はじめに  独立行政法人高齢・障害・求職者雇用支援機構では、事業所における障害者雇用及び職場定着を進めるため、雇用管理や職場改善の整備等様々な改善・工夫を行った障害者雇用職場改善好事例を募集し、優れた事例を広く周知しています。  今般、令和2年度に実施した「障害者の健康に配慮し安心・安全に働けるよう取り組んだ職場改善好事例」の募集テーマにご応募いただいた企業等を中心に、障害者の労働安全衛生対策に係る具体的な事業所の取組や社員の声などを取りまとめ、「障害者の労働安全衛生対策ケースブック―令和2年度障害者雇用職場改善好事例の応募企業等の取組より―」として作成いたしましたのでご紹介します。  労働安全衛生法では、労働者の安全と健康の確保のために様々なことが義務付けられており、職場において労働安全衛生を推進していくためには、「事業場における安全衛生管理体制の確立」や「事業場における労働災害防止のための具体的措置の実施」などがポイントとなります。障害者を雇用する企業におかれましては、障害者が健康に留意し安心・安全に働けるような職場改善を行い、職場における労働安全衛生が推進されるよう、本書をご活用いただければ幸いです。  最後に、本書の作成にご協力いただきました事業主の皆様、関係機関・団体などの皆様にあらためて感謝申し上げます。 令和4年2月 独立行政法人高齢・障害・求職者雇用支援機構 Contents はじめに 1 目次 3 用語解説 4 各事業所の取組一覧 8  〈各事業所の取組〉  安全衛生活動への参加 10  安全衛生教育 24  安全管理   労働災害防止対策(視覚障害・聴覚障害のある労働者) 50   労働災害防止対策(視覚障害・聴覚障害のある労働者以外) 64   災害発生時に対応するための社内体制 96   災害発生時における救急・避難等の対応 100  衛生管理   健康保持・体調管理等の取組 114   メンタルヘルスケア対策 128   健康診断 170   熱中症対策 172 職場改善のために事業所が作成した資料・支援ツール 175 障害者雇用に役立つ資料 209 障害者雇用を支援する施策 218 連絡先一覧 229 用語解説 全般 ○労働安全衛生法 「職場における労働者の安全と健康を確保」するとともに、「快適な職場環境を形成する」目的で制定された法律です。その手段として、「労働災害の防止のための危害防止基準の確立」、「責任体制の明確化」、「自主的活動の促進の措置」など総合的、計画的な安全衛生対策を推進するとしています。 ○衛生管理者 労働安全衛生法において定められている、労働条件、労働環境の衛生的改善と疾病の予防処置等を担当し、事業場の衛生全般の管理をする者です。常時50人以上の労働者を使用する一定の事業場において選任が義務づけられています。 安全衛生活動への参加 ○安全衛生委員会 労働安全衛生法に基づき、一定の基準に該当する事業場では安全委員会、衛生委員会(又は両委員会を統合した安全衛生委員会)を設置しなければならないこととされています。 労働災害防止の取組は労使が一体となって行う必要があることから、委員会は総括安全衛生管理者、衛生管理者、産業医などのほか労働者代表で構成されます。当委員会において、労働者の危険又は健康障害を防止するための基本となるべき対策(労働災害の原因及び再発防止対策等)などの重要事項について十分な調査審議を行う必要があります。 ○職場巡視 作業環境を実際に見て、安全衛生上の問題点を見出し改善していくことを目的としています。衛生管理者や産業医は定期的に作業場を巡視し、作業方法や衛生状態に有害の恐れがあるときには、すぐに必要な措置を講じなければならないとされています。 安全衛生教育 ○UDトーク 会話(音声情報)をスマホやパソコン、タブレットなどの画面上に文字表示できるアプリです。聴覚障害者などのコミュニケーションのUD(ユニバーサルデザイン)を支援します。 ○手話通訳者・手話通訳士 手話通訳に必要な知識及び技術等を習得し、地域において手話通訳活動を行う方を手話通訳者といいます。手話通訳者を養成する福祉系の大学、短大、専門学校を卒業したり、都道府県で実施されている手話奉仕員や手話通訳者養成の講習会を受講したり、地域の手話サークルで学び聴覚障害者と交流を図るなどにより手話通訳の経験を積んでいます。また、厚生労働大臣認定の手話通訳技能認定試験(手話通訳士試験)に合格し、手話通訳士として登録して手話通訳に関する知識・技能について審査・証明された方が「手話通訳士」です。 労働災害防止対策 ○危険予知訓練(KYT) 作業や職場にひそむ危険性や有害性等の危険要因を発見し解決する能力を高める手法で、ローマ字のKYTは危険のK、予知のY、訓練(トレーニング)のTをとったものです。 「KYT基礎4ラウンド(R)法」による危険予知訓練が標準とされており、訓練の流れは「1R(どんな危険がひそんでいるか、現状を把握する)⇒2R(これが危険のポイントと、危険のポイントを追及する)⇒3R(あなたならどうするか、対策を樹立する)⇒4R(私たちはこうすると、私たちの目標を設定する)⇒確認(指差し呼称項目を決め、唱和する)」です。 ○転倒災害の防止 「墜落・転落災害」、「はさまれ・巻き込まれ災害」とともに、発生件数の多い災害の一つです。そのため、厚生労働省と労働災害防止団体において、転倒災害の防止に関する意識啓発を図り、職場における転倒リスクの総点検と、必要な対策の実施により、職場の安全意識を高め、安心して働ける職場環境を実現することを目的とする「STOP!転倒災害プロジェクト」が提唱されています。 ○ヒヤリハット 仕事をしていて危ないことが起こったが、幸い災害には至らなかった事象のことです。1件の重大事故の裏に、29件の軽傷事故、300件の無傷事故(ヒヤリハット)があると言われています(ハインリッヒの法則)。 ○保護具 作業中の事故や危険から身体を守るために装着するものです。 労働安全衛生法では、一定の作業・環境のもとでは、事業者は作業者に保護具を使用させなければならないとしており、作業の種類によって、作業帽・保護帽・保護手袋・保護長靴・防じんマスク・防毒マスクなどを使用することとなっています。 ○指差呼称 KY(危険予知)活動の一環として、作業対象、標識、信号、計器類に指差しを行い、その名称と状態を声に出して確認することです。現在では鉄道業をはじめ、航空業、運輸業、建設業、製造業等、幅広い業界で行われています。 ○腰痛予防 職場における腰痛は、休業4日以上の職業性疾病の約6割を占める労働災害です。職場で腰痛を予防するには、労働衛生管理体制を整備した上で、3管理(作業管理、作業環境管理、健康管理)と1教育(労働衛生教育)を総合的に実施することが重要です。また、継続的に職場での腰痛予防対策を実施する必要があります。 災害発生時における救急・避難等の対応 ○AED 日本語訳は自動体外式除細動器といいます。小型の器械で、体外(裸の胸の上)に貼った電極のついたパッドから自動的に心臓の状態を判断します。もし心室細動という不整脈を起こしていれば、強い電流を一瞬流して心臓にショックを与えること(電気ショック)で、心臓の状態を正常に戻す機能を持っています。器械の電源を入れると音声が使い方を順に指示してくれるので、誰でも救命活動を行うことができます。 ○光警報装置 「光の点滅」で火災を警報する装置です。火災を感知すると、従来の音(地区音響装置または非常用放送設備)による警報に加え、光による警報を発します。火災発生時に、聴覚障害者や高齢者などに対して迅速に危険性を伝えることができます。 メンタルヘルスケア対策 ○ストレスチェック ストレスに関する調査票(選択回答)に労働者が記入し、結果を集計・分析することで、自分のストレスがどのような状態にあるのかを調べる簡単な検査です。うつ病等のメンタルヘルス不調者や自殺者の増加等を踏まえ、これらを未然に防止するための仕組みとして創設されました。労働安全衛生法改正により、労働者が50人以上いる事業場では、毎年1回全ての労働者に対して実施することが義務付けられています。 各事業所の取組一覧 掲載ページ 障害種別 企業名 タイトル 項目 安全衛生活動への参加 10 知的障害・精神障害 株式会社キョウセイ 障害のある労働者が改善活動に参加し、オリジナルのピクトグラム・分析シートを使って改善点を考える 12 すべての障害 株式会社ニッセイ・ニュークリエーション 障害のある労働者主体の安全・衛生・健康等に関する委員会活動の実施 14 すべての障害 株式会社旭化成アビリティ 延岡営業所 障がいのある労働者の声も反映させながら安全衛生活動へ参加 18 すべての障害 ウシオ電機株式会社 障がいのある労働者の声を反映した安全衛生活動 22 すべての障害 オムロン太陽株式会社 全ての労働者がヒヤリハットを提出し安全活動へ参加する取組 項目 安全衛生教育 24 聴覚障害 大東コーポレートサービス株式会社 聴覚障害のある労働者のための就労支援機器を活用したコミュニケーション支援 26 内部障害 株式会社ササキ 内部障害のある労働者が安心して働けるようにするための特性理解の社内研修 28 知的障害 株式会社ハチカン 知的障害のある労働者に対する通勤にふさわしい靴を理解してもらうための教育 30 知的障害 株式会社ハチカン 知的障害のある労働者に対する安全教育の工夫、労働者の声を聞いた事故防止のための対策 34 知的障害 株式会社ヤオコー 「生活リズムの整え方」「体調の管理方法」などのフォロー研修の実施 36 すべての障害 シダックスオフィスパートナー株式会社 労働者がセルフケアに取り組むことができるようになるための研修の実施 44 すべての障害 シダックスオフィスパートナー株式会社 労働者が健康を維持し、安定した生活を送れるようにするための研修の実施 48 すべての障害 株式会社キトー 障害のある労働者のためのクレーン運転資格などの取得に向けた支援 項目 安全管理 労働災害防止対策(視覚障害・聴覚障害のある労働者) 50 視覚障害 株式会社ニッセイ・ニュークリエーション 視覚障害のある労働者が安全に移動するための進行方向を示すライトの設置 52 視覚障害 株式会社ニッセイ・ニュークリエーション 視覚障害のある労働者が安全に移動するための床面の配色の配慮 54 視覚障害 ポラスシェアード株式会社 視覚障害のある労働者の通路確保のためのカーペットの配色の配慮 56 聴覚障害 株式会社キトー 聴覚障害のある労働者のための光学的サインやライトの活用 58 聴覚障害 ウシオ電機株式会社 通路のミラーの設置やコミュニケーション機器の活用などにより聴覚障がいのある労働者に対する安全面の配慮を実施 項目 安全管理 労働災害防止対策(視覚障害・聴覚障害のある労働者以外) 64 肢体不自由 オムロン太陽株式会社 左手の機能の低下が見られる労働者が安心・安全に作業を行うために自動機を改良した取組 66 知的障害 NSハートフルサービス関西株式会社和歌山事業所 指さし確認を徹底するための工夫を行い、転倒事故防止 70 知的障害・精神障害 株式会社キョウセイ 製品のあるなしが一目でわかるように改善「くるりんぱ」 72 知的障害・精神障害 株式会社キョウセイ ドリルの刃を安全に取りやすくするための改善「ドリルとれるんで」 74 すべての障害 ポラスシェアード株式会社 ヒヤリマップの使用による通勤時の安全確保 76 すべての障害 ポラスシェアード株式会社 自転車運用基準書の制定や講習会の実施による自転車利用時の安全確保 78 すべての障害 大東コーポレートサービス株式会社 荷物運搬時の安全を見直し、安心して働ける職場環境を整備 80 すべての障害 医療法人社団知己会 龍岡ケアセンター 職場の安全のために労働者の精神面の安定を重視した取組 84 すべての障害 オムロン太陽株式会社 障害特性に対応した独自のリスクアセスメントの実施 86 すべての障害 株式会社エムツープレスト 荷物用昇降機の開閉口に手を挟まないように、助成金を活用して設備を改善 88 すべての障害 百五管理サービス株式会社 送迎バスの導入と公共交通機関の利用に関する社内研修を通じた通勤時の安全対策 92 すべての障害 株式会社サンキュウ・ウィズ 台車の鈴の音による荷物運搬中の衝突防止対策 94 すべての障害 株式会社サンキュウ・ウィズ カッターの扱いが苦手な労働者のケガ防止対策 項目 安全管理 災害発生時に対応するための社内体制  96 すべての障害 株式会社ニッセイ・ニュークリエーション 災害時の安心・安全向上に向けたプロジェクトチームの設置・対策の実践 項目 安全管理 災害発生時における救急・避難等の対応 100 肢体不自由 オムロン太陽株式会社 日頃の目配りと避難体制の見直しによる避難時の安全確保の取組 104 聴覚障害 株式会社ニッセイ・ニュークリエーション/エプソンミズベ株式会社 イラスト、メッセージが表示されるAEDの活用 106 聴覚障害 エプソンミズベ株式会社 聴覚障害のある労働者のための光警報装置の活用 108 聴覚障害 大東コーポレートサービス株式会社 救急救命講習会の充実による緊急時の対応の理解促進 110 聴覚障害 株式会社ササキ 聴覚障害のある労働者を確実に避難誘導させるための仕組みづくり 112 すべての障害 株式会社サンキュウ・ウィズ 蓄光テープを使用した停電時の危険回避対策 項目 衛生管理 健康保持・体調管理等の取組  114 視覚障害 ポラスシェアード株式会社 視覚障害のある労働者のために明かりをさえぎって、まぶしさを軽減 115 知的障害 