就職困難性の高い障害者のための 職場改善好事例集 (精神障害者、発達障害者、高次脳機能障害者) 平成27年度 障害者雇用職場改善好事例募集の入賞事例から 独立行政法人 高齢・障害・求職者雇用支援機構 はじめに  独立行政法人高齢・障害・求職者雇用支援機構では、事業所における障害者雇用及び職場定着を進めるため、雇用管理や職場環境の整備等様々な改善・工夫を行った障害者雇用職場改善好事例を募集し、優秀な事例を表彰、広く周知しています。本募集は平成3年度から開始し、近年では年度ごとにテーマを設定し募集を行っております。  平成27年度においては、就職困難性の高い障害者のための職場改善好事例を募集いたしました。全国の事業主の皆様から多数のご応募をいただき、審査員による厳正なる審査の結果、10事業所の入賞を決定いたしました。  このたび、これらの事例を「就職困難性の高い障害者(精神障害者、発達障害者、高次脳機能障害者)のための職場改善好事例集 ー平成27年度障害者雇用職場改善好事例募集の入賞事例からー」としてご紹介します。障害者の雇用促進と職場定着のためにご活用いただければ幸いです。  最後にご応募いただきました事業主の皆様、そしてご協力いただいた関係機関・団体等の皆様にはあらためて感謝申し上げます。 平成28年3月 独立行政法人高齢・障害・求職者雇用支援機構 CONTENTS 平成27年度障害者雇用職場改善好事例集 はじめに P.1 目次 P.2 精神障害とは P.4 発達障害とは P.6 高次脳機能障害とは P.7 用語解説 P.8 平成27年度障害者雇用職場改善好事例 最優秀賞 株式会社ニッセイ・ニュークリエーション(大阪府大阪市) P.10 社員同士が障害を理解し支えあう仕組み作りやヒューマンケア集の作成による情報の共有化など社内外ネットワークを構築して働きやすい職場を実現 キーワード:1.配置転換 2.不安の軽減 3.社内サポート体制 4.職務遂行の工夫 5.スキルアップ 6.支援機関との連携 7.社内の理解 8. コミュニケーションの改善・工夫 平成27年度障害者雇用職場改善好事例 優秀賞 イオンスーパーセンター株式会社(岩手県盛岡市) P.16 障害者雇用を進めるため在宅勤務制度を導入するとともに、新たな職務を創出することで、精神障害者や発達障害者のマッチングを実現 キーワード:1.雇用形態の見直し 2.職務創出 3.社内サポート体制 4.支援機関との連携 5.コミュニケーションの改善・工夫 平成27年度障害者雇用職場改善好事例 優秀賞 株式会社ベネッセビジネスメイト(東京都多摩市) P.20 個々の適性を見極めた業務配置と受入部署の体制を整えることで、一人ひとりのキャリアアップを実現 キーワード:1.配置転換 2.不安の軽減 3.社内サポート体制 4.キャリアアップ 平成27年度障害者雇用職場改善好事例 優秀賞 株式会社ザグザグ(岡山県岡山市) P.24 障害のある社員へのフォローを専任で行う社員を配置し、社内体制を構築することにより、精神障害者の雇用継続を実現 キーワード:1.社内サポート体制 2.社内の理解 3.採用方法の工夫 4.勤務形態の見直し 5.支援機関との連携 平成27年度障害者雇用職場改善好事例 優秀賞 総合メディカル株式会社(福岡県福岡市) P.28 「ハイブリッド型勤務」(職務内容と勤務場所を複数組み合わせた勤務形態)を実施し、関係機関と連携して障害のある社員の特性を把握し、強みを生かす取組を推進 キーワード:1.配置転換 2.不安の軽減 3.勤務形態の見直し 4.支援機関との連携 平成27年度障害者雇用職場改善好事例 奨励賞 ヤマト運輸株式会社青森主管支店青森ベース店(青森県青森市) P.32 障害者雇用を進めるため、障害者職業生活相談員と現場の社員がそれぞれの役割を担い、ナチュラルサポートを実現 キーワード:1.採用方法の工夫 2.社内サポート体制 3.支援機関との連携 平成27年度障害者雇用職場改善好事例 奨励賞 株式会社エースソリューション(東京都港区) P.36 雇用前実習で障害特性を把握して、本人と職務とのマッチングを実施。社内体制を整備し、支援機関と密接に連携して職場定着を実現 キーワード:1.職務創出 2.不安軽減 3.配置転換 4.採用方法の工夫 5.社内サポート体制 6.支援機関との連携 平成27年度障害者雇用職場改善好事例 奨励賞 株式会社湘南ゼミナールオーシャン(神奈川県横浜市) P.40 高いモチベーションを維持する様々な工夫、社員が強みと苦手を相互に共有してチームとして働く仕組みの構築、支援機関との緊密な連携により職場定着を実現 キーワード:1.職務遂行の工夫 2.不安の軽減 3.コミュニケーションの改善・工夫 4.モチベーションアップ 5.体調管理 平成27年度障害者雇用職場改善好事例 奨励賞 はーとふる川内株式会社(徳島県徳島市) P.44 高次脳機能障害の状況をアセスメントし、社内の支援体制を整えてOJTで業務上の課題に一つひとつ丁寧に対応。支援機関とも連携し、業務能力の向上を実現 キーワード:1.職務創出 2.職務遂行の工夫 3.社内サポート体制 平成27年度障害者雇用職場改善好事例 奨励賞 社会福祉法人川上福祉会くすの子保育園(鹿児島県鹿児島市) P.48 ジョブコーチ支援を活用し、高次脳機能障害の特性に応じたマニュアルの作成や職務の切り出しを行うことで、仕事への責任感や意欲を後押し キーワード:1.職務創出 2.職務遂行の工夫 3.勤務形態の見直し 職場改善のために事業所が作成した資料、支援ツール P.52 応募いただいた事業所 P.66 応募状況 P.67 平成27年度障害者雇用職場改善好事例応募要項 P.68 障害者雇用を支援する施策 P.70 地域障害者職業センター一覧 P.76 高齢・障害者業務課一覧 P.77 障害者雇用に役立つ資料(報告書等) P.78 障害者雇用に役立つ資料(マニュアル等) P.80 ※この事例集では、障害の表記を法令等で使われている「障害」に統一しました。 ■精神障害とは  精神障害は、様々な精神疾患が原因となって起こります。主な精神疾患には、統合失調症、気分障害(うつ病、そううつ病など)、精神作用物質(アルコール、シンナーなど)による精神疾患などがあります。  厚生労働省では、障害者雇用促進のための各種助成金制度などの対象となる精神障害者の範囲を、「精神障害者保健福祉手帳の交付を受けている人」か「統合失調症、そううつ病(そう病及びうつ病を含む)、てんかんにかかっている人」で、「症状が安定し、就労が可能な状態にある人」としています。  また、雇用率の算定対象となる精神障害者の範囲を、「精神障害者保健福祉手帳の交付を受けている人」としています。  なお、てんかんはWHO国際疾病分類では「神経系及び感覚器の疾患」の一部とされていますが、厚生労働省の障害者施策においては精神障害者に対する施策の対象としています。 ◆統合失調症とは  統合失調症は、およそ100人に1人弱がかかる頻度の高い病気です。症状が改善した後にも日常生活や職業生活に支障をきたすこともあるため、就労支援などの対象となることが多い疾患でもあります。  統合失調症の症状から回復した人によく見られる特徴として、「体力や持続力の乏しさ」「細かな指先の動作が苦手」「生真面目さや過緊張からくる疲れやすさ」「臨機応変に判断することが苦手」「新しいことに対する不安の強さ」などが指摘されていますが、それらの特徴やその程度は人によりさまざまです。  現在では薬物療法を中心とした精神医療やリハビリテーションの進歩によって、自立した職業生活を送る人も大変多くなっています。 ◆気分障害(うつ病、そううつ病)とは  気分障害は、憂うつや気分の高ぶりなどの気分の浮き沈みが、生活に支障をきたすほどに一定の期間正常を超えた状態となる病気で、その代表は、うつ病(単一性障害)とそううつ病(双極性障害)です。うつ病では、一般に身体と精神の両方に症状が現れます。身体症状としては、睡眠障害、食欲不振、性欲減退、頭痛・腰痛・肩の痛み、疲労感・倦怠感などが見られます。精神症状は、身体症状に隠れて見逃されがちですが、抑うつ状態、日内変動(特に朝方の憂うつ感がひどく、夕方になるにつれて軽くなっていく状態が続く)、集中力低下、注意力散漫、意欲低下、不安、取り越し苦労、自信の喪失などが特徴的です。身体の症状が強く表面に出て、精神の症状が目立たない「仮面うつ病」と呼ばれるタイプもあります。  「そう」は、「うつ」とは逆に気分の高揚が特徴で、気力や活動性の亢進があります。例えば、社交性が高まり、あちこちに電話をかけたり、話が止まらなかったり、過度の馴れ馴れしさが出たりといった特異な行動が見られることがあります。うつの睡眠障害とは反対に、寝なくても平気である場合が多いのが特徴です。このそう状態とうつ状態が交互に繰り返されるのがそううつ病です。 ■発達障害とは  発達障害は、発達障害者支援法において、自閉症、アスペルガー症候群その他の広汎性発達障害、学習障害、注意欠陥多動性障害その他これに類する脳機能の障害であってその症状が通常低年齢において発現するものとされています。  発達障害者の中には、精神障害者保健福祉手帳や療育手帳の交付を受けて障害者雇用における支援施策を活用している人たちも少なくありませんが、そのどちらの手帳も持たない発達障害者についても、障害者の雇用支援施策が適用できる場合もあります。  発達障害の特性として、社会性・想像力・コミュニケーションの三つの側面に独特な特徴を持っている人が多いほか、不注意、衝動性、多動性、感覚過敏、運動や読み、書き、計算の苦手さといった特徴を有している人もいます。  特性の現れ方は多様であるため、一人ひとりに合った支援が必要となります。 ◆自閉症、アスペルガー症候群、その他の広汎性発達障害  自閉症は、3つの特徴(社会性の障害、コミュニケーションの障害、こだわりが強く、興味や行動が極めて限られている障害)の組み合わせとして診断されます。  社会性の障害の例として、「人への反応や関心が乏しすぎたり、逆に大きすぎたりして、対人関係がうまく結べない」、「指示されているルールは守れるが、職場の暗黙のルールに混乱する」、「注意されると、相手が自分を敵視しているように感じてしまう」ことがあります。  コミュニケーションの障害の例として、「言葉や表情、ジェスチャーなどの手段をうまくつかえないことがある」、「上司や同僚に対する接し方がうまくできない(誰にどう接して良いのかわからない)」、「指示がわからないときに、タイミングよく質問することが苦手」なことがあります。こだわり等の障害の例として、「活動や興味の範囲が著しく制限されている」、「立場を変える、場を理解するなどがうまくできない」、「変化を恐れる」、「複数のことを担当すると、どれを優先するのかわからなくなる」、「時間や場所などの予定が変更になると不安になる」ことがあります。  このほかにも、感覚過敏、不器用さなどがある場合もあります。  なお、新しい診断分類では、「広汎性発達障害」にかわって「自閉症スペクトラム障害」という診断名が使われることになります。「スペクトラム」という言葉は、連続しているという意味で使います。自閉症、高機能自閉症、アスペルガー症候群、その他の広汎性発達障害の間に明確な線引きをすることは困難であり、むしろ知的障害を伴う自閉症から高機能自閉症、アスペルガー症候群まで全てがつながっているという考え方から、これらをまとめて「自閉症スペクトラム障害」といいます。 ◆注意欠陥多動性障害(ADHD)とは  注意が散漫で気が散りやすい「不注意」や、じっとしていられないといった「多動性」、何か思いつくと後先考えず行動してしまう「衝動性」などが特徴です。  不注意の例として、「言われたことを聞いていない」、「毎日の活動や約束を忘れてしまう」ことがあります。  多動性や衝動性の例として、「じっとしていられない」、「落ち着かずそわそわしている」、「話しすぎる」、「質問が終わる前に答えてしまう」、「順番を待つことができない」、「他人の邪魔をしたり干渉したりする」ことがあります。 ◆学習障害(LD)とは  一般的には、全般的な知的発達の遅れがないにも関わらず、読み、書き、算数(計算能力等)の特定の領域に困難さが見られる場合をいいます。  読み書きの障害の例として、「文字の区別ができない」、「うまく文字を書くことができない」、「文字を書いても鏡文字になってしまう」、「句読点が打てない、助詞のつけ方がわからない」ことがあります。  算数の障害の例として、「足し算の繰り上がりがわからない」、「数字や図形を正しく写せない」、「買い物をしてもおつりの計算ができない」ことがあります。 ■高次脳機能障害とは  高次脳機能障害は、脳出血、脳梗塞、くも膜下出血などの脳血管障害や交通事故などの外傷性脳損傷などが原因で脳に損傷を受けると、片まひなどの身体機能の障害や視覚・聴覚などの感覚機能の障害だけでなく、注意・知覚・学習・記憶・判断・言語・思考などの高次の精神機能の低下や喪失が生じます。脳の損傷部位や大きさ、損傷のされ方の違いによって、さまざまな症状が現れます。  記憶障害:見たことや聞いたことをすぐに忘れてしまう、忘れたことの自覚がない、新しいことが覚えにくい、昨日までできていたことを忘れる・できなくなるなど。  注意障害:一つのことに集中できない、同時に物事をこなせない、他のことに行動を切り替えられないなど。  遂行機能障害:計画が立てられない、課題や作業を正しい方法で続けられないなど。  社会的行動障害:子どもっぽくなったり周囲に依存的になる・怒りっぽくなる・突然泣き出すなど感情のコントロールが困難になる、周囲に無関心になる、意欲に欠けるなど。 用語解説(事例をお読みになるにあたって) この好事例集をお読みいただくにあたり、事例に記載されている支援制度などの用語について、概要をご説明します。 ■就労移行支援(事業所)就労継続支援B型  障害者総合支援法に基づく障害福祉サービスのひとつです。「就労移行支援」は、一般企業等への就労を希望する人に、一定期間、就労に必要な知識及び能力の向上のために必要な訓練を行います。「就労継続支援」は雇用契約を結ぶA型と雇用契約を結ばないB型があり、一般企業等への就労が困難な人に、働く場を提供し、知識及び能力の向上のために必要な訓練を行います。 ■障害者就業・生活支援センター  就職や職場への定着に当たって、就業面における支援とあわせて、生活面における支援を必要とする障害者に対して、身近な地域で、雇用、保健福祉、教育などの関係機関との連携を行いながら、障害者の就業及びこれに伴う日常生活、社会生活上の相談・支援を一体的に行う支援機関です。(平成27年10月現在、全国に計327ヶ所設置。) ■障害者職業生活相談員  5人以上の障害のある従業員が働いている事業所では、「障害者の雇用の促進等に関する法律」により、厚生労働省が定める資格を有する従業員のうちから障害者職業生活相談員を選任し、職業生活の相談・指導を行うよう義務づけられています。(各都道府県の高齢・障害者雇用支援センターで障害者職業生活相談員の資格認定講習を実施しています。) ■障害者トライアル雇用奨励金 p.73をご覧ください ■ジョブコーチ支援  知的障害者、精神障害者などの職場適応を容易にするため、職場にジョブコーチを派遣し、事業所、障害者双方にきめ細かな人的支援を行う制度になります。ジョブコーチには地域障害者職業センターに所属する配置型ジョブコーチと、就労支援ノウハウを有する社会福祉法人等に所属する訪問型ジョブコーチ、事業主自ら配置する企業在籍型ジョブコーチがあります。  なお、上記のほか、自治体の独自の制度として養成されたジョブコーチも配置されています。 ■特例子会社制度  事業主が一定の要件を満たした上で障害者の雇用に特別の配慮をした子会社を設立した場合には、特例としてその子会社に雇用されている労働者を親会社に雇用されているものとみなして、実雇用率を算定できる制度です。  事業主にとってのメリットとして、障害の特性に配慮した仕事の確保・職場環境の整備が容易となり、これにより障害者の能力を十分に引き出すことができるといったことが挙げられます。 ■発達障害者支援センター  発達障害児(者)への支援を総合的に行うことを目的とした専門機関です。発達障害児(者)とその家族が豊かな地域生活を送れるように、保健、医療、福祉、教育、労働などの関係機関と連携し、地域における総合的な支援ネットワークを構築しながら、発達障害児(者)とその家族からのさまざまな相談に応じ、指導と助言を行っています。(平成27年9月現在、全国に計88ヶ所設置。) 平成27年度障害者雇用職場改善好事例 最優秀賞 株式会社ニッセイ・ニュークリエーション(大阪府大阪市) 社員同士が障害を理解し支えあう仕組み作りやヒューマンケア集の作成による情報の共有化など社内外ネットワークを構築して働きやすい職場を実現 キーワード:1.配置転換 2.不安の軽減 3.社内サポート体制 4.職務遂行の工夫 5.スキルアップ 6.支援機関との連携 7.社内の理解 8.コミュニケーションの改善・工夫 事業所の概要  日本生命保険相互会社が平成5年に設立した保険業界で初めての特例子会社。当初は、障害者25名(聴覚障害者、肢体不自由者が中心)で事業を開始し、現在は182名の障害者が勤務している。 従業員数 213名(平成27年7月1日) 精神障害者等雇用の経緯  平成20年度より精神障害者、発達障害者の採用を開始し、平成24年度以降は積極的に採用(27年度は12名採用)、現在では37名が働いている。    これまで精神障害者、発達障害者の退職者は0名である。 (平成27年7月1日) 業種及び主な事業内容 印刷・製本業務、日本生命の事務代行業務(コンピュータ端末を使用した保険関係事務処理、保険関係書類の整理区分等) 紹介内容 精神障害・発達障害・高次脳機能障害 従事作業 ・日本生命の事務代行業務(コンピュータ端末を使用した保険関係事務処理、保険関係書類の整理区分等) 障害者の雇用形態・勤続年数 雇用形態:正社員 週の労働時間に変動なし182名、週の労働時間短縮等の変動あり0名 パート・アルバイト 週の労働時間が30時間以上0名、週の労働時間が20〜30時間未満0名、週の労働時間が20時間未満0名 勤続年数:〜2年未満42名、2年〜3年未満21名、3年〜4年未満18名、4年〜5年未満13名、5年以上88名 取組の概要  精神障害者、発達障害者などの職場定着に向けて、お互いの障害を理解し支えあう社内外のネットワークを構築(p53)。「先輩社員によるマンツーマンのアドバイスとアドバイスする先輩社員への研修会・連絡会の開催(p13)」「就労支援機関、医療機関や家族との連携強化(p53)」「『ヒューマンケア集』の作成による対応ノウハウの蓄積(p15、54)」などに取り組むことで、体制の強化を図る。他者とのつながりを大切にし、障害の個別性に対応したきめ細かな取組をしている。 企業の声:柳原 誠さん(代表取締役社長)  当社では、精神障害者を初めて採用した平成20年以降、37名の精神障害者を雇用しましたが、現在元気に働いており退職者はおりません。これは、自分の障害を自ら周りに伝えることで周囲の仲間が自分の障害を理解してくれているという安心感の醸成や、様々な障害を持つ社員同士が互いに支えあいながら業務を進めていくという企業文化を創業以来培ってきたことが大きな要因であると思います。また、最近では精神障害者一人ひとりについての対応事例を集めた「ヒューマンケア集」を作成して管理者に配布したり、社内外の支援ネットワークを活用することで、より一層障害者本人をケアする体制を強化してきました。それらが相互に機能することで、精神障害者の職場定着に繋がってきたと考えています。  今後は、平成30年の法定雇用率算定基礎の見直しを見据え、当社の障害者雇用を拡大していく必要があると考えています。具体的な課題として、①優秀人材の確保と管理者の育成、②社員数に見合った業務ボリュームの確保、③良き企業文化・風土を維持しつつ社員数に相応しい組織運営や経営への転換、があります。これらの諸課題に対処する中で、将来は、障害者自身が運営に参画する会社に成長することを願っています。 社員の声:Aさん【勤続4年】  現在の業務は発送業務と電話応対が中心です。部署替えをした最初は緊張をしていて、他の人が自分のことについて話していると思い込んだり、心の中を読まれていると思ってしまいました。上司に相談し、自分がどのような心持ちで業務を行えばよいかアドバイスをいただくうちに安心して業務を行えるようになり、今では担当する業務も着実に広がってきました。今後は、皆さんが行っている業務改善の提案をやっていきたいですし、業務のことをさらに理解し、できればアドバイザーになりたいと思っています。 Bさん【勤続3年】  物の置き場を忘れることが多々ありますので、持ち物に目印を付けたり、目立つ大きさにしてわかりやすくしています。また、仕事も所々抜けてしまうことがあるので、周りから意見をいただきながら自分でチェック表を作りました。ヒヤリハットカード(p55参照)は、自分のミスを振り返り、同じミスをしないための重要な資料です。これらにより仕事は順風満帆です。今後は定年までの勤務に向けて、仕事のペースもさることながら、精度も磨いていきたいと思います。 Cさん【勤続2年】  所属する部署は、わからないことがあればいつでも聞けますので、安心して業務に取り組んでいます。障害の特性上、抜けなどが生じやすいため、仕事を再開するときは一呼吸おき、確認しながら進めるようにしています。コミュニケーションの障害もあるので、障害者就業・生活支援センターでの月1回の相談では、ため込んで思い詰める、精神的に不安定になる点を助けていただいています。今後は、数年以内にアドバイザーを経験し、その後時間がかかっても副主任を目指し、できれば主任になれるよう頑張りたいと思っています。 Dさん【勤続3年】  コミュニケーションが苦手ですが、障害を理解してくれて、居心地の良いこの会社に入社するため、学校で知らない人に挨拶したり、生徒会に立候補したり努力しました。自分の課題は引き続きコミュニケーション面で、会話を自分なりに捉えてしまったり、難しい話が出てくるとついていけなくなるのでもっと理解できるようにしていきたいです。社内で手話通訳を担当するとき、難しい単語を聞き返すこともあるので、もっとスムーズに手話通訳ができたらいいなと感じています。 改善策紹介 改善前の状況 【社員について:入社4年目のAさん(30歳代)】  統合失調症。