表紙 令和元年度 中高年齢層の障害のある方の雇用継続に取り組んだ職場改善好事例集 障害者雇用職場改善好事例募集の入賞事例から 独立行政法人高齢・障害・求職者雇用支援機構 P01 はじめに 独立行政法人高齢・障害・求職者雇用支援機構では、事業所における障害者雇用および職場定着を進めるため、雇用管理や職場環境の整備などさまざまな改善・工夫を行った障害者雇用職場改善好事例を募集し、優秀な事例を表彰、広く周知しています。本募集は平成3年度から開始し、近年では年度ごとにテーマを設定し募集を行っています。令和元年度においては、中高年齢層の障害のある方の雇用継続に取り組んだ職場改善好事例を募集いたしました。全国の事業主のみなさまから多数のご応募をいただき、審査員による厳正なる審査の結果、10事業所の入賞を決定いたしました。このたび、これらの事例を「中高年齢層の障害のある方の雇用継続に取り組んだ職場改善好事例集-令和元年度障害者雇用職場改善好事例募集の入賞事例から-」としてご紹介します。障害者の雇用促進と職場定着のためにご活用いただければ幸いです。最後にご応募いただきました事業主のみなさま、そしてご協力いただいた関係機関・団体等のみなさまにはあらためて感謝申し上げます。 令和2年2月独立行政法人高齢・障害・求職者雇用支援機構 P02-P03 Contents はじめに  1ページ もくじ  2ページ 障害者雇用職場改善好事例最優秀賞 株式会社シーエックスカーゴ桶川流通センター(埼玉県桶川市) 4ページ 個別の体調などに配慮した柔軟な勤務時間の設定や身体的負荷の低い職務への変更を行っているほか、障害者職業生活相談員とジョブコーチが密に連携しながら勉強会の開催などで職場定着を支援。 障害者雇用職場改善好事例優秀賞 長野リネンサプライ株式会社(長野県長野市) 10ページ 家族構成の変化により、生活面、健康面の課題が顕在化した社員の支援のため、「ケア会議」を実施。安全衛生委員会との連携により、社内全体の健康に対する関心を醸成。 株式会社仙台三越(宮城県仙台市) 14ページ 障害などの理由により職務遂行に支障が生じた場合は就労継続のために配置・勤務時間などを柔軟に見直すとともに、ヘルスキーパーの導入などにより社員の健康増進にも配慮。 東京グリーンシステムズ株式会社(東京都多摩市) 18ページ 職場復帰後の円滑な業務遂行のため、「チェックシート」やメモを活用し注意事項を視覚化。そのほか、短時間勤務、医療機関との連携など多角的に取組を実施。 株式会社ニッセイ・ニュークリエーション(大阪府大阪市) 22ページ 通院と就労の両立を可能とする短時間勤務制度の整備による職場復帰や、「社内留学」の実施により加齢に対応した職務変更を実現。 株式会社ベネッセビジネスメイト岡山事業所(岡山県岡山市) 26ページ 加齢による作業スキルの変化が起こることを前提に、毎年更新できる「アセスメントシート」を作成。生活面、健康面の課題に対応するため、障害のある社員の研修を実施。 障害者雇用職場改善好事例奨励賞 有限会社キホク(愛媛県松山市) 30ページ 脳出血による後遺症に配慮した配置転換、短時間勤務からの段階的職場復帰などの障害や体力に応じた配慮により、継続雇用を推進。 旭電器工業株式会社(三重県津市) 34ページ 高齢社員の継続雇用に向け配置転換を行い、ジョブコーチのサポートにより作業工程を細分化、見える化。 リゾートトラスト株式会社(愛知県名古屋市) 38ページ 企業、地域の支援機関の連携によるサポートで雇用継続。定期通院休暇制度、フレキシブル勤務が仕事と治療の両立をサポート。 株式会社舞浜コーポレーション(千葉県浦安市) 42ページ 将来の高齢化に備え、生活面の支援体制を把握、支援機関への登録など予防的対応を展開。障害のある社員に対する生活面の研修に加え、健康管理に関する内容を追加。 資料・支援ツール  46ページ 障害のある社員の雇用継続のために各事業所が取り組んだ内容 58ページ 用語解説  60ページ 応募いただいた事業所応募状況  62ページ 2019年度障害者雇用職場改善好事例募集要項  64ページ 障害特性をふまえた配慮事項  66ページ 中高年齢層の社員の雇用継続に役立つ資料 70ページ 障害者雇用を支援する施策  71ページ 障害者雇用に役立つ資料  76ページ 地域障害者職業センター/高齢・障害者業務課一覧  79ページ ※この事例集では、事業所で用いている一部の表記を除き、障害の表記を法令などで使われている「障害」に統一しました。また、職場適応援助者をジョブコーチと表記しています。 P04-P05 最優秀賞 株式会社シーエックスカーゴ桶川流通センター(埼玉県桶川市) 個別の体調などに配慮した柔軟な勤務時間の設定や身体的負荷の低い職務への変更を行っているほか、障害者職業生活相談員とジョブコーチが密に連携しながら勉強会の開催などで職場定着を支援。 事業所の概要 日本生活協同組合連合会の物流子会社として1991年に設立。その後事業拡大を進め、CO・OP商品の発注・在庫管理や在庫保管センター(DC)業務を中心に、生協事業連合の宅配(SC)・店舗センター(TC)、NB(ナショナルブランド)センターの物流業務も受託し、商品調達、宅配・店舗センターまでの配送を総合的に実施。 従業員数 4,500人 業種および主な事業内容一般貨物自動車運送業 倉庫業/物流企画/商品管理/事業開発/不動産賃貸および管理業務 障害者雇用の経緯 当初は、法定雇用率を上回ることを目標に障害者雇用に取り組みはじめた。現在は一人ひとりを戦力視し、障害特性に応じた配慮を行い、個人の目標を最大限に発揮できる職場環境の改善を進め、障害者の実雇用率は5.64%。 紹介内容 身体障害、知的障害 【従事業務】緩衝材による梱包/袋詰めなどの個装作業/仕分け作業 雇用障害者の障害種別と年齢構成(桶川流通センター) 年齢 29歳以下 12人 30歳以上~39歳以下 5人 40歳以上~49歳以下 3人 50歳以上~59歳以下 5人 60歳以上~ 3人 障害種別 視覚障害者 0人聴覚障害者 2人肢体不自由者 3人内部障害者 1人知的障害者 17人精神障害者 5人その他 0人 企業の声 山田英孝さん(代表取締役社長) 当社にとって障害者雇用は、福祉的な観点だけでなく人財確保の重要な取組の一つであり、多様な人財が活躍できる職場づくりに欠かせないものと考えています。なぜなら、障害者雇用は、現場での貴重な戦力確保の側面だけでなく、障害を持った仲間と一緒に働く中で社員同士の配慮や気遣い、助け合いの気持ちが生まれ、結果として誰もが働きやすい職場づくりにつながることをあわせ持っているからです。これからも、「助け合い」を基本理念とする生活協同組合の物流会社として、障害者雇用を拡大していくとともに、障害のある社員が、より働きやすく、安心して長く働いてもらえる環境をつくっていけるよう努力して参ります。 土井一朗さん(人事部部長) 当社では2005年に障害者雇用を積極的に行っていこうと決め、この間、さまざまな取組を進めています。もともと物流業は、誰がやっても間違いがない、初めて作業に入る方でもすぐに作業ができるようになる、という視点で、現場の手順や仕組みを構築し続けていますので、比較的円滑に入っていただくことができる業種です。一方、働きがいをもって毎日臨んで頂こうとすると、一人ひとりの声に耳を傾け、ご家族や行政、学校や支援機関などと一緒に問題解決していく体制を整えるとともに、それを支える組織文化を醸成していく必要があります。まだまだ改善する点が多いですが、「働きたい」「働き続けたい」と思ってもらえる組織になるよう、引き続き働きやすい環境づくりに取り組んで参ります。 社員の声 Aさん(勤続12年) 2007年11月に入社してから週5日フルタイムで働いていましたが、5年前に週3日の半日を要する透析治療が必要となりました。治療の時間を確保するために退職しようと思いましたが、上司から、週5日のうち2日の時短勤務を提案していただき、現在も元気に働くことができています。仕事内容も入社当時の的確でスピードが求められる作業から、今は比較的身体的・精神的負担が少ない仕分け作業を担当しています。現場担当者の声中岡誠さん(桶川流通センター流通センター長)当センターの障害者職業生活相談員は障害者雇用に限らず、採用活動全般に携わっています。事業所全体の仕事内容や雇用状況の理解、現場管理者との関係づくりが進むことで、障害者雇用の活動を進めやすくする狙いもあります。職場の方々のご理解・ご協力を得ることはもちろんですが、障害者一人ひとりのやりがいを高め、社会人としての成長を促し、障害者の中から目標とされる人財をひとりでも多く作ることを目指しています。玉野紀彦さん(桶川流通センター業務3課課長)障害のある社員とともに働く周囲の方には、必要な配慮の説明や、日々声かけをすることで双方が働きやすい職場になるようにしています。仕事に慣れてきた社員にはスキルアップのため、他部署の作業をお願いすることがあります。その場合、事前に障害者職業生活相談員・班長・周囲の社員から聞き取りを行いミスマッチが起こらないように工夫しています。ほとんどの社員は「任せるのはむずかしいだろう」と思っていた作業を任せられるようになり、みんなの成長に驚いています。 P06-P07 改善前の状況知的障害のあるAさんは、採用後、腎不全を発症し、透析治療が必要となった。また、年齢とともにスピーディな作業は負担になってきていた。 改善策 1 治療の必要性に合わせた勤務時間の設定と身体的負荷を軽減する配置転換 ①勤務時間の柔軟な対応Aさんの場合、週3日(火・木・土曜)の午後に透析の治療が必要となった。Aさんはフルタイム勤務のため、通常の勤務時間であれば9時から17時15分であるが、治療時間を確保するために、火・土曜の2日間は12時までの勤務に変更し、木曜は休業日として確実に休めるよう配慮した。 ②個人の状況に応じた業務の見直し当初Aさんは、使用後の宅配用の商品を入れるオリコン(折りたたみ式の箱)に汚れや異物混入、破損がないかを点検する業務にたずさわっていた。この業務は、点検するオリコン数が相当数あることから、スピーディに確認を終えて、ベルトコンベアを使って次の工程にオリコンを流さなければならず、正確性、迅速性が求められた。Aさんは年齢を重ねるごとに、素早くオリコンを移動させることや、一定の速度を保って点検していくことが身体的にも、精神的にも負担になり、体調の悪化につながってきた。 Aさんの負担を取り除く方策について検討し、負担が少ない仕分け業務へ配置転換することとした。この業務であれば、①比較的に自分のペースで作業が進められる。②仕分け業務は複数の作業に分けて複数の社員がローテーションで行うため、配置された社員は通常はすべての作業を行うことになるが、Aさんの身体的負担を軽減できるように、重いダンボール箱の運搬作業などの作業は避け、負担が少ない一つの作業のみを担当させることができる。また、③複数の社員で作業を分担していることから、重たい荷物を運搬しなければならないときがあっても、他の社員が代わりに行うなど、スムーズにサポートができることとなった。 商品仕分け中のAさんの写真 現場担当者の声佐藤優子さん(桶川流通センター障害者職業生活相談員) Aさんが配置されている部署は5人の社員がチームとなって仕分け業務を行っています。自分の業務を行いながらも、声をかけ合うことが自然とできる環境であることから、Aさんも精神的な負担を感じることなく仕事ができています。また体調を崩すことも少なくなり、業務見直しの効果を感じています。 改善後の効果 休暇を取得しなくても、週3日の透析治療を確実に行えるようになり、安心して勤務できるようになっただけでなく、担当業務を変えたことで、身体的にも精神的にも負担の軽減ができた。また、一つの作業を特化して行っていることから、その作業に関しては事業所内のだれよりも詳しくなり、そのおかげで、今ではAさんはリーダー的存在になり、ほかの社員への指示や、職場実習生への指導を行うまでになった。改善前の状況 Aさんは年齢を重ねるごとに体調を崩すことが増え、従来よりも体調管理をしっかりと行うことが必要になった。 改善策 2 障害者職業生活相談員とジョブコーチとの密接な連携と「フェイスシート」を活用した情報集約による体調管理 ①相談員・ジョブコーチとの密接な連携。同社の、障害のある社員が5人以上配置されている事業所には、障害者職業生活相談員(以下「相談員」という。)を配置している。桶川流通センターの相談員の佐藤さんは、本業の事務のほかに相談員として活動している。相談員は、障害のある社員からの相談をいつでも受け付けているほか、何か課題があるときには、障害のある社員本人、周囲の社員両方とも面談しながら、課題解決に向けたアドバイスなどをしている。同社の本社には、専任のジョブコーチの當郷さんが配置されており、同社の全事業所の障害者雇用を総括的に支えている。全国の相談員を集めた研修を年2回行うほか、日々相談員からの相談があれば解決策についてアドバイスをしている。佐藤さんも、毎日のように當郷さんに連絡しながら、二人三脚で事業所内の障害者支援に当たっている。(8ページ参照) ②フェイスシートの作成による情報共有。たとえば、社員の体調が急遽悪化して救急対応が必要なときなど、通院・服薬の状況を把握しておいたほうが適切な処置ができ、家族などへも迅速に連絡ができる。このため、同社では、障害のある社員の一人ひとりについて、勤務日・時間、通勤方法のほか、通院先、服薬、支援機関の情報などをまとめた「フェイスシート」(48ページ参照)を作成し、情報の一元化を図ることとした。フェイスシートの作成・更新にあたっては、相談員・ジョブコーチが一緒に、障害のある社員と年1回面談し、最近の体調や、職場での仕事ぶり、家族の状況、休日の過ごし方なども含めて確認し、その内容をふまえた相談員・ジョブコーチの所見を記載している。フェイスシートは、所属している職場の上司にも情報共有され、これを見れば、その社員にどのような配慮が必要かがわかるようになっており、必要に応じて職場の上司が障害のある社員と面談するきっかけになることもある。 A さんの場合も、体調変化、健康上の留意点も含めたさまざまな情報が、職場の上司、相談員・ジョブコーチ間で情報共有された。 「フェイスシートの様式年1回、障害のある社員と面談し作成する」の画像 改善後の効果 体調を崩すことが増えていたAさんであったが、勤務時間の見直し・配置転換(改善策1)に加え、健康状態を上司などが気配りしていたおかげで、精神的にも安心して働けるようになり、安定的に勤務できるようになった。 P08-P09 障害者職業生活相談員とジョブコーチの二人三脚事例 前述のとおり、同社本社には、ジョブコーチの當郷綾香さんが、桶川流通センターには相談員の佐藤優子さんが配置されている。同社の桶川流通センター独自の取組として、桶川流通センターの相談員と、本社のジョブコーチが一緒に、障害のある社員が長期にわたり職場で活躍できるように研修や目標管理制度を導入している。 (左)佐藤さんの写真 対応に困ったときは、ジョブコーチの當郷さんに相談します。障害に関する専門的な知識があること、外部の支援機関にも相談できる体制があることは、現場の相談員にとって心強い存在です。 (右)當郷さんの写真 佐藤さんが桶川流通センターの障害のある社員と日頃からコミュニケーションをとっているおかげで、各社員の課題が大きくなる前に解決につながっています。現場のことをよく知る相談員がこまめな情報収集をすることで、障害のある社員の安定した勤務につながっていると感じています。 (1)勉強会の開催と自己の気づきをうながす取組 ①_同社で採用する障害のある社員は、他社での就労経験、就労支援機関での支援状況などがまちまちである。中には、社会人として必要なあいさつや身だしなみなど基本的なルール、マナーの理解が困難な社員もいた。 _ そこで、桶川流通センターで働く障害のある社員全員を対象に、「はたらくための勉強会」を3か月に1回開催し、社会人として必要となる知識を身につけるとともに、目標をもって働いてもらえるように取り組んでいる。 _ 勉強会では、同社の使命(組合員の「笑顔のために安全・安心を届け続ける」)や同社で働く際のルール、安全靴やエプロンなどの取扱い、遅刻・残業といった勤務時間に関することなど仕事や勤務に関することだけでなく、身だしなみ、睡眠や食事といった生活面での留意事項など基本的な事項もテーマとしている。 ②_勉強会では、日頃、自身が社会人としてのルール・マナーを守っているかどうか、質問紙に回答する形式で、社員自身に確認させている。たとえば、「行きたくなかったので、仕事を」という質問に対しては、「休んだ」「休まなかった」の二択で回答する形式になっている。普段は気にしないことでも、質問紙を活用することで、気づきをうながすことができ、他者に指摘される前に改善につながることがある。 勉強会の資料(抜粋)の画像 (2)目標管理による評価制度 職業経験のない社員の場合、学校での成績で評価を知ることはあっても、自身を評価することには慣れていないので、自己評価と他者評価に乖離が生じていることもあった。自己評価・他者評価の乖離をなくしたほうが、改善すべき点は改善でき、評価すべき点は伸ばせることから、桶川流通センターでは目標管理による評価制度を導入することにした(48-49ページ参照)。評価は次のように行う。 ①半年ごとの期間の最初に、障害のある社員一人ひとりが目標と、その目標を達成するためにはどのように行動すべきかを決めておく。 ②評価は四半期ごとの勉強会の機会を活用して行う。第2・第4四半期の勉強会の際に、目標達成に向けてどのくらい頑張ったか、どのようなことを頑張ったか、自身で振り返る。更に、「成長評価シート」を用いて、あいさつなどの基本事項、作業の量・スピードなどの仕事に関する事項、積極的な行動をしたかなど成長に関する事項について、自己評価を行い、会社側の評価と上司・相談員のコメントを加えて、本人に返す。第1・第3四半期には「成長評価シート」で状況確認を行う。 評価制度を導入することで、本人だけでなく上司へも効果があり、①社員一人ひとりの苦手なところだけでなく、できるところや強みが明確になるので、フォローが必要なところと、任せてもいいところが具体的にわかるようになったほか、②得意なことがある社員や、すべてできるようになった社員には、より困難な職域にチャレンジさせようというインセンティブの付与にも役立った。 「目標管理と評価に活用している資料」の画像 【シーエックスカーゴにおける障害者職業生活相談員とジョブコーチの役割の違い】 (障害者職業生活相談員)事業所内での障害者雇用に関する相談・支援  ○勤務時間を中心とする生活全般についての障害者からの相談への対応  ○日常的な声かけ  ○周囲に対する障害理解の促進など職場定着に向けた支援  ○課題があった場合の解決支援(ジョブコーチ)同社全体の障害者雇用に対応  ○新規採用に関わる活動(外部機関に対する採用活動、職場見学会の開催など)  ○新規採用者や、相談員が配置されていない事業所での職場定着のための支援  ○障害者の職場定着に関しての外部機関との連携  ○相談員の育成(相談員研修(年2回)(写真参照)、相談員配置に向けた事業所への働きかけ、相談員からの相談へのアドバイス) 相談員研修の様子の写真 P10-P11 優秀賞 長野リネンサプライ株式会社(長野県長野市) 家族構成の変化により、生活面、健康面の課題が顕在化した社員の支援のため、「ケア会議」を実施。安全衛生委員会との連携により、社内全体の健康に対する関心を醸成。 事業所の概要前身のクリーニング事業を発展させ、昭和38(1963)年に設立された。病院基準寝具、福祉施設・ホテルの寝具、レストランなどのテーブルリネン、ユニフォームなどを取り扱っている。 従業員数 125人 業種および主な事業内容リネンサプライ業 障害者雇用の経緯身体障害者の職場実習の受け入れをきっかけに障害者雇用を開始。1980年には須坂工場が心身障害者雇用モデル事業所の認定を受け、知的障害者を多数雇用。同時に社員寮も設立。1990年には長野工場を重度障害者多数雇用事業所として増築。1993年に障害者指導課を設置。 紹介内容 知的障害 【従事業務】クリーニング仕上げ工 年齢 29歳以下 4人 30歳以上~39歳以下 8人 40歳以上~49歳以下 13人 50歳以上~59歳以下 12人 60歳以上~ 1人 障害種別 視覚障害者 0人聴覚障害者 0人肢体不自由者 0人内部障害者 0人知的障害者 37人精神障害者 1人その他 0人 企業の声 納富 廣幸さん(代表取締役社長) 当社の企業理念は、「和」「奉仕」「幸福」です。「和」をもってその実践に努め、「奉仕」の心で社会福祉に貢献することで真の「幸福」を実現し、それが地域社会や当社の発展につながっていきます。また、障害のある人もない人も共に働き、共に暮らし、共に遊ぶことを通して、真のノーマライゼーションが実現できると確信しています。障害のある社員は、明確な夢を持っていきいきと仕事に取り組み、時折驚くべき能力も見せてくれ、当社にとってなくてはならない存在です。それぞれの得意な分野を生かせる職務に就けば、能力を発揮することは十分可能です。須坂工場の新設にあたっては、社員寮を併設しました。障害のある社員は、年齢を重ねると家での居場所がなくなってしまうことが多いので、彼らが安心して暮らせる住まいを提供したいという思いからです。