株式会社ハチカン 労働者同士の相互確認による毎日の体調管理 116 精神障害 株式会社ティエラコム 体調チェックシートの活用、効果的な休憩の取り方などの配慮により、精神障害のある労働者の継続雇用につなげた取組 120 精神障害 NTTクラルティ株式会社 体調管理ツール「つなぐログ」を活用した労働者の健康保持のための取組 124 すべての障害 株式会社ニッセイ・ニュークリエーション 自社の健康課題を把握・分析し、全労働者の健康の保持・増進を目標とした全社的な取組 項目 衛生管理 メンタルヘルスケア対策  128 精神障害 百五管理サービス株式会社 障害のある労働者に対する定期面談によるメンタルヘルスケア対策 132 精神障害 医療法人社団知己会 龍岡ケアセンター 精神障害のある労働者への声かけや褒めることの徹底、マニュアルの活用により、安心できる仕事につなげた取組 136 発達障害 NSハートフルサービス関西株式会社和歌山事業所 ストレス軽減のための指示の伝え方 138 発達障害 株式会社ヤオコー 安心して接客に取り組むために接客用語を変更 140 発達障害 株式会社エムツープレスト 3S活動(整理、整頓、清掃)の成果を踏まえた安心して働ける職場作り 144 精神障害・発達障害 株式会社ニッセイ・ニュークリエーション リフレッシュするための休憩、食事等を一人でとれるスペースの整備 146 精神障害・発達障害 百五管理サービス株式会社 パーティションの設置による休憩室や作業環境におけるストレス軽減の取組 150 すべての障害 株式会社ササキ 面談記録票を活用したメンタルヘルスケア対策 152 すべての障害 大東コーポレートサービス株式会社 通院や家庭環境などを考慮し、勤務制度を変更 154 すべての障害 株式会社キトー 障害に配慮した休憩場所等の設置や休暇制度の変更 156 すべての障害 株式会社ティエラコム 障害のある労働者が安心して働けるようにするために社内体制の整備や従事する業務の設定等を行った取組 160 すべての障害 NTTクラルティ株式会社 障害のある労働者の定着支援を担う専門組織を発足し支援体制を構築 164 すべての障害 NTTクラルティ株式会社 障害のある労働者が相互理解を深め、安心して働けるようにするためのミーティングの実施 166 すべての障害 株式会社旭化成アビリティ 延岡営業所 個別相談、自己紹介カードの作成、本人にあった職場環境の改善など、安心して働くための配慮を実施 項目 衛生管理 健康診断 170 聴覚障害 株式会社キトー 健康診断における手話通訳者の活用 項目 衛生管理 熱中症対策 172 知的障害 NSハートフルサービス関西株式会社和歌山事業所 体調チェックや熱中症指標計の装着による屋外作業 174 知的障害 株式会社ハチカン 産業医と常駐看護師との連携   各事業所の取組 障害のある労働者が改善活動に参加し、オリジナルのピクトグラム・分析シートを使って改善点を考える 株式会社キョウセイ 安全衛生活動への参加 ■ 改善前の状況  健常者主体で職場改善活動を進めたが、実際に作業をする障害のある社員にとってはわかりにくく、使いにくい改善内容であり、作業をする社員のことを考えた改善とはいえなかった。 ■ 改善策 ・障害のある社員が改善活動に参画することが重要と考え、「みどりの活動」(※)を立ち上げ、工場にある「危ない」「やりにくい」「悩む」などの問題点を見つけ、改善することとした。(※みどりは「みんなで」「どんどん」「りそうを目指す」の頭文字) ・障害のある社員が改善活動に参画するため、次のような工夫を凝らした。 @改善活動の前に、活動の目的や活動の進め方、問題のある作業とは何かなどを理解してもらうため、勉強会を開催。 A障害のある社員にも、職場の「重い」作業、「まぶしい」場所などの問題をより見つけやすくするために、オリジナルのピクトグラムを作成し、言語データと併用して使った。 B問題点を深掘りできるように、ピクトグラムとオリジナルの分析シート「だからシート」「だからボード」を使い、問題の真因を自分たちで見つけられるようにした。 C見つけた問題は工場内問題マップに示し、改善されれば改善マップに移す。改善後の効果はニコニコ評価を使い、実際に作業している人に評価してもらい、「すごい良い」になるまで改善することで充実感、達成感を感じてもらうようにした。 オリジナルのピクトグラム 「だからシート」「だからボード」 工場内問題マップと改善マップ ニコニコ評価 ■ 改善後の効果 ・職場の問題点として101件が指摘された。そのうち30件改善した。 ・ピクトグラム、だからシート等のおかげで、障害のある社員が、職場の危険箇所などの問題点を指摘したり、改善を考えたりしやすくなった。また、障害のある社員自らで何が問題かを考えて改善し、使う人が評価してくれることで、改善の実効性が向上した。 ・改善活動では、提案書を作成し、活動状況を他の社員の前で発表することを定期的に行っている。これにより、障害のある社員が他人の話を聴きメモを取ることや、自分の考えを文章で書き、人前で伝えることができるようになり、大きく成長していることが最大の効果となっている。 障害のある労働者主体の安全・衛生・健康等に関する委員会活動の実施 株式会社ニッセイ・ニュークリエーション 安全衛生活動への参加 ■ 改善前の状況 ・障害者の視点に立った安全衛生活動の推進に向けて、障害のある社員が主体的に活動に参画する仕組みの整備が必要であった。 ・障害種別が多様化する一方、安全衛生委員会の委員構成は肢体不自由の社員が中心となっていた。 ■ 改善策 @安全衛生委員会と連動した、障害のある社員主体の安全・衛生・健康等に関する委員会活動の実施 ・障害のある社員が主体となって活動する「安全向上委員会」「健康促進委員会」「危機管理委員会」を設置。 ・3委員会の委員が同時に会社の安全衛生委員会の委員になり、双方の運営を連動させながら、障害者の視点を活かした各種取組を実施。 A障害種別の多様化を踏まえた安全衛生委員会の委員構成の見直し ・安全衛生活動に、様々な障害に応じた視点を反映させるため、肢体不自由の社員に加え、聴覚障害、精神障害、発達障害のある社員を含めることにした。 −安全衛生委員会の職場巡視とは別に月2回安全パトロールを実施 −社外講師による交通安全講習会、健康セミナーの開催 −朝礼時の研修実施(健康ミニ講座等) −各種マニュアル、啓発資料(災害対策マニュアル、災害対策ブック、安全標語、職場安全ニュース、禁煙ポスター、感染症流行注意喚起・予防ポスター等)の作成 (資料・支援ツール176ページ) 安全向上委員会では、障害のある社員の視点を活かした「職場安全ニュース」を定期的に発行 健康促進委員会で開催する、車いす使用の社員や聴覚障害のある社員も気軽に参加できる体験型「椅子ヨガセミナー」の様子 健康促進委員会では、障害のある社員のニーズを踏まえた「健康ミニ講座」を開催(資料・支援ツール177・178ページ) ■ 改善後の効果 ・社員の安全・衛生・健康に関する意識の向上、身体機能の状況・特性等にきめ細かに配慮した働きやすさの向上につながっている。 障がいのある労働者の声も反映させながら安全衛生活動へ参加 株式会社旭化成アビリティ 延岡営業所 安全衛生活動への参加 ■ 改善前の状況  1985年に特例子会社として設立以降、障がいのある社員を雇用してきた。法定雇用率引き上げにより採用数がさらに増加していることや、採用者の障がいも多岐にわたっていることなどにより、社内での業務指導(教育)や職場定着のための対応、社員同士のコミュニケーションなどについて困難さが出てきており、安全面や健康面、活き活きと働くための教育、環境づくりについても社内において整備していく必要があった。 ※「安全衛生」関係は、以下「安全健康」と表記します。 ■ 改善策  2017年10月に本社組織として「活き活き推進部」を創設し、それまで行っていた「安全」「健康」に「教育・研修」「職場環境改善」「レクリエーション」といった要素も加え、「社員一人ひとりの成長」や「組織の更なる発展」のために幅広く活動できるようにした。これらの活動は、お世話係(業務以外の定期面談、社員研修など)、各業務の担当者(インストラクター)が役割分担しながら行っている。  また、毎月行っている安全衛生委員会や全体朝礼、毎日の朝礼の場を利用して、所長や所属長などから全社員に対し安全面や健康面に対する意識付けを行っている。 安全健康に関する活動 〇労働安全マネジメントプログラムの年間計画  年間計画を立て、安全健康活動や活き活きと働ける職場づくりなどに関する社内研修などを実施している。  年間計画の検討や振り返りには障がいのある社員も参加しており、当該社員の声も反映できるようにしている。 (研修内容の例) ・安全健康活動の研修:交通安全、車いすの扱い方、AED・救命講習、健康講話、飲酒運転防止などを行っている。 ・活き活きと働ける職場づくりなどに関する研修:相手を思いやることや障害特性を理解することなどを取り入れた「おもいやり研修」、「ハラスメント研修」、働くことや働き続けるために必要な力を理解する 外部講師による研修 〇安全健康に関するアンケート  社内で実施するアンケートや経営幹部と社員が直接意見交換できる場として設けられた。「職場懇談会」にて、障がいのある社員の「改善してほしい」という意見を収集し、職場改善につなげている。 例:肢体不自由の方にとって動きにくい床の凹凸やスロープを確認し、注意を促している。また、会社として対応が必要なこと、社員一人ひとりが対応する必要があることなどを確認している。 〇障がい特性に応じた配慮  社内研修や教育などにおいて、知的に障がいのある社員に対しては説明文にイラスト・ふりがなを加えながら簡潔な内容に、聴覚に障がいのある社員に対してはUDトーク(音声を文字に変換)の使用や手話通訳士の協力を得て対応している。また、視覚に障がい(弱視)のある社員に対しては、個々の状態に応じて重要な点を補足しながら説明するなどの配慮を行っている。 UDトークの利用や手話通訳の実施 〇安全な機械操作などに関する指導  各部署における機械操作などについては、安全な操作や行動ができる社員を業務の担当者として固定している。業務の担当者の増員などにおいては、作業内容や安全な作業の重要性を十分に理解したインストラクターが、障がいのある社員に対して確実に指導している。 ■ 改善後の効果  障がいのある社員の声を反映しながら研修などの内容に盛り込んで実施できたことや、社長などからの安全健康面に関する講話が半期に1回行われるため、障がいのある社員にとっては、安全健康面の意識向上の効果が上がっている。また、活き活きとした職場づくりや働くための力などについて、入社時から継続的な研修を実施することにより、「安全健康に働く」という意識づけや環境整備につながっている。  なお、他県の各営業所でも同様の取組があるが、月1回の各営業所の支援担当者との打合せ(オンライン含む)において、支援担当者による取組の状況や課題を共有しており、企業として障がいのある社員への支援力向上などの相乗効果にもつながっている。 ■ 担当者の声 Yさん(活き活き推進担当)  「弊社では、労働安全健康や活き活きとした職場づくりについて、様々な研修・教育を取り入れています。入社時から継続的に研修を実施することで、定期的な振り返りができ、安全や健康についての意識を共有することに役立っていると思います。また、時には外部講師による研修も実施することで、新鮮な気づきや学びが得られる機会も多いと感じています。  他にも、社員と経営幹部が直接意見交換できる『職場懇談会』や営業所の垣根を越えて検討や相談できる『ケース検討会』など、会社全体で考え議論する場があることで、それぞれの意識の向上や相互理解、認識の共有につながっていると感じています。特に、『職場懇談会』では、以前は会社への希望が非常に多く挙げられていましたが、回を重ねることで会社として対応が必要なこと、個々に考え対応していく必要があることなどの認識を共有し、今ではとても建設的な意見交換ができています。  今後もすべての社員が安全・健康に活き活きと仕事ができるような環境づくりを行っていきたいと思います。」 障がいのある労働者の声を反映した安全衛生活動 ウシオ電機株式会社 安全衛生活動への参加 ■ 改善前の状況  以前から聴覚障がいのある方を中心に障がい者を雇用してきたが、障がい者雇用が増える中、さらなる職場の安全衛生向上のために、今まで以上に障がいのある社員の悩みや困りごとを知り、企業としての活動の方向性の確立や支援体制の構築を行う必要があった。 ■ 改善策 〇2017年7月ダイバーシティ推進プロジェクトを全社始動。この分科会の一つとして「障がい者雇用分科会」を発足  すでに聴覚障がいのある方を雇用していた播磨事業所の施策を強化し、他事業所へ定期的に情報発信・展開している。また、障がいのある社員への配慮事項や雇用マニュアル等の情報収集、他社事例の収集、関係機関との連携による取組等を進めた。  プロジェクトの活動開始にあたって、まず取り組んだことは、各分科会の活動方針(ミッション)策定であり、障がい者雇用分科会としては、次のミッションを掲げ、全社的な活動に取り組んでいる。 <活動の方針「ミッション」の策定> 1.誰もが安心安全に、いきいきと働ける環境作り   →【モチベーションの向上】 2.互いが理解し、尊重し合える風土の醸成   →【すべての社員の意識の改善、理解の向上】 3.