ひとつのきっかけから、周囲の人が自分のことを話しているのではないか、自分の行動で周囲の人に心まで読まれているのではないかなど強迫観念を抱きがちになる。 【生じていた課題】  被害妄想の症状により職場の人間関係がうまくいかなくなり、次第に仕事の能率や品質にも影響が出て、自信を失ってしまった。それ以前から業務で使う書類の様式が多岐にわたるため、見落としなどミスが発生していた。このような状況を踏まえて配置転換したが、慣れない環境からか当初は不安定で、ミスもなかなか減少しなかった。 改善策① キーワード:1.配置転換 2.不安の軽減 3.社内サポート体制 4.職務遂行の工夫 特性を把握し適した職務への配置転換を行い、信頼関係を構築したうえでサポートすることで本人のステップアップを実現 ①本人の障害特性を踏まえた配置転換  Aさんは、配置転換前の業務グループに約1年間所属していた。被害妄想により人間関係がうまくいっていないこともあったが、Aさんの特性から見ると、定型業務が多く判断業務が少ない部署への配置転換をした方が本人の能力をもっと発揮できると考え、配置転換を行った。 ②上司との信頼関係の醸成  配置転換先の上司は、最初のうちはミスをするAさんに対して注意を繰り返していたが、Aさんと仕事をするうちに、信頼関係がない中で注意しても、Aさんの中では怒られたという不安だけが大きくなっていることに気づき、まずは緊張しやすいAさんとの信頼関係を築くことから取り組んだ。常に話しかけるなど声かけし、いつでも相談に乗れる雰囲気を作り、Aさんが安心感を持てるよう心がけた。信頼関係が築けた後は、本人の悩みも聞きつつ、意欲的に仕事ができるよう、次のステップを設定するようにしている。 ③作業工程を細分化し、単一業務を付与  業務の工程を「封筒の開封」→「受付処理」→「書類の整理確認」→「変更などの処理実行」と細分化し、まずは1工程を担当することで、業務への自信をつけてもらった。上司は、自信を持って業務を行えているか日々本人に確認するとともに、Aさんの仕事の状況を客観的に判断し、次の工程の作業を付与していくようにした。 改善後の効果  これらの取組により、自信を持ち安定して業務を行えるようになり、ミスも減少した。その後、後輩社員をサポートする役割を得て、より一層意欲的に業務に取り組むようになった。加えて、Aさん自ら電話応対をしたいとの希望も出された。当初は、即座に判断を求められる電話応対はAさんにとって難しいと思われたが、本人の希望を尊重し、さらに自信をつけてもらうため、上司が配慮しながら対応するようにした。最初は相手の話していることが分からないまま返事をするなどの課題が生じたが、電話応対のQ&Aとなる「自分専用マニュアル」をAさんが作成し、今では簡単な応対は問題なくこなせるなど業務の広がりが見られている。 自分専用マニュアル ▲「自分専用マニュアル」を作成し、対応。 改善前の状況 【社員について:入社3年目のBさん(20歳代)】  交通事故で受障し、高次脳機能障害と診断。記憶障害、遂行機能障害、見当識障害が見られる。 【生じていた課題】  記憶障害により仕事の手順が覚えられない、仕事をどこまで進めたかわからなくなり手順を抜かしてしまう、同じミスを繰り返す、計画を立てることが難しいなどが見られた。このような状況から仕事が思うようにいかず、Bさんは自信をなくし、仕事へのモチベーションも低下していた。 改善策② キーワード:3.社内サポート体制 4.職務遂行の工夫 5.スキルアップ 高次脳機能障害の特性に応じた対応の検討と実行により職務遂行の精度の向上を実現  ミスを繰り返さないために「工程チェック表」(p55参照)を作り、次は何をするのか、仕事がどこまで進んだかなどのチェックを入れ、確認しながら業務を進められるようにした。物の管理については、大きなキーホルダーをつけて見つけやすくし、管理の徹底が必要な物(USBメモリーなど)は帰宅時に上司に渡すこととした。また、業務開始前に「ヒヤリハットカード」(p55参照)で自分のミスの傾向を確認した。その他、スケジュール表を使った予定の確認や会議開始前の声かけにより時間配分を本人が認識できるようにしたり、今後のステップアップを自分で把握しておけるよう、本人と上司で段階的に目標を決めるようにするなど見通しが持てるようにしている。 改善後の効果  継続した取組によりミスの頻度が減少した。また、周囲からの声かけなしで時間管理ができるようになり、格段に手際よく仕事が行えるようになった。仕事にも慣れ、上司と相談しながら生き生きと業務に取り組むことができている。 ポイント 職場定着を支えるアドバイザー制度  精神障害、発達障害のある社員が増えてきた中で、それらの社員の職場定着を図るため、まず、同社では、役付者を中心として障害者職業生活相談員講習を受講し、それぞれの職場で精神障害、発達障害のある社員をサポートできるよう障害者雇用等に対する理解を深めました。  さらに、社内にアドバイザー制度を設け、精神障害、発達障害のある社員が入社してから1年間は、同じ部署の先輩社員が「アドバイザー」となり必要な支援を行う仕組みを作りました。3か月後に独り立ちしますが、入社後1年たつまでアドバイザーがフォローを続けて、職場の上司へ引き継ぐようにしました。しかし、実際に運用を開始すると、アドバイザーがストレスをため込んだり、経験不足により時には不適切な対応を取るケースも出てきました。  その状況を改善するため、社内のジョブコーチ等が講師となる「アドバイザー研修会」、それぞれ週1回の「アドバイザー連絡会」、「新入社員と職場の上司との面談」、「ジョブコーチ、上司、アドバイザー等との連絡会」を開催して、社内における情報共有、情報交換を活発にすることで、アドバイザーの不安の解消を図り、今では、精神障害、発達障害のある社員自身もアドバイザーとして活躍しています。 名称、内容、時期・頻度 アドバイザー研修会 ジョブコーチ、障害者職業生活相談員がアドバイザーとなる社員に対し実施。精神障害や発達障害についての特性、事例を紹介しながら接し方のポイントや心構えを教える。 新入社員の入社前に1回 アドバイザー連絡会 アドバイザー同士の情報共有、意見交換の場。ジョブコーチ、障害者職業生活相談員が同席し、アドバイスを受けることもできる。 新入社員入社後の3か月間、週1回 新入社員と直属の上司との面談 直属の上司(主任)が新入社員と面談し、悩みや体調をヒアリング。悩みによってはアドバイザーに伝えて即対応する。 新入社員入社後の3か月間、週1回 ジョブコーチ、障害者職業生活相談員、新入社員の上司、アドバイザーの連絡会 上記1〜3の内容について、ジョブコーチ、障害者職業生活相談員が中心となり情報共有や対応協議する場。 新入社員入社後の3か月間、適宜 ▲社内における研修等の内容 改善前の状況 【社員について:入社2年目のCさん(30歳代)】  発達障害(ADHD:注意欠陥多動性障害)。慣れない環境への不安、言葉による指示への理解のしにくさ、状況判断が苦手で仕事の優先順位がわからないなどの状況が見られる。また、精神面での不安定さに伴い業務遂行に影響が見られる。 【生じていた課題】  障害の状況を踏まえ、入社後3か月間はアドバイザー(p13参照)がマンツーマン指導を行ったが、アドバイザー不在時には業務処理に戸惑う様子が見られた。また、書類が多岐にわたることで見落としや見間違いなどのうっかりミスを繰り返すことがあった。 改善策③ キーワード:1.配置転換 3.社内サポート体制 4.職務遂行の工夫 6.支援機関との連携 7.社内の理解 アドバイザーなど先輩社員や上司のサポートにより、本人の力が発揮できる体制を構築 ①支援機関との連携  安定した作業遂行に向けて、障害者就業・生活支援センター担当者による定期面談に加え、職場においてもCさんへの直接的指導をしてもらった。これらの情報を担当者とアドバイザー間で共有し、社内の業務指導に役立てた。 ②同僚が障害を理解しサポート  社内ではチームで業務を進めており、一つのミスがチーム全体に波及してしまう。そのため、新人研修時に行っている、自分の障害を伝え合うというグループミーティングをチームで実施し、Cさんを含めたメンバーが各々の障害特性や配慮点について意見交換をした。  その後、先輩社員が中心となり、付箋の活用(離席時にやり終えた箇所に付箋を貼り、業務再開時に迷わないようにする)、メモの取り方(箇条書きで見出しに番号を振る)を指導するとともに、現場では工程を細分化してCさんが一定の工程のみ担当するよう変更したり、業務指示をホワイトボードやメモに記入するなど、Cさんが仕事をしやすいよう改善を行った。 ③配置転換と上司、先輩社員によるサポート  ①②の取組を1年間行ったことでCさんの職場定着のめどがついたが、Cさんの障害特性を踏まえて業務上の適性を検討した結果、慣れた職場環境を変えるリスクはあるものの、書類の様式が統一されており、ミスの発生リスクが少ない部署に配置換えをすることとした。また、新規業務に適応しやすくするため、Cさんと同様に配置換えの経験がある先輩社員をペアで配置し、業務への質問や悩みについて相談しやすい環境を整えた。一方、Cさんはその日の体調が業務に影響を与えやすいため、座席を上司の近くに配置し、上司がその日の体調を確認し体調に合わせた業務設定を行うこととした。 改善後の効果  Cさんが入社後の業務に慣れずミスが多い時期に、タイミングを逸することなくアドバイザーや支援機関が本人と一緒に改善策を話し合い、支えることでCさんのミスが減少し、Cさんは安心して業務ができるようになった。また、グループミーティングによりCさんの障害の特徴を同僚が理解することで、チームとして円滑に業務が進むようになった。その後、Cさんの適性を踏まえて配置換えし、上司や先輩社員が支える体制を整えたことで、処理の精度が上がり、より一層、安定した業務に繋げることができた。 改善前の状況 【社員について:入社3年目のDさん(20歳代)】  発達障害(アスペルガー症候群)。幼少期から友達との関わりがうまくいかず、コミュニケーションが苦手。 【生じていた課題】  特別支援学校高等部2年時にDさんの職場実習を受け入れたが、基本的なコミュニケーションが取れず、業務に支障をきたした。校内では一定のコミュニケーションができていたが会社ではそれが発揮できず、卒業後の就職に向けて「報告・連絡・相談」を基本とする仕事の進め方を身につけることが必要だった。 改善策④ キーワード:6.支援機関との連携 8.コミュニケーションの改善・工夫 採用の段階から特別支援学校と連携し、コミュニケーション面の課題を改善  職場実習を受け入れる際には、独自の評価表を使って、特に挨拶、嘘をつかないこと、他者への思いやりといったコミュニケーション面を重視した評価を行っている。Dさんについては、職場実習の結果、挨拶、報告などが不十分だったため、その点を学校側に伝えた。本人と学校はその評価を受け、指摘された課題の改善に向けて学校行事や部活への参加、手話やパソコンの習得など学業以外の活動にも意識して取り組んだ。特に、生徒会長の活動を通じて人間関係が広がり、これまでほとんど参加しなかった部活動も積極的に参加するようになった。 改善後の効果  一年後の高等部3年時の実習では、Dさんは挨拶をはじめとしたコミュニケーション面を格段に向上させていた。学校側に対して本人の課題を具体的に説明し、会社が求める人材や就労時に求められる点を理解してもらうことで、就職に向けて本人が取り組むべき目標を明確にすることができた。 ポイント ヒューマンケア集の作成(p54参照)  「ヒューマンケア集」は、数年前に新人アドバイザーに任命された経験のある副主任の白井さんが、自分の対応が適切かどうかわからず、同じアドバイザーや先輩社員の対応方法を情報共有できればと考えたのがきっかけで生まれました。  作成に当たり、まずはチームリーダーを中心に、「精神障害や発達障害のある社員への対応に当たり困ったこと、悩んだこと」、「実際どのように対応したか」などのアンケートを実施、併せて障害のある社員本人に対しては「会社にサポートしてほしいこと」などをヒアリングしました。取りまとめに当たり、本人の言葉はできるだけそのまま残し、本人の個性が伝わるように工夫しました。  ヒューマンケア集は「個別編」「統括編」に分かれています。「個別編」は障害のある社員全員についてのつまずきやすい点とその対応や配慮のポイント、ヒアリングの内容等を具体的に記載しているため、課長代理以上の役職者へ限定して配布しています。また、「統括編」は個別編をコンパクトにまとめた対応ポイント集で、主任・技術主任に配布しています。  社員の経験を蓄積し、共有する仕組みを作ったことで、初めて後輩や部下をサポートする社員にも一定の対応が可能になりました。また、自分の障害を他者にうまく伝えることができなかった社員も、自分の障害の特徴や配慮のポイントなどを事前に周りに理解してもらうことで、より安心して働くことができるようになりました。 ヒューマンケア集 ▲「ヒューマンケア集」をまとめた白井さん。 『障害で判断するのではなく、一人ひとりをよく見ていくことが大切です。』 平成27年度障害者雇用職場改善好事例 優秀賞 イオンスーパーセンター株式会社(岩手県盛岡市) 障害者雇用を進めるため在宅勤務制度を導入するとともに、新たな職務を創出することで、精神障害者や発達障害者のマッチングを実現 キーワード:1.雇用形態の見直し 2.職務創出 3.社内サポート体制 4.支援機関との連携 5.コミュニケーションの改善・工夫 事業所の概要  岩手県盛岡市を本社とし、平成17年11月に設立。山形以外の東北5県にエリア密着総合ディスカウントストア「スーパーセンター」21店舗を展開。 従業員数 133名 精神障害者等雇用の経緯  以前より障害者雇用を積極的に推進。平成26年度に会社方針として「ダイバーシティ推進」を掲げ、多様な人材を確保することにより会社の継続的な成長を図っていくことを目標に設定。接客等を含む従来の店舗での勤務が難しいなどにより、これまで入社が難しかった障害者の雇用を実現するため、在宅勤務制度を構築し、対象となる障害者の雇用を開始した。 業種及び主な事業内容 総合ディスカウントストア 紹介内容 精神障害、発達障害 従事作業 ・在宅勤務によるシステム系オペレーション業務、人事系システム処理、店舗後方の集計業務など 障害者の雇用形態・勤続年数 雇用形態:正社員 週の労働時間に変動なし0名、週の労働時間短縮等の変動あり0名 パート・アルバイト:週の労働時間が30時間以上1名、週の労働時間が20~30時間未満3名、週の労働時間が20時間未満0名 勤続年数:1年未満4名、1年~3年未満0名、3年~4年未満0名、4年~5年未満0名、5年以上0名 取組の概要  障害者雇用の更なる促進に向け、「障がい者在宅勤務制度」を新たに導入。社内の関係部署や支援機関の活用など社内外と連携することで、これまで入社が難しかった精神障害者及び発達障害者の雇用可能性を広げた。 企業の声:江濵 政江さん(人事教育部長)  当社には様々な雇用形態で様々な価値観を持った人が勤務しており、それぞれの働き方や労働に対する考え方など個々の捉え方の違いを感じています。また、障害者雇用においては、雇用したくても採用に繋がらない、採用したが辞めてしまう状況を打破する必要があり、従来の店舗業務における採用のあり方を見直す必要がありました。そのような当社が持つ「多様性」を強みとして生かし、一人ひとりの働きがい、働きやすさについて検討した結果、在宅勤務という新たな制度の創設に至りました。在宅勤務の導入に際し、検討すべきあらゆる事項をすべて洗い出し、一つひとつ打開策を考えました。在宅勤務を適用する業務の社内調査や他社の導入事例を分析した結果、入力系業務や集計業務における成功事例が多くある障害者の在宅雇用から取りかかることとしました。併せて、職場定着の仕組みとして、支援機関と契約を結び、継続的な定期面談制度を構築し、企業として対応できない部分は専門家に任せることにしました。今後は、事務業務における障害者雇用の更なる拡大、在宅勤務を始めとしたテレワークの確実な運用と対象者の拡大などに向けて取り組みたいと考えています。 社員の声:Aさん【全店舗のキャンペーン用レシート整理・集計】  これまで就職しても職場環境に左右されることが多く、長続きしなかったため、在宅勤務の話を聞いた時は、業務内容は難しいかもしれないが安心して仕事ができると思い、興味を持ちました。採用前に実習をして実際の仕事を体験できたため、自分がやれる仕事だと実感することができました。仕事も順調で、先日は自分の仕事ぶりを講話する機会もいただきました。今後は、まずは仕事をきちんと行い、これから働きたいと考えている障害のある人たちに自分の体験談を伝えていきたいです。 Bさん【各店舗の売価変更後の売上集計業務】  パソコンを使った業務には元々興味がありました。本来は在宅で一人で仕事をするよりも他者がいる環境の方が症状は落ち着きますが、自分の得意分野を生かしたいと考え応募しました。採用後は様々な配慮をいただき、非常にありがたく思っています。現在、短時間勤務からスタートして徐々に時間を延ばしているところであり、今後はフルタイム勤務を目指したいと考えています。 Cさん【全店舗のキャンペーン用レシート整理・集計】  これまでは、職場内で不用意な発言をするなどコミュニケーションがうまくいかず苦労していたため、在宅勤務の話を聞きとても嬉しかったです。面接では電話で話を聞きながらメモを取ることが苦手なことも伝え、質問にはメールで回答してもらうなど配慮をいただいています。在宅で一人で働くことは少し寂しい面もありますが、本社の担当者との電話、週1回の面接でその点をカバーできています。今後はさらに業務に貢献したいと考えています。また、自分の元気さ、明るさを伝えていきたいと思います。 改善策紹介 改善前の状況 【生じていた課題】  障害者雇用をさらに進めるため募集をするが、接客、ミーティングなど対人業務が多い店舗での勤務に負担を感じ、入社を希望しなかったり、入社しても離職してしまうケースが見られ、勤務形態や業務内容を検討する必要性が生じていた。 改善策① キーワード:1.雇用形態の見直し 2.職務創出 従来の勤務形態、業務内容を見直し、在宅勤務制度の構築により障害者雇用を促進  従来の業務では入社が難しかった精神障害者の雇用を進めるため、社内において在宅勤務の可能性を検討した。  まず、在宅勤務の業務を切り出すため社内調査を実施。その後、調査した業務の中から標準化・単純化・専門化・分業化(「解説」)という視点で在宅勤務に適した仕事を抽出。同時に社内外(社内関係部署、労働局、厚生労働省テレワーク窓口)から情報収集を行った。在宅勤務に適した6つの業務を抽出した後、本社において在宅勤務導入のための試行を開始。全ての業務が在宅でもできる内容だったが、他社の先行事例で数多く導入されていた集計・入力業務に絞ることとした。  また、在宅勤務の開始に当たっての懸案事項である労務管理の方法、情報通信システム・機器の整備、在宅勤務者の執務環境などを一つひとつ解決し、在宅勤務制度を構築した(図及びp56、57参照)。 在宅勤務制度の構築に向けた準備 調査:店舗での業務(1日単位、週間単位、月間単位)を職位別・売場別にわけて2店舗で調査。①何の業務を②どの順に③何分くらい④どの頻度で⑤何名で実施したかをすべて書き出す。 抽出・検証:調査結果から、標準化・単純化・専門化・分業化の視点で業務を抽出。抽出した業務が店舗でなくても遂行が可能かどうか最初に本社内で試行し、検証。 制度構築:テレワーク勤務に関する運営ガイドライン、テレワーク勤務規定、同居人承諾書、自宅職場見取図、セキュリティーチェックリスト、テレワーク勤務申請書、健康的にテレワークするためのポイント、覚書、面談報告書を準備。モバイルパソコンや携帯電話は貸与。 解説 在宅勤務に適した業務を抽出するため、次の4つの視点で整理 <標準化> 既に業務手順が確立済みかつ時間制限に幅がある業務 <単純化> 業務の内容・手順がシンプルかつ判断業務構成比が低い業務 <専門化> 同じ担当者が繰り返すことで効率が向上する業務 <分業化> 複数社員で分担が可能な業務 改善後の効果  職務を再構築し、在宅勤務制度を導入することにより、人との関わりが苦手で店舗勤務を負担に感じる障害者を雇用することができた。また、本人の得意な作業を担当業務とすることで、本人の強みを引き出すことができた。 在宅勤務の集計業務 改善前の状況 【生じていた課題】  コミュニケーションを苦手とする精神障害、発達障害のある社員が安心して働けるようにするために、タイミングよく相談し、対応策を検討することが大切だと考えるが、これまでの店舗業務では繁忙期などがあるため、その点の対応に苦慮していた。 改善策② キーワード:3.社内サポート体制 4.支援機関との連携 5.コミュニケーションの改善・工夫 生じた課題に対してタイムリーに相談・対応し、職場定着を図ることができるようサポート体制を確立  在宅雇用では、業務指示を取り違えることがないよう質問、報告を綿密に行う必要がある。加えて、タイミングよく相談できるように、社内の担当者をあらかじめ2名決めて、体制を整えた。  一方、本社人事教育部では、在宅勤務者の居住地で定期的に業務指導することを決めていたものの、職場定着に向けてより一層サポート体制を強化する必要があると考え、支援機関との連携の方法を検討した。そこで、グループ企業の一つである就労移行支援事業所(アビリティーズジャスコ株式会社、以下「AJ社」)と在宅勤務者への定着支援における業務契約を結び、継続的な支援を受ける仕組み作りをした。  採用した社員にはパソコンや携帯電話を貸与し、業務上の質問、報告への対応は社内の担当者がメールや電話で行い、業務以外の内容(体調面、生活面、抱えている悩みなど)への対応はAJ社が行うこととした。  在宅勤務者は週1回AJ社で面談を受け、日常生活上の相談のほか、「担当者にこんな質問をしてもよいのだろうか」、「担当者の言葉の意図を適切に理解できない」といった悩みなどコミュニケーション面について助言を受けている。また、本社人事教育部は、AJ社から定められた様式でこれらの状況報告を受けている。  さらに、本社人事教育部は、AJ社が在宅勤務者に対して行っている面談日に合わせて、月に1回、AJ社を訪問している。そして、在宅勤務者がAJ社の面談を受けた後に、本社人事教育部が在宅勤務者に対して面談を実施している。 