P01 はじめに 独立行政法人高齢・障害・求職者雇用支援機構では、事業所における障害者雇用および職場定着を進めるため、雇用管理や職場環境の整備などさまざまな改善・工夫を行った障害者雇用職場改善好事例を募集し、優秀な事例を表彰するとともに、広く周知しています。本募集は平成3年度から開始し、近年では年度ごとにテーマを設定し募集を行っています。 平成30年度は、精神障害・発達障害のある方の雇用促進・キャリアアップに取り組んだ職場改善好事例を募集いたしました。全国の事業主のみなさまから多数のご応募をいただき、厳正な審査の結果、9事業所の入賞を決定しました。 このたび、これらの事例を「精神障害・発達障害のある方の雇用促進・キャリアアップに取り組んだ職場改善好事例集 -平成30年度障害者雇用職場改善好事例募集の入賞事例から-」としてご紹介します。障害者の雇用促進と職場定着のためにご活用いただければ幸いです。 最後に、ご応募いただきました事業主のみなさま、そしてご協力いただいた関係機関・団体などのみなさまにあらためて感謝申し上げます。 平成31年2月 独立行政法人高齢・障害・求職者雇用支援機構 P02-P03 Contents はじめに  1 目次  2 精神障害とは  4 発達障害とは  6 用語解説  8 トッパン・フォームズ株式会社 日野センター(東京都日野市) 10 障害者雇用の推進に向けたマスタープランの策定、雇用管理サポート体制の強化、人事・給与制度などの見直しを行い、全社的に障害者雇用に取り組む体制を確立。 株式会社西村製作所(京都府京都市) 16 障害者の長所を活かした作業指導により意欲向上につなげる。経験の少ない電話対応、接客について段階的に指導した結果、担当職務が拡大。 合同会社DMM. com(東京都港区) 20 在宅勤務を取り入れることで、精神障害者の雇用を拡大。きめ細かな体調管理や定期的な面談を通じて仕事の内容や勤務形態を見直すほか、能力に応じたキャリアアップを推進。 株式会社リクルートオフィスサポート(東京都中央区) 24 地方に在住する障害者を在宅勤務者として積極的に雇用。テレビ会議、チャットシステムを活用した研修、朝のミーティングなどの実施により、上司・同僚との一体感を醸成し、職場定着を促進。 株式会社湘南ゼミナールオーシャン(神奈川県横浜市) 28 健康増進チームを設置して、社員同士のピアサポートを開始。社員相互のアイデアでセルフケアを強化。 株式会社ホテルマネジメント ホテル日航奈良(奈良県奈良市) 32 本人の能力を最大限に引き出すための工夫と疲労に配慮した適切な雇用管理により、生産性の向上と離職の防止を実現。 みやぎ生活協同組合(宮城県仙台市) 36 はじめての事務職での障害者雇用に当たって、指導担当者を選任し受入体制を整備するとともに、障害者自身の職業能力を向上して他部署からの信頼を獲得。 ポラスシェアード株式会社(埼玉県越谷市) 40 業務の繁閑にともなう相互の助け合いをルール化することにより、無理せず休みやすい職場環境を整備。本人の能力や意欲に応じたキャリアパスを設定し、モチベーションの維持とキャリアアップを実現。 株式会社アダストリア・ゼネラルサポート(東京都渋谷区) 44 全国の事業所において複数名の定着支援員を配置し、職場定着を推進。褒賞制度、評価制度を導入し、障害者の能力開発とモチベーション向上を実現。 資料・支援ツール  48 応募いただいた事業所  64 応募状況  65 平成30年度障害者雇用職場改善好事例募集要項  66 障害者雇用を支援する施策  68 地域障害者職業センター  74 高齢・障害者業務課  75 障害者雇用に役立つ資料  76 ※この事例集では、事業所で用いている一部の表記を除き、障害の表記を法令などで使われている「障害」に統一しました。 ※本文中の役職名は取材時点のものです。 P04-P05 障害について ■精神障害とは 精神障害は、さまざまな精神疾患が原因となって起こります。主な精神疾患には、統合失調症、気分障害(うつ病、そううつ病など)、精神作用物質(アルコール、シンナーなど)による精神疾患などがあります。 厚生労働省では、障害者雇用促進のための各種助成金制度などの対象となる精神障害者の範囲を、「精神障害者保健福祉手帳の交付を受けている人」か「統合失調症、そううつ病(そう病及びうつ病を含む)、てんかんにかかっている人」で、「症状が安定し、就労が可能な状態にある人」としています。 また、雇用率の算定対象となる精神障害者の範囲を、「精神障害者保健福祉手帳の交付を受けている人」としています。 なお、てんかんはWHO国際疾病分類では「神経系及び感覚器の疾患」の一部とされていますが、厚生労働省の障害者施策においては精神障害者に対する施策の対象としています。 ◆統合失調症とは 統合失調症は、およそ100人に1人弱がかかる頻度の高い病気です。症状が改善した後にも日常生活や職業生活に支障をきたすことがあるため、就労支援などの対象となることが多い疾患でもあります。 統合失調症の症状から回復した人によく見られる特徴として、「体力や持続力の乏しさ」「細かな指先の動作が苦手」「生真面目さや過緊張からくる疲れやすさ」「臨機応変に判断することが苦手」「新しいことに対する不安の強さ」などが指摘されていますが、それらの特徴やその程度は人によりさまざまです。 現在では薬物療法を中心とした精神医療やリハビリテーションの進歩によって、自立した職業生活を送る人もたいへん多くなっています。 ◆気分障害(うつ病、そううつ病)とは 気分障害は、憂うつや気分の高ぶりなどの気分の浮き沈みが、生活に支障をきたすほどに一定の期間正常を超えた状態となる病気で、その代表は、うつ病(単一性障害)とそううつ病(双極性障害)です。うつ病では、一般に身体と精神の両方に症状が現れます。身体症状としては、睡眠障害、食欲不振、性欲減退、頭痛・腰痛・肩の痛み、疲労感・倦怠感などが見られます。精神症状は、身体症状に隠れて見逃されがちですが、抑うつ状態、日内変動(特に朝方の憂うつ感がひどく、夕方になるにつれて軽くなっていく状態が続く)、集中力低下、注意力散漫、意欲低下、不安、取り越し苦労、自信の喪失などが特徴的です。身体の症状が強く表面に出て、精神の症状が目立たない「仮面うつ病」と呼ばれるタイプもあります。 「そう」は、「うつ」とは逆に気分の高揚が特徴で、気力や活動性の亢進があります。例えば、社交性が高まり、あちこちに電話をかけたり、話が止まらなかったり、過度の馴れ馴れしさが出たりといった特異な行動が見られることがあります。うつの睡眠障害とは反対に、寝なくても平気である場合が多いのが特徴です。このそう状態とうつ状態が交互に繰り返されるのがそううつ病です。 精神障害のある方の採用面接での配慮事項  精神障害は、さまざまな疾患が原因となって起こります。原因となる疾患によって、一人ひとり障害特性や必要な配慮が異なります。そのため、精神障害のある方と面接官の意思疎通を助けたり、障害特性を知ってもらうために、面接時に就労支援機関の職員の同席を求めるのもよいでしょう。  また、障害について「聞いてはいけないこと」「聞きづらい」と思われるかもしれませんが、「働きやすい職場環境を整えるため」など質問する理由を伝えた上で、状況を把握することも必要です。 ◆自分自身の精神疾患や障害の理解度 ◆普段の生活や仕事における健康管理上の留意点  …通院・服薬がちゃんとできているか  …_調子が悪いときに適切に主治医に相談できているか ◆雇用された場合に必要な配慮や支援 など このほか本人の緊張を解きほぐすような雰囲気を作ることも効果的です。 参考:「障害者雇用マニュアル コミック版4 精神障害者と働く」 P06-P07 障害について ■発達障害とは 発達障害は、発達障害者支援法において、自閉症、アスペルガー症候群その他の広汎性発達障害、学習障害、注意欠陥多動性障害その他これに類する脳機能の障害であってその症状が通常低年齢において発現するものとされています。 発達障害者のなかには、精神障害者保健福祉手帳や療育手帳の交付を受けて障害者雇用における支援施策を活用している人たちも少なくありませんが、そのどちらの手帳も持たない発達障害者についても、障害者の雇用支援施策が適用できる場合もあります。 発達障害の特性として、社会性・想像力・コミュニケーションの三つの側面に独特な特徴を持っている人が多いほか、不注意、衝動性、多動性、感覚過敏、運動や読み、書き、計算の苦手さといった特徴を有している人もいます。 特性の現れ方は多様であるため、一人ひとりに合った支援が必要となります。 ◆自閉症、アスペルガー症候群、その他の広汎性発達障害 自閉症は、3つの特徴(社会性の障害、コミュニケーションの障害、こだわりが強く興味や行動が極めて限られている障害)の組み合わせとして診断されます。 社会性の障害の例として、「人への反応や関心が乏しすぎたり、逆に大きすぎたりして、対人関係がうまく結べない」、「指示されているルールは守れるが、職場の暗黙のルールに混乱する」、「注意されると、相手が自分を敵視しているように感じてしまう」ことがあります。 コミュニケーションの障害の例として、「言葉や表情、ジェスチャーなどの手段をうまくつかえないことがある」、「上司や同僚に対し、うまく接することができない(誰にどう接して良いのかわからない)」、「指示がわからないときに、タイミングよく質問することが苦手」なことがあります。 こだわりなどの障害の例として、「活動や興味の範囲が著しく制限されている」、「立場を変える、場を理解するなどがうまくできない」、「変化を恐れる」、「複数のことを担当すると、どれを優先するのかわからなくなる」、「時間や場所などの予定が変更になると不安になる」ことがあります。 このほかにも、感覚過敏、不器用さなどがある場合もあります。 なお、新しい診断分類では「広汎性発達障害」にかわって「自閉症スペクトラム障害」という診断名が使われています。「スペクトラム」という言葉は、連続しているという意味で使います。自閉症、高機能自閉症、アスペルガー症候群、その他の広汎性発達障害の間に明確な線引きをすることは困難であり、むしろ知的障害を伴う自閉症から高機能自閉症、アスペルガー症候群まですべてがつながっているという考え方から、これらをまとめて「自閉症スペクトラム障害」といいます。 ◆注意欠陥多動性障害(ADHD)とは 注意が散漫で気が散りやすい「不注意」や、じっとしていられないといった「多動性」、何か思いつくと後先考えず行動してしまう「衝動性」などが特徴です。 不注意の例として、「言われたことを聞いていない」、「毎日の活動や約束を忘れてしまう」ことがあります。 多動性や衝動性の例として、「じっとしていられない」、「落ち着かずそわそわしている」、「話しすぎる」、「質問が終わる前に答えてしまう」、「順番を待つことができない」、「他人の邪魔をしたり干渉したりする」ことがあります。 ◆学習障害(LD)とは 一般的には、全般的な知的発達の遅れがないにも関わらず、読み、書き、算数(計算能力など)の特定の領域に困難さが見られる場合をいいます。 読み書きの障害の例として、「文字の区別ができない」、「うまく文字を書くことができない」、「文字を書いても鏡文字になってしまう」、「句読点が打てない、助詞のつけ方がわからない」ことがあります。 算数の障害の例として、「足し算の繰り上がりがわからない」、「数字や図形を正しく写せない」、「買い物をしてもおつりの計算ができない」ことがあります。 障害者手帳について 発達障害の場合、交付される障害者手帳は療育手帳(自治体によっては、愛の手帳、みどりの手帳、愛護手帳など)あるいは精神障害者保健福祉手帳のいずれかとなります。精神障害者保健福祉手帳は、うつ病や統合失調症などの精神疾患に加え、発達障害も対象としています。よって、精神障害者保健福祉手帳を取得しているからといって、精神疾患の症状があるとも限りません。障害者手帳の種類だけでその人の特性を決めつけるのではなく、本人、家族、支援機関などから障害特性などを確認することが必要です。 出典:「障害者雇用マニュアル コミック版5 発達障害者と働く」 P08-P09 用語解説(事例をお読みになるにあたって) この好事例集をお読みいただくにあたり、事例に記載されている支援制度などの用語について、概要をご説明します。 障害者就業・生活支援センター 就職や職場への定着に当たって、就業面における支援とあわせて、生活面における支援を必要とする障害者に対して、身近な地域で、雇用、保健福祉、教育などの関係機関との連携を行いながら、障害者の就業およびこれに伴う日常生活、社会生活上の相談・支援を一体的に行う支援機関です。(平成30年4月現在、全国に計334か所設置) 障害者職業生活相談員 5人以上の障害のある従業員が働いている事業所では、「障害者の雇用の促進等に関する法律」により、厚生労働省が定める資格を有する従業員のうちから障害者職業生活相談員を選任し、職業生活の相談・指導を行うよう義務づけられています。(各都道府県支部の高齢・障害者業務課で障害者職業生活相談員の資格認定講習を実施しています。) トライアル雇用助成金 72ページをご覧ください 就労移行支援事業 障害者総合支援法に基づく障害福祉サービスのひとつです。就労移行支援事業所では、一般企業などへの就労を希望する人に、一定期間、就労に必要な知識及び能力の向上のために必要な訓練を行います。 職場実習 職場実習は、実際の職場において、職業経験を重ねることを目的として行うほか、就職を目指して職務や職場への適応や就業上の配慮事項を確認するために行います。雇用契約を結ばないので賃金は発生しませんが、覚書を結ぶ、傷害保険に加入するなど、制度を整えたうえで実施します。 ジョブコーチ支援 知的障害者、精神障害者、発達障害者などの職場適応を容易にするため、職場にジョブコーチを派遣し、事業所、障害者双方にきめ細かな人的支援を行う制度です。ジョブコーチには地域障害者職業センターに所属する配置型ジョブコーチと、就労支援ノウハウを有する社会福祉法人などに所属する訪問型ジョブコーチ、事業主自ら配置する企業在籍型ジョブコーチがあります。 なお、上記のほか、自治体の独自の制度として養成されたジョブコーチも配置されています。 特例子会社制度 事業主が一定の要件を満たした上で障害者の雇用に特別の配慮をした子会社を設立した場合には、特例としてその子会社に雇用されている労働者を親会社に雇用されているものとみなして、実雇用率を算定できる制度です。 事業主にとってのメリットとして、障害の特性に配慮した仕事の確保・職場環境の整備が容易となり、これにより障害者の能力を十分に引き出すことができるといったことがあげられます。 精神保健福祉士 精神科病院そのほかの医療施設において精神障害の医療を受け、又は精神障害者の社会復帰の促進を図ることを目的とする施設を利用している者の社会復帰に関する相談に応じ、助言、指導、日常生活への適応のために必要な訓練そのほかの援助を行います。 P10-15 障害者雇用職が改善好事例 最優秀賞 平成30年度 トッパン・フォームズ株式会社 日野センター 障害者雇用の推進に向けたマスタープランの策定、雇用管理サポート体制の強化、人事・給与制度などの見直しを行い、全社的に障害者雇用に取り組む体制を確立。 事業所の概要  日野センターは、トッパン・フォームズ株式会社の生産拠点のひとつ。同センターに勤務する障害者は本社の総務本部に所属し、センター内に置かれた総務本部分室で勤務している。  平成28年3月に「精神障害者等雇用優良企業」の認証を取得。 従業員数 292人 業種および主な事業内容 印刷業 書類の受付事務、スキャニング、コールセンター、データエントリー、ビジネス・プロセス・アウトソーシング事業 障害者雇用の経緯  数年前までは身体障害者を中心に雇用していたが、生産部門に所属していた社員が精神保健福祉士の資格を取得したことをきっかけに、精神障害者の雇用への取組みをはじめた。  現在は、地域の就労支援機関とも連携を図りつつ、精神障害者を中心に障害者を雇用している。 紹介内容 精神障害 【従事作業】 データ入力、ファイリング、スキャニングなど 障害者の雇用形態・勤続年数 雇用形態 正社員 週の労働時間に変動なし 0人 週の労働時間短縮などの変動あり 0人 正社員以外(契約社員など) 週の労働時間が30時間以上 11人 週の労働時間が20~30時間未満 2人 週の労働時間が20時間未満 0人 勤続年数 ~2年未満 5人 2~3年未満 1人 3~4年未満 4人 4~5年未満 1人 5年以上 2人 企業の声 玉井 弘樹さん(総務本部人事部長) 当社では、「多様性は可能性だ」をキャッチフレーズに障害者雇用に取り組んでいます。多様な社員がそれぞれの能力を発揮することによって、新たな価値が生まれるという考え方です。 障害のある社員が、例えば「仕事がていねいである」という特性を活かし、これまでなかなか手が回らなかった業務に取り組むことによって、会社全体として効率化が図られます。お互いの可能性を足し上げることによって、アウトプットが最大化できていることを実感しています。 精神障害者の雇用に取り組みはじめたきっかけは、身体障害者の雇用が難しくなってきていたことも背景にあるのですが、社員のひとりが精神保健福祉士の資格を取得し、その資格を「会社で活かしたい」と名乗りを上げてくれたことです。 今後も、障害のある社員もない社員も輝いて働ける職場づくり、各個人が自分で働き方を考えていけるような環境づくりに取り組んでいきたいと考えています。 現場担当者の声 小林 良斉さん(総務本部人事部担当課長) 当社の改善事例は、他の企業でも実施しているような施策ばかりですが、障害のある、なしに関係なく「社員にどのように働いてもらうのか」という、人事労務管理施策として体系的にとらえなおしたことにポイントがあります。 つまり、経営戦略の一つとして掲げた「ダイバーシティ&インテグレーション」を実現するための人事労務管理システムというのは、企業内だけで存在するものではなく、社会や文化などの影響を受け、企業と相互依存関係にあると位置づけたのです。 そうしたところ、障害のある、なしに関係なく「ディーセント・ワーク」を目指すことが可能となる人事労務管理が必然的にうまれました。 これは、弊社の経営信条である「三益一如」に通じるものです。 鈴木 康之さん(総務本部人事部) 企業が障害のある方への職場定着を支援するには、支援機関とよい関係を継続することが必要です。そのため、自分の足で支援機関に訪問して、自分の目で支援状況を確認して、自分の耳で支援員と障害のある方からお話をうかがうようにしています。 そして、障害のある方を採用するときには、「ほかの障害を持った仲間とともに働いていくことができるのか」を常に確認して、職場内で個々の障害やパーソナリティーについて受容できるように、皆でフランクに話し合いを行います。 支援機関が利用者である障害のある方を知り(観察や看ること)、企業を知り(職場見学などにより継続的に積極的に関わっていくこと)、両者のマッチングを行うことが職場の定着をうながすと考えています。 社員の声 黒石 純子さん(勤続5年4か月) ここで働いていて感じるのは、障害をオープンにして働くと、とても働きやすいということです。障害を隠して働くと、なぜ自分がこの作業ができないかをなかなか同僚に理解してもらえません。また、いまの職場では、50分おきに10分間休憩時間があるのがありがたいです。これは、ほかの会社ではあまりないことだと思います。 今後も、自分が「働く障害者のモデル」になるような気持ちでがんばっていきたいです。 改善前の状況 同社では、「ダイバーシティ&インテグレーション」を経営戦略のひとつと位置づけて障害者雇用を推進していたが、障害者雇用の方針を立案する本社人事部と、採用や雇用管理を行う現場との連携が希薄であったことから、会社の方針が実際の採用活動や雇用管理にうまく反映されていなかった。 また、障害者の雇用管理をサポートする体制が十分でなかったことから、現場の雇用管理担当者1人に業務が集中していた。 