法定雇用率の達成と維持継続   →【社会で活動する使命を果たす】 (資料・支援ツール179ページ) 〇障がいのある社員の声を反映した取組(安全面)  障がいのある社員に対して年1回程度アンケートを実施し、困りごとや問題点を拾い上げるとともに、分科会メンバー内の障がいのある社員やその周囲の社員(上司や同僚など)の声も聞き、改善の方向性を検討している。 アンケートの実施 (例:聴覚障がいのある社員へのアンケート) <社員の声やアンケートの結果を踏まえた職場巡視> アンケートの結果を踏まえて職場を巡視し、優先順位をつけながら具体的な改善案を検討。 <安全面に関する改善例> 〇ミラーの設置 聴覚障がいのある社員からの「見通しがわるい階段を降りたり昇ったりする際に、足音に気づかず、ぶつかりそうになることが多い」という声を踏まえ、通路にミラーを設置しヒヤリ・ハットを解消。 〇手すりの設置や駐車スペースの確保 体が不自由な方が安全に移動できるように改善したほうがよいという社員の声を踏まえ、階段に手すりを設置し、車いす使用の社員のために駐車スペースを確保。 ■ 改善後の効果  障がいのある社員が安全活動に参加し、職場改善等につなげるような体制を整えることができたことで、職場内の安全意識が高まり、職場のKY(危険予知)活動に役に立っているとともに、これらの活動を通して、障がいのある社員の雇用についても社内の理解が深まってきたという効果が現れている。 ■ 担当者の声 NMさん、SKさん、KHさん  「障がい者雇用分科会、播磨事業所の三人組です。それぞれの背景は違えど『障がい者の役に立ちたい』との思いはだれにも負けない熱いハートを持っています。これまで4年間の活動で、色々な気づきや学びがあり、まだまだ分かっていないことだらけです。コロナ禍で活動の制約もありますが、ピンチをチャンスに変え、活動の幅と深さを広げていけるようがんばります。」 全ての労働者がヒヤリハットを提出し安全活動へ参加する取組 オムロン太陽株式会社 安全衛生活動への参加 ■ 改善前の状況  職場内の危険に対する未然防止の取組として、全社員がヒヤリハットをシートに取りまとめて提出していたが、提出件数を重視するあまり、質の低下が見受けられた。 ■ 改善策 ・ヒヤリハット提出件数の年間目標を社員1人当たり1件とし、1人ひとりがじっくり考え、質の高い改善提案を出来るようにした。 ・知的障害のある社員も提出できるよう、社員が既に当たり前に取り組んでいることも指導担当者が一緒に振り返り、「ヒヤリハット報告書」に落とし込むことで、職場内に潜む危険への理解を深められるようにした。 ・提出されたヒヤリハットのうち社内全体で共有すべきものは安全衛生委員会でも協議し、職場の壁面に掲示することで情報共有を行うこととした。 ■ 改善後の効果 ・ヒヤリハットの提出件数は、1人当たり平均1.4件/年、提出率100%を達成している。 ・全社員がヒヤリハットを提出することで、職場全体の安全に対する意識が高まった。 ・全社員が安全活動に参加し、様々な視点で職場環境を見直すことは、社員1人ひとりの多様性を尊重し、能力や個性を最大限に引き出すことにつながっている。これは、企業理念である「人間性の尊重」にも通じており、安心・安全な職場づくりのために社員自ら参加することが当たり前の職場となっている。 転倒防止のため足元のマットにテープを貼った事例 自動機の部品投入口に安全カバーを取り付けた事例 (資料・支援ツール180・181ページ) ■ 担当者の声  「現場の従業員はヒヤリハットを見つけることが大変かもしれませんが、おかげで、気付かなかった危険個所が見つかりよかったです。連続無災害の継続ができていることは、この活動の効果が出ていると言えます。おそらく本当にヒヤリとしたことだけを提出させていたら意見が上がりにくいうえ、危険個所を見落とし、その結果、労災につながったかもしれません。“役立ちました”“ありがとう”の意味を込めて、収束したヒヤリハットの用紙を提出者へ返却しています。」 聴覚障害のある労働者のための就労支援機器を活用したコミュニケーション支援 大東コーポレートサービス株式会社 安全衛生教育 ■ 改善前の状況  聴覚障害のある社員とのコミュニケーションは手話通訳者のおかげで円滑に進められるが、手話通訳者の不在時には対応ができないことや、会議などの時間が長くなると手話通訳者の負担が大きいという課題があった。 ■ 改善策  話している内容を、UDトークを経由してサイネージ画面に表示させることで、聴覚障害のある社員にも視覚的に分かりやすく伝えることとした。 ■ 改善後の効果  手話通訳者の負担軽減ができたほか、手話通訳者が不在の時でも伝えたい情報を漏れなく伝えられるようになった。また、手話による受け取り方の誤認を確認しやすくなった。  サイネージは、会社からの告知やスケジュールなどを繰り返し表示することにも活用しており、聴覚障害のある社員だけでなく、他の社員からも内容を認識しやすいと喜ばれている。 ■ 社員の声 輕部 浩士さん(浦安サービス部)  「一つの手話の中にもたくさん意味があるので、手話だけでは汲み取れない場合もあります。UDトークで文字化すると理解しやすくなります。  手話は話が進むとどんどん形がなくなりますが、UDトークは記載された文字として残るので確認しやすいし、正確に理解できます。」 内部障害のある労働者が安心して働けるようにするための特性理解の社内研修 株式会社ササキ 安全衛生教育 ■ 改善前の状況  Aさんは、勤続年数の長いベテラン社員で、製品の検査に従事している。しかし、疾病が徐々に悪化し人工透析を受けるようになった。しかし、周囲に病気のことをオープンにしていなかったため、透析や体調不良による休みなどについて周囲は不思議には思うものの、理由を尋ねることができない状況であった。 ■ 改善策 @Aさんの了解を得た上で、限定したメンバーで勉強会を行い、疾病の概要と配慮事項を共有した。 Aその結果、Aさんの状況を周囲へ正しく説明できる社員をもう少し増やしたほうが良いとの意見が挙がった。また、人によって説明の内容が食い違わないよう、ポイントをペーパーにまとめることについて社員から提案があり、作成の上説明を行った。 BAさんが急に不在となっても業務が滞らないよう、交代などにより円滑に業務を進められる体制を整えた。 ■ 改善後の効果  社内でAさんの疾病について理解が広がり、Aさんと周りの社員双方にとって働きやすい環境の整備につながった。 ■ 社員の声 Aさん  「社内の勉強会が開催された後、部署内で内部障害への理解が深まり、上司からも適切に対応してもらえるようになりました。勉強会を通してお互いがそれぞれの立場を理解することができ、今は安心して仕事ができます。」 ■ 担当者の声 Aさんの所属部署の課長 Bさん  「内部障害者は、障害のない人と見た目は変わらないために、他の社員と同等の扱いをしてしまっていたことがありました。しかし、勉強会をきっかけに今まで理解が行き届いていなかったところを把握することができ、障害者目線からの対応ができるようになったと感じます。障害のある社員、ない社員お互いが理解を深めれば、作業もやりやすくなると思いますので今後も勉強会を続けたいと考えています。」 Aさんの所属部署の部長 Cさん  「勉強会で共有した内容をもとに他の社員からの質問や疑問に対して答えることができたこと、日頃のAさんへの声掛けやアドバイスに役立てることができたことはどちらも勉強会の効果だったと言えます。障害があってもなくても、できることは任せ、できないことはサポートするという方針に変わりはありません。皆が安心して働ける職場づくりは、人という財産につながっていくので、それが企業文化となり得るように努力したいと思います。」 疾病説明用ペーパー(資料・支援ツール184ページ) 知的障害のある労働者に対する通勤にふさわしい靴を理解してもらうための教育 株式会社ハチカン 安全衛生教育 ■ 改善前の状況  サンダル等で通勤することで転倒事故等が発生していた。知的障害のある社員が、通勤にふさわしい安全な靴を選べるようにする必要があった。 ■ 改善策  通勤靴の基準を設け、良い例、悪い例を写真と〇×を用いて分かりやすく示した資料を作成し、入社時の安全衛生教育で配付することとした。入社前にご家族にも資料を提供し、準備をお願いした。 ■ 改善後の効果  靴の種類だけではなく、ヒールや靴底の形状も含めて写真で示したことで、通勤に適している靴の範囲が明確になった。障害の有無に関わらず、全社員の通勤時の事故予防に繋がっている。 通勤靴の基準の資料(春から秋) 通勤靴の基準の資料(冬) (資料・支援ツール186・187ページ) 知的障害のある労働者に対する安全教育の工夫、労働者の声を聞いた事故防止のための対策 株式会社ハチカン 安全衛生教育 ■ 改善前の状況  工場内の業務では、スリップや機械等への衝突による転倒で怪我することもあり、障害を有する社員も含めて、事故予防・再発防止について理解を徹底する必要があった。 ■ 改善策 1 社内の「安全教習所」で体験型の安全教育  社内に安全教習所を設置し、指差し確認の練習、適切な安全保護具の知識の教育、機械への巻き込まれや床での滑り等の体験を行えるようにしており、毎年1回全社員が受講することとなっている。  例えば、靴底が消耗すると滑りやすくなるので新しいものと交換が必要になるが、写真付きで交換時期を解説し、実際に体験して学べるようになっている。 ○安全教習所の内部 勾配のある板で滑り度合を体験 靴底の状況によって交換するなどの解説 2 安全衛生教育の確認テストの実施  知的障害のある社員には、入社時の安全衛生教育の確認テスト等を書面で行うことが難しい場合もあることから、〇×の2択方式による口頭での確認テストを行った。また、×の場合には、なぜダメであるのかの理由を回答させることで理解度を高めた。 【確認テストの例】 Q.指差呼称は一人の場合は行わなくてもよい。 Q.熱湯を使用する作業だが、一瞬であれば通常作業用の手袋のみ着用すればよい。 3 安全面の指導体制  知的障害のある社員1人には、世話役(障害者職業生活相談員)を1名配置し、安全面、衛生面、作業面の指導をマンツーマンで行うこととした。  入社前の現場実習では、世話役だけでなく担当部署の社員に対して、特別支援学級の先生から、障害特性や個々に適した業務上の対応方法を説明してもらうこととした。 4 事故予防や再発防止対策への全員参加  安全パトロールの参加メンバーは各部署からの任命制で、障害の有無に関わらず全社員が参加できる体制を取った。障害のある社員から、例えば標識が遠くから見えないので、掲示する位置を高くしたほうがいいなどの指摘があった。  事故やヒヤリハットが発生した箇所、業務内容を基に社内ハザードマップを作成し、全社員の目に付くところに掲示した。  事故が発生した場合は、その検証や改善策の検討に本人も参加し、本人の障害特性を考慮した再発防止策を作成することとした。 ○ハザードマップ 過去に事故やヒヤリハットがあった箇所を部署ごとに示している ■ 改善後の効果  障害のある社員に関して、一度起きた事故と同様の事故の発生はなく、再発防止を図れている。障害のある社員を含め、全社員について、どのような状況が事故に繋がりやすいかの理解度が高まり、事故予防・再発防止に繋がっている。 「生活リズムの整え方」「体調の管理方法」などのフォロー研修の実施 株式会社ヤオコー 安全衛生教育 ■ 改善前の状況  障害のある社員が各店舗に点在しており、店長・副店長が管理を行っているが、管理者の異動が頻繁であることから、その都度新たな管理者と信頼関係を構築し直す必要があった。管理者の異動後、不調を訴えにくくなり、一人で抱え込み休みがちとなる者もいた。 ■ 改善策 @本社人事総務部に、以下のような体制を築き、全店舗に対しフォローを行う体制を整えた。 ・障害者雇用を含むダイバーシティ担当社員を2名配置。 ・障害者雇用担当選任社員を1名配置。 ・常駐の保健師を配置し、仕事の切り出し等についていつでも相談し意見を聞くことができるようにした。 A人事総務部担当者は、定期的に店舗を巡回し、障害のある社員との面談を実施。社員の振り返りの上で、必要な事項を店舗担当者に申し送ることとした。 B障害のある社員全員を対象とし、「生活リズムの整え方」「体調の管理方法」などのテーマでフォロー研修を年1回実施。社員自身が日常的に健康管理を行えるよう教育した。 C各店舗の勤務状況を月3回チェックし、休みが多い障害のある社員の店舗へ連絡。社内外の支援者、家族の同席の下支援会議を行い、体調、生活リズムを確認の上、休みがちになる原因と対策を検討することとした。 D全店舗の店長・副店長を対象に、障害者雇用についての研修を実施した。 副店長研修の資料より ■ 改善後の効果  人事総務部からのフォロー体制が整ったことにより、各店舗から困った時にはすぐ相談できるため安心できるとの声が挙がった。管理者の異動間もない時期に、人事総務部が間に入ってサポートするため、管理者・障害のある社員双方にとって精神的負担が軽減できた。 労働者がセルフケアに取り組むことができるようになるための研修の実施 シダックスオフィスパートナー株式会社 安全衛生教育 ■ 改善前の状況 @全体の80%の割合を占める精神障害のある社員の心の健康には、不安の蓄積を回避し、やりがいとモチベーションの維持・向上につながるキャリア形成の仕組みづくりが重要と考えられた。 A従来行われていた集合研修では、居眠りやただ参加しているだけといった態度の社員が目立ち、研修の進め方そのものを検討する必要性があった。 