンワークで、PC入力業務とゲートボール用品の製造や梱包、出荷、さらに、新製品企画やカタログ制作を行っている。職場自体は広いが、ほとんどが同一室内で、一人で業務をしているので、温度・湿度管理が容易に出来ることと、さらに、ホコリなども発生せず、クリーンな環境で仕事ができるように配慮している。 ANGLE3 改善のポイントと効果 入社以来20数年間に渡って蓄積した営業ノウハウを企画や製造という業務に生かし業務拡大につなげる  本人は、入社以来20数年間、営業職として精力的に日本全国を飛び回っていたというキャリアを持つ。しかし、腎臓機能に障害が生じたため、以前と同じような就労スタイルを続けることは不可能となった。そこで、部署を異動したものの、担当する商品は継続。役職、給与面はそのままで、営業時代に培った商品知識、経験を基に、視点を変えた顧客対応、顧客管理を行っている。直接顧客と顔を合わせ、生の声を聞いてきた経験に基づくマーケティングデータを生かして、ゲートボール用品はもちろん、それ以外にも高齢者や障害者を対象とするニュースポーツ用品の企画立案、製品化など、会社にとって新たなシーズとなる製品を生み出している。 ANGLE4 改善のポイントと効果 始業前のラジオ体操 年に2回の健康診断など日常的な健康管理を促し大病を未然に防ぐ  竹内さんの場合、血液検査から腎臓機能に障害があるという事実が発覚した。他の社員も高齢化しているため、管理部では日常的に健康についての自己管理を呼びかけるようになった。以前より習慣化しているラジオ体操は、始業前に仕事場にて全員参加で行う。また、年2回は、健康診断、生活習慣病チェックなどで各自の健康、体調について検査をしている。その中で再検査の必要がある社員については、管理部よりその旨を伝え、再検査を促している。  社員の高齢化に伴い、社員が就業中に病気に罹患することは今後も予想される。会社側としては、個々人にあわせた業務や職場環境を整えることに十分配慮し、同時に社員一人ひとりに健康に対する自己管理を指導していく。 P48 地球環境を考えたものづくりを通じて 高齢者、障害者、子どもたちと共生する社会に貢献したい 代表取締役社長 竹内 紀昭さん  「60年前の創業時より、弊社のものづくりに対する精神に一縷の揺らぎもありません。技術的、経済的にさまざまな時代の変遷がありましたが、高い品質の製品をつくり、お客様にお届けするという基本姿勢に全く変わりはないと思っています。弊社では、木材を通じて、森林保護や天然資源のリユースなどに積極的に取り組んできました。また、障害者や子どもたち、高齢者など、すべての人間が支えあっていきいきと生きていくことができる社会を実現するために、高品質の製品を世の中に送り続けたいと考えています。」と語る竹内社長。普段からの障害者への理解から、中途内部障害者の継続雇用が普通のことのように行われたと感じられた。 REPORT ●私の業務● PC入力 前日に受注した伝票を、PCで入力する。 ゲートボール用品製造 受注伝票にしたがって製品をつくる。 外注した部品を組み合わせて、部品の細部を旋盤で削り、組み立てたものに革のテーピングを施す。 商品梱包→出荷 製造した商品を、梱包する。伝票にしたがって、出荷を準備をする。 新製品企画 ルーティンワークの合間に、高齢者や障害者向けのニュースポーツ用品の企画を考える。 カタログ、チラシの制作 ゲートボールやマレットゴルフのカタログ、ニュースポーツのチラシは、異動前の営業時代に培った知識・経験を生かして自ら制作する。 ショールームでの販売 職場の隣りに、ショールームが併設されている。接客、販売にも、営業職時代のノウハウが生きる。 管理担当者に聞く Close Up 管理部長 高橋 登さん ●会社内のみならず地域とのつながりも考慮  もともとが社員同士の和を大切にする、家族的な社風なので、突然腎臓の病気を患ったからといって、退職してもらうなどという考え方はありませんでした。むしろ、本人の意思を確認した上で、病気治療をしながらも続けることができる就労スタイルについてよく話し合って、サポート体制を整えることに配慮しました。  60年以上、この土地で製造業を続けてきた当社は、地域コミュニティとの関係も非常に密接であり、地域住民の方々と支えあう、良好な関係を維持してきました。社員の中にアクシデントがあっても、継続して仕事をする環境を提供できるということは、会社としての信頼性にもつながると思います。  健康問題は非常にデリケートな部分も含んでいるので、本人の気持ちを確かめながら、最良と思われる就労条件、時間などを決めています。 ●過剰に陥らず適度な配慮をするように心がける  組織内の和を保つという意味では、ある程度の取り決めをしたら、後は自然な形でサポートするという方向にもっていくべきだと考えました。本人と他社員との関係性を良好に保つためにも必要だと思ったためです。透析治療のための早退などは、本人が一番気を遣っているのはよくわかっていますから、過剰に気を遣わせることがないように、こちらからもあまり病気について過剰な支援はしないようにしています。 ●キャリアを生かしてモチベーションを上げる  病気によって、本人の仕事に対するモチベーションが下がらないように十分な配慮をしています。営業職時代は、車でアクティブに日本全国を移動していただけに、製造現場への異動は、当初は抵抗があったかもしれません。しかし、本人は営業時代の知識や経験を、顧客への対応や新製品開発へと徐々に生かし、仕事にやりがいを感じているように見受けられます。自らのキャリアを生かして仕事を続けることは、仕事に対するモチベーションやプライドを維持することにつながるのではないでしょうか。  最近では人工透析日以外に行われる社内行事にも積極的に参加し、他社員とのコミュニケーションを深めているようです。新企画として考案したニュースポーツ用品なども導入して、実際に社員に試用してもらうことによって、製品化のアイデアにつなげるなど、仕事に対する積極性も感じられます。 従業員の声 営業部サブチーフ 竹内圭三さん  20数年間、営業職として仕事をしてきたのですが、2年前の血液検査で腎臓機能障害であることがわかった時は本当に驚きました。その兆候を全く感じなかったものですから。どうやって仕事をしていくことができるのか、正直不安を感じていました。管理部長と話し合った結果、1日おきの人工透析を続けながらも業務ができる部署に異動が決定。内勤の男性社員が早退した後のサポートをしてくれることになり、かなり安心して仕事ができるようになりましたね。  私の罹患した病気は、体調管理や食事の調節などをきちんとすることが必要なので、他の社員の皆さんや家族の協力を得て、日常生活や仕事を自己管理しています。  営業時代に担当していたゲートボール用品をはじめ、ニュースポーツ用品の製造・販売が主な業務なので、当初不安を感じていた異動による違和感はありません。自分のキャリアを具体的な製品のプランに生かしていけるように、今後も頑張っていきたいと思います。 奨励賞 タカタ株式会社 内部障害者雇用における雇用環境などの改善・支援体制・従業員の理解促進 企業プロフィール タカタ株式会社 ■代表者:代表取締役社長 高田重一郎 〒106-8510 東京都港区六本木1-4-30 第25森ビル TEL 03-3582-3222 FAX 03-3505-2278 担当部署 滋賀県彦根市彦富町1542 生産部門 生産企画室 業務グループ TEL:0749-43-3111 FAX:0749-43-4606 http://www.takata.com 業種および主な事業内容 シートベルト、エアバック、ステアリング・ホイール、トリム、チャイルドシートなど、自動車安全システムに関する開発・製造・販売。また米州、欧州、アジア(日本を含む)の三拠点を中心に17ヵ国46工場を有し、グローバルな事業展開を図っている。 従業員数 908名(平成18年6月1日現在) うち障害者  8名 <内訳> 内部障害者  1名 肢体不自由者 3名 知的障害者  3名 精神障害者  1名 事業所の概要と障害者雇用の経過 障害をおもちの方4名(うち重度2名)が年々定年退職をされる一方、新たに障害者採用が思うように進まず法定雇用率が大きく下回ってしまい、それ以降、障害者雇用が進展しなかった。何とか雇用率をあげる為に平成17年7月の組織改正で障害者雇用担当が新設された。当時はまだ障害者に対して十分な施設・設備が整っていなかったが、ハローワークや養護学校の進路指導の方々を招いて、工場見学をしていただき、求職者の紹介をしてもらった。その結果、1年間で5名(うち重度2名)の雇用を確保することができた。障害のある方はもちろん、個人の性格、能力などもそれぞれで、まさにケースバイケースなので、それぞれの社員にとって最適な職場、就労条件を吟味し、障害者雇用担当、職場の上司、本人がよく話し合い、徐々に仕事の内容を広げていくように心がけている。 改善の注目点 Main Point 内部障害者(心臓機能障害)を受け入れるのが初めてであった →主治医や産業医から情報を提供してもらい、職場環境の整備に注意を払い、本人のできる範囲の就労からスタート 内部障害者の内訳:心臓機能障害者1名 内部障害者 雇用の背景 ハローワークや養護学校などの専門家に助言を仰ぎ職場環境の改善に生かす ■障害者と共存する組織づくりを目指す  タカタでは、障害者雇用の取り組みについては、特例子会社をつくるのではなく、障害者と共存する組織を目指したいという構想があった。しかし、障害者を実際に雇用する上で具体的なノウハウがなかったため、やる気はあるものの何ができるのかは依然不透明な状態だった。そこで、ハローワーク彦根・長浜の障害者担当者、養護学校進路指導の先生、障害者施設の方などに工場を見学していただき、障害者雇用を熟知している方々から見て、それぞれにとって最適な職場、就労条件などのアドバイス、求職者の紹介などをしていただいた。  やがて、ハローワーク長浜より、当時社会復帰を目指して求職していた藤田さんを紹介していただいた。 ■本人、雇用担当者、リーダーの話し合いを重ねる  本人は、2年前に地元の支援団体からの募金活動によって、ドイツで心臓移植手術を受けたことで、地元でも有名な人物。本人にとって再就職は、大切な社会復帰の第一歩となる。周囲の期待、本人の意欲などを強く感じた雇用担当者は、何度もミーティングを重ね、しっかりとした受け入れ体制づくりに余念がなかった。  最終的には、主治医から社会復帰の了承が得られ、本人の固い意志を確認し、雇用が決定した。  本人の病状(心臓の現況)を主治医とタカタ産業医から詳細に聞き、情報収集を行った。その結果、抵抗力・免疫力が低いので、感染症に罹患する危険性が高いためマスクを着用すること、定期検診の必要性などのご指導をいただいた。 ■空気清浄機や加湿器を設置し職場環境を改善  感染症のリスクを低減するため、職場環境の改善を行った。クリーンパーテーション(空気清浄機)や加湿器を設置し、従来の温度管理とともに、最適湿度の維持、室内の空気を常に清浄にすることを可能とした。  また、受け入れる部署のリーダーには、雇用の経緯と病状の説明を行った。リーダーは同僚となる社員たちに対して、本人の身体状況を説明するとともに、必要以上に不安を与えないように配慮した。  トライアル雇用制度を適用し、当初3カ月は育成研修を行った。勤務時間はじめ、作業量などに負荷がかからないように、雇用担当者、リーダー、本人が話し合い、一つひとつ確認をしながら徐々に具体的な業務内容を定めていった。 ANGLE1 改善のポイントと効果 名札の裏側には、緊急連絡先を明記 感染症予防のために、環境を徹底的に配慮した  藤田さんの健康保持と長期就労のために、職場環境の整備を図ることは不可欠と判断。期の予算には計上していなかったが、急遽クリーンパーテーション(空気清浄機)と2台の加湿器を購入することを決定した。これらの購入には、障害者作業施設設置等助成金(作業施設・作業設備の整備等を行う事業主の方への助成金)の第1種作業施設設置等助成金を利用した。  本人がつけている名札の裏側には、主治医の携帯番号や近隣病院の電話番号などの緊急連絡先を明記し、最小限の責任者には同じ緊急連絡先を通知した。職場の社員には、緊急事態の際には、名札の裏を確認して速やかに連絡をとるように、普段から指導をしている。 ANGLE2 改善のポイントと効果 学んだ知識・技術をより確実なものに トライアル雇用制度を適用  本人は、移植手術前も合わせると、約5年間の療養生活を送っており、社会復帰に際して意欲はあるものの、体力的な部分で若干の不安があるようであった。そこで、ハローワークが窓口となっている、障害者試行雇用(トライアル雇用)事業を適用し、3ヵ月間のトライアル雇用を行った。2005年11月よりスタートし、本人用の教育訓練計画書に沿って新人育成研修を行った。最初は、タカタの就業規則的な基礎事項を理解してもらい、翌日から、工程内帳票類の把握、シートベルトの構造学習(使用部品と仕組みについて)、工程管理業務内容学習、日常の不具合品回収、不具合品の解析とデータ記入、解析ツール類の習得、品質情報連絡書、選別手配とその段取り、諸払い伝票の取り扱い……といった項目を実習した。研修については、日々本人が報告書を作成し、指導員とグループ長がコメントを記入。研修の成果の確認と反省をきちんとすることで、学んだ知識・技術をより確実なものにする体制を推進した。 ANGLE3 改善のポイントと効果 障害者雇用と企業責任をテーマとする研修を開催 障害者と共生する職場づくり  タカタでは、1年に2回人権研修のためのセミナーを全社的に開いている。企業での障害者雇用について見識のある方々をお招きして、障害者と共生する職場づくり、ノーマライゼーション、心のバリアをとる重要性などのお話しをうかがっている。もともとは、ハラスメント対策など広い意味での人権について学ぶセミナーであったが、近年は障害者雇用のテーマでも数回開催。推進委員会のリーダーが中心となり、マネージャークラスを対象とし、その結果を職場の社員教育・指導につなげている。