改善策1 障害者雇用の推進に向けたマスタープランを策定し、雇用方針や社内の役割分担を明確化するとともに、雇用管理体制を強化 ①「マスタープラン2020」の策定  2020年3月までの障害者雇用率の達成目標とともに、障害者雇用を進めるための方向性や課題への対応策、社内の役割分担を定めたマスタープランを策定。  本社人事部や現場(日野センター)をはじめとする関係者で共有したことにより、社内の関係者が共通認識をもつことができるようになった。 (主な内容) ・精神障害者雇用を強みとした雇用施策を実施する ・安定的で長期的な就労をめざす ・現場をバックアップする組織を本社に整備する ・ジョブコーチなどの専門資格の取得をめざす ・特例子会社を利用せずグループ各社が雇用率を達成する など ②障害者雇用の担当部門の明確化  会社としての障害者雇用の方針を立案するのは本社の人事部の役割であったが、雇用ノウハウを有していた社員の異動をきっかけに、雇用方針の立案の業務が現場(日野センター)の雇用管理担当者1人に集中することになった。  そこで、会社として障害者雇用を推進していくのは本社人事部であることを明確化するとともに、雇用管理業務が現場の担当者に集中しないよう、「課題発掘チーム」の組織化やジョブコーチ資格をもつ社員の増員など、サポート体制の拡充を行った。 ③「課題発掘チーム」の組織化  「マスタープラン2020」にもとづき、障害者雇用を進める上で必要な専門的スキルをもつ社員で構成される「課題発掘チーム」を本社に組織。  (詳細は改善策2(13ページ)を参照) ④TFハートフルサミットの開催  企業グループ全体で障害者雇用を推進するため、グループ各社が雇用施策の協議や情報交換を行う会議体として「TF(トッパンフォームズ)ハートフルサミット」を開催。採用基準、定着支援、キャリア支援、社内外ネットワーク構築、配置などの課題についてケーススタディを行っている。 改善後の効果 マスタープランを策定したことにより、会社としての障害者雇用の方針や各部門の役割分担が明確化され、社内の関係者が共通認識をもつことができるようになった。 また、「課題発掘チーム」の組織化により、現場でおきるさまざまな雇用管理上の課題に的確に対応できるようになった。 この結果、同社では、「マスタープラン2020」の計画を上回る雇用率を達成している。 改善前の状況 精神障害者の雇用に取り組み始めた当初は、社内に確立された雇用ノウハウがなく、具体的に現場でどのような課題があるかも明確でなかった。 改善策2 「課題発掘チーム」が、専門性を活かして業務改善を実施 ①「課題発掘チーム」の組織化  障害者の雇用現場における課題を発掘し、適切な解決策を検討するため、専門的なスキルをもつ社員(※)で構成される「課題発掘チーム」を本社に組織。 (※)産業医を除く。 (メンバーとその役割) 産業医 健康管理、安全衛生に関わる教育・意見、職場巡視など 精神保健福祉士 各専門家との連携、コーディネート、助言など 企業在籍型ジョブコーチ 業務遂行の直接的支援、会社に対する助言など 障害者職業生活相談員 職業生活全般の相談、指導、ジョブコーチのサポートなど 心理相談員 障害者、管理者へのカウンセリング全般、産業医への紹介など 社会保険労務士 労働関連法・労働条件の確認、社会保険などの相談受付、意見など キャリアコンサルタント 能力開発に関する意見、人事との連携、相談受付など 産業カウンセラー 障害者、管理者へのカウンセリング全般、産業医への紹介など 一級建築士 就業環境の整備、改善、意見など ②「課題発掘チーム」の提案による改善事例 ○ホワイトボードなどを活用した「見える化」  (企業在籍型ジョブコーチの提案による改善)  スキャニング業務の一連の作業工程のなかで、現在どこまで進んでいるのか、誰が担当なのかが一目でわかるよう、ホワイトボードなどを活用した「見える化」を行った。 ○短時間契約社員制度の新設  (社会保険労務士の提案による改善)  短時間勤務をしている障害のある社員の収入を安定させるため、短時間契約社員制度を新設した。  (詳細は改善策3(14ページ)を参照) ○執務室の拡張  (一級建築士の提案による改善)  一級建築士が精神保健福祉士と連携し、隣席との距離を若干大きめにとる、他人と視線を合わせないですむよう壁に向かった机を配置するなど、精神障害者の不安や緊張を軽減するオフィス拡張を行った。 ○有給の一斉休憩時間の設定  (精神保健福祉士の提案による改善)  社員が遠慮せず適度な休憩を取れるよう、有給の一斉休憩時間を設定した。  (詳細は改善策4(15ページ)を参照) 改善後の効果 専門的なスキルをもった社内の人材を活用することにより、現場の実態に即したノウハウを開発・蓄積することができている。 課題発掘チームは、課題を「発掘」し、改善することが目的であるため、課題への対応が「事後対応型」から「予測対応型」に切り替わり、職場環境の整備を計画的に行うことができるようになった。 改善前の状況 同センターで働く精神障害者のほとんどは1日の労働時間が8時間未満である。同社の人事制度上、1日の労働時間が8時間未満の社員は時給制のパートタイマーとなるため、営業日数が少ない月には収入が少なくなってしまうが、同センターの障害者には世帯主として家族を支えている者も多いことから、収入の安定を図る必要があった。 また、同センターで働く障害者の中には、全員が従事するスキャニング業務に加え、他の社員の業務を支援する社員やパソコンを使ってマニュアル作成に従事する社員がいたが、スキャニング業務のみに従事する社員との時給の差がほとんどなく、不公平感や将来への不安を感じている社員がいた。 改善策3 障害のある社員の収入の安定化とモチベーションの向上を図るため、短時間契約社員制度とコース選択制度を新設 ①短時間契約社員制度  これまでは、月給制が適用される契約社員になるにはフルタイム勤務が条件となっていたが、「課題発掘チーム」のメンバーである社会保険労務士の提案により、8時間未満の勤務であっても固定月給制が適用される「短時間契約社員制度」を新設した。  パートタイマーからの転換を本人が希望しており、1年以上安定して勤務していることが転換の条件となる。なお、通常は、パートタイマーが契約社員になるためには試験に合格する必要があるが、短時間契約社員については、人事部長の承認があればよいこととしている。 ②コース選択制度  短時間契約社員に「グループリーダーコース」と「専門職コース」を設けた。  「グループリーダーコース」は、他の社員が行うスキャニング業務の進捗や品質管理を行う役割を担う。また、「専門職コース」は、自身のもつ専門的な知識やスキルについて人事部に申し出て、人事部がその専門性が業務に必要であると承認した場合、専門職として従事することができる。  グループリーダーと専門職には、基本給のほかに別途手当が支給される。 社員の声 加藤 圭輔さん(専門職コース)(勤続5年2か月) 表計算ソフトや画像編集ソフトを使用して、作業手順書の作成を行っています。 流れ作業ではなく自分で考えて行う仕事ですし、個室で作業ができるので、自分のペースで業務に集中できます。仕事の配分を自分で判断しなければならないので責任を感じることもありますが、周りの人の作業状況をみて判断するようにしています。 今後は、画像処理や印刷も担当することで業務の幅を広げていきたいです。 Aさん(グループリーダーコース)(勤続4年) 現場のチームリーダーとして、スキャニング業務についての指示や進捗管理のほか、業務が遅れている社員のサポートを行っています。 曖昧な指示を出すと混乱するので、指示はなるべく具体的にするよう心がけています。 今後も、1日1日を大切にし、日々を楽しんで働いていきたいです。 改善後の効果 短時間契約社員になると、毎月の収入が営業日数に左右されないようになるため、収入面での不安が軽減された。なお、名称として「契約社員」という名称を用いることによって、障害のある社員がステップアップを実感することができている。 また、コース選択制度を設けたことにより、社員のモチベーションが向上したほか、会社としても社員の能力を引き出すことで、高い成果を得ることができた。 改善前の状況 精神障害のある社員が安定して就労するためには、適切な体調管理が欠かせないが、同僚への遠慮などから、業務時間中に適度な休憩をとったり、平日に有給休暇を利用して通院したりすることを遠慮する社員がいた。 改善策4 安定した就労を実現するため、定期通院のための休暇制度と有給の一斉休憩時間を導入 ①定期通院等休暇制度の導入  平日に通院しやすくするための休暇制度を導入した。  ○医師による診察のほか、医師の指導のもとに行うカウンセリングを受ける場合に利用可能(1か月あたり最大2回まで)。  ○制度を利用する場合、通院先の医師の診断書・意見書などを添付した申請書を事前に会社に提出。通院内容を会社が確認したあとに利用可能となる。  ○後から取得日数を変更する場合は、就労支援機関による意見書などの提出でも可(就労支援機関があらかじめ主治医に確認することが必要)。  ○通院回数は申請書にもとづきあらかじめ決めるが、具体的な通院日は、確定次第、会社に口頭で連絡。  ○休暇取得日は無給となるが、半日単位で休暇を取得した場合は日給相当額の50%を支給。 ②有給の一斉休憩時間の設定  精神障害のある社員のなかには、同僚への遠慮や過集中のために自分から休憩をとることができない者がいるため、「課題発掘チーム」の精神保健福祉士の提案に基づき、50分ごとに10分間の一斉休憩(有給)を設定した。  これにより、後ろめたさを感じずに適度な休憩がとれるようになり、安定した就労が可能となった。 社員の声 天野 智広さん(勤続2年7か月) 月1回、平日の午後に定期通院等休暇を取得してカウンセリングに通っています。通院休暇制度は他の企業でもあるようですが、カウンセリングにも利用できるというのは聞いたことがありません。 有給休暇を利用してもよいのですが、会社が治療と仕事の両立を認めてくれたという点で、カウンセリングを受けることに後ろめたさを感じずにすみます。また、周りの同僚も精神の障害があり、通院休暇制度を利用しているのは自分だけではないので気が楽です。 就労支援機関担当者 日野市障害者生活・就労支援事業所 くらしごと(特定非営利活動法人 やまぼうし) 鴨田 裕之さん  岩崎 ともみさん 定期通院等休暇制度は、精神障害のある方にとって長期的な安定就労に貢献する制度だと思います。精神障害者が就職した場合、就職前までの通院日の変更を余儀なくされることがありますが、定期通院等休暇制度があれば、通院日や主治医を変更しなくてもすみます。また、医師による診察だけでなくカウンセリングにも休暇制度を利用できることは、治療と就業を両立するうえでたいへん有効だと感じています。 私たちの事業所の利用者が休暇制度を利用するにあたり、主治医から直接お話を伺って支援機関としての意見書を作成しましたが、おかげで通院の状況がイメージできるようになりましたし、何よりも利用者が「通院しやすくなってよかった」と言ってくれたので、手間をかけてよかったと感じました。 改善後の効果 社員からは、一斉休憩時間については、「疲れる前に休憩できるので体調を維持できる」、定期通院等休暇制度については、「欠勤を気にせず通院ができる」「平日は病院が混雑しないため体の負担が軽減される」「有給休暇を通院以外に利用できるようになった」などと好評である。 また、社員も体調管理への意識が高まり、睡眠時間に気をつけるなど、欠勤をしないで長く働くための努力を始める社員が増えた。 P16-P17 障害者雇用職場改善好事例 優秀賞 平成30年度 株式会社西村製作所 (京都府京都市) 障害者の長所を活かした作業指導により意欲向上につなげる。経験の少ない電話対応、接客について段階的に指導した結果、担当職務が拡大。 事業所の概要  昭和21年の創業から独自設計によるスリッターの研究開発につとめ、昭和29年に日本初のスリッター国産1号機を完成・販売を開始。日本国内はもとより、海外においても“NS SLITTER”のブランドは高品質、高性能スリッターの代名詞となっている。 従業員数 125人 業種および主な事業内容 製造業 スリッター(自動切断巻取機)および周辺機器の設計・製作・販売・メンテナンス 障害者雇用の経緯  雇用していた聴覚障害のある社員が退職したことにより、法定雇用率達成のために京都ジョブパーク(京都府が運営する総合就業支援拠点)に相談。精神障害のある方の職場実習受入れについて打診を受ける。職場実習の様子から、仕事に真摯に取り組む姿勢を高く評価し、採用することとなった。 紹介内容 精神障害 【従事作業】 総務部内の業務(事務、電話対応、来客対応、清掃、食堂の管理) 障害者の雇用形態・勤続年数 雇用形態 正社員 週の労働時間に変動なし 3人 週の労働時間短縮などの変動あり 0人 正社員以外 (契約社員など) 週の労働時間が30時間以上 0人 週の労働時間が20~30時間未満 0人 週の労働時間が20時間未満 0人 勤続年数 ~2年未満 2人 2~3年未満 0人 3~4年未満 0人 4~5年未満 1人 5年以上 0人 企業の声 岡田 則之さん(常務取締役) 当社で製造している製品は、完全受注生産によるものが多く、チームでラインを組みながら仕事をしていることが多いです。一方で、ライン作業以外では繰り返しの作業が多くあります。当社に入社した障害のある方は、自分のペースで取り組める作業が得意で力を発揮しています。作業のマッチングがうまくいけば、雇用はうまくいくと考えています。 新卒の社員に対して、技術習得に時間をかける、初めは何もわからないのだから丁寧に指導する、短期間の離職を防ぐためにはどうしたらよいかといった視点で育成しています。障害者雇用に関しても、特性の理解は必要ですが同じ視点で育成しています。 当社では就労支援機関と連携して、就労経験のない障害者に職場実習の機会を提供しています。他社に採用が決まったという報告をきくと、実習の経験がお役に立ててよかったと思います。 社員の声 Aさん(勤続4年4か月) 担当している仕事は、社屋入り口の清掃や食堂のテーブル拭き、お椀の準備、後片付け、喫煙室の清掃です。また、経理の入金処理に必要な伝票のチェックをしています。会社が職場実習生を受け入れた際には、実習の指導役を担当しています。 病気への配慮はいただいていますが、特別扱いせず、普通に接してくれていることがうれしいです。 定年まで働き続けたいと思います。フルタイムで働けるように頑張りたいと思います。 現場担当者の声 吉本 花世さん(総務部 総務課) 本人のペースにあわせて、的確な指示を出すことを心がけています。会社内には、やっていただきたい仕事はいくつでもあるので、苦手な作業があったとしてもできる仕事を中心にお願いしています。 Aさんが所属する総務部、Aさんがテーブル拭きやお椀の準備を行っている食堂の写真を掲載 P17-P18 改善前の状況 初めて精神障害のある方を雇用するにあたり、ジョブマッチングや作業指導をどのように行ったらよいかわからなかった。 改善策1 本人のできることに視点をあてたジョブマッチングを実施 ①成功体験の積み重ねで意欲向上  当初、カッターナイフがうまく使用できずにいたり、緊張が高まりやすく、電話、来客対応を苦手としていた。そのため、総務部内にあるほかの作業をいろいろ体験してもらい、本人ができる仕事、得意な仕事を見いだしていった。  Aさんにとって苦手としている仕事から自分のできる仕事に変更となったことが、成功体験の積み重ねにつながった。次第に、会社に貢献したいという前向きな気持ちが高まり、苦手としている電話や来客対応にチャレンジすることとなった。 ②段階的な指示と自分用マニュアルの作成により苦手な作業を習得  苦手な電話対応にチャレンジするにあたり、新入社員教育用に使用していた電話対応マニュアルをAさんに渡し、内線の応答から練習した。来客時のお茶出しは、よく来社される見慣れたお客様から始めるなど、段階的に指示を出し、習得を目指していった。  新しい仕事は、本人がメモを取れるよう時間の余裕をもって指示を出している。メモを元に、自分でマニュアルを作成し、作業習得に役立てている。 ③職場実習指導役としてキャリアアップ  会社が新たに精神障害のある方を職場実習生として受け入れる際に、Aさんが職場実習生の指導役を任されることとなった。Aさんは、実習生に対して自身の経験をふまえた作業指導やアドバイスをしたところ、実習生から話しやすい雰囲気で実習を経験できたことがよかったとの声をもらっている。  また、実習生が効率的な作業のやり方をしていれば、前向きに取り入れ、自身の作業の効率化につなげている。 改善後の効果 できる仕事、得意な仕事を中心に成功体験を積むことで、苦手な作業に取り組む前向きさを持つことができた。 段階的な指導を受けることによって、当初苦手としていた作業についても習熟が見られるようになった。 Aさんが作ったマニュアル(証明写真の作成)、Aさんが作ったマニュアル(食堂片づけチェックリスト)の写真を掲載 改善前の状況 入社当初は、緊張による疲労の蓄積や不安の高まりが見られたことがあり、体調の安定を図ることが必要であった。 改善策2 本人との定期的な面談や、主治医や就労支援機関から助言を得ることにより、不安を軽減 ①効果的な休息と面談によるストレスの解消  Aさんは入社当初、周囲の社員に迷惑をかけているのではないか、不快な気持ちを抱かせているのではないかと思い込み、疲労感を感じることがあったという。また、仕事をするには体調が100%の状態でなくてはいけないと考え、体調の変化を感じると大事をとって休みを取ることが多かった。  一緒に働く上司、先輩が定期的に面談を行い、「100%でなく、70~80%の体調でもいいから仕事に来てくれると助かる」ことを伝えた。Aさんは、その言葉で自分が会社に必要とされていること、体調が70~80%であっても仕事を休まずに続けることが大切であることを理解し、精神的に楽になった。  また、従来、会社では、体調不良時にAさんから申し出があれば適宜休憩を取ることを認めていた。しかし、遠慮もあり、申し出ること自体が精神的な負担となっていた。  そこで、「リフレッシュ中」という札を作成し、直接の申し出がなくとも、自席に置くことで休憩を取ることを認めた。いつでも休憩が取れるという安心感に加え、申し出の負担感が無くなったことが功を奏して、札の導入後は休憩する回数や時間が減少した。 ②主治医や就労支援機関からの助言  会社の方がAさんの受診に同行して、Aさんが負担に感じることやSOSのサインなどについて主治医から助言をもらった。主治医が会社の方に、自分のことを伝えてくれたおかげでAさん自身も仕事で困ったときは会社に相談できるという安心感が得られた。  会社の近隣に京都ジョブパーク(京都府が運営する総合就業支援施設)があり、そこでは定期的に精神科医による無料相談が開催されている。会社の担当者も相談し、疾病や障害特性の理解を深めるために役立った。  また、Aさんは定期的に京都ジョブパークの担当者に相談するとともに、会社も職場の状況を伝えている。Aさん、会社いずれも就労支援機関のサポートを受けられたことが、職場定着に関してプラスであった。 改善後の効果 会社での定期的な面談の実施、主治医、就労支援機関の助言を活かしたことにより、Aさんの緊張感が軽減し、職場定着につながっている。 「リフレッシュ中」の札の写真の掲載 P20-P21 障害者雇用職場改善好事例 優秀賞 平成30年度 合同会社DMM. com (東京都港区) 在宅勤務を取り入れることで、精神障害者の雇用を拡大。きめ細かな体調管理や定期的な面談を通じて仕事の内容や勤務形態を見直すほか、能力に応じたキャリアアップを推進。 事業所の概要  総合エンタテイメントサイト「DMM.com」を運営。動画配信、FX、英会話、ゲーム、太陽光発電、3Dプリンタなど40以上のIT関連サービスを展開。そのほか沖縄での水族館事業参入、ベルギーでのサッカークラブ経営など、さまざまな事業を手掛ける。