B効果的な研修を行うためには、支援員のより一層のスキルアップも求められた。 ■ 改善策 1 セルフケアに関する研修(グループワーク)の実施  キャリア推進室が中心となり年間スケジュールを決め、セルフケア以外の研修を含めた各種研修を月1回実施するように計画した(資料@:セルフケア方法構築の進め方、資料A:事前配布資料、資料B:研修・グループワーク資料)。  なお、研修においては、社員の理解力などにより、補足が必要と感じる場合は、追加説明することなどの配慮を行っている。 資料@セルフケア方法構築の進め方 資料A事前配布資料 資料B研修・グループワーク資料 (資料・支援ツール188〜190ページ) グループワークの様子 <セルフケアに関する研修内容の例> ○ストレスコーピング(ストレスにうまく対処すること) ○アサーション(自分と相手双方を大切にするコミュニケーションスキル) ○アンガーコントロール(怒りを上手にコントロールして適切に対処すること)  これらの研修は、必要に応じ複数回実施。 2 アクティブラーニング(能動的な学習)の導入  グループワークを行い、グループで解決しながら実践的に身につけるようにした。  シダックスオフィスパートナー株式会社の研修において導入している(資料C:アクティブラーニング)。 資料Cアクティブラーニング (資料・支援ツール191〜193ページ) <円滑に進めるための工夫> ○個人によって経験値や理解度によって差があるが、同じレベルでのスタッフを1つのグループにするのではなく、あえて分散させるようにする。また、理解できるまでに時間がかかる社員に対しては周りの社員がサポートをする体制をとる。 ○グループワークの役割(司会、書記、タイムキーパー、発表)は一人一役とし、全員に参加意識をもってもらう。 ○グループワークを始める前に参加者全員に対して、グループワークでは、相手の意見は否定しない、必ず1回は発言するなど基本ルールを説明する。 <理解度を高めるための工夫> ○テーマによっては、模範解答を予め用意しておき、最後に補足として説明をする。 ○グループワークの進め方に慣れており、内容についても理解できている社員(グループリーダー・リーダー・トレーナー・グループリーダー補佐など)が、その都度必要に応じサポートをする体制をとる。特に知的障害のある社員、発達障害の傾向のある社員にとって難しく感じるテーマの場合は、グループリーダーがフォローをするようにしている。なお、効果を持続させるため、研修の翌月は実施した研修のテーマを社員の目標に設定する。 ・研修後に必ずアンケートを取り、その内容によりグループリーダーが後日研修参加者に対して補足をする。 3 支援員のスキルアップ  職場の中で支援員となる社員は、研修内容以外にも、日頃から他の障害のある社員に必要事項を伝えることや、障害のある社員からの質問に答えることが重要である。伝え方によっては、相手の受け止め方も異なるため、支援員となる社員が伝え方のスキル、特にカウンセリング・コーチング・ティーチング・リフレーミング等を身につけることができるようになるための研修を行った。  さらに、研修で習得したスキルの活用を促進するため、「サポートスキル活用事例報告書」(資料D)を義務化した。 資料Dサポートスキル活用事例報告書 (資料・支援ツール194ページ) ■ 改善後の効果 1 セルフケア研修の実施 ・自らセルフケアに取り組むことで、適応的思考(より現実的でバランスの取れた考え方)を取り入れる社員が多くなり、メンタルヘルス不調者も減少傾向になった。 ・社員同士の関係が円滑になり、時々発生していた社員同士の“いざこざ”がほぼ無くなった。他者のことを理解していくことで、自身のこころの健康増進にもつながっている。 ・グループリーダーが年間の研修スケジュールを立てていくようにしているが、職場の中で社員が身につけた方がよいことを挙げながらスケジュールを考えることで、自身だけではなく、社員の心の健康も考えていくといった経験を積むことができるようになった。 2 アクティブラーニングの導入 ・日頃交流のない社員と幅広くコミュニケーションをとることで、皆で協力し合いながら意見をまとめる力を身につけることができるようになった。 ・他者との相互理解が進み、対人関係がより円滑になることで、メンタルヘルス不調のある社員のメンタル面の課題も軽減され、健康増進につながった。 ・参加者の真剣さが増し、より多くの学びを生み出すことで、自身の課題の理解と次の目標を見つけることができるようになった。 ・知的障害のある社員は、精神障害のある社員を手本として意見交換ができるようになるなど著しい成長が見られた。 ・研修における自身の発表や意見交換を楽しみにしている社員も増えてきた。 3 支援員のスキルアップ  支援員のスキルアップにより、社員にとって以下のような効果が表れている。 1.セルフケアが理解でき、悩んだ時の改善のための選択肢が多くなった。 2.複数の人との会話が苦手な社員が自分の意見を言えるようになった。 3.自分自身の強み・弱みを理解できるようになり、目標設定が明確になってきた。 4.目標を持つことにより自身のキャリアアップが現実化してきた。(正社員登用等) 5.経験豊富な社員の意見や体験を知る機会ができ問題解決の幅が広がった。 6.会社や同僚との相互理解が進み対人関係がより円滑になった。 7.働き続ける力を身につけるための基礎知識やヒューマンスキル等、向上の必要性を感じ自分に合ったキャリア形成に関心が高まっている。  以上の取組の結果、社員は「やりがい」を感じ、支援員による「モチベーションの維持・向上」に焦点を当てた取組は、職場定着率を向上させている。 ■ 社員の声 吉田 稔さん  「以前は職場の中でコミュニケーションをとることが少なかったのですが、グループワークを通じて他の人とコミュニケーションを取ることができるようになり、発信力も身についてきました。また、『適応思考を身につける』の内容では、自身の考え方の癖を知り、よりよい人間関係を作る上で、また物事の考え方において役に立ちました。これらは、スムーズな判断やスタッフ同士で仕事を決めるなど日頃の業務にも役立っています。今後は自分の経験したことを活かし、ピアサポーター的なことをして他の方や会社のために役に立ちたいと思っています。」 宮本 夏美さん  「初めての就職であったので、いろいろなことを一から覚えていくことにプレッシャーや不安がありました。最初は、緊張すると言葉が出ず、例えば自分の仕事が終わったら、隣の人に『手伝うことはありますか?』ということを聞きたくても声が出せないことがありました。しかし、グループワークを通じて少しずつ変わっていき、今では皆と相談しながらチームで仕事を進めることができるようになりました。」 Tさん  「グループワークでは、参加者それぞれに、司会、書記、タイムキーパー、発表という4つの役割が与えられています。これらの役割は社会生活においても大事だと思います。グループワークの中では、自分の意見を言っていいものかと悩み、自分の気持ちを肯定できずにいましたが、人それぞれ気持ちや意見は違うということを受け入れられるようになりました。言葉にすることの大切さを感じています。年齢的なこともあり、働くことはできないと思っていましたが、この会社に入社し働く機会が与えられたことはとても良かったと思っています。相手の話をくみ取ることなど苦手なところはありますが、今後も自分の気持ちを周りの人に伝えることができるようになりたいと考えています。」 労働者が健康を維持し、安定した生活を送れるようにするための研修の実施 シダックスオフィスパートナー株式会社 安全衛生教育 ■ 改善前の状況  障害のある社員の中には、睡眠、運動、栄養、休養などのバランスや生活リズムが整わない社員、インドアになりがちな生活習慣や週末の過ごし方に問題がある社員もおり、それらの社員は体力不足となって仕事にも影響を与えることがあった。 ■ 改善策 @健康・衛生面に関する研修の実施 <研修内容の例> ○感染症に関する研修 もともと給食事業を行っていることから、感染症対策を重視し、@手洗いの徹底、A出社時の体調の記録、体調不良時は出勤しないことを研修で指導している。 ○食生活に関する研修 食生活が乱れがちになる社員もいる。働く習慣、生活習慣の良好な維持のため、食事の摂り方、食事バランス研修を実施している。 食生活に関する研修資料(資料・支援ツール195〜198ページ) A体調チェック・健康面の相談  毎日の体調チェックにより、体調がすぐれない社員、普段と様子が違う社員などがいる場合は、本人には自分のペースで仕事をしてもらうようにして、周囲がカバーできるように業務調整などを行い、当日の業務の進め方について、朝礼の場で出勤者に周知した。  なお、体調チェックなどを踏まえた健康面に関する相談については、随時個別相談の場で実施している。 朝礼 個別面談 B安全面の取組  事業所内では、危険な物などはないが重量物の運搬はある。体の使い方や作業姿勢が分からない社員もいるため、リーダーが手本を見せて安全に対応できるようにした。 Cその他  健康診断の結果により、外部機関による健康指導を個別に実施している。 ■ 改善後の効果 ・感染症対策の研修は、新型コロナウイルス感染症への対策にも役立った。 ・社員が食生活について、より意識することができるようになっている。 ・体調チェックにより体調がすぐれない社員に対しては、皆でカバーするなどの業務内容などの調整を行える体制ができたことで、障害のある社員が安心して業務に従事できるようになった。 ■ 社員の声 吉田 稔さん  「この会社に入ってよかったことは、良い出会いがあったことだと思います。周りの社員が仕事に対してとても真摯に取り組んでおり、上司の方々からも配慮や理解、時には注意・アドバイスをいただきます。また、毎朝の体調チェックでは、その日の体調によって業務の調整をしていただけるのでありがたいと感じています。このように自分や会社が成長していくにあたって、とても良い環境を作っていただいていると思っています。」 宮本 夏美さん  「重い物を持つことが苦手ですが、他の社員が代わりに運んでくれるようになっているなど、皆が自分のことを分かってくれるので安心しています。コロナの影響で出勤日が少なくなった時期は、家でヨガなどを行い体を動かすようにしていました。今は健康な状態を維持して仕事ができているので、今後は他の社員にも教えられるように、日頃の仕事を一つひとつ丁寧にやっていきたいと思います。」 Tさん  「健康診断の結果を踏まえ、外部の健康指導の担当者へ夕食の写真を撮って送り、指導を受けることになりましたが、これは自身の食生活を見直す上でとてもよかったと思っています。」 障害のある労働者のためのクレーン運転資格などの取得に向けた支援 株式会社キトー 安全衛生教育 ■ 改善前の状況  クレーン運転、玉掛け作業、フォークリフト運転などに関する資格を必要とする作業が多いが、これまでは、安全面に配慮し障害のある社員が資格の必要な作業を担当することは避けていた。しかし、職域拡大の観点と、障害のある社員からの資格取得の希望があることから、安全面を考慮しながら資格取得を進める必要があった。 ■ 改善策  人事担当、所属長、安全衛生担当者が連携し、クレーンやフォークリフトの資格取得に向け社内の独自基準を設け、一定期間をかけて「適性確認シート」での評価を行い、適性などを十分に評価した上で外部の講習に参加させることとした。安全面には十分に配慮し、本人が希望しても客観的にリスクが高いと思われる場合には個別に相談するなどの対応を取っている。  講習参加の際には、実施者と調整し、UDトークとマイクの持ち込み、手話通訳の配置など、障害に応じた配慮を得られるようにしている。  なお、資格によっては自社内で講習を行うことが可能であるが、どのような環境でも力を発揮できることを目指し、あえて外部講習を受講することとしている。  聴覚障害のある社員の受講に際しては、講習実施機関の許可を得て、会社がタブレット、専用マイクを持参し、UDトークを使用して受講した。 資格取得に向けた外部講習の受講場面 ■ 改善後の効果  令和2年4月末までに6名がクレーン・玉掛け資格を取得済みで、2名が適性を確認中。  資格取得者の希望等も確認しながら、安全第一で資格を活かした業務に配置している。その際にはそれぞれの障害状況に十分な配慮をすることにより、本人は安心して仕事に取り組むことができ、職域拡大にもつながっている。  「適性確認シート」を活用した評価方法は社内の制度として位置づけ、社内の経験を踏まえオリジナルに基準を設け、客観的で公平な運用としている。 ■ 社員の声 山本 敏明さん  「資格の取得にチャレンジできることは、モチベーションのアップにもつながりました。外部講習の受講にあたり、講師の口話の読み取りだけでは不安でしたが、UDトークを利用することにより得られる情報量が増えたと思います。技能講習などは大変でしたが、無事に資格を取得することができ、安全に気を付けて業務で利用しています。」 視覚障害のある労働者が安全に移動するための進行方向を示すライトの設置 株式会社ニッセイ・ニュークリエーション 労働災害防止対策 ■ 改善前の状況  視力の制約により片側の視力だけで物を見ている社員は、遠近感が分からず、社内を歩いて移動する際に不安があった。 ■ 改善策  進行方向や通路が交わる箇所が分かるようにライトを設置した。また、まぶしさを低減しつつも明るさを確保できるような照明器具を選定した。 