工場内には、さまざまな人種・国籍の社員も増えつつあり、文化・風習を超えて、グローバルな視点で人権を考える啓発活動ともなっている。 ANGLE4 改善のポイントと効果 同世代ばかりが集まった明るく楽しい職場 全体の雰囲気にまとまりが  本人が配属されているのは工程品質・工程管理チームという部署で、いわゆる工場の品質管理を行っている。工場内で発注部品の不具合などがあった場合、連絡が入り、社員は即刻原因を究明して対処するために工場のラインに駆けつける。生産効率に支障をきたさないように、迅速な対応が求められるため、部署内はどちらかというとあわただしい雰囲気が漂っていた。しかし、パソコン入力と解析を主な業務とする藤田さんが配属されたおかげで、ただ、あわただしく動き回るのではなく、全員で落ち着いて対応するようになり、全体の動きにまとまり感がでてきた。  同チームは現在リーダー1名と社員6名。皆、20代後半〜30代が中心で、世代も近いために共通の話題も多く、明るく楽しい雰囲気で働いている。当初は、病状について過敏に考えすぎていた社員たちだが、現在はごく自然な雰囲気でチーム内の和を大切に仕事に励んでいる。 トピックス TOPICS 全社的規模で障害者の職域拡大に継続的に努力しています 取締役管理部門担当 西堀 聰さん  当社では、内部障害者をはじめ、障害のある方の採用に当たって、特別な仕事とかニーズをつくり出すのではなく、気持ちよく働いていただける環境と職場を整備することにより、ノーマライゼーションが可能となるような取り組みを行ってきました。  求職者の障害の内容・程度に応じ、職場の設備をはじめとして共に働くスタッフの理解を深めるなど、全体としての職場環境の見直し・改善を進めることで採用の実現を図っています。  また、採用後のフォローも含めて、一人ひとりの採用時の改善を積み重ねていくことで、会社全体として障害ある方の職域拡大に継続的に粘り強く努力していきたいと考えています。 REPORT ●私の業務● ●PC入力 取引先とのメールでのやり取りや、英文メールの翻訳などを行う。 ●トラブル対応 工場のラインからの問い合わせに対応する。 ●解析 不具合のあった部品を解析する。 ●整理 数百個もの部品を取り扱っているので、日常的に整理整頓が習慣づけられている。 管理担当者に聞く Close Up 生産部門 人権教育推進滋賀地区事務局 障害者雇用担当 福山 千代恵さん ●障害者雇用はケース・バイ・ケースであることを実感  障害者雇用担当者としては、当社が掲げている障害者と共存する組織づくりを実現するべく、さまざまな情報収集や研修などを行ってきました。しかし、障害をお持ちの方は、障害の状態や、それぞれの性格、ライフスタイル、能力など、また、当社のどんな部署がその方にとって最適の職場となるのかは、簡単には想像がつきません。そこで、ハローワーク彦根・長浜の担当者や養護学校の進路指導の先生などにご指導をいただきながら、一つひとつ勉強している最中です。  障害者の方が私たちと働くことになっても大丈夫なように、受け入れ態勢を万全に整備しておくことが今後の課題だと考えております。 ●時間、具体的な業務など、最適な就労体制を模索  今回、藤田さんを受け入れるにあたって、5年ほどの療養生活を終えての社会復帰ということもあり、どのような就労体制が最適なのかを担当者間で模索しました。当初本人は体力的な不安もあったようですし、その気持ちを確かめながら十分に話し合ってできる範囲を徐々に定めていきました。3カ月のトライアル雇用期間中には、連絡を頻繁にとりあい、無理のないように、身体的に負荷がかからないようにアドバイスをしていました。  最初のうちは、久しぶりの就労ということで少し疲れたこともあったようですが、最近では、休日にお子さんのバスケットボールの試合を見学するなど、すっかり健康的な生活を送っているようです。 ●職域拡大を意識しつつ、今後の可能性を検討中  藤田さんは、もともと情報システム系の会社で10年ほど仕事をしていた人です。ハローワーク長浜で求職していた条件も、データ入力ということでした。パソコンや英語翻訳などのスキルもあるので、本人の希望さえあれば他部署への転属も可能だと思われます。  現在の職場にも慣れてきたようですし、本人には「職域に関して希望があったら相談してください」と日頃から伝えてありますが、慎重な性格のようで、「現在の仕事がしっかりできるようになることをまずは目指しています」という考えのようです。  今後は、当社で採用した障害をお持ちの方たちの職域が拡大し、それぞれのライフスタイルや能力に応じて選択肢を広げることができるように、私たちなりの努力を続けていきたいと思っております。 従業員の声 長浜製造所 工程品質チーム所属 藤田誠一さん ●最初は不安もありましたが、今は自然に溶け込んでいます  療養生活を終え、そろそろ社会復帰がしたい……そんな気持ちがきざし、と同時に不安もありました。当初はだれにも相談できなかったので、1人で悩んだ日々が続きましたが、悩んでいてはいつまでも社会復帰できないと思い立ち、ハローワークに相談に行ったのです。タカタの担当部署の皆さんと一緒になって職場や就労条件について話し合い、私の気持ちを確かめつつ、徐々に仕事がスタートするように配慮してくれたことはとても感謝しています。緊張や不安を感じつつも始まった再チャレンジですが、職場の皆さんの温かい気持ちに支えられて、自然な形で仕事をする日々に慣れていくことができました。ドイツでの移植手術のために支援してくださった多くの皆さんのためにも、仕事を通じてさらなる社会貢献ができるようになりたいと思っています。 トピックス TOPICS 支援団体が叶えた社会復帰への道  8年前、「突発性拡張型心筋症」という病が発覚した藤田さん。一旦症状が安定したものの、4年前に再発し緊急入院をしました。  その後、故郷である長浜に戻ってきた彼を迎えてくれたのは、家族と支援団体でした。  日本では手術が難しいため、ドイツの病院で海外渡航移植を実施するために「藤田誠一君を救う会」の皆さんが募金活動を行い渡航。手術は無事成功しました。  「本当にたくさんの方々から多大なるご支援を受け、新しい命をいただきました。心から感謝しています」と語る藤田さん。多くの善意に応えるために、今日も笑顔で仕事に励んでいます。 奨励賞 株式会社島津製作所 内部障害者のスキルアップと働きやすい職場環境の実現 企業プロフィール 株式会社島津製作所 ■代表者:代表取締役社長 服部重彦 〒604-8511 京都府京都市中京区西ノ京桑原町1 TEL 075-823-1120 FAX 075-822-9402 http://www.shimadzu.co.jp 業種および主な事業内容 分析・計測機器、医用機器、産業機器、航空機器、産業機器などの、精密機械器具の製造販売が主たる事業。さらに、一世紀以上にわたり培ってきた技術を融合させることにより、ライフサイエンス、環境、半導体・フラットパネルディスプレイ(FPD)、さらには次世代医療、新エネルギーなどの分野へも事業領域を拡大している。 従業員数 3693名(平成19年1月21日現在) うち障害者数 52名 <内訳> 内部障害者   17名 視覚障害者   4名 聴覚障害者 3名 肢体不自由者 26名 精神障害者 2名 事業所の概要と障害者雇用の経過  1875(明治8)年3月、京都市木屋町二条で理化学器械の製造を開始。以来、人々の夢、社会の夢の実現を目指して最先端技術の開発に挑戦し、さまざまなテクノロジー製品を提供してきた。「科学技術で社会に貢献する」を社是に掲げ、「人と地球の健康への願いを実現する」を経営理念に、基盤事業である分析・計測機器、医用機器、航空機器、産業機器などの精密機械器具の製造販売を行っている。  平成13年から社会貢献を果たすべく、障害者雇用に本格的に取り組みはじめ、社内各部署で業務内容の検討を開始。障害者を仕事の内容によって積極的に採用する方針を打ち出した。その方針が、経営幹部をはじめ職場の社員間にも次第に浸透していった。こうして全社的に取り組んだ結果、平成16年3月に法定雇用率を達成し、現在に至る。いまや、障害者は島津製作所にとって不可欠な存在である。 改善の注目点 Main Point 障害者の業務には制限があるという固定観念から雇用に消極的であった →各部署における障害者のための業務の抽出や障害者職業能力開発校の見学などによって社員の間に障害者雇用が浸透しはじめ、障害者雇用を開始した 内部障害者の内訳:腎臓機能障害者5名、心臓機能障害者8名、直腸機能障害者2名、膀胱機能障害者2名 内部障害者 雇用の背景 障害者雇用の重要性を社員全体に伝えて理解を求め事務職を中心に積極的な採用を実施 ■役員をはじめ全社員に対し障害者雇用の重要性に対する理解を伝達  島津製作所には以前から、健常者として入社し、後から障害を持った従業員が数多くいた。しかし、定年により障害のある従業員が退職し、障害者の雇用率が急速に低下した。一方、当時は、障害者が行える業務には制限があるという固定概念があり、同社は障害者雇用に消極的であった。  しかし、平成13年度から、社会貢献を果たすべく障害者雇用に積極的に取り組む経営方針を決定。社内各部署で障害者が行える業務の抽出や職業訓練校を見学するなど本格的な取り組みを開始した。  社内全体の理解を促すために、まず人事から役員会議で経営陣に資料を配布し、障害者雇用の重要性とそれに関する情報を伝えた。同時に、各部署で非正規社員や派遣社員の雇用管理を行う担当者にも理解を求めた。 ■「障害者就職面接会」や「個別選考会」を通じて積極的な募集を実施  社内に会社の方針を浸透させるための具体的な方法として、各担当者には障害者を雇用することに伴うリスクや問題点および、処理の仕方や解決策について伝えた。  一方、適材適所の採用を目指し、ハローワークからの紹介による「障害者就職面接会」への継続参加や独自の「個別選考会」などを行った。このように多くの障害者と触れ合う機会を設けることを目的に採用活動を開始した。これまで、さまざまな障害のある者を採用してきたが、その中でも内部障害者の採用は、4年間で10名を超えた。  障害者雇用を加速させたきっかけは、営業の補助として事務を担当していたある社員の働きぶりであった。左手に障害があるため業務は右手で行っていたが、スキルの高さは申し分なく障害を全く感じさせなかったことが社内で評価されたためである。こうした評価が自然に各部署に伝わり、障害者に対する社員の認識が大きく変わっていった。 ■内部障害者の健康状態に配慮し障害者にとって働きやすい職場環境を実現  定型的な単純業務は以前から外部に委託していたため、障害者の募集は事務職に絞って行うことになった。最初は、どの部署も障害者の受け入れに対して手探りの状態であったが、実際に一緒に働いてみて障害のためにできないということはほとんどなく、次第に社員は、障害の有無に関係なく働くことができ、会社の戦力になるという認識に変わっていった。  現在、内部障害者数は17名。この中には人工透析をしている人や心臓手術を受けた人などがいる。人工透析の場合、週に3回程度通院しなければならないため、各部署が勤務時間を調整し、通院時間を確保するための便宜を図っている。また、全社員に対して内部障害者の障害特性を伝え、それ以外にもさまざまな工夫を凝らした結果、内部障害者にとって心身ともに働きやすい職場環境が実現しつつある。 ANGLE1 改善のポイントと効果 面接で本人の体の状態や希望を聞き取り身体的負荷の軽減に配慮する  入社時の面接で、身体の状態、通院の頻度および時間について十分な聞き取りを行う。その上で、会社に対して具体的にどのような配慮や援助が必要かを聞き、できる限り本人の希望を聞き入れるようにしている。例えばスロープが必要であるにもかかわらずスロープが無い場合、社員の使用は禁止されているエレベータの使用を、特別に認めるようにした。  中には特別な配慮が必要ない者もおり、その場合は本人の意思を尊重し、特別なことは行っていない。内部障害者の場合、自己管理は問題ない場合が多い。特別扱いしないことが、自然な人間関係の形成に結びついている。 ANGLE2 改善のポイントと効果 配属先部署の同僚や先輩に協力を求め精神面でのサポートを行う  配属先の部署で共に働く予定の上司と同僚には、配属前に内部障害者の身体の状態を伝えるようにしている(「○月○日、こういう障害のある方が配属されます」という文書を配布)。同時に、同年代または先輩を内部障害者の身近な席に配置し、話がしやすい環境づくりに心がけている。  また、各部署でグループメンバー主催の懇親会やボーリング大会などが行われている。こうした環境づくりの結果、いずれの部署でも障害の有無をお互い意識することなく、社員間の懇親が盛んに行われるようになった。 ANGLE3 改善のポイントと効果 障害者が担当する顧客に障害の特性を伝え理解と協力を求める  人工透析は人によって週に3回、一定の時間、所定の曜日に行わなければならず、その日は残業ができない。しかし、顧客との打ち合わせ日時が、人工透析の時間帯と重複することも少なくない。また、不測の事態も考慮しなければならない。そこで、顧客には担当する内部障害のある社員の障害特性について、事前に分かりやすく伝えるようにしている。  別の社員が代わりに対応することもできるが、業務の内容次第では担当者が対応しなければならないこともある。そのような場合、当該業務が本人でなければできない特別なスキルを要する仕事であることを顧客に説明し、理解と協力を求めてきた。その結果、上司が十分に説明することで、当該業務に関して本人が対応する日時を変更願うことが可能になった。これにより、顧客と同社との関係は良好である。 ANGLE4 改善のポイントと効果 アビリンピックや検定試験への挑戦を促し全社的にバックアップする  同社では、社員のスキルアップを図るため、技能五輪への参加や各種技能検定の受検を社員に促している。高いスキルを持つ社員がいる部署では、上司が率先して協力態勢を組み、部署全体が応援する。  