改善後の効果  企業と支援機関の役割分担を明確にした上で、採用後のサポートを支援機関に依頼し、コミュニケーション上の悩み、体調の確認などを面談で把握・情報共有することで、課題に迅速に対応することができるようになった。 紹介 千田 純子さん(イオンスーパーセンター(株))  職場実習開始時は、直接業務指導をしましたが、採用後は本社で電話やメールにより業務を指示しています。指示をするときは、「これくらいわかるだろう」ということは極力排除しています。  各々の特性を考え、連絡事項は具体的に簡潔に伝えていますが、これらは通常の業務でも必要なことであり、自分の仕事の仕方を見直すよいきっかけになりました。 紹介 大泉 玄太さん(アビリティーズジャスコ(株))  週1回の面談を担当し、体調面も含めた日常生活、困っていることなどを聞きつつ、こちらからも本人たちが自信をもてるようなフィードバックをするようにしています。また、企業と利用者の架け橋になり、本人が長く働けるようにサポートすることを心がけています。対人不安を持つ方たちから「この仕事に就けて良かった」と聞くと、在宅勤務という働き方の可能性を実感し、この形態が拡がっていくことを期待します。 平成27年度障害者雇用職場改善好事例 優秀賞 株式会社ベネッセビジネスメイト(東京都多摩市) 個々の適性を見極めた業務配置と受入部署の体制を整えることで、一人ひとりのキャリアアップを実現 キーワード:1.配置転換 2.不安の軽減 3.社内サポート体制 4.キャリアアップ 事業所の概要  平成17年に㈱ベネッセコーポレーションの特例子会社として設立し、東京都多摩市本社にて事業を開始する。当初はオフィス清掃等4課で構成していたが、現在は業務が拡大し、様々な業務を運営している。平成24年にはベネッセ・スター・ドーム(プラネタリウム)の施設運営を受託している。精神障害者の雇用は平成21年から開始し、現在様々な障害を持ったメンバーがそれぞれ強みを生かせる分野で業務を担当している。 従業員数 127名 精神障害者等雇用の経緯  平成20年頃から業務工程の変革および「個人作業」から「チーム作業」への転換をはかり、障害者が働きやすい環境を整備した。それにより、OAセンターやオフィス系業務において精神障害者の雇用を開始した。現在は、14名の精神障害者を雇用している。 業種及び主な事業内容 オフィス清掃、メール室の運営(郵便物、トラック便、社内便の集配)、マッサージ、OAセンター(コピー、文書出力)シェアードサービス業務、グループ全社での障害者雇用支援 紹介内容 精神障害 従事作業 プラネタリウムの運営 ・来場者の案内、誘導 ・場内アナウンス、プログラムの上映操作 障害者の雇用形態・勤続年数(H28.3.1現在) 雇用形態:正社員 週の労働時間に変動なし79名、週の労働時間短縮等の変動あり0名 パート・アルバイト 週の労働時間が30時間以上0名、週の労働時間が20~30時間未満1名、週の労働時間が20時間未満1名 勤続年数:~2年未満18名、2年~3年未満2名、3年~4年未満8名、4年~5年未満5名、5年以上48名 取組の概要  一般的な障害特性にとらわれず、一人ひとりの能力、特性に合わせた配置転換によるキャリアアップを実現。環境変化に伴い体調を崩さないよう育成計画を立案し、異動のタイミングの調整、あらかじめ業務の優先順位をつけたOJTの実施など、スムーズな異動と職場定着に向けた取組を実施している。 企業の声 櫻田 満志さん(代表取締役社長)  会社のビジョンとして、品質とコストを意識した市場競争力のある会社を目指していますが、その実現に向け人材育成にも力を入れています。社員個々の特性に応じたステップアップの仕組みをつくり、一人ひとりが業務の範囲を広げ、必要な専門性を高めながらキャリアアップを実現できるようにしていきたいと思っています。さらに、企業理念を実現するために、社員の行動指針を具体的に掲げた「クレド」をつくり、それを常に意識して業務に当たるようにしています。年1回は、「クレド大賞」としていい活動をした社員を表彰しています。  今後も複雑な仕事を単純化したり、より効率的な方法に見直したり、新たな職域を開発するなど引き続き障害者の雇用機会を増やしていきたいと考えています。また、働きやすい環境や仕組みを整え、そのノウハウをグループ企業に展開していきたいと考えています。 社員の声 Aさん【勤続6年】  採用後はずっとOAセンター課に勤務しており、今年の4月からスター・ドーム課に異動しました。異動の話をいただいた時はとてもびっくりし、どんな仕事をするのか、迷ったりしないかと思いました。異動後間もなく繁忙期を迎え、業務を覚えて実践することを日々繰り返しながら、新しい仕事に取り組みました。仕事はお客様の案内、展示物のレイアウト、運営に関する企画・立案など様々ありますが、来場した子どもたちの反応を考えながら企画することはとても楽しく、自分の好きな仕事でもあります。また、この部署は、土日も含めたシフト勤務のため、3~4日の勤務につき1日の休日があり、体調も一層安定しており、以前の5日間連続した勤務よりも体調はむしろ良くなったかもしれません。今後は、来場者の方々が1人でも多くまた来たい!!と思っていただけるような企画や接客に取り組みたいと考えています。 紹介 ベネッセ・スター・ドームの業務紹介  平日は、近隣の小学校、幼稚園、保育園団体の利用がメイン。土日祝日、夏休みなどの特別休暇期間は一般公開を行っている。  シフトによる勤務を行い、アテンドとコンソールの2名体制で業務を行う。お客様対応が基本業務であるため、臨機応変な対応が求められる。 ■アテンド…お客様の誘導、ご案内 ■コンソール…上映作業、観覧中のお客様の見守、対応 ■付帯業務…予約の受付(電話対応もあり)、下見対応、プログラムの作成、アンケート入力、HPへのお知らせ掲載、現金実査、経理処理 ■展示…ベネッセの教材見本、パンフレットなどの展示 スター・ドーム課課長の佐藤瑞枝さん。 『異動は本人にとって大きな環境変化ですが、今回段階的なステップを設定し、本人に合わせた環境整備を行ったことで、安定した勤務とキャリアアップが実現しています。』 改善策紹介 改善前の状況 【社員について:入社6年目のAさん(統合失調症)】  週5日のフルタイム勤務をしているAさんは体調や勤怠状況が安定しており、後輩指導も受け持っている。一方、不調や落ち込みやすい時期があること、周囲の言葉を自分なりに解釈してしまい、自分を責めたり悩んだりする傾向があること、不安をためやすいことが見られる。 【生じていた課題】  社内ではプラネタリウムを運営しているスター・ドーム課で、障害者を新規に募集していたが、採用できなかった。このため、社員の中から、リーダーの補佐役として勤務状態が安定しているAさんを異動させ、本人のステップアップにつなげようと考えたが、土日勤務やシフト勤務への対応に加え、臨機応変な判断が必要となる新たな業務に、負荷をかけずにチャレンジしてもらうため、どのようなステップで取り組めばよいか考えた。 改善策① キーワード:1.配置転換 2.不安の軽減 異動前に業務とのマッチングを見極め、本人に合わせた環境整備をすることで、新たな業務に向けてチャレンジ 【社内実習を通した業務とのマッチングの見極め】  異動を正式に決定する前、2週間の社内実習を設定し、業務の体験を通してAさん自身が新たな業務にチャレンジしたいかどうか、キャリアアップの方向性を選択できるようにした。また、会社としては、実習を通してAさんの業務への対応状況を確認し、Aさんと当該業務とのマッチングを見極めた。実習中は、顧客からのクレームに直接対応することもあったが、Aさんは冷静に対応することができており、大きな動揺も見られなかった。また、会社としては、これまでの勤務経験を生かした正確で丁寧な仕事ぶりからも、業務適性が十分あると判断した。その後、社内面談を行って正式に異動に対しての意思を確認し、さらに、支援機関からも本人の本音を確認してもらい、Aさんが冷静に決めることができるよう配慮した上で、最終的に異動を決定した。 【受け入れ先の環境の整備】  異動後に初めて直面する繁忙期対応ができるように、繁忙期の1か月前を異動時期として設定し、これまでの勤務体系とは違うシフト勤務に慣れてもらうようにした。さらに、新しい業務にスムーズに対応できるよう、上司が育成計画(p58)を立案し、習得すべき業務の優先順位を決めた。この計画はAさんと共有し、各時期に達成すべき行動目標や業務を覚える優先順位を確認し、Aさんのやるべきことを具体的に伝えた。 改善後の効果  異動前の社内実習により本人、会社ともに業務への適性を見極めることができた。また、育成計画により行動目標を明確にし、段階的にステップアップすることで、「何もかも一気に覚えなければならない」という本人の焦る気持ちが和らぎ、無理なく環境に適応することができた。Aさんも「自分にもこの仕事ができる」「楽しい」「ここで頑張りたい」という気持ちを持って異動することができた。 ▲Aさんが以前所属していたOAセンター課 改善前の状況 【生じていた課題】  スター・ドーム課に異動したAさんが、職場環境の変化があっても引き続き安定した勤務ができるのか、また、新たな部署へ異動したことがAさんの自信になり、さらなるキャリアアップにつながっていくかどうか心配があった。 改善策② キーワード:3.社内サポート体制 4.キャリアアップ 受入後の相談体制を構築することにより、安定した勤務とキャリアアップを実現 【受入後の相談体制の構築】  今回の異動は職場環境の変化が大きいため、新しい部署の課長が1週間に一度の定期面談を行い、本人の業務に対する戸惑いや不安を一つひとつ解決していくことにした。特に、Aさんが他者からの言葉に対して自分なりに解釈して不安に思ってしまう点について、客観的な意見を伝えるなどした。さらに、Aさんが異動前に約4年在籍した部署の課長もサポートし、Aさんが相談しやすい体制を整えるとともに、相談内容は両課長が情報共有し、本人の不安などに迅速に対応した。さらに、社内の臨床心理士による月2回の面談を行ったり、支援機関に支援を依頼して職場の外でも相談できるようにした。このような社内外の支援体制の構築に関しては、「定着推進課」がバックアップし、必要な調整等を行った。  また、月1回、課内定例会を開催し、実際に経験したお客様への対応事例を基に、よりよい対応方法をお互いに確認しあったり、想定した場面に対する適切な対応を検討し、共有することで、Aさんがより一層自信を持って接客できるようにした。 改善後の効果  社内外のサポート体制を構築し、安心して仕事をすることのできる環境を整えることで、Aさんは体調を崩すことなく勤務することができた。当初心配されていた職務への対応についても、Aさんは「むしろ自分に合っている」と話し、少しずつ自信をつけながら、意欲的に取り組んでいる。最近は安定した状況になったため、課長との定期面談は、1か月に一度と頻度を減らして行っている。 紹介 定着推進課とは  定着推進課は、社内全体を幅広く把握し、各課と協力して課題に取り組んでいます。業務指導や職場の問題への対応は、基本的に各課で行いますが、支援機関の利用などプラスアルファの対応が必要なときや社員のステップアップを検討するときは、各課の担当者と一緒に課題解決に当たっています。  また、研修体系や実施計画を企画立案しており、ビジネスマナー、障害の基礎理解、指導者を対象としたジョブサポート会(勉強会)など社員の状況に応じた研修を担当しています。 平成27年度障害者雇用職場改善好事例 優秀賞 株式会社ザグザグ(岡山県岡山市) 障害のある社員へのフォローを専任で行う社員を配置し、社内体制を構築することにより、精神障害者の雇用継続を実現 キーワード:1.社内サポート体制 2.社内の理解 3.採用方法の工夫 4.勤務形態の見直し 5.支援機関との連携 事業所の概要  岡山県を中心に広島、香川、兵庫、愛媛、島根、徳島に調剤併設型ドラッグストアチェーンを展開。近年では、介護予防をテーマにしたパワーリハビリ型デイサービス「ザグスタ」をチェーン展開している。 従業員数 2,599名 精神障害者等雇用の経緯  法定雇用率の達成のためだけでなく、障害のある社員が得意なことをいかして働くことが企業にとって大きな力になると考え、障害者雇用を推進している。当初は店舗で採用していたが、現在は本社でも採用しており、障害のある社員の働き方の多様性が広がっている。 業種及び主な事業内容 調剤併設型ドラッグストアチェーン 紹介内容 発達障害 従事作業 店舗内での商品陳列、メンテナンス、掃除、賞味期限チェック等 障害者の雇用形態・勤続年数 雇用形態:正社員 週の労働時間に変動なし5名、週の労働時間短縮等の変動あり0名 パート・アルバイト 週の労働時間が30時間以上16名、週の労働時間が20~30時間未満31名、週の労働時間が20時間未満2名 勤続年数:~2年未満19名、2年~3年未満13名、3年~4年未満12名、4年~5年未満0名、5年以上10名 取組の概要  広域にまたがる各店舗での精神障害者、発達障害者の雇用に向けて、店舗及び障害のある社員へのフォローの専任体制を構築。ジョブコーチとの連携による採用時からの職場定着に向けた対応や社内体制の見直し・改善に取り組んだ。 企業の声 木村 和英さん(店舗支援部部長)  障害者の雇用義務を果たすためには、これまでの取組を根本的に見直していく必要があると考え、精神保健福祉士の資格を持ち、ジョブコーチの経験がある者を雇用し、採用担当者として配置しました。この採用担当者が店舗を後方支援する仕組みを作り、障害のある社員の「できること、できないこと」を正確に把握した上でのマッチング、業務上の課題解決への対応を行っています。  今後は、店舗勤務経験者が採用チームの一員を担えるよう、人材育成に取り組みたいと考えています。 畝森 直樹さん(店舗支援部部長付)  各店舗において障害者雇用を進めていくには、店長の障害者雇用への理解が重要であるため、店長会の場で障害者雇用に関する研修や各店舗における障害者雇用の取組状況の報告を実施しています。  今後は、採用から定着までを採用担当者がフォローする現体制を継承しつつ、さらに課題が生じる前に、本部から積極的な働きかけができるようにしていきたいと考えています。 社員の声 槙本さん【勤務2年:発達障害】  現在は、店舗の品出しを担当しています。最初の頃は商品の場所がわかりませんでしたが、今では商品の場所を案内できるようになってきました。  矢継ぎ早に指示を出されるとわからない部分が出てくるのと、初対面の方に会うと緊張して何も言えなくなってしまうため、最初は大変な緊張の連続でしたが、周りの方が優しく教えてくれ、徐々に慣れてきました。また、以前は発達障害者支援センターに相談していましたが、少しずつ相談の頻度が少なくなり、今では相談することもなくなっています。  今後は、医薬品の品出しができるようになりたいです。また、わからないことはメモをしっかり書いて覚えていきたいと思います。 ▲左から井上店長、槙本さん、内田さん 阿部 瞳さん(総務部採用チーム)  店舗での障害者雇用のフォローに当たっては、本人との信頼関係が崩れないよう、注意してアプローチしています。私一人で3県を担当しているため、ジョブコーチ支援など支援機関を活用し、課題解決に向けて素早く対応するようにしています。また、各店舗の状況を見て、障害者が担当できる職務についても個別に提案していますが、最近は店長から「こんな仕事をやってもらいたい」といった話も出てきています。障害者雇用に積極的に取り組んだ店舗の事例は、年1回の店長会で店長に報告してもらい、社内への発信も心がけています。 井上 陽介さん(ザグザグ院庄店店長)  入社前にナビゲーションブック※を本人から受け取ったので、書かれていることをスタッフに伝えました。採用後は、スタッフからの提案で日誌を作り、情報共有に役立てました(p27)。実際一緒に働いてみると、本人のできていないことが障害に起因するものなのか、意識次第で向上するものなのか判断がつかないこともありました。その時は、阿部さん(精神保健福祉士、ジョブコーチ経験者)に相談した上で対応の仕方を決め、信頼関係ができているスタッフを中心に指摘するようにしました。本人が明るく前向きで、注意を素直に受け入れる様子がわかるので、スタッフも自然な対応ができるようになりました。 ※自分の障害特性やセールスポイント、事業所に配慮をお願いしたいこと等を説明した紹介文 改善策紹介 改善前の状況 【生じていた課題】 ・店舗数が増加し、障害者雇用を推進する必要があったが、社内の理解、採用後のフォロー体制、支援機関に関する知識が十分ではなく、障害者の雇用が進まなかった。特に店舗では、「指導に時間を要する」、「他の従業員と同じ仕事ができるのか」と考える社員もいた。 ・面接時に支援者の同席がない場合、障害に関する詳細を聞くことができず、本人からも診断名や必要な配慮について聞かないまま採用していた。 改善策① キーワード:1.社内サポート体制 2.社内の理解 3.採用方法の工夫 4.勤務形態の見直し 精神障害者雇用を進めるために、有資格者の雇用、社内での研修会の実施、採用方法の見直し、勤務時間の柔軟な設定により社内体制を整備 【採用担当部門の強化】  平成25年より、精神保健福祉士の資格を持ったジョブコーチ経験者を採用チームに配置し(以下「採用担当者」)、採用から職場定着までのフォローを専任で行えるよう、社内で障害者の受入体制を整えた。 【障害者雇用への理解促進】  全店舗の店長が集まる店長会において、障害者雇用に関する制度、採用前の実習や支援機関との連携の必要性、採用後の勤怠管理の仕方、業務上の課題が生じた時の対応方法について、採用担当者が説明した。  また、店舗全体の業務効率が上がる方法として、「人手が足りず手をつけられない業務」を選定すること、そして、その業務に対応できるか本人の特性とマッチングさせることを提案した。  障害特性については、実習や入社前に、店長に対して個別の障害状況を中心に詳しく説明することとした。 【採用方法の変更】  店舗での業務は求人票からイメージされる軽作業とは違い、実際は商品陳列に付随した様々な判断や臨機応変な接客が求められる。また、店舗によって店内、バックヤード、休憩室の環境が異なるため、応募前に店舗見学を実施し、職務内容や勤務場所を確認することで、入社後のミスマッチによる早期離職の防止を図っている。  面接前にはハローワークや支援機関から障害特性や必要な配慮について採用担当者が聞き取り、その内容を面接担当者(エリア責任者、店長)に伝えている。採用前は支援機関の制度を使い、実際の勤務時間で2週間程度の実習を行った後、店長と採用担当者でフォロー体制を確認・相談し、採否を決定している。 【勤務条件】  従来は短時間勤務のみだったが、担当できる業務が増えた場合は、勤務時間を延長できるようにした。4時間勤務から6時間勤務へ、段階的に増やすようにしている。 改善後の効果  平成26年度に採用した精神障害、発達障害のある社員は、ほぼ全員実習を行った上で採用することができた。現在のところ、離職者は出ていない。最近では店長が中心となってスケジュールの工夫、チェックリストの作成、業務上のトラブルへの対処を行い、現場におけるナチュラルサポートが増加している。 ▲総務部採用チームが各店舗の障害者雇用をフォロー 改善前の状況 【生じていた課題】 ・採用時に障害特性を十分確認しなかったため、障害のある社員が無理して働いてしまい、長期欠勤する状況が見られていた。また、一緒に働くスタッフも「自分たちの対応が悪かったのではないか」と感じ、様々な不安が生じていた。 ・障害のある社員が店長の異動によって精神的に不安定になり、離職につながることがあった。また、障害のある社員が、業務中に他の社員に遠慮してタイムリーに相談できず、本人が退職の意思を固めた後に本人が悩んでいたことを店長が知るなど、対応の遅れが見られていた。 改善策② キーワード:1.社内サポート体制 5.支援機関との連携 業務上の課題に対してタイムリーに相談できるようサポート体制を確立し、職場定着を図った取組  平成25年以前に採用した障害のある社員については、採用担当者が店長や障害のある社員から、勤務状況や障害特性を改めて確認した。また、採用時にナビゲーションブック(障害特性を説明する自己紹介資料)を提出した社員もいるため、採用担当者がその内容を一緒に働く社員に説明した。  採用担当者は3県の店舗を定期訪問して障害のある社員をフォローするとともに、随時、店長や障害のある社員からのメールや電話による相談にも対応している。さらに、各店舗社員の毎日の出勤状況を社内システムで確認し、欠勤が続いたら電話で状況を尋ねるなど早期の対応も行っている。  特に、店長の異動後には訪問頻度を増やし、障害のある社員の不安に対応するとともに、新しく赴任した店長に対してこれまでの状況や対応方法を伝えている。  急な対応を要する業務上の課題が生じた場合、採用担当者の状況によってはすぐに店舗訪問ができないこともあるため、ジョブコーチなど支援機関と日頃から連携し、対応を依頼している。このような支援機関からの支援により、店長不在時でも他の社員が安心して対応することができる体制となっている。  障害のある社員が支援機関を利用していない場合は、不調のサインに自分で気づき適切に対応することができず長期欠勤につながるケースが多いことから、採用担当者が体調面で気づいた点を本人に伝え、自己の体調の振り返りをしてもらいつつ、大きく調子を崩す前に時短勤務に切り替えるなど店長と相談し対応している。 改善後の効果  採用担当者が現場と一緒に課題解決を図ることで、店舗の社員自らが適切な対応を取ることができるようになった。また、店長からの指導を受けて本人が取り組んでいる様子を社員が見ることで、障害のある社員に対する理解が深まり、一緒に働く社員のストレスも軽減された。職場定着の体制を整えることで、障害のある社員の継続した勤務につながり、離職率も減少している。 内田 仁美さん(ザグザグ院庄店)  槙本さんの仕事で良いところを褒め、注意すべきところは注意するようにしたり、「ありがとう」という言葉かけを意識的に行っています。その声かけに槙本さんはこたえてくれて、次第にできることも増えてきました。そのような様子を見て、私自身も励まされています。 ▲日報にその日の状況を記入し、社員間で情報を共有 平成27年度障害者雇用職場改善好事例 優秀賞 総合メディカル株式会社(福岡県福岡市) 「ハイブリッド型勤務」(職務内容と勤務場所を複数組み合わせた勤務形態)を実施し、関係機関と連携して障害のある社員の特性を把握し、強みを生かす取組を推進 キーワード:1.