また2018年より若手起業家の支援を強化、「DMMVENTURES」による出資や、M&Aなどを展開している。 従業員数 1,597人 業種および主な事業内容 情報通信業 インターネットサイトの運営、インターネットを通じた各種サービスの提供 障害者雇用の経緯  グループ事業の拡大や、労働局による障害者雇用率達成指導を契機に、平成27年2月、金沢市内のオフィスに障害者の採用から雇用管理を一貫して行う専門部署を立ちあげ、障害者雇用を大幅に拡大した。当初は倉庫内の軽作業でのみ雇用していたが、パソコン作業に職域を拡大するとともに、通勤や人間関係に課題がある方も働けるよう、在宅勤務制度を導入している。現在の在宅勤務者は北陸三県に拡大。 紹介内容 精神障害 【従事作業】 データ収集、Webパトロール、紙媒体のデジタル化、サイト更新およびこれらの作業の管理 障害者の雇用形態・勤続年数 雇用形態 正社員 週の労働時間に変動なし 8人 週の労働時間短縮などの変動あり 0人 正社員以外 (契約社員など) 週の労働時間が30時間以上 30人 週の労働時間が20~30時間未満 1人 週の労働時間が20時間未満 0人 勤続年数 ~2年未満 18人 2~3年未満 8人 3~4年未満 7人 4~5年未満 2人 5年以上 4人 企業の声 開田 栄次郎さん(DMM GAMES執行役員・人事部 部長) 障害のある方と一緒に働くことによって気づきが得られます。障害があることはデメリットではなく「個性」。誰でもできることとできないことがあります。できないことをお互いに補いながら成長すればいいし、それを実現できる場所が会社という組織だと思います。他方で、障害があるからといって区別することはなく、全社員に、主体性と経営視点をもってほしいというメッセージを伝えています。 当社では在宅勤務(リモートワーク)制度を導入しています。通勤がむずかしい、人間関係でストレスを感じるといった方でも、在宅勤務であれば、働く可能性が広がります。 今後は、当社での障害者雇用の拡大も検討していきますが、さらに、在宅勤務の導入を検討されている企業があれば、システム構築、雇用管理のノウハウといった観点で、当社もお手伝いさせていただき、障害のある方の雇用創出に繋がればと考えています。 社員の声 藤原 栄二さん(勤続3年10か月) 最初は倉庫内での軽作業を担当していましたが、勤務場所が変わって通勤がむずかしくなったこと、新しく担当した業務にも馴染めなかったことから、リモートワークに切り替えました。最初の頃は体調が悪くなることもありましたが、現在は特に問題がなく、元気に働いています。在宅勤務ではなく、事業所内での勤務に戻りたいと会社に伝えたところ、一定期間、事業所内の勤務も任せてもらうことができ、自信もつきました。11月からは本格的に事業所内の勤務に戻りました。 現在は、仕事ができるだけでも嬉しいと感じています。今後、機会があれば、自身の体験を他の障害のある方に伝えて、少しでも背中を押すことができればと考えています。 現場担当者の声 梶 進一さん(ビジネスクリエーション部 マネージャー) 事業拡大もあり障害者雇用を進める必要がありましたが、倉庫内での軽作業だけでは仕事の量に限界があること、求人を出しても交通手段が少なく応募者が集まらないことなどの課題があったことが、在宅勤務を進めるきっかけになりました。現在は、北陸三県にわたって在宅勤務者(リモートワーカー)の方に働いてもらっています。 ビジネスクリエーション部は障害者雇用の専門部署ですが、部署の拡大に当たってメンバーを社内公募したところ、想定以上に希望者が多かったことも、取組みへの関心の高さのあらわれかと思います。 坪田 勝之さん(人事総務本部 人事部 石川採用グループ グループリーダー) リモートワーカーの方に作業をお願いすることで、いままで手がつけられなかった細かいところにも手が回り、利用者サービスの向上につながっています。例えば、障害のある方のなかには、インターネットを通じて地道に情報収集を行うことが得意な方もいます。彼らが収集したデータを当社の検索サイトに反映することで、検索サイトの情報が充実し、検索しやすさが向上するというメリットがあります。 改善前の状況 事業所内で軽作業を行っていた社員について、業務配置転換にともない転勤させたところ、遠方のため通勤が困難になったことや、業務に馴染めず自信喪失につながったことから、体調をくずし欠勤が続くようになった。 改善策1 通勤などの課題がある場合は在宅勤務にするなど、勤務場所や業務内容を柔軟に変更することで離職を防止するとともに、支援機関からのサポートを受けやすい環境も整備 ①勤務場所や業務内容の柔軟な変更  事業所内での勤務からリモートワークに切り替えたことで、周囲への気遣いで神経をすりへらすことが少なくなった。通勤の必要がなくなったことから、通勤で疲弊することもなくなった。  事業所内で従事していた確認作業は精神的なプレッシャーが高かったことから、リモートワークに変更した際には業務内容を見直し、精神的プレッシャーを緩和した。 ②指示系統の一本化  担当する業務ごとに管理者が決まっているが、担当する業務が複数あると、その組み合わせによっては、管理者が複数になることがあった。複数の管理者からの指示が混乱を招くことがあったので、指示系統はメインの一人にするようルールを変えた。 ③支援機関と連携しやすい就業規則の改正  精神障害者の採用に当たっては、必ず、地域の支援機関に登録してもらい、必要な場合に職場定着に向けたサポートを受けられるようにしている。リモートワーカーは自宅が職場となることから、勤務中に自宅で支援機関からの支援を受けられるように、リモートワーカーの就業規則を改正した。また、自宅で支援を受けることから、家族も含めて、支援機関からのアドバイスを受けやすくなった。 就労支援機関担当者の声 こまつ障害者就業・生活支援センター 所長 冨田雄毅さん  障害者雇用を進めるに当たっては、DMM.comのように、会社として仕組みを作って取り組むことが必要だと思います。  DMM.comの在宅勤務は、常に業務の拡大に取り組んでいること、自宅であっても「職場」として出退勤管理を適切に行っていること、出来高ではなく時間で管理していること、場合によっては作業の量的な調整もしてくれること、定期的に面談して悩みを聞いてくれることなどが優れている点だと思います。 改善後の効果 在宅勤務に切り替えたことで、対人関係のストレス、業務上のプレッシャー、通勤の困難性が解消され、体調も安定した。また、無理のない業務から始めたことで、仕事に自信が持てるようになり、徐々に業務改善の工夫を考える心の余裕ができた。 リモートワーカーの管理を総括的に行うビジネスクリエーション部のミーティングの様子の写真の掲載 改善前の状況 精神障害のある方のなかには、体調によって作業スピードが異なる、作業の内容によってはモチベーションが維持できないなどの課題があり、これらが原因となって体調をくずす者もいた。 改善策2 毎日の体調管理や定期的な面談を通じて、本人の体調や能力に応じた目標を設定 ①きめ細かな体調管理  同社では、コミュニケーションツールを活用して、事業所内で勤務している社員も、リモートワーカーも、頻繁にコミュニケーションをとっている。これに加え、在宅勤務者の体調管理のために、①仕事の成果を量と水準から把握し、大きな変化があれば、管理者から、体調が悪化していないかなどを確認、②欠勤する場合は具体的な理由を確認し、必要に応じて支援機関にサポートを依頼、③リモートワーカーは少なくとも3か月に1回は出勤して面談を実施、といった複数の方法できめ細かく体調などを管理している。 ②能力に応じた目標や業務内容の変更  毎日の体調管理や定期面談を通じて悩みや要望を把握した際には、①本人の業務実績を参考に、無理のない範囲の目標を本人と相談しながら決定している。②業務内容が合わず、自信を失っている者には、本人が得意な分野を勘案して、能力を発揮しやすい業務内容に変更している。 ③キャリアアップ  リモートワーカーには、作業を担当するオペレーターと、オペレーターの作業内容を確認する検品者がいる。オペレーターでの経験が蓄積され、高い水準の作業ができる者は検品者になることができる。  検品者として経験を経た後に、事業所内での業務が可能、高い水準の作業ができる者、公平な審判が可能、コミュニケーションが適切にとれる者は、管理者になることができる。管理者になると、リモートワーカーの教育・指導、勤怠管理、サポートを行うことになる。 社員の声 Aさん(勤続3年) 以前は、リモートワーカーとして働いていました。体調を崩して休職したこともありましたが、安心して戻れる職場があったことや、戻ってからも体調に合わせた業務量に調整してくれたことをありがたく思っています。 在宅での経験を踏まえて、現在は事務所に出勤し、リモートワーカーの方たちの作業の管理を行っています。自分にも障害があったので、障害のある方たちの立場にたってアドバイスするように心がけています。 今後、障害者の雇用が進んで、多くの方と仕事をしたいですし、自分としてももっといろんなことにチャレンジしたいと考えています。 改善後の効果 業務内容の見直しにより、能力発揮が可能になり、自信を取り戻し、結果的には他の者よりも高い水準の作業ができるようになった。さらに、事業所内での業務も可能な程度に回復できたことから、現在は、管理者となって働くまでに成長した。 業務別に管理者がつき、社内クライアント(発注者)からの発注窓口の役割、在宅勤務者の指導の役割を担う説明図の掲載 管理者が、定期的に在宅勤務者と面談し、悩みの把握や、作業の目標設定を行っている写真を掲載 P24-P25 障害者雇用職場改善好事例 優秀賞 平成30年度 株式会社リクルートオフィスサポート (東京都中央区) 地方に在住する障害者を在宅勤務者として積極的に雇用。テレビ会議、チャットシステムを活用した研修、朝のミーティングなどの実施により、上司・同僚との一体感を醸成し、職場定着を促進。 事業所の概要  平成2年2月に株式会社リクルートプラシス設立。リクルート社内報の印刷業務を開始。同年5月に株式会社リクルートの特例子会社として認可される。  平成18年に株式会社リクルートオフィスサポートに社名変更。 従業員数 334人 業種および主な事業内容 サービス業 リクルートグループ各社の事務代行業 総務、経理領域の事務 コピー、発送、名刺作成 サイトの掲載情報の審査 など 障害者雇用の経緯  リクルートグループの業務の順調な拡大にあわせ、障害者雇用を積極的に進めてきたが、首都圏中心の採用活動では必要な人員を確保できない可能性があった。そこで地方在住の障害者を在宅勤務で雇用することを進めた。 紹介内容 精神障害、発達障害 【従事作業】 「じゃらん」「SUUMO」「タウンワークNet」などリクルートグループ各社が運営するサイトの掲載情報審査業務 障害者の雇用形態・勤続年数 雇用形態 正社員 週の労働時間に変動なし 237人 週の労働時間短縮などの変動あり 4人 正社員以外 (契約社員など) 週の労働時間が30時間以上 36人 週の労働時間が20~30時間未満 0人 週の労働時間が20時間未満 0人 勤続年数 ~2年未満 76人 2~3年未満 32人 3~4年未満 22人 4~5年未満 20人 5年以上 127人 企業の声 渡邊 千洋さん(代表取締役社長) 各社が積極的に障害者雇用を進めるなか、首都圏を中心とした採用活動だけでは必要な人員を確保できない可能性があったことから、地方在住の障害のある方の採用を進めました。 在宅勤務者が行う職域を開発するために業務を見直した結果、既存業務の効率化ができました。障害のある社員にとっては、慣れた環境である自宅で仕事ができ、コミュニケーションによる負担も少ないので、活き活きと能力を発揮しています。 リクルートグループは、今後も業務を拡大していきますので、引き続き職域を開発し、障害者雇用を積極的に進めていきたいと考えています。 三井 正義さん(執行役員) 在宅勤務の導入にあたっては、旭川市に多大な協力をいただきました。障害福祉課から圏域の障害者就業・生活支援センターを紹介いただき、求職者の推薦や採用後の職場定着の支援をいただいています。 精神障害のある方も多く採用しています。採用面接にあたっては、収入を得るために働きたいという意思が明確であること、1対1の面接でコミュニケーションが取れること、生活リズムが整っていることを重視しています。 社員の声 津田 真奈さん(勤続1年) じゃらん観光ガイドのクチコミに関する審査業務を担当しています。私は在宅勤務メンバー同士のコミュニケーションを大事にしています。 やりがいを感じるのは、テレビ番組などでじゃらんのクチコミを基にしたランキング特集を目にしたときです。私たちが審査したたくさんのクチコミがランキングになり、それを見た方の「行ってみたい」という気持ちの手助けができていると思うと、とても嬉しいです。 自分の体調と向き合いながらお仕事ができるのが在宅勤務の長所の1つです。自分のベストコンディションを保ちながら、この審査業務に取り組んでいきたいと思っています。 松田 尚美さん(勤続1年) グループ会社が運営するサイトの求人情報の審査を行っています。約30の基準にしたがって審査をしています。基準が多くて複雑ですが、審査が終わった後に資料を見返したり、上司の方に質問したりして、基準を常に頭に入れるようにしています。 私たちの審査した内容をクライアント企業が活かしてくださったときにやりがいを感じます。在宅という働き方でも世の中の役に立っていると感じられます。 いまの会社は、私たちのできるところを伸ばそうとしてくれます。私は、今後も基準に沿った審査を続け、必要な人材になり、できるだけ長く働きたいです。 現場担当者の声 宮地 俊介さん(在宅雇用開発室 グループマネジャー) 在宅勤務をしていると、通勤による勤務に比べて、仕事に関するさまざまな情報取得の機会が少なくなりがちです。当社では、半年に1回、テレビ会議でキックオフミーティングを開催しています。役員や事業担当者が、組織の方針、担当業務がどのように依頼元の業務に役立っているかを直接語りかけています。在宅勤務者にとっては社会との接点を感じる場であり、モチベーションの向上につながっています。 P26-P27 改善前の状況 障害者雇用を拡大していくために、従来の採用活動では人員を確保することが難しくなった。 改善策1 地方在住の障害者に目を向け、在宅勤務を導入 ①在宅勤務制度の導入  障害者雇用の進展にともない、各企業が積極的に障害者の採用を進めるなか、従来の首都圏を中心とした採用活動だけでは必要な人員を確保できないと判断し、地方在住の障害者を採用することとした。同時期、テレワークの実証実験を行っていた北海道旭川市に相談し、在宅勤務者の採用活動を開始した。  旭川市からは、圏域の障害者就業・生活支援センターなどを紹介してもらい、求職活動をしている者の推薦を得るなどして、5人の在宅勤務者を採用することができた。 ②新たな職域の開発  当初、在宅勤務者には東京の事務所で行っていた業務を担当してもらうことを想定していた。しかしながら、個人情報の取扱いや業務量から、継続的に実施することが困難であった。  グループ会社で行っている業務を含めて検討した結果、住宅情報を取り扱う「SUUMO」に掲載している物件情報の内容に誤りがないか審査する業務が選定された。  この審査業務の実績をもとに、「タウンワークNet」に掲載する求人情報に法令上の不備がないか審査する業務や、旅行情報サイト「じゃらん」に寄せられる口コミに不適切な表現がないかチェックする業務を請け負うこととなり、新たな職域が確保された。  インターネットの普及で、Webサイト上に膨大な情報を掲載、閲覧することが可能となったが、内容が適切かを審査する人手が不足していたという。在宅勤務者が審査業務を行うことで、グループ会社の人手不足、業務効率化に貢献した。 ③在宅勤務者の積極的採用  在宅勤務者が行う業務量も増大し、積極的に地方在住者の採用を進めていった。旭川市のほか、北海道の他のエリア(釧路市、岩見沢市など)に加え、沖縄県在住の障害者を採用することとなった。  今後もエリアを拡大しながら、定期的に地方在住の障害者を採用していく予定である。 在宅勤務者の1日 9:30 テレビ会議システムにて全体朝会 10:00 審査業務   ※不明点はグループチャットにて質問 12:00- 13:00 お昼休み    ※午後の業務開始時はチャットにて報告 13:00 審査業務 16:00 日報作成 16:20 テレビ会議システムにて全体夕会 16:30 業務終了 改善後の効果 平成30年5月時点で、地方在住の障害者を36人雇用している。 在宅勤務者の居住エリア図の掲載 改善前の状況 遠隔地の在宅勤務者の職場定着に向け、研修体制の整備と体調管理、モチベーション維持のための工夫が必要であった。 改善策2 テレビ会議などを活用した在宅勤務者向けの研修とコミュニケーション機会の確保 ①採用者を対象にした研修プログラム  採用者を対象に、2週間の研修プログラムを実施。初日は、採用者同士顔をあわせて集合研修を行うが、2日目以降は在宅にて研修を受講する。練習問題に繰り返し回答することで業務に必要なスキルを習得していく。不明点は、チャットシステムを用いて質問し、班長からアドバイスを得ながら理解を深めることができる。 ②テレビ会議、チャットシステムを活用したコミュニケーション機会の確保  出退勤は、就業前と終業後にチャット(Microsoft Teams)に書き込むことで確認している。  始業時に朝会を実施。テレビ会議システム(Skype)を活用し、同じ班の在宅勤務メンバーと班長が顔を見ながら打ち合わせをしている。朝会では、天候の話から体調管理、当日行う業務の進め方などを双方向で情報交換している。また、テレビ会議を通じて、顔色や声、発言の量などの変化を把握するようにしている。 ③体調管理をサポートする仕組み  テレビ会議において、班長は在宅勤務者の顔色や声などの変化を把握するよう心がけているが、体調の変化をより正確に把握するための仕組みとして、在宅勤務者専用のポータルサイト「namara」を立ち上げた。本サイトには、毎朝体調を自己申告できるページや業務進捗を入力できるページがある。このサイトの情報をふまえて、体調の変化をとらえるようにしている。  業務中に体調が悪くなった場合は、チャットにて発信してもらい、テレビ会議で個別面談をしたあと、早退をうながしたり、業務の調整を行ったりして、安定就労をサポートしている。  また、東京の事務所には保健師が常駐しており、本人の希望や上司の判断により、テレビ会議を活用して保健師と面談することもできる。 改善後の効果 在宅勤務者からは、家の環境で仕事ができるので負担が少ない、離れていても上司や同僚が気にかけてくれるので働きやすいとの評価を得ている。 朝会の様子、体調を自己申告するページ、業務申告をするページの写真の掲載 P28-P29 障害者雇用職場改善好事例 優秀賞 平成30年度 株式会社湘南ゼミナールオーシャン (神奈川県横浜市) 健康増進チームを設置して、社員同士のピアサポートを開始。社員相互のアイデアでセルフケアを強化。 事業所の概要  学習塾、大学受験予備校など教育関連事業を展開する株式会社湘南ゼミナールの特例子会社として平成24年に設立、平成25年に認定。職場という環境から負荷を受けやすい精神障害者にとって働きやすい職場環境を整えることで、職場定着を図っている。 従業員数 20人 業種および主な事業内容 サービス業 親会社の湘南ゼミナールから受託する事務・軽作業支援業務 障害者雇用の経緯  親会社の湘南ゼミナールでは、事業規模が拡大し社員数が増加する一方で、学習塾である教場での障害者雇用を進めることがむずかしかったことから特例子会社を設立することとした。  特に精神障害者の雇用が進んでいなかったことから、湘南ゼミナールオーシャンでは、精神障害者に特化して雇用を進めている。 