天井のライティング 通路が交わる箇所はライトを十字に配置 ■ 改善後の効果  進行方向や遠近感が分かりやすくなり、安全に通行できるようになった。 ■ 社員の声 芝 巨樹さん  「通路が交わるところなど、遠近感が分かりやすくなり、より安心して安全に通行できるようになりました。館内の明るさが均一で、まぶしさも抑えられているため、目に優しく、勤務時間中に違和感を感じることがなくなりました。」 視覚障害のある労働者が安全に移動するための床面の配色の配慮 株式会社ニッセイ・ニュークリエーション 労働災害防止対策 ■ 改善前の状況  視覚や視野の制約のため、床と壁の境目がはっきりせず、広さや遠近感がつかめずにつまずきそうになることがあった。 ■ 改善策  床面のカーペットを白と黒の反対色で貼り分けた。 廊下全体 カーペットの色分け部分の拡大 ■ 改善後の効果  床と壁の境目がはっきりし、安全に通行できるようになった。また、廊下の広さや大きさが分かり、遠近感が分かりやすくなった。 ■ 社員の声 間嶋 直樹さん  「廊下と壁の境目が白と黒の反対色ではっきり色分けされ、動線に沿ったラインになっているので、安心して通行することができます。」 視覚障害のある労働者の通路確保のためのカーペットの配色の配慮 ポラスシェアード株式会社 労働災害防止対策 ■ 改善前の状況  視覚障害のある社員は視野が狭いため、足元の荷物や椅子が出ていることに気づかず、危ない場合があるため、以前は黄色いテープを使って通路を確保していたが、事務所移転に伴い、何らかの対応が必要となった。 ■ 改善策  新事務所の内装業者の協力を仰ぎ、通路と通路以外の部分をコントラストがはっきりした色のカーペットで貼り分けることとした。その際、カーペットの色のサンプルを視覚障害のある社員に見てもらい選定した。 新事務所内の通路の確保 ■ 改善後の効果  通路が一目瞭然でわかるようになっただけでなく、椅子の脚をはみ出さない、荷物を通路に置かないなど、障害の有無に関わらずすべての社員が相互に配慮するようになるなど、意識改善が図られた。事務所内でのヒヤリ事案は0件である。 聴覚障害のある労働者のための光学的サインやライトの活用 株式会社キトー 労働災害防止対策 ■ 改善前の状況 @工場内では、自動で資材等を搬送する無人搬送装置やフォークリフトが使用されており、搬送装置は音で接近を知らせるが、聴覚障害のある社員には伝わらないことがあった。また、フォークリフトについても、バック時に運転者が後方確認を怠ると、衝突するのではと不安を感じることがあった。 A組立ラインでは、部品不足やミス発生時などには組立担当者が呼び出しボタンを押すと、品揃え担当者にパトライトと音で知らされる。しかし、聴覚障害のある社員の場合には、組立担当者側に背を向けているなどにより気づかれない場合があった。 ■ 改善策 @搬送装置本体にライトをつけ、進行方向の床面に進行方向を矢印で投影できるようにするとともに、フォークリフトについてもバック時に矢印の投影ができるように同様の改修を行った。 A組立ラインについては、既存のライトに加え、新たに天井や壁面3か所にライトを設置し、どの場所からでも気づけるようにした。 搬送装置のライトから床面に進行方向を矢印で投影 フォークリフトのバック時に矢印を投影 天井に新たに設置したライト 点灯したライト ■ 改善後の効果 @視覚的に搬送装置などの接近が分かり、聴覚障害のある社員だけでなく社員全体の危険回避・安全確保につながっている。また、社員だけでなく、初めて工場に入る来客者の安全確保にも有効であった。 A組立ラインではライトの点滅により呼び出しに気づかないようなことはなくなった。 通路のミラーの設置やコミュニケーション機器の活用などにより聴覚障がいのある労働者に対する安全面の配慮を実施 ウシオ電機株式会社 労働災害防止対策 ■ 改善前の状況  聴覚障がいのある社員を多数雇用しているため、全社員が聴覚障がいについて理解を深め、職場内のコミュニケーションを充実させながら、聴覚障がいのある社員が安心・安全に働くことができる職場作りを考えていく必要があった。 ■ 改善策  「障がい者雇用分科会」の活動の一環として、障がいのある社員の声を反映させながら以下の取組を実施。 <安全面に関する改善例> 〇ミラーの設置 聴覚障がいのある社員からの「見通しがわるい階段を降りたり昇ったりする際に、足音に気づかず、ぶつかりそうになることが多い」という声を踏まえ、通路にミラーを設置しヒヤリ・ハットを解消。 〇筆談ボードの活用 聴覚障がいのある社員に配付し、筆談で会話できるようにしている。 聴覚障がいのある社員の自席及び受付や食堂などの共用スペースに設置 〇手話勉強会 社内にて手話勉強会を実施。コロナ禍の状況によりリモート参加もできるようにした。  手話勉強会では、新型コロナ感染防止対策のためマスク着用であるが、通常のマスクは口の動きや表情を読みとる聴覚障がいのある社員にとって大きな壁となっている状況を受け、周囲の社員は「透明マスク」の着用を行うなどの配慮を行っている。 〇聴覚障がいについての相互理解  社内勉強会の開催(2019年2月障がい者雇用分科会セミナー)  社内機関誌を使って情報共有 音の色(2019年6月〜開始): 聴覚障がいについて理解を深める為のコラム。聴覚障がいのある社員が記事を作成している。 〇個別相談 入社後1年間は聴覚障がいのある社員との定期相談を実施することを基本とし、安全衛生や仕事に関することなど、社員が気軽に相談できるような雰囲気作りに取り組んでいる。 ■ 改善後の効果  聴覚障がいのある社員に対して、設備改善、コミュニケーションの充実、聴覚障がいに関する社内相互理解等の取組を行うことで、安全な職場作りができるようになり、社員の安全意識も高まった。  また、これらの取組によって「相談できる相手がいない」「周囲に理解者がいない」といった問題を抱える社員は大幅に減少し、“自分のことを見てくれている”と安心感を持つことにつながるなど、社員のメンタル面の安定にも効果が見られている。  このように聴覚障がいのある社員にとって安心・安全な職場作りができつつあるが、障がい特性は一人ひとり異なるので、今後も関係機関と連携しながら、社員の特徴や状況に合った取組を検討、実施していく。 ■ 社員の声 NSさん  「製品の組み立て工程でチーフをしています。私を含め周囲には聞こえが不自由な仲間もおり、健聴者とともに勤務しています。職場は安全第一で、日頃から危険箇所は事前に確認し、朝礼では『ご安全に』を合言葉に安全への意識を高めています。昨年の聴覚特別支援学校の就業体験の受入は、コロナ禍ということもあり、マスクは透明マスクを使用して、感染予防に努めました。日頃から『やりがい』『達成感』を感じてもらえるよう経験談を交えて指導をしており、何でも相談できる雰囲気づくりを日々心がけています。」 左手の機能の低下が見られる労働者が安心・安全に作業を行うために自動機を改良した取組 オムロン太陽株式会社 労働災害防止対策 ■ 改善前の状況 ・両下肢障害のあるAさん(50代)は、電子部品の製造現場で自動機を使用して組立作業に従事しており、両手を使って操作する自動機を使用することで問題なく作業を行ってきたが、以前と比較して完成品の数が少なくなってきたことに周囲の社員が気づいた。 ・職場の管理者がAさんにヒアリングを行ったところ、元々脳性まひにより左半身の機能制限があったが、加齢により左手の筋力が低下し、自動機のボタンを両手で押す工程で左手を使ってボタンを押すことが難しく、作業スピードが低下していることが判明した。 ・Aさんは、「長年従事してきた組立作業の担当者を変更されるのではないか」という不安を感じており、早急に業務の見直しを検討する必要があった。 ■ 改善策 ・Aさんの左手の機能低下を補うため、これまで両手で操作する必要のあった自動機を改良し、左手は一切使わず右手指を添えるだけでスイッチが入り組立ができるようにした。 ・作業時の安全確保のため、簡単にスイッチが入るものの、2本の指(右手の人差し指と中指)を必ず添えなければスイッチが機能しない仕組みとした。 ・なお、障害のない社員が同じ自動機を操作する際は、安全のため管理者に報告してスイッチを押してモードを切り替えることで、従来通り両手で動かせるようにした。 自動機を改良する前の組立作業 自動機を改良した後の組立作業 ■ 改善後の効果 ・右手のみを使ってあまり力を使わず自動機を扱えるようになり、Aさんの負担が大幅に解消されたことに加え、今後も組立作業に長く従事できる可能性が高まった。このことから、Aさんの就労継続に対する不安を取り除くことができた。 ・障害のない社員もモードを切り替えることでこれまで通り両手で自動機を操作できるため、生産性を確保することができた。 ・右手の2本の指を置かなければスイッチが機能しない仕組みは大変安全であり、今後の改善にも大いに流用できるアイディアとなった。 指さし確認を徹底するための工夫を行い、転倒事故防止 NSハートフルサービス関西株式会社和歌山事業所 労働災害防止対策 ■ 改善前の状況  2016年に休憩拠点の出入口の段差で社員が足首をひねる事故が発生し、再発予防のために指さし確認を指示したが中途半端であった。中途半端な取組となっている要因を洗い出すと、以下の状況があることがわかった。 @指示はしても具体的な方法を指導しておらず、障害のある社員の的確な指さし確認ができていなかった。 A作業場周辺の地面が舗装されておらず、通路のゴムベルトに継ぎ目があるなど、凹凸が多い。また、鉄柱で頭部を打撲する危険性もあった。 B事務所から作業場、休憩室への移動の際、大型トラック等が往来する道路を通る必要があった。 ■ 改善策  2019年に上記の反省を踏まえ、指さし確認喚呼を職場の柱として位置付けることにした。 @どこで指さし確認をすればよいかわかりやすいよう、写真による見える化を図り、指定の場所で一時停止し、指さしと同時に、「右よし左よし足元よし」の確認喚呼を行うことにした。(図1 路上での一旦停止、指さし確認を示す標識、図2 指さし確認の「見える化」) A月後半に、課長以下の全員で当該月の安全取組について、本人からの申告、周囲の評価で何人が取り組んでいたかを確認。結果を集約の上、改善が見られない所については翌月に活かすことにした。 B事務所入り口にゴムマットを敷く、滑り止め付きのスロープ設置、段差・隙間を埋めるコンクリート舗装を施工し通路を平滑化する、階段に滑り止め塗料を塗布することにより、転倒の予防策を講じた。 C事務所・育苗ハウス等へ出入りする際に車両通行の道路を通らなくて済むよう、専用道路を整備した。 D両手に荷物を持たないなど、安全上の留意事項を明記した写真入り作業手順書を要所に掲示し、「見える化」を図った。重量物は、一人で持つ基準重量(25s)を決めており、二人で持つようにとの指示もしている。 E月1回の安全教育を実施。 Fヒヤリ事例が出る度に経緯の報告、対策を社員全体で検討することにしている。ヒヤリハットではなく危機感を持つため「ヒヤリ事故」と呼称し月あたりの件数を把握。構内の類似事故事例について検討し、安全について情報共有している。 GKY活動を行い、対策を決め目標を立てて社員それぞれが実践している。 図1 路上での一旦停止、指さし確認を示す標識 図2 指さし確認の「見える化」(資料・支援ツール199ページ) ■ 改善後の効果 ・大きな声、大きな動作で指さし確認が行えるようになるなど安全への取組意識が向上した。 ・改善前の負傷事故の後、4年間無災害が継続している。 ・危険な箇所、道路を通らなくなったので、事故に遭う確率が大いに下がった。 ・腰痛の訴えがなくなった。 ・危険予知を全員が認識できるようになった。 製品のあるなしが一目でわかるように改善「くるりんぱ」 株式会社キョウセイ 労働災害防止対策 ■ 改善前の状況  塗装品置き場に製品があるかないかを置き場までいかないと確認できなかった。距離にして毎日800m歩き、そのうち250mは製品がなく確認のためだけに歩行していた。 改善前の置き場 ■ 改善策  塗装製品の有無がわかる表示を作り、置き場に立てかけた。  表示はワンタッチで入れ替わるように改善し、前工程の人が持ってきたときに裏返す(「くるりんぱ」をする)ことで、置き場から離れたところからでもすぐにわかるようになった。 改善後の置き場 くるりんぱ ■ 改善後の効果 @ムダな歩行(250m→0m)がなくなった。 A製品の有無が一目でわかるようになり、各自が自発的に取りに行けるようになった。 ドリルの刃を安全に取りやすくするための改善「ドリルとれるんで」 株式会社キョウセイ 労働災害防止対策 ■ 改善前の状況  ドリルの刃は箱にまとめて入れておき、使用するときに作業場所に持っていくこととしていたが、@使える刃も使えない刃も一緒に入れているので、どれが使えるのかがわからない、A誰かがドリルの刃を使用するために持ち出しているのかどうかがわからない、といった課題があった。 改善前のドリルの刃の保管の状況 ■ 改善策  障害のある社員自らが行う改善活動「みどりの活動」を通じて改善策を検討した。  【第一段階】使えるドリルの刃だけを、大きさ順に台の上に並べて置くこととした。また、社員の写真を掲示し、ドリルの刃を使用中の者の写真には赤い印をつけられるようにした。  【第二段階】上記の改善後、軍手のままではドリルの刃が取りにくいという問題点もあったことから、これを改善するため、筒状の容器を使ってドリルの刃をななめに立てて収納できるようにした。