障害者に関しては、これまでアビリンピック(全国障害者技能競技大会)でワープロ部門やデータベース部門に出場した社員が優秀な成績を収めてきた。特に、腎臓機能障害1級の社員が京都府大会のデータベース部門において2年連続で優勝したことは、大きな話題となった。同大会では、同僚が出場者のために会場への送迎を行った。全社的に取り組んできた「内部障害者が働きやすい職場環境の実現」が社内各部署で見られるようになり、アットホームな雰囲気づくりと障害者に対するバックアップ体制が自然と根づいていった。  アビリンピック京都大会における連覇は、その腎臓機能障害の社員に対する評価を高め、さらに支援体制の強化につながった。また、目標を明確に持つことで、仕事に対する本人の意識もこれまで以上に積極的になった。最近は、同僚も障害があることを意識しなくなり、課の中心的な戦力になった。現在はPCのスキルも格段と向上し、自信を持って業務に取り組んでいる。アビリンピック出場がきっかけとなり、仕事に対する本人の意欲がさらに向上し、また、職場での信頼関係がより一層深まったことは、アビリンピック出場による大きな成果である。 管理担当者に聞く Close Up 航空機器事業部 航空機器工場副工場長 山崎俊次さん ●月水金は事務を中心に、顧客対応は火木曜日に対応  会社が障害者雇用に前向きに取り組むことになり、航空機器事業部でも事務職の方を募集しました。仕事の内容はPCを使用する事務的な業務が中心ですが、顧客審査受審業務もあるので、顧客の都合に合わせた対応も必要です。そのような状況下、腎臓機能障害1級で、月水金の週3日は人工透析で通院が必要な角田さんが応募なされてきました。PCのスキルは十分ですし、対人面もしっかりと対応できるので採用になりましたが、顧客対応のスケジュール管理をどうするかが問題でした。  幸い、自宅と病院が会社の近くにあったので、毎日定時までフルに働いていただき、月水金は事務を中心に、顧客対応は火木にというように曜日によって業務を定め、対応することにしました。顧客には当人の事情を話して理解いただき、ご協力いただいたことには感謝しております。 ●大きな励みになったアビリンピックへの参加  PCのスキルが高かったので、アビリンピックのデータベース部門に参加したらどうかという話になり、本人に話したところ「やってみます」という返事だったので、出場してもらいました。ただ、エクセルは得意でしたがデータベースについてはあまり使った経験がなく、初めは不安そうでした。しかし、データベースの知識は業務にも生かせることになるので、角田さんにはぜひ出場してもらおうと事業部をあげて協力体制を組むことにしました。角田さんは大変努力家で、時間をみつけては知識を持った社員と数回にわたり勉強会を開いていました。  その結果、アビリンピック京都大会で見事、初出場初優勝を果たすことができ平成17年の全国大会に出場することになりました。全国大会の前には、技能五輪出場者と一緒に社長から激励会を開いていただきました。これは、本人にとっても大きな励みになったようです。残念ながら、全国大会での入賞は果たせませんでしたが、平成18年の京都大会では連覇を果たしています。  訓練の結果、業務においてもデータベースを有効に使うことができるようになったことは大きな成果でした。以前は「この会社でスキルを向上させて、もし、別の会社に移りたいという気持ちになったとしても、躊躇せずに自分の道を切り開いていくように……」と本人には話していましたが、今では角田さんは貴重な戦力なので、どこにも行かずいつまでも当社で働いてほしいと願っています。 管理担当者に聞く Close Up 航空機器事業部 航空機器工場 第三生産課長 向井富士夫さん ふだんは皆と同じように接していますが、各部署の上司は内部障害のある方の通院の頻度や時間を把握し、具合が悪くなった時のバックアップ体制を整備しています。しかし、体調を崩した人に対する対応は障害者に限らず、他の社員にもそのような対応を取るわけですから、特別なことではないと思います。 もちろん、身体に過度の負荷が掛かることに対しては、極力配慮しています。例えば、日常的な荷物の運搬も、2人あるいは3人態勢を心掛けています。角田さんの場合は、分解・検査の終了した機器の顧客確認場所での準備なども担当してもらっていますが、そういう作業は通常グループで行うため、1人で重い荷物を持つ、あるいは個人がすべての責任を負うようなことはありません。また、離れた職場への移動も自転車を使用させ、極力本人の身体的な負担を軽減するようにしています。 さらに、昼食はできるだけグループメンバーが一緒に取るようにし、本人の健康状態や仕事上の悩みなどを聞くようにするなど、コミュニケーション面にも力を入れています。  入社時の頃、体調を崩して何日か休んだことがあり、その時は本当に心配しました。角田さんの家まで訪ねたこともあります。最近は業務にもすっかり慣れ、アビリンピック優勝を機に自信も生まれ、どんどん仕事をこなしています。そのような働きぶりを見ると、彼に障害があることを忘れてしまいます。周囲の者は皆、彼を障害者とは見ていないのではないでしょうか。  今後は、角田さんにもっと顧客と接する営業的な業務にも携わってほしいと思っています。今後の活躍を期待しています。 従業員の声 航空機器事業部 航空機器工場 第三生産課 角田行雄さん 障害のこともあり、PCの扱いは最初は独学でしたが就職前の1年間パソコンスクールに通い、勉強しました。はじめは仕事を請け負い、自宅で作業していましたが、島津製作所の募集を知り、応募しました。30歳を過ぎて初めての就職だったので不安もありましたが、それまで培ってきた自分のスキルがどの程度通用するのかを知りたかったし、島津製作所では身体のことや人工透析に伴う通院についても配慮してくださるということだったので、思い切って応募しました。 就職を機に、会社から徒歩10分程度の所に転居しました。人工透析を行う病院も会社の近くにしたので、就職して4年が過ぎた今も、通勤や通院に支障はありません。16時50分に業務が終わるので、月水金はそれから病院に行き人工透析を受けています。 アビリンピックに出場してみないかというお話を上司から伺った時は、本当に驚きました。どうしようか少し悩みましたが、自分のスキルがどの程度のレベルか確かめたかったので、出場することにしました。 初出場でまさか優勝するとは思わなかったので、本当に驚いたし、うれしかったですね。周囲の方々が親身に援助してくださったおかげだと思います。全国大会では入賞に至りませんでしたが、これからもスキルを磨いて新しいことにどんどんチャレンジしていきたいと思っています。 その他の応募事業所  平成18年度は「内部障害者にとって働きやすい職場にするための創意工夫と雇用および職場定着」をテーマに、内部障害者を雇用する企業の職場改善好事例を募集いたしましたところ、全国32の事業所からご応募をいただきました。  残念ながら入賞に至らなかった23事業所の職場改善の取り組みにも、今後の内部障害者雇用の参考になる事例が多々、見られます。そこで、各事業所の改善・取り組みのポイントをまとめてみました。 東洋建物管理株式会社 代表者:代表取締役社長 七尾 三郎兵衛〒030-0823 青森県青森市橋本1-7-3 TEL 017-734-5281 FAX 017-722-8406 ●業種および主な事業内容 総合ビルメンテナンス業 ●従業員数 1,960名(平成18年6月30日現在)うち障害者数42名 <内訳> 内部障害者5名(うち重度4名)、聴覚障害者10名(うち重度7名)、肢体不自由者8名(うち重度2名)、知的障害者17名、精神障害者2名 ●事業所の概要と障害者雇用の経過 昭和32年5月に建物の清掃管理を主として創業を開始。社会のニーズに対応するため幅広い事業を展開している。平成10年に初めて知的障害者1名を雇用したことから、障害者雇用を進めるきっかけが生まれた。ある程度経験を積み重ねてくると、適材適所の配置により障害者個々の能力が十分発揮されるようになっていった。そうした実績と経験により、障害者の雇用を積極的に行うようになった。現在、内部障害者は心臓機能障害の5名が在籍している。内4名は採用以前からの障害者であり、1名は採用後に発病して障害者になったものである。 ●改善テーマ 適切な人員配置および作業環境の改善 ●改善・取り組みのポイント 心臓機能障害者全員が清掃業務に従事している。現場によっては階段の昇降などで身体に負担となるような作業や、かなりの距離を歩行しなければならない労働環境にあり、健康面においても問題が生じるものと考えていた。 体力的に負荷のかからないよう、作業の改善を図ったことで障害者に与える作業負担が大幅に軽減された。人員配置する際の基準については、ペースメーカーなどを装着している場合が多いので、携帯電話などの使用頻度が少ない場所、および体力的に負担が掛からない場所へと配慮するようにしている。その結果一般従業員と変わらずに作業を行い人間関係も良好である。 障害者の就労と生活面での支援として、各担当部門に「障害者職業生活相談員」を配置し、仕事や私生活での悩み事の相談を受け、毎月2回の「障害者職場定着推進チーム」による会議で積極的に問題点を取り上げ早期に解決し一般従業員と障害者が一緒に就労できる体制を構築している。 社会福祉法人修倫会 福祉工場みずき 代表者:施設長 間 健倫 〒028-0041 岩手県久慈市長内町18-14-1 TEL 0194-52-7086 FAX 0194-52-7089 ●業種および主な事業内容 食品製造(製麺・製菓) ●従業員数 26名(平成18年6月1日現在)うち障害者数26名 <内訳> 内部障害者2名(うち重度2名)、視覚障害者1名、聴覚障害者2名(うち重度2名)、肢体不自由者1名、知的障害者19名(うち重複1名)、精神障害者1名 ●事業所の概要と障害者雇用の経過 障害を持ちながらも働く意欲のある人たちに、充実した福利厚生と援助を兼ね備えた職場環境を整備し、安定した雇用の場を提供することを目的に平成11年4月に設立された。働く意欲と作業能力を有しているが一般企業に就労できない知的障害者を中心に製麺、縫製作業などを行っている。 職員が心臓機能障害1級になったことにより、就労継続支援と職場定着のため、製菓部門の新設と勤務条件などを改善し、他の障害者の指導的役割となるよう育成した。 ●改善テーマ 新規部門の立ち上げによって、就労継続と職場定着を図る ●改善・取り組みのポイント 疲れやすく体調不良による休みが多いため、障害および体力に配慮した作業内容の検討をした。就労継続支援のため、新規部門として製菓部門を新設した。本人の得意分野である菓子づくりや料理関連を仕事に生かせるので就労意欲の向上につながった。また、水曜日を定休日に設定、1日6時間勤務とし出退勤時間を調整したことにより、体調の維持管理がなされ、疲労による休みが解消できた。リーダー格としての育成により、障害種別などにとらわれない相互交流の推進役として活躍。職場定着につながった。 身体障害者の従業員の悩みなどに対し、ピアカウンセラー的な役割を担っている一方で、知的障害者の従業員に対しては、話を丁寧に聞き、励ましの姿勢で向き合っており、ジョブコーチ的な役割も。前向きで明るい本人の性格から醸し出される落ち着いた言動は、若年の従業員が多い当職場にあって、貴重な存在となっている。 特定非営利活動法人みやぎ「こうでねいと」 代表者:理事長 齋藤 宏直 〒980-0811 宮城県仙台市青葉区一番町2-5-12 TEL 022-263-0294 FAX 022-268-0502 ●業種および主な事業内容 障害者の自立支援 ●従業員数 12名(平成18年7月10日現在)うち障害者数6名 <内訳> 内部障害者1名(うち重度1名)、肢体不自由者2名、知的障害者1名、精神障害者2名 ●事業所の概要と障害者雇用の経過 障害者の自立支援を目的に平成9年より活動を開始し、平成14年11月に法人認定を受ける。役員は全員が企業経営者で、企業として支援出来る事業プランを組立て、障害者と民間をコウデネイト(コーディネート)することで彼らの自立支援を行っている。障害者による職場「NPO法人フォレスト秘書センター」「アートフルショップ」の開設を経て、平成18年度に「こうでねいと」を設立。障害者の就労トレーニングを行うNPOとして障害者の可能性を発掘している。 ●改善テーマ 就労トレーニング期間の設定による一般就労への円滑な移行の実現 ●改善・取り組みのポイント 仕事を求める者の基本的な姿勢や、能力自覚(自分は何が出来るか)、目標設定(何をしたいか)など、自立の前にすべきことが整っていないために職の扉を開くことが出来ない障害者が多い。一方、雇用する企業側も、障害に対する理解が乏しいために一面的な障害者のイメージで新規的な障害者雇用の実行を踏み止まっているケースが大半といえる。そんな社会的環境の中で、就労トレーニング期間の設定による一般就労への円滑な移行の実現を目指し、完全就労までの取り組みをしている。 電話による取次代行業務やパソコンによる入力業務、メール配信、DM発行などの事務代行業務を通して、トライアル期間中を就労トレーニング期間とし、実践トレーニングを行うことで、障害者に職場でのプレッシャーを与えず、本格的な業務に望む心がまえや、社会性を学習させることができる。常用雇用に移行した後も、個人に合わせた業務から始めることで自ら学習する意欲を生み、個人が持つ障害をカバーし、能力を発揮することが出来る結果となった。 社会福祉法人山形県コロニー協会 山形福祉工場 代表者:工場長兼法人事務局長 須貝 寿一 〒990-2322 山形県山形市桜田南1-9 TEL 023-641-1136 FAX 023-641-1334 ●業種および主な事業内容 印刷業 ●従業員数 68名(平成18年6月30日現在)うち障害者数38名 <内訳> 内部障害者4名、聴覚障害者3名、肢体不自由者28名、知的障害者2名(うち重度2名)、精神障害者1名 ●事業所の概要と障害者雇用の経過 当協会は昭和35年、10数名の結核回復者たちが自らの働く場を求めた活動が始まり。