配置転換 2.不安の軽減 3.勤務形態の見直し 4.支援機関との連携 事業所の概要  医療機関のコンサルティングをベースに医業経営のトータルサポートを行っている。医師の紹介、医業継承、地域医療活性化支援、全国570店舗以上を展開する調剤薬局、医療機器のリース、患者向けアメニティ向上のためのレンタル等、多角的な事業を展開。  50名の障害者を雇用し、うち10名が精神障害者。 従業員数 4,631名 精神障害者等雇用の経緯  従来から身体障害者を事務部門で雇用していたが、CSRの一環として平成21年より知的障害者の採用を開始。平成24年10月には組織改編を行って障害者雇用推進に特化した部署を設置し、精神障害者、発達障害者の雇用を進め、職務創出と職域拡大に取り組んだ。 業種及び主な事業内容 小売業 (医業経営コンサルティング、医療機関への医師の紹介・医業継承、調剤薬局経営、医療機器のリース、入院患者向けのテレビレンタル) 紹介内容 精神障害(統合失調症) 従事作業 介護施設における清掃業務と本社における庶務業務を組み合わせた業務 障害者の雇用形態・勤続年数 雇用形態:正社員 週の労働時間に変動なし40名、週の労働時間短縮等の変動あり3名 パート・アルバイト 週の労働時間が30時間以上5名、週の労働時間が20~30時間未満3名、週の労働時間が20時間未満0名 勤続年数:1年~2年未満8名、2年~3年未満9名、3年~4年未満8名、4年~5年未満1名、5年以上25名 取組の概要  精神障害や発達障害のある社員の特性を的確に把握して必要な配慮を行うとともに、本人の強みをいかに活用するかという視点を持って取組を進めている。  また、医療、職場、支援機関、本人間の職場における働き方の方向性を適切に調整し職場定着を図っている。 企業の声 谷川 由利子さん(上席執行役員、管理本部長)  当社は、1990年代後半からCSRに取り組み、障害者の採用を行ってまいりましたが、併せてダイバーシティーの積極的推進の一環として、経営トップの決意の下、3年前に障害者雇用推進に特化した部署(業務支援グループ)を設立しました。  まず、当社の障害者雇用推進のあるべき姿を描き、職務創出のため社内の業務分析と業務の切り出しからスタートし、スペース等の環境改善にも積極的に取り組んでまいりました。そして「社員の戦力化」をキーワードに、担当する業務については、障害の特性で見るのではなく、一人ひとりの持つ「個性」「強み」を把握し、「どうすれば本人の持っている力を最大限に活かすことができるか」を重点に日々試行錯誤の中取り組んでいます。  今後は、障害のある社員が本社の様々な部署で働けるよう、人財育成や配属部門の受入れ体制、異動等の仕組みづくりを推進し、社内での共生を進めてまいります。 社員の声 久米さん【勤続1年10か月】(担当業務:介護施設での清掃業務(2日)+本社での庶務業務(2日))  最初は介護施設で清掃業務をやっていましたが、精神的にも体調的にも少しつらいと感じていました。その後、自分の担当業務に、本社でシートをカッターで切る作業、データ入力作業、資料作成作業が加わりました。  この働き方は、清掃と庶務の両方の仕事をすることができるので、メリハリがきいて精神的に良いと感じています。体調も安定して、自分の心の中に自己肯定感がでてきたと感じています。  働くことは楽しいことばかりではないと思っていますが、いろんな人と関わることができ、自分の成長になるし、他の人のために役立つことができると考えています。  自分の生活にとてもいい刺激になっていると思っています。今後も、この状態を維持して、継続して働くことを目標にしています。 現場担当者の声 松尾 謙師さん(管理本部総務部 業務支援グループ シニアマネージャー)  業務支援グループは、社内の一部署として総務部に属し、社内唯一の障害者雇用推進に特化した部門として所属社員総勢32名のうち27名の障害のある社員が勤務しています。またジョブコーチが専任で所属しており、社内各部署から業務の切り出しを行うと同時に、業務の実地指導や個々人のサポート等を担当しています。  所属社員全員の一所懸命で真摯な業務への取組によって社内の信頼を頂き、業務支援グループは会社にとってなくてはならない頼りになる存在として認められるようになりました。今後とも社員一人ひとりがステップアップし、会社の戦力として貢献できる価値ある社員となれるようにしてまいります。 改善策紹介 改善前の状況 【久米さん(37歳、統合失調症と診断)】  久米さんは、採用後、会社が運営管理している介護施設の清掃業務を担当しており、最初の2か月間は無遅刻・無欠勤で安定していたものの、施設職員への挨拶のタイミングを逃してしまった際に注意を受けたことをきっかけに、精神的に落ち込んでいき、遅刻・欠勤が増加していった。さらに、同僚の言動が気になるなどの被害妄想が現れ、出勤しづらい状況になった。 改善策① キーワード:1.配置転換 .2不安の軽減 3.勤務形態の見直し 「ハイブリッド型勤務」(職務内容と勤務場所を複数組み合わせた勤務形態)を導入するとともに、様々な工夫を行って不安の軽減と、仕事へのモチベーション維持を図った ①就労継続目標の具体的設定  久米さんは、総合メディカル株式会社に採用される直近の前職(清掃業務)において、障害特性に起因する不安、被害妄想から徐々に欠勤が増え、2年で退職に至ったという経緯があった。  こういった経緯を踏まえ、まず、「前職の在籍期間2年間を超える」ことを目標とする意識付けを行った。  また、久米さんに対して、「障害特性により自分で不安を作り出している」ということを繰り返しフィードバックし、被害妄想や思い込みは障害特性であることの認識、意識付けを行った。 ②得意なことに光を当てる  久米さんの特技である絵画やイラストを社内掲示や業務紹介資料に使い、久米さんの居場所づくりや上司・同僚との会話の糸口とすることで、久米さんの心の安定を図った。 ③ハイブリッド型勤務への配置転換  久米さんには、年齢・体力面から清掃業務でこの先もずっと働き続けるという自信がなく、他のことにもチャレンジしてみたいという思いがあった。  こうした思いを踏まえ、まず、本社にて試行的に庶務業務にチャレンジしてもらい、試行期間後に拡大ケース会議を実施した。  久米さんの意思確認を行ってから、清掃業務と庶務業務の両方の業務をそれぞれの場所で行うという「ハイブリッド型勤務」への転換を実施した。 解説 ハイブリッド型勤務 「複数の職務内容」と「複数の勤務場所」 【ハイブリッド型勤務への転換】 介護施設(清掃業務)【4日勤務】 介護施設(清掃業務)【2日勤務】 本社(庶務業務)【2日勤務】 改善後の効果  試行的に様々な業務を経験してもらいつつ同時にアセスメントを行うことで、未知数であった久米さんの庶務業務に係る能力を明らかにすることができ、職務創出につなげることができた。  週の半分を庶務業務にすることで、久米さんの中で気持ちの切り替えができるようになり、モチベーションを維持できた。  久米さんの出勤率が大幅に増加し、職域を拡大することができた。 改善前の状況  会社と医療機関(主治医)との間で、「働くこと」に対する考え方に大きな違いがあった。  医療機関(主治医)は障害者雇用を「リハビリ的感覚」での働き方、すなわち、「無理せず調子が悪い時は休んでもよい」というスタンスでとらえ、久米さんに伝えていた。このため、久米さんは、遅刻・欠勤をすることがあった。  一方、会社は、障害者雇用において「配慮」はするものの「働き手として戦力になってほしい。」との考えから、久米さんに対して「休まない。頑張る努力」を求めていた。  このような会社と医療機関(主治医)との間の「働くこと」に対する考え方の違いは、久米さんへの対応のくい違いとなり、久米さんに混乱を生じさせていた。 改善策② キーワード:2.不安の軽減 4.支援機関との連携 会社、医療機関、支援機関の三者一体となった支援体制を構築し、社員の不安感を払拭 ①支援機関に相談し、久米さんの通院同行を依頼。さらに、久米さんに対するアドバイスを依頼  久米さんの遅刻・欠勤については、支援機関と相談し、久米さんとの面談や家庭訪問を繰り返してもらったが、なかなか改善には至らなかった。  そこで、改善の糸口を見つけるため、支援機関に久米さんの通院同行を依頼した。  また、支援機関に対し、障害者雇用に係る「配慮」と「戦力」の考え方について、会社側の思いを伝え、相談した。  そして、支援機関から、久米さんに対し、 「急な欠勤が続くと会社は働き手としてあてにできない。例えば2年以上働き続けるためには、ここが課題だよね。」  ということをアドバイスしてもらった。 ②支援機関を医療機関とのパイプ役として活用  会社側と医療機関(主治医)との間で、「働き方」に係る考え方が異なっており、久米さんに混乱が生じていたことから、支援機関にパイプ役となってもらうことにした。  会社側の「障害者雇用に係る考え方と取組(戦力化)」について、支援機関から医療機関(主治医)に対して説明してもらうことで、久米さんの定期受診時に同じ目線でのアドバイスを医療機関(主治医)からしてもらえるようになった。 改善後の効果  医療機関(主治医)から会社と同じ目線でアドバイスを受けることで、久米さんに〈会社・医療機関・支援機関〉の三者一体となった就労に係るアドバイスを一貫した内容で行うことができている。  また、久米さんには、仕事についてのたくさんの相談先があるという安心感が生まれ、不安になった時も早い段階で解決方法を見つけられるようになった。  会社としても、医療機関や支援機関との三者一体となった支援体制の重要性を認識することができた。 紹介 精神障害のある社員の特性を把握し、必要な配慮を実施  Aさん(26歳・アスペルガー症候群)から、「椅子に長時間座り続けると足が浮遊した感覚となり落ち着かない。足を組んだり正座のような状態(皮膚同士がぴったりと接触している状態)が好ましい」という発言があった。  その対策として、会社はバランスチェアを導入した。  また、Aさんには光過敏と聴覚過敏があり、日差しや周囲の音がストレスとなることから、作業場所の変更や耳栓の着用により、不安の軽減と集中力の増加を図った。 平成27年度障害者雇用職場改善好事例 奨励賞 ヤマト運輸株式会社青森主管支店青森ベース店(青森県青森市) 障害者雇用を進めるため、障害者職業生活相談員と現場の社員がそれぞれの役割を担い、ナチュラルサポートを実現 キーワード:1.採用方法の工夫 2.社内サポート体制 3.支援機関との連携 事業所の概要  ヤマト運輸株式会社は、「宅急便」事業を柱に展開しており、青森主管支店は、全国70ある主管支店の1つである。同支店は、青森県内に約30事業所を展開しており、県内を網羅するネットワークでお客様サービスを展開している。現在、同支店では、17名の障害者を雇用しており、同支店青森ベース店においても7名の障害者が勤務している。 従業員数 約180名 精神障害者等雇用の経緯  青森ベース店は、平成25年から本格的に障害者雇用に取り組み始めた。当時は、精神障害者雇用の経験がなく、どのように進めたらよいのか分からなかったため、ハローワークを始めとした支援機関に相談、情報収集をした。現在も支援機関と連携し、実習を受け入れるなど継続的に障害者雇用に取り組んでいる。 業種及び主な事業内容 運輸業(宅急便など) 紹介内容 精神障害 従事作業 ・荷物の仕分け作業、構内における清掃作業 障害者の雇用形態・勤続年数 雇用形態:正社員 週の労働時間に変動なし3名、週の労働時間短縮等の変動あり0名 パート・アルバイト 週の労働時間が30時間以上0名、週の労働時間が20~30時間未満1名、週の労働時間が20時間未満1名 勤続年数:1年~2年未満0名2年~3年未満1名、3年~4年未満1名、4年~5年未満1名、5年以上2名 取組の概要  精神障害者の雇用経験がなく雇用の進め方がわからなかったため支援機関への相談、講習の受講、他企業の情報収集などを実施し雇用前に受入体制を構築。さらに、職場定着に向けて支援機関との役割分担を明確化して取り組んだ。 企業の声 山内 誠さん(青森主管支店 青森ベース店 副ベース長)  当社では、社会貢献活動の一貫として、障害のある方については、封入作業など簡易な作業による職場体験を行っています。主管支店では障害者雇用を継続的に進めていましたが、各現場では危険な箇所や様々なルールを覚えてもらう必要があり、無理だろうという決めつけがありました。ただ、実際に取り組み始めると、真面目な彼らの優れた部分に触れたり、体調の波がある部分を障害者職業生活相談員が支える様子や、長所を伸ばし短所をフォローすることで問題なくやれるという様子を見たりして、障害者雇用への手応えをつかむことができました。彼らの働きぶりを見て自分たちもしっかりしようと改めて思えるような良い効果が得られていることもあり、今後も前向きに進めていきたいと思っております。 社員の声 山田さん【勤続約3年】 担当業務:荷物の仕分け 勤務時間:7時半~13時  最初は仕事もわからず、体力的にも精神的にも大変でしたが、周りの人からの親切なアドバイスにより次第に慣れていきました。障害により気持ちの波が大きいため、気持ちが高ぶっている時は落ち着かせるように、下がっている時は他の方に仕事をお願いしたり、相談したりしています。現在担当する作業はまだ一部なので、今後は自分が担当できる範囲を少しずつ広げ、将来的には誰に言われなくても仕事をこなせるようにしていきたいです。 長谷川さん【勤続約4年】 担当業務:荷物の仕分け 勤務時間:7時半~13時  最初は重い荷物を持つため大変でしたが、徐々に慣れていきました。人間関係などの悩みは、林さん(グループ長・障害者職業生活相談員)やジョブコーチに相談したり、休憩時間に同僚と話をしてオン・オフをうまく切り替えるようにして対応しています。体調が悪いと眠れなくなりますが、今は安定して仕事をしています。今後は、以前の職場で従事していたパソコン業務をしてみたいです。また、家庭を持ちキャリアアップしていきたいです。 現場担当者の声 林 丈夫さん(グループ長、障害者職業生活相談員)  障害者職業生活相談員認定講習で支援機関の存在を知り、連絡を取りました。支援機関には、採用時のコーディネートや情報提供、採用後の相談を担ってもらっており、適宜情報交換をしています。支援機関のフォローにより職場への定着率が上がったため、最近はできるだけ支援機関を利用する方向で進めています。相談員として対応できる範囲は限られており、新たな職務への配置の検討などは、やはり会社のトップや上司の理解があり、総合的な判断があったうえでうまく進んでいるのだと思います。雇用率達成だけでなく、このような状況と現場のサポートがあってうまくかみ合っていくのかなと思っています。 改善策紹介 改善前の状況 【生じていた課題】  障害者雇用の経験がなかったため、障害者雇用に関する知識を持っておらず、不安が大きかった。また、具体的な方針を持って雇用を進めておらず、受入体制が構築されていなかった。 改善策① キーワード:1. 採用方法の工夫 2.社内サポート体制 3.支援機関との連携 障害者雇用に関する理解を深め、基本方針を設定するなど必要事項を一つひとつ決めながら受入体制を構築  社内の障害者雇用を本格的に進めるために、事業所内の受入体制の構築に向けて、以下①〜⑥に取り組んだ。 ①障害者雇用に関する知識の習得  障害者職業生活相談員認定講習(以下「認定講習」)を受講し、障害者雇用に関する知識を習得した。また、事業所見学会に参加し、他の事業所の担当者と情報交換を行うことで障害者雇用への不安感を軽減することができた。 ②基本方針の設定  当初は障害者職業生活相談員(以下「相談員」)1名が中心となり指導や相談等を行っていたが、相談員と本人とのマンツーマン体制による行き詰まり感があった。そのようなとき、現場の社員の中にも障害者雇用を理解しサポートできる社員がいることを知り、現場の上司や同僚が中心となるサポート体制に変更し、安定した受入体制の構築を目指した。地域障害者職業センターからも適宜アドバイスをもらい、社内におけるナチュラルサポートを形成していった。 ③障害者職業生活相談員の役割分担の明確化  相談員は日々の見回りと声かけ、個別面談、作業指導担当者や採用担当者との情報交換、支援機関との相談・調整の役割を担っている。現場で生じる日常的な課題等は、現場の上司が中心となって解決している。 ④支援機関との連携  採用時にはジョブコーチ支援を活用し、専門的見地から意見をもらい、課題解決を図った。また、生活面での定着支援が継続的に必要な社員については、障害者就業・生活支援センターと連携するなど、職場外の相談窓口も整えた(下の図参照)。 ⑤作業指導担当者(以下「担当者」)の配置  障害のある社員と同じグループから担当者を選定し、日頃の状況把握に努めている。勤務状況や会話を交わす中で普段と様子が違うと感じた時は、相談員に報告・相談し、担当者が問題を抱えることなく迅速な解決を図ることができるようにした。 ⑥採用前の実習の設定  採用は就職面接会や養護学校などをとおして行い、採用前に作業内容、作業量、休憩の取り方などを支援機関と打ち合せ、2週間程度の実習を設定している。実習では各業務への適性、清掃作業の様子、挨拶・身だしなみなどを確認し、本人の意欲も加味しながら採用を進めた。 改善後の効果  相談員の役割をイメージするとともに、相談員のみがサポートする体制から現場の社員も一緒にサポートするようなナチュラルサポートを目指すなど、障害者雇用の取組の方向性を明確化することで受入体制が構築され、社内の障害者雇用への理解が進み、本人たちの働きやすさと社員の安心感を醸成することができた。 ▲現場の上司等が中心となる受入体制を構築。相談員との役割分担を明確にした。 改善前の状況 【生じていた課題】  精神障害に関する知識がなく、接し方や配慮の仕方、職務内容など具体的な対応方法が分からなかった。また、採用後は、本人が「自分は周囲に迷惑をかけているのでは」と自分を責めてしまい、精神的に落ち込む面も見られた。 改善策② 2.社内サポート体制 3.支援機関との連携 支援機関と連携し、具体的なアドバイスを受けながら、個々の状況に応じた対応をすることで継続勤務を実現  障害者雇用をどのように進めるのがより良いのかわからなかったため、認定講習で知った地域障害者職業センターに相談をした。採用面接にはセンター職員が同行、本人が理解しやすい指示の出し方、配慮点などを説明してもらった。疲労の蓄積など体調面を考慮し、週5日/1日5時間の勤務で無理なく働けるよう設定した。  採用後は、担当者や相談員、同僚から積極的で自然な挨拶や声かけを行い、障害のある社員からも気軽に相談しやすい環境が整うよう心がけた。担当者は本人の様子を見て、疲労度によっては休憩を促したり、体調が悪そうな時には相談員に連絡するなど目を配った。また、相談員、担当者が月1~2回程度の面接を設定し、内容に応じて本人の不安や問題を現場に伝えたり、支援機関に相談を依頼するなどした。このような素早い対応により、本人の不安を軽減した。  業務面については、荷物の発送等を担当する新入社員に必ず配布する、作業上の注意点等を示した作業ハンドブック(写真)を用いて作業のポイントを確認するとともに、担当者が実際にやってみせて、作業のコツを具体的に助言することを繰り返し行い、作業に慣れてもらった。さらに、作業のミスが生じた時には都度の振り返りやメモを取るよう促した。 改善後の効果  現場での働きかけや支援機関との連携により、障害のある社員が働きやすい環境を整備した。さらに、個別相談を通じて障害のある社員の不安等を吸い上げ、素早く対応することで本人の不安を軽減し、安心感が醸成され、継続勤務を実現することができた。 紹介 合同研修会の実施  社内の障害者雇用への関心をさらに高めるため、障害特性をテーマにした研修会を障害者就業・生活支援センターに依頼しました。近隣の企業からも同じ要望があったため、合同研修会とし、5社程度が参加しました。研修により、社内の障害理解が一層進んだのと、皆同じような悩みを抱えながら障害者雇用を進めているのがわかりあえ、今後に生かすことができる手応えを感じました。 ▲作業ハンドブック 平成27年度障害者雇用職場改善好事例 奨励賞 株式会社エースソリューション(東京都港区) 雇用前実習で障害特性を把握して、本人と職務とのマッチングを実施。社内体制を整備し、支援機関と密接に連携して職場定着を実現 キーワード:1.職務創出 2.不安軽減 3.配置転換 4.採用方法の工夫 5.社内サポート体制 6.支援機関との連携 事業所の概要  平成26年6月に株式会社エイブル&パートナーズの特例子会社として認定を受けた(設立は平成13年)。グループ内の事務作業を請う事業をしている。現在、26名の障害者が勤務している(うち精神障害者は9名)。 従業員数 45名 精神障害者等雇用の経緯  設立当初から、特別支援学校・支援機関・ハローワークから要請を受け、毎年、障害者の採用面接をしている。特に、知的障害者については、職場体験実習を行って積極的に雇用してきた。障害者雇用に係る支援ノウハウを蓄積し、現在は精神障害者・発達障害者の雇用を推進している。  直近1年間で8名の精神障害者を採用した。 業種及び主な事業内容 株式会社エイブル&パートナーズ、株式会社エイブル、その他グループ会社に係る「シェアードサービス事業」(総務・経理・人事業務を主とする管理部門のアウトソーシング事業) 紹介内容 精神障害(統合失調症) 従事作業 契約書の発送業務 障害者の雇用形態・勤続年数 雇用形態:正社員 週の労働時間に変動なし12名、週の労働時間短縮等の変動あり0名 パート・アルバイト 週の労働時間が30時間以上13名、週の労働時間が20~30時間未満1名、週の労働時間が20時間未満0名 勤続年数:1年~2年未満12名、2年~3年未満4名、3年~4年未満0名、4年~5年未満10名、5年以上0名 取組の概要  雇用前の実習で特性を把握し、職務のマッチングを行うなど採用後を見据えた取組を行っている。また、社内における人的体制の整備、業務の再構築、支援機関との密接な連携等、精神障害者の職場定着に向けて総合的に取り組んでいる。 企業の声 名武 久継さん(代表取締役社長)  障害者の雇用に当たっては、従来からハローワークや支援機関と連携しており、この連携の継続によりネットワークが広がっていきました。今では国立障害者リハビリテーションセンターとも連携することができるようになりました。  