雇 用3 Case study
在宅勤務のパイオニア企業ならではの
実践的な訓練とコンサルテーション

Profile
支援団体
株式会社沖ワークウェル
●所在地:東京都港区芝浦4-11-17(2号館)
●・03(5445)6805 FAX03(3798)7085
●URL:http://www.okiworkwel.co.jp/
【事業内容】
 平成10年にOKIにおいて障害者の在宅勤務を導入。そのノウハウを活かし、平成16年にOKIの特例子会社として発足。ホームページ制作を中心にポスターデザイン、名刺作成等を行っている。現在では30名以上の障害者が在宅勤務をしている。これまでの企業としての経験を活かして、障害者の在宅勤務のコンサルテーションを開始している。

支援対象者
山崎 寛子さん
●在住地:東京都
●障害種別:身体障害(1級)
●障害状況:車椅子を使用。食事の準備等に1日2回ヘルパーを利用している。

【これまでの経緯】
 平成16年に国立障害者リハビリテーションセンターに入所。平成18年3月に修了後、求職活動中にハローワークで、沖ワークウェルが在宅勤務者を雇用していることを聞き、問い合わせる。支援団体が企画した4ヶ月間の東京都e-ラーニングWeb制作実践コースを受講した後、平成19年5月「⑭NTTデータ」に就職し、NTTデータだいちの営業開始に伴い、平成20年9月に「⑭NTTデータだいち」に転籍。

雇用先
株式会社NTTデータだいち
●所在地:東京都江東区豊洲3-3-3
	豊洲センタービル
●URL:http://www.nttdata-daichi.co.jp/
■従業員数:33名(平成21年2月1日現在)
■障害者の在宅勤務者数:11名
【事業内容】
 株式会社NTTデータの特例子会社を目指して平成20年7月に発足、同年12月に認定される。NTTデータをはじめ、グループ会社からオフィス関連業務として、ホームページ制作、機密文書のリサイクル、名刺印刷、貸し植木や福利厚生関連業務を受託している。

雇用のきっかけ
 企業として積極的に障害者雇用を進めようとした時期に、特例子会社である沖ワークウェルと出会う。雇用ノウハウの提供を受け、支援団体が実施した訓練の受講者を推薦してもらい在宅勤務を開始する。

山崎さんの雇用状況
従事業務	ホームページ作成業務及び更新、インターネットでの情報検索、社内アンケート集計、データ入力
雇用形態	在宅勤務(月1回面談に出社)
非正社員(常勤嘱託社員)
週5日勤務(月~金)
勤務時間	9時30分~17時30分 昼休憩90分
(水曜は17:00まで。 火・金曜は日中に1時間程度、医療介護を受けている)
週30時間(5.5~6.5時間/日)
業務の
進捗管理	毎日の勤務開始・終了時にメール。毎週木曜日、週報にて、「今週おこなった作業」を確認・指示。月1回は面談を実施し直近の状況を確認・指示。適宜、電話・メールで進捗を管理。
賃金	月給制
設置機器	パソコン(シンクライアント)、周辺機器
購入、設置費用	会社貸与
メンテナンス	会社負担
活用した制度	トライアル雇用、特定求職者雇用開発助成金
配慮した事項	日中に医療介護を受けられるように勤務時間を調整。
会社及びスタッフとのコミュニケーションが取れるようチャットソフトを導入

▲山崎さんが作成したNTTデータだいちのホームページ

用語解説
「特例子会社制度」 
 事業主が障害者の雇用に特別の配慮をした子会社を設立し、一定の要件を満たす場合には、特例としてその子会社に雇用されている労働者を親会社に雇用されているものとみなして、実雇用率を算定できる制度。
 事業主にとってのメリットとして、障害の特性に配慮した仕事の確保・職場環境の整備が容易となり、これにより障害者の能力を十分にひきだすことができるといったことが挙げられる。

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支援内容
在宅勤務の先行企業として築き上げた
ノウハウを惜しみなく提供