その後、授産施設「コロニーセンター」を開所し、内部障害だけでなく様々な障害を持つ人の働く場へと事業を拡大してきた。昭和53年には山形県内で初めての福祉工場である「山形福祉工場」を開設し、印刷事業を展開している。 さらに全国12法人の会員と共に、障害者の「就労」と「所得保障」を進め、技術研修や情報交換を通して活動している。 ●改善テーマ 人工透析を必要とする職員に対する職場環境整備について ●改善・取り組みのポイント 人工透析治療のため、週3回通院の必要があり、業務の中断や早退などが必要である。そのための工夫、改善策として担当業務を複数人によるものとし、引継ぎ連絡の徹底により早退による業務のリスクを低減した。内部障害者は体力的に疲れやすいなどの面があるが、休憩時間に過ごせる場所として、畳のある部屋を利用して横になる事ができるようにした。看護師が週3日勤務しているため、健康維持と体調管理に協力している。職場内で提供する食事についても本人の要望を栄養士に伝えることで、メニューに手を加えてもらうことが可能となった。職場内の研修旅行についても、参加することを前提に検討し、医療施設と本人、職場の連携により、旅行先での透析を実現し、旅行プラン内の移動の中に現地透析施設を通るなどの配慮を行なった。 本人の体調管理とともに職場内の衛生面の充実を図り、看護師、産業医の助言を受けながら業務に就いている。 京三電機株式会社 代表者:代表取締役社長 真鍋 正巳 〒306-0206 茨城県古河市丘里11-3 TEL 0280-98-2023 FAX 0280-98-3876 ●業種および主な事業内容 運送用機械器具製造業 ●従業員数 1,656名(平成18年5月31日現在)うち障害者数22名 <内訳> 内部障害者3名(うち重度3名)、視覚障害者1名、聴覚障害者7名(うち重度5名)、肢体不自由者3名、知的障害者8名(うち重度2名) ●事業所の概要と障害者雇用の経過 自動車用燃料供給系、濾過系、各種制御系自動車部品の専門メーカー。多くの国内・外のカーメーカー、システムメーカーをお客様とし、開発から製造・販売まで一貫した体制で事業を行っている。 製造部で班長を歴任した社員が腎不全になり1年9ヶ月間休職した。職場復帰のために業務、労働時間の見直しなどをすることによって、健常者と同じ社員として就労をし始めた。 ●改善テーマ 休職している腎臓機能障害の社員の復職と人工透析治療を受けられる職場環境づくり ●改善・取り組みのポイント 健常者であった社員が腎不全により重度障害者となった。その後復職したが、8時間労働および製造ラインなど、身体的負荷の大きい業務への復帰が望めなくなった。8時間労働後の通院では病院が終了してしまい、治療を受けられない。 工夫・改善策として@本人との話し合いにより製造ラインの業務から書類のファイリングやパソコン処理などの身体的負荷の小さい業務へ異動した。A8時間労働から短時間労働へ雇用契約を変更した。B他の2名は残業時間の抑制にて対応した。 その結果、本人の健康状態に見合った業務に異動する事により業務を続けることができるようになり、1日の作業が終了した後に通院する事ができるようになった。 また、健常者と障害者の共生する職場として、レクリェーションや宴会などには積極的に誘って参加。自家用車を持たない、会社のマイクロバス通勤の障害者の方に対しては会社の夏祭りなどの時には車で自宅まで送迎して参加してもらっている。 株式会社 日立ライフ 代表者:取締役社長 川又 諭 〒317-0073 茨城県日立市幸町1-20-2 TEL 0294-25-1268 FAX 0294-24-6416 ●業種および主な事業内容 不動産業他 ●従業員数 540名(平成18年6月1日現在)うち障害者数6名 <内訳> 内部障害者1名、聴覚障害者4名、肢体不自由者1名 ●事業所の概要と障害者雇用の経過 以前は食料品製造ならびに給食の事業もあわせて展開していたが別会社へ業務移管をした。当時は食料品製造ラインに県内の養護学校(知的障害)の生徒の実習受入を積極的に実施し、採用に至ったケースがある。現在は、不動産並びに介護など生活関連事業が中心となってきている為、以前のような知的障害者の受入れは難しくなってきているが、勤労課では、各事業部門長へ「トライアル雇用」などの施策を紹介し、受入の土壌作りを行っている。採用後、腎臓機能障害をもつ事となった従業員に対して継続雇用と職場定着を図っている。 ●改善テーマ 腎臓機能障害者の人工透析における社内保健室の活用と担当業務の見直しなど柔軟な職場提供を継続的に実施 ●改善・取り組みのポイント 腎機能障害1級で人工透析が1週間に2回必要であった。本人の居住地とかかりつけの病院が水戸にあり、勤務地が日立市であることから、透析に通うことが業務の繁閑により困難な場合がでてくるおそれがあった。本人と相談の上、従来の企画型の職務から負担の軽い、部内の庶務取りまとめや社内郵便の取りまとめへ職務を変更した。執務場所には休憩所があるものの、透析を1時間程度行なう場所がないので所属部門と勤労課と相談の上、程遠くない本社の保健室に機材を置くことで人工透析を実施することとした。自身で透析が可能となり、業務が円滑に実施できるようになった。保健室は、ベッド2床を準備しプライベート保護を配慮の上、具合の悪くなった従業員の休憩場所、並びに定期的に実施している保健師相談に利用している。しかし、腎臓機能の更なる低下があり、透析の回数が多く必要になったため、病院と本人の居住地に近い、水戸の営業所へ異動されることとし体調並びに業務の対応を実施した。 株式会社マツモトキヨシ 代表者:代表取締役社長 松本 南海雄 〒270-8501 千葉県松戸市新松戸東9-1 TEL 047-344-5111(代) FAX 047-342-8446 ●業種および主な事業内容 各種商品小売業(医薬品・化粧品・生鮮食料品・雑貨品DIY用品など) ●従業員数 3,653名(平成18年3月31日現在)うち障害者数50名 <内訳> 内部障害者4名(うち重度3名)、視覚障害者1名、聴覚障害者1名、肢体不自由者27名(うち重度4名)、知的障害者17名 ●事業所の概要と障害者雇用の経過 平成20年に関東一円に900店舗、全国の地方都市に100店舗、併せて1,000店舗出店を目標に、「まごころ」と愛情溢れる創業精神を基本理念に「親切なお店」をモットーに業界No.1のドラッグストアとして多店舗展開を行っている。従業員には店舗内のことすべてに対応できる能力が求められ、時間帯によってはお客様対応に追われている現状がある。障害者雇用率を確保するため、内部障害となった従業員の雇用継続を図る必要がある。ハローワークの障害者合同面接会への参加や地域の養護学校訪問により障害者雇用が本格的に始まっている。 ●改善テーマ 内部障害者となった従業員の雇用継続 ●改善・取り組みのポイント 疾病などが原因で内部障害になった従業員が、接客面からの負担などから勤務に耐えられず退職しているケースもあるなか、内部障害は外見判断が困難なため障害者であることに気付かない。繁忙な勤務時間帯に出されるお客様の様々な要求に即応できない場合などに苦情やクレームが原因となり、それらがストレスとなって離職原因となることが少なくない。雇用継続のため、本人の希望を確かめ業務負担の軽減、負担の少ない業務への転換、通勤時間短縮のための配置換え、勤務時間の短縮、勤務日数の軽減、休業などの措置をとっている。 その結果@配置換えにより、勤務の軽減と、人工透析の時間を確保A無理のない勤務様態と勤務管理などの徹底で定着率が向上B自宅近辺の店舗への配置換え、勤務時間の短縮、軽減により雇用が継続された。また、内部障害者の新規雇用も積極的に行っているが応募は少ない。 富士ソフト企画株式会社 代表者:代表取締役社長 早津 宗彦 〒247-0072 神奈川県鎌倉市岡本2-13-18 TEL 0467-47-5944 FAX 0467-45-2277 ●業種および主な事業内容 名刺作成、データエントリ、HP作成、サーバー管理、ダイレクトメール発送、生命保険・損害保険代理店業務、ビル管理、寮社宅管理業務 ●従業員数 110名(平成18年7月1日現在)うち障害者数91名 <内訳> 内部障害者3名(うち重度2名)、視覚障害者3名(うち重度3名)、聴覚障害者14名(うち重度6名)、肢体不自由者33名(うち重度18名)(うち重複1名)、知的障害者19名(うち重度1名)、精神障害者19名 ●事業所の概要と障害者雇用の経過 平成13年9月に富士ソフト株式会社の特例子会社に認定され、以後身体障害者(肢体不自由、視覚障害、聴覚障害、内部障害)、知的障害者、精神障害者の雇用を積極的に進めている。親会社の名刺作成、データエントリ、HP作成、サーバー管理、ダイレクトメール発送業務などを担当し、ノーマライゼーションを実践している。 ●改善テーマ 内部障害者の雇用と安心の職場環境 ●改善・取り組みのポイント 心臓に疾患がある社員が平成18年4月に入社し、現在名刺を作成するグループに勤務している。心臓にはペースメーカーが取り付けられており、万が一心臓の機能に不具合が生じた場合は主治医の連絡先、家族の連絡先などを記したシートを作成し、グループ長を中心にしていつでもその情報を取り出せるようにしてある。 現在まで心臓の不具合が起こっていないが、このような予防法を社内で採っているので、心臓機能障害の本人は安心して仕事に取り組んでもらえるものと考えている。 株式会社サンバーストにいがた 代表者:代表取締役 岡村 繁 〒950-2023 新潟県新潟市小新2151-2 TEL 025-231-0077 FAX 025-231-0066 ●業種および主な事業内容 印章、ゴム印の製造販売、印刷製造販売、福祉機器の販売、レンタル、マイクロフィルムの撮影、複製、引伸し、複写、デジタルファイリング、データ入出力、各種機器の販売、光触媒事業 ●従業員数 28名(平成18年6月1日現在)うち障害者数15名 <内訳> 内部障害者5名(うち重度5名) 、聴覚障害者2名(うち重度2名)、肢体不自由者8名(うち重度8名) ●事業所の概要と障害者雇用の経過 第三セクター方式による重度障害者雇用企業として、重度障害者の雇用の場の確保と障害者雇用の啓発的、モデル的役割をはたすことを目的に平成6年4月に新潟県、新潟市および県内(主として新潟市に本社を置く)の主要企業16社が共同出資のもと設立した。社屋は、ノーマライゼーションの理念に基づき完全バリアフリー化、障害者のための生産設備と補助設備を導入し「働きやすさ」を第一に考えた快適な職場環境である。 ●改善テーマ 製造ラインにおける個々の障害を配慮した業務・配置の改善と実現 ●改善・取り組みのポイント 電算入力作業に10年近い経験がある従業員の退職により、現「印章業務担当」従業員を電算入力作業にコンバートした。さらに内部障害者を新規採用し「印章業務担当」として配置した。しかし腎臓機能障害のため週3日、4時間程度の透析を受けなければならないため退社時間の制約があった。「印章業務」は製造ラインの最終工程に位置し、納品・請求書など伝票の作成、梱包、発送業務を担当するため人員配置と仕事量・時間的な制約など問題点が多かった。 職場全体での協力体制を確立し、職務を「印章業務」から「総務業務」へ移行した。各事業部間の連携作業より管理意識が生まれ、職場の活性化に繋がった。また、仕事のやり方を工夫し無駄を省くことで時間管理意識が生まれ作業の改善と相互のコミュニケーションの活性化に繋がった。これらによって就業負担の軽減と定時終了による透析治療が可能となった。 えちご上越農業協同組合 代表者:代表理事理事長 服部 武 〒943-0817 新潟県上越市藤巻5-30 TEL 025-527-2001 FAX 025-527-2009 ●業種および主な事業内容 総合農協(金融・共済・購買・販売・指導・高齢者福祉事業) ●従業員数 1,255名(平成18年8月1日現在)うち障害者数12名 <内訳> 内部障害者3名(うち重度3名)、視覚障害者2名、肢体不自由者6名(うち重度2名)、精神障害者1名 ●事業所の概要と障害者雇用の経過 新潟県南部に位置した大規模広域合併JAである。エリアは長野県境妙高山麓から日本海に至るまでの上越市、妙高市で農業を中心とした自然豊かな土地柄である。高齢化が進んでおり、JA系統病院と連携した高齢者福祉事業に取り組みながら、食と生活の安全・安心に努め、農業と地域社会に根ざした組織を目指している。障害者雇用にあたっては、発足後継続して取り組んでおり、法定雇用障害者数の充足を目指し、特に障害者がもてる能力を発揮できるよう、JAならではの幅広い業務から職種選択し継続して勤務できるよう努めている。 ●改善テーマ 内部障害者の能力発揮 ●改善・取り組みのポイント 障害者に継続して勤務してもらうため、JAは障害者を負担なく勤務させている。本人の希望と能力に即した業務を分担させ、JAにとって必要な労働力とし、障害者本人がJAにとって継続して必要とされる人材であることを合意・認識することに注力した。 障害者が希望する職種、勤務時間、キャリア、障害に対する精神的負担程度、発揮できる能力を把握して最大限評価できる業種、職種の選択機会の提供をしている。また、常駐保健師の活動、ボランティア活動の奨励により健常職員の障害者雇用に関する意識の高揚を図った。 障害者には業種、職種、勤務形態(時間)の選択以外は特別な扱いをしてなく、定期人事異動の対象ともしている。治療や休養には年次有給休暇のほか私傷病休暇を活用している。内部障害者の1人は、JAの求める能力(労働力)を発揮し、完全に定着し、今春、総務部長に昇進した。職員の先頭に立ち、JAえちご上越を先導している。 