紹介内容 精神障害 【従事作業】 メール管理、データ入力、名刺作成、アンケート管理、マニュアル作成 障害者の雇用形態・勤続年数 雇用形態 正社員 週の労働時間に変動なし 0人 週の労働時間短縮などの変動あり 0人 正社員以外 (契約社員など) 週の労働時間が30時間以上 16人 週の労働時間が20~30時間未満 0人 週の労働時間が20時間未満 0人 勤続年数 ~2年未満 6人 2~3年未満 3人 3~4年未満 1人 4~5年未満 2人 5年以上 4人 企業の声 福村 賢一さん(代表取締役社長) 当社は設立5年目のまだ小さな組織ですが、設立当初より精神障害、発達障害のある方の職場定着と戦力化をテーマとしてきました。障害をよく理解している精神保健福祉士、ジョブコーチ経験者を採用し、安心して働ける環境をつくってきました。その一方、守りすぎることにより当事者の可能性をつぶすのではないかという心配も生じてきました。 3年ほど前に川崎市が提供しているK-STEP(川崎就労定着プログラム)と出会い、自分の体調のサインを把握して報告することから始まり、さらには、独自の自分専用のセルフケア道具箱を作成し、回復行動をとることで、一人ひとりの自信が深まり、主体性を発揮する起点となりました。いまでは、多くの方が支援スタッフにたよりすぎることなく成長し続ける貴重な戦力となってきています。 微力ではありますが、社会全体の障害者雇用の促進のお役に立つよう今後も努めてまいります。ご興味のある方は見学など受け付けていますので、お声をかけていただければ幸いです。 社員の声 持田 健一さん(勤続5年5か月) 健康増進チームのメンバーとして他の社員と面談することは、普段あまり話をしない社員ともコミュニケーションをとるきっかけにもなり、やりがいを感じています。他の社員の困りごとを聞くことで、見習うべきことや対処法を知ることもできます。 自分自身としては、過剰な睡眠や睡眠不足により、頭が働かず、生産性が低下することを避けるために、ベストな睡眠時間を維持するように心がけています。また、次の業務時間にしっかり仕事ができるよう、リカバリータイムの回復行動も十分とるようにしています。 自分自身としても長く健やかに働き続けていきたいと考えていますが、親会社に貢献するためにも、社内の全員が健康に働くことが重要です。日頃のコミュニケーションやピアサポートを通じて、少しでも力になりたいと思っています。 橋本 裕樹さん(勤続4年4か月) 健康増進チームは体調や人間関係などについて全社員からヒアリングを行っていますが、この活動を通じて他の社員の悩みを解決できるきっかけになればと思っています。現在担当している業務のうち、名刺印刷に関しては新しい処理方法を他の社員と一緒に構築しているのでやりがいがあります。 自分自身としては、健康増進チームのメンバーになったことで、健康への意識が高くなりました。体調がよいときこそ、健康管理に気を配ることが重要だと思えるようになりました。 社員一人ひとりが対処法を身につけて長く健やかに働けるようにするために、どのようなことができるのか、健康増進チームで検討していきたいです。 現場担当者の声 前山 光憲さん(事業所長) 当社では、社員の自主性を重んじる一方で、健康増進チームのようなピアカウンセリングで相互に伝えたいことを伝えられる環境づくりにも努めています。社員に長く働いてもらうためには、フラットな距離感が重要だと感じています。 また、社員一人ひとりの強みをできるかぎり見つけるように努めています。強みを活かすことができれば、幸せを感じてもらえますし、幸せを感じることで、生産性が上がります。可能性を引き出すことができれば、例えば、作業マニュアルの作成を一人で行うなど、高度な水準の作業もできるようになります。 前山さんのコメントで紹介している「作業マニュアル」の写真の掲載。前例がないなか、一人の社員が工夫をこらして完成させた。 P30-P31 改善前の状況 精神障害のある社員が、社内の支援スタッフにたよりすぎて横のつながりが薄かった。また、業務に習熟し、体調も安定している社員がいたが、先輩としての自覚や責任感を醸成し、リーダー的な役割に成長させる「きっかけ」がなかった。 改善策1 「健康増進チーム」の創設により、社員同士のピアサポートと、社員一人ひとりのセルフケア意識を強化 ①健康増進チームの創設  「ピアサポート」の効果に着目して、社員同士の横のつながりを強化するために、健康増進チームを作ることとした。健康増進チームのメンバーには、周囲への気遣いができ、業務遂行能力が高い社員を選定した。 ②健康増進チームの取組み  メンバーは、マンツーマンで他の社員へのヒアリングを毎週1回行っている。質問項目は、業務面、体調面、セルフケア対処法、人間関係、よかったことである。最初は、ヒアリング時間が長くなる傾向があり、メンバーが疲れることもあった。このため、ヒアリングの時間を10分とかぎり、作業面、体調面以外はすべてを網羅する必要はないこととした。ヒアリングの結果と、メンバー側からみたヒアリング対象者の印象を加えて、「困ったノート」にまとめ、支援スタッフ、健康増進チームで情報を共有している。 ③セルフケア道具箱の掲示  ヒアリングから、セルフケアの方法がわからない者も多いとわかったことから、「セルフケア道具箱」として、「どんなとき」に「何をする」とどんな「効果」があるのかを社員の実体験をもとにペーパーに整理、掲示することとした。セルフケア道具箱は、オンタイム(就業中)と、オフタイム(就業時間外)に区分して整理されている。セルフケア道具箱を活用することで、気持ちを切り替えることができ、リフレッシュできる。(50ページ参照) 改善後の効果 健康増進チームの活動を通じて、社員同士だからこそ話せる悩みを把握できるようになり、大きく体調を崩す前に支援の必要性や支援のヒントが得られるようになった。また、セルフケア道具箱として対処方法を可視化することで、終日集中力が持続できるようになって生産性が上がった。 加えて、健康増進チームのメンバーは、先輩社員としての自覚や責任感が生まれ、業務面でもリーダーシップを発揮できるようになった。また、従来は支援スタッフが行っていた業務も、徐々に健康増進チームのメンバーを中心に担当できるようになってきた。 困ったノートの記載の様子、セルフケア道具箱、記載された内容はリカバリータイムで実施される様子の写真の掲載 改善前の状況 指示通りに作業することで手一杯であり、一人ひとりの業務のスピードに差があったほか、作業の抜け、漏れも見られた。また、社員同士で教え合うときに、教え方が人によってまちまちであったので、ある社員に習ったことが別の社員から習うと違うということで混乱することもあった。 改善策2 徹底的な数値管理とチェックリストの作成で、作業のスピードアップと混乱防止を達成 ①数値管理  作業に費やした時間、人数、生じたミス(※)の数やその内容を徹底的に記録し、全体と一人ひとりの状況を数値・グラフで見える化した。 ②手順チェックリストの作成  「準備」「入力」などの工程別に、担当別の作業内容を細かく記載(「道具を準備する」「基本情報を一つずつ読み上げ、入力担当が正しく復唱しているか確認しながら、蛍光ペンでチェックを入れる」など)し、順番も明確にした「手順チェックリスト」を作成した。この手順チェックリストには、チェック欄も設けられており、実施した後にチェックできるようになっている。(51ページ参照) (※) グラフ中「チャンス数」について(52ページ参照) 同社では、作業中のミスを「チャンス」と表現している。これは、ミスは次につながる経験であり「チャンス」であるとの考えによる。 この考え方は社員一人ひとりに浸透しているので、ミスがあっても前向きにとらえられる要因の一つになっている。 改善後の効果 数値管理により、各自が過去の自分と比較してどのくらい変わったのかを知ることで、達成感が得られるようになった。最終的には全体で以前の2倍のスピードで処理できるようになった。一人ひとりのスピードが明らかになったので、1人あたりの業務量が計算しやすくなり、例えば、誰かが急遽休暇となってもカバーしやすくなった。また、手順チェックリストにより、作業手順の混乱や抜けが減った。スピードアップに加え、正確性の観点でも改善できた。 個人別の数値管理のグラフの写真を掲載。過去と現在の比較ができるようになっている 手順チェックリストの写真を掲載。作業の順番だけでなく、作業終了時にチェックする欄があるので、進捗状況も確認できる 業務の発注元からお礼状が届くこともある P32-P33 障害者雇用職場改善好事例 奨励賞 平成30年度 株式会社ホテルマネジメント ホテル日航奈良 (奈良県奈良市) 本人の能力を最大限に引き出すための工夫と疲労に配慮した適切な雇用管理により、生産性の向上と離職の防止を実現。 事業所の概要  平成17年6月に設立。JR奈良駅に直結し、客室総数330室、大小宴会場8会場、レストラン・ラウンジ5店舗、浴場、カラオケルーム、チャペル、神殿、美容室、衣装室、写真室などを有する都市型ホテルである。 従業員数 260人 業種および主な事業内容 宿泊業、飲食サービス業 障害者雇用の経緯  会社設立時から障害者を雇用していたが、平成26年、奈良県と奈良労働局が設立した「障害者はたらく応援団なら」に登録企業として参画したことをきっかけに、本格的に障害者雇用に取り組むこととした。  障害者就職面接会に毎年参加し障害者を雇用しているほか、地域の就労支援機関からの職場実習の受け入れも行っている。 紹介内容 精神障害、発達障害 【従事作業】 客室清掃(ハウスキーパー) 障害者の雇用形態・勤続年数 雇用形態 正社員 週の労働時間に変動なし 0人 週の労働時間短縮などの変動あり 0人 正社員以外 (契約社員など) 週の労働時間が30時間以上 0人 週の労働時間が20~30時間未満 3人 週の労働時間が20時間未満 9人 勤続年数 ~2年未満 6人 2~3年未満 3人 3~4年未満 2人 4~5年未満 0人 5年以上 1人 企業の声 山本 恭司さん(総支配人室 管理統括支配人) 精神障害者の採用を始めたのは、4年ほど前に、奈良労働局が主催する障害者就職面接会に初めて参加してからです。 ハウスキーパー(客室清掃員)は通常4時間勤務で、長時間働けない障害者にも働きやすい環境であることから、精神障害者の採用に対するハードルは低かったと思います。また、当社では以前から外国籍の方や高齢者が多く働いており、仕事のやり方をわかりやすく伝える土壌があったことも幸いしました。 精神障害者には体調の波がありますが、これは障害がない方も同じです。フロアー班長には社員に確実に声かけをしてもらい、体調を見て休憩させたり早退させたりすることを徹底しています。また、何かあったときは地域の就労支援機関のサポートを受けることができます。困ったときに相談できるので、ありがたく感じています。 人手不足のなか、精神障害のある社員は当社にとって大きな戦力になっています。今後は、すでに活躍している社員に、新たに雇用される障害のある社員に仕事を教えたり、自分の経験を伝えたりする立場になってもらいたいと考えています。 社員の声 Aさん(勤続2年4か月) 客室のバスルームやトイレの清掃業務のほか、特別なお客様が宿泊される部屋を徹底的に清掃する「特別清掃」を担当しています。 私は、たくさんのことを同時に行うのが苦手で、ベッドメイキングの仕事がどうしてもうまくできませんでしたが、ハウスキーピング主任が、「バスルームとトイレを徹底的に清掃する人になってほしい」と言ってくれました。 最初は、本当にバスルームとトイレの清掃業務だけでよいのか悩んだのですが、私が能力を発揮できる仕事として会社が認めてくれたことがわかって、安心して働けるようになりました。 仕事のやりがいを感じるのは、自分の清掃をほかのハウスキーパーやお客様からほめてもらったときです。「お客様がバスルームがきれいだったとほめていた」と教えてもらうときが、自分がこの会社にいてよかったと感じる瞬間です。 現場担当者の声 関西 美代子さん(ハウスキーピング主任) 障害のある社員を採用してから、社員全体の雰囲気がよくなりました。障害のある社員をなるべくほめるように心がけているうちに、声がけする自分たちや周りのスタッフも気持ちが前向きになり、自分の担当の部屋の清掃が終わった社員が作業が遅れている部屋の清掃を手伝うようになるなど、チームワークがとても向上しました。 毎日の業務終了後、フロアー班長たちが、休憩室でお茶を飲みながら、障害のある社員の体調や作業の様子について情報交換しています。障害のある社員への接し方やほめ方なども、この情報交換の場で自然に共有されています。 障害のある社員への対応方法は、そのほかの社員への対応にも応用できます。社員には外国人や高齢者などさまざまな者がいますが、それぞれの個性に応じた対応がとれるようになり、職場全体の生産性が上がっています。 P34-P35 改善前の状況 ハウスキーピング業務にはベッドメイキングとバスルーム・トイレ清掃の2つの作業があるが、障害のある社員の中にはこれらを1人でこなすのが困難な者がいた。 改善策1 本人の得意な作業に特化した業務分担を行うとともに、「なるべくよいところを見つけて褒める」ことにより、能力を最大限引き出す ①本人の得意な作業に特化した業務分担  ハウスキーピング業務には、ベッドメイキングとバスルーム・トイレ清掃の2つの作業がある。同社では、1部屋を1人で担当するのを基本としており、ハウスキーパーはこれら2つの作業を1人で行うことになっている。  しかし、障害のある社員のなかには、この2つの作業を1人で行うことがむずかしい社員がいる。例えば、Aさんは、ベッドメイキング作業のシーツの交換が苦手であった。  一方、Aさんには、ひとつの作業に集中すると高い能力を発揮する傾向があり、バスルーム・トイレ清掃に関しては、他の人が気づかない汚れにも気づく能力があった。  そこで、フロアー班長の提案により、Aさんには、主にバスルーム・トイレ清掃を担当してもらうことにした。 ②フロアー班長による作業指導  ホテルの各階には、フロアー班長が配置されており、当日割り振られた客室清掃の進行管理や清掃箇所の点検、作業指導などを行っている。  各フロアー班長はシフトにより出勤日が異なるが、業務時間終了後に、フロアー班長同士で情報交換を行っている。そのため、どのフロアー班長も、常に障害のある社員の体調の変化を把握できている。また、この情報共有の機会を通じて、障害特性に応じた指導を皆が統一的に行うことができている。  障害のある社員の作業指導を行う際には、「なるべくよいところを見つけてほめる」ことを心がけている。ポジティブな声かけをすることにより、モチベーションが上がるだけでなく、本人の能力を引き出すことにもつながっている。 改善後の効果 得意な作業に専念した結果、Aさんのバスルーム・トイレ清掃の能力は高い水準まで向上し、特別に念入りな清掃を行う「特別清掃」を任されるまでになった。 また、各フロアー班長が密な情報交換を行い、障害のある社員の体調の変化や障害特性に関する情報を共有することによって、的確な指導を行うことが可能となっている。 バスルーム清掃を行うAさん、フロアー班長から作業指導を受けるAさんの写真を掲載 改善前の状況 精神障害のある社員については、疲労の蓄積により体調をくずし、離職につながる可能性が考えられたことから、各人の状況に応じて、疲労に配慮した勤務時間をきめ細かく設定するとともに、体調の変化をなるべく早く把握し、適切な対応を行う必要があった。 改善策2 ジョブコーチ支援や就労支援機関も活用し、疲労に配慮した勤務時間などの設定や体調の変化に的確に対応した雇用管理を実施 ①ジョブコーチ支援や就労支援機関の活用  障害のある社員を採用する際には、奈良障害者職業センターのジョブコーチ支援を活用し、作業手順をわかりやすく伝えるための方法や体調管理についての助言を受けている。  また、職場定着については、地域の就労支援機関を活用している。障害のある社員は、体調が悪くなっても会社に遠慮して言い出せないことがある。そのため、同社では、障害のある社員に対し、会社に言いにくいことは就労支援機関に相談するように指導している。 ②疲労に配慮した勤務時間・勤務日数の設定  精神障害のある社員の勤務日数や勤務時間の設定にあたっては、疲労がたまらないようにすることに最も留意している。  具体的には、日々の体調変化や本人の意向のほか、ジョブコーチや就労支援機関の意見もふまえ、各社員の状況に応じてきめ細かく設定している。  勤務日数については、最初は疲労に配慮して週2~3日程度の勤務から始めることが多いが、徐々に勤務時間を延長した結果、週4~5日勤務となっているケースも多い。 ③始業時ミーティングでの体調の把握  始業時のミーティングの際に、ハウスキーピング主任が必ず社員全員に声をかけ、顔色や声のトーンを見聞きしながら、体調の変化を把握している。  顔色、体調がすぐれないとフロアー班長が判断した場合、ハウスキーピング主任に状況報告し、社内で一時休憩をとる、早めに帰宅させるといった対応をとっている。 改善後の効果 精神障害のある社員について、疲労がたまらないような勤務時間・勤務日数の設定を行うとともに、体調の変化を常に把握し、的確な雇用管理を行っていることにより、ほとんどすべての社員が大きく体調をくずすことなく勤務を続けている。 清掃の様子と清掃道具とフロアー班長のみなさんと一緒に写る写真を掲載 P36-P37 障害者雇用職場改善好事例 奨励賞 平成30年度 みやぎ生活協同組合 (宮城県仙台市) はじめての事務職での障害者雇用に当たって、指導担当者を選任し受入体制を整備するとともに、障害者自身の職業能力を向上して他部署からの信頼を獲得。 事業所の概要  みやぎ生活協同組合は、昭和57年に宮城県学校生協と宮城県民生協が合併して誕生。当時も大型生活協同組合同士の合併として注目されたが、以後も着実に事業を拡大。現在の加入メンバー数は73万人、供給高1,038億円。宮城県内で店舗49店、共同購入11センターを運営しているほか、文化・サービス事業、レストラン事業、福祉事業なども実施。 従業員数 3,576人 業種および主な事業内容 小売業 供給事業(店舗・共同購入)、文化・サービス事業、レストラン事業、福祉事業、受託共済事業 ほか 障害者雇用の経緯  みやぎ生活協同組合の理念「わたしたちは、協同の力で、人間らしいくらしを創造し、平和で持続可能な社会を実現します」に基づき、昭和60年から身体障害者の雇用を開始。平成8年に初めて知的障害者を雇用し、その後、精神障害者・発達障害者の雇用にも拡大。雇用した障害者(身体障害を除く。)は県内各地の店舗を中心に配置していることが特徴。 紹介内容 発達障害 【従事作業】 事務補助(パソコン入力、コピー、郵便物処理など) 障害者の雇用形態・勤続年数 雇用形態 正社員 週の労働時間に変動なし 9人 週の労働時間短縮などの変動あり 0人 正社員以外 (契約社員など) 週の労働時間が30時間以上 72人 週の労働時間が20~30時間未満 9人 週の労働時間が20時間未満 0人 勤続年数 ~2年未満 27人 2~3年未満 11人 3~4年未満 9人 4~5年未満 3人 5年以上 40人 企業の声 大越 健治さん(代表理事 専務理事) 協同組合は自助、自己責任、民主主義、平等、公正、そして連帯の価値を基礎とし、組合員は正直、公開、社会的責任そして他人への配慮という倫理的価値を信条としており、この理念などに沿って障害者雇用を進めています。 みやぎ生活協同組合では、各店舗に障害のある方を少人数ずつ配置して、働いてもらっています。店舗によっては、バックヤード作業だけではなく、品出しなども担当してもらっています。各店舗とも他の社員が見守り役として一緒に働いてくれていますが、他の社員自身も、障害がある方と関わることで、他人を思いやる、配慮の意識が醸成されていると感じます。 Aさんに関しては、雇入れ直後は挨拶や会話も少なかったのですが、現在は明るく積極的に会話をされるようになり、仕事を通じて成長されたことがわかります。 