平成29年度 身体障害、難病のある方などの雇用促進・職場定着に取り組んだ職場改善好事例集 障害者雇用職場改善好事例募集の入賞事例から はじめに  独立行政法人高齢・障害・求職者雇用支援機構では、事業所における障害者雇用および職場定着を進めるため、雇用管理や職場環境の整備などさまざまな改善・工夫を行った障害者雇用職場改善好事例を募集し、優秀な事例を表彰、広く周知しています。本募集は平成3年度から開始し、近年では年度ごとにテーマを設定し募集を行っています。  平成 29年度においては、身体障害、難病のある方などの雇用促進・職場定着に取り組んだ職場改善好事例を募集しました。全国の事業主のみなさまから多数のご応募をいただき、審査員による厳正なる審査の結果、10事業所の入賞を決定しました。  このたび、これらの事例を「身体障害、難病のある方などの雇用促進・職場定着に取り組んだ職場改善好事例集 ―平成29年度障害者雇用職場改善好事例募集の入賞事例から―」としてご紹介します。障害者の雇用促進と職場定着のためにご活用いただければ幸いです。  最後にご応募いただきました事業主のみなさま、そしてご協力いただいた関係機関・団体などのみなさまにはあらためて感謝申し上げます。 平成30年2月 独立行政法人高齢・障害・求職者雇用支援機構 Contents はじめに  …………………………………………………………………………………………………………………1 目次  ………………………………………………………………………………………………………………………2 視覚障害とは  ……………………………………………………………………………………………………………4 聴覚障害とは  ……………………………………………………………………………………………………………5 肢体不自由とは  …………………………………………………………………………………………………………6 内部障害とは  ……………………………………………………………………………………………………………7 高次脳機能障害・若年性認知症とは  …………………………………………………………………………………8 難病とは  …………………………………………………………………………………………………………………9 平成29年度障害者雇用職場改善好事例最優秀賞 株式会社キトー(山梨県中巨摩郡) 10 「障がい者雇用マスタープラン」の策定や、聴覚障害のある社員を含めた推進委員会の開催などにより、相互のコミュニケーションやキャリアアップに向けた取組みを充実させるなど、障害者雇用への組織的・継続的な取組みを推進。 キーワード 1雇用促進 2定着促進 3社内理解促進 4職務遂行の改善・工夫 5職域拡大 6社内サポート体制の整備 7コミュニケーションの改善・工夫 8モチベーション向上 9戦力化・能力開発 10キャリアアップ 11就労支援機器 平成29年度障害者雇用職場改善好事例優秀賞 株式会社グンリック本社営業所(埼玉県さいたま市) 16 スマートフォンなどを効果的に活用し、聴覚障害のある社員を大型トラックのドライバーとして多数雇用。 キーワード 1雇用促進 2職務遂行の改善・工夫 3不安の軽減 4コミュニケーションの改善・工夫 5就労支援機器 オリエンタルモーター株式会社 鶴岡カンパニー(山形県鶴岡市) 20 記憶障害のある高次脳機能障害者に対して、周囲の社員とジョブコーチが協力して、社内の行き先別の携帯用カードや作業マニュアルを作成・活用するなど、効果的な取組みを実施。 キーワード 1定着促進 2職務遂行の改善・工夫 3支援機関との連携 株式会社ヒサダ 九州工場(熊本県熊本市) 24 生産現場で一般労働者と同ラインに聴覚障害のある社員を配置し、本人の意見をふまえて、アラームランプを設置して異常を視覚的に確認できるようにしたり、電子メモパッドで筆談を行うなどの改善を実施。 キーワード 1雇用促進 2定着促進 3職務遂行の改善・工夫 4コミュニケーションの改善・工夫 クオールアシスト株式会社(東京都中央区) 28 「働けない」から「働ける」に発想を転換し、各地域の関係機関や専門家と連携して、通勤が困難な重度身体障害者などの在宅雇用を積極的に推進。 キーワード 1在宅雇用 2雇用促進 3定着促進 4職務遂行の改善・工夫 5支援機関との連携 6戦力化・能力開発 大東コーポレートサービス株式会社(東京都品川区)32 オリジナル手話など特性に配慮したさまざまな工夫を行い、戦力として認められる会社を目指す。 キーワード 1定着促進 2社内理解促進 3職務遂行の改善・工夫 4社内サポート体制の整備 5不安の軽減 6コミュニケーションの改善・工夫 7モチベーション向上 8戦力化・能力開発 株式会社スタッフサービス・ビジネスサポート(神奈川県相模原市) 36 Web会議システムを使用し、コミュニケーションの活性化を図り、疎外感を感じさせない配慮を行うなど、在宅勤務者の声を丁寧に受けとめながら、肢体不自由者や内部障害者、難病患者などの在宅雇用を推進。 キーワード 1在宅雇用 2雇用促進 3定着促進 4労働条件の配慮 5社内サポート体制の整備 6不安の軽減 7コミュニケーションの改善・工夫 平成29年度障害者雇用職場改善好事例奨励賞 社会福祉法人北野会(東京都板橋区) 40 中途視覚障害者の職場復帰に際し、支援機関の活用と就労支援機器の導入により、職種転換と継続雇用を図る。 キーワード 1職場復帰・雇用継続 2社内理解促進 3職務遂行の改善・工夫 4職務創出 5社内サポート体制の整備 6支援機関との連携 7就労支援機器 イシダアイテス株式会社(京都府京都市) 44 障害特性、体調、これまでの経歴を配慮した職務の設定により、重度肢体不自由のある社員の雇用推進や、高次脳機能障害のある社員の職場復帰を推進。 キーワード 1雇用促進 2職場復帰・雇用継続 3社内理解促進 4職務遂行の改善・工夫 5職務の見直し 6配置転換 7不安の軽減 株式会社DTSパレット(東京都中央区) 48 経営層・社員向け勉強会の開催により、免疫機能障害者についての社内理解を促進し、着実に雇用拡大。免疫機能障害者に偏見なく、協働する社員として自然に接し、十分な能力発揮につなげる。 キーワード 1雇用促進K 2定着促進 3社内理解促進 4不安の軽減 職場改善のために事業所が作成した資料・支援ツール  ………………………………………………………… 52 応募いただいた事業所  ……………………………………………………………………………………………… 66 応募状況  ……………………………………………………………………………………………………………… 67 平成29年度障害者雇用職場改善好事例募集要項  ………………………………………………………………… 68 障害者雇用を支援する施策  ………………………………………………………………………………………… 70 地域障害者職業センター一覧  ……………………………………………………………………………………… 76 高齢・障害者業務課一覧  …………………………………………………………………………………………… 77 障害者雇用に役立つ情報(就労支援機器など)  ………………………………………………………………… 78 ※この事例集では、事業所で用いている一部の表記を除き、障害の表記を法令などで使われている「障害」に統一しました。 ■視覚障害とは  視覚障害には全盲、弱視、視野狭窄(見える範囲が限定されている)などがあり、形の識別、明るさや暗さへの対応、文字の読み速度、コントラストの差が低い色の識別に困難が生じます。  「見えにくさ」はさまざまで、複数の「見えにくさ」をもっていることがあります。 通常の見え方 ぼやける まぶしくて見づらい 視野の半分が欠ける 視野の中心部しか見えない 視野の周辺部しか見えない 〜望まれる配慮〜 ◆個々人の視力、視野、適切な光量、色の見え方などに応じた環境設定を行うことで、効率的な作業遂行が可能となります。例えば、就労支援機器の活用により、パソコンを使った仕事などへの従事可能性が高まります。 ※就労支援機器については、78〜79ページをご覧ください。 ◆視覚障害者が安心して移動できるように、トイレやエレベーターなど通常使用する場所への移動の手がかり、室内の配置、危険箇所を事前に伝えておく必要があります。 ※「視覚障害者へのガイドの方法」については、「障害者雇用マニュアル コミック版1 視覚障害者と働く」に掲載されています。 ◆また、移動の支障となる物を通路に置かない、机の配置を工夫する、書類の保管場所を一定にするなどにより、移動の負担などを軽減することが重要です。 ◆十分な照明がない、逆に明るすぎると疲労しやすい人がいますので、デスクスタンドの利用など、本人に合った照明や採光について検討する必要があります。また、目の疲労回復のための休憩時間の設定などの配慮も重要です。 ◆重度視覚障害者の場合、どのタイミングで話しかけてよいかわからず、職場内でコミュニケーション不足になってしまうこともありますので、普段からの情報伝達やコミュニケーションといった配慮が重要となります。 ◆中途視覚障害者の雇用継続を考える場合には、支援機関と連携して、これまでの業務経験や保有技能を活かしてどのような職務を遂行できるか、必要な就労支援機器、歩行や点字などの訓練の必要性などを検討することが重要です。 出典:「障害者雇用マニュアル コミック版1 視覚障害者と働く」 障害について ■聴覚障害とは  聴覚障害とは、聴感覚に何らかの障害があるために、まったく聞こえないか、聞こえにくいことをいいます。  聴覚のどこに障害があるかによって、補聴器が有益な人、補聴器を使っても明瞭に聞き分けられない人がいます。また、聞こえの程度、聞こえなくなった時期、受けてきた教育の違いなどによって、話す言葉の明瞭さや理解力にも違いが出てきます。  さらに、健常者が普段何気なく取り入れている生活や仕事に関する情報を得られないことなどによる「情報障害」で不利益をこうむることがあります。 〜望まれる配慮〜 ◆音声情報の入手が制限されることで、得られる情報が不足したりかたよったりしがちです。この情報不足への不安や、コミュニケーションの困難さなどから、健常者との交流に緊張感を抱いたり、失敗を恐れてうまく心を開けない聴覚障害者もいますので、健常者からの積極的な働きかけが大切です。 ◆一人ひとりの聞こえにくさなどに応じたコミュニケーション方法を本人と一緒に考えることが重要です。「聴覚障害者だからこの方法で」と固定的に考えず、手話、筆談、口話、スマートフォンのアプリケーションの活用など、さまざまな方法でコミュニケーションを図ることが大切です。 ≪手話≫  手話は、手の表現だけでなく、表情や身振り・手振り(強弱)も大切にしながら、相手に伝えようとする思いを込めてください。  たとえ覚えたてでも、健常者から手話でコミュニケーションを取ることは、聴覚障害者を積極的に理解する姿勢を表現することでもあり、より聴覚障害者との信頼関係を深めることに役立ちます。 ≪筆談≫  仕事の指示や会議の内容などの重要な伝達事項は、筆談の方が確実です。  二重否定や比喩表現などをさけ、要点を簡潔に伝えてください。 ≪口話≫  口話は、話し手の唇や口の動きから話の内容を読み取り(読話)、自分の話したいことを声に出して話す(発語)コミュニケーション方法です。  発語については、大声で一音ずつ区切ってもかえってわかりにくいので、ゆっくりはっきり発音することが大切です。  読話については、口型だけの情報では限界がある(聴覚障害者は、口の形、表情、会話の流れなどから推量して判断しています)、同じような口型の言葉や同音異義語が多いことに注意が必要です。  また、相手の唇を読み取り続ける聴覚障害者の負担は相当なものですので、適宜休憩を入れるなどの配慮が必要です。  さらに、中途失聴者の場合、話す能力や理解力に問題がなくても、読話の習得には時間がかかることに留意が必要です。 出典:「障害者雇用マニュアル コミック版3 聴覚障害者と働く」 ■肢体不自由とは  肢体不自由とは、左右の手、腕と足、体幹(背骨を中心とした上半身と頸部)のいずれかの部位、または広範囲で運動機能障害が生じ、永続する状態をいいます。  運動機能障害は、動作がぎこちない程度のもの、まったく動かないもの、意図したものと異なる動きとなってしまうものなどさまざまです。  また、障害の原因によっては、障害のある部位の痛みや温度を感じる感覚や、体温調節機能の低下、排尿・排便機能の障害、言語障害などをともなう場合があります。  障害原因は、交通事故、労働災害、脳血管障害、骨関節疾患、脳性まひなどさまざまです。  先天性の場合、日常生活上での経験の幅・蓄積に影響が生じる場合があります。  後天性の場合、障害受容、生活や仕事などの将来設計を切り替えることに多大な心理的負担を経験することが少なくありません。 〜望まれる配慮〜 ◆まず個々人の業務経験や保有技能に注目し、そのうえで、障害が職務遂行上の制限となるのか、障害以外の部位の有効活用、移動の負担の軽減などについて検討することが必要です。 ◆進行性の病気が原因となっている場合は、障害の変化や進行があることを想定する必要があります。また、障害によっては、身体的な負荷が長期間加わることで、関節などに二次的な不調が生じることがあります。過重な負荷とならないよう作業内容・時間などについて配慮することが大切です。 ◆車いす使用者のハンディキャップ解消のため、次の配慮が望まれます。 ・通路の幅の確保、段差の解消、扉は自動ドアか引き戸に ・手の届く範囲の制限、作業姿勢の高低の調節が難しいことなどを考慮した環境設定 ・交通事情などのために、自動車通勤の負担が大きい場合、時差出勤などの検討 【コラム】身体障害者補助犬を同伴した方の受入れについて  身体障害者補助犬とは、盲導犬、介助犬、聴導犬のことで、特別な訓練を受け、「身体障害者補助犬法」に基づき、訓練・認定が行われています。  平成19年には「身体障害者補助犬法」が一部改正され、一定規模以上の民間企業(障害者の雇用義務がある事業主など)では、勤務している身体障害者が身体障害者補助犬を同伴することを拒んではならない旨、規定されています(平成20年10月1日施行)。 ほじょ犬マーク 身体障害者補助犬法の啓発マークです。身体障害者補助犬は、盲導犬、介助犬、聴導犬のことをいいます。法律により、公共の施設や交通機関、病院、飲食店などの民間施設においても身体障害者補助犬の同伴を拒んではならないとしています。 ■内部障害とは  内部障害とは、身体障害者福祉法上、心臓、腎臓または呼吸器などの機能障害で、永続し、かつ、日常生活が著しい制限を受ける程度であると認められるものとされています。  これらの内部臓器障害は、血液循環・浄化、呼吸、排泄、消化、免疫(感染防御)、代謝などの生命を維持する重要な機能の障害であり、これらの臓器の本来の働きが障害されることにより日常生活活動が制限されることとなります。 1.心臓機能障害  不整脈、狭心症、弁膜症などにより、心臓の本来の働きが障害され、日常生活活動が制限される障害です。心臓ペースメーカーを使用している場合、誤作動を防ぐため、高エネルギーの電磁波を発する医療用機器や工業用機器の使用には注意が必要です。 2.腎臓機能障害  腎臓の働きが悪くなり、老廃物を排泄できなくなる障害です。腎臓機能の低下により、人工透析や腎臓移植が必要となる場合があります。雇用上の留意点としては、全身的な体力の低下をともなっていることが多いこと、風邪などの感染症の予防に心がける必要があること、身体を冷気にさらさないような温暖な労働環境が望まれることなどがあります。 3.呼吸器機能障害  ヒトは呼吸により大気中の酸素を取り入れ、体の各組織での化学的燃焼によって生じた炭酸ガスを体外に排出することで生命を維持しています。このガス交換の過程のどこかに障害が起き、それが長期に続く慢性の呼吸器の機能障害です。気管支粘膜が過敏になっていることが多いので、温度変化(特に冷気)や乾燥に留意が必要です。 4.ぼうこう又は直腸の機能障害  ぼうこうや大腸の病気などが原因で、ぼうこうや直腸が機能低下または喪失したことによる障害です。排泄物を体外に出す排泄口「ストマ」を造設する人もいます。 5.小腸機能障害  食物の消化や吸収を行う小腸機能の低下・喪失のため、通常ルートで栄養維持できない、または困難になる障害です。高熱環境や肉体労働主体の職場では発汗量も多く、電解質バランスの異常や脱水症状をきたしやすくなるので不適当です。 6.ヒト免疫不全ウイルスによる免疫機能障害  ヒト免疫不全ウイルス(HIV)は、免疫機能をになう白血球を破壊しながら数年〜10数年をかけて増殖し、重篤な免疫不全の原因となります。エイズ(AIDS・後天性免疫不全症候群)とは、HIV感染による重度の免疫不全症候群のことをいいます。 7.肝臓機能障害  栄養素の分解や生合成、人体の害となる物質の解毒などをになう肝臓機能が低下すると、倦怠感や易疲労感などの症状が強くなり、さらに進行すると肝臓移植が必要となります。肝臓機能障害は自覚症状が現れにくく、無理をして状態を悪化させることがあるため、本人の自己管理とともに、重労働や残業の制限など、周囲の理解と配慮が大切です。 【コラム】人工透析(血液透析)について  人工透析(血液透析)とは、血液を腕の血管からダイアライザーという機械に送り、血液をろ過して老廃物を取り除き、きれいになった血液を再び体内に戻すものです。  1回4〜5時間かかり、週3〜4回程度行う必要があります。  人工透析(血液透析)を受けている腎臓機能障害者については、勤務時間の調整が可能な部署への配置(転換)、透析日の時短勤務、業務量の調整などの配慮が必要です。 ■高次脳機能障害とは  脳血管障害、交通事故による脳外傷などが原因で脳に損傷を受けると、片まひなどの運動機能障害や視覚などの感覚機能障害だけでなく、注意、知覚、学習、記憶、判断、言語、思考などの高次の精神機能が低下する場合があります。この後者の障害を高次脳機能障害といいます。  高次脳機能障害の主な症状は、次のとおりです。 1.失語症  聞く、話す、読む、書くなど、言葉を使ったコミュニケーションや作業がうまくできなくなる障害です。知的能力が低下したり、ものを考えることができなくなる障害ではなく、自分の言いたいことをうまく伝えたり、相手の言うことを正確に理解することなどが難しくなる障害です。 「失語症のある人の雇用支援のために」  失語症の概要、職場での支援のポイント、医療機関や就労支援機関と連携した就職・雇用継続事例などを紹介しています。 2.失認症(左半側空間無視)  視力や視野には問題がなく感覚刺激の入力は可能ですが、入手した情報の処理過程に問題があるため、視覚的認知が障害される状態を「視覚失認」といいます。視覚失認のうち「左半側空間無視」は、左半分の空間に対する注意障害で、例えば、歩行の際に左側の障害物に気づかずぶつかる、事務作業でミスをしやすいなどの問題を引き起こすことがあります。 3.注意障害  注意の機能が障害されると、1つの作業に集中できない、作業ミスを発見できない、同時に複数の作業をこなすことが難しいなどの問題が生じます。 4.記憶障害  記憶には、記銘(覚える)、保持(覚えておく)、再生(思い出す)の過程がありますが、いずれかの過程が障害されると、人の名前や場所が覚えられない、他の用事を頼まれるとそれまでやっていたことを忘れてしまう、覚えたことを思い出せないなどの問題が生じます。 5.遂行機能障害  遂行機能は、目的達成のために計画性をもって行動したり、変化する状況にうまく対応して行動するために必要な働きですが、その機能が障害を受けると、計画に無理があるため実行できない、行き当たりばったりの行動をする、仕事が決まったとおりに仕上がらないなどの問題が生じます。 ■若年性認知症とは  若年性認知症とは、65歳未満に発症する認知症をいいます。  病理学的には一般の認知症と違いはありませんが、発症年齢が働き盛りの年代であることから、本人や家族の問題だけでなく、就労などの社会的な問題が発生します。 「若年性認知症を発症した人の就労継続のために」  若年性認知症の概要、就労上困っていること、コミュニケーションや指示の方法、利用可能な就労支援サービスと就労継続事例などを紹介しています。  ただ、若年性認知症といっても、人によって症状・進行はさまざまで、発症と同時に就労が困難になるわけではありません。  発症後の早い段階で、症状に応じた職務内容の変更や配置転換を行うなどの取組みを行うことにより、雇用継続の可能性は広がります。  支援機関と連携しながら、早期から適切な支援を行うことが重要です。 ■難病とは  難病とは、原因が不明であって、治療方法が確立していない、希少な難治性の疾患をいいます。  医療の進歩により、多くの難病は慢性疾患化しており、難病のある人の多くが、疾患管理を継続すれば日常生活や職業生活が可能となっています。 「難病のある人の就労支援のために」  難病の概要、就業状況、就労上困っていることと必要な配慮、就労例が比較的多い難病と雇用管理のポイントなどを紹介しています。  「難病=働けない」という先入観や誤解を解消し、「疾患管理と職業生活の両立の支援」を行うことが求められます。  また、働き盛りでの突然の発症もあり、初期の激しい症状で入院し、難病と告知され、情報不足のまま退職などとなり、その後数か月で症状が安定し、復職可能であることがわかった例も少なくありません。主治医などから治療の見通しや就労可能性について情報収集し、事業所の規定などをふまえて、不必要な退職を防止し、スムーズな復職につなげる支援も重要です。  さらに、 10年以上かけてゆっくりと症状が進行する病気もあり、現時点でできる仕事を続けながら、将来の仕事内容や労働条件を長期的に検討することも重要です。 難病情報センター  各疾患の解説、患者会の情報、医療費助成をはじめとする各種制度と相談窓口などが掲載されています。(URL:http://www.nanbyou.or.jp/) 〜望まれる配慮〜 ◆多くの難病では、疲れやすさ、関節の痛み、腹痛などがみられます。  個々人の症状、就労による影響などを考慮して、本人と話し合いながら、業務量や勤務時間の調整、休憩の取得や定期通院への配慮などを行うことが重要です。 【コラム】在宅勤務とは  在宅勤務とは、事業主と雇用関係にある労働者が情報通信機器を活用して、労働時間の全部または一部について、自宅で業務に従事する勤務形態のことをいいます。  労働者のメリットとしては、通勤が難しい障害者の就業機会が拡大する、病気の治療をしながら働けるなどがあります。  事業所のメリットとしては、柔軟な働き方が可能になることにより優秀な人材が確保できるなどがあります。 最優秀賞 平成29年度障害者雇用職場改善好事例最優秀賞 株式会社キトー(山梨県中巨摩郡) 「障がい者雇用マスタープラン」の策定や、聴覚障害のある社員を含めた推進委員会の開催などにより、相互のコミュニケーションやキャリアアップに向けた取組みを充実させるなど、障害者雇用への組織的・継続的な取組みを推進。 キーワード 1雇用促進 2定着促進 3社内理解促進 4職務遂行の改善・工夫 5職域拡大 6社内サポート体制の整備 7コミュニケーションの改善・工夫 8モチベーション向上 9戦力化・能力開発 10キャリアアップ 11就労支援機器 [事業所の概要]  本社工場(山梨県中巨摩郡)では、一貫した生産管理のもと、基幹製品であるチェーンブロック、レバーブロック、クレーンなどを製造。  品質と安全性を追求した製品を、日本から世界中のあらゆる地域へ提供している。  従業員数 766人 [業種および主な事業内容]  製造業  モノを持ち上げ、運び、固定する作業に不可欠なマテリアルハンドリング機器(巻上機およびクレーンなど)の製造、販売、アフターサービスなどを手がける。  14カ国24社の海外子会社と、50カ国以上に販売ネットワークを構築している。 [障害者雇用の経緯]  平成23年に「障がい者雇用マスタープラン」(5カ年計画)を策定し、全社的な取組みを推進。