もともと、体調を崩した社員が職場復帰するためのリワーク支援をやっており、その流れで精神障害のある方の採用を進めています。  経営サイドは、経営効率の観点から、ついバックオフィスの環境を狭く作ってしまいがちですが、それは良くないことだと考え、職場環境を整えています。  また、産業医のアドバイスを適切に判断し、人間関係を築いていけるように配慮することが大切だと思っています。  障害者雇用については、家族や周囲の方の認識が重要だと考えています。  社員を甘やかすのではなく、必要な「配慮」を行い、広い視点とバランスを持って会社を良くしていきたいと考えています。 社員の声 内堀さん【勤続約1年半】担当業務:不動産家主に送る書類の封入・発送業務 勤務時間:9:30~17:30  入社に当たっては、支援機関を通じて採用面接を受けました。雇用前実習で、社内の雰囲気がとても良かったので入社したいと感じました。もともと不動産に興味があり、宅建の資格を持っているという理由もあります。  入社当初はパソコンを使った業務を担当していましたが、私にとっては難しい業務だったので、スキャニング業務と発送業務に配置転換してもらいました。  今はとても仕事がやりやすく、4人のチームリーダーとして働いています。  以前は、人前で話をしたり笑ったりするのが苦手でしたが、今では、人前でも話したり笑ったりすることができるようになりました。  チームの朝会では、リーダーとして話をしています。  仕事を通じて笑顔を作ることができるようになり、幸せです。これからも前向きに仕事をやっていきたいと思っています。 現場担当者の声 山本 弘美さん(社会福祉士・ジョブコーチ)  内堀さんの入社に当たっては、支援機関と緊密に連携し、訪問してもらうなどのサポートを受けました。  当初、担当業務は本人の希望に基づき、パソコンを使った業務だったのですが、表情があまり良くなかったので、おそらく業務に不安を持っているのではないかと考えました。  本人は支援機関に対し、「業務が難しい」という本音を伝えていたので、支援機関と相談し、3か月後にはスキャニング業務に転換しました。  転換後の業務は本人に最も合っている様子で、自信を持って仕事をしていると感じました。  今、本人は一日の業務内容を理解し、自分の状態や変化に気付きながら振り返りができていると思います。  社内の雰囲気は、不安なことがあるとすぐに相談できる体制になっており、私は日常的に声かけをして本人の体調等の状況を見ています。 改善策紹介 改善前の状況 【内堀さんについて:入社2年目(30歳代)、統合失調症と診断】  内堀さんの前職は作業系で周囲との連携が必要な業務だったが、それに苦労したので、入社時は一人で業務を進めることができるパソコン作業を希望していた。  入社後、内堀さんが実際にパソコン業務に携わるとミスに対する不安が強く出てしまい、不安がミスにつながり、自信を喪失し体調にまで影響した。 改善策① キーワード:1.職務創出 2.不安軽減 3.配置転換 精神障害のある社員の障害特性や業務能力を把握し、それに応じた職務の創出や業務の再構築を行うことで職場定着を実現  内堀さんに合う業務を探すため、配置転換はせず、異なる業務を体験してもらうことにした。作業状況の観察に当たっては、支援機関の担当者に訪問してもらいアドバイスを受けた。 ①契約書を電子化する前の準備作業  複合機を使用してコピーとスキャンをする作業を体験してもらった。この作業は動きがあるので、内堀さんに向いているが、複合機の不具合等トラブルが不安であるという感想だった。 ②契約書の発送作業  職域を拡大し、契約書の発送業務を開始する準備をしていたので、内堀さんに封入作業を体験してもらった。封の閉じ方に苦労していたが、安心して作業できるという感想だった。 ③シミュレーション練習の実施  この業務体験により、内堀さんには、②の契約書の発送作業が合っているようなので、シミュレーション練習を繰り返した。そして内堀さんの自信がついた段階で、正式に配置転換を行った。 〈契約書の発送作業〉 この書架の中から、封入に必要な書類を準備する 封入を行う 改善後の効果  内堀さんの業務を再構築することができた。  また、内堀さんの不安がなくなり、体調が安定した。  毎日作業することで、一層作業精度とスピードが上がった。余裕も生まれ、一日の作業件数の把握・入力、多種類ある封筒の在庫管理までできるようになった。  現在、発送業務は4名体制で、そのうち2名が重度知的障害者である。  内堀さんはチームでリーダー的役割を担うようになり、知的障害者のサポートをしている。  前職で苦労した周囲との連携については、現在は問題なく、内堀さんは自信を持って仕事に取り組んでいる。 解説 採用と就労継続に当たってのポイント 1 「職務内容がイメージと違う」、「職場環境や人間関係になじめない」等のミスマッチを防ぐため、雇用前実習を取り入れ、実際の職場で仕事を体験する期間を設けた。 2 雇用前実習を行うことで、職場環境や仕事内容に納得して就労できるので、就労の継続が可能になる。 3 職務において、適材適所に配置することにより、採用後、本人も自信を持って仕事に取り組むことができる。 4 安定した就労を目指すために、支援機関に未登録の社員には登録を依頼している。 就労開始後、本人の業務の状況に応じて実施 面接 雇用前実習 マッチング確認 採用 就労開始 シミュレーション練習業務体験 改善前の状況  知的障害者を採用する時には職場実習を行っていたが、精神障害者・発達障害者については、面接だけで採用をしていたため、採用後に職務内容、職場環境、人間関係になじめない等、本人と仕事が適合しないことがあった。また、障害がある社員が増加し、障害種別が多様化したことで雇用管理が困難になりつつあった。 改善策② キーワード:4.採用方法の工夫 5.社内サポート体制 6.支援機関との連携 雇用前実習で障害特性を把握し職務のマッチングを行うとともに、社内体制の整備と支援機関との密接な連携により、精神障害者の職場定着を実現 ①雇用前実習の実施  採用面接後に、支援機関と連携した雇用前実習を実施し、実際の職場で仕事を体験する機会を設けた。  採用後に想定している仕事を実際に行ってもらい、実習記録の記入や社会福祉士資格を持った社員との面談により、本人の感想、就労に対する考え方、意欲、障害特性を把握することにした。実習は実際の就業時間どおりに実施し、短時間労働を希望する人には無理のない時間で行い、時間を増やしていく工夫を行った。  実習最終日には本人の意思確認を行った。この実習を通して、担当業務の管理者に本人と仕事との適合性を検討してもらった。 ②業務体制の整備と「就労支援グループ」の発足  業務が拡大し、障害のある社員が増加したため、業務体制を整備した。まず、業務ごとにグループを組んで障害のある社員と管理スタッフをそれぞれ配置した。  管理スタッフには、障害者職業生活相談員資格認定講習を受講させ、一人ひとりの障害特性に配慮した対応ができるようにした。  また、きめ細かなフォローを行うため、「就労支援グループ」を新たに立ち上げた。このグループは2名体制とし、障害者職業生活相談員と社会福祉士資格を持っている社員(ジョブコーチ)を配置した。このグループの役割は、障害のある社員の就労を支援するために、社内で様々なサポートを行うことである。(※右図参照) ③支援機関との役割分担と連携  障害のある社員には支援機関への登録を勧めている。支援機関には定期的な職場訪問で業務状況の確認、職業生活についての面談を行ってもらっている。日常の様子、訪問時の様子は会社と支援機関で共有し、会社で解決できる課題があれば支援機関から助言をもらい対応する。課題が生活・家庭・医療面の時は支援機関に対応してもらい、対応状況に関する情報を共有している。 ④シミュレーション練習  障害のある社員の不安が軽減するように作業マニュアルを活用し、シミュレーション練習を取り入れた。練習によって作業の習得を図り、不安の減少が見られた段階で通常業務に取り組んでもらった。 改善後の効果  雇用前実習によって、職場環境や仕事内容に納得して就労するので、障害のある社員は自信を持ってそれぞれ仕事に取り組むことができ、職場定着が図られている。  一方、会社側は本人の障害特性や性格等を把握でき、様々な配慮をすることが可能になった。  業務をグループに分けたことにより、個々の社員に合わせた指示が出せるようになり、効率的に作業が進むようになった。  また、「就労支援グループ」を発足させたことにより、管理スタッフも障害のある社員もそれぞれ困ったことを相談できるようになった。特に、障害のある社員の定着状況など様々な情報の把握ができ、課題に対して迅速に対応できるようになった。  支援機関からは効果的なアドバイスをもらうことができ、スタッフのスキル向上につながった。 解説 「就労支援グループ」の役割 紹介 ○障害のある社員へ向けて  1 体調及び疲労のコントロールに関わるサポート  2 業務遂行能力に関わるサポート  3 職場のマナーやルールに関わるサポート  4 定期的な面談  5 日々の作業状況の確認 ○チームリーダーへ向けて  1 障害特性の理解促進に係る助言・援助  2 適切な雇用管理に係る助言・援助  3 社員の状況について情報共有し、適切な対処方法を検討 ○支援機関へ向けて  社員の就労状況を共有し、必要な支援を依頼 平成27年度障害者雇用職場改善好事例 奨励賞 株式会社湘南ゼミナールオーシャン(神奈川県横浜市) 高いモチベーションを維持する様々な工夫、社員が強みと苦手を相互に共有してチームとして働く仕組みの構築、支援機関との緊密な連携により職場定着を実現 キーワード:1.職務遂行の工夫 2.不安の軽減 3.コミュニケーションの改善・工夫 4.モチベーションアップ 5.体調管理 事業所の概要  平成25年3月、株式会社湘南ゼミナールの特例子会社として認可を受け、神奈川県内で初の「塾の特例子会社」となった(会社設立は平成24年10月)。本社から事務・軽作業を受託し、精神障害者の雇用を積極的に進めてきた。  現在、9名の精神障害者が勤務している。 従業員数 11名 精神障害者等雇用の経緯  事業規模が拡大し社員が増加する中、「学習塾」という職場環境では障害者雇用がなかなか進まなかったことから、障害のある社員にとって働きやすい場をつくるため、湘南ゼミナールオーシャンを設立した。特に、精神障害者の雇用が進んでいなかったことから、精神障害のある社員にとって働きやすい環境を整え、精神障害のある社員の職場定着を図っている。 業種及び主な事業内容 教育・学習支援業 主に学習支援事業に関わる事務・軽作業支援業務 経理補助(小口現金の入力等)、機密文書の処理(個人情報のシュレッダー処理)、名刺作成、印刷・製本、アンケート等の封入・封緘、教材の分類、文書の電子化(DVD化) 紹介内容 発達障害(ADHD・注意欠陥多動性障害) 従事作業 マニュアル作成、名刺作成、機密文書の処理 障害者の雇用形態・勤続年数 雇用形態:正社員 週の労働時間に変動なし0名、週の労働時間短縮等の変動あり0名 パート・アルバイト 週の労働時間が30時間以上9名、週の労働時間が20~30時間未満0名、週の労働時間が20時間未満0名 勤続年数:1年~2年未満2名、2年~3年未満5名、3年~4年未満0名、4年~5年未満0名、5年以上0名 取組の概要  モチベーション維持が難しく、受け身になりがちな仕事を遂行するための様々な工夫、発達障害のある社員が作業に集中し、正確な作業手順を習得するための業務上の工夫など効果的な仕組みを設定し、支援機関とも情報共有しながら配慮しつつ職場定着を図っている。 企業の声 小山 尊仁さん(株式会社湘南ゼミナール 人事本部 人事部 部長) (株式会社湘南ゼミナールオーシャン 精神保健福祉士 産業カウンセラー)  私は以前、社内のメンタルヘルスに従事していました。  その時、心身の不調から離職していく社員の職場復帰を進めようとしたのですが、実際はとても難しい状況でした。  学習塾という職場環境は、心身の不調のある社員にとって「働きやすい環境」とはとてもいえず、再び働き続けることが難しかったのです。  精神障害のある社員の「働き方」について考えると、重要なのは「空間を変える」ということだと思っています。精神障害のある社員が仕事を通じ「自己肯定感」を持って、いきいきと働いていけるようにしたいと思っています。 社員の声 松本さん【勤続3年】 担当業務:業務マニュアルの作成等  現在、私は職場で業務マニュアルの作成、名刺の印刷、レンタルサーバーの管理、個人情報のシュレッダー処理等の業務をしています。  入社当時は、主に個人情報のシュレッダー処理業務をしていましたが、単一の業務だったので疲れることがありました。  今は、会社が仕事を進める上で様々な工夫をしてくれています。また、私の仕事の内容や種類が入社当時と比べて多くなり、毎日、仕事をやっていて達成感があります。  今はまだ指示されたとおりに仕事をやっていますが、今後はもっと自分から提案をして自律的に仕事を進めていきたいと思っています。 現場担当者の声 前山 光憲さん(マネージャー)  設立当初、私はまず社員たちの笑顔を増やしたいと思いました。私の目から見ると、当時の社員たちは笑顔がまだまだ少なく見え、「せっかく働いているのにもかかわらず、自信が持てていない」と感じました。  また、当時は本社からの信頼を勝ち取ることも重要でした。今でこそ本社から信頼されていますが、設立当初は仕事のクオリティに力を入れて、本社との差別化を図る努力が必要でした。  我々は塾で教育に携わっているので、目の前にいる「この子を笑わせたい」「この子を元気にしたい」という思いが常に根底にあります。  障害のある社員たちを元気づけ、「働く喜び」を感じてもらいたいという気持ちを持って、できるだけ社員たちの「失敗を恐れる気持ち」を軽減する工夫を進めてきました。  働くことを通じ、結果として体調が良くなる社員もいます。  今後は親会社からの受託だけでなく新規の事業に取り組んで、少しでも採用を増やしていきたいと思っています。 改善策紹介 改善前の状況 【松本さんについて:入社4年目(20歳代)・ADHDと診断】  言葉による指示がうまく理解できない、作業全体の中で自分が行っている作業がどこなのかわからなくなる、整理整頓が苦手で必要な文書を廃棄してしまう、集中力の維持が困難で3,4時間の作業で疲労するという状況で、本人も不安感を抱いていた。 改善策① キーワード:1.職務遂行の工夫 2.不安の軽減 発達障害のある社員が作業に集中し、正確な作業手順をするための業務上の工夫を行って、作業の理解を進め、本人の不安を軽減 ①チャートの作成とスタンド式チェックリスト  松本さんは、言葉による指示を理解するのが苦手だったため、作業を図式化したチャートを自分自身で作成することで作業の理解を進めてもらうことにした。これにより、松本さんは作業全体を理解することができた。また、作業手順のチェックリストをスタンド式にして作業中も自然と目に入るようにすると、手順がわからなくなる場面が減少した。 ②業務を本人の強みを活かした内容に一部変更  松本さんはパソコン作業では業務に集中できることがわかったため、松本さんの業務内容の一部を変更し、パソコンを使用したマニュアル作成の時間を多くとることにした。これにより松本さんの集中力が持続し作業後の疲労が減少した。 ③作業ボックスとシャチハタの使用  作業中は専用のボックスに必要なものを入れて移動し、廃棄文書は廃棄用ボックスにまとめることにした。  書類には全て自分のシャチハタを押印し、作業終了時には各ボックスの中身と書類の押印の有無を確認することで、整理整頓ができ廃棄の間違いもみられなくなった。 ④スモールステップの進捗表とエンドコール  それぞれの作業工程を細分化し、各工程を終えるたびに進捗表に記入することにした。また、毎回「~終了しました」と発声し、他の社員は「お疲れさまでした」と答え、適宜、拍手をすることにした。進捗がわかるだけでなく承認を受けることで、集中が持続し、疲労も軽減されている。これは松本さんだけでなく、全員が実施している。 改善後の効果  松本さんは不安感が軽減し、会社へ貢献していることを感じることができて自信を持てるようになった。  また、スタンド式チェックリストは他の社員も使用するようになり、会社全体のミスの軽減につながった。松本さんは平日の飲酒を控え、ジムに通うなど体調管理を心がけるようになった。 スタンド式のチェックリスト(作業手順がチェックリスト方式になっている) 各工程を終えるたびに進捗表に記入していく スモールステップ進捗表 紹介 社員から社員への感謝メッセージ  社員が他の社員あてに感謝の気持ちをカードに一言書いて社内に掲示している。社員同士がお互いにちょっとした「ありがとう」を表明し合うもの。 ※次頁の「39カード」は、納品時に発注元に対して、感謝の気持ちを込めて送付するもの。 改善前の状況  受け身になりがちな作業内容のため、社員のモチベーションの維持が難しい状況であった。  また、体調が安定せず職業人らしい振る舞いができなくなった社員や、緊張・不安から職場で打ち解けることが苦手な社員に対して、会社として適切な対応を行う必要があった。 改善策② キーワード:3.コミュニケーションの改善・工夫 4.モチベーションアップ 5.体調管理 社員全員がそれぞれの強みと苦手を共有し、チームとして働く仕組みを構築。受け身になりがちな仕事を遂行するための様々な工夫を行いつつ、支援機関を効果的に活用して職場定着を実現 ①39(サンキュウ)カード、39(サンキュウ)アンケート  手書きの感謝メッセージとアンケートを添えて発注元に発送し、フィードバックをもらえるようにした。アンケートは毎朝のミーティング時に読み上げて社員全員で共有している。良い結果の場合は拍手して社内に掲示する。評価を知るだけでなく、拍手をしたり、拍手を受けることで、社員全員が良い表情になっている。 39カード アンケートの社内掲示 ②ペア制  細分化した作業工程をペアになって取り組むことにしている。これにより、不安感や緊張感の低減につながっている。  また、相互に確認し合いながら作業することができるので、一定のペースを保つことができるようになった。チームの一員という実感を持ちやすくなった。 ③Kaizen(カイゼン)提案と表彰  グループウエア上に「より正しく」、「より速く」、「より安く」、「より楽しく」の視点から作業レベルでの改善提案を上げてもらい、翌朝のミーティングで決定し、すぐに実施している。月ごとに優秀な提案を表彰し掲示している。「やらされ感」が減り自律的な取組につながっている。1か月平均37件の提案が出され、3か月に1回の表彰式は励みとなっている。 ④服薬・睡眠・体調チェック表  必要な社員にのみ実施している。毎日の睡眠・服薬状況・食事・体調を記録してもらい、有効なストレスコントロール方法を検討してもらう。支援スタッフがチェックを行い、必要がある場合には主治医への提出を促す。これにより、社員の中に仕事に対する自覚と自己管理する意識が生まれた。 ⑤あえて「やらない」支援  体調面や生活面等、仕事に関わる相談以外は、職場ではあえて受けずに支援機関をできるだけ活用するよう促している。  社員の状態は支援機関と連携して間接的に共有することで、就業面での様々な工夫が実施しやすくなった。社員の意識変革にもつながり、支援機関からの情報提供も増加した。 ⑥「Good&Bad」と「三角コミ」  「Good&Bad」とは、週の初めに、社員全員が公私を問わず前週の良かった事、つらかった事を職場全体で共有するミーティングである。良かったこと(Good)はみんなで喜んでさらに喜びを大きくしよう、つらかったこと(Bad)はみんなで分かち合ってつらい気持ちを楽にしよう、という趣旨で進めている。  「三角コミ」とは、休憩時間に会話の糸口として支援スタッフが社員に話を振り、他の社員と話せるようにし、支援スタッフは徐々に話題から消えるコミュニケーションである。雑談から社員相互の理解が進んだ。 ⑦4Q(ヨンキュウ)目標の掲示、強みと苦手の共有  作業面・コミュニケーション面・体調面をアセスメントして各社員の特性を把握し、支援スタッフと共通の3か月間目標を設定している。各自の目標・強み・苦手を社内に掲示して共有し、1か月ごとに面談を実施している。共通目標のためノルマと感じることが少なく、各自がスキルアップを実感できる。チーム全体でカバーし、強みを活かしあう風土が生まれた。 目標とともに、自分の強み・苦手を掲示して社内で共有 改善後の効果  社員が安定的に承認を受ける機会が増え、社員それぞれが達成感を感じやすくなった。また、社員全員で一緒に考える風通しの良い風土をつくることができた。  さらに、支援機関との連携により、社員の体調面や心理面の変化も間接的に知ることができ、職場での支援スタッフの対応にも反映できるようになった。 平成27年度障害者雇用職場改善好事例 奨励賞 はーとふる川内株式会社(徳島県徳島市) 高次脳機能障害の状況をアセスメントし、社内の支援体制を整えてOJTで業務上の課題に一つひとつ丁寧に対応。支援機関とも連携し、業務能力の向上を実現 キーワード:1.職務創出 2.職務遂行の工夫 3.社内サポート体制 事業所の概要  平成23年10月に設立され、平成24年1月に大塚製薬株式会社の特例子会社として認定を受けた。  大塚グループの障害者雇用CSRの中核として、オフィスサポート事業、生産ラインサポート事業、アグリ事業を手がけている。 従業員数 44名 精神障害者等雇用の経緯  精神障害者の雇用を推進する目的で設立された特例子会社として、精神障害者を積極的に雇用している。  事業所全体で31名の障害者を雇用しており、うち16名が精神障害者である。 業種及び主な事業内容 印刷事業(名刺、チラシ、挨拶状などの印刷、オリジナルデザインによる大判出力)、IT事業(動画マニュアル、HP、デジタルオリジナル記念品等作成、データのデジタル化業務)、デリバリー事業(資料作成、販促物やパンフレットなどの袋詰めと発送作業、書類整理と集計業務)、生産ラインサポート事業(親会社の大塚製薬㈱生産本部からの業務委託による原材料の搬送業務)、農業(トマトの水耕栽培と販売) 紹介内容 高次脳機能障害 従事作業 医薬品生産工場における原材料の搬送作業 障害者の雇用形態・勤続年数(H28.2.22現在) 雇用形態:正社員 週の労働時間に変動なし0名、週の労働時間短縮等の変動あり0名 パート・アルバイト 週の労働時間が30時間以上29名、週の労働時間が20~30時間未満2名、週の労働時間が20時間未満0名 勤続年数:1年~2年未満12名、2年~3年未満5名、3年~4年未満4名、4年~5年未満10名、5年以上0名 取組の概要  記憶力や注意力など高次脳機能障害の状況をアセスメントし、業務上の課題に対して一つひとつ的確で丁寧な対応を実施している。  