(「ドリルとれるんで」) 改善後のドリルの刃の保管(第一段階) 改善後のドリルの刃の保管(第二段階) ■ 改善後の効果 @使用したいドリルの刃を、安全に、すぐに取り出せるようになった。 Aドリルの刃が持ち出しされているのか、誰が使用中なのかが一目でわかるようになった。 ヒヤリマップの使用による通勤時の安全確保 ポラスシェアード株式会社 労働災害防止対策 ■ 改善前の状況  事務所の移転により、最寄駅からの経路がわかりにくくなり、不安が大きくなった。 ■ 改善策 1 危ない箇所の洗い出し  所要時間や安全な通勤経路、危険なポイントを洗い出すため、歩いて確認することとした。確認作業は、障害のある社員をグループに分け、グループごとに時間や曜日を変えて、就業時間内に業務管理者が同行して行った。 2 ヒヤリマップの作成  洗い出し作業に当たって、KYTトレーナー(危険予知活動トレーナー)が事前に安全と推測した経路3パターンを選定した。また、グループごとに、選定された経路の地図を携帯し、歩きながら確認を行った。様々な障害のある社員の視点で「ヒヤリ」「ハット」した箇所を洗い出し、その危険を回避するための具体策も含めて検討したものを9グループ分まとめて、一つのヒヤリマップを作成した。作成後は、全ての社員に公開した。 最寄駅から事務所までの通勤ヒヤリマップ ■ 改善後の効果 ・全ての社員が安心して通勤できるようになった。 ・通勤時の交通事故・災害は0件を継続している。 自転車運用基準書の制定や講習会の実施による自転車利用時の安全確保 ポラスシェアード株式会社 労働災害防止対策 ■ 改善前の状況  業務の都合で親会社本社に移動する際は徒歩だったが、事務所の移転を機に、会社で自転車を購入し、自転車での移動に変えることとした。しかし、自転車事故の不安があった。 ■ 改善策 1 自転車運用基準書の制定  KYT(危険予知活動トレーナー)が中心となり自転車運用基準書を制定し、業務上乗車する可能性のある社員の選定、経路の選定、乗車時マナー、事故対応などのルールを決めた。 2 自転車乗車講習会の実施  自転車に乗車の可能性がある社員のために「事前運転講習会」を開催し、交通法規などの座学、乗車前車両点検の実技訓練を行った。この講習の受講修了者だけが業務上、自転車を利用することができるようにした。 3 目的地までのルートの確定  地図上は1本の道路でも、自転車の場合は車道走行か、歩道を走行してよいのか、歩道の場合は車道に対してどちら側を走行すべきかなど、知的障害・発達障害のある社員の場合は判断しにくいこともあるので、ポイントごとに往復の景色の見え方に配慮した写真を撮り、ルートマップに落とし込むことで、判断を容易にし、迷わないようにした。 親会社本社までの写真付きルートマップ 行きの風景(ルートマップのA) 帰りの風景(ルートマップのI) ■ 改善後の効果 ・親会社への移動時の交通事故・災害0件を継続している。 ・写真付きマップ作成前は道に迷う者もいたが、作成後は0人となった。 職場の安全のために労働者の精神面の安定を重視した取組 医療法人社団知己会 龍岡ケアセンター 労働災害防止対策 ■ 改善前の状況  高齢者施設において、社内で安全衛生活動を行うにあたり、障害のある社員にどのように伝えて理解してもらうかのノウハウがなかった。また、障害のある社員においては、体調不良になっても本人からの申し出がなかったり、個々の精神面の状態の見極めが難しい場合もあった。  このような中で、社員の良好な健康状態を維持しながら、社内の安全面の対策について検討していくことが必要であった。 ■ 改善策 〇安全衛生委員会 職場における労働災害を防止し、職場の安全を確立していくために法人全体の取組として以下のことを確認した。 →職場の安全のためには、社員それぞれが集中力を維持していくことが必要である。 →集中力を維持していくためには、精神面の安定、良好な健康状態を保持することが必要である。 →精神面の安定、良好な健康状態を保持するためには、社員同士が積極的にコミュニケーションをとりあうことが重要である。 〇積極的な声かけや観察・社員同士のコミュニケーション ・周囲から障害のある社員に対して積極的に声かけを行い、体調確認や仕事の進め方等について確認を行うようにした。 ・仕事に関する指導を行う場合は、障害のある社員の1日の業務の流れを観察し、本人の視点に立った危険予知を取り入れながら行った。なお、指導にあたっては、障害のある社員1人に対して1人の指導担当者を決め、コミュニケーションを取りながら対応するようにした。また、避難訓練や防災、感染症に関する講習などにおいても、障害のある社員が理解できるように指導担当者がサポートを行うなどの配慮を行った。 ・社員が調理場で包丁を使う場合、安全な包丁の使用方法の指導だけではなく、本人が集中力を維持できる状態にあるか、精神面や健康面に問題はないかということが重要であることに注目して本人の状況を確認した。 〇健康面・衛生面の配慮 ・個々の特性に応じて、ストレスチェックの際は質問項目が理解できるよう、指導担当者等が質問項目を一問ずつ説明するなどの配慮を行ったほか、本人の同意を得た上で個々の受診状況について産業医を交えて社内で共有した。 ・体調不良となった場合に休職しやすくするため、就業規則において休職に関する規程を改定し、個々の健康状態により、復職計画を立てやすくした。 ■ 改善後の効果 〇企業全体への効果 ・指導担当者等自らの、積極的な声かけやコミュニケーションを取ろうとする意識が高まった。 ・職場全体が自分自身だけではなく、他の社員の健康にも気を配ることができるようになったり、障害のある社員の視点に立って安全面を考えることができるようになった。 ・清掃道具を壊れるまで使い続けてしまう社員に対しては、その都度手本を見せながら改善のための指導を行うとともに、事故を未然に防止するため周囲の社員が道具を毎日点検し、破損の恐れのある道具は早急に交換するなどの対処を行った。 〇障害のある社員への効果 ・職場内でコミュニケーションが図られることで、障害のある社員も安心して仕事に取り組むことができるようになった。  以上のように皆が積極的に声をかけ合ったり、コミュニケーションを充実させることで、事故や怪我を未然に防ぎ、障害のある社員自身も安心して仕事に取り組むことができるようになるなど、企業全体で安全衛生の意識を高めることにつながった。  また、これらは、技能実習生や外国籍の社員などに対する効果的な指導にも相乗効果として表れている。 ■ 社員の声 Aさん(清掃担当) 「安全面で気を付けていることは、入居者にぶつからないようにすることや、清掃のため居室に入るときには、『失礼します・掃除に入ります』とあいさつしたり、入居者に声をかけたりしています。また、道具の整理整頓を心がけたり、居室内に人が多いときは掃き掃除のみにするようにしています。滑って事故が起きないように、モップを絞っても湿っていたらまた絞るようにして事故が起きないように心がけています。」 伊藤 浩士さん(清掃担当) 「安全面で気を付けていることは、入居者にぶつからないようにすることや、床が濡れているのを見つけたら、入居者が滑って怪我をしてはいけないので、すぐに拭くようにしています。健康面では不安はありません。今後も食事のバランスに気を付けて健康を維持したいです。また、仕事のキリのよいところで休憩するなど、自分で休憩をとるタイミングを工夫しています。」 ■ 担当者の声  「障害者の雇用を安定させるためには、今後も障害のある社員への支援を充実することが必要ですが、一方で、現場の指導担当者自身にストレスがたまらないように、あるいは障害のある社員への指導を安全に行ってもらえるように、定期的に現場の指導担当者の話を聞くことも必要と感じています。」 事務局長 中山 雅靖さん 障害者職業生活相談員 長谷 正行さん 障害特性に対応した独自のリスクアセスメントの実施 オムロン太陽株式会社 労働災害防止対策 ■ 改善前の状況 ・生産工場の現場では、知的障害、聴覚障害、肢体不自由等の様々な障害のある社員が勤務しており、製造工程ごとの潜在的な危険有害要因を見つけだすことが難しかった。 ・障害のある社員が働く工場として、健常者に比べてリスクの可能性が大きくなる労働災害は徹底的に防止する必要があった。 ■ 改善策 1 労働安全衛生に関する国際規格を導入 ・小規模事業所でありながら、国際規格の労働安全衛生システム(現 ISO45001)を導入することで、労働災害の防止を徹底した。また、事業所として「誰もが労働災害によって身体的機能を失うことがない職場づくり」に向けての方針を明確にした。 2 独自のリスクアセスメントの実施で危険有害要因を排除 ・国際規格の導入に合わせてリスクアセスメントを実施し、社内から危険有害要因を排除する運動を推し進めてきた。 ・リスクアセスメントを実施するに当たっては、以下の「リスクアセスメント手順」のように定常・非定常活動や職場内について、リスクアセッサー(評価者)が危険源を特定したのち、リスクアセスメントを実施(どの程度の被害を及ぼすかを見積もり)。その大きさなどからランクを付け、最終的に全体を見て優先度を付けて高い順に職場で改善していく。 ●リスクアセスメントの手順 @調査指示またはヒヤリハット「中傷以上」時、アセスメント開始。 A危険源の特定(情報収集など)実施。 Bリスクアセスメント実施(ハンディを考慮) Cリスクレベルを考慮し是正計画および是正実施。 Dリスク結果について管理。 ・リスクアセスメントの実施に当たっては、歩行時、休憩時などにも目を向けること、車いす、補助具使用の事故割合の評価を取り入れる、同じリスクでも障害のある社員にとってより重くなる場合にはランクを高くするなど、事業所に適した評価ができるように工夫・改善したリスクアセスメントを導入している。 ・リスクアセスメントの実施後は安全パトロールなど定期的に職場環境を点検し、必要に応じて留意事項を掲示して社内で情報共有を行っている。 ・ヒヤリハット制度を活用。一人1件/年を目標として報告書を提出している。目標を持つことで、埋もれがちなヒヤリハットを表に出し、危険と思われるもの、危険と感じた行動などまで目を向け、洗い出している。ヒヤリハット報告書には、簡易なリスクアセスメントの記録もされている。 ■ 改善後の効果 @リスクアセスメントに基づき職場を点検したところ、高リスクを相当数発見することができた。その後、危険有害要因の排除のための活動を続けたことにより、年々危険度のランクの高いものが減り、職場環境改善に大きな成果を上げている。 A危険有害要因の排除のための運動は、労働災害撲滅にもつながり、現在まで無災害日数を更新し続けている。 Bヒヤリハット報告書のおかげで、見落としがちな不安全箇所、不安全作業の是正を行えた。 C災害要因の削除、軽減により安心・安全に業務できる環境が広がり、品質の安定に一役買うことができた。 ■ 担当者の声 阿部さん(経営企画部経営管理グループ)  「OHSAS18001取得時には事務局を担当し、昨年度よりISO45001 をあらためて担当しております。連続無災害日数は、ISO18001取得時がスタートとなっています。それ以降十数年間、休業を伴う災害は発生していません。これは、一部のスタッフの活躍や偶然ではなく、社長から現場社員(派遣社員、構内委託業者も含む)全員参加による活動の成果です。」 荷物用昇降機の開閉口に手を挟まないように、助成金を活用して設備を改善 株式会社エムツープレスト 労働災害防止対策 ■ 改善前の状況  職場内で1階と2階を行き来する荷物の運搬があるため、荷物用昇降機の開閉口に蛇腹式の扉が備え付けられている。通常、蛇腹式扉を開いてから中の荷物を運びだすことになっているが、蛇腹式の扉の隙間から手を入れて小型の荷物を取り出す社員もおり、それを見た周囲の社員から、このような作業動作は手を挟む危険性があるとの指摘があった。 荷物用昇降機(改善前) ■ 改善策  当初は、荷物用昇降機の開閉口に注意喚起のための掲示物を貼っていたが、この注意喚起だけでは、また手を入れて怪我してしまうことが懸念されたため、開閉口の前に密閉式の電動シャッターを設置し、確実に安全を確保できるようにした。  なお、電動シャッターの設置にあたっては、(独)高齢・障害・求職者雇用支援機構の「障害者作業施設設置等助成金(※)」を活用した。 ※障害者作業施設設置等助成金  障害者を常用労働者として雇い入れるか継続して雇用する事業主で、その障害者が障害を克服し作業を容易に行えるよう配慮された施設または改造等がなされた設備の設置または整備を行う(賃借による設置を含む)場合にその費用の一部を助成するものです。(助成金については227ページ参照) 荷物用昇降機の開閉口の上にある注意喚起の掲示物 荷物用昇降機の開閉口の前に密閉式の電動シャッターを設置(改善後) ■ 改善後の効果  密閉式の電動シャッターを設置し手を入れることができなくなったことで安全性が高まり、事故は100%回避できる状態になった。  電動シャッターの開閉スピードが遅く、以前よりも荷物用昇降機使用による作業効率は低下したが、安全が優先されることを全社員が理解し作業に取り組むことができるようになっている。 送迎バスの導入と公共交通機関の利用に関する社内研修を通じた通勤時の安全対策 百五管理サービス株式会社 労働災害防止対策 ■ 改善前の状況 ・平成28年2月に特例子会社の認定を受け障害者雇用を進めたことで、障害のある社員が増えていった。