高齢化の問題には、25年ほど前から取り組まなければならないと感じるようになりました。働けなくなっても住み慣れた場所にいられるようにしたいと考え、平成9年には社会福祉法人を設立し、平成20年には社員寮をグループホームに改変しました。福祉にまでは手が回らない企業も多いとは思いますが、私たちの取り組みを紹介することで、後に続く企業が少しでも楽になれば嬉しく思います。 社員の声 Gさん(勤続32年) ハローワークの紹介で、働き始めました。今は、テーブルクロスや、まくらカバーなどを畳みながら検品する作業をしています。肩や腰が痛くなったり、体調をくずすこともあるため、健康に気を付けようと思っています。担当の人が忙しいときには、たたんだクロスを整頓することもあります。そんな時にはお礼を言ってもらって嬉しいです。 現場担当者の声 神戸 千恵美さん(障害指導課 課長代理(企業在籍型ジョブコーチ)) 毎年4月に障害のある社員を含め部署異動があり、担当作業が変わる人もいますが、Gさんの場合は、古くから同じ部署にいるので、教える役目をになうことも期待されています。当社では社員旅行や新年度会などの行事も行っています。入社式の後、ホテル貸し切りでの懇親会もありますが、Gさんにとってもおしゃれをして出かける楽しみな機会となっています。定年を迎える社員も出ています。39年勤めて定年後再雇用された社員は、記念にハワイ旅行へ出かけ、生活を満喫しています。障害のある社員は休まずまじめに働く方も多いのですが、そういった社員は会社を働く場というだけではなく、自分の居場所だと思ってやりがいを持って働いており、そういう思いを持った人財を何よりも大切にしたいと思っています。 P12-P13 改善前の状況 知的障害のあるGさんは、家族構成の変化で一人暮らしとなった。年を追うごとに、生活面、健康面の管理の苦手さから体調をくずし職場で座り込んでしまうなど仕事に影響が出るようになった。 改善策 支援者間の連携、生活状況の把握 ①外部の支援機関との連携  企業の立場として、普段から市町村の自立支援協議会就労部会などに出席し、月1回程度、福祉・行政の関係者と話す機会を持っている。 一方Gさんは、これまで自宅で家族のみのサポートを受け生活してきた。生活面を支ええる支援機関との結びつきはまったくなかったが、家族構成の変化により、身内のサポートは遠方に住む家族のみとなってしまった。 同社の障害指導課(13ページ参照)の担当者は、生活面で課題があり、支援が必要であることは把握したが、どのような課題をどの機関に相談すればよいかわからなかった。生活や健康の課題については企業だけで取り組むより、内容によっては、ふさわしい役割の支援機関などにサポートを依頼したほうがより的確に対応してもらえると考えた。そこで、系列の社会福祉法人の担当者を通じ、課題に関連する支援機関への相談に結び付いた。 ②家族との連携、 情報提供 家族は、Gさんの生活について何とかしたいとの思いがあったが、遠方で生活していることから、情報がなくできることが限られていた。そこで障害指導課から家族会(13ページ参照)について情報提供を行った。 ③自宅でのケア会議の開催  同社から各支援機関に依頼し、Gさんのケア会議を行うことになった。開催場所をGさんの自宅とし、自宅での生活の状況もある程度把握する機会を持つことにした。Gさんの住まいのある地域を担当する生活支援機関や自治体の福祉課、遠方に住む家族が出席した。 話し合いにより、Gさんは、仕事にも熱心だが、趣味にも同じように力を入れてしまったために食生活などがないがしろにされていたことなどがわかった。その結果、成年後見人制度、日常生活自立支援制度による金銭管理サービス、週1回のヘルパー訪問のほか、今後も定期的にケア会議を行い、状況の把握と支援者間の情報共有をすることが決まった。 ④医療面に関する支援  最初に不調になった時は、同社の担当者が病院受診に付き添った。しかし、病院を一人で受診したことがなかったこと、不調がいったん治まっても定期的な通院が必要だったことから、毎回の通院をサポートする人が必要と考えられた。ケア会議での検討の結果、ホームへルプサービスを利用し受診に同行してもらうこととなった。 また、知的障害のある社員全体の傾向として、病院を受診し、自ら医師に不調を相談することが苦手な者が多い。 Gさんの件をきっかけに、月1回開催されている安全衛生委員会で障害のある社員の健康面の自己管理が議題となった。そこで、産業保健の一環として、系列の社会福祉法人が運営する支援機関から月1~2回同社へ保健師の訪問を受けることにした。 家族会総会の様子の写真 改善後の効果  企業と社員、家族、支援機関が情報共有することで、課題に応じた支援実績が豊富な支援機関による的確な支援に結びついた。 Gさんが安心して医療機関を受診できるようになったことから社員の適切な健康管理に結びつき、不調でなくても定期的に保健師と相談できるようになったため、精神面の安定も図られた。 安全衛生委員会の活動により、障害のある社員が血圧ノートを記入するなど、社員全体の健康に対する意識が高まった。 家族会は、同社が社員寮(現在はグループホーム)を併設し、同時期に10人の社員を受け入れることになったことに伴い同社が設立した。就職してからも社員の働く姿を家族が見て、家族が社員、企業の応援者となってもらうことを意図した。年に数回、家族と一緒にレクリエーションを行い、社員と家族がコミュニケーションを図り、共に楽しむ機会を持っている。若い家族は自分で情報にアクセスし相談に行くことも可能だが、社員の年齢が高くなると家族も高齢化し、支援機関へ相談に行ったり情報に接したりする機会を持ちにくくなる。そこで、家族会の行事として学習会や見学会を行い、福祉サービスなどについて最新の情報を提供している。それにより、何かあったら家族が抱え込まずに企業にも相談できる関係性を維持している。 障害のある社員を支える部門の設立  障害のある社員は入社前後にわたって支援が必要であることから専門の部署が必要ということになり、平成5(1993)年に総務部内に障害指導課を設立した。作業指導や人間関係の相談だけでなく、健全な社会生活を送るための生活技術、生きがいや生活を豊かにするための余暇活動の指導を障害のある社員に対して行っている。 単独では余暇活動をうまくできない社員もいるが、仕事ばかりでは息苦しくなってしまうため、月1回、季節に応じお花見、バーベキュー、社員旅行、クリスマス会などの行事を行いメリハリをつけている。障害指導課が障害のある社員の希望を聞きながら共同で計画を立て、バーベキューの準備などは障害のある社員が行っている。 障害のある社員の支援をしたいという思いを持った専門のスタッフが現在4名いるが、大学で特に福祉を専門に学んだ訳ではなく、入社してから実務経験を積む一方、障害者職業生活相談員や企業在籍型ジョブコーチの資格を取得し学んだ部分が多いという。 障害指導課は、障害のある社員と仕事や周囲との人間関係をつないだり、企業と地域、企業と家族などを結びつけている。企業が地域、家族の双方と結び付いていることにより、家族も地域とのつながりを持ちやすくなっている。 つながりを持つためには地域に出向き、顔の見える関係づくりをすることが必要だが、障害指導課の活動を経営層が後押ししているため、ネットワークづくりはしやすいとのことである。 同社は、市の自立支援協議会就労部会などに雇用の立場から参加する機会があるが、それぞれの役割だけでは解決できない課題について対応するために、地域にネットワークがあることは大きな役割を果たしている。 障害者雇用を企業が単独で進めてもわからないことが多くうまく進まない面もあるが、就労支援機関が企業に入り込んで支援を行うことで、企業は安心感を持って取り組むことができ、更に次の雇用にも繋がりやすい。 支援の図 障害指導課のみなさんの写真 P14-P15 優秀賞 株式会社仙台三越(宮城県仙台市) 障害などの理由により職務遂行に支障が生じた場合は就労継続のために配置・勤務時間などを柔軟に見直すとともに、ヘルスキーパーの導入などにより社員の健康増進にも配慮。 事業所の概要 仙台三越は、仙台市の中心地に店舗を構える東北唯一の全国型百貨店である。本店のほか、宮城県を中心にサテライトショップを有する。三越伊勢丹グループの一つ。 従業員数 520人 業種および主な事業内容各種商品小売業(百貨店) 障害者雇用の経緯 法定雇用率を視野に入れつつ障害者雇用を拡大してきたが、特別支援学校からの職場実習の受入れを契機として同学校の卒業生を採用するなど、法定雇用率達成後も障害者雇用の拡大を進めている。 2019年1月、障害者雇用貢献事業者として仙台市長から感謝状が贈呈された。 紹介内容身体障害 【従事業務】総務部門での事務 年齢 29歳以下 3人 30歳以上~39歳以下 0人 40歳以上~49歳以下 6人 50歳以上~59歳以下 0人 60歳以上~ 4人 障害種別 視覚障害者 1人聴覚障害者 0人肢体不自由者 7人内部障害者 0人知的障害者 3人精神障害者 2人その他 0人 企業の声 山室 隆さん(代表取締役社長)齋藤 紀昭さん(取締役総務部長) 当社は百貨店ですので、お客様の満足度を高めることが第一ですが、そのためには社員の満足度の向上も重要で、常に社員が安心して快く働けるように心がけています。商品が百貨であるように、社員の働き方も百通りあってよいと考えています。また、多様な人材に適材適所で働いてほしいとも思います。業務と社員との間でミスマッチが生じているのであれば、障害の有無に関わらず、個人の事情に応じて柔軟に配置転換や勤務時間の見直しを行っています。特別支援学校の先生からのお話を契機として、職場実習生を受け入れ、同校の卒業生を新卒採用したり、社員の健康増進を目的としたヘルスキーパーの導入のため、視覚障害の方を雇用したりと、新しい取組も行っています。小売業にとってホスピタリティの精神がプラスに作用します。障害のある方を雇用することで、社員のホスピタリティが醸成されると感じます。 写真(左)山室代表取締役社長 (右)齋藤取締役 社員の声 初田 泰子さん(勤続27年) 入社以来、食品売場を中心に勤務していましたが、「多発性硬化症」のため、2013年に長期に休暇を取得することになりました。両下肢まひとなり歩行が困難な状態でしたので、元の職場へは復帰できないと思っていましたが、会社から、事務職での復帰を打診されたので、家族とも相談し、また仕事に戻ることとしました。配置が変わったおかげで、会社内のさまざまな部署の方ともコミュニケーションをとれるようになりました。現在は短時間勤務をしていますが、接客でないこともあり、予定どおりに帰れるようになりました。新しい職場での仕事は、はじめて経験する仕事ばかりで覚えなければならないことも多いですが、できないところは周囲の方たちがサポートしてくれます。仕事が終わってお礼を言われたときは嬉しく感じます。業務面だけではなく、昼食のときなども歩行距離が短くてすむように、一番ドアに近い席を空けてくれるなど、上司や同僚の気遣いにあたたかさを感じます。今後は、できる仕事の幅を増やし、他の方から頼られる存在になりたいと思います。 現場担当者の声 金子 さおりさん(総務部人事・労務担当) 初田さんの場合は、疾病により、歩行だけでなく、重量物の運搬、スピーディな行動がむずかしくなったので、従来配置していた売場で販売業務を行うことは困難になりました。離職させず復帰させるための検討を行い、本人ができ得る業務として「事務職」を、移動できる範囲に保健室やトイレなどがある「用度担当」への配置転換を行うこととしました。最初は慣れない仕事で戸惑われたかもしれませんが、一所懸命に仕事を覚えておられ、最近では初田さんを頼る声も聞こえてきます。現在は荷物用のカートを使って自力で歩行されていますが、疾病の悪化で移動のむずかしさも増しているようですので、本人の状況に随時気を配り、安心して仕事が続けられるようにサポートしたいと思います。 P16-P17 改善前の状況 疾病の発症により歩行などが困難になり長期休暇を取得したあと、職場復帰することになったが、従来配置していた売場での職務遂行は不可能な状況だったので、職場復帰が難しかった。 改善策 1 復職に向けて、本人ができる職務・本人が働ける環境づくり ①本人ができる職務を検討 接客、商品の陳列、在庫管理など身体を動かす作業が多い売場での職務ではなく、歩行移動や物品の運搬が避けられるパソコンでの作業をメインにすれば、職場復帰が可能と考えた。そこで、パソコン作業などが多い総務部門での業務から職務を切り出すこととした。 ②安心して働ける配置を検討 総務部門に配置するとしても、さまざまな職務がある中で、勤務中に急に体調が悪化する場合に、本人が移動できる範囲に保健室があるほうが安心して働けると考えた。また、トイレなども利用しやすい配置が適当であると考えて、総務部門の中でも出入口が使いやすい用度担当にすることが適当と判断した。 ③移動を補助する専用カート 初田さんは歩行のために杖を使っているが、杖だけではバランスを崩して転倒するおそれもあった。そこで、荷物を運ぶための台車を杖と一緒に使ってみたところ、バランスがとりやすくなり、移動が楽になるだけでなく、荷物の運搬も可能になった。台車は、倉庫に保管されていたものであるが、初田さんが専用で使えるようにすることとし、持ち手のところに初田さんの名前をつけて識別できるようにした。 「初田さん専用の台車。持ち手部分に名前を表示」の写真 仕事中の初田さんの写真 改善後の効果  職務を変更することで最初はわからないこともあったが、現在はできる仕事の幅が広がり、担当職務が増えた。今後はパソコンスキルの向上、職務範囲の一層の拡大に取り組みたいと毎日意欲的に取り組んでいる。 改善前の状況疾病による長期の休職期間を経て職場復帰はしたが、体調悪化による再度の休職のおそれがあった。 改善策 2 健康に配慮して安心して勤務できる体制づくり ①安定就労に向けた関係者による支援 初田さんは長期の休職を終え、職場復帰することになったが、従前どおりのフルタイムでの勤務で無理をすることは体調悪化につながり、再び休職するおそれもあった。このため、主治医と産業医の指示をあおぎながら本人と相談し、1日6時間の短時間勤務とすることにした。 また、復職後も、定期的に産業医、保健師、総務部門、現場マネージャーが本人と定期的に面談しながら、体調を含めた本人の状況を把握し、何かあった場合に支援できるようにしている。 ②ヘルスキーパーの活用による疲労回復 同社では、社員の健康増進のため、外部の機関に依頼して、週1回あん摩マッサージを利用できるようにしていたが、社員から好評であったこともあり、2019年から直接雇用したヘルスキーパーによるあん摩マッサージを提供することにした。 これにより、社員は無料であん摩マッサージを受けられるようになり、利用できる機会も大幅に増えた。復帰後の初田さんも、定期的にヘルスキーパーによるあん摩マッサージを利用して、疲労回復ができるようになった。 改善後の効果  無理のない時間での勤務に加え、定期的にマッサージで身体をほぐし、心にも余裕が生まれることから、体調が安定しており、長期の休職をせずに就労ができている。 ヘルスキーパーについて  同社では2019年3月からヘルスキーパーとして視覚障害者を直接雇用している。導入直後の利用者は少なかったが、施術を提供する保健室の外に、その日の予約状況を掲示するようにしたところ、利用者が増え始め、現在は1日6~7人の利用者がある。1回30分の施術を無料で社内で受けられ、利用者からは体だけでなく心もほぐれたと好評である。初めての視覚障害者の雇用でもあり、通勤面で心配はあったが、外部の支援機関に依頼して通勤訓練をしたり、区役所に依頼して通勤経路上の白線の修復をしてもらったりして課題を解決した。 ヘルスキーパー田代 智靖さん  利用者一人ひとりの状態は異なるのでその方にあった施術をするよう心がけています。技術向上のため毎回異なるやり方を試してみて、効果を見ながらデータを記憶としてためながら、技術向上を図っています。 利用者からの楽になったといった声もあるほか、定期的に利用する方もいるのでうれしいです。今後は、もっと能力を高め、利用者に喜んでいただける人になりたいと思います。 施術中の田代さんの写真 P18-P19 優秀賞 東京グリーンシステムズ株式会社(東京都多摩市) 職場復帰後の円滑な業務遂行のため、「チェックシート」やメモを活用し注意事項を視覚化。そのほか、短時間勤務、医療機関との連携など多角的に取組を実施。 事業所の概要 第3セクター方式の特例子会社。設立当時(1992年)の各セクター代表者である株式会社CSK(現:SCSK株式会社)、東京都、多摩市による、「参加」・「自立」・「共生」という出資者の思いが、同社の企業理念となっている。 従業員数 155人 業種および主な事業内容 サービス業 アグリ事業(野菜の栽培)/フード事業(レストラン、研修受講者向け社員食堂運営)/オフィス事業(メール集配、研修運営)/清掃事業(研修・宿泊施設清掃)/ショップ事業(社内売店の運営、野菜の販売)/ギフト事業(フラワーギフトの通信販売) 障害者雇用の経緯 社員数25名で、売店・喫茶・ビジネスサービス・フラワーギフトサービスを開始し、その後、名刺作成、WEB制作など業務分野を開拓。SCSK株式会社の新たなオフィスの開設とともに売店やメール集配業務などを拡大。さらにアグリ事業やSCSK研修施設の管理運営事業も開始し、現在は障害のある社員が107人となった。 紹介内容高次脳機能障害 【従事業務】売店での接客/メール集配/給茶機の洗浄など 年齢 29歳以下 25人 30歳以上~39歳以下 21人 40歳以上~49歳以下 36人 50歳以上~59歳以下 19人 60歳以上~ 6人 障害種別  視覚障害者 3人聴覚障害者 7人肢体不自由者 14人内部障害者 10人知的障害者 32人精神障害者 41人その他 0人 企業の声 北谷 利之さん(代表取締役社長) 当社の企業理念は、「参加・自立・共生」です。参加とは、企業活動への障害者の参加、自立とは、障害者の処遇を整え、生活の面でも自立できるようにすること、そして、共生とは、障害の有無に関わらず一緒に働く環境を整えることです。これらを目標として掲げました。年々障害者の職域が広がり能力に応じた形で戦力になっていること、一定水準の処遇が整ったことにより、人によっては親元を離れて自立生活ができるようになったこと、SCSKグループに入社する新人は、当社の障害のある社員とともに働くことにより障害に対する理解を深める機会を持っていることなど、振り返ってみると、今この企業理念は実現できていると思います。社員の高齢化に対応し、正社員でも短時間で働くことのできる制度を作り、さらには再雇用の制度も整えました。同一部署での勤務継続がむずかしくなった場合は部署異動を行っています。また、所属の部署だけでは対応がむずかしい時は、ジョブコーチや支援機関と相談しながら望ましい形を探っています。親会社のSCSKは、「働きやすく、やりがいのある会社」を目指して働き方改革に早い時期から取り組み、厚生労働省の「第1回働きやすく生産性の高い企業・職場表彰」の最優秀賞を受賞するほか、さまざまな取り組みが評価されています。当社もそれに則り、残業をなくし、有給休暇を完全取得するなどにきっちり取り組みたいと考えています。障害のある社員やその家族から、東京グリーンシステムズで働けてよかったといわれるような働きがいのある企業にしていきたいと思っています。 社員の声髙橋  勝治さん(勤続25年) 入社以来いくつかの拠点で働いてきました。今は、SCSKお台場オフィスの売店レジ、品出しなどをしています。ほかに、メール集配、会議室のチェック、給茶機の洗浄も担当しています。体調をくずさず毎日通うこと、みんなと協調して働くことを意識しています。お客さんに「ありがとう」と言ってもらえる瞬間が一番うれしいです。これからも自分のできる仕事を確実にやっていくことを第一に、できるだけ長く働きたいと思っています。 現場担当者の声 ゴシュ 君枝さん(オフィスサービス部オフィス・ショップサービス課お台場ショップ店長) 新たな作業がどこまでできるかはやってみないとわからないので、まず基本となる作業をしてみて、むずかしければもう一段易しい作業にする、できそうならもう少しむずかしい作業に挑戦するということを心がけています。相談の時には、障害のある社員がどう考えているのか、まずは話を全部聞き、ひと通り気持ちを解放してもらってからアドバイスするようにしています。 P20-21 改善前の状況 下肢機能障害のある社員が、長年勤務するうちに股関節の状態が悪化し、5ヶ月間休職することとなった。復職後、長年担当し、慣れているはずの作業の流れや作業上の留意事項を忘れてしまっており、家族とも相談の上、忘れやすくなったことなどについて医療機関で相談することとなった。 改善策 1 障害の状況を的確に把握した上で、効果的なサポートを実施 ①家族・支援機関を通し医療機関と連携 当初、企業は下肢機能障害だけを把握していたが、復職後忘れやすさが目立つようになったことから、次第に、これは長期休職の影響だけでなく、何らかの医療面での課題が影響しているのではないかと考えるようになった。そこで、本人・家族・支援機関と相談し、医療機関で診断をうけることになった。診断の結果、30年以上前の事故の影響で、受障した当時は問題がなかったが、最近は「新たなことを覚えづらい」特性が加わっていることが明らかになった。