株式会社 大谷 代表者:代表取締役 大谷 勝彦 〒950-0141 新潟県新潟市亀田工業団地1-3-5 TEL 025-382-0066 FAX 025-381-7229 ●業種および主な事業内容 印章・ゴム印・印刷物の製造および販売 ●従業員数 68名(平成18年6月22日現在)うち障害者数13名 <内訳> 内部障害者2名(うち重度2名)、聴覚障害者4名(うち重度4名)、肢体不自由者7名(うち重度5名、重複1名)、知的障害者1名 ●事業所の概要と障害者雇用の経過 1966年設立、北海道から九州まで全国に120店舗を展開。「お客様に喜びと満足と感動を与え続ける」「働きがいのある職場づくりと社員の幸福を目指す」「社会福祉に貢献する集団をつくる」の3つを経営理念に掲げ、その具現化に社員一丸となり取り組んでいる。印章業界は古くから障害者が多く働く業界であったため、研修の場として当社工場を提供したことが当社における障害者雇用の発端となる。障害者各人の個性と能力は一人ひとり異なる。それを発揮できる職場の提供および構築に注力しており、実際に障害者は当社に不可欠な戦力となっている。 ●改善テーマ ポルフ活動導入による勤務内容の軽減の試み ●改善・取り組みのポイント 内部障害者2名のうち、1名は心臓機能障害で重労働や長時間労働は不適、もう1名は腎臓機能障害で運動制限こそ無いものの週3回の人工透析を受けており、勤務の時間的制約があった。取り組みとして時間の短縮をも含めた労働内容の軽減と人工透析治療の時間を確保する必要性があった。 工場革新のための実践的プログラムであるポルフを実施することで2ヵ月に一度、外部より講師を招いて指導を受ける。特に注力しているのは労働軽減の要素が強いと思われる「品質保証体制」(ミス・クレームの減少)と「工程管理」(作業効率化)の2点である。各人および各工程のミスの発生傾向を把握し、以後の作業における留意点を顕在化させて、喚起させた。また、17時までに業務が終わらず遅れる場合は後日その対策を練り、工程の見直しと作業効率化を企図していった。これによってミス件数の減少による勤務内容の軽減と作業効率を高め残業時間の減少が実現していった。 株式会社フレット 代表者:代表取締役 松井 秀太郎 〒939-8601 富山県富山市太郎丸西町2-9-3 TEL 076-421-3147 FAX 076-491-5390 ●業種および主な事業内容 医薬用医薬品、一般医薬品、動物用医薬品などの総合卸販売 ●従業員数 397名(平成18年6月23日現在)うち障害者数4名 <内訳> 内部障害者3名(うち重度3名)、肢体不自由者1名 ●事業所の概要と障害者雇用の経過 延亨4年(1747)旧松井薬品の前身、五代松井伊兵衛が富山城下に薬種商を創業、平成10年に医療用医薬品卸の同業三社が合併、新たに株式会社フレット設立となった。現在16の支店、営業所を有し、三陸三県をエリアとしているが、動物薬については中部一円にまでエリアを広めている。内部障害者の職場復帰に当たっては継続雇用を最優先に、医師の助言を参考にして本人の意志を可能な限り尊重した。健康に関連した事業運営ということもあり、障害者雇用に対する社会的責務、雇用率の確保は必然と心得ている。 ●改善テーマ 企業理念の「健康をテーマとして社会に貢献する」のもと、健常者、障害者の区別なく継続雇用のために常に最善の方法をとる ●改善・取り組みのポイント 営業職にあった者の腎機能が次第に悪化、腎臓移植により復帰し、支店長から本社業務推進部長の要職についている1名と合併により新たに社員となった人工透析治療中の2名が中途障害者となった。この機会に障害者雇用における、特に不平等感への問題意識を払拭し、障害者共有の会社運営という社会的責務を全うし、会社をさらにパワーアップさせるための最善策について討議が続けられ、「障害者を特別扱いしない」こととした。障害者が業務に就くにあたってあらかじめ配属先、ポジションを考慮するのは当然であるが、本人の業務に取り組む姿勢、成果が最大限発揮されるように健常者、障害者の区別なく同様に考えている。業務成果最優先の立場から、障害のあるもののハンディはハンディとして真正面から取り組み、皆で可能な限り軽減させる努力をしている。ハンディ、マイナス面を全員参加でカバーし、プラス面を最大限発揮してもらう、そうした会社の方針に沿って人事担当者が折に触れて、目立たぬようにして声かけをしている。 株式会社富士通北陸システムズ 代表者:代表取締役社長 松岡 貫 〒921-8611 石川県金沢市増泉3-4-30 TEL 076-241-4500 FAX 076-241-4590 ●業種および主な事業内容 ソフトウェア開発、システムインテグレーション ●従業員数 548名(平成18年6月20日現在)うち障害者数5名 <内訳> 内部障害者2名(うち重度1名)、視覚障害者1名(うち重度1名)、肢体不自由者2名 ●事業所の概要と障害者雇用の経過 1983年に石川富士通ユーザックとして設立。1991年には社名を「富士通北陸システムズ」に変更し、ソフトウェアの研究・開発ならびにシステムインテグレーション、コンサルティング事業を北陸を中心に全国展開している。以前より障害者雇用に取り組んでいたが、従業員の大部分がエンジニアでかつ顧客先での業務が多いという事業特性から十分な雇用には至らなかった。しかし、企業の社会的責任を強く認識し、障害者雇用や環境活動などの取り組みや在職中の障害者の支援も積極的に行っている。 ●改善テーマ 障害者の雇用促進と誰もが働きやすいオフィス環境の実現 ●改善・取り組みのポイント 多様な障害をもった方でも安心して働けるように、また健常者にとっても安心できるように健康管理スタッフ1名(女性:看護師、産業カウンセラー認定者)を常用雇用し疾病時の対応や心身の健康全般に関する相談にのるようにしている。スタッフの雇用にあわせて、健康管理室の仮眠室改善やリフレッシュコーナーを設置するなど、さらに働きやすい環境作りを行った。内部障害者雇用に際して健康管理スタッフが面談を行い、障害者に働く上での不安や就業面で必要となる配慮をヒアリングした。受付対応や発注・伝票処理など重量物を運ぶ必要がなく、かつ短時間に負荷が集中することのない業務の担当とした。また、就業面の配慮として、通常12日支給している半日休暇を通院の必要性に応じて随時追加するなどの配慮を行っている。時折、体調が思わしくないこともあるが、その時は、健康管理スタッフのもとを訪問し仮眠をとったり、相談をしたりしており、本人にとって安心できる環境となっている。 近鉄東美タクシー株式会社 代表者:代表取締役 梅津 道彦 〒508-0033 岐阜県中津川市太田町2-1-5 TEL 0573-66-1225 FAX 0573-66-2330 ●業種および主な事業内容 一般乗用旅客運送業 ●従業員数 156名(平成18年6月1日現在)うち障害者数7名 <内訳> 内部障害者2名(うち重度2名)、肢体不自由者5名(うち重度1名) ●事業所の概要と障害者雇用の経過 岐阜県東濃地区を中心に9ヵ所、所有営業車両は137台となっている。東濃地区(中津川市、恵那市、土岐市、多治見市)および愛知県の一部(春日井市)を営業エリアとしている。障害者の採用にあたっては、健常者と特に区別することなく、二種免許取得者はもちろん、採用後二種免許取得希望者にも指導・講習を行い、免許を取得させるよう配慮している。特に中途障害者となった場合には、綿密な懇談を重ね、乗務可能な障害者には、乗務車に対する整備を行い、乗務不可となった障害者には、配車、集金などの業務にして雇用を継続している。 ●改善テーマ 内部障害者(腎臓障害者)の雇用管理の改善・工夫 ●改善・取り組みのポイント 通常、タクシー運転手は、二車三人体制で勤務するため、夜勤を伴うが、腎臓機能障害のため、1人は毎週火・木・土と透析のため通院し、もう1人も毎週、月・水・金と通院している。このため、一車一人制とし、勤務時間を7時00分から18時30分の勤務とし、透析のために通院する日については、7時00分から16時00分までの勤務とし、通院に差し支えないようにした。1名については、当面静養するために退職との意向が強く、承認した。退職後におけるフォローアップなど相談を重ねるなか、本人も再度就職をしたいとの申し出があり、体調面など考慮の結果、平成18年5月16日短時間労働者として再雇用をしている。所定勤務時間が少なくなったことにより、体力の回復を図ることができ、本人達も納得して勤務している。また、勤務中に緊急を要することが生じた場合には、タクシー無線が有るため、これを使用して対処することとしているが、現在までのところ事例は無い。 SMBCグリーンサービス株式会社 代表者:山 喜男 〒579-8013 大阪府東大阪市西石切町3-3-15 TEL 072-986-7373 FAX 072-986-7378 ●業種および主な事業内容 銀行よりの事務処理の委託 ●従業員数 134名(平成18年6月5日現在)うち障害者数109名 <内訳> 内部障害者6名(うち重度4名)、視覚障害者1名、聴覚障害者32名(うち重度29名)、肢体不自由者58名(うち重度44名)、知的障害者12名(うち重度6名) ●事業所の概要と障害者雇用の経過 SMBCグリーンサービスは、働く意志と能力を持ちながら、障害のために適職に就く機会に恵まれない方々に、安定した雇用の場を提供する事を目標に、三井住友銀行が都市銀行では初めて設立した特例子会社。 障害者の皆さんが、十分に力を発揮できる様にという願いから、いろいろな職務の開発や事務機器の改造に積極的に努めている。さらに安心して働ける職場環境となるように施設や設置に万全の配慮をしている。 ●改善テーマ 相手を理解し、気持ちを感じ取った職場にして行こう! ●改善・取り組みのポイント 全社的な相談員制度(管理者1名で障害者約5名)の実効を高めるため、月1回以上の社員との相談記録の作成と、その記録を拠点長、社長にも回覧する事をルール化し、社員の情報共有を図った。それを基に体調面、精神面については勿論のこと、職場生活や私生活についても管理者が連携したアドバイスや指導を行い、安心して仕事ができるようにした。勤務時間に柔軟性を持たせ、通常勤務17時10分迄を月・水・金の3日を16時までの勤務に変更し、透析治療を受けやすくするとともに、全社的行事へ参加できるよう調整したり、毎朝管理者が前日までの仕事の進捗状況を説明するようにした。また自ら目標を持った業務収得ができるように、項目を細分化したスキル管理表を作成した。相談員には通院、検査、入院(必要時)など、体調管理については遠慮なく申し出てもらっており、人員が少ない時の多役化体制作り、個人のレベルアップ推進が積極的に進んでいる。内部障害者2名は職場定着し、一人はジョブリーダーと社員の牽引役として活躍して頂いている。 株式会社グロップサンセリテ 代表者:代表取締役 倉田 俊男 〒709-0626 岡山県岡山市中尾440 TEL 086-273-2369 FAX 086-273-9638 ●業種および主な事業内容 データ入力業務、清掃業務、事務処理など ●従業員数 8名(平成18年7月1日現在)うち障害者数25名 <内訳> 内部障害者3名(うち重度1名、重複2名)、聴覚障害者12名(うち重度10名)、肢体不自由者10名(うち重度3名、重複1名) ●事業所の概要と障害者雇用の経過 株式会社グロップを親会社とする特例子会社。グロップは業務請負、人材派遣、有料職業紹介などをはじめとする総合企業であり、当社はグロップの作業現場(データ入力、メールサービスなど)への派遣など、親会社の仕事を中心に事業を展開している。働く意志と能力を有する障害者に対して、企業の社会的使命として生きがいや働きがいのある職場生活の場・チャンスをより多く創出するために当社を設立した。障害者雇用はハローワークからの紹介により行っており、継続雇用についてもハローワークや国立吉備高原職業リハビリテーションセンターとは連携をとって取り組んでいる。 ●改善テーマ 内部障害を有する従業員の継続雇用に向けた雇用管理について 〜担当業務と実施体制などの取り組みから〜 ●改善・取り組みのポイント 突発的な休みというリスクに対応するため、営業などではなくデータエントリー部門に内部障害の方を配属。作業スケジュールをある程度個々の社員に合わせて設定することができ、内部障害者には主として余裕のあるものを担当させることで、突発休の影響を少なくすることが可能となった。また、人員配置に多少の余裕をもっているので、突発的な休みの影響を少なくしている。その影響を最小限にとどめるためには、作業内容に関する情報の整理と共有化などが前提であり、その点についても配慮をしている。また、他の従業員への説明の実施により、本人の勤務状況などに対する周囲の理解がなされ、必要な通院・休養などを安心してとることができている。 また、内部障害者自身も安心して勤務できることは仕事への意欲や成果の向上につながると思われ、仕事への取り組みは良好で、時間当たりの入力量は確実な向上がみられ、本人自身も当社で継続して働くことを希望している。 防長交通株式会社 代表者:織田 文晃 〒745-8547 山口県周南市松保町7-9 TEL 0834-22-7832 FAX 0834-32-3179 ●業種および主な事業内容 道路旅客運送業としてバス事業を営む ●従業員数 500名(平成18年4月1日現在)うち障害者数7名 <内訳> 内部障害者名3名(うち重度1名)、肢体不自由者4名(うち重度1名) ●事業所の概要と障害者雇用の経過 山口県周南市を中心に県央から東部にかけて、約300輌のバスを保有し、旅客運送業を展開している県内有数の老舗企業である。 障害者雇用については古くから取り組んでおり「地域住民の足」として地域と共に歩むことを念頭にして、地域への貢献と障害者の社会復帰を支援することが会社の義務と考えている。また、いろいろな病気、障害をもった場合、バスの乗務員として長時間就労するには、健常者と同等の勤務体系では無理があるので、障害者の意向を重視して、安心して働ける職場環境を整えた。 ●改善テーマ 障害(腎臓障害、重度をもった人の例)をもった後も元の職場への復帰定着ができる雇用管理体制の工夫 ●改善・取り組みのポイント 職場復帰について、すぐに元の職場に戻れないし、戻るにしても不安がある(腎臓障害だけにとどまらず)。