最寄り駅から事業所までは徒歩30分、最寄りのバス停から徒歩10分と、交通アクセスが不便な場所にあり、荒天時や夜間の通勤等においては交通事故や防犯上のリスクがより高い状況にあった。 ・障害者の採用にあたって、特別支援学校や地域の就労支援機関からの実習を受け入れていたが、支援者から「実習に行かせたい方がいるが通勤できるか不安」などの声が寄せられ、受入れ可能な対象者が限られていた。 ■ 改善策 1 送迎バスの導入 【導入までの流れ】 ・障害のある社員や支援者、家族の通勤時の不安を取り除くため、マイクロバスによる送迎を行うことを検討した。 ・事業所で送迎バスの購入や運行に関してノウハウが不足していたことから、近隣で送迎バスを運行している事業所を探し、見学を行った。見学先では、公共交通機関で通勤する社員向けに最寄り駅から工場までバスによる送迎を実施しており、バスは自社で購入し運転手はバス会社に委託しているとの情報提供があった。 ・事例を参考に親会社と協議し、送迎バスの導入について承認を得た。 ・平成29年4月より、朝(往路)2便、夕方(帰路)1便で運行を開始した。利用者は障害のある社員を含めた公共交通機関による通勤者全員で、実習生も利用可能とした。また、事前に申し出のあった通院等による早退者の利用にも対応することとした。 ・現在は朝3便、夕方2便とし、最寄り駅の電車の到着時刻に合わせて運行している。 【新型コロナウイルス感染症拡大を受けた対応】 ・令和2年4月の緊急事態宣言発令を受けて、公共交通機関利用者は原則在宅勤務とした。しかし、長期の在宅勤務に不安を感じる社員がいたことから、市内の一部の障害のある社員については、バス会社と相談して運行ルートを大幅に変更し、各社員の最寄りのバス停まで送迎するルートを作成して運行した。 送迎バスへの乗車場面 【参考】送迎バスの導入にあたって、(独)高齢・障害・求職者雇用支援機構の「重度障害者等通勤対策助成金」の対象となる場合があります。 重度障害者等通勤対策助成金  重度身体障害者、知的障害者、精神障害者または通勤が特に困難と認められる身体障害者を雇い入れるか継続して雇用している事業主、またはこれらの重度障害者等を雇用している事業主が加入している事業主団体が、これらの障害者の通勤を容易にするための措置を行う場合に、その費用の一部を助成するものです。(助成金については228ページ参照) 2 公共交通機関の利用ルール等に関する社内研修の実施 ・月1回、30分程度で実施する「コンプライアンス勉強会」や「安全衛生委員会」で、「安全運転」や「公共交通機関の利用ルール」に関する社内研修を実施した。 ・平易な言葉遣いや文章にルビを振るなどして、知的障害のある社員にも理解しやすいように配慮した。 コンプライアンス勉強会の様子 ■ 改善後の効果 ・送迎バスの導入及び社内研修の実施後、通勤途上の交通事故やトラブルは0件となった。 ・送迎バスを利用することで、荒天時や暑い時期等の通勤で生じる身体的な負担が軽減し、日中の業務に集中して取り組めるようになり生産性が向上した。 ・会社全体として障害のある社員の安全確保に取り組む姿勢を対外的にもアピールすることができた。特別支援学校や就労移行支援事業所などからは「職場実習にチャレンジできる対象者が増えた」と好評を得ており、県内各地から多様な人材が毎年多数、実習に参加するようになった。 ・職場実習の件数が増えたことで、多様な障害者の中から自社の雰囲気や業務に合った人材を確保でき、ミスマッチの少ない採用につながっている。 ■ 社員の声 川口 慎太さん(業務推進部)  「入社当時は、最寄り駅から路線バスに乗り換え、さらにバス停から10分以上歩いて通勤していました。雨風が強い日は歩くのも大変で、夜間は車にも相当注意しましたが、送迎バスを導入してもらってからは、駅と会社間が直結となったので、これらの心配も無くなり、大変助かっています。また、送迎バスの運行時間を鉄道の発着時間に合わせてもらっているので、乗り継ぎ時間もスムーズになり、通勤が快適になりました。」 台車の鈴の音による荷物運搬中の衝突防止対策 株式会社サンキュウ・ウィズ 労働災害防止対策 ■ 改善前の状況 ・パソコンやiPhone等のキッティング(設定)を行う作業室では複数のパソコンを保管している。 ・一度に複数のパソコンを運搬する際に台車を使用しているが、障害のある社員が設定作業に集中していると台車が近くを通っても気づかないことがあった。台車を操作している社員に「台車が通ります」と声をかけるように注意しても、内向的な社員はなかなか声を出すことができず接触事故の危険があった。 ■ 改善策 ・台車の車輪の上の部分に鈴を取り付け、台車が近くを通るときに気づけるようにした。 ・取り付ける鈴は、音が大きすぎると、内向的な社員が台車を操作する際に、音に反応した周囲の社員から注目を集めてしまい心理的な負担となることや、聴覚過敏のある社員にとっては音が気になり作業に支障が生じる可能性があるため、このような社員が気にならない程度の音の大きさになるように、障害のある社員にも意見を求めて決定した。 作業室で使用している台車 左:台車に取り付けた鈴の様子、右:台車を使った運搬作業の様子 ■ 改善後の効果 ・台車を使用して荷物を運搬する際、近くで障害のある社員が作業に集中していても妨げることなく危険を知らせることができている。 ・内向的な社員が聞こえないような小さい声で「通ります」と言っても、鈴の音で気づいてもらえるようになった。 ■ 社員の声 T・Kさん(PC事業部)  「特に静かなオフィスであればあるほど、音の伝わりがよいため、イスをバックさせた事による飛び出し衝突を防ぐ事が出来るのではないかと考えております。」 カッターの扱いが苦手な労働者のケガ防止対策 株式会社サンキュウ・ウィズ 労働災害防止対策 ■ 改善前の状況 ・パソコンやiPhone等のキッティング(設定)を行う作業室では、パソコンの入った段ボールの開梱時にカッターを使用する。 ・通常のカッターでは刃を出しすぎてしまい、障害のある社員がケガを負う危険があった。また、指先の細かい動きを苦手とする社員にとっては、カッターの使用時に不安を感じることがあった。 ・安全性の高い段ボール用カッターを用意したが、刃の部分が長く危険は残った。 ■ 改善策 ・段ボール用カッターの刃の部分にテープを巻くことで、刃を出しすぎてケガをしないようにした。また段ボール用カッターは刃の短い物も用意した。 ・指先の細かい動きを苦手とする社員でも安全に作業を行うため、指にはめてなぞるだけで切ることができる安全性の高いカッターを導入した。 カッターの刃の部分にテープを巻いて安全確保 指にはめてなぞるだけで切ることができる安全性の高い刃の無いカッター ■ 改善後の効果 ・カッターの扱いが苦手な社員のケガが防止され、安心して作業に取り組めるようになった。 ・職場実習を受け入れている特別支援学校の先生から、弱視の生徒に非常に効果的とのコメントが得られた。 ■ 社員の声 T・Kさん(PC事業部)  「作業で段ボール箱に貼ってあるテープを切る際、誤って段ボール箱を傷つけてしまうリスクがあるのですが、このような事をする事によって、お客様に対する無礼をせずに済んでおります。」 災害時の安心・安全向上に向けたプロジェクトチームの設置・対策の実践 株式会社ニッセイ・ニュークリエーション 災害発生時に対応するための社内体制 ■ 改善前の状況 1 災害時の車いす・クラッチ使用の社員の避難 ・屋内階段に脱輪防止ストッパー付きのスロープを設置したが、車いす使用の社員が自力で避難することは難しかった。 ・火災時に、車いす・クラッチ使用の社員は火元の状況に応じて、2階のバルコニーに一時避難することとしていたが、その後の救助に相当の時間を要することが想定された。 ・災害備蓄品は事務室と別のフロアに配置しており、車いす・クラッチ使用の社員が備蓄品を取りに行くことは難しかった。 2 聴覚障害のある社員の避難 ・自動火災報知設備と連動した光警報装置は設置されていたが、トイレなどには設置していなかった。また、緊急地震速報と連動していなかった。 3 災害時の対応の理解 ・安否確認システムは導入済みだったが、平成30年6月の大阪府北部地震の際、安否状況を報告できない社員、適切な避難行動を取ることができない社員がいた。 ・災害に関する基礎知識が不十分な社員がいた。 ■ 改善策 1 障がいのある社員を中心とした災害対策プロジェクトチームの立ち上げ ・障がいのある社員を中心とした災害対策プロジェクトチームを立ち上げた。実際の災害発生時・訓練実施時に判明した課題等を踏まえながら、さまざまな障害に配慮した、災害時の安心・安全向上に向けた取組を推進した。 2 災害時の車いす・クラッチ使用の社員の避難 ・車いす使用の社員が自力で避難できるスロープを設置した。外周を取り巻く、緩やかな傾斜角度(バリアフリー法の基準よりも緩やかな1/20)とした。 ・介助者の安全面を考慮し、併設のスロープの足元をフラット化した。 ・屋上避難スペースを拡大するとともに、48時間対応可能な自家発電機、ヘリコプターによる救助可能なホバリングスペースを設置した。 ・災害備蓄品を各事務室から近いところに分散させ配備した。 スロープ写真 外周を取り巻く傾斜の緩やかなスロープ 3 聴覚障害のある社員の避難 ・トイレなどを含めて全館に光警報装置を設置した。 ・光警報装置を自動火災報知設備、緊急地震速報設備と連動させ、火災発生時には白、地震時には緑のライトを点滅させることで災害の種類に応じた避難行動を取れるようにした。 トイレの光警報装置 (地震時は緑色のフラッシュ・ライトが点滅) 4 災害時の対応の理解 ・従来からの防災訓練に加え、緊急地震速報の理解、身を守る行動、車いす使用の社員や聴覚障害のある社員への補助、安否確認システムの定着などを目的に「身を守る行動訓練」「安否確認訓練」を年2回実施。 ・障害のある社員が主体となって活動する「危機管理委員会」が中心となり、災害の基礎知識、基本行動などを分かりやすくまとめた「災害対策マニュアル」「災対ブック」を作成・配付。 災害対策マニュアル 災対ブック ■ 改善後の効果 ・障害のある社員による主体的な取組を中心とした運営とすることで、社員の災害に関する意識の向上、身体機能の状況・特性等に対するきめ細かな配慮の実現につながっている。 ・暴風警報発令時など、自宅待機が必要な場合の判断が的確にできるようになった。 ・安否確認システムにより全社員が適切に安否報告をできるようになった。 ・避難訓練を実施する際、ほぼ100%の社員が、ヘルメットの着用、机の下への避難、周囲の車いす使用の社員・聴覚障害のある社員の補助などの適切な行動をとることができるようになった。 ■ 担当者の声 上田 純平さん  「従来の災害対策は火災による避難訓練がメインでしたが、東日本大震災の発災により、地震に対する備えが喫緊の課題となり改善を図ってきました。当社では身体障害のある社員に加え、近年は精神・発達障害のある社員が増加しており、様々な障害に対応する必要があります。大阪府北部地震では安否確認等、新たな課題が浮き彫りとなり、実践的な訓練への変更や分かりやすく判断に迷わない携帯型マニュアルへの改訂等を行いました。災害による被害をできるだけ少なくするため、社員一人ひとりが的確に対応できるよう、引き続き活動していきます。」 日頃の目配りと避難体制の見直しによる避難時の安全確保の取組 オムロン太陽株式会社 災害発生時における救急・避難等の対応 ■ 改善前の状況 1避難訓練では、これまで、地上9mの事業所建屋の屋上を避難場所としてきたが、東日本大震災時に想定以上の大津波が発生したことから、既存の避難場所や避難方法が適正かを見直す必要があった。 2障害のある社員が全体の約50%を占めており、全員がスムーズに避難するために、職場環境をはじめ、避難時の指揮命令系統や役割分担を予め十分に検討しておく必要があった。 3事業所内の車いす使用の社員は、事業所内に20名弱配置されていた。これらの社員の避難時には、避難支援担当者の一人が車いすを後ろから押し、もう一人が車いすの前輪付近に紐を括り付けてけん引する等により移動支援を行っていたが、体力面や安全面から避難支援担当者に負担がかかる場合があった。 紐を使用してけん引する様子 ■ 改善策 1 避難場所の見直し  事業所建屋の周辺は平地であり、避難時には高い建造物に多くの人が集中することは確実だった。事業所建屋付近への津波到達が見込まれる約30分間で、多くの社員が避難できる場所を検討し、約1q離れた標高547m地点の神社を避難場所に決定した。 2 日頃の目配り  日頃から事業所内で車いすの社員がスムーズに移動できるため動線を確保している。通路の幅は車いす2台がすれ違えるように1.2m程度(最低0.9m以上)確保し、車いすのタイヤをパンクさせないように部品を通路内に落下させない、物品を仮置きもしないように月1度の5Sパトロール活動で徹底している。 作業場周辺の通路幅は120cm以上、作業場内は90cm以上を確保 3 避難体制の見直し  自衛消防隊にて7班に役割分担を行い、それぞれに班長・副班長等を決めて役割を事前に確認した。車いす使用の社員の避難時には精神障害のある社員などが障害のない社員と交替で押す場合があるが、体力のある社員または2人体制で車いすを押すようにして負担軽減を図っている。また、混乱なく避難できるように、「津波発生の有無」「火災発生の有無」等の避難場面をいくつか想定し、避難行動のフロー図を作成した。 