沖ワークウェル
取締役事業部長 
津田 貴さん

沖ワークウェル
取締役社長 
木村 良二さん

support
支援団体

支援対象者
山崎さんへの支援

雇用前
沖ワークウェルの在宅勤務者と
共同作業を通じて実践を積む

 平成18年11月から在宅によるWeb制作実践講座を約4ヶ月実施する。電話・メールのビジネスマナー、情報セキュリィティ対策、HP制作の基礎、ウェブアクセシビリティ、画像処理、プログラミング等を訓練。実践力を高める取組として、沖ワークウェルの在宅勤務者との共同作業を体験。技術面だけではなく納期に対する意識、他のスタッフとのコミュニケーションの取り方などをアドバイスした。
 また、訓練期間中の自宅におけるパソコン環境の助言やメンタルサポートについては、NPO法人「ウィーキャン世田谷」を通じて実施した。
 この頃、NTTデータでは在宅勤務の導入を検討しており、訓練でスキル向上した山崎さんを同社に推薦し採用に至った。

雇用後
電話やメールで様子を聞くほかに、
在宅勤務者の懇親会などにも声がけ

 採用当時、NTTデータにおいて二人目の在宅勤務者だったため、他の従業員と交流が持ちづらい状況にあった。そのため、電話やメール、OKIの懇親会に誘いながら本人の状況把握に努めた。その際、本人の状況を企業に伝え、相互の信頼関係が築けるようにサポートした。
 加えて本人に対して、「仕事や会社のことでわからないことは、遠慮せずにどんどん連絡を取って聞くように」とのアドバイスを中心に行った。

comment
 国立障害者リハビリテーションセンターを修了後、就職できなくても何かしら社会に関わっていたいと思っていました。その後、沖ワークウェルに送った1通のメールがきっかけとなり、訓練の機会をいただき、就職できたことが夢のようです。

▲山崎 寛子さん

雇用先
株式会社NTTデータだいちへの支援

雇用前
就業規則や雇用管理方法など
障害者雇用企業としてのノウハウを提供

 在宅勤務者の採用に向け、ホームページ制作を職務とすることを提案。これは、ホームページを有している企業が多く、インターネットを通じて仕事の成果が見られること、社内で職務を創出しやすいことから、在宅勤務者の業務として設定しやすいことが理由であった。
 併せて、就業規則や雇用管理方法、「在宅勤務者の心構え」を取りまとめた資料を提供した。

雇用後
在宅勤務をコーディネートする人材の
配置をアドバイス

 継続雇用をサポートするため、顔の見えない在宅勤務者が体調の変化が言いやすい環境づくりを助言した。当初、在宅勤務者のコーディネート役は人事部の社員が兼任していたが、通常業務に追われて対応がしにくいこと、異動により担当者が代わるとサポートがしづらいことから、専任のコーディネーターの配置を勧めた。
 コーディネーター採用にあたって、求められる適性について情報提供を行った。

comment
 沖ワークウェルから在宅勤務の導入に向けて積極的にサポートを受けることができました。就業規則、仕事の進捗管理、助成金情報や諸様式などをオープンにしていただいたことで、当社の在宅勤務制度の土台が作れ、短期間で会社の立ち上げが可能になりました。
 e-スタッフ(在宅勤務者)入社時には、沖ワークウェルのノウハウを参考に作成した「e-スタッフの心得」を配布しています。現在、盛岡から鹿児島に在住しているe-スタッフ同士、チャットソフトを活用してコミュニケーションを図っています。今後はテレビ会議システムの導入を考えています。

▲企画総務部課長の田中敏寛さん(左)、専任のコーディネーターとして活動しているWEB事業部担当部長の鈴木清一さん(右)

支援ノウハウQ&A

Q
在宅勤務導入に向けた就業規則を作成するために、どのような助言をしましたか?

A
 当社が持っている在宅勤務に関する就業規則の情報を提供しました。また、継続勤務を支えるために、メンタル面のサポートや体調管理の考え方、重度障害者の場合、日中に介護ヘルパーが必要な場合があります。その際の就業時間の考え方など助言しました。