就業中ある程度の休息が必要であり、他の従業員に負担をかけないなどを検討し、以下の方法を取ることにした。 @通常勤務ダイヤ(出社から退社まで11時間)を障害の程度に合わせて療養勤務ダイヤ(基本的に拘束時間を短縮したもの)を作った。 A透析に都合が良いように休息時間を所属拠点(出社場所)で取れるように配慮した。 B療養勤務ダイヤを取れば他の人の負担が増えるので、人的余裕がある大きい拠点に配置させた。 C体調が回復すれば通常勤務ダイヤで就業でき、就業中の休息は、体を横にできる休息室で取っている状況である。 山口東農業協同組合 代表者:代表理事組合長 藤中 芳水 〒741-0092 山口県岩国市多田97-2 TEL 0827-44-0564 FAX 0827-44-0551 ●業種および主な事業内容 農業協同組合 ●従業員数 239名(平成18年6月1日現在)うち障害者数1名 <内訳> 内部障害者1名(うち重度1名) ●事業所の概要と障害者雇用の経過 県東部地区を中心に購買事業、信用事業、共済事業を柱に活動する農業協同組合である。平成9年から13年にかけて、12農協が合併し、現在に至っている。障害者雇用への取り組みは合併以前からやっているが、テリトリーが広く、急激に膨張した職員数、施設、設備が障害者雇用の対応に遅れている面もあるが、対応可能な部分から解決して行く方針を取っている。慢性骨髄白血病の障害をもった社員が職場復帰し、安心して継続勤務できるよう、取り組みを行った。 ●改善テーマ やむを得ず障害を背負った人が職場に復帰し継続的に勤務できる体制を構築 ●改善・取り組みのポイント 施設の統廃合や余剰人員の整理をやる中で少数精鋭主義を視野に入れた内部障害者の継続雇用を考慮と対策をしていった。 @片道16kmの通勤距離(自宅から本部まで)を減らすため自宅から2km程度の支所へ転勤させた。 A週2回必要な透析、および休養を取る体制が取れた。 B透析の日は欠勤扱いとしたが、身分は正職員のままとしている。 週に2日程度の残業をさせているが、症状を考えながら対処すべきと考えている。平成13年に発病、入院治療をしていたが状態が思わしくなく転院も重ね平成15年に復帰した。翌16年現在支所へ通勤しており、病状がこのまま進まなければ支所へ定着できると考える。あとは、残業に対する業務分担なりを検討する余地はある。 愛媛たいき農業協同組合 代表者:代表理事組合長 山本 薫 〒795-0064 愛媛県大洲市東大洲198 TEL 0893-24-4181 FAX 0893-23-3843 ●業種および主な事業内容 信用、共済、営農、生活、購買、その他 ●従業員数 546名(平成18年6月1日現在)うち障害者数5名 <内訳> 内部障害者2名(うち重度1名)、肢体不自由者2名、知的障害者1名 ●事業所の概要と障害者雇用の経過 JAの事業は、信用、共済、営農、生活事業など多岐にわたる。この度、紹介する内部障害者は、共済事業の経験が長く、管理職として活躍していたが、平成13年、体調を崩し入院、その後本人より、手帳の呈示があり、一級障害者であることがわかった。 農協では、貴重な人材であることも考慮し、本人と相談のうえ、引き続き共済部業務課の管理職としての仕事を続けて頂くことにしたが、現在は、体調のことを考慮に入れ、内勤事務が主である内部監査室の管理職として業務に携わっている。 ●改善テーマ 中途障害者(腎臓機能障害1級)の継続雇用 ●改善・取り組みのポイント 1日3回〜4回の透析治療が必要なことから、透析専用室の確保が問題になったが、会議室の一室を透析専用室とするとともに、透析治療に必要な、ベッドおよび、透析液保管用容器の設置などを行い、静かに治療に専念できる環境を作るため、入り口には「使用中」の札を掛け、あわせてエアコンの使用も許可した。パート職員を1名増員することで業務量の軽減を図ることとし、県外出張など、必要不可欠な場合には、本人の要望を聞きながら、透析施設や病院の予約などの手配をするとともに、保健師と他の職員1名が同行するようにしている。 昼食時の一時帰宅許可や、月1回の通院時には有給での早退が可能な職場環境を整えている。今回、中途障害者の職場復帰にあたっては、事業所全体でソフト・ハード面ともに考えられる施策を講じバックアップをしたこともあるが、それにもまして、本人の健康管理をはじめ、職場復帰にかける意欲、熱意、たゆまぬ努力が実を結んだ結果といえる。 シンセイフードサービス株式会社 代表者:代表取締役 吉永 英人 〒791-8016 愛媛県松山市久万の台1194 TEL 089-917-6560 FAX 089-917-6562 ●業種および主な事業内容 食品製造販売業 病院給食・施設給食の受託業務、在宅介護食・治療食の宅配業務 ●従業員数 515名(平成18年6月1日現在)うち障害者数10名 <内訳> 内部障害者1名(うち重度1名)、聴覚障害者2名(うち重度1名)、肢体不自由者2名、知的障害者5名 ●事業所の概要と障害者雇用の経過 病院給食・施設給食の受託業務、在宅介護食・治療食の宅配業務、弁当惣菜の製造販売、チルド・レトルト・フリーズ食材の製造販売を行う事業の一括製造を実施する工場である。ハローワークの障害者担当からの紹介で雇用。病院給食の製造を行っている関係で透析・糖尿・腎臓・潰瘍・低残渣食など20種類の治療食を製造している。当該障害者はその透析食を食べ、勤務のない日すなわち透析を受ける日は、当該障害者が通院しているクリニックへ配達している。 ●改善テーマ 透析治療を受けながら、勤務に励む ●改善・取り組みのポイント 月・水・金の週3日透析治療を受け、残り4日間当社工場の容器洗浄部門で勤務している。透析治療は身体的に相当負担が大きく、かなりの疲労感があるようで、以前は、勤務の終了後透析治療へ通っていたが、透析直前もまた、疲労感が大きく勤務中辛そうな面を見せていたので、透析治療をしない日に勤務をするようシフト表を組み替えた。3年に1度腕の外科的手術を受けており、術後の安静期経過後は体調を考慮しながら午後から勤務を実施し、体調・体力に応じて勤務時間帯の変更を実施。また、徒歩1分の場所に駐車場を確保した。工場で勤務する同僚達も、「透析をしながら大変やね。頑張っているね」と透析の辛さを理解しながら励まし、当該障害者が欠けた場合は、フォローし合っている。重量物の運搬など体力的に負担の大きい作業は、別の作業者が肩代わりしてより良い人間関係を形成している。 高知新聞社 代表者:代表取締役社長 藤戸 謙吾 〒780-8572 高知県高知市本町3丁目2番15号 TEL 088-825-4017 FAX 088-825-4881 ●業種および主な事業内容 日刊新聞発行 ●従業員数 364名(平成18年6月27日現在)うち障害者数4名 <内訳> 内部障害者3名(うち重度1名)、肢体不自由者1名 ●事業所の概要と障害者雇用の経過 明治37年9月創刊。朝刊23万部、夕刊14万5000部を発行。平成8年9月に「高知新聞ホームページ」をスタートさせ、インターネットを通じてアクセスする読者に県内ニュースや社主催行事案内などの情報を提供している。6月までのアクセス数は1600万件以上。ホームページ作成を手伝ってもらう臨時職員として、ハローワーク高知の職業指導官の協力を得てパソコン利用技術認定試験3級など数多くの資格を持つ内部障害者(腎臓障害1級)1名が採用された。技術レベルは高く、想定していた補助的業務ではなく、部の中心となって働いてもらっている。 ●改善テーマ 「県民の公器たらんとす」を目標に掲げる新聞社として、日常的に、健常者も障害のある人の存在を意識し、社会的使命の達成と心のバリアフリーが広がることを目指す ●改善・取り組みのポイント メディア情報部はローテーション職場で4日働いて1日休む勤務形態で、出勤時間も午前8時、9時、10時の3パターンがある。月・水・金の3日間は高知市内の病院で午後5時から10時まで透析を行う必要がある。このため、この3日間の勤務は午前8時から午後4時まで、と固定化している。また、勤務も四連続以上にならないよう配慮している。ホームページの運用に関しては、社員を指導する立場で頑張ってもらっている。昼食は弁当を必ず持参するなど、健康のために本人が心配りしている。日常活動にはこれといった支障はない。就業以来、一度だけ急激に血圧が下がり早退したことがあるが、ほとんど健常者と変わらぬ勤務状況である。 高知新聞社では、本館が昭和40年代建設の年季の入った建物でトイレが和式主流だったため、昨年5月、障害者の方の利用も考え、1階から6階までの男女トイレ15ヵ所を洋式のウォシュレット付きのものに改めた。 久光製薬株式会社 代表者:代表取締役社長 中冨 博隆 〒841-0017 佐賀県鳥栖市田代大官町408 TEL 0942-81-1520 FAX 0942-81-1507 ●業種および主な事業内容 医薬品製造販売業 ●従業員数 1,242名(平成18年6月1日現在)うち障害者数18名 <内訳> 内部障害者3名(うち重度1名)、聴覚障害者1名、肢体不自由者6名(うち重度2名)、知的障害者8名(うち重度1名) ●事業所の概要と障害者雇用の経過 「サロンパス」で知られる貼り薬のトップメーカー。特にTDDS(経皮薬物送達システム)技術を中心とした製品の研究開発に取り組んでいる。障害者雇用においては、法定の1.8%以上の雇用率を継続することを企業の社会的責任であると認識し、企業倫理・法令遵守の面から重度障害者を含む18名を現在雇用している。心臓障害者1名を雇用、平成15年は、ハローワークの紹介で心臓障害者1名、腎臓障害者1名を雇用した。心臓障害者1名を新たに把握、確認したことにより4名を雇用、内1名が自己都合で退職している。 ●改善テーマ 社員旅行への参加(重度内部障害者) ●改善・取り組みのポイント レクリェーションの一つとして、社員旅行を毎年実施しているが、旅行日程はこれまでの恒例となっていた1泊2日のコースだけで実施していた。このため、1日毎に人工透析を受けている社員は、実質的に参加できない状況にあった。 その改善策として、1泊2日のコースとは別に日帰りコースを設け、コース別の参加については社員の自由選択とした。 人工透析を受ける必要がある社員が参加できるようになったことに加え、中には子供がいるためや、家族の介護などで1泊2日のコースでは参加できなかった多数の社員も日帰りコースに参加するという効果も生じ、全社員から非常に喜ばれる結果となった。また、日帰りコースとはいえ社員旅行に参加できることにより、日頃のストレス発散と社員同士のコミュニケーションが図られ、業務においても社員間の横のつながりができ、意欲的に仕事に打ち込めるようになった。 まつみ福祉会 介護老人保健施設 桜山荘 代表者:理事長 松岡 半七 〒901-0213 沖縄県豊見城市字高嶺111 TEL 098-856-1111 FAX 098-856-1408 ●業種および主な事業内容 老人介護 ●従業員数 170名(平成18年6月1日現在)うち障害者数30名 <内訳> 内部障害者1名(うち重度1名)、視覚障害者3名(うち重度2名)、聴覚障害者3名(うち重度1名)、肢体不自由者3名(うち重度1名)、知的障害者12名(うち重複1名)、精神障害者8名 ●事業所の概要と障害者雇用の経過 平成元年12月に開設し、短期入所療養介護、通所リハビリテーション、通所介護、訪問介護、認知症対応型共同生活介護、居宅介護支援事業など、要介護老人に対する介護保険サービスを展開している。老人介護には、人とのふれあいを重視したレクリエーションや職員とのコミュニケーションは欠かせない。人は誰しも自分が何かの役に立っているという自負が必要である。サービスを受ける側の役割づくりとして働きながら同時に利用者から援助を受けるといった中間的な存在として障害者を雇用している。 ●改善テーマ 障害者の特性を理解し事業所の配慮を通しての職場定着と安定への試み ●改善・取り組みのポイント 介護補助業務において体力の低下に伴う肉体的負担の軽減を考え、重量的負荷のかかる身体介護業務は避けて、送迎業務、車両管理、レク活動に従事している。職場環境においても昇降の少ない平面での移動中心の場所での配置をしているが、昇降移動が必要な場合は、エレベーターを利用させている。また、現在8時間勤務だが当初は4時間からスタートして6時間、8時間と本人の希望、本人の状態を考慮した上で変更している。休憩時間も1時間設け、休憩場所でゆっくり休むことができる。体調不良時には、早退、休暇も認め休養できるようにし、透析治療においても治療日が休日となるよう配慮している。全職員の定期検診は年2回実施し、問題のある点については、産業医に指導を受けられる体制になっている。透析治療日、体調不良時には現場責任者が治療状況、体調面を確認している。社内交流・行事については本人への参加などの意思確認しながら、健康管理上、助言アドバイスをしている。 応募事業所の概要 1.都道府県別応募数 北海道1 青 森1 岩 手1 宮 城1 秋 田0 山 形1 福 島0 茨 城2 栃 木0 群 馬0 埼 玉0 千 葉1 東 京1 神奈川2 山 梨0 長 野0 新 潟3 富 山1 石 川1 福 井1 岐 阜1 静 岡0 愛 知0 三 重0 滋 賀1 京 都1 大 阪2 兵 庫0 奈 良0 和歌山0 鳥 取0 島 根0 岡 山1 広 島0 山 口2 徳 島0 香 川0 愛 媛2 高 知1 福 岡0 佐 賀1 長 崎0 熊 本0 大 分1 宮 崎0 鹿児島1 沖 縄1 合計 32 2.事業所規模別応募数 1,000人〜   6 500人〜999人 7 300人〜499人 3 100人〜299人 8 56人〜99人 2 55人以下 6 合計 32 3.業種別応募数 農業  園芸サービス業     1 製造業  食料品製造業      2  木材・木製品製造業   1  印刷・同関連業     2  化学工業        1  輸送用機械器具製造業  2  精密機械器具製造業   1  その他の製造業     1 情報通信業  情報サービス業     6  映像・音声・文字情報制作業1 運輸業  道路旅客運送業 2 卸売・小売業  その他の卸売・小売業 2 不動産業  不動産取引業 1 医療・福祉業  医療業 1  社会保険・社会福祉・介護事業3 複合サービス業  協同組合 3 サービス業  専門サービス業 1  その他の事業サービス業 1 合計  32 4.