これまで社員意識改革、障害者向け作業エリアの整備、職場のサポート体制の強化など、数多くの雇用・定着促進のための取組みを計画的に推進。また、支援機関と効果的に連携し、知的障害、精神障害、発達障害のある方の雇用も進め、現在32人の障害者を雇用。 [紹介内容]  聴覚障害・肢体不自由 【従事作業】  機械加工、部品の品揃え、経理伝票の入力など [障害者の雇用形態・勤続年数] 雇用形態 正社員 週の労働時間に変動なし 6人 週の労働時間短縮などの変動あり 正社員以外(契約社員など) 週の労働時間が30時間以上 26人 週の労働時間が20〜30時間未満 週の労働時間が20時間未満 勤続年数 〜2年未満 5人 2年〜3年未満 5人 3年〜4年未満 4人 4年〜5年未満 4人 5年以上 14人 取組みの概要  「障がい者雇用マスタープラン」の策定などにより、障害者雇用への全社的・継続的な取組みを推進し、当事者の意見を積極的に取り入れ、心のこもった、実用性の高いバリアフリー化を着実に推進。また、キャリアアップに向けた取組みなどを充実させ、障害のある社員がモチベーション・やりがいを持って仕事に取り組めるようにしている。 企業の声 鬼頭 芳雄さん(代表取締役社長)  企業ができる最大の社会貢献は雇用機会の創出・維持であり、キトーの特色を活かした社会貢献・地域貢献をしたいと考えていました。そのなかで「全社員が直接的に参加し、誇りが持てるもの」と考えて始めたのが障害者雇用の推進でした。  当初は受入れ職場も障害のある方とどう接したらよいか戸惑い、手探り状態でしたが、いまでは「当たり前のことを普通にやっている」という感覚に変わってきており、隔世の感があります。  しかしながら、健常者の普段の生活に障害のある方が思うように参加できていないこともあり、両者の間にまだ心のバリアが存在しているのも事実です。社会全体が少しずつバリアフリーに近づいていけばよいと思いますし、さまざまな障害のある方が就業機会を得られるように、今後も一歩一歩、職場環境の整備を進めていきたいと思います。  「障害のある社員にも働きやすい環境を」ということが取組みの契機でしたが、当初考えていた以上に、職場の活性化、一体感の醸成、仕事への誇りを持つこと、安全性・生産性の向上につながっており、このような職場づくりがさらに推進されれば、お互いが共存する真の価値につながると思います。今後も、可能な範囲で、地道に継続性を持って取り組んでいきたいと考えています。 人事担当のみなさん 室井 利公さん(経営管理本部人事総務部人事グループ主任)(左) 坂本 美和さん(経営管理本部人事総務部人事グループ)(中央) 村松 裕子さん(経営管理本部人事総務部人事グループ)(右) 社員の声 Yさん【勤続約10年】  いまは機械加工の仕事をしています。  私は発語が比較的明瞭なので、聴こえにくいことを理解されないことがあります。自分の障害について周囲に伝えていましたが、何回聴いても分からない言葉があり、コミュニケーションの難しさを感じていました。しかしいまは、音声認識ソフトや電子メモパッドなどを活用し、スムーズにコミュニケーションが取れています。  キトーは「聴覚障害のある社員を含めた推進委員会」を開催するなど働きやすい職場づくりに力を入れてくれています。いまの自分があるのは、会社の取組み・配慮があってのことだと思いますし、音を聴くことが大事な仕事も信頼して任せてもらっていて、本当に感謝しています。  今後は、いままでの仕事で得た自信を糧にして、機械加工以外の仕事にも挑戦し、「この人にだったら任せられる」と思われるようになりたいです。また、音声認識ソフトなどを使って、大事な情報をきちんと取得し、周りに伝える努力をしながら、グループリーダーを目指したいと思います。  聴覚障害のある方は、相手に気をつかって、わからなくても「はい」と言ってしまうことがあり、重要なことをきちんと伝えられるかがポイントだと思います。同じ立場の人が職場の仲間になったら、コミュニケーションの取り方について、率先して職場の人に伝えていきたいです。「障害があるからできない」わけではなく、努力すればだれにでもできると思うので、そのことが理解されるようになっていけばよいと思います。 株式会社キトー(山梨県中巨摩郡) [改善前の状況] 【生じていた課題】  企業設立当初から障害者雇用は行われていたが、中期的な計画のもと、障害者雇用の拡大を図るために、どのように組織的・継続的な取組みを推進していくかに課題があった。  人事担当者にも障害や福祉を専門的に学習している社員がいなかったため、何から取り組めばよいか、会社として何ができるのか、障害のある方とどう接したらよいかなどがわからない状態だった。 改善策1 1雇用促進 3社内理解促進 5職域拡大 「障がい者雇用マスタープラン」の策定や、「定例会」の開催などにより、障害者雇用への全社的・継続的な取組みを推進。障害のある社員と自然に働ける企業風土の醸成に向けて確実な一歩を踏み出す。 @「障がい者雇用マスタープラン」の策定  平成23年に「障がい者雇用マスタープラン」(5カ年計画)をかかげ、組織的・継続的な取組みを推進。現在は第U期マスタープランの実行中(計画期間:平成28〜33年)。 A障害者雇用に特化した「定例会」の開催  生産現場の全役職者、生産現場を管轄するグループのマネージャー、人事担当者で構成される「定例会」を開催し、全社的に課題の情報共有、解決策の検討を進めている。 B職場実習の実施、従事職務の検討  職務とのマッチングを重視することが大切との考えから、入社前、複数職場で実習を実施。  従事職務は、本人が施設などで経験した仕事とキトーの仕事が一致することは少ないため、「何ができるか」ではなく、「どうしたらできるか」をみんなで考えている。 知的障害のある社員が働く様子  また、新卒者にはキトー以外での実習もしてもらうように依頼し、他社と比較して本当にキトーで働きたいか、本人に考えてもらうようにしている。  さらに、障害の種類や程度だけで難しいと決めつけず、さまざまな仕事にチャレンジしてもらうようにしている。 発達障害のある社員が働く様子  配属も、障害種別にとらわれず、本人の得意なことや職場の状況を考えて、マッチング重視で決定している。 [改善後の効果]  「障がい者雇用マスタープラン」の策定や、定例会の開催などにより、全社的・継続的な取組みが推進されるようになり、雇用が進展。  当初、受け入れた職場は仕事・安全面などを心配していたが、実習受け入れから徐々に慣れていったことが実を結び、「思っていた以上にできることが多い」などの意見が出るようになった。また、さまざまな仕事にチャレンジさせることで、受入れ職場も「この仕事もできる」などの発見、雇用管理ノウハウの蓄積につながっている。  さらに、健常者と障害のある社員が一緒に働いていることで、健常者が障害のある社員に気を配る場面や、自然に接する場面が増えてきている。また、障害のある社員が真面目にこつこつと働いている姿に周囲の者が触発されるなど、お互いの成長にもつながっている。 [改善前の状況] 【生じていた課題】  障害のある社員の安定雇用を実現するため、職場のサポート体制の強化、障害のある社員が安心して働ける環境整備、キャリアアップに向けた取組みなどを行うことが課題だった。 改善策2 2定着促進 6社内サポート体制の整備 8モチベーション向上 9戦力化・能力開発 10キャリアアップ 障害者職業生活相談員による相談体制やキャリアアップに向けた取組みなどを充実させることで、障害のある社員の定着を促進。 @職場のサポート体制の強化  障害者職業生活相談員を大幅に増員し(第T期マスタープラン開始時(平成23年)3人→現在20人)、相談体制を充実させた。 A社内研修会の実施  障害理解のための社内研修会を実施するとともに、社外研修へ参加などの取組みを進めた。 社内研修会の実施例  聴覚障害のある社員が講師となり、社内手話学習会を実施。 B通院休暇制度の導入  休暇取得への配慮として、月1回の通院休暇制度を導入。 Cモチベーション向上を目的とした評価制度の導入  障害のある全社員について、半期ごとに定期面談を実施。  目標設定と評価を行い、その結果を賞与に反映するなどの取組みを行っている。 D資格取得の支援  社内基準を設け、フォークリフト、クレーン、玉掛けなどの資格取得を支援。  社内で取得可能な資格も、必ず外部で受験させ、客観的な視点で安全面などを判断してもらうようにしている。 E正社員登用制度  例えば、聴覚障害のある社員の場合、  @)「聴こえないことをほかの面でプラスに変え、正社員として頑張っていきたい」という本人の意欲  A)仕事の取組み姿勢をふまえた職場からの正社員登用の推薦がある場合、健常者と同じ試験を受けて合格すれば、正社員に登用。 改善後の効果  障害者職業生活相談員の増員による相談体制の充実などにより、障害のある社員が安心して働ける環境整備が進んでいる。  評価制度の導入、資格取得の支援、正社員登用制度により、障害のある社員はモチベーション・やりがいを持って仕事に取り組んでいる。また、できることを確実に増やし、社会人としても成長して、会社の戦力になっている。 社員の声 深澤 遼さん【勤続約7年】  いまは製品を組み立てる前に必要な部品の品揃えなどの仕事をしています。  私は発語の訓練はしてきましたが、相手の言葉はまったく聞こえないので、1対1の簡単な内容のコミュニケーションは何とか可能ですが、会議などの集団でのコミュニケーションにはついていけません。  しかしいまは、音声認識ソフトを導入してもらい、取得できる情報も増え、会議の内容、専門用語、職場で使っている言葉なども理解できるようになり、その情報をもとに、自分で考えて行動できるようになりました。  キトーでは、職場で困ったことや、こんなものがあったらよいという希望を聴いてくれる機会をいただいているので感謝しています。  今後については、仕事面ではグループリーダーを目指して頑張りたいです。  また、キトーのだれもがもっともっと聴覚障害のある社員とのコミュニケーションを深めてほしいと願っています。 株式会社キトー(山梨県中巨摩郡) [改善前の状況] 【生じていた課題】  聴覚障害のある社員が人事グループに参画したことや、特別支援学校(ろう学校)の卒業生が新卒として入社したことが契機となり、聴覚障害のある社員が働きやすい職場環境の整備を進めていくことが急務であると認識することとなった。  「障がい者雇用マスタープラン」に基づき、「聴覚障がい者向けバリアフリー」を具現化する必要があった。  その中で、コミュニケーション面については、主に口話・筆談での伝達で、聴覚障害のある社員には簡潔な内容の伝達にとどまることが多かった。また、会議などの集団場面での情報保障が課題だった。  さらに、職場の安全活動に聴覚障害のある社員も参加しているが、健常者の視点での活動にかたよりがちだった。 改善策3 3社内理解促進 7コミュニケーションの改善・工夫 11就労支援機器 定例会のワーキンググループとして「聴覚障害のある社員を含めた推進委員会」を結成。当事者の意見を積極的に取り入れ、「聴覚障がい者向けバリアフリー」を具現化。 @「聴覚障害のある社員を含めた推進委員会」の結成  平成28年、定例会のワーキンググループとして、「聴覚障がい者向けバリアフリー」の課題解決に特化した「聴覚障害のある社員を含めた推進委員会」を結成。  そこで得られた雇用管理ノウハウを定例会に報告し、全社的な活動推進につなげた。 「聴覚障害のある社員を含めた推進委員会」の活動内容  聴覚障害のある全社員の在籍職場の所属長、正社員として働いている聴覚障害のある社員、人事担当者がメンバー。 @)聴覚障害のある社員からの情報提供 A)聴こえない研修(疑似体験) B)職場での課題の情報共有、改善策の検討  を約1年間実施。 「聴こえない研修」  メンバーが耳栓・イヤマフを付け、工場内を移動。  聴こえないことの不安、健常者が大きく感じている音が聴こえないこと、口型が似た言葉の読話(読取り)の難しさなどを実感。 「聴覚障害のある社員を含めた推進委員会」が行った改善策 @)音声認識ソフト・電子メモパッド  情報保障手段として音声認識ソフト(UDトーク)、筆談用に電子メモパッドを導入。  聴覚障害のある全社員の在籍職場に配備し、会議などで活用。 A)「手話ボード」の設置  聴覚障害のある社員の在籍職場に、簡単な手話表現を記載した「手話ボード」を設置。  また、聴覚障害のある社員が在籍職場で手話講習を行い、健常者も朝礼などで手話を使うよう努めている。 B)「光るチャイム」の設置  受付用カウンターにボタンを設置し、来訪者がそれを押すと、聴覚障害のある社員の近くにある装置が点灯するようにした。 C)腕時計型の屋内信号装置(シルウォッチ)の導入  緊急時の情報保障手段として、始めはパトライトを検討。しかし、聴覚障害のある社員は全員別職場におり、各々が動き回っているため、設置場所の選定が難しかった。  携帯電話の貸与も検討したが、作業中は振動しても気づかないことが多く、本人達の「身に付けるタイプがよい」との意見を取り入れ、シルウォッチにたどり着いた。 A職場の安全活動における取組み  聴覚障害のある社員を小集団のリーダーに任命。当事者の視点での活動も推進。 [改善後の効果]  「聴覚障害のある社員を含めた推進委員会」での活動を通じて、聴覚障害の特性、聴覚障害のある社員の困っていることやサポートが必要なことへの社内理解が進んだ。  また、健常者が「聴こえない研修」などで聴覚障害のある社員の不安を共有したこと、コミュニケーション手段の改善により共有する情報量が増えたことで、聴覚障害のある社員と健常者との相互理解が深まり、聴覚障害のある社員にとって働きやすい環境整備が着実に進展した。 [改善前の状況] 【生じていた課題】  車いす利用者が在籍していないから改善しないという考え方ではなく、車いす利用者を受け入れられるように、会社として施設改善を進めるべきと考えた。  しかし、発案当時は当事者がおらず、具体的な改善点の把握が難しかったため、支援機関担当者(車いす利用者)に協力を求め、実際に社内移動してもらうなどして改善点を明確化し、バリアフリー工事に着手。  工事終了時に車いす利用者の応募があり、採用。  「車いす利用者が不自由なく働ける環境」を目指し、当事者の意見を積極的に取り入れてバリアフリー化をさらに推進しようと考えていた。 改善策4 1雇用促進 2定着促進社 3内理解促進 4職務遂行の改善・工夫 当事者の意見を積極的に取り入れ、実用性の高い「車いす利用者が不自由なく働ける環境」を整備。 @屋根付き駐車場の整備B多目的トイレの整備  メインロードのすぐ近くに駐車場を設置。社員だれもが 車いす利用者などの職場内移動の負担軽減のため、遠くサポートできるようにしている。から使用状況がわかる表示を設置。 A段差の解消、自動ドア化、エレベーターの開閉時間の延長 C食堂の利便性の向上  車いす利用者の専用席を設け、混雑時に席を探す、そのつどいすを動かす負担を軽減。 D車いす利用者の可動域、移動に必要なスペースを考慮したレイアウト変更など [改善後の効果]  障害のある社員が困っていることなどについて、生の声を丁寧に受け止めながら改善を進めたことで、実用性の高い「車いす利用者が不自由なく働ける環境」を実現。  それが、障害の有無にかかわらず、だれもが働きやすい環境づくりにもつながっている。  また、屋根付き駐車場の整備事例などは、施設改善したにとどまらず、全社員が障害者雇用に関心・理解を持つきっかけづくりや、「障害のある社員と自然に共存する」企業風土の形成にもつながっている。 社員の声 中込 信さん【勤続約6年】  いまは経理伝票入力などの仕事をしています。  キトーは「障害の有無にかかわらず、みんなが共存できる会社を作っていく」という考え方で、私も車いす利用者の方などが働きやすい環境づくりのために積極的に意見を出していこうという気持ちになれます。  実際に改善案などを発言しやすい環境であり、働きやすさを追求するパートナーとして、とてもよい会社だと思っています。また、環境改善によって、車いす利用者が自分でできる範囲がどんどん広がってきており、感謝しています。  今後も、さまざまな障害程度の車いす利用者の方が、仕事をしやすくなるためにはどうすればよいかについて、自分自身の知見や経験を蓄積し、環境改善に積極的にたずさわっていければと思います。 優秀賞 株式会社グンリック本社営業所(埼玉県さいたま市) 平成29年度障害者雇用職場改善好事例優秀賞 スマートフォンなどを効果的に活用し、聴覚障害のある社員を大型トラックのドライバーとして多数雇用。 キーワード 1雇用促進 2職務遂行の改善・工夫 3不安の軽減 4コミュニケーションの改善・工夫 5就労支援機器 [事業所の概要]  昭和37年3月、株式会社グンリックの前身である群馬陸送有限会社(群馬県多野郡新町)が設立。昭和62年に岡善運輸株式会社の傘下に参入。平成6年に株式会社グンリックに社名変更。本社営業所のほか東京営業所、那須営業所、高崎営業所、高崎配送センター、太田営業所がある。本社営業所の従業員数は39人。うち10人の障害者を雇用している。 従業員数 154人 [業種および主な事業内容] 運輸業 [障害者雇用の経緯]  ドライバー(大型トラック)の求人募集をしたところ、聴覚障害のある方から応募があった。もともと、障害のある方に向けた求人募集ではなく、応募から面接の設定まで電子メールで行っていたため、面接当日まで、聴覚障害のある方だとはわからなかった。面接時において、本人がドライバーとして勤務することに非常に意欲的だったこと、また、勤務実績も良好であったため、3カ月の試用期間を経て採用することとなった。その後、その方を通じて、ほかの聴覚障害のある方からの応募が続き、現在9人の聴覚障害のあるドライバーを採用するまでに至っている。 [紹介内容] 聴覚障害 【従事作業】  ドライバー(大型トラック) [障害者の雇用形態・勤続年数] 雇用形態 正社員 週の労働時間に変動なし 1人 週の労働時間短縮などの変動あり 7人 正社員以外(契約社員など) 週の労働時間が30時間以上 2人 週の労働時間が20〜30時間未満 週の労働時間が20時間未満 勤続年数 〜2年未満 8人 2年〜3年未満 3年〜4年未満 4年〜5年未満 5年以上 2人 取組みの概要  聴覚障害のある社員を大型トラックのドライバーとして育成し、社員同士のコミュニケーションや顧客対応において、スマートフォン、電子メモパッド、聴覚障害者標識のある名刺などを効果的に活用している。 企業の声 沼田 彰さん(代表取締役)  当初は、聴覚障害のある社員達と焼肉に行って、コミュニケーションを図っていました。いまは恒例行事として年1回、バーベキューをしています。課題もあったのですが、お客様に理解をいただくようになってから、順調に進むようになりました。社員はみんな、真面目で仕事を一生懸命頑張ってくれています。当然のことながら、当社では障害の有無にかかわらず賃金を含めすべてを「平等」に徹底しています。  私は「人を育てる」ことが最も大切だと考えています。採用後、2〜3カ月は先輩のトラックに同乗して仕事を覚えながら会社負担で大型免許を取得してもらいます。聴覚障害者に対応してくれる教習所があるのです。大型トラックのドライバーの仕事は本人たちの誇りになると考えています。社員は会社の宝です。育ってくれるのはとても嬉しく、これからも雇用を拡大していきたいと考えています。 社員の声 石原 友貴さん【勤続約2年】  10トントラックのドライバーとして、3カ所の中継センターを経由しながら、配送業務を行っています。運転することや身体を動かすことが好きなので、この仕事は自分に合うと思って入社しました。仕事上で心配事があれば、すぐに会社に聞くことができるのでとても助かっています。「ホウ・レン・ソウ」ができることは、とても助かります。  いまは、仕事で一人前になることを目標としています。周囲のドライバーさん達に認めてもらえるようにこれからも頑張っていきたいと考えています。 石川 修司さん【勤続約1年】  まだ見習い中で、先輩のトラックに同乗して配送業務を覚えているところです。父親の影響でトラックドライバーになりたいと思っていたところ、友達の紹介で入社することができました。会社が大型免許を取得させてくれるので、とても助かっています。未経験で不安はあるのですが、わからないことは先輩や所長さんが丁寧に教えてくれます。  職場はコミュニケーションをとりやすく、働きやすいです。これからますます成長していきたいと考えています。 現場担当者の声 降旗 昌弘さん(業務営業部部長)  平成26年に初めて聴覚障害のあるドライバーを採用しました。採用にあたって、「ぜひ、力になれるように頑張れ」と社長から指示を受けたのが始まりです。その後、採用を拡大していったのですが、当初は、手探りでのスタートでした。当社は夜勤が多く、大半のドライバーは夕方に営業所を出発し、朝に帰ってきます。せめて出発する前と車庫に帰ってきたときにはコミュニケーションをとろうと思って、本で覚えた手話を使って声をかけています。また、当社では、障害の有無にかかわらず、良くも悪くも「平等」であることを徹底しています。社員全員が、いままで育ってきた環境から、この新しい環境に飛び込んできているので、配慮はしますが特別あつかいはしないようにしています。 岩井 一さん(本社営業所所長)  最初に入社した聴覚障害のある社員が、必要な改善点を意欲的に教えてくれて、当初はそれを一つひとつ対応していきました。運送業はドライバーがいまどこにいるか把握する必要があり、現在はGPSを使って簡単にできるのですが、基本的には電話で「いま終わりました」とか「いまから目的地に向かいます」などの点呼をとります。運送業では目的地や荷物の変更などが、急に現場で発生することがあります。道順、待機場所、積み下ろしの場所などの変更を、聴覚障害のあるドライバーにどう伝えるかが課題でした。いまは、スマートフォンなどを使ってコミュニケーションをとることができますし、障害のある社員が後輩を教えてくれているので、とても助かっています。 株式会社グンリック本社営業所(埼玉県さいたま市) [改善前の状況] 【生じていた課題】  社内に手話を理解できる社員がいなかったため、聴覚障害のある社員の採用にあたって、日々のコミュニケーションをどのようにすればよいかが課題であった。当初は、身振り手振りや筆談により対応していたが、業務の指示内容が確実に本人に伝わっているか不安が生じていた。 改善策1 3不安の軽減 4コミュニケーションの改善・工夫 5就労支援機器 スマートフォンや電子メモパッドを整備し、聴覚障害のあるドライバーとのコミュニケーションを図った。 @スマートフォンの活用  会社用としてスマートフォンを整備し、聴覚障害のあるドライバーが各自所有しているスマートフォンのアプリ(SNS(social networking service))を用いて、日常のコミュニケーション手段とした。  聴覚障害のあるドライバーでSNSのグループをつくり、出勤状況の確認、点呼、体調管理、情報交換を行うこととした。  また、SNSのグループとは別に、管理職とスマートフォンでコミュニケーションをとれるようにし、業務上の課題などがあれば、直接相談できる体制を確立した。 A電子メモパッドの整備  聴覚障害のあるドライバーに電子メモパッドを整備し、営業所内や配送先などでのコミュニケーション手段として筆談ができるようにした。 電子メモパッド スマートフォンを活用して点呼 これから●●へ出発します。20:15 今●●到着です。20:57 了解です。21:04 今荷降ろし終了です。22:30 了解です。気をつけて戻って下さい。所長 22:30 今●●到着です。11:15 了解です。○○ 11:16 これから●●へ出発します。14:24 了解です。安全運転お願いします。部長 14:24 ドライバーが上司に報告 別のドライバーが上司に報告 所長が確認 部長が確認 電子メモパッドで確認 [改善後の効果]  聴覚障害のないドライバーが手話を学ぶ時間が少ない状況の中、スマートフォンを有効に活用することによって社内コミュニケーションが円滑になり、聴覚障害のあるドライバーも含めドライバー全員の負担が大幅に軽減した。  