今後は、みやぎ生活協同組合・コープふくしま・福島県南生協の組織合同や、将来の法定雇用率の上昇も見すえ、更なる障害者雇用の拡大をしていく必要があります。他方で人材不足の部署もありますので、従来のような店舗への配置だけではなく、新たな職域での障害者の雇用についても検討し、取り組んでいきたいと考えています。 社員の声 Aさん(勤続7年) 資料の準備の仕方、コピー機の使い方など、作業に関していろいろなことを教えてもらえることは、同じ作業を次に行うときにも活かせるので、勉強になります。指示されたことは、ノートにメモやイラストで記録してから作業を開始し、間違えないようにしています。教えてもらったとおりできるように注意しながら作業しているので、やり終えたときにほっとすると同時に、充実感が得られます。 今後は、他の人と協力しながら仕事をしたいです。他の人が、仕事の仕方がわからない場合には教えてあげたいですし、困っている場合には助けてあげたいと思います。 現場担当者の声 伊藤ふみ子さん(労政部 厚生課) Aさんに仕事をお願いするときは、あいまいな指示をしないで具体的にわかりやすい指示をする、作業前に見本を見せるなどの工夫をしています。また、口頭だけでなく、紙に書いて視覚化して示したほうが理解してもらえます。一緒に仕事をしているので、「手が動いていない」と感じたときは声をかけて、問題点を確認します。Aさんが理解しやすいように作業の段取りを組み直せば、スムーズに作業ができ、スピードアップも図れます。 Aさんは一日の作業を自分で管理できるようにもなっており、例えば、勤務時間中に手が空いたときには、明確な指示をしなくても、自主的に他の仕事をするまでに成長できました。 こうしたAさんの能力が、他部署の方にも理解してもらえるようになり、最近では安心して仕事を依頼してもらえるようになりました。 P38-P39 改善前の状況 各店舗の売り場・バックヤードや生産部センターの製造部門での障害者雇用は進んでいたが、本部の事務部門では身体障害者以外の雇用が進んでいなかった。障害者の職域を拡大するため事務部門でも発達障害のあるAさんを雇い入れることとなったが、仕事の切り出しや指導の仕方が課題となっていた。 改善策1 指導担当者の選定と指導方法の工夫で、作業が確実かつスピーディに改善。作業水準を高めて、他部署へ積極的に売り込み ①指導担当者の選任  Aさんが配置された労政部では、組合全体の障害者雇用の管理を行っており、障害に対する一定程度の理解はあったが、事務職での初めての雇用事例であり、仕事の切り出しや職場定着に向けた指導のためには、Aさん個人に向き合った伴走的なサポートが必要と考えられた。  このため、Aさんと一緒に働いている伊藤さんを指導担当とすることとした。 ②指導担当者の育成  伊藤さんは、障害特性への理解を深めつつ、一緒に働く際の留意点や、わかりやすい指導方法などについて学ぶため、企業在籍型ジョブコーチ養成研修など、障害者雇用に関する研修、セミナーなどを積極的に受講した。 ③日報の作成  一週間分の始業から終業までの作業の予定を「週間業務計画」としてあらかじめ作成しておき、その下に、実際に処理した作業内容と、一日のなかで「がんばったこと・気になったこと」を記載する「日報」を毎日作成している。日報は伊藤さんが毎日チェックすることで、Aさんが困っていることがないかも把握することに役立つので、次の指導に活かすことができた。(61ページ参照) ④他部署への仕事の切り出しの依頼  業務の拡大に向けて、Aさんができそうな業務があれば、伊藤さんは、他の部署の担当者に「Aさんができるので担当してもらいましょうか」と積極的に売り込んだ。最初は断られることも多かったが、「集中して作業をすればスピードも速く確実な作業ができる」ことを説明した。 (具体例) 使用済み切手を切り取る作業 「切手の周りを1cm残して切る」ではなく、1cmのガイドになる定規を作成し「切手に定規をあてて、定規にあわせて切る」ように指導したところスピーディに作業ができるようになった。 改善後の効果 Aさんにとってわかりやすい作業指示などに配慮したことで、Aさんの作業は確実かつスピーディに処理でき、周囲からもよくやっていると理解が得られた。その結果、他部署からの仕事の依頼が増えただけでなく、他部署でも事務職で障害者を雇用することになった。 改善前の状況 あいまいな指示をしただけでは、どのように作業を進めていいのかわからず戸惑うことや、効率的でない方法で作業を進め時間がかかることがあった。また、作業量が多すぎたり、単調な作業が続いたりすると、意欲が低下してしまうことがあった。 改善策2 作業マニュアルの作成や、作業の進行管理を自分で行えるよう工夫することにより、効率化 ①作業マニュアルの作成  作業工程の順番、作業の対象物や作業で使う道具、作業中の留意点などについて、作業を行う前に伊藤さんが具体的にわかりやすく教え、実際に実演してみせるだけでなく、Aさん自身が、ノートに書き残すこととした。Aさんはイラストを描くのも得意であったことから、ノートには文字だけではなく、イラストも使って記録した。 ②作業指示の工夫  作業量が多いときは小分けして指示する、単調な作業が続かないように複数の作業をお願いし組み合わせにも配慮する、苦手な作業が続かないようAさんが得意とするパソコン業務を途中で取り入れるなど、意欲が低下しないように工夫した。 ③自主的な作業進行管理  一日の作業の予定は、Aさん自身が、時系列で作業内容をホワイトボードに貼り付けている。作業が終わるとホワイトボードから取り外していくので、Aさんだけでなく、周囲の者も、作業の優先順位や進行状況がわかるようになっている。 改善後の効果 マニュアルの作成により、一度教えた作業は細かく指導しなくても確実に同じ方法で作業を進められるようになった。また一日の作業スケジュールを作ることで、自主的に作業を進められるようになり、正確性、スピードともに高くなった。 改善策1(38ページ)とあわせ、他部署からの信頼もより高まった。 作業マニュアルの1ページ、複数の資料をセットする工程が記載されている写真を掲載 ある日のホワイトボードの写真を掲載 P40-P41 障害者雇用職場改善好事例 奨励賞 平成30年度 ポラスシェアード株式会社 (埼玉県越谷市) 業務の繁閑にともなう相互の助け合いをルール化することにより、無理せず休みやすい職場環境を整備。本人の能力や意欲に応じたキャリアパスを設定し、モチベーションの維持とキャリアアップを実現。 事業所の概要  平成27年2月に設立。同年4月に戸建分譲事業や注文住宅事業などを行うポラスグループの統括会社であるポラス株式会社の特例子会社として認定を受ける。埼玉県越谷市では初めての特例子会社となる。 従業員数 37人 業種および主な事業内容 ポラスグループ各社の運営にともなう設計補助業務や事務などの代行業務 技術系サポート業務 事務系サポート業務 固定資産サポート業務 障害者雇用の経緯  従来、ポラスグループ各社にて障害者の雇用促進に努めてきたが、より多くの障害者の能力が発揮できる環境や安心して働くことのできる場を提供するために特例子会社を設立し、雇用を進めることとした。 紹介内容 精神障害 【従事作業】 住宅の設計・積算補助業務、書類の電子化業務、貸与品などの発送・在庫管理業務、データ入力業務、パソコン・機密書類などの廃棄に関する業務など 障害者の雇用形態・勤続年数 雇用形態 正社員 週の労働時間に変動なし 8人 週の労働時間短縮などの変動あり 0人 正社員以外 (契約社員など) 週の労働時間が30時間以上 24人 週の労働時間が20~30時間未満 0人 週の労働時間が20時間未満 0人 勤続年数 ~2年未満 12人 2~3年未満 5人 3~4年未満 7人 4~5年未満 8人 5年以上 0人 企業の声 岩井 学さん(部長) ポラスグループでは、埼玉、千葉を中心に地域に密着した戸建分譲や注文住宅など、住宅全般にかかわる事業を展開しています。良質な住宅や街並みを供給することとあわせて、地域の障害のある方を雇用することも地域貢献につながると考えています。グループ各社で雇用を進めていくなかで、障害のある方が長く働き続けることのできる環境を整備するため、平成27年2月に特例子会社を設立しました。 特例子会社のメリットは、採用や雇用管理に関して、グループ各社で雇用を進めていたときよりもノウハウの蓄積が進んだこと、障害のある方の採用にあたって、どのような職務で採用するか、どのような配慮が必要かなどを親会社と情報共有しながら進めることができるようになったことです。 やりがいを持ちながら働いてもらうことができるよう、業務を増やしたり、会社として利益を出し続けられるようにしたいと考えています。 また、障害のある方の管理職登用や経営企画に参画してもらえるよう、社員の育成を進めていきたいと考えています。 社員の声 小林 美香子さん(勤続4年1か月) マンション管理の理事会の議事録作成や、機密書類、産業廃棄物の処分業者の手配などを担当しています。仕事を続ける上では、睡眠時間の確保、体調管理に気をつけています。 いまの会社は、定期通院の配慮を認めてもらっているので働きやすいです。 入社当時パートから始めて、現在は正社員としてチームリーダーを拝命しています。戦力として認めていただいていることもありがたいです。 依頼元のグループ会社社員から仕事の成果に関して感謝されたときは、やりがいを感じます。チームリーダーとして責任は増えますが、負担にならないよう、わからないことは上司に相談しながら仕事を進めています。自分一人でできる仕事の範囲を広げていきたいと考えています。 守屋 昌敏さん(勤続3年4か月) グループ各社の社員に貸与している携帯電話、スマートフォン、タブレットの管理業務や同業他社がどのような物件を売り出しているか市場調査を行っています。年賀状のデザイン、職場実習生や、当社見学者への対応もしています。 チームリーダーをしていますが、作業を指導するときは、個々人の個性をふまえてわかりやすく伝えるよう意識しています。チームリーダーとして指導をした後輩が積極的に仕事をこなしている姿を見ると、嬉しく思います。 前職では、仕事の休みの都合上、通院時間の確保に苦慮しました。いまの職場では、週休2日が確保されているので、通院時間が確保され体調管理がしやすくなったことがありがたいです。 他の社員がチームリーダーに登用され一緒に仕事ができるよう、切磋琢磨していきたいです。また、障害のあるなしにかかわらず、社員同士の関係を円滑にする潤滑油のような存在になりたいと思っています。 現場担当者の声 鈴木 英生さん(ビジネスサポート課 課長) 障害のある社員が体調不良などで2日間連続で会社を休んだ場合は面談を行っています。通院や服薬状況、体調を確認した上で、勤務時間や業務量の配慮を行うことがあります。就労支援機関に登録している人については、必要に応じて就労支援機関に生活面のサポートを依頼することもあります。 業務の確保に関しては、親会社やグループ各社が行っている業務を切り出し、当社がになうことにより、業務効率化に貢献しています。 さまざまな業務をマニュアル化しており、繁忙のときには、主担当以外の社員にもヘルプをお願いしています。ヘルプを通じて、日ごろ担当していない業務を経験する機会となりステップアップにつながっていると思います。 P42-P43 改善前の状況 体調の波により、仕事を休んだり、量を調整したりすることが必要な社員がいる。また、業務の繁閑により、特定の社員に業務がかたよったり、時間を持て余す社員が出た際の調整をする必要があった。 改善策1 業務の繁閑にともなう助け合いのルール化により、各自の業務量を平準化 ①複数人による業務担当制  一人ひとりの障害特性に配慮し、主となる担当業務を決めているほか、各自が2~3つの業務を担当できるようにしている。一つの業務に対し複数の社員で対応できる体制にすることで、業務負担が特定社員にかたよらないように留意している。新たな業務を担当する際には、本人と面談を行い、負担はないか、やってみたい仕事は何かを確認しながら決めている。 ②ホワイトボードを活用した業務の繁閑の見える化  事務所壁面に大型のホワイトボードを3枚設置し、社員の出勤状況や、受注している業務の進捗状況、来客情報などを記載し、管理・共有することにした。  情報共有を電子化せず、誰もが見やすい場所で集約して管理することにより、各自がおのずと会社全体の状況を知り、自身の担当している業務の繁閑などについて、見通しが立てやすくなった。  また、障害特性上、自らの状況を伝えることを苦手としている社員にとって、ホワイトボードを活用することにより、仕事の進捗を周囲に見える化できるメリットがあり、管理担当社員や同僚によるサポートが得られやすくなっている。 ③ヘルプ業務制の導入  複数人による業務担当制、業務の繁閑の見える化を活かして、「ヘルプ業務制」を導入した。  各自が業務進捗状況をチェックし、毎日の始業ミーティング開始前までに、ホワイトボードの「ヘルプ業務」欄に、ヘルプを依頼する者の氏名、業務内容、期限、緊急度を記載する。時間的な余裕ができた者は、ヘルプ業務欄を確認し、応援を要請している社員と役割分担などを調整のうえ実施している。ヘルプ業務制で行う業務は、誰もが作業をしやすいようマニュアル化している。 改善後の効果 業務の滞りが減り、協力しながら進めることで、無理せず自分の体調に応じて休みが取得しやすい職場環境となった(有給休暇取得率77%)。 ホワイトボードに業務の進捗を記入、ヘルプ業務のマニュアルの写真を掲載 改善前の状況 障害のある社員個々のモチベーションの向上とスキルアップにつなげていく仕組みを検討していた。 改善策2 客観的な指標を用いた目標管理を行うとともに、能力に応じたキャリアパスを設定 ①育成担当者の選任で入社時の不安を軽減  業務は複数人体制で行っているため、新入社員は主担当者と業務の進め方を相談できる体制となっている。これに加え、業務以外の会社のルール(休憩の取り方)や庶務手続き、個々人の悩みを相談できる体制を整えるため、「育成担当者」を選任することとした。  あわせて「引継チェックリスト」を作成し、育成担当者から伝達すべき内容の明確化と漏れを防ぐことで、入社時の不安の軽減につなげている。 ②客観的な指標を通じて、自分の成長を実感  同社では、各自が担当している業務の多くについて、業務開始時間と終了時間、処理件数などを記録することをルールとしている。月に1回実施している定期面談では、「担当する業務の1件あたりの処理時間」「ミス率」などの客観的な数値指標を目標として設定している。  客観的な数値目標を設定することで、上司の評価においてあいまいさがなくなり、障害のある社員にとっても納得感があり、次に目指すところがわかりやすいというメリットがある。 ③定期面談により個々の特性に応じた目標を設定  数値目標を設定することは、本人にとって少なからずプレッシャーになることがあるため、管理担当社員が本人と十分な意思疎通を図ったうえで目標設定することを徹底している。他の社員との比較ではなく、以前の自分と比較し向上できているかということに視点を置いている。なお、目標設定したものの、本人の状況をふまえて再調整を行うこともあり、個々の特性に応じた目標設定をしている。  管理担当社員は本人に「期待している働き」を明示したうえで数値目標を設定し、定期面談を通じて実績・達成率などの成果を確認している。このような一連の流れを通じて、働くことに対するモチベーションの維持、スキルアップ、キャリアアップにつなげている。 ④本人の能力や意欲に応じたキャリアパスの設定  本人の能力や意欲に応じ、パート社員から契約社員、正社員への登用、チームリーダーの任命などの役割を与え、キャリアパスを明確にしている。正社員は、職級が6段階にわかれており、さらなるキャリアアップにつながっている。  また、キャリアアップの動機づけの一つとして、目標の達成状況をふまえ、翌年の給与、賞与への反映、チームリーダーへの手当を支給している。 改善後の効果 パート社員で採用された者がキャリアアップして正社員に登用された。 目標管理シート、デスクで作業する守屋さんの写真を掲載 P44-P45 障害者雇用職場改善好事例 奨励賞 平成30年度 株式会社アダストリア・ゼネラルサポート (東京都渋谷区) 全国の事業所において複数名の定着支援員を配置し、職場定着を推進。褒賞制度、評価制度を導入し、障害者の能力開発とモチベーション向上を実現。 事業所の概要  平成25年12月に設立。平成26年4月に株式会社アダストリアの特例子会社として認定を受ける。平成28年3月に「精神障害者等雇用優良企業」の認証を取得。山形県、群馬県、茨城県、福岡県、大阪府に事業所を有する。親会社は、衣料品・雑貨などの企画・製造・販売を行っている。 従業員数 273人 業種および主な事業内容 グループ各社への総合サービス提供 事務サポート業務(事務センター) 物流サポート業務(物流センター) ショップサポート業務(店舗) 障害者雇用の経緯  アダストリアグループ化の前は、株式会社ポイント、株式会社トリニティーアーツの事務センターおよび物流センターで障害者を雇用。上記2社の事務センター機能を分社化し、同社設立。特例子会社として物流サポート業務、ショップサポート業務へ活躍領域を拡大し、障害者雇用を推進。 紹介内容 精神障害、発達障害 【従事作業】 店舗からのシーズンアウト商品の仕分け・棚卸など 売上関連伝票チェック、旅費交通費チェックなど 障害者の雇用形態・勤続年数 雇用形態 正社員 週の労働時間に変動なし 57人 週の労働時間短縮などの変動あり 5人 正社員以外 (契約社員など) 週の労働時間が30時間以上 103人 週の労働時間が20~30時間未満 33人 週の労働時間が20時間未満 2人 勤続年数 ~2年未満 85人 2~3年未満 23人 3~4年未満 16人 4~5年未満 24人 5年以上 52人 企業の声 橋本 勝志さん(代表取締役社長) 障害者が活躍できる企業は、誰もが活躍でき成長できる企業との考えから雇用を進めてきました。障害者雇用による効果として実感していることは、まず、人材管理マネジメントの能力が向上することです。チームリーダー、先輩社員は障害のある社員と個々に向きあうことで、それぞれの社員の特性に応じたマネジメントを求められるからです。 次に、障害のある社員に適した仕事を切り出せば、他の社員は新たな価値ある仕事を生み出す機会を得ることが可能となります。さらに、個々の特性によっては、他の社員以上の作業効率で仕事に取り組んでくれる障害のある社員がいます。 当社で働きたい人、業務にマッチングする方であれば採用を進めていく予定です。また、グループ企業全体において障害者雇用が促進されるよう、当社の経験を伝えていきたいと考えています。 社員の声 木村 健さん(高崎事務センター・勤続5年8か月) 売上伝票のチェックや、Webサイトに当社製品の写真が無断転載されていないかなどのチェックをしています。 会社では個別面談の時間をとって、会社で必要なマナーや疲労が溜まったときの休息の取り方について相談できたことがよかったです。 自分が経験していない印刷業務や旅費業務を体験してみたいです。より多くの種類の業務をこなして、正社員を目指したいです。 Aさん(藤岡DC・勤続4年9か月) 店舗のシーズン毎の商品の棚入れ棚卸しの業務を担当しています。1チーム6人のチームリーダー候補として、作業の説明や指示をしています。他の社員に対して、わかりやすく説明できたときはやりがいを感じます。 いまの会社は、自分のキャリアアップや課題に対して、個別面談を通じてわかりやすく具体的な目標を示してくれることが良かったです。 チームリーダーとなり経験を重ねて正社員になることを目指したいです。 Bさん(藤岡DC・勤続3年4か月) 不良品の受領、不良内容のチェック、仕分け、メーカーへの返品作業をしています。また、チームのサブリーダーとして、リーダーの補佐をしています。 リーダー不在時に仕事のやり方を説明したり、段取りを組んだりします。チームの仕事がスムーズに進んでいるときにやりがいを感じます。  