職務内容、仕事の進め方などを見直すことにした。 ②1日のスケジュールの見直し 職場復帰後、これまで担当していた売店のレジによる接客や在庫管理など、本人にとって以前より苦手と感じることが増えていた。このため、担当する業務内容を見直し、毎日の定型的なメールコーナー業務と、週2回の給茶機のメンテナンス業務などを組み入れることとした。 ③ペアを組んでの作業遂行  メールコーナーの新たな作業を遂行するにあたり、業務を確実に遂行できるようにするため、単独作業ではなく、メールコーナーを以前から担当していた社員とペアを組んで行うことにした。いつも同じ手順で作業ができるようペアの相手は固定されている。 ④勤務時間の軽減  復職後の作業状況や負担に配慮し、労働時間をそれまでの7.5時間から6時間へと短くした。 「作業予定&チェック表は業務を行う場所ごとに色わけしており、一目でわかるように工夫されている」の画像 改善後の効果  忘れやすさに加えて、「新たなことを覚えづらい」という特性がわかったことで、的確な対応策を考えられるようになった。 新たな業務を追加することで、1日の業務の流れにメリハリが生まれ、それぞれの業務について集中力が高まった。 勤務時間を軽減したことにより、身体的疲労度が軽減された。 改善前の状況新しい作業をスケジュールにそって確実に遂行できるようにする必要があるが、現場担当者が常に付き添うことはできないことから、自己管理できるような仕組みを作る必要があった。 改善策 2 作業遂行の確認、家族との情報共有のためのツールの作成と活用 ①専用チェックシートの作成、改良  その日ごとのスケジュールを作成し、本人が必ず目にするドアのボードに掲示するとともに、巡回作業の際は、必ず携行してチェックをしながら作業をすることにした。いつまで、どこで、何の作業をするのか、留意事項は何か、完了したかどうかなどを目で見てわかるようにした。本人から挙げられた意見や要望はすぐに取り入れ4回の改良を加えた。 ②タイマーの活用  同じ作業の繰り返しを避ける、次の作業への移動のタイミングをわかりやすくするため、チェックシートで注意をうながす文言を入れるほか、タイマーをセットして時間ごとに作業を明確に分けるようにして作業することにした。タイマー自体のセットを忘れずに行えるよう、チェックシートを工夫した。 ③振り返りミーティングの実施  一日の終わりに、振り返りの時間を設け、チェックシートを使用してその日の作業状況を毎日短時間で行うミーティングで振り返ることにした。 ④家族との情報共有  出勤日の確認、予定については間違いがないよう家族との連絡帳のやり取り、メールを活用した情報共有を行うことにした。新たな課題が生じた際にも、スムーズに連絡ができるよう、家族と日常的にコミュニケーションを図ることができる体制を作っている。 「コーヒーサーバー業務用のチェックシート。手袋使用などの留意事項も示されている」の画像 コーヒーサーバー業務に精通している担当者とともに作業を行う髙橋さんの写真(左) 改善後の効果  言葉だけでは忘れてしまいやすいことも、チェックシートの活用によって目で見て確認できるようになり、手順どおり正しく漏れなく確実にできるようになった。 連絡帳を活用し家族と日常的に連絡を取り合うことで、より細やかな雇用管理ができるようになった。 P22-P23 優秀賞 株式会社ニッセイ・ニュークリエーション(大阪府大阪市) 通院と就労の両立を可能とする短時間勤務制度の整備による職場復帰や、「社内留学」の実施により加齢に対応した職務変更を実現。 事業所の概要 日本生命保険相互会社が1993年に保険業界で初めて設立した特例子会社。創業時より培ってきた「お互いの障がいを理解し、支え合う」風土の下、社員一人ひとりが活き活きと働き、輝くことができる職場づくりを推進している。従業員数 290人 業種および主な事業内容日本生命の一般事務代行(保険関係事務処理など) 印刷・製本業務 障害者雇用の経緯 重度障害者の雇用をはじめ、社会のノーマライゼーションの進展に貢献していくことを狙いに設備・環境面を整えた特例子会社を設立。創業時は身体障害者を中心に25人の障害者数だったが、組織の拡大とともに現在は精神障害、知的障害のある社員など290人の社員が働いている。 紹介内容両上肢機能障害、聴覚障害 【従事業務】住所不明のお客様に関する公的機関への照会関連業務 年齢 29歳以下 164人 30歳以上~39歳以下 71人 40歳以上~49歳以下 41人 50歳以上~59歳以下 12人 60歳以上~ 2人 障害種別 視覚障害者 1人聴覚障害者 68人 肢体不自由者 72人 内部障害者 8人 知的障害者 46人 精神障害者 95人 その他 0人 企業の声杉山 良樹さん(代表取締役社長) 当社では創業以来、障害のある社員が中心となって、「お互いの障がいを理解し、支え合う」企業文化を育んできました。昨年度創業25周年を迎え、障害のある社員数も290名となり、障害種別も多様化しましたが、引き続き95%を超える高い定着率を維持しています。これは自らの障害を理解・受容し、発信しやすい環境を整え、一人ひとりの障害を「個性」として理解し、お互いに尊重することで安心して働ける風土が根付いていることが大きいと思います。社員数が急速に増え、さまざまな課題に直面するなか、障害のある社員自らが主役となって、「委員会活動」などを通じて会社の運営に参画しています。当社の特徴の一つとして、役付者の約半数に障害のある社員を登用し、各職場で他の社員の育成・指導を担っていることがあげられます。この4月には初めて精神・発達障害のある社員を役付者に登用することができました。 2020年には新本社ビルをオープンし、全社員が新社屋での勤務となります。2023年度までには障害のある社員数を375名程度に拡大し、今まで以上に障害のある社員が活き活きと、より安心して長く働き続けられる職場づくりを目指していきたいと考えています。また、年間1500人を超える見学者の受入れや、社外の研修会への講師派遣などを通じて、大変微力ではありますが、社会全体のダイバーシティ、障害者と、障害者が働くことへの理解の促進に少しでも役に立って参りたいと考えています。 社員の声 Aさん(勤続25年) お客様の引っ越しなどにより郵送した通知などが不着となった際に、新しい住所を調べるために公的機関に照会するための事務(返信用切手の貼り付け、三つ折り、入力作業など)を行っています。持病や加齢により体調が安定せず、欠勤を繰り返していましたが、勤務時間の配慮や体力的に無理のない仕事に変更してもらい職場復帰することができました。体調にあわせて無理なく働けるよう会社がサポートしてくれるので感謝しています。今後は、定年まで少しでも休みなく働き続けていきたいと思っています。 Bさん(勤続25年)以前は製造部門で印刷・製本に関する仕事をしていましたが、加齢にともない耳鳴りやめまいが続いていました。体力的にもつらくなってきたため、社内留学制度での経験もふまえて、事務部門に配置転換してもらいました。現在は体調も安定し、休まず働けています。1期生として入社しましたが、会社が大きくなり若い人も増えてきました。これからは事務の仕事をすべて覚えて将来的にはマイスター(事務上級職)になり、後輩を育てていきたいと思っています。 現場担当者の声相井 弘幸さん(業務部次長、企業在籍型ジョブコーチ) 障害のある社員に働くことを通して「やりがい」を感じてほしいと思っています。本人の選択を大切にしながら、個々の状況・成長ペースに応じて、長く働き続けられることを優先しており、できるかぎり業務を細分化して個々の社員の能力に応じた業務付与を行うとともに、スキルアップの意欲が高い社員にはどんどんチャレンジしてもらい、「障害者リーダー」を増やしていければと考えています。また、業務以外でも活躍できるように「委員会活動」のリーダーなどさまざまな役割を設け、社員が自己肯定感を高められる「輝く場所」づくりを大切にしています。 吉田 瑞穂さん(業務部課長代理、障害者職業生活相談員) 私は耳が聞こえませんが、他の社員に私の代わりに電話に出てもらったり、時には私が車いすの社員の書類を高い棚へ保管したり、お互いがお互いを支え合いながら仕事をしています。社員それぞれ障害は違いますが、同じ会社の仲間であるからこそ理解しあえる、助け合える風土があります。新人や職種変更した者には専任のアドバイザーを配置し、マンツーマンで指導・育成を行っています。時には同じ障害のあるアドバイザーを担当にすることで、当事者視点のきめ細かなサポートを行っています。 P24-P25 改善前の状況 従来から個々の状況に応じて、時間単位での傷病欠勤の取得を柔軟に認めてきたが、明確な運用ルールがなく、必ずしも本人の働く意欲の向上、勤務の安定化につながっていなかった。Aさんの場合も、欠勤と短時間出勤の繰り返しが長期化していた。 改善策 1 短時間勤務制度などのルールを体系的に整備しつつ、職務の見直しなどで本人の自信と意欲を向上 ①傷病欠勤・短時間勤務制度の体系的整備  Aさんの場合、体調不良による欠勤と精神面の不調が重なり、週3日・12時間程度の勤務と1~3ヵ月程度の傷病欠勤の取得を繰り返していた。 従来のような運用面での個別対応ルールでは、将来的な目標につながりづらいことや、安心して休暇などを取得することができないといった課題があり、傷病の治療等と就労の両立を可能とする勤務制度として、①時間単位での傷病欠勤の取得等に関する運用ルールを整備、②「通常勤務復帰支援特別勤務制度」、「傷病治療等両立短時間勤務制度」を新設し、勤務時間の延長を段階的にうながすこととした。「通常勤務復帰支援特別勤務制度」とは、最長1年間、1日5時間以上の勤務から始めて、段階的に勤務延長をしていくことができる制度である。この制度を利用し、通常勤務への復帰が困難な場合は、「傷病治療等両立短時間勤務制度」へ移行し、週20時間以上の短時間勤務からフルタイム勤務を目ざすこともできる。 Aさんは、時間単位での傷病欠勤の取得について、運用ルールが整備されたのを機に、原則週25時間以上の勤務要件の充足を目標として勤務。その後、新設された「通常勤務復帰支援特別勤務制度」を適用し、フルタイム勤務に向けて段階的に勤務時間を増やしていっている。 ②職務の見直し  精神面の不調による意欲の低下や、加齢による体力の低下をふまえ、Aさんの職務を見直すこととした。これまでに経験のある職務のうち、比較的習熟度の高い庶務についてAさんの専任の業務として担当してもらうこととしたほか、ミス防止のチェック表を作成して仕事の質も向上させ、Aさんに自信や達成感を感じてもらえるようにした。 ③働く意欲向上に向けた各種サポート  同社では、社内の上司や同僚、産業医(精神科医)のほか、社外の主治医、支援機関とのネットワーク(50ページ参照)を構築し、社員をサポートする体制を整備している。Aさんに対しても、周囲の同僚が日常的にAさんを応援し、精神面でのサポートをするほか、産業医、主治医、支援機関とも連携して勤務の安定化に向けてフォローを行った。 「傷病の治療等と就労の両立を可能とする勤務制度」の画像 改善後の効果  Aさんは当初の「週3日・12時間」の短時間勤務から、「週4日・23.5時間」の勤務まで段階的に勤務時間を延長したが、安定して出勤することができた。就業規則に制度として定め、適用要件なども明確化されたことで、より安心して、また目標感をもって、体調や状況に応じた勤務時間の設定・延長に取り組めるようになった。 Aさんが意欲的に遂行できる職務を与えることで、自信や達成感が得られ、モチベーションの向上につながった。社内のサポートと社外の専門機関の活用により生活面、体調面の安定につながった。 改善前の状況 Bさんは入社以来、印刷工場での勤務に従事し、役付者となったが、部下の指導などに悩むなか、精神面・体調面とも不安定となり、これまで問題なく遂行できていた職務を含め、確認もれなどのミスを多発し、体調不良につながっていた。 改善策 2 「社内留学」制度により新たな職務可能性を見出し、職務変更を実施して継続雇用を実現 ①社内留学制度の結果をふまえた職務変更 Bさんは「社内留学」制度を活用して、担当していた印刷職務とはまったく異なる事務職務を経験したところ、新しい職務での適性もあることがわかり、配置転換の可能性も視野に入れて会社と本人とで話し合った。 Bさんは未経験の職務を経験するなかで、現在の役職を降りて事務を一から学ぶことを決意し、事務への職務変更を実施した。 ②アドバイザーによる新たな職務の習得をフォロー 同社では、各職場(グループ)に、ジョブコーチ、障害者職業生活相談員、新人を育成する新人アドバイザーなどを配置して、初めて仕事に就く社員であっても、スムーズに職場に適応できるサポート体制が構築されている。 B さんの場合は、新しい職務でわからないことが多かったが、新人アドバイザーでもある同僚が親身に業務面での支援をしてくれたほか、上司が日報や定期的な面談、日常的なコミュニケーションを通じて、Bさんが無理なく仕事ができているか気づかっていた。これらによりBさんは新しい職務でも意欲的に仕事を進めることができた。現在は一人で個人情報をマスキングする業務など判断力が必要な仕事を行えるまでになっている。 社内留学制度とは… ・各部の部内で、本人の視野拡大や相互交流の活性化、グループ間の業務繁閑をふまえた相互応援の円滑化を目的に実施 ・本人希望または上司からの推薦により、1週間程度、他のグループの職務を経験 ・2018年度から将来の事業展開を見据え、部・部門を超えた「社内留学」を本格的に実施 「アドバイザーによるフォロー」の画像 改善後の効果  社内留学の結果をふまえてBさんの職務変更を行った結果、体力的・精神的に楽になったことで体調が安定し、周囲からの十分なサポートも受けることができたことから、ほとんど休むことなく意欲的・安定的に仕事ができている。 P26-P27 優秀賞 株式会社ベネッセビジネスメイト岡山事業所(岡山県岡山市) 加齢による作業スキルの変化が起こることを前提に、毎年更新できる「アセスメントシート」を作成。生活面、健康面の課題に対応するため、障害のある社員の研修を実施。 事業所の概要 ベネッセグループの特例子会社。東京都多摩市の本社と岡山事業所があり、全体の社員は311人。岡山事業所は岡山市内に3ヵ所にあり社員数は78人、うち障害のある社員は58人。業務はグループ企業の事務作業の受託、オフィス清掃作業など。 従業員数 78人 業種および主な事業内容サービス業 クリーンサービス(清掃)/メールサービス(社内便などの配達)/オフィスサービス(総務業務代行)/マッサージサービス/OAセンター(コピーセンター運営)/ベネッセスタードーム(プラネタリウム施設運営)/アシスタントサービス(データ入力など) 障害者雇用の経緯 ベネッセグループでの障害者雇用をより拡大するために2005年に東京で設立。翌年、岡山事業所開設。岡山事業所の主たる業務は事務作業、オフィス清掃で、2019年からはマッサージサービスも実施。近年はサービスの向上に努めており、クリーンサービス(オフィス清掃)ではグループ外の企業からの受注にも応えている。 紹介内容知的障害 【従事業務】オフィスビルの日常清掃・定期清掃など 年齢 29歳以下 18人 30歳以上~39歳以下 22人 40歳以上~49歳以下 11人 50歳以上~59歳以下 7人 60歳以上~ 0人 障害種別 視覚障害者 2人 聴覚障害者 3人 肢体不自由者 5人 内部障害者 1人 知的障害者 24人 精神障害者 22人 その他 1人 企業の声櫻田 満志さん(代表取締役社長) 当社は、特例子会社としての役割を果たしながら、その事業領域において市場競争力をもつ自立した会社となり、ベネッセグループや社会にとってなくてはならない存在となることをめざしています。当社においては「弱点を補強するよりは強みを生かす」という考え方で障害のある社員の指導を行い、一人ひとりがその特性に合わせて戦力になるように業務分担や配置を考えています。また、支援する側の指導員、管理者もレベルアップできるように定期的に研修や勉強会を行っています。このような一人ひとりの強みを生かすマネジメントについてはグループ全体にもつながっていけばいいと思っています。また、当社独自の取組として障害者の安定就労・定着をサポートする定着推進課(人事・総務部)という部門を設けており、障害のある社員・指導担当者向けの研修の企画・実行、家族や支援機関・医療機関との連携のコーディネートなど幅広い活動を行っています。そうした取組の効果もあって、障害のある社員の職場定着率は92%までになってきました。今後障害者雇用に取り組む企業に対しては、障害者を採用してその人に会った仕事を探すのではなく、まず任せる仕事を決めて、その業務ができる障害者を採用するという発想を持つことをお勧めします。 社員の声 Aさん(勤続15年) いま働いている職場に異動して5年経ちます。机ふきやトイレ清掃をしています。決められた手順通りに仕事をすること、報告をすることを心がけています。建物の周りの清掃が得意で、他の社員からほめられることもあります。 清掃に取り組むAさんの写真 現場担当者の声山田 恵李さん(岡山事業部 クリーンサービス課) 長く働き中高年齢となった障害のある社員については、20歳代の方と同じような体力を必要とする作業を中心にすることができない場合もあります。体調や体力面でどのような仕事を、どの程度の時間続けることができるかなど、その社員自身の話を聞き、様子を観察しながら、一日の仕事を丁寧に組み立てることを心がけています。同社では、職業生活をおくる上で必要なルールとマナーについて、研修を行っています。業務をスムーズに行うためのコミュニケーションの取り方のみならず、最近ではSNSに関することなど、現場で今課題となっているテーマを取り上げることがあります。お互いを大切にした気持ちのよいコミュニケーションを取ることも、長く働き続けるためには必要なことと考えています。 P28-P29 改善前の状況長期間勤務しているAさんについて、職場での人間関係がむずかしくなった時期があり、勤務場所の変更を検討した。新たな環境で勤務するにあたっては、どのような業務をどの程度行うことができるのか、また新たな職務を習得するにはどのような支援方法が有効なのかを把握する必要があった。 改善策 1 ジョブコーチによるアセスメントシートの活用と、障害特性に配慮したサポート ①アセスメントシートの活用  長期間同じ業務を担当していても、加齢などによりこれまでできていた業務であってもできなくなることもある。同社では「アセスメントシート」(47ページ参照)を活用し、毎年社員一人ひとりの評価を行っている。 Aさんも、アセスメントシートを活用しての評価で 「階段をうしろ向きに降りながらモップをかける」といった体力やバランス能力が必要な業務を行うことができなくなっていることがわかった。 ②一日の作業の組み立て  Aさんの勤務場所の変更にあたっては新たに担当となった指導担当者がアセスメントシートの結果や、日頃の業務の様子を確認しながら、より効率的、効果的な業務手順などについて検討を行った。体力的に対応することがむずかしい作業については、他の社員と役割分担を行いながら、Aさんが自信をもって行える作業を中心に業務を組み立てた。業務の組み立てにあたっては、作業スケジュールをシンプルにすること、効率のよい動線や時間を意識して作業を進めることができるように工夫した。 ③新たな手順習得にあたっての工夫点  アセスメントシートの活用や指導担当者によるサポートにより、以前より周囲の声が聞こえにくくなっていること、聞いて理解するよりも、指導員による手本を見ながら一緒にやってみるという方法が手順を習得しやすいこと、漢字を読むことは得意であることがわかった。そこで、手本を示して指導し、Aさんがメモをとり、そのメモを見ながら作業をすることを繰り返した。またメモの内容を更新しながらミスのない作業が行えることを目指した。 改善後の効果  指導担当者がアセスメントシートを活用することで、Aさんの強みを見出すことできると同時に、バランス能力や聴力の低下などの変化に気づくことができた。またそこで得られた情報をもとにAさんと指導担当者が話し合いを深めたことが、新たな環境での職場定着につながっている。 改善前の状況 「世話人」のサポートを受けながら、自立生活を行う「グループホーム」で生活していたAさんが体調をくずしたことをきっかけに、金銭管理面の課題など、それまで会社では気づかなかった事実が分かった。 改善策 2 支援機関と連携した生活面のサポート ①支援機関と連携した生活支援  日頃から同社とグループホームの間では、電話や連絡ノートを活用して情報共有をしている。Aさんが体調をくずしたことをきかっけに、それまでグループホームでも把握していなかった食費を切り詰めていたことなどの状況が明らかになった。定着推進課がグループホームのスタッフと情報共有する中で、携帯電話使用料が高額であり、その分、生活費を切り詰めていることなどもわかった。職場では生活面や健康面の変化を最初にキャッチすることも多いが、生活面の課題に会社がかかわることで、社員がきゅうくつに感じたり、「会社に知られたら、いられなくなるのではないか」と不安に思うことも懸念されるので、生活面の課題は会社が直接かかわるのではなく、支援機関にサポートを依頼している。