また、聴覚障害のあるドライバーにとっては、自身の状況を管理職に伝達できる環境が整備されたことにより、以前と比較して気軽に体調や悩みをタイムリーに報告できるようになった。会社としても、課題に迅速に対応することができるようになり、結果として業務実績が向上した。 [改善前の状況] 【生じていた課題】  聴覚障害のあるドライバーと、配送先の顧客との間のコミュニケーションに課題があった。  顧客に対し、聴覚障害のあるドライバーが配送を担当していることの理解を得る必要があった。 改善策2 1雇用促進 2職務遂行の改善・工夫 3不安の軽減 聴覚障害のあるドライバーの名刺の裏面に聴覚障害者標識を表示し、初回配送時には幹部が同行して顧客に挨拶することで、顧客の理解を得る。 @聴覚障害者標識を表示した名刺を作成  聴覚障害のあるドライバーは、一見すると障害のあることが分からないため、以前、顧客との間に誤解が生じたことがあった。このため、聴覚障害者標識を表示した名刺を作成し、聴覚障害のあるドライバーの精神的負担の軽減を図った。また、電子メモパッドを携行することとした。聴覚障害のあるドライバーが運転する車両には、聴覚障害者標識の表示を徹底している。 A聴覚障害のあるドライバーの初めての配送時に、幹部が顧客に挨拶  聴覚障害のあるドライバーを採用した当初は、社長や幹部社員が顧客のもとに出向き、聴覚障害のあるドライバーが配送することの理解を得ることに努めた。これにより、顧客は各現場に通知を出して、同社には聴覚障害のあるドライバーがいることを周知してくれた。  現在も聴覚障害のあるドライバーが初めて配送に行くときは幹部が同行し、顧客に挨拶するようにしている。 10トントラックを運転 聴覚障害者標識をトラックに表示 名刺の裏面 出発前の点検 出発前のチェック [改善後の効果]  聴覚障害者標識のある名刺や電子メモパッドは、配送先でのコミュニケーション手段として有効活用されている。また、それらを携行することで、聴覚障害があることを顧客にスムーズに理解してもらうことにも役立っている。  いまは同社に聴覚障害のあるドライバーがいることが広く周知できており、聴覚障害のあるドライバーも安心して業務に専念することができている。現在、同社の障害者雇用は順調に拡大し、職場定着率は90%以上となっている。最近は地方から入社してくる社員もいる。 優秀賞 オリエンタルモーター株式会社 鶴岡カンパニー(山形県鶴岡市) 平成29年度障害者雇用職場改善好事例優秀賞 記憶障害のある高次脳機能障害者に対して、周囲の社員とジョブコーチが協力して、社内の行き先別の携帯用カードや作業マニュアルを作成・活用するなど、効果的な取組みを実施。 キーワード 1定着促進 2職務遂行の改善・工夫 3支援機関との連携 [事業所の概要]  産業用の精密小型モーターおよび制御用電子回路などの開発・製造・販売を行っている。  産業、医療、食品、交通など、さまざまな場面で求められる製品・サービスの品質と対応スピードを進化させ続け、社会や産業の発展に常に関わり続けている。 従業員数 643人 [業種および主な事業内容] 製造業  山形県鶴岡市には、中央・西の2つの事業所があり、精密小型モーターやクーリングファンなどの開発・製造を行っている。 [障害者雇用の経緯]  全社的な取組みとして障害者雇用を促進し、これまで視覚障害、聴覚障害、肢体不自由、内部障害(心臓機能障害、腎臓機能障害)、知的障害、高次脳機能障害のある方を、地元のハローワークから紹介を受け採用した。  障害者の職場定着のために、総務部と配属職場とで協力しながら環境改善を進めている。また、障害者職業センター、ジョブコーチからも協力を得ている。 [紹介内容] 高次脳機能障害 【従事作業】  製品梱包材の準備など [障害者の雇用形態・勤続年数] 雇用形態 正社員 週の労働時間に変動なし 14人 週の労働時間短縮などの変動あり 正社員以外(契約社員など) 週の労働時間が30時間以上 1人 週の労働時間が20〜30時間未満 週の労働時間が20時間未満 勤続年数 〜2年未満 2年〜3年未満 1人 3年〜4年未満 4年〜5年未満 5年以上 14人 取組みの概要  新規雇用した高次脳機能障害者について、従事職務の機械化・外注化で、これまで複数回、就業場所や職務内容が変更となっているが、そのつど、周囲の社員とジョブコーチが協力して支援を行い、10年間雇用継続している。 企業の声 岡島 克之さん(鶴岡カンパニー執行役員社長)  オリエンタルモーターでは、障害者雇用を促進しています。  社員一人ひとりがいきいきと働き続け、活躍を続けることがやりがいとなり、会社の業績向上につながると思っています。  また、障害のある方に気持ちよく働いていただくためには、働きやすい職場環境が必要となります。そのためには、職場のメンバーの協力体制だけでは難しい面もあったため、専門家でもある公的機関の力をお借りして整備してきました。  今後も障害者雇用を継続していくように取り組んでいきます。 社員の声 渡部 有さん【勤続約10年】  仕事については、手順書・表示などわかりやすくなっているため助かっています。  職場のメンバーからも声をかけてもらい、働きやすい環境で楽しくやっています。  入社したころは、モーターの部品を加工する仕事をしており、当時は、加工する部品を用意してもらい、自分があまり職場を動かないようになっていました。  現在は、モーターを梱包する梱包材を準備する仕事を主に行っています。  材料の準備から箱詰めをし、台車に乗せて納品場所まで運ぶという一連の工程を任せてもらっており、とてもやりがいを感じています。  また、新しい仕事にもチャレンジさせてもらっており自分の仕事の幅が広がってきていると思います。 現場担当者の声 三浦 健次さん(総務部 総務課リーダー)  高次脳機能障害のある方の採用については、障害者職業センターにお願いし、ジョブコーチと一緒に打ち合わせをさせていただき、出勤から退勤までの会社生活について移動などのフォローを行ってもらいました。  また、入社後も就業場所や職務内容の変更などのタイミングで、ジョブコーチにそのつどフォローしていただくことができたため、スムーズに仕事ができる環境を維持していくことができました。  会社内の移動については、健常者の方であれば、会社のフロアのレイアウト図を見せて説明できますが、高次脳機能障害のある方の場合、記憶しておくことが難しいため、目的に合わせた指示カードとフロア内の表示を活用し、トレーニングすることで会社内のスムーズな移動ができるようになりました。今後もジョブコーチの力を借りながら働きやすい職場環境を維持していきたいと思います。 相沢 勝さん(鶴岡テクノカンパニー製造部 製造課リーダー)  職場のメンバーは、渡部さんの障害の内容を理解しており、積極的に声をかけてコミュニケーションをとっています。  仕事の面では、主として梱包材の準備をしてもらっていますが、本人の仕事の幅を広げてもらうために、他の業務もスポット的にお願いするようにしています。  本人も仕事の幅が広がることで、さらにやりがいと成長を感じてもらえるのではないかと思っています。 オリエンタルモーター株式会社 鶴岡カンパニー(山形県鶴岡市) [改善前の状況] 【生じていた課題】  従事職務の機械化・外注化で就業場所が数回変更となっているが、記憶障害があるため、そのつど、社内移動支援が必要だった。  また、地図の読取りが難しく、本人が理解しやすい支援方法を探す必要があった。 改善策1 1定着促進 3支援機関との連携 ジョブコーチと協力し、本人が理解しやすい用語を使って移動の手順書を作成。試行錯誤を重ねて、社内の単独移動を可能とする。 ジョブコーチと協力し、次の支援を実施。 @移動の手順書を作成  本人の動線(玄関→更衣室→出勤(ICカード打刻) →仕事場→昼食→トイレなど)にあわせて手順書を作成。 移動の手順書「12時 昼食をとる」 (行先別・本人携帯用カードの1つ)  並行して、食堂に本人の予約席をつくり、動線が最小限になるように配慮。 給茶機 食堂入口 本人の予約席表示 A壁面に行先を表示  曲がり角などの壁面に行先表示を貼付け。 Bジョブコーチと練習  本人・ジョブコーチが手順書・壁面行先表示を見ながら移動練習。  単独移動が可能になってきたら、ジョブコーチは本人の後ろを歩き、戸惑っているときに声かけする形へ徐々に移行。  並行して、同じ職場で働く人にジョブコーチから支援方法・状況を伝達。 C本人が理解しやすい支援方法の探索 @)理解しやすい用語の探索  本人と相談しながら、混乱しない用語、使い慣れていてイメージしやすい用語を探索し、端的に手順書へ反映。 (例) ・「まっすぐ→直進」「止まる→STOP」と書く。 ・「少し、ちょっと」は使用せず、目標物などを端的に書く。 ・同じ通路を通る場合は、同じ文言を使う。 A)手順書などの参照忘れ防止対策  手順書の参照自体を忘れるときがあり、例えば更衣室のロッカーには、ロッカーを開けると色付きの手順書が正面にぶら下がる形とした。  ロッカーの扉を開けると「ぶら下がり型色付き手順書」が貼ってある  また、手順書に「表示に沿って進む」と記入することにより、壁面行先表示の参照忘れを防止した。 B)脳疲労への配慮  脳疲労(※コラム参照)に配慮し、移動練習を実施。  脳疲労の少ない午前中に習得練習をし、次の段階として脳疲労が高まる午後にも移動できるか確認。 [改善後の効果]  ジョブコーチ支援の活用により、本人が理解しやすい支援方法を探索。混乱しない用語を使った手順書の作成、壁面行先表示の貼付け、反復練習を行うことで、社内の単独移動が可能となった。 [改善前の状況] 【生じていた課題】  記憶障害のため新しい仕事を覚えられない、口頭指示のみでは理解できないなどの課題があり、職務内容が変更となった場合、そのつど、きめ細かな作業遂行支援が必要だった。 改善策2 1定着促進 2職務遂行の改善・工夫 3支援機関との連携 職務内容の変更があった際に、そのつど、手順書を作成するなど、きめ細かな支援を行い、雇用継続につなげる。 ジョブコーチと協力し、次の支援を実施。 ●まずは作業動線が最小限になるように配慮。 1日のスケジュール表や手順書を貼っているホワイトボード 本人の作業スペース 作業場所の全景 ●「1日のスケジュール表」を作成し、本人目前のホワイトボードに掲示。 ホワイトボード左側に貼っている「1日のスケジュール表」 仕事場所のホワイトボードの全景 本人がマグネットを移動させて、いまの仕事などを把握。 ●「手順書」を作成し、本人目前のホワイトボードに掲示。 ホワイトボード右側に貼っている「フローチャート式作業手順書」 梱包材運搬用の台車に、本人が見えやすいように「手順書」を貼付け コラム 高次脳機能障害のある方の「脳疲労」について  脳に障害があると、脳の残存している機能が損傷した機能を補うことなどにより、発症前よりも脳に負担がかかっています。  これにより、仕事への集中が求められると、脳がすぐに疲れてしまいます。  この「脳疲労」は、体の疲れと違って、本人が自覚しにくいという特徴があります。  集中力の低下などがみられたときは、仕事を止めて目を閉じる、ストレッチをする、水分補給をするなど、休憩を入れることが有効な対策となります。 [改善後の効果]  ジョブコーチ支援の活用により、本人が理解しやすい支援方法を探索。手順書の作成などを行うことで、単独での作業遂行が可能となった。 優秀賞 株式会社ヒサダ 九州工場(熊本県熊本市) 平成29年度障害者雇用職場改善好事例優秀賞 生産現場で一般労働者と同ラインに聴覚障害のある社員を配置し、本人の意見をふまえて、アラームランプを設置して異常を視覚的に確認できるようにしたり、電子メモパッドで筆談を行うなどの改善を実施。 キーワード 1雇用促進 2定着促進 3職務遂行の改善・工夫 4コミュニケーションの改善・工夫 [事業所の概要]  株式会社ヒサダ(本社工場は愛知県)の九州での生産拠点として、平成26年に操業開始。自動車のドアフレーム、シートの構成部品、座席をスライドさせるレールなどを生産している。 従業員数 54人 [業種および主な事業内容]  製造業 [障害者雇用の経緯]  平成26年の操業開始から、地元の自治体・支援機関を積極的に訪問し、平成27年に聴覚障害者を生産現場で雇用。現在3人の聴覚障害者を雇用しており、今後も重度聴覚障害者の採用を予定している。  [紹介内容] 聴覚障害 【従事作業】  機械加工、検査など [障害者の雇用形態・勤続年数] 雇用形態 正社員 週の労働時間に変動なし 3人 週の労働時間短縮などの変動あり 正社員以外(契約社員など) 週の労働時間が30時間以上 週の労働時間が20〜30時間未満 週の労働時間が20時間未満 勤続年数 〜2年未満 1人 2年〜3年未満 2人 3年〜4年未満 4年〜5年未満 5年以上 取組みの概要  聴覚障害について理解を深め、職場実習から受け入れることで雇用拡大。安全かつ確実に仕事ができるように、「作業要領書」の改善などの「ルールの見える化」を推進し、健常者と聴覚障害のある社員とのコミュニケーション方法も見直し。工場全体の品質の安定や職場内コミュニケーションの活性化にもつなげる。 企業の声 岩田 定之さん(工場長)  職場実習の受入れ前は、プレス工場なので安全面が心配で、本社や工場内からも同様の声が出ていました。また、自動車業界は品質管理が厳しく、きちんと仕事ができるかも不安でした。  しかし、実際受け入れてみると、確認すべきところをきちんと確認しており、心配する必要はなかったといまは感じています。  むしろ、雇用による相乗効果が多く、今後も新たな仕事の受注やライン新設の際は障害のある方が対応可能な職場づくりを念頭に置いて、雇用拡大を図っていきたいです。 社員の声 藤村 信孝さん【勤続約3年】  入社して3年です。当初は同僚とのコミュニケーションに苦労しましたが、自分の作った部品が完成して自動車になるので、いまは仕事をしていて楽しいです。  いまのラインだけではなく、ほかのラインでも仕事ができるように、職務の幅を広げていきたいと思っています。  夏場はサーフィンで気分転換をしています。 上田 祐太さん【勤続約3年】  スピードを求められる仕事なのでたいへんなときもありますが、自動車が好きなので仕事は楽しいです。自分なりに目標を持ってスムーズに仕事をしていきたいです。  また、もっと仕事を頑張って、障害者の仲間が増えればいいと思いますし、自分が作った部品が使われている自動車を購入して乗りたいと思っています。 佐野 隆幸さん【勤続約2年】  始めはコミュニケーションがたいへんでしたが、親切に教えてもらったので、仕事をうまく進めることができました。  生産数が多いときに、どうすれば仕事をスムーズに進めることができるか考えることが楽しいです。  趣味は観光やゴルフです。旅行で京都に行ってみたいです。 現場担当者の声 野 善郎さん(管理課班長)  当初は不安がつきない状態でしたが、入社後は問題なく仕事ができ、ほっとしました。  一番苦労したのは「作業要領書」の改善です。以前から、要領書に書かれていない内容を「だいたい…くらい、こんな感じで」などの曖昧な言葉で伝えていたり、言葉で補足していることが多く、聴覚障害のある社員に正確に伝えるために改善を図りました。  どのように伝えるか試行錯誤したことが、健常者にもより正確に伝えられる結果となり、相乗効果で品質向上につながったのではないかと思います。  また、聴覚障害のある社員は相手の表情なども見てコミュニケーションを取るので、健常者の表情もより豊かになり、職場内コミュニケーションも活発になった印象があります。 森川 徹さん(製造課ライン責任者)  聴覚障害のある方と接するのは初めてで、戸惑いがありました。  始めは筆談やジェスチャーで何とかコミュニケーションを取っていましたが、その中で、長い文だとわかりづらいことがつかめてきました。しかし、いざ短く伝えようとすると難しかったです。  いまでは比較的スムーズにコミュニケーションが取れるようになってきたと思いますし、本人達も、最初は戸惑いが見られましたが、慣れてきて、新しい工程を担当しても理解がスムーズになってきています。  これからも聴覚障害のある社員と一緒に頑張っていきたいと思います。 株式会社ヒサダ 九州工場(熊本県熊本市) [改善前の状況] 【生じていた課題】  先行企業からの助言をふまえ、工場長の方針により聴覚障害のある方の雇用促進と職場定着を目指し、取組みを開始。  まず、地元の支援機関との関係づくりなどを行う必要があり、特に製造ラインでの雇用、重度聴覚障害者の雇用は、グループ企業も含め初めてであったため、まったくの手探りでのスタートだった。 改善策1 1雇用促進 2定着促進 3職務遂行の改善・工夫 九州進出直後から、地元支援機関を積極的に訪問。聴覚障害についての理解を深め、職場実習から受け入れることで雇用拡大に成功。また、「作業要領書」を改善し、聴覚障害のある社員が安全・正確に仕事ができるようにした。 @ハローワークなどから情報収集し、受入れ準備  ハローワーク・先行企業から特別支援学校(ろう学校)を紹介してもらい、現場を見てもらったうえで、まずは実習生を受け入れることにした。  受入れ前はさまざまな支援機関から助言を受け、雇用マニュアルなどで学習。しかし、実際受け入れるまでは、大変という印象がぬぐえず、うまくいくか、けがをしないか、品質は担保できるかなど、不安がつきなかった。 A職場実習の受入れ  現場担当者が教育訓練を行い、人事担当者が不安や困ったことなどの相談を担当するという体制で、初めて聴覚障害のある実習生を受け入れた。平成27年に1人採用。 聴覚障害のある社員の職務 材料 @60t PR機 A60t PR機 B自動溶接機 完成品 聴覚障害のある社員 @ABの順に加工し、検査した良品を箱詰め。  その後、「孤立しないように」との方針で、採用活動を継続し、現在は聴覚障害のある社員を3人雇用している。  それと並行して、現場担当者・人事担当者が障害者職業生活相談員資格認定講習や手話講習を受講し、障害理解を深めた。 B「作業要領書」の改善  自動車業界は「安全・品質の見える化」が求められている。  もともと「作業要領書」はあったが、以前はそこに書かれていない内容を「だいたい…くらい、こんな感じで」などの曖昧な言葉で伝えていたり、言葉で補足していることが多かった。  それでは聴覚障害のある社員には伝わらないため、より細かく作業ポイントを視覚的に明示するなどの改善を行った。 [改善後の効果]  雇用前に、ハローワークや特別支援学校(ろう学校)、就労支援機関などを多数訪問し、障害特性やサポートが必要なことについて理解を深めたうえで、職場実習を経て受け入れたことで、採用、その後の着実な雇用拡大に結び付けることができた。  「作業要領書」の改善により、聴覚障害のある社員が正確に仕事ができるようになった。  また、以前は口頭で補足していた内容を「作業要領書」に明記したことで、「ルールの見える化」が進む。健常者もより正確に仕事ができるようになり、工場全体の品質の安定につながった。  さらに、この「作業要領書」を改善することで、健常者の教育スキルの向上・均質化を図ることができ、現在では、他工場からの見学者も来ている。 [改善前の状況] 【生じていた課題】  聴覚障害のある社員の受入れが進むにつれて、当事者目線からの改善点が明らかとなり、それらを具現化する必要があった。 改善策2 2定着促進 3職務遂行の改善・工夫 4コミュニケーションの改善・工夫 良・不良品、機械の異常を視覚的に確認できるように改善。また、電子メモパッドの活用や、「QCサークル」に参加させるなどで、健常者と聴覚障害のある社員とのコミュニケーションを活性化。 @職務遂行の改善・工夫  安全・品質管理の徹底などのため、「わからないことは、絶対にわからないままにしない」ことだけは厳しく指導。  また、良・不良品の見本、業務予定表を掲示し、視覚的に確認できるようにしている。 Aコミュニケーションの改善・工夫  聴覚障害のある社員は、生産現場で一般労働者と同ラインに配置されているが、コミュニケーションが定着を進めるうえで重要だと考えているため、聴覚障害のある社員も「QCサークル」(職場ごとに月1回、安全性・生産性・品質向上のために会議を実施)に参加させている。  聴覚障害のある社員から職場で支障となっている事情を確認し、話し合い、職場全体で改善に向けて取り組んでいる。  「QCサークル」での聴覚障害のある社員の意見をふまえて、自動溶接機にアラームランプを設置して異常を視覚的に確認できるようにした。  コミュニケーションの手段として、電子メモパッドで筆談を行うなどの改善を実施。  工場内外にチャイム音に連動する青色の回転灯を複数設置。 [改善後の効果]  「QCサークル」などで出された、聴覚障害のある社員の意見を積極的に取り入れて職場改善を行った結果、本人達が安心して確実に仕事ができるようになり、生産性の向上などにつながった。 優秀賞 クオールアシスト株式会社(東京都中央区) 平成29年度障害者雇用職場改善好事例優秀賞 「働けない」から「働ける」に発想を転換し、各地域の関係機関や専門家と連携して、通勤が困難な重度身体障害者などの在宅雇用を積極的に推進。 キーワード 1在宅雇用 2雇用促進 3定着促進 4職務遂行の改善・工夫 5支援機関との連携 6戦力化・能力開発 [事業所の概要]  保険調剤薬局の全国チェーン「クオール株式会社」の特例子会社。親会社のクオール株式会社では、薬剤師が大半を占める薬局などでの雇用拡大が難しかったため、平成20年から重度身体障害のある方を在宅雇用。平成21年には、保険調剤薬局業界初の特例子会社「クオールアシスト株式会社」を設立し、在宅雇用を積極的に推進している。 従業員数 44人 [業種および主な事業内容] サービス業  クオール株式会社・グループ会社の事務代行、データ入力、名刺作成、ポスター・チラシの制作・印刷、Web制作などを実施。 [障害者雇用の経緯]  中央障害者雇用情報センター・先行企業から雇用管理方法を学び、平成21年の特例子会社設立以降、全国で採用活動を展開。現在、北海道から宮崎まで38人の在宅社員が活躍している。 [紹介内容] 肢体不自由 【従事作業】  事務代行、データ入力、名刺作成、ポスター・チラシの制作・印刷、Web制作など [障害者の雇用形態・勤続年数] 雇用形態 正社員 週の労働時間に変動なし 38人 週の労働時間短縮などの変動あり 正社員以外(契約社員など) 週の労働時間が30時間以上 週の労働時間が20〜30時間未満 週の労働時間が20時間未満 勤続年数 〜2年未満 12人 2年〜3年未満 6人 3年〜4年未満 2人 4年〜5年未満 6人 5年以上12人 取組みの概要  各地域の関係機関と連携して、障害の程度や進行などから未就職の方の潜在的なニーズを発掘。作業療法士の助言を受けて雇用環境を整備したり、障害者就業・生活支援センターの定着支援を活用することで、就職困難だった重度身体障害のある方の雇用を長期継続。また、Web会議システムを使った在宅社員間のOJTの実施により、在宅社員を戦力化。 企業の声 青木 英さん(取締役 在宅事業部部長)  「働きたいのに働けない」。重度身体障害のある方の中には「移動困難=通勤困難=就職困難」という現実に直面し、就職をあきらめざるを得ない状況の方もいると思います。  クオールアシストでは、この「働けない」を「働ける」に変える方法として、各地域の関係機関や専門家と連携し、重度身体障害のある方の在宅雇用を積極的に推進しています。  そして、一人ひとりの障害状況などに応じた環境整備を行い、在宅社員が安心して、自信を持って仕事ができるようにしています。在宅雇用は以前から注目されていたものの、実際の雇用事例が少ないのですが、障害のある方が不安にならないような仕組みづくりをすればうまくいくと思います。  