仕事をする上で心がけていることは、体調管理です。睡眠、食事、生活リズムを整えることを意識しています。仕事上の心配事を溜め込んで体調不良を引き起こさないよう、定着支援担当者と面談の機会があることがありがたいです。気持ちを切り替えて仕事に取り組めています。 熱中症予防のために1時間ごとに水分補給する時間があるのは、自分にとっては集中しすぎて疲労が溜まるのを軽減してくれる機会にもなり助かっています。 新しい仕事を覚えてステップアップをしたいです。チームリーダーになって、他の社員をサポートし、働きやすい職場づくりに貢献したいです。 現場担当者の声 齋藤 真紀さん(高崎事務センター) 体調の変化が見られたときは、早めに面談をして障害のある社員の困っていることや不安の軽減に努めています。毎朝、チームミーティングを行い、体調のチェックや顔色を見ることで、変化をとらえるようにしています。 木村さんは、体調は安定しており、他のチームが忙しいときには、何かできることはないかと気遣って声をかけてくれます。パソコンを操作しての業務が得意で、入力チェックのスピードも早く戦力になっています。 P46-P47 改善前の状況 会社設立当初から定着支援の重要性は認識していたものの、当時、定着支援担当者は高崎事務センターに配置された1人のみであった。そのため、定着支援担当者が1人で各拠点を巡回する必要があり、タイムリーな支援や就労支援機関との連携にも限界があった。 改善策1 各拠点へ定着支援担当者を配置し、就労支援機関と連携した職場定着支援を実施 ①定着支援担当者の各拠点への配置  定着支援担当者を各拠点に配置し採用に当たっての求人内容の検討、職場見学、職場実習のコーディネート、障害のある社員との面談による定着支援を行うほか、業務が円滑に進むようチームリーダーや他の社員との人間関係構築に注力している。 ②外部の就労支援機関との連携  地域障害者職業センター、障害者就業・生活支援センター、特別支援学校、就労移行支援事業所などと連携している。  精神障害のある社員の在籍割合が高いため、医療機関との連携も欠かせないが、同社では医療機関と直接やり取りをすることは少なく、本人をよく知る就労支援機関を通じて情報共有をしている。 ③個人日報などの支援ツールの活用  体調が悪いと仕事のパフォーマンスに影響する。日々、個人日報を作成することで、パフォーマンスの変化を見ている。また、体調や気分、服薬情報を記入することができる様式になっており、本人とチームリーダー、定着支援担当が確認している。体調の変化を把握した場合は、個人面談の設定により課題事項の早期解決につなげている。(58ページ参照) ④上司、同僚へのメンタルヘルスケア  同社では、ライン長(拠点長、定着支援担当者、店長、リーダー)が社員の健康や障害の症状・特性について質問したり、対処法について相談することのできる保健師による相談窓口「スタッフ支援ホットライン」を設置している。  医学的な観点でタイムリーに相談できることはライン長の不安軽減につながっている。また、ホットラインとは別に、精神科の産業医が定期的に拠点を巡回し、社員のメンタルヘルスケアをサポートしている。(53ページ参照) ⑤定着支援担当者同士の情報交換  各拠点に定着支援担当者が配置されていることから、拠点間の情報共有やスキルアップを目的に、月に1回Web会議にて「共有ミーティング」を実施している。就業中の社員に対して実施した個別支援や職場環境改善の内容の報告などを行っている。 改善後の効果 各拠点に定着支援担当者が配置されたことにより、障害のある社員からの相談に迅速に対応できるようになった。 また、地域の就労支援機関との連携が進み、雇用の促進と職場定着につながった。 業務報告(週報)、伝票チェック作業の写真を掲載 改善前の状況 期間雇用者(半年毎の契約更新)の定着率を高めるため、社員のスキルやモチベーション向上につながる仕組みが必要であった。 改善策2 褒賞制度、評価制度の導入により、スキルやモチベーションを向上 ①褒賞制度の導入  雇用契約で定めた労働時間を安定して勤務できた場合や、障害者技能競技大会(アビリンピック)、障害者スポーツ大会に参加した場合は、活躍に応じた特別手当を支給している。平成29年度は総勢92人が褒賞の対象となった。平成30年度においても、130人を超える社員が対象となっている。特に、アビリンピックへの参加は、各自のスキルアップにつながることから、積極的に推奨している。 ②評価制度の導入  期間雇用者に対し、半年に1回、OJTチェックリスト、スキルマップシートを活用し、業務の習得度や目標設定、課題対策について面談により評価を行っている。  OJTチェックリストは、自己評価と上司の評価を記載する欄があり、両者の評価に差異があった事項を重点的に話しあっている。この評価をもとに、社員登用や昇給に活用している。(56ページ参照) 改善後の効果 OJTチェックリストを活用した評価、具体的な目標設定および褒賞制度により、安定的な勤務やスキルアップへのモチベーションが高まった。 その結果、障害のある社員がチームリーダーや正社員へ登用されるといったキャリアアップにつながった。 褒賞制度案内、物流センターの様子、OJTチェックリスト(物流センター)の写真を掲載 P48-P49 職場改善に役立つ 資料・支援ツール 職場改善のために作成した資料や精神障害・発達障害のある方などに対して用いた支援ツールなどを、取材先事業所のご了解のもと、掲載しています。職場改善に役立つ実践的な資料ですので、是非、参考にしてください。 資料・支援ツールリスト 合同会社DMM.com ①在宅チームサイト 株式会社湘南ゼミナールオーシャン ①セルフケア道具箱 ②手順チェックリスト ③作業効率管理シート 株式会社アダストリア・ゼネラルサポート ①「スタッフ支援ホットライン」のご案内 ②業務報告(週報):事務センター ③雇入れ時の自己紹介共有シート:事務センター ④電話応対資料(電話の受け方・かけ方):事務センター ⑤OJTチェックリスト《スタッフ編》:物流センター ⑥個人日報:物流センター ⑦業務日報(定着支援担当者用):物流センター みやぎ生活協同組合 ①作業手順書 ②週間業務予定表 ポラスシェアード株式会社 ①目標管理シート ②定期面談シート 合同会社DMM.com ①在宅チームサイト リモートワーカーが知っておくべきルールなどを「在宅チームサイト」にまとめている。 リモートワークでは、自宅に誘惑がたくさんあること、誰も見ていないことから、気が緩む場合がある。長時間、業務をおろそかにすることがないように、新人リモートワーカーに「業務中ルール」を伝えたあと、「4つの心構え」も伝えている。 …DMM.comにおける「中抜け」とは… 定められた小休憩(10分休憩)や、昼休憩以外に15分以上の離席をする場合に、中抜け申請を行う。中抜け時間中は「不就労」扱いとなり賃金は発生しない。 中抜けは自己申請によるもののほかに、「業務中ルール」を違反した場合(昼休憩終了時間になっても、昼寝をしており業務に取りかかれなかったなど)、上司による確認後、違反した時間帯が中抜け扱いとなる。 P50-P51 株式会社湘南ゼミナールオーシャン ①セルフケア道具箱 株式会社湘南ゼミナールオーシャン ②手順チェックリスト ①セルフケア道具箱 体調や気分を整えるための方法と効果について、障害のある社員の実体験をもとに「セルフケア道具箱」として整理している。執務室内のだれもが確認しやすい場所に掲示してある。(30ページ参照) ②手順チェックリスト 作業内容を順番に列挙しているだけでなく、チェック欄が設けられており、実施後にチェックできるようになっている。障害のある社員が作成した。(31ページ参照) P52-P53 ③作業効率管理シート 一人ひとりの作業効率やミス数(チャンス数)をグラフ化することで、達成感が得られやすく、正確性の向上につながった。(31ページ参照) 株式会社アダストリア・ゼネラルサポート ①「スタッフ支援ホットライン」のご案内 上司をサポートする「スタッフ支援ホットライン」の案内。(46ページ参照) ②業務報告(週報):事務センター 体調や気分、服薬情報を記入することができる。 P54-P55 株式会社アダストリア・ゼネラルサポート ③雇入れ時の自己紹介共有シート:事務センター 毎日一緒に働く上でスタッフに理解してほしいことをまとめる資料。 株式会社アダストリア・ゼネラルサポート ④電話応対資料(電話の受け方、かけ方):事務センター 事務センターで電話対応スキルを学ぶために使用している資料。 P56-P57 株式会社アダストリア・ゼネラルサポート ⑤OJTチェックリスト《スタッフ編》:物流センター OJTチェックリスト。スタッフ用のほかにサブリーダー、リーダー用のシートもある。(47ページ参照) 株式会社アダストリア・ゼネラルサポート P58-P59 株式会社アダストリア・ゼネラルサポート ⑥個人日報:物流センター 勤怠や体調を簡便に記入できる日報。(46ページ参照) 株式会社アダストリア・ゼネラルサポート ⑦業務日報(定着支援担当者用):物流センター 定着支援担当者同士が情報共有するために使用している日報。 P60-P61 みやぎ生活協同組合 ①作業手順書 ①のし紙の中央に封筒が置かれるように黒色の背景色にのし紙、封筒の位置を示した台紙を作成する。 (※)原稿ガラスにのし紙と封筒を配置し、原稿カバーを開いたままコピーする方法で台紙を作成した。 ②台紙の上にのしと封筒をセットし折り方の指示を見て仕上げる。 みやぎ生活協同組合 ②週間業務予定表 上段には1週間の業務予定をあらかじめ示している。 下段は行った作業内容を障害のある社員が記録し、毎日、指導担当者に提出する。「確認印」欄には指導担当者からひと言コメントを書いている。(38ページ参照) P62-P63 ポラスシェアード株式会社 ①目標管理シート 各自が担当している業務について「実務目標」を設定し、月1回実施する定期面談で成果を確認することで、モチベーションの維持などにつなげている。 ポラスシェアード株式会社 ②定期面談シート 月1回実施する定期面談で活用しているシート。 P64-P65 応募いただいた事業所 平成30年度の障害者雇用職場改善好事例募集において、全国46事業所からご応募をいただきました。 事業所名 都道府県 1 北雄ラッキー株式会社 北海道 2 松岡満運輸株式会社 北海道 3 有限会社トムセカンド 青森 4 みやぎ生活協同組合 宮城 5 株式会社トヨタレンタリース秋田 秋田 6 岡崎医療株式会社 山形 7 株式会社とうほうスマイル 福島 8 株式会社全国チェーン竜鳳 栃木 9 明電ユニバーサルサービス株式会社 群馬 10 ポラス株式会社 埼 玉 11 ポラスシェアード株式会社 埼玉 12 イオンドットコム株式会社 千葉 13 株式会社アダストリア・ゼネラルサポート 東京 14 ジョッゴ株式会社 東京 15 第一生命チャレンジド株式会社 東京 16 合同会社DMM.com 東京 17 株式会社DTSパレット 東京 18 トッパン・フォームズ株式会社 東京 19 日興みらん株式会社 東京 20 株式会社ミュゼプラチナム 東京 21 ランスタッド株式会社 東京 22 株式会社リクルートオフィスサポート 東京 23 グリービジネスオペレーションズ株式会社 神奈川 24 株式会社湘南ゼミナールオーシャン 神奈川 25 株式会社テラソル 神奈川 26 富士ソフト企画株式会社 神奈川 27 アキタ株式会社 富山営業所 富山 28 長野リネンサプライ株式会社 長野 29 株式会社ムカイ 静岡 30 荒川工業株式会社 愛知 31 中日本ロード・メンテナンス東海株式会社 豊田事業所 愛知 32 株式会社びわこビジネスサービス 滋賀 33 株式会社西村製作所 京都 34 サラヤ株式会社 大阪 35 フジアルテスタッフサポートセンター株式会社 大阪 36 株式会社エス・アイ 兵庫 37 株式会社キャッスルホテル 兵庫 38 特別養護老人ホーム萬寿園 兵庫 39 株式会社ホテルマネジメント ホテル日航奈良 奈良 40 株式会社ベネッセビジネスメイト 岡山事業所 岡山 41 株式会社三紅 徳島 42 はーとふる川内株式会社 アグリ事業部阿波事業所 徳島 43 医療法人博愛会 横浜病院 高知 44 株式会社ワイビーエム 岸山工場 佐賀 45 社会福祉法人キャンバスの会 宮崎 46 株式会社ダーバン宮崎ソーイング 宮崎 応募状況 1.産業・事業所種別応募数 業種 計 A.農業・林業 2 農業 2 D.建設業 1 道路建設 1 E.製造業 8 繊維工業 1 印刷・同関連業 2 輸送用機械器具製造業 1 業務用機械器具製造業 2 化学工業 1 なめし革・同製品・毛皮製造業 1 G.情報通信業 5 インターネット附随サービス業 3 情報サービス業 2 H.運輸業・郵便業 2 道路貨物運送業 2 I.卸売業・小売業 4 その他の卸売業 2 各種商品小売業 2 K.不動産業・物品賃貸業 2 不動産賃貸業・管理業 1 物品賃貸業 1 M.宿泊業・飲食サービス業 4 宿泊業 2 飲食店 2 N.生活関連サービス業・娯楽業 1 洗濯・理容・美容・浴場業 1 O.教育・学習支援業 1 その他の教育,学習支援業 1 P.医療・福祉 3 医療業 1 社会保険・社会福祉・介護事業 2 R.サービス業・他に分類されないもの 12 その他のサービス業 9 その他の事業サービス業 2 廃棄物処理業 1 T.分類不能の産業 1 分類不能の産業 1 合  計 46 2-1.企業規模別応募数(一般事業所) 企業規模 計 1,000人以上 9 500人 ~1,000人未満 2 300人 ~ 500人未満 3 200人 ~ 300人未満 4 100人 ~ 200人未満 9 50人 ~ 100人未満 1 50人未満 3 合  計 31 2-2.企業規模別応募数(特例子会社) 企業規模 計 1,000人以上 500人 ~1,000人未満 300人 ~ 500人未満 1 200人 ~ 300人未満 3 100人 ~ 200人未満 1 50人 ~ 100人未満 4 50人未満 6 合  計 15 3.部門別応募数 企業規模 計 一般事業所(中小企業) 17 一般事業所(その他) 14 特例子会社 15 合  計 46 P66-P67 平成30年度障害者雇用職場改善好事例募集要項 1 趣旨  障害者雇用において雇用管理、雇用環境等を改善・工夫し、様々な取組を行っている事業所の中から、他の事業所のモデルとなる好事例を募集し、これを広く一般に周知することにより、事業所における障害者の雇用促進と職域の拡大及び職場定着の促進を図るとともに、事業主の自主的な取組の支援と障害者雇用に関する理解の向上に資することを目的としています。 2 主催 独立行政法人高齢・障害・求職者雇用支援機構 3 後援 厚生労働省 4 募集部門 (1) 一般事業所部門  ア 中小企業部門(常用雇用労働者数300人以下の中小企業)  イ その他部門(上記以外) (2) 特例子会社部門  ※ 上記1の本事業の趣旨や、障害者雇用のより一層の進展のためには中小企業への支援が重要であることから、特に中小企業で雇用を進める上で参考となる取組を幅広く募集することを目的として、中小企業部門を設けます。また、特例子会社については、その設立趣旨に鑑み、特に他の企業のモデルとなる先進的な事例を募集します。 5 募集テーマ 「精神障害・発達障害のある方の雇用促進・キャリアアップに取り組んだ職場改善好事例」 6 募集事例  精神障害・発達障害のある方(以下「対象者」といいます。)の雇用促進・キャリアアップ等に取り組み、雇用拡大や雇用継続等で一定の成果をあげた、次に掲げる職場改善好事例を募集します。 (1) 対象者の障害特性に配慮した職務創出、職場定着、職域拡大、キャリアアップに取り組んだ事例 (2) 対象者の障害特性や職場の状況に応じて、支援機関と効果的に連携し、社内理解の促進や相談体制の整備、職場のサポート体制の整備、職務の見直しなどを行い、対象者の十分な能力発揮や雇用拡大につなげた事例 (3) 職務の見直しなどの環境改善を行い、対象者の職場復帰や雇用継続に取り組んだ事例 (4) ICTを活用した在宅雇用により対象者の雇用促進・職場定着に取り組んだ事例 7 募集期間 平成30年4月1日(日)から5月23日(水)〔必着〕まで 8 応募資格 (1) 上記6に記載の障害者を雇用している事業所 (2) 労働関係法令に関し重大な違反がないこと及びその他の法令上又は社会通念上、表彰するにふさわしくないと判断される問題を起こしていないこと。 (3) 応募事業所において障害者雇用に関する支援・コンサルティングを主たる営業品目としていないこと、かつ自企業グループ内に障害者雇用に関する支援・コンサルティングを主たる営業品目とする企業がないこと。 9 応募方法  同封の応募用紙にご記入の上、下記の送付先あて、郵送または電子メールでご提出ください。 応募用紙は、当機構ホームページからダウンロード可能です。 <応募用紙の送付先・お問合せ先> 独立行政法人高齢・障害・求職者雇用支援機構 雇用開発推進部 雇用開発課 〒261-0014 千葉県千葉市美浜区若葉 3-1-3 TEL 043-297-9515 FAX 043-297-9547 メールアドレス manual@jeed.go.jp <応募に当たっての留意事項> (1) 応募の際、事例の対象となる障害のある方の承諾を得てください。また、障害のある方の氏名の表記は、イニシャルを用いるなど、匿名にしてください。 (2) 応募用紙の「改善前の状況、改善内容、改善後の効果」欄には、「対象者の障害特性や職場の状況と、これらに対応した改善内容」の関係性が分かるようにご記入いただきますようお願いします。 (3) 前年度に入賞した事業所については、前年度と同様の改善事例、または改善内容の一部を変更した事例による応募は認めないこととし、新たな改善事例のみ受け付けることとします。 10 審 査 (1) 独立行政法人高齢・障害・求職者雇用支援機構に審査員会を設置し、応募事例について審査します。 (2) 一般事業所部門(中小企業部門、その他部門)、特例子会社部門の全応募事例の中で最も優秀な事例に最優秀賞(厚生労働大臣賞・1編)を授与します。   また、その他の優秀事例に、優秀賞(独立行政法人高齢・障害・求職者雇用支援機構理事長賞・若干編)、奨励賞(独立行政法人高齢・障害・求職者雇用支援機構理事長賞・若干編)を募集部門ごとに授与します。   なお、審査において同程度の評価を受けた応募事例があった場合は、過去に受賞歴のない企業を優先的に選定します。 (3) 審査結果は、9月上旬までに文書にて事業所に直接通知します。 11 表 彰 最優秀賞及び優秀賞の表彰式は、平成30年9月に東京都内で開催する予定です。 12 留意事項 (1) 応募した文書の著作権及びこれに付随する一切の権利は、当機構に帰属するものとします。 (2) 応募書類は返却いたしません。 (3) 入賞事例については、当機構職員が事業所への取材を行い、事業所名、担当者名、具体的な取組内容を「障害者雇用職場改善好事例集」として取りまとめ、事業所、関係機関、関係団体等に配付するとともに、当機構ホームページに掲載いたします。なお、この場合、障害のある方の氏名、写真の掲載等については、本人の同意が得られた範囲で行います。   また、応募事例についても、「障害者雇用職場改善好事例集」に事業所名、所在する都道府県名を掲載いたします。 (4) 応募に際していただいた個人情報は、当機構が管理し、本事業の実施運営、障害者雇用の普及・啓発に関するご案内のみに使用します。 