障害のある社員、支援機関、会社が定期的に面談・電話で連絡をとりあうなど、日常的に情報共有できる仕組みを作っている。 ②支援機関のスタッフとの定期面談  課題が何もなくても半年に一度は支援機関が同社を訪問し、社内において支援機関のスタッフと障害のある社員との二者面談を行っている。課題や困りごとが大きくなってから初めて支援機関と連携するのでは、支援者との信頼関係を作るところに時間がかかってしまう。さらには、課題が大きくなることで体調不良に至ることもある。こうした定期面談の機会を設け、支援のタイミングを逃さないことが重要と考えている。 「支援ネットワークの図」の画像 改善後の効果  企業だけでは把握できない生活面の課題を確認し、解決に向けたサポートを生活支援機関に依頼することで、障害のある社員は安定して働けるようになった。 障害のある社員が受講する職場のルールとマナーなどに関する社内研修 同社では、日常生活や職場のルールとマナー、コミュニケーションなどを学ぶ社内研修を行っている。指導担当者の意見を聞いて、定着推進課が主体となり、外部講師とともにテキストを作成して研修を開催。受講者の目の前で自分の気持ちと相手の思いがかみ合わない場面を演じ、「相手の立場に立つとどう感じるか」などを考える。〇×カードやグループディスカッションを取り入れ、実際に受講者が演じてみるなど、参加型の研修である。 社内研修で使用する資料の画像 P30-P31 奨励賞 有限会社キホク(愛媛県松山市) 脳出血による後遺症に配慮した配置転換、短時間勤務からの段階的職場復帰などの障害や体力に応じた配慮により、継続雇用を推進。 事業所の概要 「松山を訪れる観光客に対して、おしぼりでおもてなしをしたい。」という思いから昭和49年に創立。主な業務として、飲食店やホテルなどへおしぼりのレンタルを行っている。同社の経営理念である「感謝と奉仕」に基づく、社員、その家族、お客さま、地域、取引業者とともに繁栄し、喜んでいただける事業展開を目指している。 従業員数 14人 業種および主な事業内容生活関連サービス業 飲食店・ホテルなどへのおしぼりのレンタル/紙おしぼりの販売 障害者雇用の経緯 昭和59年に特別支援学校の先生から就職先の決まっていない生徒1人の相談があり、先生の熱心さに感銘を受け、障害のことはわからなかったが採用。その後も特別支援学校の卒業生を中心に知的障害者の雇用を進めている。 紹介内容知的障害 【従事業務】おしぼりの検品包装作業 年齢 29歳以下 1人 30歳以上~39歳以下 3人 40歳以上~49歳以下 2人 50歳以上~59歳以下 1人 60歳以上~ 0人 障害種別 視覚障害者 0人 聴覚障害者 0人 肢体不自由者 0人 内部障害者 0人 知的障害者 7人 精神障害者 0人 その他 0人 企業の声上田 剛士さん(代表取締役) 平成22年に先代社長である父から経営を引き継ぎました。両親が障害者雇用に取り組む姿を幼少期から近くで見てきたことから、障害者雇用は我が社にとって当たり前のことでした。私も先代からの経営理念である「感謝と奉仕」を大切に、障害のある社員を我が子と思って会社とともに育ててきました。今では知的障害のある社員が会社を支える貴重な「戦力」として各部門で活躍してくれています。特別支援学校からの職場実習生も積極的に受け入れ、15年ぐらい前からは新卒採用は障害者雇用が基本となっています。一方で、障害者雇用に長く取り組んできたが故に、勤続年数が20年、30年を超える中高年齢層の社員も複数おり、70歳定年の我が社にとって働く意思を持つ彼らの雇用継続にどう取り組んでいくか、現在模索しているところです。就職希望者に選ばれる業界、企業となるべく魅力のある職場づくりを進めていきたいと考えています。これから障害者雇用に取り組まれる企業のみなさんには、中小企業であってもダイバーシティへの対応が必要になってきていることから、さまざまな人が働ける環境づくりにチャレンジしていくことが大事であることをお伝えしたいです。 社員の声 Aさん(勤続28年) 病気(脳出血)により、左手の動きが悪くなり、仕事が少しやりにくくなりました。病気の前はグループで行う作業でしたが、現在はひとりでの作業に変わりました。また、病気療養のあと、職場復帰するときにはまず午前中だけの勤務からスタートし、いまでは前と同じ勤務時間に戻っています。作業するときには、おしぼりをまっすぐに機械に入れ、曲がらないように気をつけています。新しい仕事にも慣れ、リハビリで手の動きがよくなったこともあり、困っていることはありません。疲れることもありますが、働けることは楽しいです。休みの日には家事をまとめてすませており、買い物や調理が楽しみです。なにか困ったことがあっても相談に乗ってくれる人が近所にいて、助かっています。 現場担当者の声上田 智子さん(常務取締役)当社では障害のある社員が中心となって活躍しており、障害のない社員とも相互に助け合うフラットな関係です。障害のある社員が日々「仕事が楽しくて仕方ない。」「毎日仕事に来ることが楽しい。」と言ってくれること、自分の仕事に誇りをもって取り組む姿に彼らの成長を感じています。 Aさんが脳出血による休職から職場復帰をする際、仕事好きのAさんは早く復帰したい意向が強く、会社側がブレーキをかけたほどでした。Aさんに関しては、後遺症による作業効率の低下は見られるものの安心して仕事を任せることができ、長く働き続けてほしいと願っています。今は外部の支援者のサポートも受けながら課題の改善に取り組んでいるところです。社員の高齢化に備えた会社としての取組はまだまだこれからですが、当面は個々に生じる課題を解決しながら、高齢化への対応のノウハウも積み重ねていきたいと考えています。 P32-P33 改善前の状況 Aさんは28年前から勤務していたが、平成29年11月に脳出血を発病し入院・加療。2ヵ月半後に職場復帰を目指したが、左上下肢機能の低下(後遺症)のため、元の職場に復帰したものの、作業精度や作業ペースに課題があり、グループ作業では作業速度に周りの社員の差が発生することから、Aさん自身も周りの社員との差を気にしてしまい、不安を感じるようになっていた。 改善策 1 後遺症に対応した設備の改善と、単独作業への配置転換 ①後遺症に配慮した使用設備の変更 休職前、洗ったおしぼりを一枚一枚広げて、汚れ、ほつれ、生地の薄さなどをチェックし、選別したおしぼりを包装機械に入れる作業を担当していたが、この作業は広げたおしぼりをまっすぐに機械に入れる必要があった。 しかし、左半身の動きが鈍くなり体が少し傾くようになったAさんは、その影響で、おしぼりを正しい角度で置くことができなくなり、作業精度が低下した。そこで、同じ包装部門ではあるが、今までとは異なる包装機械を使用することとした。 そこではおしぼりを半分に折り機械に投入するが、折り方や置く方向に多少のズレがあってもきれいに巻ける機械を使用しているため、作業精度面での課題は低減された。 ②単独作業への転換 休職前のAさんが担当していたラインは、複数の社員が横一列に並んで作業する環境のため、他の社員の様子が気になる環境であった。復職後、後遺症により作業効率が低下したAさんは、以前の自分や周囲との作業速度の差にいらだちや焦りを感じ、精神的負担となっていた。 そこで単独で行う作業部署への配置転換を行った。配置転換後は自分ひとりのペースで作業を進めることができる環境であり、周囲を意識することもなくなり、落ち着いて作業できるようになった。 以前の作業現在の作業グループ作業現在の作業部署 改善後の効果 使用する設備の変更、単独作業への配置転換により自分のペースで安定して作業を進めることができ、精神的負担も軽減された。作業効率面での課題は残るが、責任をもって作業を行い安心して仕事を任せることができる存在となっている。 改善前の状況疾病などにより休職した社員の復職制度は未整備であったが、Aさんの職場復帰にあたっては疾病と加齢による体力低下を考慮すると何らかの配慮が必要であった。また、少ない人員体制のなかで、休職や休暇取得などによる体制の変化に機動的・柔軟に対応する業務実施体制の整備が求められていた。 改善策 2 短時間勤務からの無理のない職場復帰、複数業務を担当可能とする人材育成 段階的な勤務時間の延長 Aさんの職場復帰については主治医の許可は得ていたものの、事業所としては体調・体力面への配慮から、勤務時間を短時間から始め、段階的に延長していくことが必要と考え、Aさんと相談した。具体的には、平成30年1月から約2ヵ月間をかけ、作業状況、体調や疲労度合、本人との面談などをもとに次のような段階を経て通常勤務へと移行した。 第一段階:午前中1時間のみの勤務第二段階:午前中のみの3時間勤務第三段階:_午前中の勤務に加え、週2~3日は夕方までの通常勤務第四段階:通常勤務  平成30年の3月中旬からは通常勤務となり、以降安定した勤務を継続している。同社では、こうした対応は就業規則で定めているものではなく、社員一人ひとりの状況に合わせて必要な対応を個別に検討し、実行することとしている。 ②複数業務を担当するための人材育成 現在の全社員14人と少数の社員で事業を行っていることから、社員一人ひとりが担っている役割は大きい。病気や休暇などでの急な欠員が生じた場合の事業への影響を最小限にとどめる工夫として、障害特性に応じた適材適所の配置を図るとともに、障害のある社員が、洗濯部門・包装部門・結束部門などで必ず2つ以上の異なる部署の業務を担えることを目ざして育成している。 改善後の効果  Aさんの職場復帰にあたっては短時間勤務を導入し、本人の様子をこまめに確認しながら段階的に職場復帰を進めた結果、円滑に通常勤務に移行することができた。また、その間のAさんの抜けた業務をほかの社員が埋め合わせることで、業務に与える影響も最小限にとどめることができた。 その他の改善工夫 ①機器操作盤の表示改善 洗浄機器の操作盤に、手順やボタン機能の説明などをシールなどで分かりやすく表示することで、スムーズな手順理解や正確さの向上につながっている。(51ページ参照) ②家族などとの情報共有と連携 安定した職業生活の維持には体調管理が重要なことから、障害のある社員の家族などと連絡をとり、連携して対応している。家族なども会社での様子を知ることで安心でき、必要な相談がしやすくなる。一方で、社員の年齢が高くなるとともに家族の高齢化も進むなど、生活面での支援をどうするかが今後の課題であると考えている。 P34-P35 奨励賞 旭電器工業株式会社(三重県津市) 高齢社員の継続雇用に向け配置転換を行い、ジョブコーチのサポートにより作業工程を細分化、見える化。 事業所の概要  パナソニック株式会社の関連会社として設立され電気機器を中心に設計から製造までの一貫生産を行っている。2019年に創業70周年を迎える。近年は車載用部品の生産も行っており、より多くの分野に幅を広げて活躍の場を増やしている。 従業員数 322人 業種および主な事業内容製造業 電気機器用配線器具・防災機器・産業用スイッチ・コネクタ・車載用部品などの生産 障害者雇用の経緯  創業者および設立にかかわった社員に元教員が多く、人を育てる風土が根付いており、地元の障害者の就職先として受け入れをしている。新卒・中途を問わず一定数を採用しており、知的障害者を中心に幅広く雇用している。 紹介内容知的障害 【従事業務】清掃作業など 年齢 29歳以下 5人 30歳以上~39歳以下 0人 40歳以上~49歳以下 3人 50歳以上~59歳以下 3人 60歳以上~ 2人 障害種別 視覚障害者 1人 聴覚障害者 2人 肢体不自由者 1人 内部障害者 3人 知的障害者 6人 精神障害者 0人 その他 0人 企業の声橋本 幸司さん(代表取締役社長) 当社では「物をつくる前に人をつくる」を基本理念に、人を大事にする経営を行っています。障害者を雇用するにあたり心がけていることは「改善・配慮はするが区別はしない」ということです。清掃や整理整頓であっても工場内のラインと同じく、会社にとっては必要な一工程であり欠かすことのできない作業です。創業70周年を迎え、今ではざまざまな障害のある方が働いていますが、障害者の熱心さ、一生懸命さやひたむきさからは学ぶべきことが多いと感じています。今後も、障害者を雇用していくために、企業在籍型ジョブコーチを活用し、また、障害者が戦力となるよう取り組みの強化を図っていきたいと考えています。 社員の声榎原 仁美さん(勤続44年)約1年前に定年を迎えましたが、会社に来ることが楽しく、もう少し勤めたいとの思いから継続雇用を希望しました。以前の仕事は年齢もあり立ち続けることがつらくなりましたが、体力に無理のない仕事に変更してもらい、今は社員食堂など社内の清掃、文書のシュレッダー作業を行っています。「ありがとう」とお礼を言われるとうれしくなります。これからも会社をもっときれいにして休まずにがんばっていきたいと思っています。 現場担当者の声相原 信哉さん(管理部障がい者就労支援担当ジョブコーチ)指導にあたって心がけていることはしっかりフィードバックすることです。できた時は「よくできた」としっかりほめること、できなかった時は「○○ができていなかったのでこうしましょう」と、具体的に伝えるようにしています。具体的に説明することで次から改善に向け意識して取り組むことができるようになりますので、こちらから言わなくても正しく仕事を進められるようになります。作業指示は工程ごとに切り分けをして手順書を作成し、具体的に指示するようにしています。マニュアル化することで担当者の異動があった場合でも円滑に引きつぐことができます。また、支援機関との連携も重要だと考えています。障害のある社員が高齢化していくことで身体的な配慮や生活面でのサポートが今まで以上に必要になってきます。会社でサポートできない面は障害者就業・生活支援センターなどの支援機関と連携していきたいと考えています。 「きれいに清掃された植木、食堂」の画像 P36-P37 改善前の状況 加齢による体力の低下などにより、榎原さんにとって製造現場での作業継続はむずかしいと判断し、人事部門へ配置転換して軽作業に変更したものの、新たな作業の理解と定着に時間がかかっていた。 改善策 1 作業計画の可視化、作業手順のマニュアル化 ①加齢、障害の特性に応じた作業の切り出し  配置転換に向け、新たに担当する職務を選定する必要があった。更衣室の清掃や食堂のテーブルふきなど、空き時間に社員が自主的に行っていたものや、各部門で行っていた定型作業を洗い出し、清掃と機密書類のシュレッダーの作業を新たに選定した。 配置転換により、榎原さんが清掃や他部署の書類のシュレッダー作業を担当することで、他の社員が自分の本来業務に取り組む時間が増え、各部署の業務負担が減った。 ②作業工程を細分化し、マニュアル化  清掃作業の具体的な手順が定まっていなかったため、どの道具を使い、どこまできれいに清掃すべきか基準が分からず、自己流で作業を進めることがあった。そこで、作業工程を細分化し、どういった手順でどの道具を使いどの程度まできれいにするのかといった作業内容を具体化し、写真を交えた視覚的に分かりやすいマニュアルを作成した。 また、作業手順を理解するまでは、同社の障がい者就労支援担当が個別指導を行った。 ③作業ごとの計画実績記録表の作成  清掃作業やシュレッダー作業について、いつ、どの作業をするのかが決まっていなかったため、当日の作業スケジュールをそのつど指示する必要があった。そこで、作業ごとに計画実績記録表(57ページ参照)を作成し1ヵ月の作業を可視化した。 また、1日の作業が完了したら自らがサインし、作業指示者に報告するようにして、進捗管理を行えるようにした。 作業マニュアル 清掃作業の計画実績記録表 改善後の効果 作業工程を細分化、マニュアル化したことで清掃手順が明確になり、ふきのこしなどのミスがなくなり、作業精度が向上した。あらかじめ作業計画を示すことで、見通しが立ちやすくなり、指示を出さなくても自発的に作業を実施できるようになった。 作業終了後には、自らが作業計画実施表にサインし、上司から承認されることで達成感が得られ、やりがいにつながった。 改善前の状況一人で作業しており、困ったときに相談できる相手がおらず、ホウ・レン・ソウ(報告・連絡・相談)をタイミングよくできていなかった。また、障害の特性上、時間の見通しをもって作業を行うことが苦手であり、時間内に作業が完了しないことがあった。 改善策 2 2人一組の作業、エリアごとの作業時間の設定、キッチンタイマーの活用により時間管理、安全・効率的なシュレッダー作業 ①2人一組のチーム作業  もう1人の障害のある社員を同じ作業エリアに1人配置し、2人一組で作業する体制に変更した。 また、困ったときは共に働く社員に相談したり上司に相談できるようチームでサポートしながら何かあったら報告できるよう体制を整えた。 ②作業時間の細分化とキッチンタイマーの活用  時間内にすべての清掃作業を完了することがむずかしかったため、本人の作業スピードをふまえながら、清掃エリアごとに目安となる作業時間を決めて実施することにした。 また、どのぐらいのペースで作業をすればいいか時間の見通しを持つことが苦手であったため、声かけがないと同じエリアの掃除を続けていることもあった。 そこでキッチンタイマーを使用し、アラーム音により作業終了時間を知らせることにした。 ③安全・効率的なシュレッダー作業  機密書類のシュレッダー作業では、各部署の機密書類を回収するにあたり、回収する順序や紙の種類による分別方法を決めていなかったため、効率的なシュレッダー作業ができていなかった。そこで、回収する順序、紙の種類ごとの分別方法を定めた。 また、シュレッダーを使用しての作業のため、安全意識を醸成するためにイラスト教材を活用しながら危険予知に関する研修を行った。 安全確認表示ロック機能追加 安全にシュレッダー作業を行うための取組 シュレッダー作業中の榎原さんの写真 改善後の効果 他の社員とチームで作業をすることで、困ったことを相談でき、上司へのホウ・レン・ソウ(報告・連絡・相談)もできるようになった。キッチンタイマーの活用により、何度も繰り返し使用することで時間の感覚を理解できるようになるとともに、清掃エリアを細分化して時間を設定することで時間内に作業が完了するようになった。 担当業務の効率化が図られることだけでなく、安全を意識しながらシュレッダー作業に取り組むことができるようになった。 P38-P39 奨励賞 リゾートトラスト株式会社(愛知県名古屋市) 企業、地域の支援機関の連携によるサポートで雇用継続。定期通院休暇制度、フレキシブル勤務が仕事と治療の両立をサポート。 事業所の概要  会員制リゾートホテルをベースに幅広い領域で事業を展開する総合リゾート企業。会員数は18万人を超える。  リゾートホテル・シティホテルなど国内 49カ所、ハワイ1カ所、ゴルフ場13カ所、メディカル8カ所、シニアレジデンス23カ所を展開。 従業員数 8,646人 業種および主な事業内容 サービス業 会員権事業/ホテルレストラン事業/ゴルフ事業/メディカル事業/その他の事業 障害者雇用の経緯  各ホテルにおいて障害者雇用を進めていたが、就業場所がリゾート地であるため通勤に時間を要し、 雇用できる人が限定されていた。  2006年に事務を集中的に行う事務支援センターを立ち上げ、障害者雇用を積極的に進める。現在で は、名古屋、東京、横浜、大阪のセンターを中心に200人を超える障害者を雇用。 紹介内容 身体障害、知的障害 【従事業務】 ダイレクトメール発送作業/PC入力/名刺作成/データチェック/ホテルベッドメイク/契約書作成/ 庶務業務/シュレッダー/化粧品サンプル作成 など 年齢 29歳以下 83人 30歳以上~39歳以下 48人 40歳以上~49歳以下 44人 50歳以上~59歳以下 21人 60歳以上~ 20人 障害種別 視覚障害者 3人 聴覚障害者 7人 肢体不自由者 26人 内部障害者 17人 知的障害者 83人 精神障害者 78人 その他 2人 企業の声 吉田 幸代さん(人事企画部CSR推進室長) 事務を集中して処理するセンターを障害者が担うという考えで事務支援センターを立ち上げ、障害者雇用を推進しています。営業所、ホテルでそれぞれ行っている業務を事務支援センターが担うことにより営業マンは営業に集中でき、ホテルスタッフはお客様へのサービスに力を注ぐことができます。当社では、障害のあるなしに関わらず、本人の希望と健康状態を鑑み70歳まで働くことが可能です。就労を継続していく上では、本人のやる気をいかに引き出すかが重要です。評価制度を導入し、処遇に反映させることで自分の成長を感じられるような仕組みを作りました。また、平成30年度にはリーダー制度を導入し、障害のある社員のキャリアアップにも取り組んでいます。本人、ご家族の高齢化により、生活環境が変化するケースもあります。就労を継続するためには生活の安定は不可欠ですが、企業単体で対応できるものではありません。就労支援機関、福祉機関、行政と役割分担しながら障害者の雇用継続を進めていきたいと考えています。 社員の声服部 匡志さん(名古屋事務支援センター勤続5年) 入社当初は短時間勤務でも体力的にきついと感じることがありましたが、周りのサポートやハンデを背負った同じ部署の仲間の存在に助けられ、5年目の今では時間を増やして働けるようになりました。書類の押印やホテルで使用するおしぼりの検品作業など、仕事を覚えてできるようになるとやりがいを感じます。