また、社内の人的支援の充実に加え、支援機関との連携も行うことで、職場の環境整備を図っている。 企業の声 西野 直樹さん(代表取締役社長)  設立当初は、まず「仕事をつくること」から取り組んでいきました。障害者雇用に当たっては、身体障害者を雇用し、その後、徐々に精神障害者の雇用を開始していきました。  Aさんの採用時と研修時には、相談支援専門員、障害者職業訓練トレーナーの経験者をリーダーとして配置しました。  原材料の搬送作業については、「工場内の通路が複雑なこと」と、「搬送先が多数ある」という特徴があります。このため、Aさんには、この原材料の搬送作業は向いていないのではないかと心配しました。  しかし、今では、Aさんはこの煩雑な作業を一人で行えるようになっています。  また、Aさんは、私生活上では、目標としていた「一人暮らし」ができるようになりました。引き続き、この状況を維持していきたいと思っています。  今後は、本社から仕事をもらうだけでなく、新しく仕事を作って、「人を雇っていける会社」として力をつけていきたいと思っています。 社員の声 Aさん【勤続2年2ヶ月】  工場内で原材料の搬送作業をしています。搬送先は約30カ所あり、重い材料は40キログラムもありますが、体力もついてきて、「きつい」と思ったことはありません。  仕事に慣れるまで時間がかかりましたが、仕事がわかるようになっていくのはうれしかったです。  特に、工場の人と話をするのが好きです。仕事をするのが楽しくて仕事を休むのはいやなくらいです。実際に受診の日以外はほとんど休みません。  これまで「一人暮らし」をすることを目標にしてがんばってきましたが、この目標も達成することができました。  今後は危険物の資格を取りたいと思って準備をしています。そして、今の仕事を引き続きやっていきたいと思っています。 現場担当者の声 永楽 充代さん(生産サポート部門リーダー) (ジョブコーチ、相談支援専門員、キャリア・コンサルタント)  Aさんが所属する生産サポート部門のリーダー、業務責任者として、また、相談支援専門員として、障害のある職員の仕事の悩みをきいたり、必要に応じて支援機関と相談する等の役割を担っています。  当初、Aさんについては、脳の損傷から記憶することが難しいと思われましたが、もしかすると画像を覚えたり、映像を覚えることはできるかもしれないと考えました。  まず、Aさんの状況を見極めることから取り組みを始めました。作業を細かく分け、Aさんと一緒にマニュアルを作ったり、作業を繰り返していきました。Aさんが業務でつまずいた時には言葉をかけるようにして、試行錯誤を繰り返し、良い方法を模索していきました。  この取組を続けているうちに、「本人ができること」が見えてきました。そして、1年間くらいかけて一緒にマニュアルを作成し、この過程でAさん自身もスキルアップしていきました。この取組を行っている間、わからないことは何回も聞いてくれました。そして、Aさんは実際に業務を覚えることができるようになり、職場で信頼されるようになりました。  いつも、「どういうふうに伝えたらわかってもらえるか」、「どうしたら本人の記憶に残るか」を考え、Aさんの顔を見て、伝えることを心がけています。 改善策紹介 改善前の状況  設立当初から障害者を雇用して職場定着の取組を進めてきたものの、さらに、精神障害者を雇用し職場定着を図っていくためには、特例子会社として従来から一般的に行われている印刷業務、IT関連業務、社内メールサービスという業務だけでなく、「新たな業務」を創出する必要があった。 改善策① キーワード:1.職務創出 2.職務遂行の工夫 3.社内サポート体制 「誰もが間違わない仕組み」を構築し、新たに業務を創出。社内の各グループに障害者支援経験の豊富なリーダーを配置し体制整備  本来、この業務は生産現場での十分な経験を要求される内容であったが、原材料をあらかじめ搬送システムにデータ登録し、搬送される原材料をラベル化し、その後、搬送と検出を行うことで「誰もが間違わない仕組み」を構築した。 紹介「搬送システム」  この搬送業務は二つの工場で行われることから、二つのグループを社内で組織化し、それぞれのグループには企業内のジョブコーチ、障害者職業訓練トレーナー、相談支援専門員の資格を持った障害者支援経験の豊富な社員をリーダーとして配置した。  リーダーは、職務遂行リーダーとして、また、ジョブコーチとしての業務指導ならびに相談支援員として多岐に渡る職責を担っている。 紹介〈二つの工場の勤務体制、勤務時間、勤続年数〉 勤務工場 社員 年齢(歳) 勤務時間(週) 勤続年数 備考 徳島工場 リーダー 46 40 4年3ヶ月 ジョブコーチ  A 25 37.5 3年8ヶ月 高次脳機能障害  B 38 37.5 1年1ヶ月 うつ病  C 29 37.5 1年 発達障害  D 40 37.5 11ヶ月 発達障害 徳島第二工場 リーダー 38 40 1年1ヶ月 ジョブコーチ  E 34 37.5 2年6ヶ月 うつ病  F 51 20 2年5ヶ月 うつ病  G 33 37.5 9ヶ月 統合失調症 解説 搬送システム(誰もが間違わない仕組み) ①搬送システムに、原材料に係る内容、数量、搬送先などの情報があらかじめ登録される ②作業者は、搬送システムに登録された原材料を工場外の原材料倉庫でICタグを貼付し、ラベル化する。 ③作業者は、倉庫から工場内へ搬入された原材料のICタグ情報をハンディターミナルで読み取り、必要とされる原材料を搬送システムが指定した搬送先ごとに原材料を台車やパレットに積み込む。 ④作業者は、積み込んだ原材料を指定された搬送先に搬送する。 ★それぞれの搬送先では、あらかじめ設置された検出器がすべての原材料のICタグ情報を読み取り、搬送システムにおいて原材料の内容、数量、搬送先などが照合される。 ★照合結果は検出器とともに設置されたパトライトで知らされる。  (原材料の搬送間違いや過不足の有無がその場で作業者に分かるように工夫されている) 改善後の効果  この仕組みと支援体制を構築したことにより、原材料に対する専門知識や搬送業務の経験がなくても、業務遂行が可能となり、精神障害のある社員の就労に係る自信とモチベーションが向上した。  特に、気分の浮き沈みや体調不良があっても、それぞれモチベーションを維持しながら就労を継続することができるようになった。  精神障害のある社員の勤務時間も、それぞれ延ばすことができるようになり、当初、トライアル雇用で1日4時間の勤務だったのが、徐々に勤務時間を延ばし1日7.5時間の就労に結びつけることができた。そして、多くの社員が週37.5時間(7.5時間/日)の就労をこなすことができるようになった。(左表参照) 改善前の状況 【Aさんについて(20歳代)】  高校時代の交通事故により高次脳機能障害と診断。  地誌的障害、遂行機能障害、記憶障害、注意障害が見られた。 改善策② キーワード:2.職務遂行の工夫 障害の状況をアセスメントし、障害特性により生じる業務上の課題にリーダーがOJTで一つひとつ対応。支援機関と連携して支援を充実  採用当初の5ヶ月間は、Aさんに管理部門の業務に従事してもらい、障害の評価分析を行った。  その後、実際の搬送作業現場において、リーダーがOJTで一つひとつ支援し、Aさんの業務能力の向上と改善を試みた。  また、記憶障害に関連して、金銭管理に関する事項、個別外出援助等の生活支援の必要性が高かったことから、医療機関や支援機関と連携した支援を行った。 ●地誌的障害:Aさんは、よく知っているはずの道で迷ったり、新しい道順がなかなか覚えられない状態であった。 →リーダーはAさんに工場内の地図を見せ、書き込みながら搬送場所の確認を繰り返した。  そして、OJTで搬送のスタート場所から搬送先の場所までAさんの後ろにリーダーがついていき、Aさんが一人で帰る様子を観察。Aさんがどこで間違うのかチェックし、間違った場所に印をつけ、写真を見ながら二人で練習を重ねた。今では、工場内の複雑な通路を使って、多数の搬送先まで迷わずに行くことができるようになった。 紹介 工場内の複雑な通路と多数の搬送先 ●注意障害:まわりの声や音に気を取られてしまい注意力が散漫になったり、作業をしている人が気になってしまう状況だった。 →Aさんに、材料に破損がないかのチェックや、ドア・壁・物に接触しないように周囲に気をつけて搬送してもらうなど、注意の持続が必要なことをやってもらった。  そして、①気が取られる音や声が聞こえない場所→②音が聞こえる場所→③声が聞こえる場所、とAさんの改善にあわせて段階的に設定していった。今では少しずつ感情を抑えることができ、状況に適した行動がとれるようになった。 ●記憶障害:Aさんは文字を読むことができなくなっていたため、文字を形で認識し、搬送先に貼付されたシールの形状と比較することで、搬送先が正しいということを判断することから始まった。 →今では文字を読むことができるようになっている。  また、業務用ノート(P63)にメモを取ることで思い出す頻度が多くなり、質問も6割程度に減少した。 紹介 文字を形で覚え、搬送先を確認 搬送先の部屋のスイッチに、伝票と同じシールを貼って、その形で確認 ●遂行機能障害:Aさんは一つひとつの行動はできるものの、次の行動にスムーズに移ることができない状態であった。 →Aさんに対してスケジュールを大きな枠組みで示し、行動をパターン化し、マニュアルを活用して手順どおりに作業が遂行できるよう工夫した。今では次の行動にスムーズに移ることができている。 改善後の効果  Aさんは、現場における役目を理解し、欠勤等をしないなど責任感を持つようになった。生産現場の社員も好感を持って接している。  また、考え方が前向きになり、新たな資格に挑戦しようとするなど仕事に対して意欲が出てきた。  生活面でも、関係機関と連携した支援により、一人暮らしができるまで回復している。 平成27年度障害者雇用職場改善好事例 奨励賞 社会福祉法人川上福祉会くすの子保育園(鹿児島県鹿児島市) ジョブコーチ支援を活用し、高次脳機能障害の特性に応じたマニュアルの作成や職務の切り出しを行うことで、仕事への責任感や意欲を後押し キーワード:1.職務創出 2.職務遂行の工夫 3.勤務形態の見直し 事業所の概要  本園であるふじヶ丘保育園の分園(保育所)として、平成23年4月に開園。  平成20年には鹿児島市より指定管理者として、鹿児島市東部親子つどいの広場の運営を受託。地域の中で、子育て中の親子が気軽に集い、相互交流や子育ての不安・悩みを相談できる場所として提供している。 従業員数 19名 精神障害者等雇用の経緯  法人では以前障害者を雇用していたことがあり、本保育所の開園に当たり、再度障害者を雇用することを考えた。その際、以前職場実習で法人が受け入れた高校生(当時)がいたことを思い出し、学校に連絡を取ったことがきっかけである。 業種及び主な事業内容 児童福祉施設(保育所)の運営。 紹介内容 高次脳機能障害 従事作業 ・保育所内の清掃、園児の着替えや食事等の補助 ・別施設の清掃 障害者の雇用形態・勤続年数雇用形態:正社員 週の労働時間に変動なし0名、週の労働時間短縮等の変動あり0名 パート・アルバイト 週の労働時間が30時間以上0名、週の労働時間が20~30時間未満1名、週の労働時間が20時間未満0名 勤続年数1年~2年未満0名、2年~3年未満0名、3年~4年未満1名、4年~5年未満0名、5年以上0名 取組の概要  高次脳機能障害者の雇用に向け、雇用前からその特徴に配慮したデイリープログラムや作業手順書を自ら作成するとともに、雇用と同時にジョブコーチ支援を活用してそれらをより一層本人にあった内容に修正・改善。さらに、本人の希望に添って職務の幅を広げることにより職場定着を実現した。 企業の声 松下 利衣さん(副園長)  当法人では障害者雇用の経験があったため、当園を開園する際には初めから障害のある人を雇用しようと考えていました。以前職場実習で高校生を受け入れたことを思い出し、学校の先生に連絡を取ったことがAさんの採用のきっかけです。採用に当たっては、職員会議等で職員に周知を促し、障害者雇用についての理解を図るようにしました。また、採用と同時にジョブコーチ支援を活用し、タイムリーなフィードバックや定着のためのフォローアップをお願いしました。当初はなかなか仕事が定着せず、自分から質問など話すことが難しかったAさんですが、最近はメモをうまく活用しながら、一人でできることが多くなりました。自信もついたためか自分から話す機会も増えており、笑顔も見られるようになっています。今後は、Aさんがより一層意欲的、効率的に仕事ができるよう、検討していきたいと思います。 社員の声 Aさん【勤続3年】  平成24年10月から勤務しています。子どもが好きなので、楽しく仕事をしています。最初は清掃作業をしていましたが、途中から子どもの世話をする仕事も担当することができ、とても嬉しかったです。また、最初は緊張していたのですが、今では仕事のことを先生方に話せるようになりました。仕事ではマニュアルを使っています。順番がわからなくなったり、作業を抜かしたりすることがあるので、マニュアルがあるとわかりやすいです。まわりの人に教えてもらったことをメモし、そのメモを必死に覚えて一人で仕事ができるようにしています。今後は、自分でできることを増やして、一人暮らしをしてみたいです。 紹介 ~採用前の受入れ準備~  高校時代の職場実習でAさんの特性を把握していたため、採用前に同園がデイリープログラム(本人の一日のスケジュールと作業内容のチェックシート)を作成し、受入れの準備を整えました。  また、Aさんが子ども好きであるため、業務内容は清掃に加えて子どもと関わる作業を取り入れました。 ▲デイリープログラム(詳細はP63、64) 改善策紹介 改善前の状況 【社員について:入社3年目のAさん(20歳代)】 ・幼少期の脳の病気により高次脳機能障害と診断。 ・高次脳機能障害の症状として、記憶障害、注意障害、空間認知の障害が見られる。 【生じていた課題】 ・事業所がデイリープログラムを作成したが、出勤から退勤までの流れ、作業の細かな手順などはさらに工夫する必要があること、記憶障害を踏まえた対応をする必要があることが明らかになった。また、新しい作業や環境によりAさんに戸惑いや不安が見られていた。 改善策① キーワード:1.職務創出 2.職務遂行の工夫 高次脳機能障害の状況を把握し、自立した仕事ができるようジョブコーチとともに補完手段を確立  Aさんの採用に当たりデイリープログラム(p49)を作成したものの、実際の本人の動きに合わせた作業工程や業務内容の再構築が必要だった。加えて、Aさんの記憶障害を補完する必要もあったため、採用と同時にジョブコーチ支援を活用し、課題解決を図った。プログラムの見直しは、①各業務をどの時間帯で進めてもらいたいかを整理、②その内容をジョブコーチと一緒に細分化、③作業手順やチェック欄といった必要項目を追加設定、といった手順で行った。さらに、Aさんが理解しやすいよう、写真や図を使った補助ツール(下図及びp64、65)を作成し、デイリープログラムをより一層本人に合った内容に改善するとともに、ポケットに入る大きさの縮小版も作成し、慣れるまで本人が見ながら作業ができるようにした。手順がなかなか定着しにくい作業もあるため、作業する場所にマニュアルを置いておき(「紹介」参照)、適宜確認できるようにもした。  また、職員会議の中で、副園長が高次脳機能障害の特性やAさんのデイリープログラムについて説明したり、Aさんの状況について気づいた点を発言してもらうなど、職員間における情報共有も行っている。 ▲デイリープログラムの補助ツール(詳細はP64、65) 紹介 ▲作業マニュアル ※忘れやすい作業については、予めマニュアルをその場所に置いておき、確認しながら作業する。 改善後の効果  Aさんは記憶障害により作業手順や作業方法が定着しなかったが、デイリープログラムを改善することで、作業手順等を視覚的に確認でき、安定した作業を行えるようになった。  また、一緒に働く職員にもAさんの状況について情報共有し、必要な配慮を促すことで、Aさんが自信を持って業務に取り組んでもらえるようになるとともに、職員の戸惑いも軽減された。 改善前の状況 【生じていた課題】 ・採用当初は、同園と別の施設の2施設の清掃を一人で担当することを想定していたが、記憶障害により同園での作業の定着が難しく、2施設を任せることができていなかった。 ・Aさんは子どもが好きで、保育士になりたいという思いもあったため、その希望に沿えるよう同園内で検討したが、限られた職員体制の中でAさんにぴったりした業務を見つけることができなかった。 改善策② キーワード:1.職務創出 2.職務遂行の工夫 3.勤務形態の見直し 職務の切り出しと勤務の形態を見直すことで、仕事への責任感の醸成と自信や意欲の高まりを促進  採用当初からの目標であった2施設での清掃業務とAさんの希望である子どもとの関わりの双方を実現するため、ジョブコーチに相談し、その提案を受けて業務内容を見直した。  まず、同園では、従来の清掃作業に園児の昼食・おやつ・着替え・お昼寝の時間の補助作業を加え、週3日の勤務とした。昼食時には園児の食事が進むよう促したり、お昼寝の布団敷きや寝付かない園児をあやしたりするなど、子どもとの関わりが持てる業務を設定した。  別の施設は週2日の勤務で、清掃作業を設定した。Aさんは記憶障害があり、仕事を全て覚えて単独で行うことが難しかったため、2日のうち1日を他の人たちと一緒に作業を進める日とし、一方、残りの1日は一人の作業日とした。また、勤務日の間隔は一日とし、作業手順等ができるだけ定着しやすくなるよう工夫した。Aさん自身も教えてもらったことをポケットサイズの手帳にメモし、一人の作業のときにはそのメモを見ながら作業をしている。  また、定期的に状況を確認する職員(事務職員)を配置し、普段からの声かけも行うようにするなど職場定着に向けた体制を整えた。  このように、事業所として本人に対して求める仕事に加えて、本人の希望を踏まえた子どもと関わる業務にも従事してもらうことや、一人で責任を持って仕事をする状況を経験してもらうことで、メリハリのある勤務形態とすることができた。 改善後の効果  本人の状況に合わせて体制を組んだことにより、Aさんは様々な場面で安心感を得ながら、一人の作業の場では責任感を持って仕事に取り組むことができるようになり、笑顔も徐々に増え、積極的に職員とコミュニケーションを取る姿も見られるようになった。Aさんからは「保育士の勉強を始めたい」との言葉もあるなど、仕事への自信や更なる意欲が感じられるようになった。 職場改善のために事業所が作成した資料、支援ツール 職場改善のために作成した資料や精神障害者に対して用いた支援ツールなどを、取材先事業所のご了解のもと、当機構において一部修正を加えて掲載しています。 精神障害者の職場改善に役立つ実践的な資料ですので、是非、参考にして下さい。 -支援ツールリストー □株式会社ニッセイ・ニュークリエーション ①社内外のネットワーク p.53 ②ヒューマンケア集 p.54 ③チェック表、ヒヤリハットカード p.55 □イオンスーパーセンター株式会社 ④在宅勤務の業務を切り出すための社内調査 p.56 ⑤在宅勤務を導入するための検討領域とその対応 p.57 □株式会社ベネッセビジネスメイト ⑥育成計画書 p.58 ⑦育成計画書(業務内容) p.58 □株式会社ザグザグ ⑧作業マニュアル p.59 □株式会社エースソリューション ⑨発送マニュアル〈準備作業〉 p.60 ⑩発送マニュアル〈発送作業〉 p.60 ⑪シミュレーション練習の様子 p.61 □株式会社湘南ゼミナールオーシャン ⑫睡眠・服薬・体調チェック表 p.61 ⑬チェックリスト入り荷物記録表 p.62 ⑭マニュアル一例 p.62 □はーとふる川内株式会社 ⑮業務用ノート p.63 □社会福祉法人川上福祉会くすの子保育園 ⑯デイリープログラム p.63 ⑰デイリープログラム・チェック表 p.64 ⑱デイリープログラム・補助ツール1 p.64 ⑲デイリープログラム・補助ツール2 p.65 ⑳デイリープログラム・補助ツール3 p.65 □株式会社ニッセイ・ニュークリエーション ①社内外のネットワーク(本文はp.10〜15) ②ヒューマンケア集(本文はp.15) ▲ヒューマンケア集の様式。左側は本人などからヒアリングをした内容を記載。右側は左側に記載したヒアリングの内容を整理して記載。 ③チェック表、ヒヤリハットカード(本文はp.13) 記入例 □イオンスーパーセンター株式会社 ④在宅勤務の業務を切り出すための社内調査(本文はp.18) ⑤在宅勤務を導入するための検討領域とその対応(本文はp.18,19) □株式会社ベネッセビジネスメイト ⑥育成計画書(本文はp.20〜23) ⑦育成計画書〈業務内容〉(本文はp.20〜23) □株式会社ザグザグ ⑧作業マニュアル(本文はp.24〜27) □株式会社エースソリューション ⑨発送マニュアル〈準備作業〉(本文はp.38) ⑩発送マニュアル〈発送作業〉(本文はp.38) ⑪シミュレーション練習の様子(本文はp.38) □株式会社湘南ゼミナールオーシャン ⑫睡眠・服薬・体調チェック表(本文はp.43) ⑬チェックリスト入り荷物記録表(本文はp.42) ⑭マニュアル一例(本文はp.42) □はーとふる川内株式会社 ⑮業務用ノート(本文はp.47) □社会福祉法人川上福祉会くすの子保育園 ⑯デイリープログラム(本文はp.49,50) ⑰デイリープログラム・チェック表(本文はp.49,50) ⑱デイリープログラム・補助ツール1(本文はp.49,50) ⑲デイリープログラム・補助ツール2(本文はp.49,50) ⑳デイリープログラム・補助ツール3(本文はp.49,50) 応募いただいた事業所  平成27年度の障害者雇用職場改善好事例募集において、全国76事業所からご応募をいただきました。入賞事業所以外の応募事業所は以下のとおりです。 