情報セキュリティに関しても、在宅社員には「働けない」と思っていたのに「働ける」という思いがあるので、責任感があり、きちんとルールを守っています。対面でないと不安というのは当然の感覚だと思いますが、会社がいかに在宅社員を信頼できるかがポイントだと思います。  在宅雇用への理解が進み、重度身体障害のある方などが職業を通して社会参加できる社会となっていくことを強く願っています。 社員の声 関谷 真一さん【勤続約6年】  通勤による勤務の場合、運転、残業、バリアフリー化されていない所で社員に手伝ってもらう必要がありますが、在宅勤務ではそのようなストレスを感じずに働けます。また、クオールアシストはフレックスタイム制(※)で、通院の日程も確保しやすく、働きやすいです。  いまはイラストデザイングループのリーダーを担当しています。「Illustrator(イラストレーター)」は入社後勉強しましたが、依頼主から「とても綺麗でよかった」などのお褒めの言葉や喜びの声をいただいたときは達成感を感じます。  仕事上気をつけているのは、依頼主の立場で考えて制作することです。自己満足ではだめで、相手あっての仕事なので、常に依頼主がどうしたいかを考え、それを優先させることを心がけています。  今後については、最近冊子の仕事が増えてきたので、「InDesign(インデザイン)」などの勉強もし、技術力を向上させたいです。また、会社からも「必要なときは早目に受診」と指導されていますが、引き続き体調の自己管理を徹底したいです。それと、「私たち」、「会社」、「いま支援してもらっている障害者就業・生活支援センター」の連携関係を継続できればと思っています。 (※)クオールアシストでは、在宅社員が8:00〜22:00の間で1日6〜8時間のシフトを設定することが可能。有給休暇を取らずに通院可能で、積立有休制度もある。 青木 健太さん【勤続約2年】  私は人工呼吸器を使用していて痰の吸引が必要です。また、電動車いすでの移動や、介助者の負担などを考えると「会社に通勤をする」ということが難しいと考えていました。また通勤するだけで相当な体力を使ってしまいますので、慣れた環境である自宅で仕事がしたいと思い在宅勤務を希望しました。  在宅勤務が始まり、実際に仕事をしてみると、キーボードを打つ度にマウススティックがぐらぐら揺れて入力ミスをすることが多く、イライラも疲労も多かったのであまりやる気になれませんでした。会社に相談し作業療法士のアドバイスを受けて、作業環境を改善しました。作業環境を改善したことで、入力ミスも格段に減りました。また、姿勢を固定することで首や肩への負担もかなり減ったと感じます。  今後はホームページの作成ができるようになりたいです。また、私生活面ではボッチャ(※)で全国制覇することを目指しています。 (※)重度脳性まひ者もしくは同程度の四肢重度機能障害者のために考案されたスポーツで、パラリンピックの正式種目 クオールアシスト株式会社(東京都中央区) [改善前の状況] 【生じていた課題】  在宅雇用の進展のため、在宅社員の地元支援機関と連携した採用活動、社員・家族の変化の把握などが重要なポイントと考えたが、そのモデルを構築する必要があった。  また、その後、在宅社員は着実に増えていったものの、従前どおりイラストデザインの能力が高い社員が大半の業務を担当する体制が続いていたため、新人・初心者を教育訓練し、社員全体のスキルアップを図る仕組みづくりが必要となった。 改善策1 1在宅雇用 2雇用促進 3定着促進 5支援機関との連携 6戦力化・能力開発 在宅社員の地元支援機関との連携による人材確保・定着支援のモデルを構築。また、「遠隔(在宅社員間)OJTの師弟関係構築」による人材育成制度を創設し、在宅社員を戦力化。 @支援機関と連携した採用活動  関係機関・自治体の中から、連携可能な機関をさがし、障害者就業・生活支援センターを通じて募集することとした。事前に応募書類を送ってもらい、障害についての知識を学習したうえで、応募者の地元におもむき、会社説明会・面接を実施。応募者の身体機能、疾患の進行、体調などから個別配慮の内容を把握したうえで、採用時に必ず自宅訪問し、環境整備などを実施。  その結果、支援機関との連携事例の第1号となる宮崎県では、現在までに10人の在宅社員を採用している。 A定着促進のための取組み  在宅社員には、「やめない責任感」の重視、特に体調の自己管理と、変化があったときの報告・相談の徹底を指導している。  地元支援機関にも、  @)定期訪問などによる体調確認  A)在宅社員の医療的ケアなどにおける家族の役割が重要なため、家族状況の変化の把握  B)福祉制度の情報提供  C)台風・地震などのトラブル時の連絡  などの協力を求め、早期に業務上のストレス、体調や生活環境の変化などを把握するように努めている。 B全在宅社員のスキルアップに向けた取組み  イラストデザインの能力が高い社員のみが業務を担当する体制から、新人・初心者にも業務を配分することとした。  @)最初は本社が研修  A)研修受講者がスキルアップ。その後Web会議システムを使い在宅社員間でOJTを開始  B)本社がいわゆる「師匠」「弟子」を選び、「遠隔(在宅社員間)OJTの師弟関係構築」による人材育成制度を創設  C)「師匠」が「弟子」に対し、在宅勤務心得、業務、スキルに関する研修を実施  D)当初はOJT終了後、本社がフォローしていたが、いまは「師匠」がOJT修了の判断を行っている。 コラム  在宅社員に、体調の変化があったときにすぐ報告するように伝えているが、本人達は責任感が強く、「重度障害のあるほかの社員に代わってもらうのは申し訳ない」などの気づかいから、悪化するまで報告がない場合もある。  二次障害や褥瘡(じょくそう)(※)は、退職・休職のリスクもあるため、家族にも協力を求め、すぐ報告してもらうように依頼している。 (※)褥瘡(じょくそう):長期にわたって同じ態勢でいた場合、ベッドや車いすの座面などと体の接触部分が血行不全となり、壊死(えし)を起こすもの。 [改善後の効果]  在宅社員の地元支援機関と効果的に連携することで、有能な人材を採用でき、在宅社員と企業が安心して雇用関係を継続できる基盤を形成することができた。また、この基盤を他地域に展開することで、在宅雇用を着実に進展させることができた。  そして、Web会議システムを使った「遠隔(在宅社員間)OJTの師弟関係構築」による人材育成制度を創設することができ、現在イラストデザイングループのリーダーに就任している関谷さんなどの尽力により、初めて在宅勤務する新人やイラスト初心者の不安軽減・スキルアップを図ることができるようになった。これにより、新人などが自信を持って、計画的に仕事にのぞめるようになり、在宅社員全体の業務能力が向上した。  また、「師匠」の業務支援スキルも向上し、高品質の商品の制作が可能となり、対外業務への進出を視野に入れることができるようになった。  さらに、映像を使わない会話のみのWeb会議システムを使用することで、依頼内容の正確な理解・伝達、確認・質問、相手にきちんと伝わる会話やメール作成などのコミュニケーション能力も向上した。これにより、依頼主と在宅社員間の直接交渉が可能となった。なお、入社当初は不明瞭だった発語が聞き取れるまでに改善し、家族との意思疎通がスムーズになった事例もある。 [改善前の状況] 【生じていた課題】  ティルト・リクライニング車いす(※)と、マウススティックを使用する在宅社員について、身体的負担の軽減や二次障害防止のため、パソコン操作時の姿勢を調整する必要があった。 (※)座面と背もたれの角度を調整することができる車いす 改善策2 1在宅雇用 3定着促進 4職務遂行の改善・工夫 5支援機関との連携 作業療法士・家族と連携し、生活介助が必要な重度身体障害のある社員のパソコン操作時の姿勢を調整。社員の自立度、仕事の持続力の向上、家族の負担軽減につなげる。 ●作業療法士・家族と連携した環境整備 環境整備「前」 @車いすの形状上、目線が上を向く。 ・本人が現状を動画撮影。作業療法士に送信し、助言してもらう。 A車いすの形状上、デスクの下に足を入れられない。 ・離れた場所からマウススティック入力。口・顎・首の負担が大きかった。 B車いすの形状にあわせて、キーボードをスタンドにクリップで固定。 ・キーを押すたびに揺れ、マウススティック入力が困難になり時間もかかっていた。 C1台のモニターで2台のPC画面を映す。 ・画面切替時に家族の支援が必要だった。 環境整備「後」 @目線が正面を向く。 ・呼吸に支障がない範囲で、首の下にタオルを敷く。 A顔とキーボードの距離が縮まる。マウススティックも短くなり、操作性が向上。口・顎・首の負担が軽減され、長時間の仕事が可能になった。 ・専用デスクを導入。 Bキーボードの揺れがなくなり、操作性が向上。 ・キーボードをブックスタンドに設置。結束バンド、すのこ、鉄アレイで固定。 ・マウススティックに滑止めシートを掛けて、長くくわえられるようにした。 C独力で画面切替えが可能となり、家族の負担も軽減された。 ・画面共有ソフトを導入。また、同一目線上にキーボード・モニターを設置。 [改善後の効果]  作業療法士・家族と連携した環境整備を行うことにより、マウススティック入力などの正確性が向上。また、身体的負担が軽減されたことで、長時間持続が可能となった。あわせて、独力でできる範囲が広がったことで、家族の負担軽減も図ることができた。 優秀賞 大東コーポレートサービス株式会社(東京都品川区) 平成29年度障害者雇用職場改善好事例優秀賞 オリジナル手話など特性に配慮したさまざまな工夫を行い、戦力として認められる会社を目指す。 キーワード 1定着促進 2社内理解促進 3職務遂行の改善・工夫 4社内サポート体制の整備 5不安の軽減 6コミュニケーションの改善・工夫 7モチベーション向上 8戦力化・能力開発 [事業所の概要]  平成17年に大東建託株式会社の100%出資の子会社として設立され、同年8月に特例子会社として認定された。平成20年に北九州事業所、平成22年に浦安事業所を開設。平成28年に同じ大東建託の子会社である大東ビジネスセンターと合併。全体で64人の障害者を雇用している。  従業員数 318人 [業種および主な事業内容] サービス業 (親会社および関連会社から受託した印刷、事務サービス、看板制作業務など) [障害者雇用の経緯]  設立当初は知的障害者を中心に雇用を進め、平成18年から精神障害者の雇用を開始。平成22年10月に浦安事業所を開設し、身体障害者、特に聴覚障害者を多く雇用した。  現在では手話通訳者を配置し、事業所全体で手話によるコミュニケーションがとれる環境づくりを進めている。 [紹介内容] 聴覚障害 【従事作業】  印刷業務、看板製作業務 [障害者の雇用形態・勤続年数] 雇用形態 正社員 週の労働時間に変動なし 63人 週の労働時間短縮などの変動あり 正社員以外(契約社員など) 週の労働時間が30時間以上 週の労働時間が20〜30時間未満 週の労働時間が20時間未満 1人 勤続年数 〜2年未満 6人 2年〜3年未満 1人 3年〜4年未満 5人 4年〜5年未満 11人 5年以上41人 取組みの概要  手話通訳者の配置、「オリジナル手話」の制作、「聴覚障がい者会議」の定例開催、全社での手話レッスンの導入、職場環境のきめ細かな整備など、特性に配慮したさまざまな工夫を行い、戦力として認められる会社を目指している。 企業の声 酒井 浩一さん(代表取締役社長)  平成28年4月、社員数約100人の大東コーポレートサービス株式会社と社員数約200人の大東ビジネスセンター株式会社が合併しました。大東コーポレートサービス株式会社は生産性を高めており、合併することで目的を一つにできるのではないかという考えがありました。  障害のある社員のための配慮や工夫は、障害のない社員にも役立つと考えています。特例子会社という「特別な会社」としてではなく、いわゆる「普通の会社」になっていくことが目標です。そして、障害のある社員も障害のない社員も、多様な社員が「笑って仕事ができる会社」を目指しています。 村田 洋司さん(コーポレートサービス部 浦安サービス課次長)  障害者雇用に関し、親会社は「特例子会社だけに任せる」というのではなく、親会社単体でも法定雇用率を達成しようという方針であり、実際に上回っています。ほかの企業とはその点が大きく異なると思います。当社は「特例子会社だから…」といって、甘えるような仕事のやり方はできません。営業部を通じて価格交渉し、3社見積もりで負けることも多々あります。親会社から発注をいただけず、他社にとられてしまうこともあるのですが、そういった意味でも「ノーマル」に営業しています。 社員の声 輕部 浩士さん【勤続約7年】  二色機の印刷を担当しています。印刷物を綺麗に仕上げ、お客様のもとに届けることが一番のやりがいです。定例会議ではリーダーとして活動しています。先日はマナー講座を開催しました。仕事を円滑に進めていくため、さまざまな意見交換をしています。 猿渡 幸也さん【勤続約7年】  二色印刷とシルク印刷の材料を整える業務をローテーションで担当しています。材料を丁寧にふいたり、運んだりしています。忙しいときもありますが、これからも一生懸命がんばって、満足のできる仕事をしていきたいと考えています。 池野 文也さん【勤続約7年】  シルク印刷を担当しています。1カ月に4,000〜8,000枚もの受注があり、予定を立て、一枚一枚丁寧に印刷していく点にこの仕事の面白みがあります。また、製作した看板が外に掲示されているのを見るたびに、自分が作ったのだなあと感じ、励みになっています。 前田 晟宏さん【勤続約8年】  封筒の検品、図面製作の補助、封入、荷下ろし、材料の洗浄などを担当しています。入社当初は疲れることもありましたが、いまは、さまざまな仕事を楽しく担当させていただいています。将来はシルク印刷や二色印刷など機械全体をあつかう業務を担当したいと思っています。 現場担当者の声 神山 健一さん(チーフ)  障害のある社員と障害のない社員を含め9人ほどのグループをさまざまな業務にふり分けて業務を進めています。障害の有無に関係なく、特別あつかいしないで「普段どおり」に接することを心がけています。オリジナル手話のおかげで仕事が効率化しました。 山崎 糧さん(チーフ)  現場で混乱が生じないよう、指示は統一するようにしています。相手にどうすれば伝わるのかを考えるようにしています。手話を使うときも、わかったのかわからなかったのかを曖昧にせず、伝え合うことが大切です。 南 憲保さん(手話通訳)  手話通訳を主に担当しています。印刷工程では、聴覚障害のある社員のコミュニケーションがすごく良くなってきました。社員が増加していく中、障害理解を深めながら、聴覚障害のある社員の可能性を追求していきたいと考えています。「指さし接客シート」を作っているところです。 大東コーポレートサービス株式会社(東京都品川区) [改善前の状況] 【生じていた課題】  社内に手話通訳者を配置し、会議などにおける正確なコミュニケーションを図っていたが、手話通訳者が日常業務のすべての場面に立ち会うことができないため、業務上の理解や指示が曖昧になり、ミスが発生していた。 改善策1 2社内理解促進 3職務遂行の改善・工夫 4社内サポート体制の整備 6コミュニケーションの改善・工夫 8戦力化・能力開発 印刷業務に必要な専門用語のほとんどに手話表現がなかったため、「オリジナル手話」をつくり、社内での手話表現統一を図った。 @看板印刷に必要な手話の作成と共有化  看板製作業務に必要な用語を洗い出したところ、32語中27語の手話表現がないことが判明した。そこで、聴覚障害のある社員を中心とした検討会議を実施し、だれでもわかりやすい表現方法の検討を重ね、「オリジナル手話」をつくりあげた。  また、朝礼などの機会を利用して手話教室を行い、印刷用語の手話表現の共有と職場全体の普及定着を図った。これにより、だれでも一通りの手話を使うことができるようになった。 A「手話手帳」を作成し、手話表現を統一  「オリジナル手話」を「手話手帳」という形でとりまとめた。  印刷用語だけでなく、社内でよく使われる用語も収録し、看板作成に必要な手話を写真付きで詳しく解説した。  また、表現上での注意点や、類似表現なども掲載して実践的な内容とした。いつでも参照できる冊子としたことで、手話表現の統一化を進めた。 朝礼時の手話教室 「オリジナル手話」をまとめた 看板印刷のミスである「ヤレ」を防ぐ 専門用語を手話で表現 [改善後の効果]  印刷専門用語の手話が完成し、統一した手話表現の共有を図ることができたことで、業務上の曖昧な表現がなくなり、コミュニケーションをとりやすくなった。  看板印刷のミスである「ヤレ」の割合が半減することとなり、生産性の向上につながった。 [改善前の状況] 【生じていた課題】  聴覚障害のある社員の観点から職場環境についてさまざまな改善を進めていく必要が生じていた。また、聴覚障害のある社員にとっては、会社行事やTQC(Total Quality Control:全社的品質管理)活動に関する内容をおさらいして、内容を理解したり、再確認したりするための場が必要だった。 改善策2 1定着促進 2社内理解促進 4社内サポート体制の整備 5不安の軽減 6コミュニケーションの改善・工夫 7モチベーション向上 8戦力化・能力開発 「聴覚障がい者会議」を定例開催して率直な意見交換の場をつくり、聴覚障害のある社員の観点から社内環境を整備。 定例会議を開催して業務改善  浦安サービス課においては、聴覚障害のある社員が中心となり「聴覚障がい者会議」を月に1回、定例実施することとした。  コミュニケーションという観点だけでなく、聴覚障害者という立場から職場を見直したときにどのような改善点があるか、率直な意見交換ができる場を設定し、定例会議として実施した。  この「聴覚障がい者会議」により、オリジナルの「手話手帳」の開発、災害時用の電光掲示板の設置、作業マニュアルの視覚化などさまざまな改善が実現した。  また、全体会議の場でよく理解できなかった内容についても、この「聴覚障がい者会議」でおさらいすることができ、仕事の効率が上がった。  意見交換を行って、さまざまな改善を図っている。  この「指さし接客シート」は関連会社への接客時におけるコミュニケーションの円滑化を図るために試作した。  重要なキーワードを指さし確認することで、正確なやりとりを目指している。 (TQC活動実施) 「指さし接客シート」(関連会社への提案予定:TQC活動) 「聴覚障がい者会議」を定例で実施 業務上のコミュニケーションを促進 パトランプを設置 [改善後の効果]  浦安サービス課での取組みの成果を受け、全社的に手話を学ぶ機会を増やすことで、聴覚障害に関するさらなる理解促進を図ることを目的として、聴覚障害者を中心に手話通訳者などを含めた検討チームを結成した。  手話レッスンの監修、音声認識ソフトなどの就労支援機器の導入検討、活用事例の見学、機器の試し運用などを実施し、全社での理解促進を進めている。 優秀賞 株式会社スタッフサービス・ビジネスサポート(神奈川県相模原市) 平成29年度障害者雇用職場改善好事例優秀賞 Web会議システムを使用し、コミュニケーションの活性化を図り、疎外感を感じさせない配慮を行うなど、在宅勤務者の声を丁寧に受けとめながら、肢体不自由者や内部障害者、難病患者などの在宅雇用を推進。 キーワード 1在宅雇用 2雇用促進 3定着促進 4労働条件の配慮 5社内サポート体制の整備 6不安の軽減 7コミュニケーションの改善・工夫 [事業所の概要]  人材派遣会社スタッフサービスの特例子会社として、平成12年に設立。当時就職が困難だった腎臓機能障害者20人でスタート。業務内容、勤務時間、健康管理面などの配慮を行い、障害者の能力発揮、雇用拡大につなげてきた。以後、さまざまな障害者を積極的に雇用し、現在、精神障害者84人を含 む545人の障害者を雇用している。 従業員数 592人 [業種および主な事業内容] サービス業  スタッフサービスグループの事務処理サービスなどを実施。 [障害者雇用の経緯] 設立以後、グループの事業拡大にともない各地に事業所を展開してきた。さらなるグループ事業の拡大や法定雇用率の引き上げを見すえ、平成27年に在宅雇用の検討を本格的に開始し、現在、青森から鹿児島まで100人の在宅社員が活躍している。  保健師を配置し健康管理を重視してきた点や、障害特性に合わせた柔軟な勤務時間の設定などが、在宅雇用の環境構築の基盤になっている。 [紹介内容] 肢体不自由、内部障害、難病 【従事作業】  スタッフサービスグループの事務処理サービスなど [障害者の雇用形態・勤続年数] 雇用形態 正社員 週の労働時間に変動なし 387人 週の労働時間短縮などの変動あり 正社員以外(契約社員など) 週の労働時間が30時間以上 158人 週の労働時間が20〜30時間未満 週の労働時間が20時間未満 勤続年数 〜2年未満 154人 2年〜3年未満 63人 3年〜4年未満 34人 4年〜5年未満 24人 5年以上 270人 取組みの概要  ICTの急速な進展、働き方改革などを背景に、在宅雇用を導入し、通勤困難な重度障害者、地方在住の障害者の雇用機会を創出。「チームで働く在宅勤務」の基本コンセプトのもと、在宅雇用の専門部署「クラウドワーク統括部」と、障害のある社員の定着支援の専門部署「定着推進課」、保健師が緊密に連携し、雇用拡大・定着促進を図っている。 企業の声 亀井 宏之さん(代表取締役社長)  平成12年の特例子会社設立以来、多様な障害のある方をさまざまな職種で雇用してきましたが、在宅雇用については実態がよくわからず、導入にふみ切れずにいました。  しかし、昨今のICT、特にWeb会議システムの急速な進展、働き方改革などを背景に、在宅雇用は障害者雇用の新領域として挑戦するにふさわしいものとなり、「通勤困難な重度障害や難病のある方に就労のチャンスを提供する」ということをビジョンに掲げました。  しかし、在宅勤務という働き方はまだ認知されておらず、通勤困難な方は就労をあきらめざるを得ないのが現実です。また、在宅社員のロイヤリティは非常に高いうえに、オフィスと同レベルの情報セキュリティを確保していますが、情報セキュリティなどを課題視され、商談が成立しないことも少なくありません。  働き方改革を真に実現し、障害者雇用を拡大していくためには、在宅勤務という働き方自体の認知を広げていく必要があります。特に地方では、数多くの企業や団体がこの取組みに参画することで、地方創生にもつながると思います。これからも「重度障害のある方の在宅雇用」を世に問うていきたいと思います。 社員の声 高塚 彩さん【勤続約2年】  一人で仕事をしているのですが、同じチームでミーティングがあるので、一人ではない気持ちになれ、私にとっては理想的な働き方だと思っています。  また、同じチームの方が障害のある方なので、普段なかなかできない病気の話などもすることができ、安心感があります。  最初に求人を見たときはすごく不安でしたが、不安を抱えながらも「この求人を受ける!」と決めたときの自分をいまはほめてあげたいと思います。 竹下 伸樹さん【勤続約2年】  通勤による勤務の場合、自分の体を職場に合わせないといけない面があるので、在宅勤務とは体の負担が全然違います。  みんな障害のある方ということで、「今日大丈夫?その仕事私がするので、ペースを落としてもいいよ」などと心配しあえる点もよいと思います。 中尾 健志さん【勤続約2年】  「コミュニケーションが取れる在宅勤務」という言葉を初めて聞き、ほかにないことをしている会社ならチャレンジしたいという気持ちがわきました。  Web会議システムでみんなの顔を見ながら話せるのは、自分のモチベーションに大きく影響していると思います。  会社側でOA研修をしてくれるのもありがたいですし、生活にメリハリがつき、生活リズムもしっかりと整えられるようになりました。 現場担当者の声 岡崎 正洋さん(クラウドワーク統括部 在宅就業統括担当九州エリア推進課マネージャー)  これまで面接する中で、通勤などの課題がクリアできれば活躍できるという方にたくさん会ってきました。