職種別応募数 専門的・技術的職業従事者4  システム・エンジニア1  臨床検査師・衛生検査技師1  按摩マッサージ指圧師・鍼師・灸師1  社会福祉専門職業従事者1 管理的職業従事者6  会社・団体等管理役員6  事務従事者 10  一般事務従事者 6  秘書 2  その他の事務用機器操作員 2 販売従事者 3  販売店員 3 運輸通信従事者 3  自動車運転者 2  バス運転者 1 生産工程・労務作業者 4  生産工程・労務作業者 1  その他の労務作業者 2  清掃員 1 不明 7 合計32 5.特例子会社応募数 特例子会社6 特例子会社以外26 合計32 平成18年度障害者雇用職場改善好事例応募要項 1 趣旨  障害者雇用において雇用管理、雇用環境などを改善・工夫し、様々な取り組みを行っている事業所の中から、他の事業所のモデルとなる好事例を募集し、これを広く一般に周知することによって、企業における障害者の雇用促進と職域の拡大および職場定着の促進を図るとともに、障害者雇用に関する理解の向上に資することを目的とします。 2 募集テーマ  障害者の雇用を取り巻く環境の変化(高齢者雇用、在宅就業など雇用形態の多様化等)の中で、企業が内部障害者※)にとって働きやすい職場にするための創意工夫を行い、雇用および職場定着を図った好事例を募集します。 ※)内部障害とは、心臓機能障害、じん臓機能障害、呼吸器機能障害、ぼうこう又は直腸の機能障害、小腸機能障害、ヒト免疫不全ウィルスによる免疫機能障害のいずれかの障害のある方をいいます。 (1)雇用管理などの改善・工夫  @採用および配置  A従業員としての人材育成  B支援体制・方法の工夫  C安全衛生  D職業能力の開発、キャリアアップ  E内部障害者の雇用に関する従業員の理解促進 (2)雇用環境などの改善・工夫  @施設・設備改善  A福利厚生 (3)その他内部障害者の雇用に関する改善・工夫  @雇用管理サポート事業やトライアル雇用など各種支援制度の活用  A就業時間以外の交流活動などの工夫  Bその他の改善・工夫事項 3 主催  独立行政法人高齢・障害者雇用支援機構 4 後援  厚生労働省 5 応募締切日  平成18年7月10日(月) 6 応募資格  内部障害者を雇用している事業所とします。 7 応募方法 (1)指定の応募用紙に必要事項を記入し、参考資料として図、イラスト、写真、   印刷物など事例の内容を具体的に説明するものを添付してください。 (2)応募する事例については、上記2の募集テーマの全部又は一部に該当するも のとします。 (3)応募用紙は、下記13の問い合わせ先のほか、厚生労働省・都道府県労働局・ ハローワーク・地域障害者職業センターにおいて配布します。また、独立行 政法人高齢・障害者雇用支援機構のホームページ からダウンロードした用紙でも使用できます。 8 賞 優秀な事例には、最優秀賞(厚生労働大臣賞)・優秀賞(独立行政法人高齢・障害者雇用支援機構理事長表彰)・奨励賞(独立行政法人高齢・障害者雇用支援機構理事長表彰)を贈ります。 9 審査 独立行政法人高齢・障害者雇用支援機構に審査員会を設置し、審査します。 10 表彰 上記の最優秀賞・優秀賞の入賞事業所の表彰式は、平成18年9月に東京で開催する予定です。 11 提出先 独立行政法人高齢・障害者雇用支援機構(雇用開発推進部職域開発課) 電子メールによる場合 メールアドレス manual@jeed.go.jp 郵送による場合  〒105-0022東京都港区海岸1-11-1ニューピア竹芝ノースタワー13階 12 その他 (1)応募した文書の著作権およびこれに付随する一切の権利は、独立行政法人高 齢・障害者雇用支援機構に帰属するものとします。 (2)応募書類は、返却しません。 (3)応募事例については好事例集としてまとめ、関係団体、事業所などに配布し ます。このうち入賞事例については取材を行い、事業所名、担当者名、障害 者の個人名、写真とともに、具体的な取材内容を好事例集へ掲載するととも に、当機構ホームページにも掲載します。その他の事例については、事業所 名および取組内容の概要を好事例集へ掲載します。 13 問い合わせ先 独立行政法人高齢・障害者雇用支援機構 雇用開発推進部職域開発課 〒105-0022東京都港区海岸1-11-1ニューピア竹芝ノースタワー13階TEL 03-5400-1625 FAX 03-5400-1608メールアドレス manual@jeed.go.jp 各都道府県障害者雇用促進協会、雇用開発協会、雇用促進協会、総合雇用推進協会、雇用支援協会、高齢・障害者雇用支援協会、高齢者・障害者雇用支援協会 【審査員の構成】 木村  周 東京成徳大学院 客員教授 仙洞田康男 内部障害者更生施設 東京都清瀬園 施設長 土屋 喜久 厚生労働省職業安定局 障害者雇用対策課長 道脇 正夫 職業能力開発総合大学校 名誉教授 輪島  忍 社団法人日本経済団体連合会 労政第一本部 雇用管理グループ長 江上 節義 独立行政法人高齢・障害者雇用支援機構 雇用開発推進・納付金担当理事 (敬称略、五十音順) 障害者雇用納付金制度に基づく各種助成金の内容  事業主等が障害者の雇用や定着のために、施設・設備等の改善をしたり、職場環境への適応や作業等の指導を行ったりする場合、その経済的負担の軽減を図ることで、障害者の雇い入れや継続雇用を容易にしようとする制度です。各助成金の詳細及び相談や申請等の受付は、各都道府県協会(P79)へお問い合わせください。 各種助成金(一部)の内容 1 障害者作業施設設置等助成金 障害者を常用労働者として雇い入れるか継続して雇用する事業主で、その障害者が作業を容易に行えるよう個々の障害に応じ配慮された施設または改造等がなされた設備の設置または整備を行う(賃借による設置を含む)場合に、その費用の一部を助成するものです。 2 障害者福祉施設設置等助成金 障害者を雇い入れるか継続して雇用している事業主または当該事業主の加入している事業主団体が、障害者である労働者の福祉の増進を図るため、保健施設、給食施設、教養文化施設等の福利厚生施設の設置または整備する場合に、その費用の一部を助成するものです。 3 障害者介助等助成金 就職が特に困難と認められる障害者を雇い入れるか継続して雇用している事業主が、障害の種類や程度に応じた適切な雇用管理のために必要な介助等の措置を実施する場合に、その費用の一部を助成するものです。(職場介助者の配置又は委嘱、手話通訳担当者の委嘱、業務遂行援助者の配置等) 4 職場適応援助者助成金 職場適応援助者助成金は、以下のいずれかに該当する社会福祉法人等又は事業主に対して費用の一部を助成するものです。(一定の要件を満たすものに限る。) @ 職場適応援助者(障害者職業総合センター、地域障害者職業センターが行う「第1号職場適応援助者養成研修」又は厚生労働大臣が定める研修を修了し、援助の実施に関し必要な相当程度の経験及び能力を有すると認められる者をいいます。)による援助の事業を行う社会福祉法人等 A 障害者である労働者の雇用に伴い必要となる援助を行う職場適応援助者(障害者職業総合センター、地域障害者職業センターが行う「第2号職場適応援助者養成研修」又は厚生労働大臣が定める研修を修了し、援助の実施に関し必要な相当程度の経験及び能力を有すると認められる者をいいます。)の配置を行う事業主 ※@については、地域障害者職業センター(P78)へお問い合わせください。 5 重度障害者等通勤対策助成金  重度身体障害者、知的障害者、精神障害者または通勤が特に困難と認められる身体障害者を雇い入れるか継続して雇用している事業主、またはこれらの重度障害者等を雇用している事業主が加入している事業主団体が、これらの障害者の通勤を容易にするための措置を行う場合に、その費用の一部を助成するものです。 特定求職者雇用開発助成金 身体障害者、知的障害者又は精神障害者を雇い入れる事業主に対して、その雇い入れに係るものに支払った賃金に相当する額の一定率を雇い入れた日から一定期間支給するもので、具体的な助成率・助成期間が決まっています。受給条件について等、ご質問・ご相談はお近くのハローワーク(公共職業安定所)にお問い合わせください。 関係機関一覧 地域障害者職業センター 北海道障害者職業センター 〒001-0024 札幌市北区北二十四条西5-1-1札幌サンプラザ5F TEL 011-747-8231 FAX 011-747-8134  旭川支所 〒070-0034 旭川市四条通8丁目右1号 ツジビル5F TEL 0166-26-8231 FAX 0166-26-8232 青森障害者職業センター 〒030-0845 青森市緑2-17-2 TEL 017-774-7123 FAX 017-776-2610 岩手障害者職業センター 〒020-0133 盛岡市青山4-12-30 TEL 019-646-4117 FAX 019-646-6860 宮城障害者職業センター 〒983-0836 仙台市宮城野区幸町4-6-1 TEL 022-257-5601 FAX 022-257-5675 秋田障害者職業センター 〒010-0944 秋田市川尻若葉町4-48 TEL 018-864-3608 FAX 018-864-3609 山形障害者職業センター 〒990-0021 山形市小白川町2-3-68 TEL 023-624-2102 FAX 023-624-2179 福島障害者職業センター 〒960-8135 福島市腰浜町23-28 TEL 024-522-2230 FAX 024-522-2261 茨城障害者職業センター 〒309-1703 茨城県笠間市鯉淵6528-66 TEL 0296-77-7373 FAX 0296-77-4752 栃木障害者職業センター 〒320-0865 宇都宮市睦町3-8 TEL 028-637-3216 FAX 028-637-3190 群馬障害者職業センター 〒379-2154 前橋市天川大島町130-1 TEL 027-290-2540 FAX 027-290-2541 埼玉障害者職業センター 〒338-0825 さいたま市桜区下大久保136-1 TEL 048-854-3222 FAX 048-854-3260 千葉障害者職業センター 〒261-0001 千葉市美浜区幸町1-1-3 TEL 043-204-2080 FAX 043-204-2083 東京障害者職業センター 〒170-6008 豊島区東池袋3-1-1サンシャイン60-8F TEL 03-3989-9651 FAX 03-3989-9653  多摩支所 〒190-0012 立川市曙町2-38-5立川ビジネスセンタービル5F TEL 042-529-3341 FAX 042-529-3356 神奈川障害者職業センター 〒228-0815 相模原市桜台13-1 TEL 042-745-3131 FAX 042-742-5789 新潟障害者職業センター 〒950-0067 新潟市大山2-13-1 TEL 025-271-0333 FAX 025-271-9522 富山障害者職業センター 〒931-8443 富山市下飯野新田70-4 TEL 076-438-5285 FAX 076-438-5234 石川障害者職業センター 〒921-8836 石川県石川郡野々市町末松2-244 TEL 076-246-2210 FAX 076-246-1425 福井障害者職業センター 〒910-0026 福井市光陽2-3-32 TEL 0776-25-3685 FAX 0776-25-3694 山梨障害者職業センター 〒400-0864 甲府市湯田2-17-14 TEL 055-232-7069 FAX 055-232-7077 長野障害者職業センター 〒380-0935 長野市中御所3-2-4 TEL 026-227-9774 FAX 026-224-7089 岐阜障害者職業センター 〒502-0933 岐阜市日光町6-30 TEL 058-231-1222 FAX 058-231-1049 静岡障害者職業センター 〒420-0851 静岡市葵区黒金町59-6大同生命静岡ビル7F TEL 054-652-3322 FAX 054-652-3325 愛知障害者職業センター 〒453-0015 名古屋市中村区椿町1-16井門名古屋ビル2F TEL 052-452-3541 FAX 052-452-6218  豊橋支所 〒440-0888 豊橋市駅前大通り1-27三菱UFJ証券豊橋ビル6F TEL 0532-56-3861 FAX 0532-56-3860 三重障害者職業センター 〒514-0002 津市島崎町327-1 TEL 059-224-4726 FAX 059-224-4707 滋賀障害者職業センター 〒525-0027 草津市野村2-20-5 TEL 077-564-1641 FAX 077-564-1663 京都障害者職業センター 〒600-8235 京都市下京区西洞院通塩小路下る東油小路町803 TEL 075-341-2666 FAX 075-341-2678 大阪障害者職業センター 〒541-0056 大阪市中央区久太郎町2-4-11クラボウアネックスビル4F TEL 06-6261-7005 FAX 06-6261-7066  南大阪支所 〒591-8025 堺市北区長曽根町130-23堺商工会議所5F TEL 072-258-7137 FAX 072-258-7139 兵庫障害者職業センター 〒657-0833 神戸市灘区大内通5-2-2 TEL 078-881-6776 FAX 078-881-6596 奈良障害者職業センター 〒630-8014 奈良市四条大路4-2-4 TEL 0742-34-5335 