【審査員の構成】 審査員名 所 属 役 職 倉本 義則 京都女子大学 発達教育学部児童学科 教授 石渡 和実 東洋英和女学院大学大学院 人間科学研究科 教授 遠藤 和夫 一般社団法人日本経済団体連合会 労働政策本部 副本部長 清家 政江 社会福祉法人JHC板橋会 障害者就業・生活支援センター ワーキング・トライ センター長 田中  歩 厚生労働省職業安定局雇用開発部 障害者雇用対策課地域就労支援室 室長 友藤 智朗 独立行政法人高齢・障害・求職者雇用支援機構 雇用開発推進担当理事 (敬称略、所属及び役職は平成30年4月1日現在) P68-P69 障害者雇用を支援する施策 障害者雇用納付金制度 障害者を雇用するには、作業施設や設備の改善、職場環境の整備、特別の雇用管理等が必要とされることが多く、経済的負担が伴うことから、雇用義務を履行している事業主と履行していない事業主とではその経済的負担に差が生じることとなります。 障害者雇用納付金制度は、身体障害者、知的障害者及び精神障害者を雇用することは事業主が共同して果たしていくべき責任であるとの社会連帯責任の理念に立って、事業主間の障害者雇用に伴う経済的負担の調整を図るとともに、障害者を雇用する事業主に対して助成、援助を行うことにより、障害者の雇用の促進と職業の安定を図るため「障害者の雇用の促進等に関する法律」に基づき設けられた制度です。 ◆障害者雇用納付金制度の概要 障害者雇用納付金の徴収 1人当たり月額 50,000円(注) ◯常用雇用労働者の総数が100人を超える事業主は、 ●毎年度、納付金の申告が必要 ●法定障害者雇用率を達成している場合も申告が必要 ●法定雇用障害社数を下回っている場合は、申告とともに納付金の納付が必要 障害者雇用調整金の支給 1人当たり月額27,000円 ●常用雇用労働者の総数が100人を超えており、雇用障害者数が法定雇用障害者数を超えている事業主に対し、申請に基づき支給 報奨金の支給 1人当たり月額21,000円 ●常用雇用労働者の総数が100人以下で、雇用障害者数が一定数を超えている事業主に対し、申請に基づき支給 在宅就業障害者特例調整金の支給 ●在宅就業障害者に仕事を発注した納付金申告事業主に対し、支払った業務の対価に応じた額を、申請に基づき支給 在宅就業障害者特例報奨金の支給 ●在宅就業障害者に仕事を発注した報奨金申請対象事業主に対し、支払った業務の対価に応じた額を、申請に基づき支給 各種助成金の支給 ●障害者を雇い入れたり、雇用を継続するために職場環境の整備等を行う事業主に対し、申請に基づき費用の一部を助成 (注)常用雇用労働者の総数が100人を超え200人以下の事業主は、平成32年3月31日まで納付金の減額特例が適用されます。 1人当たり月額「50,000円」が「40,000円」に減額されます。 (納付金の額=(法定雇用障害者数-雇用障害者数)の各月の合計数×月額40,000円) ◯平成31年度の申告で減額特例の対象となるのは、平成30年4月から平成31年3月までの12か月間に、常用雇用  労働者の総数が200人以下の月が8か月以上(※)ある事業です。 ※年度の中途の事業廃止等の場合は、取扱いが異なります。 平成30年4月1日から障害者納付金制度の一部が改正されました 1.障害者法定雇用率の引き上げ 障害者の法定雇用率が2.0%から2.2%へ引き上げになりました。 2.精神障害者である短時間労働者のカウント方法の変更 精神障害者である短時間労働者であって、新規雇入れから3年以内又は精神障害者保健福祉手帳取得から3年以内の者については、原則として、平成35年3月31日までに雇い入れられた場合又は精神障害者保健福祉手帳を取得した場合に限り、1人を0.5人ではなく1人としてカウントすることとなります。 上記1、2共に、平成32年4月1日から同年5月15日までの間(※)に提出していただく障害者雇用納付金申告書、障害者雇用調整金及び在宅就業障害者特例調整金支給申請書(申告申請対象期間が平成31年4月から平成32年の3月の分)から適用されます。 ※年度の中途の事業廃止等の場合は、提出期限が異なります。 2019年5月1日から新元号となりますが、本頁では5月1日以後も「平成」と記載しています。改元後は新元号に読み替えていただきますようお願いいたします。 お問い合わせ先 都道府県支部 高齢・障害者業務課(75ページ) (※東京・大阪は高齢・障害者窓口サービス課) 障害者雇用納付金制度に基づく各種助成金など (1) 助成金  障害者雇用納付金制度に基づく助成金は、事業主等が障害者の雇用にあたって、施設・設備の整備等や適切な雇用管理を図るための特別な措置を行わなければ、障害者の新規雇入れや雇用の継続が困難であると認められる場合に、これらの事業主等に対して予算の範囲内で助成金を支給することにより、その一時的な経済的負担を軽減し、障害者の雇用の促進や雇用の継続を図ることを目的とするものです。 ■助成金の種類 助成金 内 容 障害者作業施設設置等助成金 障害者を労働者として雇い入れるか継続して雇用している事業主が、その障害者が障害を克服し、作業を容易に行うことができるよう配慮された作業施設、就労を容易にするために配慮されたトイレ、スロープ等の附帯施設もしくは作業を容易にするために配慮された作業設備の設置または整備を行う場合に、その費用の一部を助成するものです。 なお、対象となる障害者が雇用され、または職場復帰もしくは人事異動等から6か月を超える期間が経過しており、作業施設等の設置または整備を行う十分な必要性がないと判断される場合は、助成対象とはなりません。 障害者福祉施設設置等助成金 障害者を労働者として継続して雇用している事業主または事業主が加入している事業主の団体が、障害者である労働者の福祉の増進を図るため、障害者が利用できるよう配慮された保健施設、給食施設、教養文化施設等の福利厚生施設の設置または整備を行う場合に、その費用の一部を助成するものです。 障害者介助等助成金 障害者を労働者として雇い入れるか継続して雇用している事業主が、障害の種類や程度に応じた適切な雇用管理のために必要な介助等の措置を行う場合に、その費用の一部を助成するものです。 重度障害者等通勤対策助成金 重度身体障害者、知的障害者、精神障害者または通勤が特に困難と認められる身体障害者を労働者として雇い入れるまたは継続して雇用する事業主、またはこれらの重度障害者等を雇用している事業主を構成員とする事業主の団体が、これらの障害者の通勤を容易にするための措置を行う場合に、その費用の一部を助成するものです。 なお、対象となる障害者が雇用されて6か月を超える期間が経過しており、その通勤を改めて容易にする必要がないと判断される場合は、中途障害者となった場合または障害の重度化が認められる場合もしくは人事異動等を除き、助成対象とはなりません。 重度障害者多数雇用事業所 施設設置等助成金 重度身体障害者、知的障害者または精神障害者を労働者として多数継続して雇用し、かつ、安定した雇用を継続することができると認められる事業主で、これらの障害者のために事業施設等の整備を行い、モデル性が認められる場合に、その費用の一部を助成するものです。 (2) 障害者職場実習支援事業  障害者を雇用したことのない事業主、精神障害者を雇用したことのない事業主が障害者の受入を進めるため、就職を目指す障害者を対象として職場実習を計画し、実習生を受け入れた場合に、障害者職場実習受入謝金などを支給します。 助成金等の対象費用、助成率、限度額、手続き等の詳細は当機構ホームページでご紹介しています。 https://www.jeed.go.jp/disability/subsidy/ お問い合わせ先 都道府県支部 高齢・障害者業務課(75ページ) (※東京・大阪は高齢・障害者窓口サービス課) P70-P71 特定求職者雇用開発助成金(特定就職困難者コース)  身体障害者、知的障害者または精神障害者等の就職が特に困難な方をハローワーク等の紹介により新たに雇い入れた事業主に対して、その賃金の一部に相当する額を一定期間助成することにより、これらの方の雇用機会の増大を図るものです。 ◯対象事業主 次のすべての要件を満たす事業主です。 ① ハローワークまたは適正な運用を期すことのできる有料・無料職業紹介事業者等の紹介により、身体障害者、知的障害者または精神障害者等(65歳未満の者に限る。)を継続して雇用する労働者として雇い入れ、助成金支給後も引き続き相当期間雇用することが確実であると認められる雇用保険の適用事業主。 ② 対象労働者の雇入れの日の前日から起算して6か月前の日から1年間を経過する日までの間に、当該雇入れに係る事業所で雇用する被保険者を事業主の都合により解雇したことがないものであること。 ③ 対象労働者の雇入れの日の前日から起算して6か月前の日から1年間を経過する日までの間に、当該雇入れに係る事業所において特定受給資格者となる離職理由により雇用する被保険者を、当該雇入れ日における被保険者数の6%を超えてかつ4人以上離職させていないこと。 ◯助成額等 対象労働者 助成金 助成期間 大企業 中小企業※1 大企業 中小企業 身体障害者、知的障害者(短時間労働者 ※2以外) 大企業50万円 1年 中小企業120万円 2年 身体障害者、知的障害者、精神障害者(短時間労働者)大企業30万円 1年 中小企業80万円 2年 重度身体・知的障害者、精神障害者、45歳以上の身体・知的障害者(短時間労働者以外)大企業100万円 1年6ヶ月 中小企業240万円 3年 ※1 ここでいう中小企業の範囲は以下のとおりです。 産業分類 資本または出資額 常時雇用する労働者数 小売業(飲食店含む) 5,000万円以下 50人以下 サービス業 5,000万円以下 100人以下 卸売業 1億円以下 100人以下 その他業種 3億円以下 300人以下 ※2 ここでいう「短時間労働者」とは、1週間の所定労働時間が20時間以上30時間未満の者をいいます。 特定求職者雇用開発助成金(障害者初回雇用コース)  障害者雇用の経験のない中小企業(障害者の雇用義務制度の対象となる労働者数45.5~300人の中小企業)が障害者を初めて雇用し、当該雇入れによって法定雇用率を達成する場合に助成するものであり、中小企業における障害者雇用の促進を図ることを目的としています。 ◯主な受給要件 受給するためには、次の要件のいずれも満たすことが必要です。  [1] 支給申請時点で、雇用する常用労働者数が45.5人~300人の事業主であること。  [2] 初めて身体障害者、知的障害者及び精神障害者(以下「対象労働者」といいます。)を雇い入れ、1人目の対象労働者を雇い入れた日の翌日から起算して3か月後の日までの間に、雇い入れた対象労働者の数(※)が障害者雇用促進法第43条第1項に規定する法定雇用障害者数以上となって、法定雇用率を達成すること。  [3] 1人目の支給対象者の雇入れの日の前日までの過去3年間に、対象労働者について雇用実績がない事業主であること。 ※ 短時間労働者(週の所定労働時間が20時間以上30時間未満の者を言います。)として雇い入れる場合は2人(重度身体障害者または重度知的障害者を短時間労働者として雇い入れる場合は1人)で1人分としてカウントされます。 ◯受給額 120万円 特定求職者雇用開発助成金(発達障害者・難治性疾患患者雇用開発コース)  発達障害者または難治性疾患患者をハローワーク等の紹介により常用労働者として雇い入れる事業主に対して助成するものであり、発達障害者や難治性疾患患者の雇用を促進し、職業生活上の課題を把握することを目的としています。  事業主には、雇い入れた者に対する配慮事項等について報告をいただきます。 また、雇入れから約6か月後にハローワーク職員等が職場訪問を行います。 ◯対象事業主  特定就職困難者コース(70ページ)と同様です。ただし、対象労働者の雇用の状況等その雇用管理に関する事項について、報告書により支給申請にあわせて管轄の労働局に報告する事業主としています。 ◯対象労働者 次の[1]~[3]のすべてに該当する求職者です。 [1] 次の①または②に該当する者 ※1  ※1 障害者雇用促進法第2条第2号に規定する身体障害者、同条第4号に規定する知的障害者または同条第6号に規定する精神障害者である者は除きます。    ① 発達障害者支援法第2条に規定する発達障害者    ② 難治性疾患を有する者(詳しくは雇用関係助成金のご案内等でご確認ください) [2] ハローワーク等の紹介を受けた日に失業等の状態にある者(雇用保険被保険者でない者等) [3] 雇入れ日現在において満65歳未満である者 精神・発達障害者しごとサポーター養成講座  精神障害者や発達障害者が安定して働き続けるためには、職場において同僚や上司がその人の障害特性について理解し、共に働く上での配慮があることがポイントとなることから、企業で働く一般の従業員を主な対象に、精神障害、発達障害に関して正しく理解していただき、職場において温かく見守る応援者(精神・発達障害者しごとサポーター※)となっていただくことを目的としています。 ※ 「精神・発達障害者しごとサポーター」は特別な資格制度等ではありません。また、本講座の受講により、職場の中で障害者に対する特別な役割を求めるものでもありません。 ○受講対象 企業に雇用されている方(障害者と一緒に働いているかどうか等は不問) ○内  容 精神疾患(発達障害を含む)の種類、精神障害・発達障害の特性、共に働く上でのポイント(コミュニケーション方法)等について ○講座時間 90~120分程度 ※ 講義75分、質疑応答(15~45分程度)を予定 ○講座の実施形式 ・出前講座:個別企業からの要請に応じて、講師が各職場へ出向いて講座を実施 ・集合講座:労働局やハローワーク内の会議室等を会場に、多くの企業から広く受講を募って講座を実施 精神・発達障害者しごとサポーターシンボルマーク P72-P73 トライアル雇用助成金(障害者トライアルコース)  ハローワークまたは民間の職業紹介事業者等の紹介により、就職が困難な障害者を一定期間雇用することにより、その適性や業務遂行可能性を見極め、求職者及び求人者の相互理解を促進すること等を通じて、障害者の早期就職の実現や雇用機会の創出を図ることを目的としています。 ◯対象労働者 次の[1]と[2]の両方に該当する者であること [1] 継続雇用する労働者としての雇入れを希望している者であって、障害者トライアル雇用制度を理解した上で、障害者トライアル雇用による雇入れについても希望している者 [2] 障害者雇用促進法に規定する障害者のうち、次のア~カのいずれかに該当する者   ア 重度身体障害者   イ 重度知的障害者   ウ 精神障害者   エ 紹介日において就労の経験のない職業に就くことを希望する者   オ 紹介日前2年以内に、離職が2回以上または転職が2回以上ある者   カ 紹介日前において離職している期間が6か月を超えている者 ◯雇入れの条件 [1] ハローワークまたは民間の職業紹介事業者等の紹介により雇い入れること [2] 障害者トライアル雇用等の期間について、雇用保険被保険者資格取得の届出を行うこと  ※ このほかにも、雇用関係助成金共通の要件等いくつかの支給要件がありますので、詳しくは「お問い合わせ先」までご確認ください。 ◯受給額 支給対象者1人につき月額最大4万円(最長3か月間)  ※ 対象労働者が精神障害者の場合、月額最大8万円を3か月、月額最大4万円を3か月(最長6か月間) トライアル雇用助成金(障害者短時間トライアルコース)  継続雇用する労働者として雇用することを目的に、障害者を一定の期間を定めて試行的に雇用するものであって、雇入れ時の週の所定労働時間を10時間以上20時間未満とし、障害者の職場適応状況や体調等に応じて、同期間中にこれを20時間以上とすることを目指すものをいいます。 ◯対象労働者 本助成金における「対象労働者」は、継続雇用する労働者としての雇入れを希望している者であって、障害者短時間トライアル雇用制度を理解した上で、障害者短時間トライアル雇用による雇入れについても希望している精神障害者または発達障害者が対象となります。 ◯雇入れの条件 対象労働者を次の?と?の条件によって雇い入れること  (1) ハローワークまたは民間の職業紹介事業者等の紹介により雇い入れること  (2) 3か月から12か月間の短時間トライアル雇用をすること ◯受給額 支給対象者1人につき月額最大4万円(最長12か月間) 70~72ページのお問い合わせ先 都道府県労働局、ハローワーク 職場適応援助者(ジョブコーチ)による支援事業  障害者が円滑に職場へ適応することができるように、ジョブコーチが職場に出向き、障害者本人と事業主や職場の従業員に対してきめ細かな支援を行います。  不安やストレスを抱えやすい精神障害者等の方々に対しては、作業遂行への支援だけではなく、相談を中心とした職場内でのコミュニケーションに関する支援、不安や緊張・ストレスの軽減等の支援を行います。  また、職場の上司、同僚に対しては、本人の特性を踏まえたかかわり方、業務内容・職場環境の調整の助言等を行います。  これらにより、事業所の上司や同僚による支援(ナチュラルサポート)にスムーズに移行していくことを目指しています。 ◯ジョブコーチの種類 ◆配置型ジョブコーチ※1  地域障害者職業センターに配置するジョブコーチです。就職等の困難性の高い障害者を重点的な支援対象として自ら支援を行うほか、訪問型ジョブコーチや企業在籍型ジョブコーチと連携し支援を行う場合は、効果的・効率的な支援が行われるよう必要な助言・援助を行います。 〔支援の契機〕 雇用の前後を問わず、必要なタイミングで支援を行います。(例:①不安の軽減や作業手順を覚えるために雇入れと同時に支援を開始。②配置転換や人事異動といった職場環境の変化により職場適応上の課題が生じたため雇用後の支援を開始)。 〔支援期間〕 個別に必要な期間を設定します(標準は2~4か月)。支援終了後は、必要なフォローアップを行います。 ◆訪問型ジョブコーチ※2  障害者の就労支援を行う社会福祉法人等に所属するジョブコーチです。高齢・障害・求職者雇用支援機構が実施する訪問型職場適応援助者養成研修または厚生労働大臣が定める研修を修了した者であって、必要な相当程度の経験と能力を有する者が担当します。なお、ジョブコーチが在籍する事業所に、ジョブコーチの活動経費等の一部を助成する制度があります。 ◆企業在籍型ジョブコーチ※2  障害者を雇用する企業に雇用されるジョブコーチです。高齢・障害・求職者雇用支援機構が実施する企業在籍型職場適応援助者養成研修または厚生労働大臣が定める研修を修了した者が担当します。なお、ジョブコーチが在籍する事業所に、ジョブコーチの活動経費などの一部を助成する制度があります。 事業主に対して (管理監督者・人事担当者) ・障害特性に配慮した雇用管理に関する助言 ・配置、職務内容の設定に関する助言 職場、上司、同僚、同僚に対して ・障害の理解に係る社内啓発 ・障害者とのかかわり方に関する助言 ・指導方法に関する助言 障害者に対して ・作業遂行力の向上支援 ・職場内コミュニケーション能力の向上支援 ・健康管理・生活リズムの構築支援 家族に対して ・安定した職業生活を送るための家族のかかわり方に関する助言 お問い合わせ先 地域障害者職業センター(74ページ) ※1について 都道府県労働局、ハローワーク ※2について P74-P75 地域障害者職業センター 都道府県支部 障害者に対する専門的な職業リハビリテーションサービス、事業主に対する雇用管理に関する相談・援助、地域の関係機関に対する助言・援助を実施しています。 