特に地方では就職状況が厳しいため、「通勤がなく一人ひとりに合った環境を自ら整えられる」在宅勤務に取り組むことにしました。  在宅勤務では、孤独感の解消が最大の課題と考えていたので、本人と会社が仕事だけでOneWayでつながる形ではなく、Web環境上に職場をつくることを目的に施策を導入しました。  その結果、いまでは100人の在宅社員が活躍しており、在宅社員から「働きたいという気持ちを持ち続けていてよかった」などの声がきこえてきます。  その一方で、在宅勤務という働き方はまだ認知されておらず、「職場が事務所ではないのですね」と商談が成立しないことがあります。  在宅勤務が、障害のある方の働き方の大きな柱になればと願います。そうなれば、障害のある方の働くチャンスがどんどん広がっていき、企業にとっても障害者雇用の新しいチャンネルになると思います。  ただ、自分達だけでは現状を改善できませんので、引き続き雇用拡大に努めつつ、在宅雇用の輪を広げていきたいと考えています。 株式会社スタッフサービス・ビジネスサポート(神奈川県相模原市) [改善前の状況] 【生じていた課題】  障害者雇用の拡大にあたって、平成30年の法定雇用率引き上げなどを見すえ、どのように取組みを進めていくかに課題があった。  昨今のICT、特にWeb会議システムの急速な進展、働き方改革などを背景に、在宅雇用の導入を検討したが、どの地域で、どの程度の事業規模で展開するかなど、まったくの手探りの状態であった。 改善策1 1在宅雇用 2雇用促進 5社内サポート体制の整備 在宅雇用の検討チームの中核メンバーを九州に異動させ、現地スタッフと試行錯誤を重ね、協力を得られる機関を探索。募集用パンフレット・DVDを自主制作するなどの企業努力により、在宅雇用を軌道に乗せる。 @在宅雇用導入までの経緯  3年前、在宅雇用の検討チームを結成し、先行企業の見学、車いす利用の社員による在宅勤務体験などを実施した。  社員の在宅勤務体験談をもとに、「孤独感の解消、チームビルド」を最大の課題と位置づけ、平成27年夏に事業を本格始動。  平成27年10月、検討チームの中核メンバーを神奈川本社から九州の既存事業所に異動させ、現地スタッフと採用活動などを開始することとした。 A採用活動上の試行錯誤  求職者や関係機関に在宅勤務の概念自体が浸透しておらず、採用活動はスタートから困難を極めた。  通勤困難な重度障害や難病のある方を採用するため、全国の関係機関に電話照会したが、なかなか意図を理解してもらえなかった。ハローワークに行くこと自体困難な方などもおり、なかなか応募に結び付かなかった。  また、雇用事例も限られているため、送り出しをためらう機関も少なからずあった。  その中で、協力を得られた機関などを通じて、やっと平成28年1月に第1期生8人を採用することができた。  第1期生採用後は、実際の雇用事例や就労実態、在宅社員の声を盛り込む形で、募集用パンフレットを自主制作し、それを持参して周知活動を実施。  ようやく少しずつ会社の取組みを理解してもらえるようになった。  ただ、スタート時は「チームで働く在宅勤務」(コミュニケーションやチームワーク重視)に合う応募者となかなか出会うことができなかったため、会社が求める対象者像を理解してもらうための募集用DVDを自主制作し、これを交えて関係機関に説明するようにした。 コラム1「チームで働く在宅勤務」の基本コンセプトについて  在宅雇用導入前、就労経験のない社員の定着について、「仕事を覚える前に何とか環境になじんでもらう方法はないか」を検討。障害のある社員との信頼関係の構築、研修・育成などを専門に行う「定着推進課」を本社に新設した。  在宅雇用でも、その基盤を継承。  孤独感の解消やチームビルドを最大の課題と考え、Web環境上に職場をつくることを目的に施策を実施。  在宅社員の「仕事を通じて社会とつながりたい」という強い欲求をいかに実現するか、いかに孤独感を感じさせずに定着してもらうかをメインテーマとし、在宅雇用の専門部署の「クラウドワーク統括部」と「定着推進課」が連携し、サポートをしている。 [改善後の効果]  「チームで働く在宅勤務」の基本コンセプトのもと、着実に在宅雇用を拡大することができている。  福岡において第1期生8人でスタートしたが、募集用パンフレット・DVDによる周知活動も実を結び、2年間で、在宅雇用の拠点は福岡、大阪、仙台、大宮の4拠点に拡大。現在では青森から鹿児島に100人の在宅社員が在籍する状況になった。 [改善前の状況] 【生じていた課題】  「チームで働く在宅勤務」の基本コンセプトのもと、Web環境上に職場をつくり、「孤独感の解消」、「チームビルド」を鍵として、在宅社員に安心して働いてもらうための配慮などを具現化し、定着をうながしていく必要があった。 改善策2 1在宅雇用 3定着促進 4労働条件の配慮 6不安の軽減 7コミュニケーションの改善・工夫 在宅社員の体調や精神面の安定のための環境整備、「孤独感の解消、チームビルド」に主眼を置いた研修の実施などにより、定着を促進。 @在宅社員に安心して働いてもらうための環境整備 @)チーム単位での業務目標の設定  業務ごとにチーム編成し、個人のノルマは設定せず、チーム単位で業務目標をクリアする形としている。 A)Web会議システムの効果的運用  「Web環境上に職場をつくる」形とするため、Web会議システム上で1日3回、メンバー同士の定時ミーティングを実施。仕事にメリハリをつけ、休憩と気分転換もかねてもらうため、打合せ後、雑談ができる時間をもうけている。  仲間との関係ができてくると、重度障害のある在宅社員が多くいるため、お互いの体調を気づかい、助け合って業務を行おうといった話もなされる。 B)在宅社員の生活リズムに合わせた就業時間  9:00〜19:00の間で原則週30時間就業できれば、在宅社員が就業時間を自由に設計できるようにした。  通院、入浴などの生活介助、休憩といった生活スタイルを変えず働けるようにしている。 C)保健師による定期面談  体調の変化を把握しにくいため、Web環境上に「健康管理室」を設置し、保健師が面談を実施。 Aクラウドワーク統括部と定着推進課との連携による研修など @)入社日  在宅社員が直接顔を合わせ、同期同士の関係性を深めることを目的として、「チームビルディング研修」を実施している。 A)入社後1カ月間  定着推進課がWeb会議システムを使用した導入研修を実施している。  そして、入社1カ月後にクラウドワーク統括部のサポートメンバーが自宅を訪問、本人、企業、地元支援機関の3者で振返りを行い、安心感の醸成につなげている。 B)入社2〜3カ月(配属)後  日常的な業務サポートの他、Web会議システム上でのフォローアップミーティング、定期的なレベル別OA研修などが実施されている。 コラム2 Web会議システムを使用した導入研修(入社後1カ月間)  導入研修は、長期間の就業ブランクがある在宅社員もいるため、まずは就労生活のリズムをつくる、1日平均6時間勤務に慣れることに主眼を置いて実施。  また、会話主体のカリキュラムとし、リラックスして話す、自己発信する練習をしてもらう。  入社前、家族や医療関係者とのコミュニケーションが主だった社員が多いため、始めは自信のなさや緊張から下を向いて沈黙しているが、だんだん顔が上がってきて会話できるようになる。  一方で、「社会とつながりたい、社会に貢献したい」という強い気持ちから、いきなり自分の力以上のものを発揮しようとする在宅社員もいるため、「その張り切った大事な気持ちを抑えて、まずは働ける環境づくりから始めましょう」と話している。 [改善後の効果]  各在宅社員が受けている医療的ケア・福祉サービスを考慮した、柔軟な勤務時間の設定、チーム単位で目標設定することによる個人の精神的負担の軽減、保健師による定期面談などのきめ細かな配慮を行うことにより、在宅社員が安心して就労継続できている。  また、Web会議システムを効果的に活用し、クラウドワーク統括部と定着推進課が連携して、コミュニケーションの活性化や「孤独感の解消」、「チームビルド」に主眼を置いた導入研修などを段階的かつ丁寧に行っていることが、在宅社員の定着促進につながっており、体調不良を原因としたやむを得ない者をのぞき、退職者もゼロである。 奨励賞 社会福祉法人北野会(東京都板橋区) 平成29年度障害者雇用職場改善好事例奨励賞 中途視覚障害者の職場復帰に際し、支援機関の活用と就労支援機器の導入により、職種転換と継続雇用を図る。 キーワード 1職場復帰・雇用継続 2社内理解促進 3職務遂行の改善・工夫 4職務創出 5社内サポート体制の整備 6支援機関との連携 7就労支援機器 [事業所の概要]  社会福祉法人北野会は平成14年に法人認可され、平成15年4月「特別養護老人ホームマイライフ徳丸」の事業を開始した。特別養護老人ホーム、グループホームなどの施設サービス、ショートステイ、デイサービスセンター、ヘルパーステーションなどの居宅サービス、地域包括支援センターの受託、居宅介護支援事業などの運営を行っている。 従業員数 116人 [業種および主な事業内容] 医療・福祉業(特別養護老人ホーム) [障害者雇用の経緯]  ショートステイ生活相談員として勤務していた職員が、持病の心臓病が悪化し、心肺停止による低酸素状態の影響により脳にダメージを受け、視覚に障害が残った。  これまでの担当業務の継続が難しい状況となったため、障害者委託訓練、ジョブコーチ支援、就労支援機器の貸出しなどの支援制度を活用。業務の切り出しを行い、新たな担当業務(事務職)で職場復帰することとなった。 [紹介内容] 視覚障害 【従業作業】  事務職(バイタルデータの入力業務など) [障害者の雇用形態・勤続年数] 雇用形態 正社員 週の労働時間に変動なし 週の労働時間短縮などの変動あり 正社員以外(契約社員など) 週の労働時間が30時間以上 3人 週の労働時間が20〜30時間未満 週の労働時間が20時間未満 勤続年数 〜2年未満 1人 2年〜3年未満 3年〜4年未満 4年〜5年未満 5年以上 2人 取組みの概要  中途視覚障害者の職場復帰に際し、外部の支援機関を積極的に活用するとともに、就労支援機器を導入し、対人業務から事務職への職種転換に取り組んだ。在職中に受障した社員の職場復帰についての支援を効果的に行って、継続雇用を実現している。 企業の声 麗 正夫さん(理事長)  「職員は家族」という思いを持って当法人を運営しています。当時は私も含め職員全員が加藤さんのことをとても心配していました。加藤さんの職場復帰にあたっては、「家族」として何としてでも仕事をつくろうと考えていました。周囲の職員の協力が重要だったので、温かく見守ってほしいと朝礼で話をしたのを覚えています。  いま振り返ると、職場復帰に際して準備期間を長くとったのがよかったのではないかと考えています。最も大切なのは職員の理解です。管理者は、本人に合わせすぎた仕事を設定するのではなく、本人が「いてくれて助かる」と周囲が感じる業務を設定してくれました。加藤さんには、これからも無理せず働き続けてもらいたいと考えています。  今年の4月、知的障害のある職員を新たに一人採用しました。当法人は、近隣の障害者支援施設や特別支援学校と連携しており、日頃から障害のある方々の就労の場になっているので、障害のある人が勤務できる土壌は以前からあったのではないかと考えています。 社員の声 加藤 健慈さん【勤続約15年】  視力が低下してしまったときは、本当に辛く絶望的な気持ちでした。毎日どうしたらいいのか、子どもがいるのにどうやって家庭を支えていったらいいのか、という不安もありました。仕事はとても好きだったのですが、以前の職場に戻るのは難しいだろうなと感じていました。3カ月間入院していたのですが、退院後も不安な状態はずっと続いていました。  ひとまず、「退院しました」ということを職場へ報告に行きました。そのとき、周囲の方々に温かく迎えていただき、理事長と施設長は仕事を続けていきたい希望はあるか、と聞いてくれたのです。自分としては、できることがあるなら、もう一度、この職場で働きたいという思いがあったので、その気持ちをお伝えしました。その後、上司がさまざまな手配をしてくれました。訓練を経て、復帰が決まったときに、朝礼で理事長の話を聞いたときはすごくうれしかったのを覚えています。慣れた職場でもう一度、働かせていただいているのは非常にありがたいと感じています。少しでも恩返しをして、役に立ちたいと考えています。 現場担当者の声  崎 悦代さん(管理部係長)  退院してきた加藤さんが職場の自席に座ったときは、感極まる思いでした。職員全員が同じ思いだったと思います。当時の加藤さんは、もう職場に戻ってくることができないかもしれない、と思わざるを得ないほどの状態だったからです。  その後、中小企業向けの障害者雇用フェアに出向いて、障害者職業センターのカウンセラーの方から、支援機関の先生をご紹介いただきました。「まず、パソコンスキルを身につけることがよいのではないか」とご提案いただいたので、まだ、その時点では職務の想定などはできない状態でしたが、訓練を受講してもらうことにしました。そして、加藤さんの復帰に向けスケジューリングしながら、就労支援機器の貸出しや、ジョブコーチ支援を活用しました。支援機関からさまざまなサポートを受けることができたのは、とてもよかったと思っています。  加藤さんはよく仕事をしてくれるので、職員はとても助かっています。加藤さんは業務に集中していることが多いので、声をかけたり、話しかけたりするようにしています。 社会福祉法人北野会(東京都板橋区) [改善前の状況] 【生じていた課題】  事業所には視覚障害のある職員の雇用実績がなく、職場復帰に際し、中途視覚障害に配慮した適切な対応ができるかどうか、体制面で雇用の継続が可能かどうか不確かな状況だった。障害特性をふまえた業務内容の提示、必要な環境整備、心理面のサポートなど、事業所の担当者はどうしてよいかわからず困っていた。 改善策1 1職場復帰・雇用継続 6支援機関との連携 7就労支援機器 職場復帰に必要な訓練を本人に受講してもらい、就労支援機器の貸出制度を活用するなどして、本人の復職準備を進めた。 @支援機関と連携した職場復帰支援  事業所の担当者は自治体が主催する障害者雇用支援フェアに参加し、障害者職業センターのブースで障害者職業カウンセラーに状況を相談した。相談の過程で支援機関(視覚障害者就労生涯学習支援センター)を紹介され、職業訓練(障害者の態様に応じた多様な委託訓練)を本人に受講してもらうことになった。 A職業訓練の受講  訓練では、画面読み上げソフトや画面拡大ソフトを使用して、パソコンスキル(マウスを使用しないキーボード操作など)を習得した。  また、訓練期間中、事業所担当者と本人は視覚障害者就労生涯学習支援センターの卒業生が勤務する事業所を訪問し、見学を行った。  事業所担当者は、この事業所見学で実際の声を聞くことにより、職場環境の整備など本人が復職した後のイメージを描くことができた。   B就労支援機器の貸出制度を利用  事業所では、中央障害者雇用情報センターの就労支援機器の貸出制度を活用し、拡大読書器、画面読み上げソフト、画面拡大ソフトなどを整備した。 事務室での勤務 拡大読書器を使用して事務を担当。バイタルデータの入力業務などを行っている。 [改善後の効果]  視覚障害があっても、パソコンを使用すれば可能な業務が数多くあり、そのためのスキルは支援機関で学ぶことができることがわかった。  また、必要な就労支援機器は一定期間、無料で貸出しを受けることができ、復職後の職場環境を整えることが可能であることがわかった。  「障害があると仕事をすることは難しい」という事業所が持っていたイメージのハードルを下げることができ、「個人の特性」という視点で受け入れることができる環境ができた。 [改善前の状況] 【生じていた課題】  本人は、復職の希望はあるものの、自らの身体の状態と障害を事業所に理解してもらえるかどうか、また、そのうえで、これまで勤務していた事業所において、どのような業務ができるのかがわからず、不安を抱えていた。  また、職場復帰後の業務には、どのようなスキルが必要で、そのスキルをどう習得していけばよいのかもわからず、本人は本当に復職できるのか不安を抱えていた。 改善策2 1職場復帰・雇用継続 2社内理解促進 4職務創出 5社内サポート体制の整備 6支援機関との連携 7就労支援機器 ジョブコーチ支援を効果的に活用して、障害特性をふまえた新たな業務(事務)を設定し、円滑な職場復帰と継続雇用を図る。 @職場復帰後の取組み〜対人業務から事務職へ〜  施設長は各部署の所属長に対し「本人にとっては復職へ向けた業務習得となり、現場にとっては、業務軽減となる、双方にとってプラスになる」と、パソコンを使った業務の提案を呼びかけた。  そして、各部署から提案された業務(事務)について、ジョブコーチから効率的な作業方法の提案などを受け、内容を整えていった。  本人はジョブコーチ支援を受けながら、効果的な機器の操作方法を習得し、新しい業務(事務職)に慣れていった。  また、本人の仕事上の悩みや困っていることをジョブコーチに聞いてもらい、事業所の担当者と連携しながら具体的な解決案へとつなげていった。 A事務職としての業務に習熟  主な業務はバイタルデータの入力と各会議の議事録作成である。  バイタルデータについては、約100人の利用者の体温、血圧、脈拍などのデータを毎日、専用の介護情報のシステムに入力している。従来は手書きのメモをもとに各現場の職員が入力していたため、現場の負担が軽減された。  議事録については、施設内で開催されるすべての会議(各事業や委員会も含め約20会議ある)の議事録作成を担当している。従来は、会議ごとにそれぞれ書記が割り振られていた。議事録を割り振られた職員は議論に集中できず、完成期間やできばえにばらつきがあったが、(従来は完成に2〜3カ月かかることもあった)、本人がすべての会議の議事録を担当することで、課題がすべて改善された。周囲の職員は助かり、いまでは「いなくては困るという人材」となっている。 さまざまなミーティングに出席し、議事録を作成する 職員間の協力体制が深まっていった 紹介 就労支援機器(視覚障害) 拡大読書器および画面読み上げソフトなどを組み合わせて活用することで、書類確認・書類作成などの業務遂行がスムーズに。 ※就労支援機器については、78〜79ページをご覧ください。 [改善後の効果]  本人は新たな業務(事務職)で職場復帰を実現することができ、「障害があっても、自分にできる業務がある」と自信を持つことができるようになった。また、周囲の職員たちが業務提案してくれたことに喜びを感じ、「やらせていただきます」という言葉となって、気持ちを表すことができた。  周囲の職員たちにとっても、業務が軽減されたことに加え、より効果的に業務を進めることができるように連携する場面が増加し、職員間の協力体制の深まりが見られるようになった。 奨励賞 平成29年度障害者雇用職場改善好事例奨励賞 イシダアイテス株式会社(京都府京都市) 障害特性、体調、これまでの経歴を配慮した職務の設定により、重度肢体不自由のある社員の雇用推進や、高次脳機能障害のある社員の職場復帰を推進。 キーワード 1雇用促進 2職場復帰・雇用継続 3社内理解促進 4職務遂行の改善・工夫 5職務の見直し 6配置転換 7不安の軽減 [事業所の概要]  民間初の秤メーカー、株式会社イシダのグループ会社。  工場やスーパーマーケットのバックヤードに設置している秤(はかり)、トレイ包装機、物流・配送センターの表示器などのイシダ製品の京都・滋賀地区での販売・修理を行っている。 従業員数 58人 [業種および主な事業内容] 卸売業・小売業  イシダ製品(商業用計量器)の京都・滋賀の販売代理店・修理事業者。 [障害者雇用の経緯]  平成25年に法定雇用率が引き上げられると決定した後、ハローワークから準備を進めるように助言があり、各種セミナーや企業見学会などへ参加をして、新卒応援ハローワークの紹介で重度肢体不自由者を雇用。同時期に社員が高次脳機能障害を受障。現場の後方支援業務への配置転換、障害特性などに配慮したさまざまな取組みを行うことにより、2人とも現在まで就業継続している。 [紹介内容] 肢体不自由・高次脳機能障害 【従事作業】  一般事務、商業用計量器の修理の後方支援業務など [障害者の雇用形態・勤続年数] 雇用形態 正社員 週の労働時間に変動なし 2人 週の労働時間短縮などの変動あり 正社員以外(契約社員など) 週の労働時間が30時間以上 週の労働時間が20〜30時間未満 週の労働時間が20時間未満 勤続年数 〜2年未満 2年〜3年未満 3年〜4年未満 1人 4年〜5年未満 5年以上 1人 取組みの概要  商業用計量器の販売・修理を行う中小企業において、全社一丸となって環境整備や職務設定を行い、重度肢体不自由者を雇用・育成。また、在職中に高次脳機能障害を受障した社員について、これまで本人がつちかってきた現場経験、顧客・同僚 との信頼関係を活かす形で、現場の後方支援業務に配置転換し、雇用継続。 企業の声 木口 喜直さん(代表取締役社長)  少子高齢化時代を迎える中、現在の雇用情勢を考慮すると、企業が障害のある方の雇用機会をどう活かすかがポイントだと考えています。  障害のある社員が活躍している姿を目の当たりにしていると、障害者雇用を推進することは、今後の日本の労働環境の活性化のためには非常によいと本当に実感しています。  企業に思いやりの心、障害のある方に感謝する心があれば、障害者雇用は進んでいくと思います。  これからも障害のある社員が働きやすい環境づくりに努めていきたいと思います。 社員の声 小出 英登さん【勤続約16年】  病気になったとき、社会人としてはもう無理だと思っていました。  そんな中、会社の人が「まずは体を治すこと」と言ってくれて、待ってくれているということがわかり、いつか働けると思うと、リハビリにも専念できました。  自分ができていると思っていても、周りがフォローしてくれていることもあると思います。それでも「いてくれてありがたい」と言ってくれる人がいて、お客様からも日々元気をもらっています。  みんなが自分を受け入れてくれているのを感じると、やりがいを持って頑張ることができます。  障害を抱えながら頑張っている人はたくさんいると思うし、「できる体があるなら、やらないともったいない」と思います。ここまで環境を整えてくれた会社に感謝しつつ、これからも前に進んでいきたいと思います。 Kさん【勤続約4年】  当初は1人でできる仕事が少なく、体幹機能障害があるので出勤するだけで疲れていました。  いまは通勤にも慣れ、自分で工夫しながら仕事をできるようになってきました。  これからも、仕事を通じて体力・持久力を向上させつつ、頑張っていきたいと思います。 イシダアイテス株式会社(京都府京都市) [改善前の状況] 【生じていた課題】  平成25年に法定雇用率が引き上げられると決定した後、ハローワークから準備を進めるように助言があった。  各種セミナーや企業見学会などへ参加をして、新卒応援ハローワークの紹介でKさんを採用したものの、障害者雇用のノウハウがなかったため、環境整備や職務設定などに最初から取り組む必要があった。 改善策1 1雇用促進 3社内理解促進 4職務遂行の改善・工夫 7不安の軽減 左上肢・体幹機能障害のある社員に、全社的に、職務遂行・体調面への配慮や環境整備を行い、能力発揮につなげる。 @全社一丸となった取組みの推進  「みんなで助けあって何とかしよう、一緒に考えよう」という環境整備が大事だと考え、担当者だけではなく、全社一丸となって進めるようにした。 A企業規模をふまえた職務設定  これまで障害のない社員が行っていた仕事のうち、できることを行うことで、社内コミュニケーションの活性化にもつながると考え、総務部門の一般事務とした。      中小企業では万能プレイヤーが求められることが多いが、障害者雇用に当たり、まず職務分掌や本人の努力目標を明確化し、そのことによって本人が周りから認められる存在となるような仕組みとした。 