事業所名 都道府県 1 株式会社 エコノス 北海道 2 株式会社 ほくでんアソシエ 北海道 3 NTT北海道テレマート株式会社 北海道 4 介護老人保健施設 ひまわり 北海道 5 一般財団法人済誠会 十和田済誠会病院 青森 6 セルコホーム株式会社 宮城 7 有限会社 佐藤養助商店 秋 田 8 株式会社サンエーフード山形 山形 9 (医)三成会 介護老人保健施設 南東北春日リハビリテーション・ケアセンター 福島 10 (医)三成会 南東北春日リハビリテーション病院 福島 11 全国農業協同組合連合会 茨城県本部 茨城 12 シーデービージャパン株式会社 栃木 13 明電ユニバーサルサービス株式会社 群馬 14 サンデンブライトパートナー株式会社 群馬 15 株式会社 富士薬品ユニバーサルネット 埼玉 16 株式会社 フルキャストビジネスサポート 大宮事業所 埼玉 17 ポラスシェアード株式会社 埼玉 18 MCSハートフル株式会社 さいたま事務所 埼玉 19 マルイキットセンター 埼玉 20 ちばぎんハートフル株式会社 千葉 21 株式会社 ぐるなびサポートアソシエ 千葉 22 丸紅オフィスサポート株式会社 東京 23 株式会社 サザビーリーグHR 東京 24 株式会社 ヒューマントラストフロンティア 東京 25 株式会社 アヴァンティスタッフ 東京 26 株式会社 リクルートオフィスサポート 東京 27 大和ライフプラス株式会社 東京 28 あずさオフィスメイト株式会社 東京 29 第一生命チャレンジド株式会社 東京 30 株式会社 高島屋 横浜店 神奈川 31 グリービジネスオペレーションズ株式会社 神奈川 32 株式会社 スタッフサービス・ビジネスサポート 神奈川 33 富士ソフト企画株式会社 神奈川 34 新潟ワコール縫製株式会社 新潟 35 伊藤ハムデイリー株式会社 北陸工場 富山 36 中村留精密工業株式会社 石川 37 株式会社 クスリのアオキ 日之出店 福井 38 NECプラットフォームズ株式会社 甲府事業所 山梨 39 株式会社 駒ヶ根電化 長野 40 株式会社 岐阜冠婚葬祭互助会 岐阜 41 株式会社 エアウィーヴマニュファクチャリング 愛知 42 株式会社 メイドー 愛知 43 エフケー警備 三重 44 株式会社 三厚連ウィズ 三重 45 コマツキャブテック株式会社 滋賀 46 株式会社 ロマンライフマールブランシュ事業部 京都 47 株式会社 ダイキンサンライズ摂津 大阪 48 株式会社 エスコアハーツ 兵庫 49 社会福祉法人皆楽園 PURE皆楽 和歌山 50 日清医療食品株式会社ヘルスケアフードサービスセンター米子 鳥取 51 株式会社 ジェイ・エム・エス出雲工場 島根 52 有限会社 ヒロト 島根 53 中国木材株式会社 広島 54 株式会社 アスカネット広島 55 株式会社 キョーエイ 徳島 56 株式会社 LIXILトータルサービス 香川 57 野菜工房 ていずい 愛媛 58 株式会社 ジェイコム 愛媛 59 四国管財株式会社 高知 60 特定医療法人杏仁会 神野病院 佐賀 61 ダイハツ長崎販売株式会社 長崎 62 医療法人見松会 あきやま病院 長崎 63 学校法人 熊本YMCA学園 熊本 64 オムロン太陽株式会社 大分 65 介護付有料老人ホーム ソフトタウン高洲 宮崎 66 全保連株式会社 沖縄 応募状況 1.都道府県別応募数 都道府県 計 北海道 4 青森 2 岩手 1 宮城 1 秋田 1 山形 1 福島 2 茨城 1 栃木 1 群馬 2 埼玉 5 千葉 2 東京 10 神奈川 5 新潟 1 富山 1 石川 1 福井 1 山梨 1 長野 1 岐阜 1 静岡 0 愛知 2 三重 2 滋賀 1 京都 1 大阪 2 兵庫 1 奈良 0 和歌山 1 鳥取 1 島根 2 岡山 1 広島 2 山口 0 徳島 2 香川 1 愛媛 2 高知 1 福岡 1 佐賀 1 長崎 2 熊本 1 大分 1 宮崎 1 鹿児島 1 沖縄 1 合計 76 2.事業所規模別応募数 事業所規模 計 1,001人~ 5 501人~1,000人 6 301人~500人 6 101人~300人 17 56人~100人 10 55人以下 32 合計 76 3.産業別応募数 業種 計 建設業 1(総合工事業 1) 製造業 15(食料品製造業 4、繊維工業 1、木材・木製品製造業 1、家具・装備品製造業 1、金属製品製造業 1、生産用機械器具製造業 2、業務用機械器具製造業 1、電子部品・デバイス・電子回路製造業 2、情報通信機械器具製造業 1、輸送用機械器具製造業 1) 情報通信業 2(情報サービス業 2) 運輸業、郵便業 1(道路貨物運送業 1) 卸売業、小売業 10(各種商品卸売業 1、各種商品小売業 3、機械器具小売業 1、その他の小売業 5) 宿泊業、飲食サービス業 1(飲食店 1) 生活関連サービス業、娯楽業 2(その他の生活関連サービス業 2) 教育、学習支援業 1(学校教育 1) 医療・福祉 11(医療業 5、社会保険・社会福祉・介護事業 6) 複合サービス事業 1(協同組合 1) サービス業(他に分類されないもの) 31(職業紹介・労働者派遣業 2、その他の事業サービス業 29) 合計 76 4.部門別応募数 一般企業A(301人以上) 17 一般企業B(300人以下) 29 特例子会社 30 合計 76 平成27年度障害者雇用職場改善好事例応募要項 1 趣旨  障害者雇用において雇用管理、雇用環境等を改善・工夫し、様々な取組を行っている事業所の中から、他の事業所のモデルとなる好事例を募集し、これを広く一般に周知することにより、事業所における障害者の雇用促進と職域の拡大及び職場定着の促進を図るとともに、障害者雇用に関する理解の向上に資することを目的とします。 2 募集テーマ  平成26年度障害者雇用状況の集計結果によると、民間企業における雇用障害者数、実雇用率ともに過去最高を更新し、特に精神障害者雇用の伸び率は大きく、前年より24.7%の増加となりました。  その一方、平成25年度障害者雇用実態調査によると、事業主は、障害者雇用に当たり「職務創出」「採用時における適性、能力の把握」等を課題として考えており、採用した障害者の適材適所に向けた取組が求められているところです。  また、平成26年に当機構が報告した調査研究によると、ハローワーク等における就職困難性の高い障害者として、特に精神障害者(発達障害者、高次脳機能障害者を含む)、難治性疾患患者(以下「難病患者」)が急速に増加していること、疾病管理と職業生活の支援に係る整備が必要なことが明らかになっており、就労に向けたノウハウの蓄積が求められています。  このように、障害者雇用数を増加させることだけでなく、職務創出、適性等の把握など職場定着につながる問題に対応していくことが、企業にとって避けて通ることのできない課題になっているといえます。  そこで、平成27年度においては、精神障害者、発達障害者、高次脳機能障害者、難病患者の新規雇用、職場定着に取り組んだ、以下に掲げる職場改善好事例を募集します。 (1)採用時において適材適所に向けて取り組んだ事例 ①採用の段階で本人を理解するために、面接の方法などの工夫・改善に取り組んだ事例 ②採用時に支援機関と連携し、本人の雇用に向けた情報収集や制度活用などの工夫・改善を行い、職務への配置や職場の環境整備などにおいて参考とした事例 (2)作業内容の改善や職務内容の再構築、新たな職域の拡大、または既存の業務に適応できるよう様々な対応をする等により職場定着を図った事例 ①諸事情により職務創出が難しく、既存の職務の中で職場定着を図るため、社内での取組、支援機関を交えた相談、配置転換をするなど工夫して取り組んだ事例 ②各人の職業適性や能力の把握において工夫し、それに応じた職務を創出したり、職務の再構築などを図った事例 ③ジョブコーチや支援機関を活用し、相談・支援を重ねて新たな職域の拡大などを図った事例 (3)各人の特性に配慮した雇用管理または社内体制整備に取り組んだ事例 ①疾病管理と職務遂行の両立に向けて、雇用管理上の工夫や社内体制の整備に取り組んだ事例 ②支援機関と役割分担し、連携をしながら、各人の特性を配慮した雇用管理に取り組んだ事例 ③従業員として自律して職務に従事できるように、スキルアップやキャリアアップのための取組、研修の実施などに取り組んだ事例 3 主催 独立行政法人高齢・障害・求職者雇用支援機構 4 後援 厚生労働省 5 応募締切日 平成27年6月1日(月)(必着) 6 応募資格 (1)障害者手帳※1、その他「診断書」等により障害者であることが確認できる精神障害者、発達障害者、高次脳機能障害者、難病患者を雇用している企業または事業所※2。 (2)応募時点において、労働関係法令に関し重大な違反がないこと及びその他の法令上又は社会通念上、表彰するにふさわしくないと判断される問題を起こしていないこと。 (3)応募事業所において障害者雇用に関する支援・コンサルティングを主たる営業品目としていないこと、かつ自企業グループ内に障害者雇用に関する支援・コンサルティングを主たる営業品目とする企業がないこと。 ※1 障害者手帳とは、身体障害者手帳、療育手帳、精神障害者保健福祉手帳をいいます。 ※2 本募集の対象となるのは、上記※1の障害者手帳所持者のほか、以下のとおりです。 精神障害者:統合失調症、そううつ病(そう病及びうつ病を含む。)又はてんかんにかかっている者 発達障害者:発達障害者支援法第2条に規定する者(自閉症、アスペルガー症候群その他の広汎性発達障害、学習障害、注意欠陥多動性障害、その他これに類する脳機能の障害) 高次脳機能障害者:医療機関において高次脳機能障害と診断された者(脳の器質的病変の原因となる事故による受傷や疾病の発症の事実が確認されており、主たる原因が記憶障害、注意障害、遂行機能障害、社会的行動障害などの認知障害が主要症状の者) 難病患者:原因が不明であって、治療方法が確立していない、希少な難治性疾患のため、長期にわたり職業生活に制限を受ける者 7 応募方法 (1)指定の応募用紙を使用し、応募用紙のみで改善の内容が簡潔にわかるようにご記入ください。また、応募用紙の各項目は変更しないでください。なお、参考資料として、図、イラスト、写真等をつけても構いません(添付資料はA4サイズにおさめてください)。ただし、学会や研究発表会等で使用した論文、著作本、大量の基礎データを参考資料として用いることはご遠慮ください。 (2)応募する事例については、上記2の募集テーマ⑴~⑶の全部又は一部に該当するものとします。 (3)応募用紙は、表紙に記載している「応募先・お問い合わせ先」のほか、厚生労働省、都道府県労働局、ハローワーク、地域障害者職業センター、都道府県支部高齢・障害者業務課(前高齢・障害者雇用支援センター)、障害者就業・生活支援センター等で配布します。  また、当機構のホームページからダウンロードした用紙も使用できます。 (4)応募用紙は、表紙に記載している「応募先・お問い合わせ先」に郵送または電子メールにてお送りください。 (5)前年度に入賞した事業所の応募につきましては、前年度と同様の改善事例又は改善内容の一部を変更した事例による応募は原則認めないこととし、新たな改善事例のみ受け付けることとします。 8 賞  優秀な事例には、最優秀賞(厚生労働大臣賞)、優秀賞(独立行政法人高齢・障害・求職者雇用支援機構理事長賞)、奨励賞(独立行政法人高齢・障害・求職者雇用支援機構理事長賞)を贈ります。  なお、優秀賞と奨励賞については、部門(一般部門、特例子会社部門)を設け、部門ごとに賞を贈ります。 9 審査  当機構に審査員会を設置し、審査します。なお、審査において同程度の評価を受けた応募事例があった場合は、過去に受賞歴のない事業所を優先的に選定します。 10 表彰 上記の最優秀賞、優秀賞の入賞事業所の表彰式は、平成27年9月に東京で開催する予定です。 11 その他 (1)応募の際、事例の対象となる障害者の承諾を得てください。また、障害者の名前の表記については、イニシャルを用いるなど匿名にしてください。 (2)応募書類は、返却しません。 (3)応募した文書の著作権及びこれに付随する一切の権利は、当機構に帰属するものとします。 (4)応募に際して得られた個人情報は、当機構が管理し、本募集の実施運営にかかわる作業と障害者雇用の普及・啓発に関する資料送付のみを目的として使用します。 (5)応募事例のうち、入賞事例については取材を行い、具体的な事例の内容を取りまとめ、当機構ホームページに掲載します。また、入賞事例をすべて掲載する入賞事例集の作成もしくは入賞事例のうち数事例を対象とした動画制作のいずれかを行うこととしています。 【審査員の構成】 審査員名 所属 役職 遠藤和夫 一般社団法人日本経済団体連合会労働政策本部 統括主幹 清家政江 社会福祉法人JHC板橋会 障害者就業・生活支援センターワーキング・トライ センター長 中川正俊 田園調布学園大学人間福祉学部社会福祉学科 教授 畑俊一 厚生労働省職業安定局雇用開発部障害者雇用対策課地域就労支援室 室長 吉光清 九州看護福祉大学看護福祉学部社会福祉学科 学科長 清川啓三 独立行政法人高齢・障害・求職者雇用支援機構 理事 (敬称略・五十音順、所属及び役職は平成27年8月7日現在) 障害者雇用を支援する施策 お問い合わせ先 都道府県支部 高齢・障害者業務課等(P77) 障害者雇用納付金制度に基づく各種助成金  事業主や事業主の団体が障害者を新たに雇い入れたり、障害者の安定した雇用を維持するために、作業施設や設備の改善をしたり、職場環境への適応や仕事の習熟のためのきめ細かい指導を行ったりする場合には、少なからぬ経済的負担がかかることがあります。障害者雇用納付金制度に基づく助成金は、その負担の軽減を図ることで障害者の雇い入れや継続雇用を容易にしようとする制度です。 ■助成金の種類 助成金の対象、助成率、限度額、手続き等は当機構ホームページ https://www.jeed.go.jp/disability/subsidy/ 障害者作業施設設置等助成金  障害者を労働者として雇い入れるか継続して雇用している事業主が、その障害者が障害を克服し、作業を容易に行うことができるよう配慮された作業施設、就労を容易にするために配慮されたトイレ、スロープ等の附帯施設もしくは作業を容易にするために配慮された作業設備(以下「作業施設等」といいます。)の設置または整備を行う場合に、その費用の一部を助成するものです。 障害者福祉施設設置等助成金  障害者を労働者として継続して雇用している事業主またはその事業主が加入している事業主の団体が、障害者である労働者の福祉の増進を図るため、障害者が利用できるよう配慮された保健施設、給食施設、教養文化施設等の福利厚生施設(以下「福祉施設等」といいます。)の設置または整備を行う場合に、その費用の一部を助成するものです。 障害者介助等助成金  重度身体障害者または就職が特に困難と認められる身体障害者を労働者として雇い入れるか継続して雇用している事業主が、障害の種類や程度に応じた適切な雇用管理のために必要な介助等の措置を実施する場合に、その費用の一部を助成するものです。 重度障害者等通勤対策助成金  重度身体障害者、知的障害者、精神障害者または通勤が特に困難と認められる身体障害者を労働者として雇い入れるまたは継続して雇用する事業主、またはこれらの重度障害者等を雇用している事業主を構成員とする事業主の団体が、これらの者の通勤を容易にするための措置を行う場合にその費用の一部を助成するものです。 重度障害者多数雇用事業所施設設置等助成金  重度身体障害者または知的障害者、精神障害者を労働者として多数継続して雇用し、かつ、安定した雇用を継続することができると認められる事業主で、これらの障害のために事業施設等の整備を行い、モデル性が認められる場合に、その費用の一部を助成するものです。 お問い合わせ先 都道府県支部 高齢・障害者業務課等(P77) 特定求職者雇用開発助成金(特定就職困難者雇用開発助成金)  身体障害者、知的障害者または精神障害者などの就職が特に困難な者をハローワークなどの紹介により新たに雇い入れた事業主に対して、その賃金の一部を雇い入れた日から一定期間助成することにより、雇用機会の増大を図るものです。 ○対象事業主 次の全ての要件を満たす事業主です。 ①ハローワークまたは適正な運用を期すことのできる有料・無料職業紹介事業者の紹介により、身体障害者、知的障害者または精神障害者など(65歳未満の者に限る。)を継続して雇用する労働者として雇い入れ、助成金支給後も引き続き相当期間雇用することが確実であると認められる雇用保険の適用事業主。 ②対象労働者の雇入れの日の前日から起算して6か月前の日から1年間を経過する日までの間に、当該雇入れに係る事業所で雇用する被保険者を事業主の都合により解雇したことがないものであること。 ③対象労働者の雇入れの日の前日から起算して6か月前の日から1年間を経過する日までの間に、当該雇入れに係る事業所において特定受給資格者となる離職理由により雇用する被保険者を、当該雇入れ日における被保険者数の6%を超えてかつ4人以上離職させていないこと。 ○助成額など 対象労働者 助成額(大企業 中小企業※1) 助成期間(大企業 中小企業) 身体障害者、知的障害者(短時間労働者※2以外) 50万円 120万円 1年 2年 身体障害者、知的障害者、精神障害者(短時間労働者) 30万円 80万円 1年 2年 重度身体・知的障害者、精神障害者、45歳以上の身体・知的障害者(短時間労働者以外) 100万円 240万円 1年6か月 3年 ※1 ここでいう中小企業の範囲は以下のとおりです。 対象労働者 資本または出資額 常時雇用する労働者数 小売業(飲食店を含む) 5,000万円以下 50人以下 サービス業 5,000万円以下 100人以下 卸売業 1億円以下 100人以下 その他の業種 3億円以下 300人以下 ※2 ここでいう「短時間労働者」とは、1週間の所定労働時間が20時間以上30時間未満の者をいいます。 障害者トライアル雇用奨励金  ハローワークまたは民間の職業紹介事業者等の紹介により、就職が困難な障害者を一定期間雇用することにより、その適性や業務遂行可能性を見極め、求職者及び求人者の相互理解を促進すること等を通じて、障害者の早期就職の実現や雇用機会の創出を図ることを目的としています。 ○対象労働者 次の[1]と[2]の両方に該当する者であること [1]継続雇用する労働者としての雇入れを希望している者であって、障害者トライアル雇用制度を理解した上で、障害者トライアル雇用による雇入れについても希望している者 [2]障害者雇用促進法に規定する障害者のうち、次のア~カのいずれかに該当する者 ア 重度身体障害者 イ 重度知的障害者 ウ 精神障害者 エ 紹介日において就労の経験のない職業に就くことを希望する者 オ 紹介日前2年以内に、離職が2回以上または転職が2回以上ある者 カ 紹介日前において離職している期間が6カ月を超えている者 ○雇入れの条件 (1)ハローワークまたは民間の職業紹介事業者等の紹介により雇い入れること (2)障害者トライアル雇用等の期間について、雇用保険被保険者資格取得の届出を行うこと。 ※このほかにも、雇用関係助成金共通の要件などいくつかの支給要件がありますので、詳しくは「お問い合わせ先」までご確認ください。 ○受給額 支給対象者1人につき月額最大4万円(最長3か月間) 障害者短時間トライアル雇用奨励金 継続雇用する労働者として雇用することを目的に、障害者を一定の期間を定めて試行的に雇用するものであって、雇入れ時の週の所定労働時間を10時間以上20時間未満とし、障害者の職場適応状況や体調等に応じて、同期間中にこれを20時間以上とすることを目指すものをいいます。 ○対象労働者  本奨励金における「対象労働者」は、継続雇用する労働者としての雇入れを希望している者であって、障害者短時間トライアル雇用制度を理解した上で、障害者短時間トライアル雇用による雇入れについても希望している精神障害者または発達障害者が対象となります。 ○雇入れの条件 対象労働者を次の(1)と(2)の条件によって雇い入れること (1)ハローワークまたは民間の職業紹介事業者等の紹介により雇い入れること (2)3か月から12か月間の短時間トライアル雇用をすること ○受給額 支給対象者1人につき月額最大2万円(最長12か月間) 発達障害者・難治性疾患患者雇用開発助成金  発達障害者または難治性疾患患者をハローワークなどの紹介により常用労働者として雇い入れる事業主に対して助成するものであり、発達障害や難治性疾患患者の雇用を促進し職業生活上の課題を把握することを目的としています。  事業主には、雇い入れた者に対する配慮事項等について報告をいただきます。  また、雇入れから約6か月後にハローワーク職員等が職場訪問を行います。 ○対象事業主  特定求職者雇用開発助成金(p72参照)と同様です。ただし、対象労働者の雇用の状況などその雇用管理に関する事項について、報告書により支給申請にあわせて管轄の労働局に報告する事業主としています。 ○対象労働者 次の〔1〕~〔3〕のすべてに該当する求職者です。 〔1〕次の①または②に該当する者 ①発達障害者支援法第2条に規定する発達障害者 ②いずれかの難治性疾患を有する者(詳しくは雇用関係助成金のご案内などでご確認ください) 〔2〕ハローワークなどの紹介の時点で失業の状態にある者 〔3〕雇入れ日現在において満65歳未満である者 ○助成額など 対象労働者 支給額(大企業 中小企業※1) 助成対象期間(大企業 中小企業) 短時間労働者以外の者 50万円 120万円 1年間 2年間 短時間労働者※2 30万円 80万円 1年間 2年間 ※1 ここでいう中小企業の範囲は以下のとおりです。 産業分類 資本または出資額 常時雇用する労働者数 小売業(飲食店を含む) 5,000万円以下 50人以下 サービス業 5,000万円以下 100人以下 卸売業 1億円以下 100人以下 その他の業種 3億円以下 300人以下 ※2 ここでいう「短時間労働者」とは、1週間の所定労働時間が20時間以上30時間未満の者をいいます。 P72,73,74のお問い合わせ先 都道府県労働局、ハローワーク 職場適応援助者(ジョブコーチ)による支援事業  障害者が円滑に職場へ適応することができるように、ジョブコーチが職場に出向き、障害者本人と事業主や職場の従業員に対してきめ細かな支援を行います。  不安やストレスを抱えやすい精神障害者等の方々に対しては、作業遂行への支援だけではなく、相談を中心とした職場内でのコミュニケーションに関する支援、不安や緊張・ストレスの軽減等の支援を行います。  