FAX 0742-34-1899 和歌山障害者職業センター 〒640-8323 和歌山市太田130-3 TEL 073-472-3233 FAX 073-474-3069 鳥取障害者職業センター 〒680-0842 鳥取市吉方189 TEL 0857-22-0260 FAX 0857-26-1987 島根障害者職業センター 〒690-0877 松江市春日町532 TEL 0852-21-0900 FAX 0852-21-1909 岡山障害者職業センター 〒700-0952 岡山市平田407 TEL 086-243-6955 FAX 086-241-3599 広島障害者職業センター 〒732-0052 広島市東区光町2-15-55 TEL 082-263-7080 FAX 082-263-7319 山口障害者職業センター 〒747-0803 防府市岡村町3-1 TEL 0835-21-0520 FAX 0835-21-0569 徳島障害者職業センター 〒770-0823 徳島市出来島本町1-5 TEL 088-611-8111 FAX 088-611-8220 香川障害者職業センター 〒760-0055 高松市観光通2-5-20 TEL 087-861-6868 FAX 087-861-6880 愛媛障害者職業センター 〒790-0808 松山市若草町7-2 TEL 089-921-1213 FAX 089-921-1214 高知障害者職業センター 〒781-5102 高知市大津甲770-3 TEL 088-866-2111 FAX 088-866-0676 福岡障害者職業センター 〒810-0042 福岡市中央区赤坂1-6-19ワークプラザ赤坂5F TEL 092-752-5801 FAX 092-752-5751  北九州支所 〒802-0066 北九州市小倉北区萩崎町1-27 TEL 093-941-8521 FAX 093-941-8513 佐賀障害者職業センター 〒840-0851 佐賀市天祐1-8-5 TEL 0952-24-8030 FAX 0952-24-8035 長崎障害者職業センター 〒852-8104 長崎市茂里町3-26 TEL 095-844-3431 FAX 095-848-1886 熊本障害者職業センター 〒862-0971 熊本市大江6-1-38-4F TEL 096-371-8333 FAX 096-371-8806 大分障害者職業センター 〒874-0905 別府市上野口町3088-170 TEL 0977-25-9035 FAX 0977-25-9042 宮崎障害者職業センター 〒880-0014 宮崎市鶴島2-14-17 TEL 0985-26-5226 FAX 0985-25-6425 鹿児島障害者職業センター 〒890-0063 鹿児島市鴨池2-30-10 TEL 099-257-9240 FAX 099-257-9281 沖縄障害者職業センター 〒900-0006 那覇市おもろまち1-3-25沖縄職業総合庁舎5F TEL 098-861-1254 FAX 098-861-1116 駐在事務所 仙台駐在事務所 〒980-0021 仙台市青葉区中央3-2-1 青葉通プラザ内 TEL 022-224-7677 FAX 022-224-8366 東京駐在事務所 〒105-0022 東京都港区海岸1-11-1 ニューピア竹芝ノースタワー内 TEL 03-5400-1632 FAX 03-5400-1633 名古屋駐在事務所 〒460-0008 名古屋市中区栄2-10-19 名古屋商工会議所ビル9F TEL 052-209-5561 FAX 052-209-5562 大阪駐在事務所 〒541-0056 大阪市中央区久太郎町2-4-11 クラボウアネックスビル内 TEL 06-6265-6857 FAX 06-6261-5581 福岡駐在事務所 〒812-0011 福岡市博多区博多駅前3-25-21 博多駅前ビジネスセンター2F TEL TEL TEL 092-474-5304 FAX 092-413-1962 都道府県協会 (社)北海道高齢・障害者雇用促進協会 〒060-0004 札幌市中央区北4条西4-1 札幌国際ビル4F TEL 011-223-3688 FAX 011-223-3696 (社)青森県高齢・障害者雇用支援協会 〒030-0801 青森市新町2-2-4 新町二丁目ビル7F TEL 017-775-4063 FAX 017-734-7483 (社)岩手県雇用開発協会 〒020-0024 盛岡市菜園1-12-10 日鉄鉱盛岡ビル5F TEL 019-654-2081 FAX 019-654-2082 (社)宮城県高齢・障害者雇用支援協会 〒980-0021 仙台市青葉区中央3-2-1 青葉通プラザ2F TEL 022-265-2076 FAX 022-265-2078 (社)秋田県雇用開発協会 〒010-0951 秋田市山王3-1-7 東カンビル3F TEL 018-863-4805 FAX 018-863-4929 (社)山形県高齢・障害者雇用支援協会 〒990-0828 山形市双葉町1-2-3 山形テルサ1F TEL 023-676-8400 FAX 023-645-4404 (社)福島県雇用開発協会 〒960-8034 福島市置賜町1-29 佐平ビル8F TEL 024-524-2731 FAX 024-524-2781 (社)茨城県雇用開発協会〒310-0803 水戸市城南1-1-6 サザン水戸ビル3F TEL 029-221-6698 FAX 029-221-6739 (社)栃木県雇用開発協会 〒320-0033 宇都宮市本町4-15 宇都宮NIビル8F TEL 028-621-2853 FAX 028-627-3104 (社)群馬県雇用開発協会 〒371-0026 前橋市大手町2-6-17 住友生命前橋ビル10F TEL 027-224-3377 FAX 027-224-3556 (社)埼玉県雇用開発協会 〒330-0063 さいたま市浦和区高砂1-1-1 朝日生命浦和ビル7F TEL 048-824-8739 FAX 048-822-6481 (社)千葉県雇用開発協会 〒260-0015 千葉市中央区富士見2-5-15 千葉塚本第三ビル9F TEL 043-225-7071 FAX 043-225-7479 (社)東京都雇用開発協会 〒101-0061 千代田区三崎町1-3-12 水道橋ビル6F TEL 03-3296-7221 FAX 03-3296-7230 (財)神奈川県雇用開発協会 〒231-0026 横浜市中区寿町1-4 かながわ労働プラザ7F TEL 045-633-6110 FAX 045-633-5428 (社)新潟県雇用開発協会 〒950-0087 新潟市東大通1-1-1 三越・ブラザー共同ビル7F TEL 025-241-3123 FAX 025-241-3426 (社)富山県雇用開発協会 〒930-0004富山市桜橋通り2-25 富山第一生命ビル1F TEL 076-442-2055 FAX 076-442-0224 (社)石川県雇用支援協会 〒920-8203 金沢市鞍月5-181 AUBE5F TEL 076-239-0365 FAX 076-239-0398 (社)福井県雇用支援協会 〒910-0005 福井市大手2-7-15 明治安田生命福井ビル10F TEL 0776-24-2392 FAX 0776-24-2394 (社)山梨県雇用促進協会 〒400-0031 甲府市丸の内2-7-23 鈴与甲府ビル4F TEL 055-222-2112 FAX 055-222-2119 (社)長野県雇用開発協会 〒380-8506 長野市南県町1040-1 日本生命長野県庁前ビル6F TEL 026-226-4684 FAX 026-226-5134 (社)岐阜県雇用支援協会 〒500-8856 岐阜市橋本町2-20 濃飛ビル5F TEL 058-252-2324 FAX 058-252-2325 (社)静岡県障害者雇用促進協会 〒420-0857 静岡市葵区御幸町11-30 エクセルワード静岡ビル6F TEL 054-255-7139 FAX 054-253-7910 (社)愛知県雇用開発協会 〒460-0008 名古屋市中区栄2-10-19 名古屋商工会議所ビル9F TEL 052-219-5661 FAX 052-209-5855 (社)三重県雇用開発協会 〒514-0002 津市島崎町137-122 TEL 059-227-8030  FAX 059-227-8131 (社)滋賀県雇用開発協会 〒520-0056 大津市末広町1-1 日本生命大津ビル3F TEL 077-526-4853 FAX 077-526-0078 (社)京都府高齢・障害者雇用支援協会 〒604-8171 京都市中京区烏丸通御池下ル虎屋町577-2 太陽生命御池ビル3F TEL 075-222-0202 FAX 075-222-0225 (社)大阪府雇用開発協会 〒530-0001 大阪市北区梅田1-12-39 新阪急ビル10F TEL 06-6346-0122 FAX 06-6346-0146 (社)兵庫県雇用開発協会 〒650-0025 神戸市中央区相生町1-2-1 東成ビル5F TEL 078-362-6588 FAX 078-362-6550 (社)奈良県雇用開発協会 〒630-8122 奈良市三条本町9-21 JR奈良伝宝ビル4F TEL 0742-34-7791 FAX 0742-34-7722 (社)和歌山県雇用開発協会 〒640-8154 和歌山市六番丁24 ニッセイ和歌山ビル6F TEL 073-425-2770 FAX 073-425-4158 (社)鳥取県高齢・障害者雇用促進協会 〒680-0835 鳥取市東品治町102 明治安田生命鳥取駅前ビル3F TEL 0857-27-6974 FAX 0857-27-6975 (社)島根県雇用促進協会 〒690-0826 松江市学園南1-2-1 くにびきメッセ6F TEL 0852-21-8131 FAX 0852-25-9267 (社)岡山県雇用開発協会 〒700-0907 岡山市下石井2-1-3 岡山第一生命ビル4F TEL 086-233-2667 FAX 086-223-9583 (社)広島県雇用開発協会 〒730-0013 広島市中区八丁堀16-14 第2広電ビル7F TEL 082-512-1133 FAX 082-221-5854 (社)山口県雇用開発協会 〒753-0051 山口市旭通り2-9-19 山口建設ビル3F TEL 083-924-6749 FAX 083-924-6697 (社)徳島雇用支援協会 〒770-0831 徳島市寺島本町西1-7-1 日通朝日徳島ビル7F TEL 088-655-1050 FAX 088-623-3663 (社)香川県雇用支援協会 〒760-0017 高松市番町1-2-26 トキワ番町ビル3F TEL 087-811-2285 FAX 087-811-2286 (社)愛媛高齢・障害者雇用支援協会 〒790-0006 松山市南堀端町5-8 オワセビル4F TEL 089-943-6622 FAX 089-932-2181 (社)高知県雇用開発協会 〒780-0053 高知市駅前町5-5 大同生命高知ビル7F TEL 088-884-5213 FAX 088-884-5306 (財)福岡県高齢者・障害者雇用支援協会 〒812-0011 福岡市博多区博多駅前3-25-21 博多駅前ビジネスセンター3F TEL 092-473-6300 FAX 092-474-1737 (財)佐賀県高齢・障害者雇用支援協会 〒840-0816 佐賀市駅南本町5-1 住友生命佐賀ビル5F TEL 0952-25-2597 FAX 0952-24-6811 (社)長崎県雇用支援協会 〒850-0862 長崎市出島町1-14 出島朝日生命青木ビル5F TEL 095-827-6805 FAX 095-827-6822 (社)熊本県高齢・障害者雇用支援協会 〒860-0844 熊本市水道町8-6 朝日生命熊本ビル3F TEL 096-355-1002 FAX 096-355-1054 (財)大分県総合雇用推進協会 〒870-0026 大分市金池町1-1-1 大交セントラルビル3F TEL 097-537-5048 FAX 097-538-5465 (社)宮崎県雇用開発協会 〒880-0812 宮崎市高千穂通2-1-33 明治安田生命宮崎ビル8F TEL 0985-29-0500 FAX 0985-29-5131 (財)鹿児島県雇用支援協会 〒892-0844 鹿児島市山之口町1-10 鹿児島中央ビルディング11F TEL 099-219-2000 FAX 099-226-9991 (社)沖縄雇用開発協会 〒901-0152 那覇市字小禄1831-1 沖縄産業支援センター7F TEL 098-891-8460 FAX 098-891-8470 平成18年度 内部障害者のための職場改善に関する好事例集 ― 平成18年度障害者雇用職場改善好事例募集の入賞事例から ― 平成19年3月 発 行 独立行政法人高齢・障害者雇用支援機構 〒105-0022 東京都港区海岸1-11-1 ニューピア竹芝ノースタワー内 TEL. 03(5400)1625  FAX. 03(5400)1608 URL.http//www.jeed.or.jp 制作・印刷 株式会社サンワ 誰もが職業をとおして社会参加できる「共生社会」を目指しています。 平成18年度 内部障害者のための職場改善に関する好事例集 ― 平成18年度障害者雇用職場改善好事例募集の入賞事例から― 平成19年3月 発 行 独立行政法人高齢・障害者雇用支援機構 〒105-0022 東京都港区海岸1-11-1 ニューピア竹芝ノースタワー内 TEL.03(5400)1625  FAX.03(5400)1608 URL.https://www.jeed.go.jp/