B左上肢障害への配慮 <電話応対>  左手で受話器を取ると震えが出て、相手の声が聞き取れない。  右手で受話器を取ると、メモが取れない。 ↓  左手を使わず、右手でボタンを押す。  ヘッドフォンで会話し、右手でメモ。 <郵便物封入>  右手のみを動かし、郵便物を封入できるように、補助具を使用。 ※電話応対、郵便物封入における配慮については、「資料・支援ツール(63ページ)をご覧ください。 C疲れやすさへの配慮  疾患の影響で、疲労が蓄積すると作業スピードが遅くなる(パソコンの画面が見づらくなる。耳鳴りがして電話の声が聞き取りづらくなる)。  このため、3時間に1回、10〜15分の休憩を入れる、負担の少ない業務に変更するなどの配慮を実施。 D家族と協力して定着に向けた働きかけ  家族に連絡を取り、本人の悩みや負担に感じていることを早期に把握。  特に入社当初は「仕事ができない」と悩んでいたため、家族と協力して「入社後すぐにすべてできる人はいない」などの励ましの声かけを行った。 [改善後の効果]  全社一丸となって、障害特性に配慮した職務遂行の改善・工夫、体調に配慮した休憩時間の設定などの効果的な取組みを行うことにより、本人が能力を発揮できている。  特に備品管理の仕事は、非常に的確にできており、経理担当者から高い評価を得ている。会社にとって欠かせない人材へ着実に成長しており、日頃から共用ファイルに業務上の留意点をメモ書きして貼り付けておくなど、急な体調不良で本人が休んだ際もほかの社員が対応可能な状態となっていて、同僚からの信頼も厚い。 [改善前の状況] 【生じていた課題】  顧客先での商業用計量器の修理に従事していた社員が、高次脳機能障害を受障し、職務の見直しが必要となった。  高温になる機器、高速で稼働する機器の修理は危険と判断し、社用車の運転も禁止としたが、受障前はすべて外勤だったため、慣れない事務管理業務を最初から覚えていくのも難しかった。  また、本人は、当初配置転換への戸惑いや受障前の業務に従事できないいらだちから、気持ちの整理がなかなかつかず、納得するのに時間がかかり、不安やあせりが募っていた。 改善策2 2職場復帰・雇用継続 3社内理解促進 5職務の見直し 6配置転換 在職中に高次脳機能障害を受障した社員について、経歴を活かした配置転換、障害についての社内理解促進などの取組みを行い、職場復帰・雇用継続につなげる。 @経歴を活かした配置転換  現場経験が豊富で機器の理解度が高いこと、温厚な人柄で後輩から慕われていることを考慮し、現場の後方支援業務に配置転換。 小出さんの仕事内容  お客様から修理依頼の入電(1日約20件)。  業務スケジュールノートに記入。パソコン入力。  現地修理が必要な場合、機器の種類などから、派遣するサービス員を選定。サービス員に持参部品の助言。  サービス員到着までの間、電話でお客様をサポート。復旧の見通しなどを伝え、お客様の不安を軽減。  経験の浅いサービス員に、現地到着後、電話で助言。 A業務スケジュールノートによるミスの防止  業務スケジュールノートに、お客様からの依頼内容、経過を記録し、参照するように本人にうながしている。 B障害についての社内理解促進  受障前と同じように本人に指示し、ミスが発生することがないように、担当課長が「高次脳機能障害入門講座」を受講。部署内で資料を回覧し、障害に配慮したかかわり方などについて理解を深めた。  また、かしこまって本人に確認するのではなく、「今日はどう?忘れてない?」「これはできましたが、これは忘れていました」と、日常業務の中で、お互いが自然と確認し合える環境・関係づくりに努めている。 [改善後の効果]  障害のあるKさんの仕事ぶりにも励まされ、「Kさんが頑張っているのに、自分が頑張れないはずはない!」と気持ちを切り替え、業務スケジュールノートなどの補完手段を活用し、周りの理解・協力を得ながら職務に取り組むことができた。  受障前は、お客様からの修理依頼に「すぐ行きます」と対応してきたが、真の顧客ニーズ(早く直してほしい)を満たす、お客様の気持ちをなおす(修理がミッションだが、基本接客業)というサービスの核心部分に一歩踏み出し、後進の育成や技術の継承の面でも貢献している、と会社から評価されている。 奨励賞 平成29年度障害者雇用職場改善好事例奨励賞 株式会社DTSパレット(東京都中央区) 経営層・社員向け勉強会の開催により、免疫機能障害者についての社内理解を促進し、着実に雇用拡大。免疫機能障害者に偏見なく、協働する社員として自然に接し、十分な能力発揮につなげる。 キーワード 1雇用促進 2定着促進 3社内理解促進 4不安の軽減 [事業所の概要]  システムインテグレーションを主業務としている「株式会社DTS」の特例子会社として、平成23年に設立。設立当初から免疫機能障害者を雇用。現在、免疫機能障害者6人、精神障害者11人、知的障害者5人など、計27人の障害者を雇用している。 従業員数 29人 [業種および主な事業内容] サービス業  印刷業務(オンデマンド印刷、パンフレット作成、名刺作成)、PCオペレーション業務(データ入力・集計)、文書管理業務(保存文書のPDF化)、メール業務(メール仕分け・配送)などを実施。 [障害者雇用の経緯]  親会社のDTSでシステムエンジニアでの採用活動を進めていたが、応募者が少なく、雇用拡大が難しかったため、平成23年に特例子会社設立を決定。設立時6人だった障害者は27人となり、現在は当初1人だった障害者職業生活相談員を10人に増員し、月1回の定期相談を全員に行うなどにより定着促進を図っている。 [紹介内容] 免疫機能障害 【従事作業】  印刷業務、PCオペレーション業務、文書管理業務、メール業務など [障害者の雇用形態・勤続年数] 雇用形態 正社員 週の労働時間に変動なし 20人 週の労働時間短縮などの変動あり 3人 正社員以外(契約社員など) 週の労働時間が30時間以上 4人 週の労働時間が20〜30時間未満 週の労働時間が20時間未満 勤続年数 〜2年未満 9人 2年〜3年未満 2人 3年〜4年未満 7人 4年〜5年未満 3人 5年以上 6人 取組みの概要  偏見への不安などから、障害を非開示で就職している免疫機能障害者が多い中、経営層・社員が勉強会で障害についての理解を深め、必要な配慮を行うことにより、免疫機能障害者が安心して就業継続できている。また、過度な配慮は行わず、「会社員としての接し方」をするといった「ナチュラルサポート」を得られる環境であることが、免疫機能障害者の管理者・障害者職業生活相談員としての活躍につながっている。 企業の声 坂本 孝雄さん(株式会社DTSパレット 代表取締役社長)  免疫機能障害を開示して応募してきた現社員との採用面接の中で、「免疫機能障害のある方は、偏見などから障害を非開示で就職している人が多いこと」、「きちんと健康管理ができていれば、健常者と同等の戦力となり得ること」を知りました。  もともとの企業風土ともマッチし、実際、管理者や障害者職業生活相談員として、特例子会社の設立から現在まで、他の障害のある社員を気づかいながら働いてくれており、会社にとって欠かせない戦力となっています。  DTSパレットでは、社名のとおり、さまざまなカラーを生み出す画材のパレットのイメージにマッチした、さまざまな力を発揮してくれる人材を採用してきました。さまざまな色が混ざり合って、新しい色をつくり、その交わりが大きな力を生み出しています。  いまでは数多くの業務を受託し、DTSグループの1企業として職責を果たすまでに成長することができました。  まだまだ、これに甘んじることなく、会社、一人ひとりの可能性のさらなる拡大を目指して、社員一同、成長を続けていきたいと思います。 社員の声 Aさん【勤続約4年】  免疫機能障害への理解が十分でない会社では、通院の際、上司や同僚達に気をつかいながら休暇申請をしなければなりませんが、DTSパレットでは、有給休暇とは別に、月2回の通院休暇が取得できるため、会社や同僚達の顔色をうかがうことなく通院ができます。  また、同じ免疫の病気でも、それぞれ違った症状が出ることも理解してもらい、常に個々の症状に合った働き方を提案してくれています。  私の場合は、さまざまな合併症を引き起こしてしまうため、現在は週3日勤務のうち1日は在宅勤務とさせてもらうことで、体調悪化を防ぐことができています。  DTSパレットは非常に働きやすい環境で、このような会社が増えていけば、以前の自分のように常に周りの目を気にして生活をしなくても、自分らしく生活できると思います。 Bさん【勤続約3年】  私は血友病Aであり、両足首の出血が頻繁にあります。これに関しては、会社に血液製剤を保管し、緊急の場合は業務中に輸注(血液製剤を点滴によって投与すること)を許可してもらっているので、助かっています。   また、力仕事や長時間の立ち作業もさけるように配慮してもらっています。  さらに、通勤時間が片道1時間30分以上で、両足首にたいへんな負担がかかりますが、週1〜2回の在宅勤務を許可してもらっているので、通勤中の出血のリスクが減り、たいへん助かっています。  DTSパレットのように、障害の重さが理解されにくい内部障害について理解がある企業が増えるとよいと思います。  今後とも、体調の安定を優先しつつ、楽しい人生が送れるように働いていきたいと思います。 株式会社DTSパレット(東京都中央区) [改善前の状況] 【生じていた課題】  親会社のDTSでシステムエンジニアでの障害者採用を進めていたが、応募者が少なく、雇用拡大が難しかったため、平成23年に特例子会社設立を決定。  設立準備中、DTSで免疫機能障害者を採用し、特例子会社の管理職に抜擢することを考えたが、まずは免疫機能障害についての経営層・社員への啓発が必要な状況だった。 改善策1 1雇用促進 3社内理解促進 親会社の全役員、関係社員を対象とした勉強会を開催。免疫機能障害者が安心して働ける環境整備の在り方について、社内コンセンサスの形成を図る。 @経営層への勉強会の実施  親会社の株式会社DTS西田公一社長自らが「障害について知りたい。勉強会をしよう!」と呼びかけ、免疫機能障害のある社員(後藤課長)、ハローワークの雇用指導官、医療機関担当者を講師として、親会社の全役員を対象とした勉強会を実施した。 A社員向け勉強会の実施  「実際一緒に仕事をするのは社員同士。トップが理解しただけでは不十分」との考えから、後藤課長が講師となって、約200人の関係社員を対象とした勉強会を実施した。 B社内報への掲載  社内報に障害などに関する記事掲載をし、社内理解を促進。 [改善後の効果]  勉強会などの社内啓発活動により、経営層から関係社員まで、障害についての正しい理解が促進された。  また、もともとの企業風土と相まって、社員が免疫機能障害のある社員に偏見なく、自然に接しており、免疫機能障害のある社員の十分な能力発揮や雇用拡大につながっている。 社員の声 Cさん【勤続約5年】  免疫機能障害の特性を把握したうえで、障害に対する偏見もなく接してくれるので、過度な制限を受けず、自由に仕事をさせてもらっています。月2回の通院休暇制度があることも、働きやすい要因の1つです。  そして、障害特性や得意なことなどを考えて仕事が割り当てられており、個々人がチャレンジできる企業だと思います。また、研修やOJTなどにより、メンバーへの教育を推進できる企業だと思います。  今後は、自分の視野を広げて、能力を高めつつ、他社員への教育を手助けできるような働き方をしていきたいです。 現場担当者の声 後藤 正善さん(管理部企画課課長)  〜免疫機能障害のある方の理解と受入れについて〜  免疫機能障害のある方は偏見などから障害を非開示で就職していることが多く、免疫機能障害のある方の社会進出のために、当事者として何かできないかと考え転職。就職活動の中、DTSとご縁がありました。  免疫機能障害のある方の中には、障害を理解してもらえないのではないかという不安から、1歩踏み出せなかったり、障害を非開示で就職し、職場で配慮を求められずに離職している人も多くいます。  DTSでは、面接から入社7年目の今日に至るまで、特性への理解以上に過保護な視点で見られたことがなく、全員が「会社員としての接し方」をし、自然体で業務に当たることができています。このように、免疫機能障害のある方が普通に当たり前に働ける環境を広げていくための努力を今後も続けていきたいです。 [改善前の状況] 【生じていた課題】  免疫機能障害についての社内理解促進、雇用拡大とともに、免疫機能障害のある社員が安心して長く働けるための環境整備が必要だった。 改善策2 2定着促進 4不安の軽減 免疫機能障害者が十分に能力を発揮し、安心して就業継続できるように、休暇取得への配慮や定期相談を実施。 @休暇取得への配慮  有給休暇とは別に、月2回の通院休暇の取得を可能とした。 A定期相談などの実施  障害者職業生活相談員による月1回の定期相談を実施。  また、上司からの声かけや、主治医との意見交換を行い、免疫機能障害のある社員と医療機関が緊密な接点を持っているかを日常的に確認している。 [改善後の効果]  休暇取得への配慮や定期相談の実施などにより、免疫機能障害のある社員が適切な治療や助言を受けながら、安心して働くことのできる環境が整備された。  また、DTSパレットでは、部長、課長、リーダー(業務チームの責任者)10人が障害者職業生活相談員の資格を取得しており、このうち6人が免疫機能障害のある社員となっている。みんなそれぞれの職責を果たしており、免疫機能障害のある社員が管理者や障害者職業生活相談員として会社の屋台骨を支えている。 社員の声 Dさん【勤続約2年】  DTSパレットは、通院休暇を月2回取得でき、月1回の定期相談で体調面も話すことができるので、働きやすいです。  また、職場内やグループ会社の方に障害についての理解があり、「障害があるから」といった偏見なく接してくれますし、免疫機能障害のある社員が多いので気軽に相談もできます。  さらに、「免疫機能障害」のイメージだけにとらわれず、本人の意思・やる気を尊重してくれる環境で、本人が納得できるような話し合いもできます。のびのびと仕事ができ、成長できる環境です。  これからも、障害があっても、健常者と同じように働いていきたいと思います。また、「障害者はこんなにも能力・やる気がある」ということをわかってもらえるように働いていきたいと思います。 現場担当者の声 後藤 正善さん(管理部企画課課長)  〜免疫機能障害のある方にとってのナチュラルサポートとは〜  免疫機能障害は、それぞれの症状により生活のしづらさ、働きづらさが異なるため、感染経路や障害等級に関わらず、障害特性に応じた配慮が求められます。  免疫機能障害の感染経路は「職務遂行に関係した障害状況」とは無関係で、本人から言う必要はありません。  もちろん周りから聞いてしまうといったことは絶対にあってはいけません。  私は、「障害について周囲から特別な配慮を受けず、過度に心配されることなく働ける」環境づくりに最も力を入れています。  他社の免疫機能障害者を雇用している企業の担当者の方が、「理解ある無関心が必要」とおっしゃっていましたが、私も同感です。  特性への理解以上の過保護なあつかいをする必要はなく、「特別な配慮をしないことが配慮」すなわち「ナチュラルサポート」が必要であると思います。  こうした考えから、免疫機能障害に対する差別、偏見が起こらないよう、周りに正確かつ丁寧に正しい知識を伝えていく、また万が一、何か課題が生じたとしても、自分達が率先して対処していくことが、免疫機能障害のある方の雇用促進のためには、とても重要だと思っています。 資料・支援ツール 職場改善のために作成した資料・支援ツール 職場改善のために事業所が作成した資料や身体障害・難病のある方などに対して用いた支援ツールなどを、取材先事業所のご了解のもと、掲載しています。職場改善に役立つ実践的な資料ですので、是非、参考にしてください。 資料・支援ツールリスト 株式会社キトー @車いす利用者が不自由なく働ける環境整備 A聴覚障害者向けバリアフリー 株式会社ヒサダ 九州工場 @聴覚障害のある社員の職務 Aコミュニケーション(筆談)方法の検討 大東コーポレートサービス株式会社 @「手話手帳」 A「障がいを理解するためのハンドブック」 株式会社スタッフサービス・ビジネスサポート 「在宅勤務事業のご案内」 イシダアイテス株式会社 @電話応対、郵便物封入における配慮 A業務スケジュールノート 株式会社DTSパレット 社内勉強会資料「免疫機能障害について」 株式会社キトー @車いす利用者が不自由なく働ける環境整備 メインロード横に屋根付き駐車場(2台分)を整備 別棟に2台分整備 正面玄関横の車いす利用者用駐車場 お客様用駐車場 スロープ 段差の解消 自動ドア・スロープの設置 食堂につながる屋根付きスロープ 自動ドア化 以前、壁であった場所を工事し、自動ドア・スロープを設置 多目的トイレ1 多目的トイレ2 多目的トイレ3 多目的トイレ4 来訪者が使用するトイレには、オストメイト対応設備を設置 車いす利用者の採用にあたり、配属先のフロアに近いトイレを多目的トイレに改修した。 職場から離れたトイレに非常呼出ボタンを設置 車いす利用者の可動域を考慮して、社内メール便BOXの上2段を未使用とした。 株式会社キトー A聴覚障害者向けバリアフリー 安全ミーティング カウンター業務 作業説明 聴覚障害のある社員への情報保障手段として、音声認識ソフトを導入 聴覚障害のある全社員の在籍職場に配備し、朝礼や会議などで活用 聴覚障害のある社員も、入力することで参加可能 電子メモパッドで筆談 聴覚障害のある社員の在籍職場に、簡単な手話表現を記載した「手話ボード」を設置 株式会社キトー 「光るチャイム」の設置。受付用カウンターにボタンを設置。 来訪者がボタンを押すと、聴覚障害のある社員の席の「光るチャイム」が点灯 呼び出しボタン タイマーを利用し、休憩時間などに光るように設定している職場もある。 腕時計型の屋内信号装置(シルウォッチ)の導入研修 腕時計型の屋内信号装置には、「火災、地震、放送、チャイム、所属長からの呼出」の5種類が表示されるようになっている。 これにより、一人でトイレなどにいても異常などを認識可能。 表示内容はかぎられているが、異常などを認識したら、@本人が周りに聴く、A周りが本人に伝える、とお互いが動いて情報伝達するようにしている。 株式会社ヒサダ 九州工場 @聴覚障害のある社員の職務 材料 @60t PR機 A60t PR機 B自動溶接機 完成品 聴覚障害のある社員 ・材料を取る ・@→A→Bの順に加工 ・検査した良品を箱詰めを繰り返す。 B(自動溶接機)の工程は、溶接終了まで数秒かかるため、B(自動溶接機)を起動後、すぐ@の工程に進み、再びB(自動溶接機)の工程に進んだときに、完成品を取る形にしている。 自動溶接機 B(自動溶接機)は、セット不良・設備異常などが発生すると、アラーム音が鳴って設備が停止する。 →聴覚障害のある社員はアラーム音に気づけず、生産性、本人のモチベーションの低下につながっていた。 →聴覚障害のある社員の意見を取り入れ、B(自動溶接機)の両側にアラームランプを設置。 正常時は青、異常時は赤ランプが点灯。 →聴覚障害のある社員が異常に気づき、迅速な対応が可能となった。 株式会社ヒサダ 九州工場 Aコミュニケーション(筆談)方法の検討 ★ホワイトボード →【利点と課題】多くの情報を書けるが、持ち運びにくい。 ★砂鉄を利用した筆談ボード →【利点と課題】持ち運び可能だが、文字が太くなり、書ける情報量が限られる。また図を描きにくい。 ★通常のノート→製造ラインのため、汚れ・破損が発生。 ★アクションカード  →聴覚障害のある社員が、カードを指差して、意思表示するツールとして「アクションカード」を作成。  しかし、指導者が簡単な手話表現を覚え、不要になった。 ↓ 電子メモパッドにたどり着く。 鉛筆のように、言葉で表現しにくい詳細図も書ける。 文字の消去が容易で、持運びも可能。 磁石付きで、工場内の設置が容易。 大東コーポレートサービス株式会社 @「手話手帳」 大東コーポレートサービス株式会社 A「障がいを理解するためのハンドブック」 株式会社スタッフサービス・ビジネスサポート株式会社スタッフサービス・ビジネスサポート 「在宅勤務事業のご案内」 イシダアイテス株式会社 @電話応対、郵便物封入における配慮 左上肢障害への配慮 <電話応対> 左手で受話器を取ると震えが出て、相手の声が聞き取れない。    右手で受話器を取ると、メモが取れない。 ↓ 左手を使わず、右手でボタンを押す。 ヘッドフォンで会話し、右手でメモ。 <郵便物封入> @封筒と、両端を折った厚紙を用意。 A封筒に厚紙を入れる。 B厚紙の上から、書類を入れる。 C厚紙を抜く。    A業務スケジュールノート 業務スケジュールノート 高次脳機能障害によるミスを防止するため、本人に、お客様からの依頼内容、経過を記録し、参照するようにうながしている。 株式会社DTSパレット 社内勉強会資料 「免疫機能障害について」 応募いただいた事業所  平成29年度の障害者雇用職場改善好事例募集において、全国75事業所からご応募をいただきました。 事業所名 都道府県 1 キャリアフィット株式会社 北海道 2 株式会社グロウスタッフ 北海道 3 株式会社ほくでんアソシエ 北海道 4 日本原燃株式会社 青森 5 アツギ東北株式会社 盛岡工場 岩手 6 イオンリテール株式会社 東北カンパニー 宮城 7 株式会社秋田温泉さとみ 秋田 8 オリエンタルモーター株式会社 鶴岡カンパニー 山形 9 社会福祉法人すこやか福祉会 福島 10 富士通アイソテック株式会社 福島 11 社会福祉法人自立奉仕会 茨城 12 社会福祉法人足利むつみ会 セルプ絆 栃木 13 ヘイコーパック株式会社 栃木 14 株式会社アムコ 群馬 15 株式会社グンリック 本社営業所 埼玉 16 社会福祉法人あかね ワークアイ・船橋 千葉 17 障害者支援施設 光洋苑 千葉 18 UTハートフル株式会社 千葉 19 ALSOKビジネスサポート株式会社 東京 20 社会福祉法人北野会 東京 21 クオールアシスト株式会社 東京 22 株式会社JALサンライト 東京 23 ジョブサポートパワー株式会社 東京 24 大東コーポレートサービス株式会社 東京 25 大和ライフプラス株式会社 東京 26 株式会社DTSパレット 東京 27 東京海上日動あんしん生命保険株式会社 東京 28 株式会社ミュゼプラチナム 東京 29 NRIみらい株式会社 神奈川 30 株式会社スタッフサービス・ビジネスサポート 神奈川 31 富士ソフト企画株式会社 神奈川 32 大島電気株式会社 新潟 33 国際電気テクノサービス株式会社 富山事業所 富山 34 ホシザキ北信越株式会社 石川 35 医療法人さくら千寿会 さくら千寿病院 福井 36 株式会社キトー 山梨 37 エプソンアヴァシス株式会社 長野 38 谷口醸造株式会社 長野 事業所名 都道府県 39 社会福祉法人杉和会 岐阜 40 静清信用金庫 静岡 41 一般財団法人港湾空港総合技術センター 中部支部 愛知 42 社会福祉法人さわらび会 障害者支援施設 珠藻荘 愛知 43 豊通オフィスサービス株式会社 愛知 44 パナソニックアソシエイツ滋賀株式会社 滋賀 45 イシダアイテス株式会社 京都 46 株式会社ウイルハーツ 大阪 47 シャープ特選工業株式会社 大阪 48 パナソニックエコシステムズ共栄株式会社 大阪 49 フジアルテスタッフサポートセンター株式会社 大阪 50 株式会社日本ビジネスデータープロセシングセンター 兵庫 51 株式会社ベル・エキプ 兵庫 52 ウインナック株式会社 和歌山 53 学校法人鳥取家政学園 鳥取敬愛高等学校 鳥取 54 株式会社ザグザグ 岡山 55 深川医療器株式会社 広島 56 株式会社広島情報シンフォニー 広島 57 株式会社カワトT.P.C.