地域障害者職業センター一覧 北海道障害者職業センター 〒 001-0024 札幌市北区北二十四条西5-1-1 札幌サンプラザ5階 TEL 011-747-8231 北海道障害者職業センター 旭川支所 〒 070-0034 旭川市四条通8丁目右1号 LEE旭川ビル5階 TEL 0166-26-8231 青森障害者職業センター 〒 030-0845 青森市緑2-17-2 TEL 017-774-7123 岩手障害者職業センター 〒 020-0133 盛岡市青山4-12-30 TEL 019-646-4117 宮城障害者職業センター 〒 983-0836 仙台市宮城野区幸町4-6-1 TEL 022-257-5601 秋田障害者職業センター 〒 010-0944 秋田市川尻若葉町4-48 TEL 018-864-3608 山形障害者職業センター 〒 990-0021 山形市小白川町2-3-68 TEL 023-624-2102 福島障害者職業センター 〒 960-8054 福島市三河北町7-14 福島職業能力開発促進センター内 TEL 024-526-1005 茨城障害者職業センター 〒 309-1703 笠間市鯉淵6528-66 TEL 0296-77-7373 栃木障害者職業センター 〒 320-0865 宇都宮市睦町3-8 TEL 028-637-3216 群馬障害者職業センター 〒 379-2154 前橋市天川大島町130-1 TEL 027-290-2540 埼玉障害者職業センター 〒 338-0825 さいたま市桜区下大久保136-1 TEL 048-854-3222 千葉障害者職業センター 〒 261-0001 千葉市美浜区幸町1-1-3 TEL 043-204-2080 東京障害者職業センター 〒 110-0015 台東区東上野4-27-3 上野トーセイビル3階 TEL 03-6673-3938 東京障害者職業センター 多摩支所 〒 190-0012 立川市曙町2-38-5 立川ビジネスセンタービル5階 TEL 042-529-3341 神奈川障害者職業センター 〒 252-0315 相模原市南区桜台13-1 TEL 042-745-3131 新潟障害者職業センター 〒 950-0067 新潟市東区大山2-13-1 TEL 025-271-0333 富山障害者職業センター 〒 930-0004 富山市桜橋通り1-18 北日本桜橋ビル7階 TEL 076-413-5515 石川障害者職業センター 〒 920-0901 金沢市彦三町1-2-1 アソルティ金沢彦三2階 TEL 076-225-5011 福井障害者職業センター 〒 910-0026 福井市光陽2-3-32 TEL 0776-25-3685 山梨障害者職業センター 〒 400-0864 甲府市湯田2-17-14 TEL 055-232-7069 長野障害者職業センター 〒 380-0935 長野市中御所3-2-4 TEL 026-227-9774 岐阜障害者職業センター 〒 502-0933 岐阜市日光町6-30 TEL 058-231-1222 静岡障害者職業センター 〒 420-0851 静岡市葵区黒金町59-6 大同生命静岡ビル7階 TEL 054-652-3322 愛知障害者職業センター 〒 460-0003 名古屋市中区錦町1-10-1 MIテラス名古屋伏見5階 TEL 052-218-2380 愛知障害者職業センター 豊橋支所 〒 440-0888 豊橋市駅前大通り1-27 MUS豊橋ビル6階 TEL 0532-56-3861 三重障害者職業センター 〒 514-0002 津市島崎町327-1 TEL 059-224-4726 滋賀障害者職業センター 〒 525-0027 草津市野村2-20-5 TEL 077-564-1641 京都障害者職業センター 〒 600-8235 京都市下京区西洞院通塩小路下る東油小路町803 TEL 075-341-2666 大阪障害者職業センター 〒 541-0056 大阪市中央区久太郎町2-4-11 クラボウアネックスビル4階 TEL 06-6261-7005 大阪障害者職業センター 南大阪支所 〒 591-8025 堺市北区長曽根町130-23 堺商工会議所5階 TEL 072-258-7137 兵庫障害者職業センター 〒 657-0833 神戸市灘区大内通5-2-2 TEL 078-881-6776 奈良障害者職業センター 〒 630-8014 奈良市四条大路4-2-4 TEL 0742-34-5335 和歌山障害者職業センター 〒 640-8323 和歌山市太田130-3 TEL 073-472-3233 鳥取障害者職業センター 〒 680-0842 鳥取市吉方189 TEL 0857-22-0260 島根障害者職業センター 〒 690-0877 松江市春日町532 TEL 0852-21-0900 岡山障害者職業センター 〒 700-0821 岡山市北区中山下1-8-45 NTTクレド岡山ビル17階 TEL 086-235-0830 広島障害者職業センター 〒 732-0052 広島市東区光町2-15-55 TEL 082-263-7080 山口障害者職業センター 〒 747-0803 防府市岡村町3-1 TEL 0835-21-0520 徳島障害者職業センター 〒 770-0823 徳島市出来島本町1-5 TEL 088-611-8111 香川障害者職業センター 〒 760-0055 高松市観光通2-5-20 TEL 087-861-6868 愛媛障害者職業センター 〒 790-0808 松山市若草町7-2 TEL 089-921-1213 高知障害者職業センター 〒 781-5102 高知市大津甲770-3 TEL 088-866-2111 福岡障害者職業センター 〒 810-0042 福岡市中央区赤坂1-6-19 ワークプラザ赤坂5階 TEL 092-752-5801 福岡障害者職業センター 北九州支所 〒 802-0066 北九州市小倉北区萩崎町1-27 TEL 093-941-8521 佐賀障害者職業センター 〒 840-0851 佐賀市天祐1-8-5 TEL 0952-24-8030 長崎障害者職業センター 〒 852-8104 長崎市茂里町3-26 TEL 095-844-3431 熊本障害者職業センター 〒 862-0971 熊本市中央区大江6-1-38 4階 TEL 096-371-8333 大分障害者職業センター 〒 874-0905 別府市上野口町3088-170 TEL 0977-25-9035 宮崎障害者職業センター 〒 880-0014 宮崎市鶴島2-14-17 TEL 0985-26-5226 鹿児島障害者職業センター 〒 890-0063 鹿児島市鴨池1-30-10 TEL 099-257-9240 沖縄障害者職業センター 〒 900-0006 那覇市おもろまち1-3-25 沖縄職業総合庁舎5階 TEL 098-861-1254 高齢・障害者業務課 都道府県支部 障害者の雇用に関する相談・援助、障害者雇用納付金制度に基づく申告・申請の受付、啓発などの業務を実施しているほか、高年齢者などの雇用に関する相談・援助、各種給付金の支給申請の受付などを実施しています。 高齢・障害者業務課(※東京・大阪は高齢・障害者窓口サービス課を含む)一覧 北海道 〒 063-0804 札幌市西区二十四軒4条1-4-1 北海道職業能力開発促進センター内 TEL 011-622-3351 青 森 〒 030-0822 青森市中央3-20-2 青森職業能力開発促進センター内 TEL 017-721-2125 岩 手 〒 020-0024 盛岡市菜園1-12-18 盛岡菜園センタービル3階 TEL 019-654-2081 宮 城 〒 985-8550 多賀城市明月2-2-1宮城職業能力開発促進センター内 TEL 022-361-6288 秋 田 〒 010-0101 潟上市天王字上北野4-143 秋田職業能力開発促進センター内 TEL 018-872-1801 山 形 〒 990-2161 山形市漆山1954 山形職業能力開発促進センター内 TEL 023-674-9567 福 島 〒 960-8054 福島市三河北町7-14 福島職業能力開発促進センター内 TEL 024-526-1510 茨 城 〒 310-0803 水戸市城南1-4-7 第5プリンスビル5階 TEL 029-300-1215 栃 木 〒 320-0072 宇都宮市若草1-4-23 栃木職業能力開発促進センター内 TEL 028-650-6226 群 馬 〒 379-2154 前橋市天川大島町130-1 ハローワーク前橋3階 TEL 027-287-1511 埼 玉 〒 336-0931 さいたま市緑区原山2-18-8 埼玉職業能力開発促進センター 本館4階 TEL 048-813-1112 千 葉 〒 261-0001 千葉市美浜区幸町1-1-3 ハローワーク千葉5階 TEL 043-204-2901 東 京 〒 130-0022 墨田区江東橋2-19-12 ハローワーク墨田5階 (高齢・障害者業務課) TEL 03-5638-2794 (高齢・障害者窓口サービス課) TEL 03-5638-2284 神奈川 〒 241-0824 横浜市旭区南希望が丘78 関東職業能力開発促進センター内 TEL 045-360-6010 新 潟 〒 951-8061 新潟市中央区西堀通6-866 NEXT21ビル12階 TEL 025-226-6011 富 山 〒 933-0982 高岡市八ケ55 富山職業能力開発促進センター内 TEL 0766-26-1881 石 川 〒 920-0352 金沢市観音堂町へ1 石川職業能力開発促進センター内 TEL 076-267-6001 福 井 〒 915-0853 越前市行松町25-10 福井職業能力開発促進センター内 TEL 0778-23-1021 山 梨 〒 400-0854 甲府市中小河原町403-1 山梨職業能力開発促進センター内 TEL 055-242-3723 長 野 〒 381-0043 長野市吉田4-25-12 長野職業能力開発促進センター内 TEL 026-258-6001 岐 阜 〒 500-8842 岐阜市金町5-25 G-frontⅡ7階 TEL 058-265-5823 静 岡 〒 422-8033 静岡市駿河区登呂3-1-35 静岡職業能力開発促進センター内 TEL 054-280-3622 愛 知 〒 460-0003 名古屋市中区錦1-10-1 MIテラス名古屋伏見4階 TEL 052-218-3385 三 重 〒 514-0002 津市島崎町327-1 ハローワーク津2階 TEL 059-213-9255 滋 賀 〒 520-0856 大津市光が丘町3-13 滋賀職業能力開発促進センター内 TEL 077-537-1214 京 都 〒 617-0843 長岡京市友岡1-2-1 京都職業能力開発促進センター内 TEL 075-951-7481 大 阪 〒 566-0022 摂津市三島1-2-1 関西職業能力開発促進センター内 (高齢・障害者業務課) TEL 06-7664-0782 (高齢・障害者窓口サービス課) TEL 06-7664-0722 兵 庫 〒 661-0045 尼崎市武庫豊町3-1-50 兵庫職業能力開発促進センター内 TEL 06-6431-8201 奈 良 〒 634-0033 橿原市城殿町433 奈良職業能力開発促進センター内 TEL 0744-22-5232 和歌山 〒 640-8483 和歌山市園部1276 和歌山職業能力開発促進センター内 TEL 073-462-6900 鳥 取 〒 689-1112 鳥取市若葉台南7-1-11 鳥取職業能力開発促進センター内 TEL 0857-52-8803 島 根 〒 690-0001 松江市東朝日町267 島根職業能力開発促進センター内 TEL 0852-60-1677 岡 山 〒 700-0951 岡山市北区田中580 岡山職業能力開発促進センター 3階 TEL 086-241-0166 広 島 〒 730-0825 広島市中区光南5-2-65 広島職業能力開発促進センター内 TEL 082-545-7150 山 口 〒 753-0861 山口市矢原1284-1 山口職業能力開発促進センター内 TEL 083-995-2050 徳 島 〒 770-0823 徳島市出来島本町1-5 ハローワーク徳島5階 TEL 088-611-2388 香 川 〒 761-8063 高松市花ノ宮町2-4-3 香川職業能力開発促進センター内 TEL 087-814-3791 愛 媛 〒 791-8044 松山市西垣生町2184 愛媛職業能力開発促進センター内 TEL 089-905-6780 高 知 〒 780-8010 高知市桟橋通4-15-68 高知職業能力開発促進センター内 TEL 088-837-1160 福 岡 〒 810-0042 福岡市中央区赤坂1-10-17 しんくみ赤坂ビル6階 TEL 092-718-1310 佐 賀 〒 849-0911 佐賀市兵庫町大字若宮1042-2 佐賀職業能力開発促進センター内 TEL 0952-37-9117 長 崎 〒 854-0062 諫早市小船越町1113 長崎職業能力開発促進センター内 TEL 0957-35-4721 熊 本 〒 861-1102 合志市須屋2505-3 熊本職業能力開発促進センター内 TEL 096-249-1888 大 分 〒 870-0131 大分市皆春1483-1 大分職業能力開発促進センター内 TEL 097-522-7255 宮 崎 〒 880-0916 宮崎市大字恒久4241 宮崎職業能力開発促進センター内 TEL 0985-51-1556 鹿児島 〒 890-0068 鹿児島市東郡元町14-3 鹿児島職業能力開発促進センター内 TEL 099-813-0132 沖 縄 〒 900-0006 那覇市おもろまち1-3-25 沖縄職業総合庁舎4階 TEL 098-941-3301 P76-P77 障害者雇用に役立つ資料 中央障害者雇用情報センター 当機構が運営する中央障害者雇用情報センターでは、障害者を雇用している、または雇用しようとしている事業主に、障害者の就労を容易にするための支援機器の貸出しを行うほか、「他者の雇用事例を知りたい」といったご相談に、専門のスタッフが情報提供します。 また、障害者雇用への理解を深めていただくためにDVDの無料貸出しを行っています。DVDは、障害者雇用を積極的に進めている企業の取り組み、活き活き働く障害者の姿、企業や障害者を支える家族や支援者の姿を映像で紹介するとともに、企業担当者のインタビューなどを通じて、職務開発、雇用管理等に関する具体的ノウハウをわかりやすく解説しています。 障害者雇用に取り組む際の参考資料、社員研修の教材など、幅広い用途で使っていただけますので、是非ご活用ください。 貸出しの概要、リストはホームページに掲載しています。 お問合せ先 中央障害者雇用情報センター 【住所】墨田区江東橋2-19-12 ハローワーク墨田5階 【電話】03-5638-2792 【DVDの貸出し】 貸出しの流れ お申し込み DVD借用申込書を記入し、FAX(03-5638-2282)・郵送でお申込みください 貸出し 来所または郵送でお貸し出しします 返却 返却時の送料はご負担ください 貸出期間   2週間以内 貸出本数   5本まで DVDの貸出しの概要、貸出しリスト、DVD借用申込書はホームページに掲載しています。 https://www.jeed.go.jp/disability/data/handbook/dvd/index.html 障害者雇用事例DVDの紹介 精神障害者の雇用ノウハウに関するDVD 「ともに働く職場へ~事例から学ぶ精神障害者雇用のポイント~」 初めて精神障害者雇用に取り組んだ事例、雇用継続のために支援体制の整備やコミュニケーション面の配慮などを行った事例、休職した精神障害者の職場復帰に取り組んだ事例など、実際の企業における精神障害者の雇用事例を通して、精神障害者とともに働く職場をつくるためのさまざまなノウハウについて紹介しています。 →ホームページで動画をご覧いただけます。 https://www.jeed.go.jp/disability/data/handbook/h27_dvd01.html 発達障害者の雇用ノウハウに関するDVD 「ともに働く職場へ~事例から学ぶ発達障害者雇用のポイント~」 初めて発達障害者雇用に取り組んだ事例や職域の拡大に取り組んだ事例、特性に配慮して職場環境を整えながら能力発揮に取り組んだ事例や発達障害の特性や強みをいかした職場づくりに取り組んだ事例など、実際の企業における発達障害者の雇用事例を通して、発達障害者とともに働く職場をつくるためのさまざまなノウハウについて紹介しています。 →ホームページで動画をご覧いただけます。 https://www.jeed.go.jp/disability/data/handbook/h28_dvd01.html 障害者職業生活相談員の役割に関するDVD 「一人ひとりが輝く職場づくり~障害者職業生活相談員の役割~」 障害者職業生活相談員が、日々の声かけ・相談を行いながら職場定着に向けて現場担当者と役割分担を図った事例、関係機関と連携しながら職場内の支援を行い、社内において相談員の増員やスキルアップなどの体制整備を図った事例などについて紹介しています。 P78-P79 就労支援機器普及啓発ホームページ 就労支援機器の貸出制度を紹介しています。 貸出対象の就労支援機器について、視覚障害・聴覚障害などの「障害別」、画面読み上げソフト・音声認識ソフトなどの「用途別」に検索できます。 また、各製品のページでは、仕様の説明と、写真や動画での紹介を行っています。 就労支援機器に関する情報、貸出制度の概要を掲載しています。 (https://www.kiki.jeed.go.jp/) 就労支援機器、障害者雇用事例リファレンスサービス、全国の障害者雇用事例をホームページで紹介しています。 リファレンスサービス 業種、障害、従業員規模などのチェックボックスに□を入れて、事例を検索できます。 社内理解の促進や採用計画の立案、職務設定や環境整備の方法についての情報収集などにご活用ください。 (https://www.ref.jeed.go.jp/) 障害者の在宅就業支援ホームページ チャレンジホームオフィス 視覚障害、聴覚障害、肢体不自由、内部障害、難病のある方などの在宅雇用事例をご覧いただけます。 各社の事例紹介ページでは、在宅勤務者の業務内容や雇用管理方法、本人からのメッセージなどを掲載しています。 (https://www.challenge.jeed.go.jp/) 障害者雇用支援人材ネットワークシステム ◇障害者雇用に関し、労務管理、医療、建築などさまざまな分野の専門家「障害者雇用管理サポーター」が、企業のみなさまのご相談に応じ、支援を行っています。 ◇障害者雇用管理サポーターは「障害者雇用支援人材ネットワークシステム」で検索できます。 専門分野、障害、地域などのチェックボックスにチェックを入れて事例を検索できます。 (https://shienjinzai.jeed.go.jp/) (注)「就労支援機器普及啓発ホームページ」、「障害者雇用事例リファレンスサービス」、「障害者の在宅就業支援ホームページ チャレンジホームオフィス」は、平成31年3月下旬にリニューアルする予定です。 P80 障害者雇用に役立つ情報 障害者雇用のためのマニュアル・好事例集等のごあんない 当機構では、事業主や事業主団体の方々に対し、障害者の雇入れにあたっての工夫・改善、 障害者が能力を発揮して活躍するための実践的なマニュアルや好事例集等の提供を行っています。 こんな方におすすめ 雇用の進め方や使える制度など障害者雇用に関する基本的なことが知りたい はじめからわかる 障害者雇用~事業主のためのQ&A集~ 障害者雇用の知識や関連情報、具体的方策についてわかりやすく解説 障害者雇用があまり進んでいない業種における雇用事例 15社の事例掲載。企業経営者の声や障害者の職務内容、経営上のメリットなどをわかりやすく紹介 雇用マニュアルシリーズ 障害種別ごとに、障害特性に応じた職場での配慮事項や先進企業での取組等を紹介したマニュアル 職場改善好事例集シリーズ 障害者の雇用管理や雇用形態、職場環境、職域開発等について事業所が創意・工夫して実践している取組を、テーマ別にとりまとめて紹介した事例集 コミック版 障害者雇用マニュアル1~6 障害者雇用に関する問題点の解消のためのノウハウや具体的な雇用事例を、障害別にコミック形式でまとめたマニュアル 資料はホームページからダウンロードできますので、ぜひご活用ください。 https://www.jeed.go.jp/disability/data/handbook/index.html