新人の教育を担うこともあり、成長につながっていると思います。 勢子 照美さん(東京事務支援センター勤続 11年)ダイレクトメールの資料の挟み込み、封入封緘作業をしています。入社して11年になります。最初はホテルの清掃を中心に行っていましたが、足に負担が出てきたことからダイレクトメール作業に変更してもらい、仕事を続けることができています。サポートスタッフから効率的な作業のやり方を教えてもらったり、他のスタッフのやり方を参考にしたりしながら仕事を進めています。 梶山 静子さん(東京事務支援センター勤続 14年) 定期通院休暇制度ができるまでは、有給休暇が通院でなくなっていました。今では、年間12日の通院休暇を利用して通院できるので助かっています。これからも身体が動くかぎりがんばっていきたいと思います。 現場担当者の声北沢 健さん(東京・横浜事務支援課長)障害者が職場で能力を発揮できるようさまざまな業務を確保し、適材適所の配置をしています。ホテルや営業部門などからさまざまな業務を依頼されており、現在では250種の業務を行っています。雇用継続のためには生活の安定が重要です。就労支援機関のサポートが欠かせません。定期的に職場訪問をしてもらったり、障害者が支援機関に相談に行ったりして、障害者、企業、就労支援機関の日常的な情報共有を進めています。 P40-P41 改善前の状況 中高年齢の社員のなかには、自身の体力の低下や家族の高齢化による生活環境の変化のために雇用継続に影響が生じることがあった。 改善策 1 サポートスタッフによる障害のある社員の健康面、生活環境の把握体力に応じた業務への配置、支援機関と連携した生活面のサポート ①健康面・生活面の変化の把握と体力に応じた業務への配置  同社では、障害者の業務指導、進捗・品質管理を行うサポートスタッフを配置している。サポートスタッフは業務や健康面、生活面で気づいたこと、本人から相談があったことなどについて、ケース記録を作成しスタッフ間で情報共有を行っている。本人を支援する機関の担当者にも情報を共有し、課題が生じた際には早期に対応できるよう連携を心がけている。 加齢により体力が低下した社員に対しては、多種多様な業務(56ページ参照)の中から、本人の適性に合った業務に変更することにより雇用継続につなげている。 ②障害者、家族、支援機関のつながりの場として、保護者会を開催 年に1回、保護者と支援機関に声をかけ保護者会を開催している。毎年100人程度の参加があり、障害者、家族、支援機関とのつながりの場になっている。  生活面に関して相談ニーズのある障害者、家族にとって、保護者会の場は参加している支援機関との顔合わせ、相談するきっかけにもなる。その時点で相談ニーズがなくても、保護者会を通じて支援機関担当者の顔をあらかじめ知っておくことで、困ったときに相談しやすくなるメリットがある。また、5年ごとに永年勤続表彰を行いモチベーションの向上につなげている。 ③支援機関と連携した生活面のサポート  家族の高齢化により、従来のように本人に対するサポートが得られにくくなるケースもある。家族が介護を必要としたケースでは、本人の了解のもと、就労支援機関職員、区役所の障害福祉担当ワーカー、高齢者福祉担当ワーカーなどと連携し、家事ヘルパー、金銭管理サポート、家族の介護サービス利用につながり、生活環境が安定し、雇用継続が可能となった。また、就労支援機関のサポートにより職場に近いグループホームに入居して、仕事を続けている社員もいる。 保護者会の様子の画像 清掃からダイレクトメール発送業務に変更し活躍 改善後の効果 障害のある社員の健康面、生活面の状況をきめ細やかに把握することで、本人の身体的負担を考慮した業務の変更や支援サービス利用による生活環境の安定により、雇用継続につながった。 社員の生活面については、企業単独で対応することは難しく、日常的に支援機関と連携することで、適切な支援を得ることができた。 改善前の状況継続的な治療が必要な社員は、定期通院だけで有給休暇がなくなってしまい、体調不良時や気分転換を行うための休暇が取得しにくい状況であった。また、定期通院などの必要な休暇を取得しやすいように、業務の再分担、引継ぎがスムーズにできるようにする必要があった。 改善策 2 定期通院休暇制度の導入と効果的な業務の引継ぎ ①定期通院休暇制度の導入  障害者手帳を所持する社員を対象に、有給休暇とは別に通院休暇を付与する制度を導入。利用は月2日までで、年間12日取得が可能である。 入社まもなくで有給休暇が付与される前であっても通院休暇が取得できるため、安心して治療を受けることができる。 【定期通院休暇制度】 ・障害者手帳を所持する社員が対象 ・障害者手帳と医療機関の登録が必要 ・事前に利用申請し、通院後領収書を提出 ・有給休暇が付与される前から利用可能 ・月2日、年間12日の取得が可能 ・利用日数は年度ごとに更新 ②フレキシブル勤務の活用  障害のあるなしに関わらず、準社員、正社員はフレキシブル勤務による勤務時間の調整が可能である。ただし、フレキシブル勤務の対象は、安定出勤ができており、自分で時間管理が可能で、上司から活用が認められた人としている。 労働契約で定められたひと月の労働時間の範囲で、勤務時間の調整ができる。通院前後の出勤やラッシュを避けた通勤が可能となり、仕事と治療の両立につながっている。 ③ホワイトボードを活用した効果的な業務の引き継ぎ  社員が定期通院のために休暇取得した場合やラッシュを避けた通勤により勤務時間を調整した場合、不在となった社員の担当業務の引継ぎや再分担をどのように進めるかという課題があった。そのため、サポートスタッフ間で社員の業務分担、業務量を把握し、ホワイトボードに記載することで、全体の作業量、優先順位を把握できるようにした。 急遽、勤務時間を調整する社員がいても、ホワイトボードを見ながら業務の分担が柔軟に変更できるようになった。また、周囲の社員もホワイトボードを見ながら自発的に業務をサポートするなど、スムーズな業務の引継ぎが可能となっている。 ホワイトボードで業務量を把握の画像 業務別ホワイトボードの写真 改善後の効果  定期通院休暇制度を活用し、定期通院やリハビリを受けながら働くことができること、フレキシブル勤務を活用して朝のラッシュを避けて通勤ができることから65歳を超えて、仕事と治療を両立しながら働く社員がいる。休暇などによる業務の引継ぎもスムーズにできている。 P42-P43 奨励賞 株式会社舞浜コーポレーション(千葉県浦安市) 将来の高齢化に備え、生活面の支援体制を把握、支援機関への登録など予防的対応を展開。障害のある社員に対する生活面の研修に加え、健康管理に関する内容を追加。 事業所の概要  1994年株式会社オリエンタルランドの初の子会社として設立、2009年に株式会社オリエンタルランドの特例子会社であった株式会社舞浜ビジネスサービスと合併を行い、特例子会社となった。テーマパークの多種多様な支援事業を担っている。本社および千葉県袖ヶ浦市にあるフラワーセンターの2つの拠点を有する。 従業員数 432人 業種および主な事業内容テーマパーク運営に関するサポート業務 クリーニングおよびリネンサプライ業/マッサージ業/花卉事業/理容業/郵便物などの受渡しおよび発送代行業/商品の値札作成・値付業務/拾得物の保管・管理業務/名刺印刷業務 など 障害者雇用の経緯 前身となる株式会社舞浜ビジネスサービスは知的障害者を中心に雇用していた。その体系を引き継ぎ、合併後も知的障害者を中心に雇用を進め、2019年10月時点では雇用する知的障害者数は235人となった。その内、雇用対策上の重度障害者の割合は44%を超える。 紹介内容知的障害、発達障害 【従事業務】商品の廃棄・分別/値付け/商品の陳列準備/郵便物の集配/テーマパーク内の設備点検・物品補充など 年齢 29歳以下 135人 30歳以上~39歳以下 89人 40歳以上~49歳以下 50人 50歳以上~59歳以下 15人 60歳以上~ 1人 障害種別(人)視覚障害者 4人聴覚障害者 5人肢体不自由者 25人内部障害者 8人知的障害者 235人精神障害者 13人その他 0人 企業の声中澤 尊史さん(代表取締役社長) 特例子会社の使命として、自社だけではなく、オリエンタルグループ全体の障害者雇用のリーダーシップをとる存在になる必要があると考えています。テーマパークを支える社員の行動基準は世界共通です。行動基準を共有する仲間が全世界にいること、お客様への最大の幸福の提供に貢献できることは、何よりも当社社員のモチベーションの基盤となっています。障害のある社員には、高い価値を生み出す仕事をすることで、働きがいを感じられるようになり、テーマパーク事業を支える人材になってもらいたいと願っています。なお、これまでは知的障害のある従業員は原則としては嘱託社員として雇用していましたが、わが社は安心して長く働く環境でありたいと考え、2019年10月から全員の正社員化を実現しました。 社員の声 Iさん(勤続17年)以前はテーマパーク内の食器洗浄、郵便物の集配業務を担当していました。今年から廃棄物の分別などを担当していますが、この仕事ができてよかったと感じています。仕事をするときには、身だしなみを整えること、笑顔であいさつをすること、足元に気をつけ、つまずかないことを気をつけています。分別作業ではバーコードの読み取り作業を他の人とペアになって行いますが、ペアの人が作業しやすいように、向きをそろえて並べるようにしています。 現場担当者の声山田 亮介さん(マーチャンダイズサポートスーパーバイザー) 障害のある社員が長く働くためには、悩み事がある時に、一人で抱え込むことがないよう、気軽に相談できる職場であることが重要と考え、管理職と障害のある社員が近い存在であるように、部署全体で取り組んでいます。マーチャンダイズサポートは、値付け作業を仕事の中心にしていました。マーチャンダイズサポートとは商品のサポートをするという意味なので、私たちにできる店舗サポートは何か、商品管理などに関する作業でできることはないかと考え、障害のある社員の業務の範囲を拡大してきました。担当する作業は得意な作業を中心として、気持ちよく働ける職場になるように心がけています。 山﨑 春奈さん(雇用開発部ノーマライゼーション推進グループ主任)障害のある社員が安心して長く働くためには、生活面の安定も重要だと感じています。そのため、生活支援機関を私たちが訪問し具体的な制度や支援内容を情報収集し、障害のある社員のご家族に情報提供することもあります。また、健康管理に関して、自ら積極的に情報発信できない社員もいるため、「大丈夫」という言葉を鵜のみにしていいのか不安に感じることもあります。「加齢に対応する取り組み」は生活面、健康管理面を中心に社内の情報整理を行いました。定期面談で利用している「従業員情報シート」は障害のある社員の「勤務する上での配慮、本人の要望・希望する配慮」「会社でできる合理的配慮」は何かを確認する目的で活用しています。ぜひ、他社のみなさまにも参考にしていただきたい取り組みです。 P44-P45 改善前の状況 2020年までに40歳を迎える社員が23.7%、5人に1人が40歳以上の社員となる。中には現在の勤務場所、職務内容では体力や作業スピードの面で業務を続けることに課題がある者もおり、状況把握が必要であると同時に、課題に対応した準備を早急に行う必要があった。 改善策 配置転換と支援機関とのネットワークづくり ①加齢や障害の進行により、課題がある社員、今後、課題が生じる可能性のある社員の状況把握  「2020年に40歳を迎える社員」、「障害の進行により、仕事を続ける中で何らかの課題が生じている、または課題が生じる可能性が高い者」と「生活環境面の整備がなければ課題が生じる可能性がある者」をリストアップ化したところ、100人、35%が該当した。 ②社員の配置転換  実際に障害の進行などにより、業務を続けることに課題が起きた場合は、勤務場所を変えて新たな業務にチャレンジすることもある。同社では「クロス/チャレンジトレーニング」という業務体験を2~3ヵ月行い、新たな環境で十分に勤務できると判断された場合は、異動を行う。 ③生活支援機関の情報収集と情報共有  同社では障害のある社員全員に対して「従業員情報シート」(52-53ページ参照)を作成している。同シートは「通勤」「体調管理」「就業環境」「生活環境」から構成され、半年~1年に1度行う「合理的配慮に関する定期的な面談(ノーマライゼーション推進グループと人事グループ、または現場の育成担当者による個人面談)」で得た情報は同シートに記載することになっている。 「生活環境」にあげられる課題は、企業内だけでは解決できないこともあるため、同社では、積極的に情報収集を行った。具体的には社員の生活する地域の市区町村の障害福祉課を訪問して福祉サービス情報を得てファイル(45ページ参照)に整理した。また、生活支援を行う機関を訪問して、機関ごとのサービス内容をまとめたほか、必要に応じて支援者に企業訪問をしてもらうよう提案し、障害のある社員の働く様子の見学などにより顔の見える関係を事前に作り、課題が生じた際に、スムーズに解決できるような予防的対応を行った。 従業員情報シートの画像 改善後の効果  全社員の就業、生活状況を把握することで課題を明確化することができるようになった。課題が明らかになったことで、社員本人にとっては、より働きやすい環境を提供することができるとともに、「顔の見える関係づくり」により、将来生じる可能性のある課題に対して、障害のある社員本人、会社、家族、支援機関が事前に情報共有できる体制をつくることができた。 改善前の状況 障害のある社員の中には、健康に関する情報が不足している者、自分の健康診断結果を理解することがむずかしい者、親が高齢となり家庭のサポートが十分でない者など、本人ひとりでは健康管理が十分にできない者がいた。また全社員に実施する「ストレスチェック」は、知的障害や発達障害のある社員にとっては設問がむずかしいものもあり、回答内容が本人の状態を正確に表しているのか、判断に迷うものもあった。 改善策 2 企業が社員の健康上の課題を正確に把握するための仕組み作りと社員全員が健康問題に関心を持てる仕組みづくりの実施 ①「バリアフリー版ストレスチェック」の作成  ストレスチェックの実施にあたり、知的障害や発達障害のある社員に対しては設問の主旨を変えずに理解しやすい表現に変えた。ストレスチェックを行う日には「設問説明会」を開催し、設問の意味について解説を聞きながら回答できるようにした。結果についても平易な言い回しで記載した「バリアフリー版ストレスチェック」を作成した。 ②健康管理に関する研修の実施  産業医による健康管理セミナーで「歯の磨き方」「食生活」のテーマのほか、男女別に分けて行っている生活面の問題を体験的に学習できる「ダンディズム研修」「フェミニズム研修」(55ページ参照)の中に病気や健康面に関する情報を追加した。研修後は健康に関する話題を社員それぞれが話題にするようになった。 研修資料を配付しても、家族に見せる前に紛失するなど自己管理に課題のある社員もいることから、「Good Healthファイル」を作成し、社内に保管することで、いつでも再学習できるようにしている。 ③健康診断後、医療機関への受診をスムーズにする仕組み作り 健康診断後、産業医面談を行う場合、本人、家族の希望や同意を得た上でノーマライゼーション推進グループの担当者が同席した。面談場面では本人が理解しやすいように平易な言葉で言いかえて理解できるようにしたほか、必要に応じてわかりやすい資料を作成し個別に説明する機会を設けた。医療機関での再診にあたって、家族のサポートが得られない社員には、支援機関へ受診同行を依頼した。 健康管理セミナーの資料(54ページ参照) Good Healthファイル 福祉サービスファイル(44ページ参照)改善後の効果 食品のカロリー表示を注意して見るなど、自身の健康を意識する行動がとれる者が増えた。知的障害のある社員の中には、「体調がいつもと違う」と自ら申し出て医療機関の早期受診につながったものもいる。健康診断結果を自身で保管し、いつでも振り返れるようにしたことで、健康相談を希望したり、服薬内容が変わったことを自ら進んで報告したりする社員も増えた。 P46-P47 職場改善に役立つ資料・支援ツール 職場改善のために作成した資料や障害特性に配慮し活用している支援ツールなどを、取材先事業所のご了解のもと、掲載しています。職場改善に役立つ実践的な資料ですので、是非、参考にしてください。 資料・支援ツールリスト 株式会社ベネッセビジネスメイト岡山事業所 アセスメントシート 株式会社シーエックスカーゴ桶川流通センター ①フェイスシートの作成による情報共有 ②目標管理のための評価シートの作成 株式会社ニッセイ・ニュークリエーション ①支えあうネットワーク ②委員会活動 有限会社キホク 機器操作盤の表示改善など 株式会社舞浜コーポレーション ①従業員情報シート ②健康管理に関する研修資料 ③フェミニズム研修 リゾートトラスト株式会社 東京・横浜事務支援センター業務一覧 旭電器工業株式会社 作業計画実績記録表 株式会社ベネッセビジネスメイト岡山事業所 アセスメントシート アセスメントシートとは社員それぞれとの業務遂行を含めた現状を把握し共有するためのものであり、岡山事業所クリーンサービス課に所属する障害のある社員に対してアセスメントシートを活用し、評価を行っている。また、特別支援学校在校生などの職場実習の評価にも活用している。 《アセスメントシート》以下の点について、情報収集と達成度の評価を行っている。中高年齢層の社員については特に下線の項目(3、16、25、27、29、30)を重視している。 Ⅰ.日常生活 1. 身だしなみ 2. 出勤状況 3. 健康状態・体調管理 4. 交通機関の利用 Ⅱ.社会生活技能 5. 時間の概念 6. 時間の遵守 7. 指示・理解 8. 作業スピード 9. 正確性 10. 修正能力 11. 判別能力 12. 道具の使用 13. 危険への対処 14. 習熟度 15. 理解の持続性、指示内容の遵守 16. 作業意欲 17. 集中力・持続性 18. 注意・指示を聞く態度 19. 質問・報告・相談 20. 準備・後片付け・整理整頓 21. 立ち仕事・体力 22. 柔軟性 Ⅲ.社会生活における行動特徴 23. 情緒の安定 24. 責任感 25. 就労意欲 26. コミュニケーション 27. 挨拶・返事 28. 上司・先輩・お客様への対応 29. 協調行動 30. 会社のルール遵守 また、評価点は次のように設定している。 評価基準 1 できない達成できていない(障害特性・健康面を含む) 2 時々できている声かけや指導によりできる 3 期待通り社員レベルでできている 4 期待を少し上回るリーダーレベルでできている 5 期待を上回っている本人の力でできている P48-P49 株式会社シーエックスカーゴ桶川流通センター ①フェイスシートの作成による情報共有 障害のある社員全員について、利用している支援機関、通院の情報などについて「フェイスシート」に集約しており、年1回行われる面談の際に情報を更新している。個人情報保護のため、閲覧は障害のある社員の所属部署の上司と障害者職業生活相談員、ジョブコーチに限定されている。 ②目標管理のための評価シートの作成 同社では、伸ばせる能力を高め、改善すべきところを改善するため、目標管理による評価制度を導入している。評価は毎年、次のステップ1~3で行われる。 〈ステップ1〉第1四半期のはじめに目標設定および目標達成のための行動目標をたてる。 〈ステップ2〉第1・第3四半期の途中に成長記録中間評価シートを活用して状況確認を行う。 〈ステップ3〉第2・第4四半期の勉強会の際に、どのようなことをがんばったのか、自身で振り返る。自己評価を行った後に、会社による評価と、上司・障害者職業生活相談員のコメントを加えて本人に返し、本人の成長をうながしている。 P50-P51 株式会社ニッセイ・ニュークリエーション ①支えあうネットワーク 障害のある社員を中心に、社内のみならず、社外の医療機関、支援機関、家族によるネットワークを構築し、安定的・継続的に就労できるようサポートしている。 ②委員会活動 所属部属のメンバーだけでなく、所属をこえた社員とも交流できるよう、同社ではさまざまな「委員会」を設け、全社員が必ず1つに参加している。これにより委員会のメンバーとも支えあえるようになる。 有限会社キホク 機器操作盤の表示改善など おしぼりなどの「洗濯」「乾燥」「たたみ」「包装」のさまざまな工程を機械を使って行うが、この機械操作を知的障害のある社員も行っている。作業の質や効率、安全を確保するためには、正確な機械操作が必要なため、操作手順を「見てわかる」ようにする工夫のひとつとして、洗浄機器の操作盤の表示をわかりやすいものに変更している。洗濯脱水機には、さまざまなボタンやスイッチが配置された操作盤があるが、スイッチなどの機能表示(説明)は簡略化された表現やアルファベットで表示され、知的障害のある社員にとっては操作しづらい面もあった 工夫1頻繁に使用するものや重要なスイッチには、分かりやすい説明を印字したラベル(シール)を貼付。 工夫2作業の流れに沿った操作手順や留意事項などを簡潔にまとめた「作業標準」的なシート(図)を作成し、操作盤に貼付。 --------------------------------------------------------------------------------------------------P52-P53 株式会社舞浜コーポレーション ①従業員情報シート 年1回実施する合理的配慮に関する面談の際に、企業の担当者が障害のある社員から聞き取りを行いながら作成するシート。社員の支援体制や生活の状況、希望する配慮などがわかるようになっている。 A 基礎的な情報を記載。採用前の職場実習からの経緯や、現在の概要がわかるようになっている。 採用後は、異動歴が確認できるようにつくられている B 合理的配慮の提供に向けた話し合いの内容が、それぞれの時点で確認できるようになっている。 C 障害種別ごと(身体障害者用知的障害者用精神障害者用)に、それぞれの特性に応じた配慮ポイントの確認ができる項目立てになっている。 P54-P55 株式会社舞浜コーポレーション ②健康管理に関する研修資料 健康診断結果票を用いて、結果の見方、各項目の解説、食生活などでの注意事項、健康状態に応じた受診科の紹介など知的障害のある社員にもわかりやすく研修を行っている。 工夫1症状に応じた対応方法をわかりやすく解説 工夫2メタボリックシンドロームのチェック項目、受診が必要な場合を解説 工夫3血圧の測定結果の見方、どの診療科を受診すべきかを解説 工夫4減塩の具体的な方法を解説 ③フェミニズム研修職場のトイレの使い方などのマナーやルールを指導する研修。男女別に分けて実施することで、いっせいに行う研修では指導しにくい女性特有の病気の早期発見の仕方などについても乳がんモデルを使用しながら情報提供している。 P56-P57 リゾートトラスト株式会社東京・横浜事務支援センター業務一覧常時、200種類以上の業務を分担して業務を行っている。障害者の特性や能力に応じた業務を担当できるよう、業務分析を行い細分化することで、業務を増やしている。 旭電器工業株式会社作業計画実績記録表1ヵ月分の作業を可視化することで、進捗管理を行いやすくなった。 P58-P59 1.勤務時間・休暇制度に関する改善治療と仕事の両立等、個別の事情に配慮した取組を行っています。 取組の内容 通院時間の確保のため、通院日は勤務時間の短縮を行った。6ページ 復職後の作業状況や負担に配慮し、勤務時間を短縮した。20ページ 傷病欠勤・短時間勤務制度を体系的に整備して、個別の状況に応じた勤務時間の設定・延長が可能となった。24ページ 休職からの復職に伴い、体調に配慮し段階的に勤務時間を増やした。33ページ 安心して通院できるよう、有給休暇とは別に定期通院休暇制度を導入したほか、フレキシブル勤務の活用によりラッシュを避けて通勤できるようにした。41ぺージ 2.体力などの変化に応じた職務の見直し身体的負荷の低い作業への配置転換など柔軟な取組を行っています。 取組の内容 ページスピードを求められる職務が負担となってきたため、自分のペースで進められる作業へ配置転換を行った。 6ページ 職場復帰するときに、歩行移動や物品運搬をさけられる職務へ配置転換した。 16ページ 「社内留学」制度を活用し、新たな職務を体験したところ、適性があることがわかり配置転換を行った。 25ページ 疾病の後遺症に配慮し、自分のペースでできる作業に変更し、また使用する機械を変更することで、正確な作業を行いやすくした。 32ページ 体力の低下などに配慮し、製造部門から人事部門へ配置転換し、担当する作業を洗い出しも行った。 36ページ 3.社内のサポート体制の整備、支援方法の見直しさまざまな職種のスタッフが連携する、指導方法を工夫するなどの取組を行っています。 取組の内容ページ 日々の相談への対応は普段一緒に働く障害者職業生活相談員が行い、社内全体の障害者の雇用管理をジョブコーチがサポートする体制とした。 7ページ 余暇も含めた多様な支援に対応するため、障害のある社員を支援する専門の部署を設立した。 13ページ 復職した社員のために、1日の終わりに作業状況を振り返るためのミーティングを実施した。 21ページ 周囲の同僚による日常的支援のほか、上司、産業医、支援機関などのネットワークをつくり、勤務の安定化に向けて支援した。 24ページ、50ページ 本人の特性に合わせ、口頭指示だけでなく、手本を示して指導し、メモをとる方法に変えた。 28ページ 4.社員の状況や外部の支援機関に関する情報集約サポートに必要な情報を把握しスタッフ間で共有する取組を行っています。 取組の内容 職場での急な体調不良などに備え、障害のある社員の個別の情報をまとめた「フェイスシート」を作成し、上司、障害者職業生活相談員などで共有した。 7ページ、48ページ 年々変化する作業状況を同じ視点で把握するための「アセスメントシート」を作成した。 28ページ、47ページ サポートスタッフが業務面、健康面、生活面で気づいたこと、本人からの相談の内容をケース記録にまとめサポートスタッフ間で共有した。 40ページ 体調・就労・生活に関する個々の情報を従業員情報シートに集約した。 44ページ、52ページから53ページ 5.勉強会の工夫や安全・健康に関する啓発活動、健康管理の仕組み作りの整備生活面などでの意識向上や健康増進に結び付く体制整備などの取組を行っています。 取組の内容 勉強会の機会に評価シートを活用して自己評価を行いやすくする工夫を実施した。 9ページ、48ページから49ページ 支援機関から定期的に保健師の訪問を受けることにし、健康面について相談しやすい体制づくりを行った。 12ページ 従業員の健康増進のためのヘルスキーパーを活用して、疲労回復をうながした。 17ページ イラスト教材を活用し危険予知の研修を実施した。 37ページ 研修で健康管理に関する内容を取り上げたほか、「バリアフリー版ストレスチェック」を作成するなどの取組の実施などにより健康上の課題を正確に把握できるよう支援した。 45ページ、54ページ、55ページ 6.業務を行いやすくするための工夫 作業工程の見直し、各種ツールの活用などの取組を行っています。 取組の内容 移動をスムーズにするため、カートを専用で使用できるようにした。 16ページ 1日のスケジュールの見直し後、チェックシート、タイマーの活用とペア体制の整備で確実な業務遂行を支援した。 20ページ、21ページ 新たな職務に対応しやすくするため、業務手順を効率的なものに改善した。 28ページ 病気、休暇への対応に備え、一人一人が複数の作業に対応できるよう人材育成を行った。 33ページ 配置転換にあたり、工程を細分化しマニュアル化したほか、作業計画実績記録表で進捗管理できるようにした。 36ページ、57ページ 休暇取得者などがいても引き継ぎをしやすくするため、ホワイトボードで仕事の進捗状況を管理した。 41ページ 7.家族、支援機関との連携健康、生活面のサポートのため家族や支援機関との連携を行っています。 取組の内容 社員の課題に合った支援機関へ支援を依頼し、ケア会議を行った。家族の学習会で、支援機関の最新の情報を提供した。 12ページ、13ページ 出勤日や予定の確認などのため、家族と連絡帳、メールを通じて情報共有を行った。 21ページ 支援機関職員との定期面談を職場で実施したり、生活面での課題は支援機関にサポートを依頼したりするなどの取組を行った。 29ページ 年1回、家族、支援機関が参加する保護者会を開催したほか支援機関と連携し生活面のサポートを行った。 40ページ 支援機関を訪問して情報収集するだけでなく、支援機関にも企業訪問してもらい関係を構築した。 44ページ P60-P61 用語解説(事例をお読みになるにあたって) この好事例集をお読みいただくにあたり、事例に掲載されている支援制度などの用語について概要をご説明いたします。 障害者就業・生活支援センター 就職や職場への定着にあたって、就業面における支援とあわせて、生活面における支援を必要とする障害者に対して、身近な地域で、雇用、保健福祉、教育などの関係機関との連携を行いながら、障害者の就業およびこれに伴う日常生活、社会生活上の相談・支援を一体的に行う支援機関です。(令和元年6月現在、全国に計334か所設置) 障害者職業生活相談員 5人以上の障害のある従業員が働いている事業所では、「障害者の雇用の促進等に関する法律」により、厚生労働省が定める資格を有する従業員のうちから障害者職業生活相談員を選任し、職業生活の相談・指導を行うよう義務づけられています。(各都道府県支部の高齢・障害者業務課で障害者職業生活相談員の資格認定講習を実施しています。) ジョブコーチ支援 知的障害者、精神障害者、発達障害者などの職場適応を容易にするため、職場にジョブコーチを派遣し、事業所、障害者双方にきめ細かな人的支援を行う制度です。ジョブコーチには地域障害者職業センターに所属する配置型ジョブコーチと、就労支援ノウハウを有する社会福祉法人などに所属する訪問型ジョブコーチ、事業主自ら配置する企業在籍型ジョブコーチがあります。 なお、上記のほか、自治体の独自の制度として養成されたジョブコーチも配置されています。 特例子会社制度 事業主が一定の要件を満たした上で障害者の雇用に特別の配慮をした子会社を設立した場合には、特例としてその子会社に雇用されている労働者を親会社に雇用されているものとみなして、実雇用率を算定できる制度です。事業主にとってのメリットとして、障害の特性に配慮した仕事の確保・職場環境の整備が容易となり、これにより障害者の能力を十分に引き出すことができるといったことがあげられます。 成年後見制度 認知症、知的障害、精神障害などの理由で判断能力の不十分な方々は、不動産や預貯金などの財産を管理したり、身のまわりの世話のために介護などのサービスや施設への入所に関する契約を結んだり、遺産分割の協議をしたりする必要があっても、自分でこれらのことをするのがむずかしい場合があります。また、自分に不利益な契約であってもよく判断ができずに契約を結んでしまい、悪徳商法の被害にあうおそれもあります。このような判断能力の不十分な方々を保護し、支援するのが成年後見制度です。 グループホーム(共同生活援助) 障害者総合支援法に基づく障害福祉サービスのひとつです。障害のある方が共同生活を行う住居で、その方の必要に応じ、相談、入浴、食事その他の必要な日常生活上の援助を行います。 ホームヘルプサービス(自立生活援助) 障害者総合支援法に基づく障害福祉サービスのひとつです。住居で単身生活などを送っている障害のある方に、定期的な巡回訪問や相談対応などにより、日常生活を営む上での問題を把握し、相談、助言、関係機関との連絡調整などの自立した日常生活を営むために必要な援助を行います。 安全衛生委員会労働安全衛生法に基づき、一定基準に該当する事業所に設置する委員会で、安全管理者、衛生管理者、産業医などから構成されます。毎月1回、労使が一体となって労働災害や健康障害防止の対策について調査審議を行います。 P62-P63 応募いただいた事業所 2019年度の障害者雇用職場改善好事例募集において、全国62事業所からご応募いただきました。 北海道 1.北海道はまなす食品株式会社 青 森 2.共立寝具株式会社 岩 手 3.EC南部コーポレーション株式会社 宮 城 4.株式会社仙台三越 秋 田 5.株式会社東北ビルカンリ・システムズ 山 形 6.有限会社エプソンスワン 山 形 7.マーレエンジンコンポーネンツジャパン株式会社 茨 城 8.株式会社オーガファーム 栃 木 9.栃木カネカ株式会社 群 馬 10.東朋産業株式会社 埼 玉 11.MCSハートフル株式会社 埼 玉 12.株式会社シーエックスカーゴ桶川流通センター 千 葉 13.日本機動警備システム株式会社 千 葉 14.株式会社UACJ金属加工成田工場 千 葉 15.株式会社パルミート習志野事業所 千 葉 16.株式会社舞浜コーポレーション 東 京 17.株式会社エス・エム・エスキャリア 東 京 18.東京グリーンシステムズ株式会社 東 京 19.ボッシュ株式会社 東 京 20.株式会社ワークスアプリケーションズ 神奈川 21.富士ソフト企画株式会社 新 潟 22.株式会社ファーマみらいサポート 新 潟 23.株式会社大谷 富 山 24.有限会社重松 石 川 25.マックスバリュ北陸株式会社 福 井 26.だるま屋商事株式会社 山 梨 27.甲府積水産業株式会社 長 野 28.長野リネンサプライ株式会社 岐 阜 29.株式会社羽島企画 静 岡 30.株式会社レンティック中部 愛 知 31.リゾートトラスト株式会社 愛 知 32.T.Gウェルフェア株式会社 三 重 33.電器工業株式会社 三 重 34.光洋メタルテック株式会社 滋 賀 35.パナソニックアソシエイツ滋賀株式会社 京 都 36.社会福祉法人京都ライトハウス 大 阪 37.株式会社田中食品興業所 大 阪 38.フジアルテスタッフサポートセンター株式会社 大 阪 39.株式会社ニッセイ・ニュークリエーション 兵 庫 40.阪神友愛食品株式会社 奈 良 41.株式会社佐保興発 和歌山 42.株式会社アワーズ 鳥 取 43.株式会社サンマート 島 根 44.有限会社アゴ弁 岡 山 45.株式会社ベネッセビジネスメイト岡山事業所 広 島 46.つばめ交通株式会社 山 口 47.社会福祉法人松涛会 山 口 48.株式会社宇部興産総合サービス 徳 島 49.社会福祉法人白寿会 香 川 50.株式会社T-NETvigla 愛 媛 51.有限会社キホク 高 知 52.フソー化成株式会社 福 岡 53.株式会社リサイクルテック 佐 賀 54.社会福祉法人ナイスランド北方 長 崎 55.社会福祉法人コスモス会正健 熊 本 56.社会福祉法人熊本県コロニー協会 大 分 57.ゆうび株式会社 大 分 58.ソニー・太陽株式会社 宮 崎 59.株式会社シンコー 宮 崎 60.丸栄宮崎株式会社 鹿児島 61.鶴丸交通株式会社 沖 縄 62.特定非営利活動法人PAIおきなわ 応募状況 産業・事業所種別応募数 D.建設業 1 内訳 総合工事業 1 E.製造業 18 内訳 食料品製造業 3 パルプ・紙・紙加工品製造業 1 印刷・同関連業 2 プラスチック製品製造業 2 ゴム製品製造業 1 電子部品・デバイス・電子回路製造業 1 電気機械器具製造業 1 情報通信機械器具製造業 1 輸送用機械器具製造業 6 その他製造業 1 G.情報通信業 3 内訳 情報サービス業 3 H.運輸業・郵便業 3 内訳 道路旅客運送業 2 道路貨物運送業 1 I.卸売業・小売業 3 内訳 各種商品小売業 3 M.宿泊業・飲食サービス業 1 内訳 持ち帰り・配達飲食サービス業 1 N.生活関連サービス業・娯楽業 6 内訳 洗濯・理容・美容・浴場業 5 その他の生活関連サービス業娯楽業 1 P.医療・福祉 9 内訳 社会保険・社会福祉・介護事業 9 R.サービス業・他に分類されないもの 16 内訳 廃棄物処理業 2 職業紹介・労働者派遣業 3 その他の事業サービス業 1 その他のサービス業 11 合  計 62 2.企業規模別応募数 1,000人以上 8 500人~ 1,000人未満 6 300人~ 500人未満 11 200人~ 300人未満 7 100人~ 200人未満 12 50人~ 100 人未満 9 50人未満 9 合  計 62 3.部門別応募数 一般事業所(中小企業) 25 一般事業所(その他) 22 特例子会社 15 合  計 62 4.障害別応募数 応募事例のうち、主たる障害 視覚障害 4 聴覚障害 1 肢体不自由 17 内部障害 9 知的障害 19 精神障害 7 発達障害 1 難病 2 高次脳機能障害 2 その他の障害 0 合  計 62 P64-P65 2019年度障害者雇用職場改善好事例募集要項 1.趣旨  障害者雇用において雇用管理、雇用環境等を改善・工夫し、様々な取組を行っている事業所の中から、他の事業所のモデルとなる好事例を募集し、これを広く一般に周知することにより、事業所における障害者の雇用促進と職域の拡大及び職場定着の促進を図るとともに、事業主の自主的な取組の支援と障害者雇用に関する理解の向上に資することを目的としています。 2.主催 独立行政法人高齢・障害・求職者雇用支援機構 3.後援 厚生労働省 4.募集部門 (1) 一般事業所部門  ア 中小企業部門(常用雇用労働者数300人以下の中小企業)  イ その他部門(上記以外) (2) 特例子会社部門  ※上記1の本事業の趣旨や、障害者雇用のより一層の進展のためには中小企業への支援が重要であることから、特に中小企業で雇用を進める上で参考となる取組を幅広く募集することを目的として、中小企業部門を設けます。また、特例子会社については、その設立趣旨に鑑み、特に他の企業のモデルとなる先進的な事例を募集します。 5募集テーマ 「中高年齢層の障害のある方の雇用継続に取り組んだ職場改善好事例」 6募集事例 (1)対象となる障害者   身体障害者手帳、療育手帳、精神障害者保健福祉手帳、その他「診断書」等により雇用対策上の障害者であることが確認できる障害者 (2)事例の内容  _雇用する障害者が加齢により体力低下等の課題が生じた場合や、在職中に障害を有することとなった社員が職場復帰する場合に、以 下のような職場改善を行い雇用継続が可能になった事例を募集します。 ・教育訓練、配置転換、職務の創出、在宅勤務の導入等に取り組んだ事例 ・短時間勤務、休暇取得への配慮、勤務日数の調整、健康管理への配慮等に取り組んだ事例 ・作業環境や作業施設の整備、支援機器の活用、作業工程の改善等に取り組んだ事例 ・家族、市町村、地域の支援機関等との連携により、障害者の体力等の低下や家族構成等の変化に対応した事例 7募集期間 2019年4月1日(月)から5月22日(水)〔必着〕まで 8応募資格 (1) 上記6に記載の障害者を雇用している事業所 (2) 労働関係法令等に関し重大な違反がないこと(以下の要件を満たしていること)及び社会通念上、表彰するにふさわしくないと判断される問題を起こしていないこと。 ① 2016年4月以降、労働安全衛生法、労働基準法、最低賃金法違反の疑いにより送検され、公表されていないこと。 ② 2016年4月以降、職業安定法、労働者派遣法に基づく勧告又は改善命令等の行政処分等を受けていないこと。 ③ 2016年4月以降、労働保険料の未納がないこと。 ④ 2016年4月以降、障害者雇用納付金制度に基づく納付金の滞納及び助成金の不正受給がないこと。 ⑤ 2018年度において、平均した1月あたりの時間外労働時間が60時間以上である労働者がいないこと。 ⑥ 2019年6月1日時点において、障害者雇用率を達成していること(応募時点では達成見込みであること)。 ⑦ 高年齢者雇用確保措置が講じられていること。 (3) 応募事業所において障害者雇用に関する支援・コンサルティングを主たる営業品目としていないこと、かつ自企業グループ内に障害者雇用に関する支援・コンサルティングを主たる営業品目とする企業がないこと。 9応募方法  指定の応募用紙にご記入の上、下記の送付先あて、郵送または電子メールでご提出ください。応募用紙は、当機構ホームページからダウンロード可能です。 <応募用紙の送付先・お問合せ先> 独立行政法人高齢・障害・求職者雇用支援機構雇用開発推進部 雇用開発課〒261-0014 千葉県千葉市美浜区若葉3-1-3 TEL 043-297-9515 FAX 043-297-9547 メールアドレス manual@jeed.go.jp <応募に当たっての留意事項> (1) _応募の際、事例の対象となる障害のある方の承諾を得てください。また、障害のある方の氏名の表記は、イニシャルを用いるなど、匿名にしてください。 (2) _応募用紙の「改善前の状況、問題点」、「改善内容」、「改善後の効果」欄には、対象者の障害特性や職場の状況と、これらに対応した改善内容の関係性が分かるようにご記入いただきますようお願いします。 10審査 (1)独立行政法人高齢・障害・求職者雇用支援機構に審査員会を設置し、応募事例について審査します。 (2)一般事業所部門(中小企業部門、その他部門)、特例子会社部門の全応募事例の中で最も優秀な事例に最優秀賞(厚生労働大臣賞・1編)を授与します。 また、その他の優秀事例に、優秀賞(独立行政法人高齢・障害・求職者雇用支援機構理事長賞・若干編)、奨励賞(独立行政法人高齢・障害・求職者雇用支援機構理事長賞・若干編)を募集部門ごとに授与します。 なお、審査において同程度の評価を受けた応募事例があった場合は、過去に受賞歴のない企業を優先的に選定します。 (3)審入賞事業所は、2019年8月末ごろにホームページ等で発表する予定です。それ以外の事業所には、2019年9月上旬までに審査結果を文書にて直接通知します。 11表彰 最優秀賞及び優秀賞の表彰式は、2019年9月に東京都内で開催する予定です。 12留意事項 (1)応募した文書の著作権及びこれに付随する一切の権利は、当機構に帰属するものとします。 (2)応募書類は返却いたしません。 (3)入賞事例については、当機構職員が事業所への取材を行い、事業所名、担当者名、具体的な取組内容を「障害者雇用職場改善好事例集」として取りまとめ、事業所、関係機関、関係団体等に配付するとともに、当機構ホームページに掲載いたします。なお、この場合、障害のある方の氏名、写真の掲載等については、本人の同意が得られた範囲で行います。 また、応募事例についても、「障害者雇用職場改善好事例集」に事業所名、所在する都道府県名を掲載いたします。 (4)応募に際していただいた個人情報は、当機構が管理し、本事業の実施運営、障害者雇用の普及・啓発に関するご案内のみに使用します。 【審査員の構成】審査員名所属役職 石渡 和実 東洋英和女学院大学大学院 人間科学研究科教授 倉本 義則 京都女子大学 発達教育学部児童学科教授 清家 政江 障害者就業・生活支援センターワーキング・トライセンター長 新田 秀司 一般社団法人日本経済団体連合会労働政策本部統括主幹 澤口 浩司 厚生労働省職業安定局 障害者雇用対策課地域就労支援室室長 森川 善樹 独立行政法人高齢・障害・求職者雇用支援機構雇用開発推進担当理事 (敬称略、所属及び役職名は令和元年8月1日現在) P66-P67 障害特性をふまえた配慮事項 働きやすい職場づくりを検討するために、障害種別ごとに必要な配慮をご紹介します。 視覚障害視覚障害者が安心して歩けるように室内の配置を伝え、通路には物を置かないようにしましょう。弱視者については、階段のステップの色とエッジの色のコントラストが強いと識別しやすくなります。会社によっては、混雑時のリスクを避けるために通勤時間をずらすなどの配慮をしているところもあります。必要であれば拡大読書器などの活用も検討しましょう。物を指し示す場合には、「ここ」「そこ」といった指示代名詞ではなく、具体的に何がどこにあるか伝えます。 【言語・聴覚障害】 会議などでは、手話や筆談、メールなどで内容を伝えるなど、聴覚障害者も参加できるよう情報保障(代替手段により情報を提供すること)を心がけましょう。緊急時の対応や連絡体制(FAX、社内メール、個人の携帯メール・SNSなどの活用)を決めておきましょう。きちんと意味内容を理解しているか復唱・確認をするようにしましょう。目で見て言葉を覚えるため、特殊な読み方をする漢字などには「ふりがな」をふったり、業務で使用する略語などは読み方や意味内容を明記したリストを作成しておくと役立ちます。聴覚障害者自身の発音が聞き取れない時は、遠慮なく紙に書いてもらいましょう。 【肢体不自由】 障害以外の部位の活用、機械化、治工具や補装具の利用、作業台の高さ調整、作業分担や作業編成の変更、工程の改善、ペア作業(相互の能力を配慮してペアを組ませる)などの配慮が効果的です。また、下肢に障害がある場合、エレベーターやスロープを活用した職場内での段差解消、通路の整頓、作業座席の配置、トイレの改造などの環境整備や、通勤に関連して駐車場の確保や時差出勤、在宅勤務などを導入することなどが考えられます。 内部障害【心臓機能障害】 人工的電気刺激による心臓を興奮収縮させる心臓人工ペースメーカーなどを使用している場合、誤作動を防ぐため、高エネルギーの電磁波を発生する家庭電気製品、医療用機器、工業用機器の使用には注意が必要です。 内部障害【腎臓機能障害】 風邪などの感染症に罹患しやすいので、その予防を心がける必要があります。身体を冷気にさらさないような温暖な労働環境が望まれます。また、透析療法のための時間の確保が必要です。 内部障害【呼吸器機能障害】 気管支粘膜が過敏になっていることが多いので、環境としては刺激ガス、冷気などの温度、乾燥に留意します。酸素療法を行っている場合は火気や室内の換気にも留意します。 内部障害【ぼうこうまたは直腸の機能障害】 病気の経過観察やストマ管理のために、定期的な通院が必要です。 内部障害【ヒト免疫不全ウィルスによる免疫機能障害】 病気への誤解や偏見への心配から、職場に配慮を申し出ることができず、ストレスを抱えている人もいます。通常の職業生活ではHIVが他人に感染することはなく、食品の取扱い、美容師やマッサージ師など顧客に接触する仕事でも制約はありません。病気についての正しい理解に基づき、安定した職業生活を送れるようなサポートが求められます。職場においては、科学的に根拠のない誤解、偏見による差別が生じないように、本人とのコミュニケーション、情報管理、啓発に十分留意が必要です。 P68-P69 内部障害【肝臓機能障害】 重労働や残業などの制限が望まれます。肝機能障害は自覚症状が現れにくく、無理をして状態を悪化させることがあるため、本人の自己管理とともに、周囲の理解と配慮が大切です。 【知的障害】 いろいろな人から説明や指示を受けると混乱してしまいます。担当者をはっきり固定することが大切です。機械を導入し工程を単純化したり、工程を細分化して作業を可能にした例も多くあります。「それ」「あれ」などの言い方や抽象的な表現は避け、簡潔で具体的な表現が大切です。絵や図を使ったり、注意事項などは黒板に書いたりするのもよいでしょう。やってみせて、次に、本人にやらせて理解を確かめます。一般に文章理解、数字の操作が苦手ですが、1個できあがるたびにカウンターのボタンを1回押すことで数をかぞえなくてもよくする、砂時計やタイマーを使用して正しいタイミングや必要な時間の長さを測るなど、道具の利用や工夫によって解決できることもあります。 【精神障害】 心身が疲れやすいので、短時間勤務からはじめ、体力の回復状況を見ながら徐々に延長するとよいでしょう。職場で日常的に関わることができ、信頼関係を築くことのできる担当者を決めておくことも大切です。判断・責任などの精神的プレッシャーに弱い場合には、当初はあいまいな部分を減らし、迷う余地がないようにします。工夫・応用が苦手なことがあるので、作業の流れや手順を決めるとよいでしょう。通院・服薬の遵守に配慮することが必要です。必要に応じて医療機関や支援機関と連携してサポートすることも大切です。 【発達障害】 いくつかの対応方法例として、職場において確実に守るべきルールは文章や図示など、メモにして具体的に示す、社内の役職に応じた適切な対人対応については、それぞれの役割を明示し、モデルを示すなどの方法があります。作業の優先順位については、メモ帳や手帳などを利用して、担当作業をリストアップする方法が有効です。わからないときは、優先順位の指示を担当者に求めることに決めておきます。変化に対する不安を軽減するには、作業時間・工程をあらかじめ確定し伝える、残業や納期の変更は早めに指示する、メモを取って復唱させるといった方法があげられます。 【難病に起因する障害】 個人の疾患、症状によって異なります。例えば、通院への配慮、服薬など就業時間中の健康管理への配慮、通勤や治療のための柔軟な就業時間の設定といったことが配慮の例となります。また、仕事上の相談にのる上司や同僚の存在も大切です。さらに、症状により視覚障害や肢体不自由など身体的な障害がある場合には、下肢の障害に対して職場内の段差を解消するなど、その障害に応じた物理的な環境整備についての配慮が必要です。 【高次脳機能障害】 記憶に障害がみられる場合には、指示をメモに取ること、メモを確認しながら仕事をすることを習慣化するとよいでしょう。表示プレートのように目印になるものを置くなど環境側をわかりやすく調整することも有効です。 効率よく作業が進められなかったり、混乱してしまったりする場合は、手順を明確にし、フローを図示して、手順書に沿って作業を進めることが大切です。 出典「はじめからわかる障害者雇用~事業主のためのQ&A集」 【メモリーノート】メモリーノートとは、高次脳機能障害のある方が、予定やしなければならないこと、作業上の留意点、実際に行った行動などを記入し、記憶を補完するツールです。 M-メモリーノート メモリーノートには、いろいろな種類があります。M-メモリーノートは、1日のスケジュール表のほか、to-doリスト、作業内容記録表、重要メモなどのページから構成されています。 出典「障害者雇用マニュアル コミック版6 高次脳機能障害者と働く」 P70 中高年齢層の社員の雇用継続に役立つ資料 (事業主の方へ) 採用後に障害者になった人の職場復帰ガイド「採用後障害者の職場復帰の現状と対応に関する研究」より どの程度仕事ができるか分からなかった 84.9% 本人に合う適当な業務がなかった 39.2% 本人の状態に関する正確な医療情報が得られなかった 29.7% 本人が休職前の職場に復帰することにこだわった 16.3% 職場復帰に関する就業規則上の規定が無かった 14.2% 上司や同僚の理解が得られなかった 12.4% 主治医の意見聴取に関して本人の同意が難しかった 8.5% どこに相談してよいか分からなかった 6.2% その他 2.5% *企業が抱える復職時の課題*多くの企業が「(復帰した本人が)どの程度仕事ができるか分からなかった」ことを挙げています。 病気等で利用できる休職制度を1か月以上利用する労働者は1,000人に3.7人、その休職者100人に9.6人は障害者でした。 ヒント集  障害者の職場復帰やその後の職場定着においてはさまざまな工夫や配慮が必要となることがあります。ここでは、事例調査等から得られたさまざまな工夫や配慮について、環境に関すること、職務に関すること、情報及びコミュニケーションに関することの3つに分けて紹介します。 身体障害の事例 精神障害の事例 難治性疾患の事例 ●環境~設備・時間等~ 第1種作業施設設置等助成金を活用し、①下肢障害者のためのトイレ設備、②内部障害者のためのエスカレーターの設置を行った。 ラッシュに巻き込まれることなく、人工透析治療に通えるよう、始業・終業時刻を前倒しした。 勤務時間を1か月ごとに見直せる短時間勤務制度を活用できるようにしたことにより、段階的に勤務時間を延長した。 コアタイムを設けないフレックス制の導入により、定時出勤等に不安を抱える障害者を支援した。関連会社の社員のマイカー通勤への同乗通勤を可能とすることにより、通勤手段を確保した。 ●職務~調整・変更~ 営業職であったが①下肢障害、②内部障害により、外勤中心の業務が難しくなった2人の社員について、それぞれの担当職務を、①営業事務と営業職の教育係、②資料の企画・作成・印刷とし、キャリアをいかした職務創出を行った。 休職前の職務から、一部の職務に特化することにより、負担の軽減を図った。 休職前の職務のうち、本人にとってストレスの高い一部の作業を取り除くことにより再発防止に取り組んだ。 関係機関からのアドバイスをもとに、職務を選定し、ジョブコーチ支援等を活用しながら、新たな職務への適応を支援した。 身体的負荷が低く、症状が進行しても長く続けられるパソコン入力業務の担当とした。 ●情報・コミュニケーション 本人、家族の不安を軽減するため、就業規則(病休・休職期間、その間の給与等)、本人の休職期間について、きめ細やかな説明を行った。 企業見学会等により、先行企業の取組を学び、施設改善に役立てた。 復職のみならず、症状の進行時には診察に同席し、主治医より具体的な配慮事項等についてアドバイスをもらった。 本人の同意を得て、早期から診察に同席し、就業規則や復職支援に対する考えを主治医にも伝え、信頼関係を築くことにより、会社が医療情報やアドバイスをもらいやすくした 。ハローワークや地域障害者職業センターから、職務調整等に係るアドバイスをもらい、助成金及びジョブコーチ支援を活用した。 「採用後に障害者になった人の職場復帰ガイド」より抜粋平成30年3月 障害者職業総合センター P71 障害者雇用を支援する施策 障害者雇用安定助成金(障害者職場定着支援コース) 障害特性に応じた雇用管理・雇用形態の見直しや柔軟な働き方の工夫等の措置を講じる事業主に対して助成するもので、障害者の雇用を促進するとともに、職場定着を図ることを目的としています。 ◯対象事業主 次のすべての要件を満たす事業主です。 ①雇用保険適用事業所の事業主であること ②_雇用保険適用事業所ごとに、対象労働者に対し、職場定着支援計画を作成し、管轄労働局長の受給資格の認定を受けた事業主であること ③計画期間内に職場定着に係る措置に取り組んだ事業主であること ④職場定着に係る措置の開始日の前日から起算して6か月前の日から1年を経過する日までの間に、当該雇用保険適用事業所において、一般被保険者等を事業主の都合によって解雇していない事業主であること ⑤基準期間に、当該雇用保険適用事業所において、一般被保険者等を特定受給資格者となる離職理由により、当該職場定着に係る措置の開始日における一般被保険者等の6%を超えて、かつ4人以上離職させていない事業主であること ⑥対象労働者を職場定着支援計画の期間を超えて雇用し、かつ、継続して雇用することが確実であると認められる事業主であること ⑦事業所において、対の(イ)~(ハ)の書類を整備、保管している事業主であること(イ)出勤簿等の出勤状況が確認できる書類(ロ)賃金台帳等の労働者に支払われた賃金が確認できる書類(ハ)_離職した労働者の氏名、離職年月日、離職理由等が明らかにされた労働者名簿の書類 ⑧本助成金の申請に要する経費について、全額負担する事業主であること ⑨支給申請時点において、支給の対象となる対象労働者について解雇していない事業主であること ⑩職場定着に係る措置の開始日以降において、当該対象労働者について最低賃金法第7条の最低賃金の減額の特例の許可を受けていない事業主であること ◯対象となる措置 対象となる職場定着に係る措置措置の概要対象労働者 措置 1 柔軟な時間管理・休暇取得通院による治療等のための有給休暇の付与、勤務時間の変更等の労働時間の調整を行うこと措置の開始日の時点で、次のいずれか(※)に該当する方 身体障害者、知的障害者、精神障害者、発達障害者、難治性疾患のある方、高次脳機能障害のある方 措置 2 短時間労働者の勤務時間延長週所定労働時間が20時間未満の労働者を20時間以上に、30時間未満の労働者を30時間以上に延長すること 措置 3 正規・無期転換有期契約労働者を正規雇用や無期雇用に、無期雇用労働者を正規雇用に転換すること 措置 4 職場支援員の配置障害者の業務の遂行に必要な援助や指導を行う職場支援員を配置すること 措置 5 職場復帰支援中途障害等により休職を余儀なくされた労働者に対して、職場復帰のために必要な職場適応の措置を行い、雇用を継続すること職場復帰の日の時点で、次のいずれかに該当する方 身体障害者、精神障害者、難治性疾患のある方、高次脳機能障害のある方 措置 6 中高年障害者の雇用継続支援中高年障害者に対して、雇用継続のために必要な職場適応の措置を行い、雇用を継続すること措置の開始日の時点で、※に該当し、満45歳以上かつ勤続10年以上の方 措置 7 社内理解の促進雇用する労働者に対して、障害者の就労の支援に関する知識を習得させる講習を受講させること事業所に雇用される労働者 ◯支給額 措置の内容、事業所規模、障害の程度などにより異なります。 P72-P73 障害者雇用安定助成金(障害者職場適応援助コース) 自社で雇用する障害者に対して、企業在籍型職場適応援助者を配置して、職場適応援助を行わせる事業主に対して助成するもので、障害者の職場適応・定着の促進を図ることを目的としています。 ◯対象事業主 次のすべての要件を満たす事業主です。 ①独立行政法人高齢・障害・求職者雇用支援機構地域障害者職業センター(地域センター)が作成または承認した支援計画に従って、適切に職場適応援助を行うものであること ②支援の日ごとに、支援内容を記録した支援記録表を作成・保管すること ③同一の対象労働者について、支援の開始日前の3年間に2回(精神障害者の場合は3回)以上、本助成金または企業在籍型職場適応援助促進助成金を受給していないこと ④支給対象期間に対象労働者と企業在籍型職場適応援助者の労働に対する賃金を支払い期日までに支払っていること ⑤対象労働者や企業在籍型職場適応援助者の出勤状況や賃金の支払い状況などを明らかにする書類を整備・保管していること ⑥支給対象期間の末日までの間に、対象労働者または企業在籍型職場適応援助者を、事業主都合により離職させていないこと ◯対象労働者 次の(1)~(4)のすべてにあてはまる方です。 (1)次のいずれかに該当する方 ①身体障害者 ②知的障害者 ③精神障害者 ④発達障害者 ⑤難治性疾患のある方 ⑥高次脳機能障害のある方 ⑦①~⑥以外の障害者であって、地域センターが作成する職業リハビリテーション計画のある方 (2)雇用保険被保険者または雇用保険被保険者になろうとする方 (3)当該対象労働者のための支援計画がある方 (4)本助成金のうち訪問型職場適応援助者による支援対象者として現に支援されていない方 ◯企業在籍型職場適応援助者の要件 次のすべてに該当する方を言います ①雇用保険被保険者であること ②企業在籍型職場適応援助者養成研修などの修了者であること ③_企業在籍型職場適応援助者養成研修修了後、初めて支援を行う場合、地域センターが指定する地域センターに配置されている職場適応援助者とともに支援を行うこと ④支援対象期間に、本助成金などの支給対象者として支援している労働者の数の合計が3以下であること ⑤本助成金などの支給対象者として現に支援されている労働者でないこと ⑥国などの委託事業費から人件費の一部または補助金等から人件費の全部が支払われていないこと ◯支給対象となる企業在籍型職場適応援助者による支援内容 支援計画に基づく対象労働者の職場適応を図るための①~④の支援 ①支援対象労働者と家族に対する支援 ②事業所内の職場適応体制の確立に向けた調整 ③関係機関との調整 ④その他の支援 ◯支給額 精神障害者 短時間労働者以外の者 中小企業 一人当たり12万円 中小企業以外 一人当たり9万円 精神障害者 短時間労働者 中小企業 一人当たり6万円 中小企業以外 一人当たり5万円 精神障害者以外 短時間労働者以外の者 中小企業 一人当たり8万円 中小企業以外 一人当たり6万円 精神障害者以外 短時間労働者 中小企業 一人当たり4万円 中小企業以外 一人当たり3万円 職場適応援助者(ジョブコーチ)による支援事業 障害者が円滑に職場へ適応することができるように、ジョブコーチが職場に出向き、障害者本人と事業主や職場の従業員に対してきめ細かな支援を行います。 不安やストレスを抱えやすい精神障害者等の方々に対しては、職務遂行への支援だけではなく、相談を中心とした職場内でのコミュニケーションに関する支援、不安や緊張・ストレスの軽減等の支援を行います。 また、職場の上司、同僚に対しては、本人の特性を踏まえた関わり方、職務内容・職場環境の調整の助言等を行います。これらにより、職場の上司や同僚による支援(ナチュラルサポート)にスムーズに移行していくことを目指しています。 ◯ジョブコーチの種類 ◆配置型ジョブコーチ 地域障害者職業センター(お問い合わせ先は79ページの地域障害者職業センター)に配置するジョブコーチです。就職等の困難性の高い障害者を重点的な支援対象として自ら支援を行うほか、訪問型ジョブコーチや企業在籍型ジョブコーチと連携し支援を行う場合は、効果的・効率的な支援が行われるよう必要な助言・援助を行います。 〔支援の契機〕雇用の前後を問わず、必要なタイミングで支援を行います。 例:①不安の軽減や作業手順を覚えるために雇入れと同時に支援を開始。②配置転換や人事異動といった職場環境の変化により職場適応上の課題が生じたため雇用後の支援を開始)。 〔支援期間〕個別に必要な期間を設定します(標準は2~4か月)。支援終了後は、必要なフォローアップを行います。 ◆訪問型ジョブコーチ(お問い合わせ先は都道府県労働局 ハローワーク) 障害者の就労支援を行う社会福祉法人等に所属するジョブコーチです。高齢・障害・求職者雇用支援機構が実施する訪問型職場適応援助者養成研修または厚生労働大臣が定める研修を修了した者であって、必要な相当程度の経験と能力を有する者が担当します。なお、ジョブコーチが所属する社会福祉法人等に、ジョブコーチの活動経費等の一部を助成する制度があります。 ◆企業在籍型ジョブコーチ(お問い合わせ先は都道府県労働局 ハローワーク) 障害者を雇用する企業に雇用されるジョブコーチです。高齢・障害・求職者雇用支援機構が実施する企業在籍型職場適応援助者養成研修または厚生労働大臣が定める研修を修了した者が担当します。なお、ジョブコーチを雇用する企業に、ジョブコーチの活動経費などの一部を助成する制度があります。 〇ジョブコーチによる支援事業(図) ジョブコーチを中心に時計回りに説明 <障害者> ・職務の遂行に関する支援 ・職場内のコミュニケーションに関する支援 ・体調や生活リズムの管理に関する支援 <家族> ・安定した職業生活を送るための家族の関わり方に関する助言 <職場> -上司・同僚- ・障害の理解に関する社内啓発 ・障碍者との関わり方に関する助言 ・指導方法に関する助言 <事業主> -管理監督者・人事担当者- ・障害特性に配慮した雇用管理に関する支援 ・配置、職務内容の設定に関する支援 P74-P75 障害者雇用を支援する施策 障害者雇用納付金制度 障害者を雇用するには、作業施設や設備の改善、職場環境の整備、特別の雇用管理等が必要とされることが多く、経済的負担が伴うことから、雇用義務を履行している事業主と履行していない事業主とではその経済的負担に差が生じることとなります。 障害者雇用納付金制度は、身体障害者、知的障害者及び精神障害者を雇用することは事業主が共同して果たしていくべき責任であるとの社会連帯責任の理念に立って、事業主間の障害者雇用に伴う経済的負担の調整を図るとともに、障害者を雇用する事業主に対して助成、援助を行うことにより、障害者の雇用の促進と職業の安定を図るため「障害者の雇用の促進等に関する法律」に基づき設けられた制度です。 ◆障害者雇用納付金制度の概要 障害者雇用納付金の徴収 1人当たり月額 50,000円(注) ◯常用雇用労働者の総数が 100人を超える事業主は、独立行政法人高齢・障害・求職者雇用支援機構に対して、 ●毎年度、納付金の申告が必要 ●法定障害者雇用率を達成している場合も申告が必要 ●法定雇用障害者数を下回っている場合は、申告とともに納付金の納付が必要 (注)常用雇用労働者の総数が100人を超え200人以下の事業主は、令和2年3月31日まで納付金の減額特例が適用されます。 1人当たり月額「50,000円」が「40,000円」に減額されます。(納付金の額=(法定雇用障害者数-雇用障害者数)の各月の合計数×月額40,000円) ◯令和2年度の申告で減額特例の対象となるのは、平成31年4月から令和2年3月までの12か月間に、常用雇用労働者の総数が200人以下の月が8か月以上(※)ある事業です。※年度の中途の事業廃止等の場合は、取扱いが異なります。 独立行政法人高齢・障害・求職者雇用支援機構は ・1人当たり月額27,000円の障害者雇用調整金を支給   常用雇用労働者の総数が 100人を超えており、雇用障害者数が法定雇用障害者数を超えている事業主に対し、申請に基づき支給 ・1人当たり月額21,000円の報奨金の支給   常用雇用労働者の総数が 100人以下で、雇用障害者数が一定数を超えている事業主に対し、申請に基づき支給 ・在宅就業障害者特例調整金の支給   在宅就業障害者に仕事を発注した納付金申告事業主に対し、支払った業務の対価に応じた額を、申請に基づき支給 ・在宅就業障害者特例報奨金の支給   在宅就業障害者に仕事を発注した報奨金申請対象事業主に対し、支払った業務の対価に応じた額を、申請に基づき支給 ・各種助成金の支給   障害者を雇い入れたり、雇用を継続するために職場環境の整備等を行う事業主に対し、申請に基づき費用の一部を助成 法定雇用障害者数法定雇用障害者数納付金調整金常用雇用労働者の総数が100人を超える事業主において雇用している身体、知的、精神障害者の数が 法定雇用障害者数を下回っている事業主は納付金の納付、法定雇用障害者数を超えている事業主には調整金の支給。 特に短い時間であれば働くことのできる障害者を雇用する事業主のみなさまへ 新たな給付金のごあんない障害者を週20時間未満労働(下限は10時間)で雇用する事業主に対する支援として、新たに「特別給付金」が支給されることになりました。令和2年度の雇用実績をもとにした令和3年4月からの申請となります。 お問い合わせ先 都道府県支部高齢・障害者業務課(80ページ)(東京支部・大阪支部は高齢・障害者窓口サービス課) 障害者雇用納付金制度に基づく各種助成金など (1) 助成金  障害者雇用納付金制度に基づく助成金は、事業主等が障害者の雇用にあたって、施設・設備の整備等や適切な雇用管理を図るための特別な措置を行わなければ、障害者の新規雇入れや雇用の継続が困難であると認められる場合に、これらの事業主等に対して予算の範囲内で助成金を支給することにより、その一時的な経済的負担を軽減し、障害者の雇用の促進や雇用の継続を図ることを目的とするものです。 ■助成金の種類 ・障害者作業施設設置等助成金 障害者を労働者として雇い入れるか継続して雇用している事業主が、その障害者が障害を克服し、作業を容易に行うことができるよう配慮された作業施設、就労を容易にするために配慮されたトイレ、スロープ等の附帯施設もしくは作業を容易にするために配慮された作業設備の設置または整備を行う場合に、その費用の一部を助成するものです。なお、対象となる障害者が雇用され、または職場復帰もしくは人事異動等から6か月を超える期間が経過しており、作業施設等の設置または整備を行う十分な必要性がないと判断される場合は、助成対象とはなりません。 ・障害者福祉施設設置等助成金 障害者を労働者として継続して雇用している事業主または事業主が加入している事業主の団体が、障害者である労働者の福祉の増進を図るため、障害者が利用できるよう配慮された保健施設、給食施設、教養文化施設等の福利厚生施設の設置または整備を行う場合に、その費用の一部を助成するものです。 ・障害者介助等助成金 障害者を労働者として雇い入れるか継続して雇用している事業主が、障害の種類や程度に応じた適切な雇用管理のために必要な介助等の措置を行う場合に、その費用の一部を助成するものです。 ・重度障害者等通勤対策助成金 重度身体障害者、知的障害者、精神障害者または通勤が特に困難と認められる身体障害者を労働者として雇い入れるまたは継続して雇用する事業主、またはこれらの重度障害者等を雇用している事業主を構成員とする事業主の団体が、これらの障害者の通勤を容易にするための措置を行う場合に、その費用の一部を助成するものです。なお、対象となる障害者が雇用されて6か月を超える期間が経過しており、その通勤を改めて容易にする必要がないと判断される場合は、中途障害者となった場合または障害の重度化が認められる場合もしくは人事異動等を除き、助成対象とはなりません。 ・重度障害者多数雇用事業所施設設置等助成金 重度身体障害者、知的障害者または精神障害者を労働者として多数継続して雇用し、かつ、安定した雇用を継続することができると認められる事業主で、これらの障害者のために事業施設等の整備を行い、モデル性が認められる場合に、その費用の一部を助成するものです。 (2)障害者職場実習支援事業 障害者を雇用したことのない事業主、精神障害者を雇用したことのない事業主が障害者の受入を進めるため、就職を目指す障害者を対象として職場実習を計画し、実習生を受け入れた場合に、障害者職場実習受入謝金などを支給します。 助成金等の対象費用、助成率、限度額、手続き等の詳細は当機構ホームページでご紹介しています。 https://www.jeed.go.jp/disability/subsidy/ お問い合わせ先 都道府県支部 高齢・障害者業務課(80ページ)(東京支部・大阪支部は高齢・障害者窓口サービス課) P76 障害者雇用に役立つ資料 ・就労支援機器普及啓発ホームページ 就労支援機器の貸出制度を紹介しています。貸出対象の就労支援機器について、視覚障害・聴覚障害などの「障害別」、画面読み上げソフト・音声認識ソフトなどの「用途別」に検索できます。また、各製品のページでは、仕様の説明と、写真や動画での紹介を行っています。 就労支援機器に関する情報、貸出制度の概要を掲載しています。(URL : https://www.kiki.jeed.go.jp/)または「就労支援機器」と入力して検索してください。 ・障害者の在宅就業支援ホームページ チャレンジホームオフィス こちらをクリックすると、視覚障害、聴覚障害、肢体不自由、内部障害、難病のある方などの在宅雇用事例をご覧いただけます。 各社の事例紹介ページでは、在宅勤務者の業務内容や雇用管理方法、本人からのメッセージなどを掲載しています。 (URL : https://www.challenge.jeed.go.jp/)または「チャレンジホームオフィス」と入力して検索してください。 ・障害者雇用事例リファレンスサービス 全国の障害者雇用事例をホームページで紹介しています。 業種、障害、従業員規模などのチェックボックスにチェックを入れて、事例を検索できます。 社内理解の促進や採用計画の立案、職務設定や環境整備の方法についての情報収集などにご活用ください。 (URL https://www.ref.jeed.go.jp/)または「リファレンスサービス」と入力して検索してください。 ・障害者雇用支援人材ネットワークシステム 専門分野、障害、地域などのチェックボックスにチェックを入れて事例を検索できます。 障害者雇用に関し、労務管理、医療、建築などさまざまな分野の専門家「障害者雇用管理サポーター」が、企業のみなさまのご相談に応じ、支援を行っています。 障害者雇用管理サポーターは「障害者雇用支援人材ネットワークシステム」で検索できます。(URL:https://shienjinzai.jeed.go.jp/)または「障害者雇用支援人材ネットワークシステム」と入力して検索してください。 P77 障害者雇用のためのマニュアル・好事例集等のごあんない 当機構では、事業主や事業主団体の方々に対し、障害者の雇入れにあたっての工夫・改善、障害者が能力を発揮して活躍するための実践的なマニュアルや好事例集等の提供を行っています。 ・こんな方におすすめ 雇用の進め方や使える制度など障害者雇用に関する基本的なことが知りたい はじめからわかる障害者雇用~事業主のためのQ&A集~障害者雇用の知識や関連情報、具体的方策についてわかりやすく解説 障害者の職場定着と戦力化企業トップが語る障害者雇用のメリット、職場定着のポイントを紹介しています。 ・求職者雇用支援機構こんな方におすすめ 障害ごとの特性と配慮事項が知りたい 雇用マニュアルシリーズ障害種別ごとに、障害特性に応じた職場での配慮事項や先進企業での取組等を紹介したマニュアル ・こんな方におすすめ 他社の雇用の取組や改善事例が知りたい 職場改善好事例集シリーズ障害者の雇用管理や雇用形態、職場環境、職域開発等について事業所が創意・工夫して実践している取組を、テーマ別にとりまとめて紹介した事例集 ・こんな方におすすめ 障害者を受け入れるにあたり、従業員が気軽に読めて、配慮事項が理解できる資料がほしい コミック版障害者雇用マニュアル1~6障害者雇用に関する問題点の解消のためのノウハウや具体的な雇用事例を、障害別にコミック形式でまとめたマニュアル 資料はホームページからダウンロードできますので、ぜひご活用ください。 URL https://www.jeed.go.jp/disability/data/handbook/index.html ) P78 障害者雇用に役立つ資料 中央障害者雇用情報センター 当機構が運営する中央障害者雇用情報センターでは、障害者を雇用している、または雇用しようとしている事業主に、障害者の就労を容易にするための支援機器の貸出しを行うほか、「他社の雇用事例を知りたい」といったご相談に、専門のスタッフが情報提供します。 また、障害者雇用への理解を深めていただくためにDVDの無料貸出しを行っています。DVDは、障害者雇用を積極的に進めている企業の取り組み、活き活き働く障害者の姿、企業や障害者を支える家族や支援者の姿を映像で紹介するとともに、企業担当者のインタビューなどを通じて、職務開発、雇用管理等に関する具体的ノウハウをわかりやすく解説しています。障害者雇用に取り組む際の参考資料、社員研修の教材など、幅広い用途で使っていただけますので、是非ご活用ください。貸出しの概要、リストはホームページに掲載しています。 中央障害者雇用情報センター 【住所】墨田区江東橋2-19-12 ハローワーク墨田5階 【電話】03-5638-2792 貸出しの流れ (1)お申し込み DVD借用申込書を記入し、 FAX(03-5638-2282)・郵送でお申込みください (2)貸出し 来所または郵送でお貸し出しします (3)返 却 返却時の送料はご負担ください DVDの貸出しの概要、貸出しリスト、DVD借用申込書はホームページに掲載しています。 (URL https://www.jeed.go.jp/disability/data/handbook/dvd/index.html)または「障害者雇用事例DVD」と入力して検索してください。 障害者雇用事例DVD ・貸出期間   2週間以内 ・貸出本数   5本まで 障害者と雇用「働く広場」(毎月25日発行) 障害者雇用に先駆的、積極的に取り組んでいる事業所や、最新の雇用事例などを紹介。法改正や新しい施策についてもわかりやすく取り上げた事業主向けの月刊誌です。 高齢者雇用の総合誌「エルダー」(毎月1日発行) 高齢者雇用に取り組む事業所の職場紹介、最新の雇用好事例、制度や施策についての解説などを掲載。身近な高齢者雇用について取り上げた事業主向けの月刊誌です。 P79 地域障害者職業センター(都道府県支部) 障害者に対する専門的な職業リハビリテーションサービス、事業主に対する雇用管理に関する相談・援助、地域の関係機関に対する助言・援助を実施しています。 地域障害者職業センター一覧 北海道障害者職業センター 〒001-0024 札幌市北区北二十四条西5-1-1札幌サンプラザ5階 TEL011-747-8231 北海道障害者職業センター旭川支所 〒070-0034旭川市四条通8丁目右1号 LEE旭川ビル5階 TEL0166-26-8231 青森障害者職業センター 〒030-0845青森市緑2-17-2 TEL017-774-7123 岩手障害者職業センター 〒020-0133盛岡市青山4-12-30 TEL019-646-4117 宮城障害者職業センター 〒983-0836仙台市宮城野区幸町4-6-1 TEL022-257-5601 秋田障害者職業センター 〒010-0944秋田市川尻若葉町4-48 TEL018-864-3608 山形障害者職業センター〒960-8054山形市小白川町2-3-68 TEL023-624-2102 福島障害者職業センター 〒990-0021福島市三河北町7-14 福島職業能力開発促進センター内 TEL024-526-1005 茨城障害者職業センター 〒309-1703笠間市鯉淵6528-66 TEL0296-77-7373 栃木障害者職業センター 〒320-0865宇都宮市睦町3-8 TEL028-637-3216 群馬障害者職業センター〒379-2154前橋市天川大島町130-1 TEL027-290-2540 埼玉障害者職業センター 〒338-0825さいたま市桜区下大久保136-1 TEL048-854-3222 千葉障害者職業センター 〒261-0001千葉市美浜区幸町1-1-3 TEL043-204-2080 東京障害者職業センター 〒110-0015台東区東上野4-27-3上野トーセイビル3階 TEL03-6673-3938 東京障害者職業センター多摩支所 〒190-0012立川市曙町2-38-5立川ビジネスセンタービル5階 TEL042-529-3341 神奈川障害者職業センター 〒252-0315相模原市南区桜台13-1 TEL042-745-3131 新潟障害者職業センター 〒950-0067新潟市東区大山2-13-1 TEL025-271-0333 富山障害者職業センター 〒930-0004富山市桜橋通り1-18 北日本桜橋ビル7階 TEL076-413-5515 石川障害者職業センター 〒920-0901金沢市彦三町1-2-1アソルティ金沢彦三2階 TEL076-225-5011 福井障害者職業センター 〒910-0026福井市光陽2-3-32 TEL0776-25-3685 山梨障害者職業センター〒400-0864甲府市湯田2-17-14 TEL055-232-7069 長野障害者職業センター 〒380-0935長野市中御所3-2-4 TEL026-227-9774 岐阜障害者職業センター 〒502-0933岐阜市日光町6-30 TEL058-231-1222 静岡障害者職業センター 〒420-0851静岡市葵区黒金町59-6大同生命静岡ビル7階 TEL054-652-3322 愛知障害者職業センター 〒460-0003名古屋市中区錦1-10-1 MIテラス名古屋伏見5階 TEL052-218-2380 愛知障害者職業センター豊橋支所 〒440-0888豊橋市駅前大通り1-27 MUS豊橋ビル6階 TEL0532-56-3861 三重障害者職業センター 〒514-0002津市島崎町327-1 TEL059-224-4726 滋賀障害者職業センター 〒525-0027草津市野村2-20-5 TEL077-564-1641 京都障害者職業センター 〒600-8235京都市下京区西洞院通塩小路下る東油小路町803 TEL075-341-2666 大阪障害者職業センター 〒541-0056大阪市中央区久太郎町2-4-11 クラボウアネックスビル4階 TEL06-6261-7005 大阪障害者職業センター南大阪支所 〒591-8025堺市北区長曽根町130-23 堺商工会議所5階 TEL072-258-7137 兵庫障害者職業センター 〒657-0833神戸市灘区大内通5-2-2 TEL078-881-6776 奈良障害者職業センター 〒630-8014奈良市四条大路4-2-4 TEL0742-34-5335 和歌山障害者職業センター 〒640-8323和歌山市太田130-3 TEL073-472-3233 鳥取障害者職業センター 〒680-0842鳥取市吉方189 TEL0857-22-0260 島根障害者職業センター 〒690-0877松江市春日町532 TEL0852-21-0900 岡山障害者職業センター 〒700-0821岡山市北区中山下1-8-45 NTTクレド岡山ビル17階 TEL086-235-0830 広島障害者職業センター 〒732-0052広島市東区光町2-15-55 山口障害者職業センター 〒770-0823防府市岡村町3-1 TEL088-611-8111 TEL082-263-7080 徳島障害者職業センター 〒747-0803徳島市出来島本町1-5 TEL0835-21-0520 香川障害者職業センター 〒760-0055高松市観光通2-5-20 TEL087-861-6868 愛媛障害者職業センター 〒790-0808松山市若草町7-2 TEL089-921-1213 高知障害者職業センター 〒781-5102高知市大津甲770-3 TEL088-866-2111 福岡障害者職業センター 〒810-0042福岡市中央区赤坂1-6-19 ワークプラザ赤坂5階 TEL092-752-5801 福岡障害者職業センター北九州支所 〒802-0066北九州市小倉北区萩崎町1-27 TEL093-941-8521 佐賀障害者職業センター 〒840-0851佐賀市天祐1-8-5 TEL0952-24-8030 長崎障害者職業センター 〒852-8104長崎市茂里町3-26 TEL095-844-3431 熊本障害者職業センター 〒862-0971熊本市中央区大江6-1-38 4階 TEL096-371-8333 大分障害者職業センター 〒874-0905別府市上野口町3088-170 TEL0977-25-9035 宮崎障害者職業センター 〒880-0014宮崎市鶴島2-14-17 TEL0985-26-5226 鹿児島障害者職業センター 〒890-0063鹿児島市鴨池2-30-10 TEL099-257-9240 沖縄障害者職業センター 〒900-0006那覇市おもろまち1-3-25 沖縄職業総合庁舎5階 TEL098-861-1254 P80 高齢・障害者業務課 障害者の雇用に関する相談・援助、障害者雇用納付金制度に基づく申告・申請の受付、啓発などの業務を実施しているほか、高年齢者などの雇用に関する相談・援助、各種給付金の支給申請の受付などを実施しています。 高齢・障害者業務課(東京支部・大阪支部は高齢・障害者窓口サービス課を含む)一覧 北海道 〒063-0804札幌市西区二十四軒4条1-4-1北海道職業能力開発促進センター内 TEL011-622-3351 青 森 〒030-0822青森市中央3-20-2青森職業能力開発促進センター内 TEL017-721-2125 岩 手 〒020-0024盛岡市菜園1-12-18 盛岡菜園センタービル3階 TEL019-654-2081 宮 城 〒985-8550多賀城市明月2-2-1宮城職業能力開発促進センター内 TEL022-361-6288 秋 田 〒010-0101潟上市天王字上北野4-143 秋田職業能力開発促進センター内 TEL018-872-1801 山 形 〒990-2161山形市漆山1954 山形職業能力開発促進センター内 TEL023-674-9567 福 島 〒960-8054福島市三河北町7-14 福島職業能力開発促進センター内 TEL024-526-1510 茨 城〒310-0803水戸市城南1-4-7第 5プリンスビル5階 TEL029-300-1215 栃 木 〒320-0072宇都宮市若草1-4-23 栃木職業能力開発促進センター内 TEL028-650-6226 群 馬 〒379-2154前橋市天川大島町130-1ハローワーク前橋3階 TEL027-287-1511 埼 玉 〒336-0931さいたま市緑区原山2-18-8埼玉職業能力開発促進センター本館4階 TEL048-813-1112 千 葉 〒261-0001千葉市美浜区幸町1-1-3ハローワーク千葉5階 TEL043-204-2901 東 京 〒130-0022墨田区江東橋2-19-12 ハローワーク墨田5階 (高齢・障害者業務課)TEL03-5638-2794(高齢・障害者窓口サービス課) TEL03-5638-2284 神奈川 〒241-0824横浜市旭区南希望が丘78 関東職業能力開発促進センター内 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雇用開発推進部雇用開発課 〒261-0014 千葉県千葉市美浜区若葉3-1-3 (障害者職業総合センター内) TEL : 043-297-9513 / FAX : 043-297-9547 web site https://www.jeed.go.jp/ 令和2年2月 発行