山口 58 株式会社齋藤鉄工所 徳島 59 有限会社A・Mプランニング 香川 60 社会福祉法人守里会 香川 61 独立行政法人国立病院機構 愛媛医療センター 愛媛 62 株式会社土佐御苑 高知 63 エフコープ生活協同組合 福岡 64 日鉄住金物流八幡株式会社 福岡 65 安川マニュファクチャリング株式会社 ロボットカンパニー 福岡 66 NPO法人市民生活支援センター ふくしの家 佐賀 67 有限会社永沼工業 長崎 68 株式会社ヤマサキ 長崎 69 株式会社ヒサダ 九州工場 熊本 70 社会福祉法人リデルライトホーム ユーカリ苑デイサービスセンター 熊本 71 株式会社リフライ 大分 72 国立大学法人宮崎大学 宮崎 73 有限会社リバティ リバティ宮崎デイサービスセンター 宮崎 74 南国警備株式会社 鹿児島 75 クオリサイトテクノロジーズ株式会社 沖縄 応募状況 1.都道府県別応募数 都道府県 計 北海道 3 青森 1 岩手 1 宮城 1 秋田 1 山形 1 福島 2 茨城 1 栃木 2 群馬 1 埼玉 1 千葉 3 東京 10 神奈川 3 新潟 1 富山 1 石川 1 福井 1 山梨 1 長野 2 岐阜 1 静岡 1 愛知 3 三重 0 滋賀 1 京都 1 大阪 4 兵庫 2 奈良 0 和歌山 1 鳥取 1 島根 0 岡山 1 広島 2 山口 1 徳島 1 香川 2 愛媛 1 高知 1 福岡 3 佐賀 1 長崎 2 熊本 2 大分 1 宮崎 2 鹿児島 1 沖縄 1 合計 75 2.障害別応募数 障害別 計 視覚障害 23 聴覚障害 17 肢体不自由 21 内部障害 3 難病 2 高次脳機能障害 7 若年性認知症 0 その他 2 合計 75 3.募集部門別応募数 事業所規模計 一般事業所(中小企業)部門 30 一般事業所(その他)部門 25 特例子会社部門 20 合計 75 4.企業規模別応募数 事業所規模 計 1,000人以上 12 500人〜1,000人未満 6 300人〜500人未満 9 100人〜300人未満 20 50人〜100人未満 17 50人未満 11 合計 75 5.産業別応募数 業種 計 建設業 1 総合工事 1 製造業 18 食料品製造業 1 繊維工業 1 パルプ・紙・紙加工品製造業 1 印刷・同関連業 1 金属製品製造業 1 生産用機械器具製造業 1 電子部品・デバイス・電子回路製造業 2 電気機械器具製造業 1 情報通信機械器具製造業 1 輸送用機械器具製造業 4 その他の製造業 4 情報通信業 4 情報サービス業 4 運輸業、郵便業 3 道路貨物運送業 1 倉庫業 1 運輸に附帯するサービス業 1 卸売業、小売業 6 その他の卸売業 1 各種商品小売業 3 機械器具小売業 2 金融業、保険業 2 協同組織金融業 1 保険業 1 学術研究、専門・技術サービス 1 学術・開発研究機関 1 宿泊業、飲食サービス業 2 宿泊業 2 生活関連サービス業、娯楽業 1 洗濯・理容・美容・浴場業 1 教育、学習支援業 2 学校教育 2 医療・福祉 16 医療業 2 社会保険・社会福祉・介護事業 14 サービス業(他に分類されないもの) 19 職業紹介・労働者派遣業 1 その他の事業サービス業 18 合計 75 平成29年度障害者雇用職場改善好事例募集要項 1 趣旨  障害者雇用において雇用管理、雇用環境等を改善・工夫し、様々な取組を行っている事業所の中から、他の事業所のモデルとなる好事例を募集し、これを広く一般に周知することにより、事業所における障害者の雇用促進と職域の拡大及び職場定着の促進を図るとともに、事業主の自主的な取組の支援と障害者雇用に関する理解の向上に資することを目的としています。 2 主催  独立行政法人高齢・障害・求職者雇用支援機構 3 後援  厚生労働省 4 募集部門 (1)一般事業所部門  ア 中小企業部門(常用雇用労働者数300人以下の中小企業)  イ その他部門(上記以外) (2)特例子会社部門  ※ 上記1の本事業の趣旨や、障害者雇用のより一層の進展のためには中小企業への支援が重要であることから、特に中小企業で雇用を進める上で参考となる取組を幅広く募集することを目的として、中小企業部門を設けます。また、特例子会社については、その設立趣旨に鑑み、特に他の企業のモデルとなる先進的な事例を募集します。 5 募集テーマ  「身体障害、難病のある方などの雇用促進・職場定着に取り組んだ職場改善好事例」 ※ 最近のICTの進展により障害のある方の職業的自立の可能性が高まっていることなどを踏まえ、平成29年度においては、就労支援機器を活用した視覚障害や聴覚障害のある方の職場改善事例や、ICTを活用した重度身体障害のある方の在宅雇用の事例など、肢体不自由や内部障害などの身体障害のある方の事例を募集します。また、難病、高次脳機能障害(記憶障害や注意障害、失語症など)、若年性認知症のある方の事例も募集します。 ※ 平成29年度は、知的障害、発達障害、精神障害のある方の事例は募集しておりませんのでご留意ください。 6 募集事例  視覚障害、聴覚障害、肢体不自由や内部障害などの身体障害、難病、高次脳機能障害、若年性認知症のある方(以下「対象者」といいます。)の雇用促進・職場定着等に取り組んだ、次に掲げる職場改善好事例を募集します。 (1)就労支援機器等を活用して視覚障害や聴覚障害のある方の雇用促進・職場定着に取り組んだ事例 (2)ICTを活用した在宅雇用により、重度身体障害のある方の雇用促進・職場定着に取り組んだ事例 (3)職務の見直しなどの環境改善を行い、対象者の職場復帰や雇用継続に取り組んだ事例 (4)通勤、職場内の移動、コミュニケーション、情報保障、健康管理、安全管理面での配慮を行い、対象者が安心して仕事に取り組めるようにした事例 (5)対象者の能力開発やキャリアアップ、加齢に伴う課題に対応した事例 (6)その他、対象者の障害特性や職場の状況に応じて、支援機関(※)と効果的に連携し、社内理解の促進や相談体制の整備、職場のサポート体制の整備、職務の見直しや職域拡大などを行い、対象者の十分な能力発揮や障害者の雇用拡大につなげた事例   ※ ここでいう「支援機関」とは、ハローワーク、地域障害者職業センター、障害者就業・生活支援センターのほか、専門医療機関、産業医、心理カウンセラー、特別支援学校(専攻科を含む)や大学、歩行・点字・単身生活の訓練・支援機関、当事者団体、難病相談・支援センター、高次脳機能障害支援拠点機関(リハビリテーションセンターや病院等)、職業能力開発機関、障害者ITサポートセンター、施設のバリアフリー化に係る専門家などを含みます。 7 募集期間  平成29年4月1日(土)から5月24日(水)〔必着〕まで 8 応募資格 (1)上記6に記載の障害者を雇用している事業所 (2)労働関係法令に関し重大な違反がないこと及びその他の法令上又は社会通念上、表彰するにふさわしくないと判断される問題を起こしていないこと。 (3)応募事業所において障害者雇用に関する支援・コンサルティングを主たる営業品目としていないこと、かつ自企業グループ内に障害者雇用に関する支援・コンサルティングを主たる営業品目とする企業がないこと。 9 応募方法  同封の応募用紙にご記入の上、下記の送付先あて、郵送または電子メールでご提出ください。応募用紙は、当機構ホームページからダウンロード可能です。 <応募用紙の送付先・お問合せ先> 独立行政法人高齢・障害・求職者雇用支援機構 雇用開発推進部 雇用開発課 〒261-0014 千葉県千葉市美浜区若葉3-1-3 TEL 043-297-9515 FAX 043-297-9547 メールアドレス manual@jeed.go.jp <応募に当たっての留意事項> (1)応募の際、事例の対象となる障害のある方の承諾を得てください。また、障害のある方の氏名の表記は、イニシャルを用いるなど、匿名にしてください。 (2)応募用紙の「改善前の状況、改善内容、改善後の効果」欄には、「対象者の障害特性や職場の状況と、これらに対応した改善内容」の関係性が分かるようにご記入いただきますようお願いします。 (3)前年度に入賞した事業所については、前年度と同様の改善事例、または改善内容の一部を変更した事例による応募は認めないこととし、新たな改善事例のみ受け付けることとします。 10 審査 (1)独立行政法人高齢・障害・求職者雇用支援機構に審査員会を設置し、応募事例について審査します。 (2)一般事業所部門(中小企業部門、その他部門)、特例子会社部門の全応募事例の中で最も優秀な事例に最優秀賞(厚生労働大臣賞・1編)を授与します。   また、その他の優秀事例に、優秀賞(独立行政法人高齢・障害・求職者雇用支援機構理事長賞・若干編)、奨励賞(独立行政法人高齢・障害・求職者雇用支援機構理事長賞・若干編)を募集部門ごとに授与します。   なお、審査において同程度の評価を受けた応募事例があった場合は、過去に受賞歴のない企業を優先的に選定します。 (3)審査結果は、9月上旬までに文書にて事業所に直接通知します。 11 表彰  最優秀賞及び優秀賞の表彰式は、平成29年9月に東京都内で開催する予定です。 12 留意事項 (1)応募した文書の著作権及びこれに付随する一切の権利は、当機構に帰属するものとします。 (2)応募書類は返却いたしません。 (3)入賞事例については、当機構職員が事業所への取材を行い、事業所名、担当者名、具体的な取組内容を「障害者雇用職場改善好事例集」として取りまとめ、事業所、関係機関、関係団体等に配付するとともに、当機構ホームページに掲載いたします。なお、この場合、障害のある方の氏名、写真の掲載等については、本人の同意が得られた範囲で行います。  また、応募事例についても、「障害者雇用職場改善好事例集」に事業所名、所在する都道府県名を掲載いたします。 (4)応募に際していただいた個人情報は、当機構が管理し、本事業の実施運営、障害者雇用の普及・啓発に関するご案内のみに使用します。 【審査員の構成】 審査員名 所属 役職 倉本 義則京都女子大学 発達教育学部児童学科 教授 石渡 和実東洋英和女学院大学大学院 人間科学研究科 教授 遠藤 和夫一般社団法人日本経済団体連合会 労働政策本部 副本部長 清家 政江社会福祉法人JHC板橋会 障害者就業・生活支援センター ワーキング・トライ センター長 田中  歩厚生労働省職業安定局雇用開発部 障害者雇用対策課地域就労支援室 室長 藤井 伸章独立行政法人高齢・障害・求職者雇用支援機構 雇用開発推進担当理事 (敬称略、所属及び役職は平成29年4月1日現在) 障害者雇用を支援する施策 障害者雇用納付金制度 障害者雇用納付金制度とは  障害者を雇用するには、作業施設や設備の改善、職場環境の整備、特別の雇用管理等が必要とされることが多く、経済的負担が伴うことから、雇用義務を履行している事業主と履行していない事業主とではその経済的負担に差が生じることとなります。  障害者雇用納付金制度は、身体障害者、知的障害者及び精神障害者を雇用することは事業主が共同して果たしていくべき責任であるとの社会連帯責任の理念に立って、事業主間の障害者雇用に伴う経済的負担の調整を図るとともに、障害者を雇用する事業主に対して助成、援助を行うことにより、障害者の雇用の促進と職業の安定を図るため「障害者の雇用の促進等に関する法律」に基づき設けられた制度です。 障害者雇用納付金制度の概要 障害者雇用納付金の徴収 1人当たり月額50,000円(注) ○常用雇用労働者の総数が100人を超える事業主は、 ●毎年度、納付金の申告が必要 ●法定障害者雇用率を達成している場合も申告が必要 ●法定雇用障害者数を下回っている場合は、申告とともに納付金の納付が必要 独立行政法人高齢・障害・求職者雇用支援機構 障害者雇用調整金の支給 1人当たり月額27,000円 ●常用雇用労働者の総数が100人を超えており、雇用障害者数が法定雇用障害者数を超えている事業主に対し、申請に基づき支給 報奨金の支給 1人当たり月額21,000円 ●常用雇用労働者の総数が100人以下で、雇用障害者数が一定数を超えている事業主に対し、申請に基づき支給 在宅就業障害者特例調整金の支給 ●在宅就業障害者に仕事を発注した納付金申告事業主に対し、支払った業務の対価に応じた額を、申請に基づき支給 在宅就業障害者特例報奨金の支給 ●在宅就業障害者に仕事を発注した報奨金申請対象事業主に対し、支払った業務の対価に応じた額を、申請に基づき支給 各種助成金の支給 ●障害者を雇い入れたり、雇用を継続するために職場環境の整備等を行う事業主に対し、申請に基づき費用の一部を助成 法定雇用障害者数を下回っている事業主 法定雇用障害者数を超えている事業主 法定雇用障害者数 納付金 雇用している身体、知的、精神障害者の数 調整金 常用雇用労働者の総数が100人を超える事業主 (注)常用雇用労働者の総数が100人を超え200人以下の事業主は、平成32年3月31日までの納付金の減額特例が適用されいます。 1人当たり月額「50,000円」が「40,000」に減額されまうす。 (納付金の額=(法定雇用障害者数−雇用障害者数)の各月の合計数×月額40,000円) ○ 平成30年度の申告で減額特例の対象となるのは、平成29年4月から平成30年3月までの12か月間に、常用雇用労働者の総数が200人以下の月が8か月以上(※)ある事業主です。 ※ 年度の中途の事業廃止等の場合は、取扱いが異なります。 平成30年4月1日から障害者納付金制度の一部が改正されます(平成31年度申告申請から適用) 1.障害者法定雇用率の引き上げ 障害者の法定雇用率が2.0%から2.2%へ引き上げになります。   2.精神障害者である短時間労働者のカウント方法の変更 精神障害者である短時間労働者であって、新規雇入れから3年以内又は精神障害者保健福祉手帳取得から3年以内の者については、原則として、平成35年3月31日までに雇い入れられた場合又は精神障害者保健福祉手帳を取得した場合に限り、1人を0.5人ではなく1人としてカウントすることとなります。    上記1、2共に、平成31年4月1日から同年5月15日までの間(※)に提出していただく障害者雇用納付金申告書、障害者雇用調整金及び在宅就業障害者特例調整金支給申請書(申告申請対象期間が平成30年4月から平成31年3月の分)から適用されます。 ※ 年度の中途の事業廃止等の場合は、提出期限が異なります。 お問い合わせ先 都道府県支部 高齢・障害者業務課(P77) (※東京・大阪は高齢・障害者窓口サービス課) 障害者雇用納付金制度に基づく各種助成金  障害者雇用納付金制度に基づく助成金は、事業主等が障害者の雇用にあたって、施設・設備の整備等や適切な雇用管理を図るための特別な措置を行わなければ、障害者の新規雇入れや雇用の継続が困難であると認められる場合に、これらの事業主等に対して予算の範囲内で助成金を支給することにより、その一時的な経済的負担を軽減し、障害者の雇用の促進や雇用の継続を図ることを目的とするものです。 ■助成金の種類 助成金の対象費用、助成率、限度額、手続き等は 当機構ホームページ https://www.jeed.go.jp/disability/subsidy/ 助成金 内容 障害者作業施設設置等助成金 障害者を労働者として雇い入れるか継続して雇用している事業主が、その障害者が障害を克服し、作業を容易に行うことができるよう配慮された作業施設、就労を容易にするために配慮されたトイレ、スロープ等の附帯施設もしくは作業を容易にするために配慮された作業設備の設置または整備を行う場合に、その費用の一部を助成するものです。 なお、対象となる障害者が雇用され、または職場復帰してから6か月を超える期間が経過している場合は、助成対象とはなりません。 障害者福祉施設設置等助成金 障害者を労働者として継続して雇用している事業主またはそれらの事業主を構成員とする事業主の団体が、障害者である労働者の福祉の増進を図るため、障害者が利用できるよう配慮された保健施設、給食施設、教養文化施設等の福利厚生施設の設置または整備を行う場合に、その費用の一部を助成するものです。 障害者介助等助成金 重度身体障害者または就職が特に困難と認められる身体障害者を労働者として雇い入れるか継続して雇用している事業主が、障害の種類や程度に応じた適切な雇用管理のために必要な介助等の措置を行う場合に、その費用の一部を助成するものです。(ICT(情報通信技術)を活用した事例でも支給対象となります。) なお、対象となる障害者が雇用されて1年以上経過しており、介助等に十分な必要性がないと判断される場合は、助成対象とはなりません。 重度障害者等通勤対策助成金 重度身体障害者、知的障害者、精神障害者または通勤が特に困難と認められる身体障害者を労働者として雇い入れるまたは継続して雇用する事業主、またはこれらの重度障害者等を雇用している事業主を構成員とする事業主の団体が、これらの障害者の通勤を容易にするための措置を行う場合に、その費用の一部を助成するものです。 なお、対象となる障害者が雇用されて6か月を超える期間が経過している場合は、中途障害者となった場合または障害の重度化が認められる場合を除き、助成対象とはなりません。 重度障害者多数雇用事業所 施設設置等助成金 重度身体障害者、知的障害者または精神障害者を労働者として多数継続して雇用し、かつ、安定した雇用を継続することができると認められる事業主で、これらの障害者のために事業施設等の整備を行い、モデル性が認められる場合に、その費用の一部を助成するものです。 お問い合わせ先 都道府県支部 高齢・障害者業務課(P77) (※東京・大阪は高齢・障害者窓口サービス課) 障害者雇用を支援する施策 特定求職者雇用開発助成金(特定就職困難者コース)  身体障害者、知的障害者または精神障害者等の就職が特に困難な方をハローワーク等の紹介により新たに雇い入れた事業主に対して、その賃金の一部に相当する額を一定期間助成することにより、これらの方の雇用機会の増大を図るものです。 ◯対象事業主 次のすべての要件を満たす事業主です。 @ ハローワークまたは適正な運用を期すことのできる有料・無料職業紹介事業者等の紹介により、身体障害者、知的障害者または精神障害者等(65歳未満の者に限る。)を継続して雇用する労働者として雇い入れ、助成金支給後も引き続き相当期間雇用することが確実であると認められる雇用保険の適用事業主。 A 対象労働者の雇入れの日の前日から起算して6か月前の日から1年間を経過する日までの間に、当該雇入れに係る事業所で雇用する被保険者を事業主の都合により解雇したことがないものであること。 B 対象労働者の雇入れの日の前日から起算して6か月前の日から1年間を経過する日までの間に、当該雇入れに係る事業所において特定受給資格者となる離職理由により雇用する被保険者を、当該雇入れ日における被保険者数の6%を超えてかつ4人以上離職させていないこと。 ◯助成額等 対象労働者 助成金 助成期間 大企業 中小企業※ 1大企業 中小企業 身体障害者、知的障害者(短時間労働者 ※2以外) 50万円 120万円 1年 2年 身体障害者、知的障害者、精神障害者(短時間労働者) 30万円 80万円 1年 2年 重度身体・知的障害者、精神障害者、45歳以上の身体・知的障害者(短時間労働者以外) 100万円 240万円 1年6か月 3年 ※1 ここでいう中小企業の範囲は以下のとおりです。 産業分類 資本または出資額 常時雇用する労働者数 小売業(飲食店含む) 5,000万円以下 50人以下 サービス業 5,000万円以下 100人以下 卸売業 1億円以下 100人以下 その他業種 3億円以下 300人以下 ※2 ここでいう「短時間労働者」とは、1週間の所定労働時間が20時間以上30時間未満の者をいいます。 特定求職者雇用開発助成金(障害者初回雇用コース)  障害者雇用の経験のない中小企業(障害者の雇用義務制度の対象となる労働者数50〜300人の中小企業)が障害者を初めて雇用し、当該雇入れによって法定雇用率を達成する場合に助成するものであり、中小企業における障害者雇用の促進を図ることを目的としています。 ◯主な受給要件 受給するためには、次の要件のいずれも満たすことが必要です。 (1)支給申請時点で、雇用する常用労働者数が50人〜300人の事業主であること。 (2)初めて身体障害者、知的障害者及び精神障害者(以下「対象労働者」といいます。)を雇い入れ、1人目の対象労働者を雇い入れた日の翌日から起算して3か月後の日までの間に、雇い入れた対象労働者の数(※)が障害者雇用促進法第43条第1項に規定する法定雇用障害者数以上となって、法定雇用率を達成すること。 (3)1人目の支給対象者の雇入れの日の前日までの過去3年間に、対象労働者について雇用実績がない事業主であること。 ※ 短時間労働者(週の所定労働時間が20時間以上30時間未満の者を言います。)として雇い入れる場合は2人(重度身体障害者または重度知的障害者を短時間労働者として雇い入れる場合は1人)で1人分としてカウントされます。 ◯受給額 120万円   特定求職者雇用開発助成金(発達障害者・難治性疾患患者雇用開発コース)  発達障害者または難治性疾患患者をハローワーク等の紹介により常用労働者として雇い入れる事業主に対して助成するものであり、発達障害者や難治性疾患患者の雇用を促進し、職業生活上の課題を把握することを目的としています。  事業主には、雇い入れた者に対する配慮事項等について報告をいただきます。 また、雇入れから約6か月後にハローワーク職員等が職場訪問を行います。 ◯対象事業主  特定就職困難者コース(p72)と同様です。ただし、対象労働者の雇用の状況等その雇用管理に関する事項について、報告書により支給申請にあわせて管轄の労働局に報告する事業主としています。 ◯対象労働者 次の[1]〜[3]のすべてに該当する求職者です。 [1] 次の@またはAに該当する者 ※1 ※1 障害者雇用促進法第2条第2号に規定する身体障害者、同条第4号に規定する知的障害者または同条第6号に規定する精神障害者である者は除きます。   @ 発達障害者支援法第2条に規定する発達障害者   A 難治性疾患を有する者(詳しくは雇用関係助成金のご案内等でご確認ください) [2] ハローワーク等の紹介を受けた日に失業等の状態にある者(雇用保険被保険者でない者等) [3] 雇入れ日現在において満65歳未満である者 ◯助成額等 対象労働者 助成金 助成対象期間 大企業 中小企業※2 大企業 中小企業 短時間労働者以外の者 50万円 120万円 1年間 2年間 短時間労働者※3 30万円 80万円 1年間 2年間 ※2 ここでいう中小企業の範囲は以下のとおりです。 産業分類 資本または出資額 常時雇用する労働者数 小売業(飲食店含む) 5,000万円以下 50人以下 サービス業 5,000万円以下 100人以下 卸売業 1億円以下 100人以下 その他業種 3億円以下 300人以下 ※3 ここでいう「短時間労働者」とは、1週間の所定労働時間が20時間以上30時間未満の者をいいます。 トライアル雇用助成金(障害者トライアルコース)  ハローワークまたは民間の職業紹介事業者等の紹介により、就職が困難な障害者を一定期間雇用することにより、その適性や業務遂行可能性を見極め、求職者及び求人者の相互理解を促進すること等を通じて、障害者の早期就職の実現や雇用機会の創出を図ることを目的としています。 ◯対象労働者 次の[1]と[2]の両方に該当する者であること [1] 継続雇用する労働者としての雇入れを希望している者であって、障害者トライアル雇用制度を理解した上で、障害者トライアル雇用による雇入れについても希望している者 [2] 障害者雇用促進法に規定する障害者のうち、次のア〜カのいずれかに該当する者   ア 重度身体障害者   イ 重度知的障害者   ウ 精神障害者   エ 紹介日において就労の経験のない職業に就くことを希望する者   オ 紹介日前2年以内に、離職が2回以上または転職が2回以上ある者   カ 紹介日前において離職している期間が6か月を超えている者 ◯雇入れの条件 (1)ハローワークまたは民間の職業紹介事業者等の紹介により雇い入れること (2)障害者トライアル雇用等の期間について、雇用保険被保険者資格取得の届出を行うこと。 ※ このほかにも、雇用関係助成金共通の要件等いくつかの支給要件がありますので、詳しくは「お問い合わせ先」までご確認ください。 ◯受給額 支給対象者1人につき月額最大4万円(最長3か月間) ※精神障害者を初めて雇い入れた事業主には最大8万円 トライアル雇用助成金(障害者短時間トライアルコース)  継続雇用する労働者として雇用することを目的に、障害者を一定の期間を定めて試行的に雇用するものであって、雇入れ時の週の所定労働時間を10時間以上20時間未満とし、障害者の職場適応状況や体調等に応じて、同期間中にこれを20時間以上とすることを目指すものをいいます。 ◯対象労働者 本助成金における「対象労働者」は、継続雇用する労働者としての雇入れを希望している者であって、障害者短時間トライアル雇用制度を理解した上で、障害者短時間トライアル雇用による雇入れについても希望している精神障害者または発達障害者が対象となります。 ◯雇入れの条件 対象労働者を次の.と.の条件によって雇い入れること (1)ハローワークまたは民間の職業紹介事業者等の紹介により雇い入れること (2)3か月から12か月間の短時間トライアル雇用をすること ◯受給額 受給対象者1人につき月額最大2万円(最長12か月間) P72, P73, P74のお問い合わせ先 都道府県労働局、ハローワーク 職場適応援助者(ジョブコーチ)による支援事業  障害者が円滑に職場へ適応することができるように、ジョブコーチが職場に出向き、障害者本人と事業主や職場の従業員に対してきめ細かな支援を行います。  不安やストレスを抱えやすい精神障害者等の方々に対しては、作業遂行への支援だけではなく、相談を中心とした職場内でのコミュニケーションに関する支援、不安や緊張・ストレスの軽減等の支援を行います。  また、職場の上司、同僚に対しては、本人の特性を踏まえたかかわり方、業務内容・職場環境の調整の助言等を行います。  これらにより、事業所の上司や同僚による支援(ナチュラルサポート)にスムーズに移行していくことを目指しています。 ◯ジョブコーチの種類 ◆配置型ジョブコーチ※1  地域障害者職業センターに配置するジョブコーチです。就職等の困難性の高い障害者を重点的な支援対象として自ら支援を行うほか、訪問型ジョブコーチや企業在籍型ジョブコーチと連携し支援を行う場合は、効果的・効率的な支援が行われるよう必要な助言・援助を行います。 〔支援の契機〕 雇用の前後を問わず、必要なタイミングで支援を行います。(例:@不安の軽減や作業手順を覚えるために雇入れと同時に支援を開始。A配置転換や人事異動といった職場環境の変化により職場適応上の課題が生じたため雇用後の支援を開始)。 〔支援期間〕 個別に必要な期間を設定します(標準は2〜4か月)。支援終了後は、必要なフォローアップを行います。 ◆訪問型ジョブコーチ※2  障害者の就労支援を行う社会福祉法人等に所属するジョブコーチです。高齢・障害・求職者雇用支援機構が実施する訪問型職場適応援助者養成研修または厚生労働大臣が定める研修を修了した者であって、必要な相当程度の経験と能力を有する者が担当します。なお、ジョブコーチが在籍する事業所に、ジョブコーチの活動経費等の一部を助成する制度があります。 ◆企業在籍型ジョブコーチ※2  障害者を雇用する企業に雇用されるジョブコーチです。高齢・障害・求職者雇用支援機構が実施する企業在籍型職場適応援助者養成研修または厚生労働大臣が定める研修を修了した者が担当します。なお、ジョブコーチが在籍する事業所に、ジョブコーチの活動経費等の一部を助成する制度があります。 ・障害特性に配慮した雇用管理に関する助言 ・配置、職務内容の設定に関する助言 ・作業遂行力の向上支援 ・職場内コミュニケーション能力の向上支援 ・健康管理・生活リズムの構築支援 事業主(管理監督者・人事担当者) ジョブコーチ 障害者 職場 上司 同僚 同僚 家族 ・障害の理解に係る社内啓発 ・障害者とのかかわり方に関する助言 ・指導方法に関する助言 ・安定した職業生活を送るための家族のかかわり方に関する助言 お問い合わせ先 地域障害者職業センター(P76) ※1について 都道府県労働局、ハローワーク ※2について 地域障害者職業センター 都道府県支部  障害者に対する専門的な職業リハビリテーションサービス、事業主に対する雇用管理に関する相談・援助、地域の関係機関に対する助言・援助を実施しています。 地域障害者職業センター一覧 北海道障害者職業センター 〒001-0024 札幌市北区北二十四条西5-1-1 札幌サンプラザ5階 TEL 011-747-8231 北海道障害者職業センター 旭川支所 〒070-0034 旭川市四条通8丁目右1号 ツジビル5階 TEL 0166-26-8231 青森障害者職業センター 〒030-0845 青森市緑2-17-2 TEL 017-774-7123 岩手障害者職業センター 〒020-0133 盛岡市青山4-12-30 TEL 019-646-4117 宮城障害者職業センター 〒983-0836 仙台市宮城野区幸町4-6-1 TEL 022-257-5601 秋田障害者職業センター 〒010-0944 秋田市川尻若葉町4-48 TEL 018-864-3608 山形障害者職業センター 〒990-0021 山形市小白川町2-3-68 TEL 023-624-2102 福島障害者職業センター 〒960-8054 福島市三河北町7-14 福島職業能力開発促進センター内 TEL 024-526-1005 茨城障害者職業センター 〒309-1703 笠間市鯉淵6528-66 TEL 0296-77-7373 栃木障害者職業センター 〒320-0865 宇都宮市睦町3-8 TEL 028-637-3216 群馬障害者職業センター 〒379-2154 前橋市天川大島町130-1 TEL 027-290-2540 埼玉障害者職業センター 〒338-0825 さいたま市桜区下大久保136-1 TEL 048-854-3222 千葉障害者職業センター 〒261-0001 千葉市美浜区幸町1-1-3 TEL 043-204-2080 東京障害者職業センター 〒110-0015 台東区東上野4-27-3 上野トーセイビル3階 TEL 03-6673-3938 東京障害者職業センター 多摩支所 〒190-0012 立川市曙町2-38-5 立川ビジネスセンタービル5階 TEL 042-529-3341 神奈川障害者職業センター 〒252-0315 相模原市南区桜台13-1 TEL 042-745-3131 新潟障害者職業センター 〒950-0067 新潟市東区大山2-13-1 TEL 025-271-0333 富山障害者職業センター 〒930-0004 富山市桜橋通り1-18 北日本桜橋ビル7階 TEL 076-413-5515 石川障害者職業センター 〒920-0901 金沢市彦三町1-2-1 アソルティ金沢彦三2階 TEL 076-225-5011 福井障害者職業センター 〒910-0026 福井市光陽2-3-32 TEL 0776-25-3685 山梨障害者職業センター 〒400-0864 甲府市湯田2-17-14 TEL 055-232-7069 長野障害者職業センター 〒380-0935 長野市中御所3-2-4 TEL 026-227-9774 岐阜障害者職業センター 〒502-0933 岐阜市日光町6-30 TEL 058-231-1222 静岡障害者職業センター 〒420-0851 静岡市葵区黒金町59-6 大同生命静岡ビル7階 TEL 054-652-3322 愛知障害者職業センター 〒460-0003 名古屋市中区錦町1-10-1 MIテラス名古屋伏見5階 TEL 052-218-2380 愛知障害者職業センター 豊橋支所 〒440-0888 豊橋市駅前大通り1-27 MUS豊橋ビル6階 TEL 0532-56-3861 三重障害者職業センター 〒514-0002 津市島崎町327-1 TEL 059-224-4726 滋賀障害者職業センター 〒525-0027 草津市野村2-20-5 TEL 077-564-1641 京都障害者職業センター 〒600-8235 京都市下京区西洞院通塩小路下る東油小路町803 TEL 075-341-2666 大阪障害者職業センター 〒541-0056 大阪市中央区久太郎町2-4-11 クラボウアネックスビル4階 TEL 06-6261-7005 大阪障害者職業センター 南大阪支所 〒591-8025 堺市北区長曽根町130-23 堺商工会議所5階 TEL 072-258-7137 兵庫障害者職業センター 〒657-0833 神戸市灘区大内通5-2-2 TEL 078-881-6776 奈良障害者職業センター 〒630-8014 奈良市四条大路4-2-4 TEL 0742-34-5335 和歌山障害者職業センター 〒640-8323 和歌山市太田130-3 TEL 073-472-3233 鳥取障害者職業センター 〒680-0842 鳥取市吉方189 TEL 0857-22-0260 島根障害者職業センター 〒690-0877 松江市春日町532 TEL 0852-21-0900 岡山障害者職業センター 〒700-0821 岡山市北区中山下1-8-45 NTTクレド岡山ビル17階 TEL 086-235-0830 広島障害者職業センター 〒732-0052 広島市東区光町2-15-55 TEL 082-263-7080 山口障害者職業センター 〒747-0803 防府市岡村町3-1 TEL 0835-21-0520 徳島障害者職業センター 〒770-0823 徳島市出来島本町1-5 TEL 088-611-8111 香川障害者職業センター 〒760-0055 高松市観光通2-5-20 TEL 087-861-6868 愛媛障害者職業センター 〒790-0808 松山市若草町7-2 TEL 089-921-1213 高知障害者職業センター 〒781-5102 高知市大津甲770-3 TEL 088-866-2111 福岡障害者職業センター 〒810-0042 福岡市中央区赤坂1-6-19 ワークプラザ赤坂5階 TEL 092-752-5801 福岡障害者職業センター 北九州支所 〒802-0066 北九州市小倉北区萩崎町1-27 TEL 093-941-8521 佐賀障害者職業センター 〒840-0851 佐賀市天祐1-8-5 TEL 0952-24-8030 長崎障害者職業センター 〒852-8104 長崎市茂里町3-26 TEL 095-844-3431 熊本障害者職業センター 〒862-0971 熊本市中央区大江6-1-38 4階 TEL 096-371-8333 大分障害者職業センター 〒874-0905 別府市上野口町3088-170 TEL 0977-25-9035 宮崎障害者職業センター 〒880-0014 宮崎市鶴島2-14-17 TEL 0985-26-5226 鹿児島障害者職業センター 〒890-0063 鹿児島市鴨池2-30-10 TEL 099-257-9240 沖縄障害者職業センター 〒900-0006 那覇市おもろまち1-3-25 沖縄職業総合庁舎5階 TEL 098-861-1254 高齢・障害者業務課 都道府県支部  障害者の雇用に関する相談・援助、障害者雇用納付金制度に基づく申告・申請の受付、啓発などの業務を実施しているほか、高年齢者などの雇用に関する相談・援助、各種給付金の支給申請の受付などを実施しています。 高齢・障害者業務課(※東京・大阪は高齢・障害者窓口サービス課を含む)一覧 北海道 〒063-0804 札幌市西区二十四軒4条1-4-1 北海道職業能力開発促進センター内 TEL 011-622-3351 青森 〒030-0822 青森市中央3-20-2 青森職業能力開発促進センター内 TEL 017-721-2125 岩手 〒020-0024 盛岡市菜園1-12-18 盛岡菜園センタービル3階 TEL 019-654-2081 宮城 〒985-8550 多賀城市明月2-2-1 宮城職業能力開発促進センター内 TEL 022-361-6288 秋田 〒010-0101 潟上市天王字上北野4-143 秋田職業能力開発促進センター内 TEL 018-872-1801 山形 〒990-2161 山形市漆山1954 山形職業能力開発促進センター内 TEL 023-674-9567 福島 〒960-8054 福島市三河北町7-14 福島職業能力開発促進センター内 TEL 024-526-1510 茨城 〒310-0803 水戸市城南1-4-7 第5プリンスビル5階 TEL 029-300-1215 栃木 〒320-0072 宇都宮市若草1-4-23 栃木職業能力開発促進センター内 TEL 028-650-6226 群馬 〒379-2154 前橋市天川大島町130-1 ハローワ−ク前橋3階 TEL 027-287-1511 埼玉 〒336-0931 さいたま市緑区原山2-18-8 埼玉職業能力開発促進センター 本館4階 TEL 048-813-1112 千葉 〒261-0001 千葉市美浜区幸町1-1-3 ハローワ−ク千葉5階 TEL 043-204-2901 東京 〒130-0022 墨田区江東橋2-19-12 ハローワ−ク墨田5階(高齢・障害者業務課) TEL 03-5638-2794 (高齢・障害者窓口サービス課) TEL 03-5638-2284 神奈川 〒241-0824 横浜市旭区南希望が丘78 関東職業能力開発促進センター内 TEL 045-360-6010 新潟 〒951-8061 新潟市中央区西堀通6-866 NEXT21ビル12階 TEL 025-226-6011 富山 〒933-0982 高岡市八ケ55 富山職業能力開発促進センター内 TEL 0766-26-1881 石川 〒920-0352 金沢市観音堂町へ1 石川職業能力開発促進センター内 TEL 076-267-6001 福井 〒915-0853 越前市行松町25-10 福井職業能力開発促進センター内 TEL 0778-23-1021 山梨 〒400-0854 甲府市中小河原町403-1 山梨職業能力開発促進センター内 TEL 055-242-3723 長野 〒381-0043 長野市吉田4-25-12 長野職業能力開発促進センター内 TEL 026-258-6001 岐阜 〒500-8842 岐阜市金町5-25 G-frontU7階 TEL 058-265-5823 静岡 〒422-8033 静岡市駿河区登呂3-1-35 静岡職業能力開発促進センター内 TEL 054-280-3622 愛知 〒460-0003 名古屋市中区錦1-10-1 MIテラス名古屋伏見4階 TEL 052-218-3385 三重 〒514-0002 津市島崎町327-1 ハローワーク津2階 TEL 059-213-9255 滋賀 〒520-0856 大津市光が丘町3-13 滋賀職業能力開発促進センター内 TEL 077-537-1214 京都 〒617-0843 長岡京市友岡1-2-1 京都職業能力開発促進センター内 TEL 075-951-7481 大阪 〒566-0022 摂津市三島1-2-1 関西職業能力開発促進センター内 (高齢・障害者業務課) TEL 06-7664-0782 (高齢・障害者窓口サービス課) TEL 06-7664-0722 兵庫 〒661-0045 尼崎市武庫豊町3-1-50 兵庫職業能力開発促進センター内 TEL 06-6431-8201 奈良 〒630-8122 奈良市三条本町9-21 JR奈良伝宝ビル6階(※) TEL 0742-30-2245 和歌山 〒640-8483 和歌山市園部1276 和歌山職業能力開発促進センター内 TEL 073-462-6900 鳥取 〒689-1112 鳥取市若葉台南7-1-11 鳥取職業能力開発促進センター内 TEL 0857-52-8803 島根 〒690-0001 松江市東朝日町267 島根職業能力開発促進センター内 TEL 0852-60-1677 岡山 〒700-0951 岡山市北区田中580 岡山職業能力開発促進センター 3階 TEL 086-241-0166 広島 〒730-0825 広島市中区光南5-2-65 広島職業能力開発促進センター内 TEL 082-545-7150 山口 〒753-0861 山口市矢原1284-1 山口職業能力開発促進センター内 TEL 083-995-2050 徳島 〒770-0823 徳島市出来島本町1-5 ハローワーク徳島5階 TEL 088-611-2388 香川 〒761-8063 高松市花ノ宮町2-4-3 香川職業能力開発促進センター内 TEL 087-814-3791 愛媛 〒791-8044 松山市西垣生町2184 愛媛職業能力開発促進センター内 TEL 089-905-6780 高知 〒780-8010 高知市桟橋通4-15-68 高知職業能力開発促進センター内 TEL 088-837-1160 福岡 〒810-0042 福岡市中央区赤坂1-10-17 しんくみ赤坂ビル6階 TEL 092-718-1310 佐賀 〒849-0911 佐賀市兵庫町大字若宮1042-2 佐賀職業能力開発促進センター内 TEL 0952-37-9117 長崎 〒854-0062 諫早市小船越町1113 長崎職業能力開発促進センター内 TEL 0957-35-4721 熊本 〒861-1102 合志市須屋2505-3 熊本職業能力開発促進センター内 TEL 096-249-1888 大分 〒870-0131 大分市皆春1483-1 大分職業能力開発促進センター内 TEL 097-522-7255 宮崎 〒880-0916 宮崎市大字恒久4241 宮崎職業能力開発促進センター内 TEL 0985-51-1556 鹿児島 〒890-0068 鹿児島市東郡元町14-3 鹿児島職業能力開発促進センター内 TEL 099-813-0132 沖縄 〒900-0006 那覇市おもろまち1-3-25 沖縄職業総合庁舎4階 TEL 098-941-3301 (※)奈良支部 高齢・障害者業務課 平成30年3月22日移転・業務開始予定 〒634-0033 橿原市城殿町433 奈良職業能力開発促進センター内 TEL 0744-22-5232 障害者雇用に役立つ情報(就労支援機器など) 就労支援機器  当機構が運営する中央障害者雇用情報センターでは、障害者の就労を容易にするための就労支援機器の情報提供などを行っています。  また、障害者を雇用している、または雇用しようとしている事業主(※)に対して、原則として6カ月以内で、就労支援機器の無料貸出しを行っています。 (※)トライアル雇用、職場実習、入社試験などでの利用も可能です。 就労支援機器は厚生労働省作成の「合理的配慮指針事例集」に掲載されています。 お問合せ先 中央障害者雇用情報センター 【TEL】03−5638−2792 【FAX】03−5638−2282 【E-mail】kiki@jeed.go.jp  雇用している、または雇用しようとしている障害者について、「就労を容易にするための機器はないか」「障害状況や活用場面に合った機種がわからない」「機器導入後うまく活用できるか」などの疑問・不安がありましたら、お気軽にお問合せください。  専門スタッフが、機器の導入や活用方法などについてアドバイスいたします。 視覚障害者用支援機器 ・拡大読書器 −書類や写真などを拡大表示する機器です。 −コントラストや色調の変更も可能なためより見やすく調整することができます。 −卓上型、携帯型など活用シーンに合わせて選択できます。 ・画面拡大ソフト −パソコン画面の文字や写真を拡大するソフトです。 −色調の変更やポインター、カーソルの強調などを調整することにより、より見やすくなります。 ・画面読み上げソフト −パソコン画面の文字情報を音声で読み上げるソフトです。 −弱視の方も画面拡大ソフトと併用することにより疲労の低減、作業効率の向上につながります。 点字表記部分 ・点字ディスプレイ −パソコンにインストールした点訳ソフトとの連動により、パソコン画面の文字情報を点字ディスプレイ上に点字表記する機器です。 −画面読み上げソフトとの併用により疲労の低減や正確性の向上につなげることができます。 −点字電子手帳としてもスケジュール管理やデータ管理に使用できます。 ・活字音訳ソフト(OCRソフト) −画像情報から文字情報(テキストデータ)を検出するソフトです。 −画面読み上げソフトとの併用により、スキャナーで読み取った書類の文字を読み上げることができるようになります。 聴覚障害者用支援機器 ・対話支援システム −聴覚障害者とのコミュニケーションを支援するスピーカーシステムです。 −音の指向性(特定の方向に対する感度)を高め、周波数を調整することでより聞きやすい音声を届けることができます。 マイク送信機 受信機 ・補聴システム(集音システム) −マイク(送信機)が拾った音を直接、補聴器や人工内耳に届けるシステムです。 −聞きたい音を大きくできるので就労のあらゆる場面で有効に使用できます。 ・音声認識ソフト −話した言葉をパソコン画面上に映し出すソフトです。 −マイクを通して入力された言葉をパソコン画面やスマートフォン、タブレットなどに表示することにより聴覚障害者とのコミュニケーションを円滑にします。 ・電話関連機器 −電話につなげることにより音量を増幅させることができます。 −聴覚障害者の電話でのやりとりをサポートします。 ・屋内信号装置 −警報や時報、その他の音の信号を離れた場所にいる人に対して、振動や光、文字などにより合図を送ることができます。 その他の支援機器 知的障害・精神障害(発達障害)・肢体不自由 ・環境調整用具 −視覚的・聴覚的な刺激を低減させること(ノイズキャンセラー、パーテーションなど)で周囲の状況に影響されずに集中できる環境を整えます。 ・マウス補助具 −ローラーボールやジョイスティック、その他さまざまな工夫によりダブルクリック、ドラッグなどの動きを簡略化しています。 就労支援機器に関するWebサイトについては、次の80ページをご覧ください。 障害者雇用に役立つ情報(就労支援機器など) 就労支援機器普及啓発ホームページ 就労支援機器に関する情報、貸出制度の概要を掲載しています。 (https://www.kiki.jeed.go.jp/) 就労支援機器 就労支援機器の貸出制度を紹介しています。 貸出対象の就労支援機器について、視覚障害・聴覚障害などの「障害別」、画面読み上げソフト・音声認識ソフトなどの「用途」別に検索できます。 また、各製品のページでは、仕様の説明と、写真や動画での紹介を行っています。 障害者雇用事例リファレンスサービス 全国の障害者雇用事例をホームページで紹介しています。 (https://www.ref.jeed.go.jp/) リファレンスサービス □高次脳 業種、障害、従業員規模などのチェックボックスに□を入れて、事例を検索できます。 社内理解の促進や採用計画の立案、職務設定や環境整備の方法についての情報収集などにご活用ください。 障害者の在宅就業支援ホームページ チャレンジホームオフィス (https://www.challenge.jeed.go.jp/) チャレンジホームオフィス こちらをクリックすると、視覚障害、聴覚障害、肢体不自由、内部障害、難病のある方などの在宅雇用事例をご覧いただけます。 各社の事例紹介ページでは、在宅勤務者の業務内容や雇用管理方法、本人からのメッセージなどを掲載しています。 誰もが職業を通じて社会参加できる「共生社会」を目指しています。 企画・発行 独立行政法人高齢・障害・求職者雇用支援機構 雇用開発推進部 雇用開発課 〒261−0014 千葉県千葉市美浜区若葉3−1−3(障害者職業総合センター内) 電話番号:043−297−9515 ファックス:043−297−9547 ウェブサイト:https://www.jeed.go.jp/