また、事業主や職場の上司、同僚に対しては、本人の特性を踏まえた関わり方を伝えたり、業務内容や職場環境の調整をともに行います。 ○ジョブコーチの種類 ◆配置型ジョブコーチ※1  地域障害者職業センターに配置するジョブコーチです。就職等の困難性の高い障害者を重点的な支援対象として自ら支援を行うほか、訪問型及び企業在籍型ジョブコーチと連携し支援を行う場合は、効果的・効率的な支援が行われるよう必要な助言・援助を行います。 〔支援の契機〕 雇用の前後を問わず、必要なタイミングで支援を行います(例:不安の軽減や作業手順を覚えるために雇入れと同時に支援を開始。配置転換や人事異動といった職場環境の変化により職場適応上の課題が生じたため雇用後の支援を開始)。 〔支援期間〕 個別に必要な期間を設定します(標準は2~4か月)。職場適応上の課題が改善され、職場の上司や同僚が適切に関われるようになった段階で支援が終了となります。支援終了後は、必要なフォローアップを行います。 ◆訪問型ジョブコーチ※2  障害者の就労支援を行う社会福祉法人等に雇用されるジョブコーチです。高齢・障害・求職者雇用支援機構が実施する訪問型職場適応援助者養成研修又は厚生労働大臣が定める訪問型職場適応援助者養成研修を修了した者であって、必要な相当程度の経験及び能力を有する者が担当します。 ◆企業在籍型ジョブコーチ※2  障害者を雇用する企業に雇用されるジョブコーチです。機構が実施する企業在籍型職場適応援助者養成研修又は厚生労働大臣が定める企業在籍型職場適応援助者養成研修を修了した者が担当します。 ※ジョブコーチが行う障害者に対する支援は、事業所の上司や同僚による支援(ナチュラルサポート)にスムーズに移行していくことを目指しています。 お問い合わせ先 地域障害者職業センター(p.76)※1について ※2についてはその費用の一部を助成する制度があります。助成制度についてのお問い合わせは都道府県労働局、ハローワークへ。 地域障害者職業センター 都道府県支部  障害者に対する専門的な職業リハビリテーションサービス、事業主に対する障害者の雇用管理に関する相談・援助、地域の関係機関に対する助言・援助を実施しています。 地域障害者職業センター一覧 北海道障害者職業センター 〒001-0024 札幌市北区北二十四条西5-1-1 札幌サンプラザ5F TEL 011-747-8231 北海道障害者職業センター旭川支所 〒070-0034 旭川市四条通8-右1 ツジビル5F TEL 0166-26-8231 青森障害者職業センター 〒030-0845 青森市緑2-17-2 TEL 017-774-7123 岩手障害者職業センター 〒020-0133 盛岡市青山4-12-30 TEL 019-646-4117 宮城障害者職業センター 〒983-0836 仙台市宮城野区幸町4-6-1 TEL 022-257-5601 秋田障害者職業センター 〒010-0944 秋田市川尻若葉町4-48 TEL 018-864-3608 山形障害者職業センター 〒990-0021 山形市小白川町2-3-68 TEL 023-624-2102 福島障害者職業センター 〒960-8054 福島市三河北町7-14 福島職業能力開発促進センター内 TEL 024-526-1005 茨城障害者職業センター 〒309-1703 笠間市鯉淵6528-66 TEL 0296-77-7373 栃木障害者職業センター 〒320-0865 宇都宮市睦町3-8 TEL 028-637-3216 群馬障害者職業センター 〒379-2154 前橋市天川大島町130-1 TEL 027-290-2540 埼玉障害者職業センター 〒338-0825 さいたま市桜区下大久保136-1 TEL 048-854-3222 千葉障害者職業センター 〒261-0001 千葉市美浜区幸町1-1-3 TEL 043-204-2080 東京障害者職業センター 〒110-0015 東京都台東区東上野4-27-3 上野トーセイビル3F TEL 03-6673-3938 東京障害者職業センター多摩支所 〒190-0012 立川市曙町2-38-5 立川ビジネスセンタービル5F TEL 042-529-3341 神奈川障害者職業センター 〒252-0315 相模原市南区桜台13-1 TEL 042-745-3131 新潟障害者職業センター 〒950-0067 新潟市東区大山2-13-1 TEL 025-271-0333 富山障害者職業センター 〒930-0004 富山市桜橋通り1-18 北日本桜橋ビル7F TEL 076-413-5515 石川障害者職業センター 〒920-0856 金沢市昭和町16-1 ヴィサージュ1F TEL 076-225-5011 福井障害者職業センター 〒910-0026 福井市光陽2-3-32 TEL 0776-25-3685 山梨障害者職業センター 〒400-0864 甲府市湯田2-17-14 TEL 055-232-7069 長野障害者職業センター 〒380-0935 長野市中御所3-2-4 TEL 026-227-9774 岐阜障害者職業センター 〒502-0933 岐阜市日光町6-30 TEL 058-231-1222 静岡障害者職業センター 〒420-0851 静岡市葵区黒金町59-6 大同生命静岡ビル7F TEL 054-652-3322 愛知障害者職業センター 〒453-0015 名古屋市中村区椿町1-16 井門名古屋ビル4F TEL 052-452-3541 愛知障害者職業センター豊橋支所 〒440-0888 豊橋市駅前大通り1-27 MUS豊橋ビル6F TEL 0532-56-3861 三重障害者職業センター 〒514-0002 津市島崎町327-1 TEL 059-224-4726 滋賀障害者職業センター 〒525-0027 草津市野村2-20-5 TEL 077-564-1641 京都障害者職業センター 〒600-8235 京都市下京区西洞院通塩小路下る 東油小路町803 TEL 075-341-2666 大阪障害者職業センター 〒541-0056 大阪市中央区久太郎町2-4-11 クラボウアネックスビル4F TEL 06-6261-7005 大阪障害者職業センター南大阪支所 〒591-8025 堺市北区長曽根町130-23 堺商工会議所5F TEL 072-258-7137 兵庫障害者職業センター 〒657-0833 神戸市灘区大内通5-2-2 TEL 078-881-6776 奈良障害者職業センター 〒630-8014 奈良市四条大路4-2-4 TEL 0742-34-5335 和歌山障害者職業センター 〒640-8323 和歌山市太田130-3 TEL 073-472-3233 鳥取障害者職業センター 〒680-0842 鳥取市吉方189 TEL 0857-22-0260 島根障害者職業センター 〒690-0877 松江市春日町532 TEL 0852-21-0900 岡山障害者職業センター 〒700-0821 岡山市北区中山下1-8-45 NTTクレド゙岡山ビル17F TEL 086-235-0830 広島障害者職業センター 〒732-0052 広島市東区光町2-15-55 TEL 082-263-7080 山口障害者職業センター 〒747-0803 防府市岡村町3-1 TEL 0835-21-0520 徳島障害者職業センター 〒770-0823 徳島市出来島本町1-5 TEL 088-611-8111 香川障害者職業センター 〒760-0055 高松市観光通2-5-20 TEL 087-861-6868 愛媛障害者職業センター 〒790-0808 松山市若草町7-2 TEL 089-921-1213 高知障害者職業センター 〒781-5102 高知市大津甲770-3 TEL 088-866-2111 福岡障害者職業センター 〒810-0042 福岡市中央区赤坂1-6-19 ワークプラザ赤坂5F TEL 092-752-5801 福岡障害者職業センター北九州支所 〒802-0066 北九州市小倉北区萩崎町1-27 TEL 093-941-8521 佐賀障害者職業センター 〒840-0851 佐賀市天祐1-8-5 TEL 0952-24-8030 長崎障害者職業センター 〒852-8104 長崎市茂里町3-26 TEL 095-844-3431 熊本障害者職業センター 〒862-0971 熊本市中央区大江6-1-38 4F TEL 096-371-8333 大分障害者職業センター 〒874-0905 別府市上野口町3088-170 TEL 0977-25-9035 宮崎障害者職業センター 〒880-0014 宮崎市鶴島2-14-17 TEL 0985-26-5226 鹿児島障害者職業センター 〒890-0063 鹿児島市鴨池2-30-10 TEL 099-257-9240 沖縄障害者職業センター 〒900-0006 那覇市おもろまち1-3-25 沖縄職業総合庁舎5F TEL 098-861-1254 高齢・障害者業務課 都道府県支部  障害者の雇用に関する相談・援助、障害者雇用納付金制度に基づく申告・申請の受付、啓発等の業務を実施しているほか、高年齢者等の雇用に関する相談・援助、各種給付金の支給申請の受付等を実施しています。 高齢・障害者業務課一覧 ※平成28年2月1日現在 北海道 〒063-0804 札幌市西区二十四軒4条1-4-1 北海道職業能力開発促進センター内 TEL 011-622-3351 青森 〒030-0822 青森市中央3-20-2 青森職業能力開発促進センター内 TEL 017-721-2125 岩手 〒020-0024 盛岡市菜園1-12-10 日鉄鉱盛岡ビル5階 TEL 019-654-2081 宮城 〒985-8550 宮城県多賀城市明月2-2-1 宮城職業能力開発促進センター内 TEL 022-361-6288 秋田 〒010-0951 秋田市山王3-1-7 東カンビル3階 TEL 018-883-3610 山形 〒990-2161 山形市漆山1954 山形職業能力開発促進センター内 TEL 023-674-9567 福島 〒960-8054 福島市三河北町7-14 福島職業能力開発促進センター内 TEL 024-526-1510 茨城 〒310-0803 水戸市城南1-1-6 サザン水戸ビル7階 TEL 029-300-1215 栃木 〒320-0072 宇都宮市若草1-4-23 栃木職業能力開発促進センター内 TEL 028-650-6226 群馬 〒379-2154 前橋市天川大島町130-1 ハローワーク前橋3階 TEL 027-287-1511 埼玉 〒336-0931 さいたま市緑区原山2-18-8 埼玉職業能力開発促進センター 本館4階 TEL 048-813-1112 千葉 〒261-0001 千葉市美浜区幸町1-1-3 ハローワーク千葉5階 TEL 043-204-2901 東京 〒130-0022 墨田区江東橋2-19-12 ハローワーク墨田5階 TEL 03-5638-2284 神奈川 〒241-0824 横浜市旭区南希望が丘78 関東職業能力開発促進センター内 TEL 045-360-6010 新潟 〒951-8061 新潟市中央区西堀通6-866 NEXT21ビル12階 TEL 025-226-6011 富山 〒933-0982 富山県高岡市八ケ55 富山職業能力開発促進センター内 TEL 0766-26-1881 石川 〒920-0352 金沢市観音堂町へ-1 石川職業能力開発促進センター内 TEL 076-267-6001 福井 〒910-0005 福井市大手2-7-15 明治安田生命福井ビル10階 TEL 0776-22-5560 山梨 〒400-0854 甲府市中小河原町403-1 山梨職業能力開発促進センター内 TEL 055-242-3723 長野 〒381-0043 長野市吉田4-25-12 長野職業能力開発促進センター内 TEL 026-258-6001 岐阜 〒500-8842 岐阜市金町5-25 住友生命岐阜ビル7階 TEL 058-265-5823 静岡 〒422-8033 静岡市駿河区登呂3-1-35 静岡職業能力開発促進センター内 TEL 054-280-3622 愛知 〒450-0002 名古屋市中村区名駅4-2-28 名古屋第二埼玉ビル4階 TEL 052-533-5625 三重 〒514-0002 津市島崎町327-1 ハローワーク津2階 TEL 059-213-9255 滋賀 〒520-0856 大津市光が丘町3-13 滋賀職業能力開発促進センター内 TEL 077-537-1214 京都 〒617-0843 長岡京市友岡1-2-1 京都職業能力開発促進センター内 TEL 075-951-7481 大阪 〒566-0022 大阪府摂津市三島1-2-1 関西職業能力開発促進センター内 TEL 06-7664-0782 兵庫 〒650-0023 神戸市中央区栄町通1-2-7 大同生命神戸ビル2階 TEL 078-325-1792 奈良 〒630-8122 奈良市三条本町9-21 JR奈良伝宝ビル6階 TEL 0742-30-2245 和歌山 〒640-8483 和歌山市園部1276 和歌山職業能力開発促進センター内 TEL 073-462-6900 鳥取 〒689-1112 鳥取市若葉台南7-1-11 鳥取職業能力開発促進センター内 TEL 0857-52-8803 島根 〒690-0001 松江市東朝日町267 島根職業能力開発促進センター内 TEL 0852-60-1677 岡山 〒700-0951 岡山市北区田中580 岡山職業能力開発促進センター 3階 TEL 086-241-0166 広島 〒730-0825 広島市中区光南5-2-65 広島職業能力開発促進センター内 TEL 082-545-7150 山口 〒753-0861 山口市矢原1284-1 山口職業能力開発促進センター内 TEL 083-995-2050 徳島 〒770-0823 徳島市出来島本町1-5 ハローワーク徳島5階 TEL 088-611-2388 香川 〒761-8063 高松市花ノ宮町2-4-3 香川職業能力開発促進センター内 TEL 087-814-3791 愛媛 〒791-8044 松山市西垣生町2184 愛媛職業能力開発促進センター内 TEL 089-905-6780 高知 〒780-8010 高知市桟橋通4-15-68 高知職業能力開発促進センター内 TEL 088-837-1160 福岡 〒810-0042 福岡市中央区赤坂1-10-17 しんくみ赤坂ビル6階 TEL 092-718-1310 佐賀 〒849-0911 佐賀市兵庫町大字若宮1042-2 佐賀職業能力開発促進センター内 TEL 0952-37-9117 長崎 〒854-0062 諫早市小船越町1113 長崎職業能力開発促進センター内 TEL 0957-35-4721 熊本 〒861-1102 熊本県合志市須屋2505-3 熊本職業能力開発促進センター内 TEL 096-249-1888 大分 〒870-0131 大分市皆春1483-1 大分職業能力開発促進センター内 TEL 097-522-7255 宮崎 〒880-0916 宮崎市大字恒久4241 宮崎職業能力開発促進センター内 TEL 0985-51-1556 鹿児島 〒890-0068 鹿児島市東郡元町14-3 鹿児島職業能力開発促進センター内 TEL 099-813-0132 沖縄 〒900-0006 那覇市おもろまち1-3-25 沖縄職業総合庁舎4階 TEL 098-941-3301 障害者雇用に役立つ資料(報告書等) 独立行政法人高齢・障害・求職者雇用支援機構では、障害者雇用に関する様々なテーマの調査研究を実施したり、事業主のみなさまに対して障害者の雇い入れに活用できる実践的なマニュアル等の作成をしています。これらは、機構ホームページからダウンロードできます。ぜひ、ご活用ください。 ①調査研究報告書 № タイトル 発行 126 難病の症状の程度に応じた就労困難性の実態及び就労支援のあり方に関する研究 2015年 125 発達障害者の職業生活への満足度と職場の実態に関する調査研究 2015年 124 SSTを活用した人材育成プログラムの普及に関する研究 -ジョブコミュニケーション・スキルアップセミナーの普及- 2015年 122 就労支援機関等における就職困難性の高い障害者に対する就労支援の現状と課題に関する調査研究 ~精神障害者と難病を中心に~ 2014年 121 高次脳機能障害者の働き方の現状と今後の支援のあり方に関する研究 2014年 119 発達障害者のコミュニケーション・スキルの特性評価に関する研究 -F&T感情識別検査拡大版の開発と試行に基づく検討- 2014年 117 精神障害者の職場定着及び支援の状況に関する研究 2014年 109 精神障害者の雇用管理のあり方に関する調査研究 2012年 108 精神障害者の常用雇用への移行のための支援に関する研究 2012年 107 企業に対する障害者の職場定着支援の進め方に関する研究 2012年 95 精神障害者の雇用促進のための就業状況等に関する調査研究 2010年 93の2 特別の配慮を必要とする障害者を対象とした、就労支援機関等から事業所への移行段階における就職・復職のための支援技法の開発に関する研究(第2分冊復職・職場適応支援編) 2010年 93の1 特別の配慮を必要とする障害者を対象とした、就労支援機関等から事業所への移行段階における就職・復職のための支援技法の開発に関する研究(第1分冊就職・職場適応支援編) 2010年 90 精神障害者に対する就労支援過程における当事者のニーズと行動の変化に応じた支援技術の開発に関する研究 2009年 ②資料シリーズ № タイトル 発行 88 発達障害者を中心とした職場における配慮と支援に関する資料 2015年 86 障害者職業センターの支援を受けた精神障害を有する求職者の就職・職場定着状況等に関する調査研究 -精神障害を有する求職者の実態に関する調査研究 Ⅱ - 2015年 85 精神障害等の見えにくい障害を有する従業員の疲労軽減のための方策に関する調査研究 2015年 84 発達障害者の職業生活上の課題とその対応に関する研究 -「発達障害者就労支援レファレンスブック」活用のために- 2015年 81 就労の困難さの判断の精度を高めるための連携についての調査研究 2014年 79 保健医療機関における難病患者の就労支援の実態についての調査研究 2014年 78 事業所における障害者雇用に関する配慮や支援の状況 2014年 76 精神障害者・発達障害者の雇用における課題と配慮の推進に関する調査研究 2013年 71 医療機関における精神障害者の就労支援の実態についての調査研究 2012年 70 精神障害を有する求職者の実態に関する調査研究 2012年 66 職場における心の病の多様化と事業主支援に関する研究  2012年 63 気分障害を有する者への雇用促進・雇用継続支援技法に関する研究 2012年 ③各種教材・ツール・マニュアル等 № タイトル 発行 48 発達障害者就労支援レファレンスブック(課題と対応例) 2015年 47 ジョブコミュニケーション・スキルアップセミナー ~パートナー研修資料集~ 2015年 46 難病患者の就労支援における医療と労働の連携のために 2014年 45 精神障害者の就労支援における医療と労働の連携のために 2014年 38 精神障害者雇用管理ガイドブック 2012年 33 幕張ストレス・疲労アセスメントシート MSFASの活用のために 2010年 29 精神障害者窓口相談ガイドブック 2009年 28 就労支援ハンドブック統合失調症者を支えるために 2009年 上記資料は障害者職業総合センター研究部門のホームページへ 障害者雇用に役立つ資料(マニュアル等) ①マニュアル、好事例集 ●職場改善好事例集:障害者の雇用管理や雇用形態、職場環境、職域拡大等について事業所が創意・工夫して実践している取組を、テーマ別にとりまとめて紹介した事例集 ●障害者雇用マニュアルコミック版:障害者雇用に関する問題点の解消のためのノウハウや具体的な雇用事例を障害別にコミック形式でまとめたマニュアル ●はじめからわかる障害者雇用〜事業主のためのQ&A集〜:障害者雇用を進めるにあたり職務選定、労働条件、環境整備等について不安や悩みを抱える事業主のために、具体的方策を30のQ&Aを通じてわかりやすく解説したマニュアル マニュアル等の資料は、ホームページからダウンロードできます。(PDFファイルまたはTEXTファイル)(障害者雇用資料/検索) ②障害者雇用リファレンスサービス 積極的に障害者雇用への取組を行っている全国の事業所の事例をデータベースに蓄積し、「障害者雇用リファレンスサービス」としてホームページで紹介しています。 業種や障害、事業所規模、指定するキーワード等で雇用事例を検索することができます。 https://www.ref.jeed.go.jp/ ③就労支援機器等の貸出し 障害者を雇用している、または雇用しようとしている事業主に、障害者の就労を容易にするための支援機器の情報提供、無料貸出しを行っています。 また、障害者雇用事業所の取組をDVD・ビデオにまとめ、事業主に貸出ししています。 障害者が実際に働く姿や職場での具体的工夫の内容を動画で見ることができます。 貸出しの概要、リストはホームページに掲載しています。 https://www.jeed.go.jp/disability/data/handbook/dvd/index.html ①マニュアル、好事例集、②障害者雇用事例リファレンスサービスについては、雇用開発推進部雇用開発課へ TEL:043-297-9513、FAX:043-297-9547 ③就労支援機器等の貸出し等については、中央障害者雇用情報センターへ TEL:03-5638-2792、FAX:03-5638-2282 誰もが職業をとおして社会参加できる「共生社会」を目指しています。 企画/発行 独立行政法人 高齢・障害・求職者雇用支援機構 雇用開発推進部雇用開発課 〒261-0014 千葉県千葉市美浜区若葉3-1-3(障害者職業総合センター内) TEL 043(297)9515 FAX 043(297)9547 https://www.jeed.go.jp/ 平成28年3月発行