避難時の社内体制図(資料・支援ツール182ページ) 避難行動のフロー図(津波発生時)(資料・支援ツール183ページ) 4 補助装置の導入による避難支援担当者の負担軽減  車いす使用の社員の避難支援担当者の負担を軽減するため、車いすに装着してけん引する補助装置(以下「けん引式車いす補助装置」という。)を使用することとした。このけん引式車いす補助装置は、避難時に使用するレインコート、予備用マスク、懐中電灯等の物品と一緒に、総務部門事務所内にあるロッカーに保管しており、緊急時にすぐに使用できる状態にしている。なお、事業所建屋から避難場所(神社)まで避難経路は全て舗装されている道路を選定し、車いすが安全に通行できるよう配慮した。 けん引式車いす補助装置の保管場所 けん引式車いす補助装置を使用した避難訓練の様子 5 避難訓練の実施  上記1〜4の改善策を実際の災害時に活かせるよう、年2回避難訓練を実施している。うち1回は、近隣に所在する社会福祉法人太陽の家と合同で実施している。 ※太陽の家との合同の訓練の際は太陽の家の建屋に避難するため、神社を避難場所とし、けん引式車いす補助装置を使用した避難訓練は年1回の実施。 ■ 改善後の効果 @想定される津波の高さ以上の高さにある神社を避難場所に決定したことで、社員の命を守れる可能性が高まった。 A日頃から事業所内の動線確保を行うとともに、緊急時の役割分担や行動フローを整えたことで、効率的に避難できるようになった。 Bけん引式車いす補助装置を使用することで、避難支援担当者の負担軽減や安全確保につながった。また、車いす使用の社員と避難支援担当者の双方が快適に移動できるようになった。 C大震災を想定した避難訓練を繰り返し行い、津波到達が見込まれる30 分以内を目標に、直近では30分27秒で避難を完了している。 イラスト、メッセージが表示されるAEDの活用 株式会社ニッセイ・ニュークリエーション 災害発生時における救急・避難等の対応 ■ 改善前の状況  聴覚障害のある社員はAEDの音声ガイドだけでは手順に沿って操作することができず、訓練時には他の社員の様子を見て学ぶにとどまっていた。 ■ 改善策  本体の液晶画面に、イラストと文字のガイドが表示されるタイプのAEDを導入し、訓練を行った。 画面にイラストと文字で手順が示される ■ 改善後の効果  画面の表示に合わせて実際にAEDを操作しながら訓練できるようになったことで、一人で正しくAEDを取り扱うことができるようになった。実際にAED操作を経験したことで、緊急時対応への自信につながった。 ■ 社員の声 吉川 由香さん  「訓練を受ける前は人が倒れていても誰かに助けを求めるだけで、自分では何もできませんでしたが、訓練を受けたことで、どのように対応したらよいのかが分かるようになりました。その場に遭遇したらできる限りの救命(AED・心肺蘇生)はできると思います。」 エプソンミズベ株式会社 災害発生時における救急・避難等の対応 ■ 改善前の状況  年間安全活動のひとつとして、全従業員(身体障害者・精神障害者・知的障害者を含む)を対象としたAED操作訓練(心肺蘇生や応急手当などの救命救急講習を含む)をしていた。AEDは音声ガイドのため、聴覚障害のある社員から緊急時に自分たちも仲間の命を救いたいという声が要望としてあがった。 ■ 改善策  聴覚障害のある社員のAED操作を考慮し、文字と光で操作できるAEDへの機種変更及び設置を進めた。 本社湖畔工場設置のAED ■ 改善後の効果  幸いAEDを使用する事案は発生していないが、本社(湖畔工場)、諏訪工場の2か所に聴覚障害者も使用できるAEDを設置するなど合理的配慮の浸透が進んだ。 聴覚障害のある労働者のための光警報装置の活用 エプソンミズベ株式会社 災害発生時における救急・避難等の対応 ■ 改善前の状況  聴覚障害のある社員に災害時や工場内での事故発生時、必要な情報を迅速に伝えることが求められた。 ■ 改善策  いち早く火災発生を伝えるため、火災報知機と連動した光警報装置の設置をすすめた。 光警報装置の設置例 作業場用:デジタル時計一体型 食堂等用:光警報のみ ■ 改善後の効果  実際に使用する機会はないものの、普段働く上での安心感につながった。 救急救命講習会の充実による緊急時の対応の理解促進 大東コーポレートサービス株式会社 災害発生時における救急・避難等の対応 ■ 改善前の状況  救命手当を要する社員がいたときに、障害のある社員でも初期対応できるように、体験を取り入れた研修が必要であった。 ■ 改善策  救急救命講習会で、障害のある社員にもAEDの使い方など基本的対処訓練を体験してもらった。また、聴覚障害のある社員のために講師の説明などは手話で通訳したり、講師が手拍子でリズムをとるなど視覚化して訓練を実施した。 ■ 改善後の効果  AEDの取扱方法、マウスツーマウスの方法などの実演、デモ機での体験を通じ、障害のある社員が緊急時の対応を理解することができた。参加者からは実際の対応でも怖がらずに実施できそうとの意見が多く得られた。  また、聴覚障害のある社員がAEDを使用するにあたり、現在多く普及しているAEDでは音声発信による誘導のためリズムが分からないなど、難しいことや注意しなければならないことに気づくことができた。 ■ 社員の声 輕部 浩士さん(浦安サービス部)  「AEDの使い方などは他の参加者をまねてやっていましたが、緊急時に実際に使用できるか不安でした。特に言語が難しい聴覚障害のある社員にとっては、世界共通であるイラストなどで表示されるAEDが使いやすいと思います。」 写真左:南さん(手話通訳者)/写真右:輕部さん 聴覚障害のある労働者を確実に避難誘導させるための仕組みづくり 株式会社ササキ 災害発生時における救急・避難等の対応 ■ 改善前の状況  聴覚障害のある社員の受け入れに当たり、緊急事態を速やかに把握できる手段を確立する必要があった。 ■ 改善策 @緊急事態を伝達するため、大音量に加え強力な振動・強いフラッシュを発する機器を支給した。  しかし、社員は機器を普段の連絡や呼び出しにも使用したことがあったため、避難訓練等にその機器を使用しても普段の連絡なのか、緊急事態なのか区別がつかない場合があった。 支給した機器 Aそこで、聴覚障害のある社員の担当業務エリアの掲示板付近に、プラカードを設置した。緊急時には、近くにいる人がプラカードを聴覚障害のある社員に見せ、避難誘導することとした。 掲示板付近に設置したプラカード ■ 改善後の効果  緊急事態を確実に聴覚障害のある社員に知らせることができるようになり、避難訓練時のスムーズな避難に結び付いている。 蓄光テープを使用した停電時の危険回避対策 株式会社サンキュウ・ウィズ 災害時における救急・避難等の対応 ■ 改善前の状況 ・パソコンやiPhone等のキッティング(設定)を行う作業室では、複数のデスクトップパソコン等の在庫を保管している。停電時に移動する際、これらの備品等にぶつかりケガをする恐れがあり危険だった。 ・椅子や台車など、都度場所が変わる物は更に危険で、何か対策を必要としていた。 ■ 改善策 ・机や棚のへり、出入口の扉に蓄光テープを貼り、暗くなっても導線が見えるようにした。ドア(引き戸)には開閉方向に矢印状に貼り、停電時でも扉を開く方向を目で見てすぐに分かるようにした。 ・壁にかけているヘルメットにも蓄光テープを貼り、地震に伴う停電等の際にすぐにヘルメットの位置を見つけられるようにした。椅子や台車等、位置が変わる物にも蓄光テープを貼り、移動時にぶつからないようにした。 作業室内の蓄光テープが光る様子(左:消灯前、右:消灯後) 出入口の扉の蓄光テープ(左:消灯前、右:消灯後) 壁にかけたヘルメットが光る様子(左:消灯前、右:消灯後) ■ 改善後の効果 ・停電時に、社員全員が混乱なく、安全に作業室から避難できるようになった。 ・安価で故障も無い。蓄光テープの貼付も障がいのある社員が行い、安全に対する意識も高まった。 ■ 社員の声 金子 正太郎さん(PC事業部)  「想定外の出来事の対応が苦手な私には、ありがたい改善でした。」 T・K さん(PC事業部)  「作業室は窓が無いため、何かあったときに対する安全性が高くなったと思います。また、ヘルメットのつばにはLEDライトが付けてあり、スイッチを入れると明るくなるようになっています。」 視覚障害のある労働者のために明かりをさえぎって、まぶしさを軽減 ポラスシェアード株式会社 健康保持・体調管理等の取組 ■ 改善前の状況  事務所の移転に伴い、長手方向2面がすべて窓となり採光が十分確保できるようになった。また、新事務所は以前より天井高が低くなり天井照明の光がデスクに届きやすくなったことから、視覚障害のある社員にとっては、眩しすぎる環境となり、仕事の効率が低下した。 ■ 改善策  視覚障害のある社員の席を、天井照明直下でない位置へと席替えした。また、窓からの採光や周囲からの照明の光を遮るため、個人用のブースを制作し、遮光カーテンで覆った。 ■ 改善後の効果  眩しい環境下では、頭痛、書類が見えにくいなどにより業務効率が60%にまで低下していたが、職場の環境を改善した後は回復した。 遮光カーテンで遮られた個人用ブース 労働者同士の相互確認による毎日の体調管理 株式会社ハチカン 健康保持・体調管理等の取組 ■ 改善前の状況  知的障害のある社員の中には、自分で体調不良を認識、表現することが苦手な者がいた。また、毎日の着替えや入浴等の生活習慣に問題があり、他の社員から指摘されることもあったが、デリケートな問題であるため強く指導できずにいた。 ■ 改善策  最初は労務課の社員がチェックリストに基づき確認していたが、後日、同部署の障害のある他の社員とペアで確認し合い、労務課社員はさりげない目視確認にとどめることとした。  社員同士の確認は、確認項目をまとめた日報を用いて、毎日朝と夕に行い、報告させることとした。日報は、単に体調の良・不良を聞くだけでなく、具体的な例示を入れるなどして、確認しやすくした。 ■ 改善後の効果  社員同士で毎日確認し合い、報告させることによって、体調不良に周囲が気付かないことを未然に防止できるようになった。また、身だしなみ等に関する意識も向上し、同じ服装で出勤する回数や他の社員からの指摘件数も減少した。 体調チェックシートの活用、効果的な休憩の取り方などの配慮により、精神障害のある労働者の継続雇用につなげた取組 株式会社ティエラコム 健康保持・体調管理等の取組 ■ 改善前の状況  平成28年度に、各種教育事業を支援する事務職として精神障害のある社員を雇用した。平成30年度、当該障害のある者の雇用義務化に伴い、引き続き雇用促進に努めた。しかし、その当時は障害を乗り越えて働いてもらうためのサポートに関するノウハウがないうえ、外見からは体調面の変化がわかりづらく、サポート方法を考える必要があった。 ■ 改善策 〇障害のある社員に対する支援に関する情報収集 ・具体的な事例から学びたいと考え、他社で取り入れている障害者支援のための体調チェックシートを参考にして自社用のものを作成し、社内の支援方法を整備していった。 〇健康面等の確認 ・対象社員とは出勤時に必ず面談を行い(デイリー 1on1ミーティング)、体調チェックシートへの記載事項を手掛かりに、社員の健康状態を確認するとともに、仕事の差配や振り返りなどを行っている。困りごとや不安に思っていることについても迅速に対応するよう心掛けた。 ・過度な業務への集中が体調不良を引き起こす場合もあるので、周囲からこまめな声かけをして体調面を確認するようにしている。また、意識して誰でも気軽に相談できる雰囲気を作っている。 〇効果的な休憩の取り方 ・引け目を感じて休憩が取りづらい、あるいは取れない社員がいたが、定期的な休憩が仕事の安定化、効率化に大変有効であることを社内で周知し、休憩を取りやすい雰囲気づくりに努めた。 ・過集中のリスクがある社員には、1時間に1回程度の休憩を勧めており、社員の希望に応じて、パソコンのアラーム機能や画面ポップアップなど、休憩のタイミングで合図を出し適度な休憩が取れるようにしている。 体調チェックシート(資料・支援ツール201ページ) 画面ポップアップ ■ 改善後の効果  以前、精神障害のある社員は短期間で離職する者が少なからずいたが、その状況はかなり改善されている。現状、在籍者の8割は2年以上勤務を継続し、かつその出勤率は8割を超えている。  また、精神障害の度合いによって1日の勤務可能時間は異なるが、日々の面談での健康状態のヒアリングや本人の希望の確認により、社員それぞれの状況に合った勤務時間を設定できるようになった。 ■ 社員の声 A さん(事務)  「過去の職場経験から、単純作業が続くことや、高圧的な言い方をされることは苦手と感じていますが、臨機応変に対応できることは自分の強みだと思っています。この職場では自分で考えながら幅広く仕事を行うことができるので、やりがいを感じています。  対人関係に不安があり、就職した最初の頃は慣れない環境で緊張することが多く、エレベーターに乗ることにも不安がありましたが、職場は自分を受け入れてくれる雰囲気があり、自分に合った仕事内容となるように調整してもらえるので、今は安心して仕事をすることができています。また、体調チェックシートは自分で書くことで、自分を客観的に見ることができるので、とてもよいと思っています。  主治医からの助言のとおり、症状が現れるサインを見逃さないように気をつけています。また、仕事中は、パソコンのアラーム機能で適宜休憩をとり、休憩中はお茶を飲んだり、外の空気を吸ったりしてリフレッシュすることができています。  今後は、症状を安定させることや仕事に活かせる資格を取ること、フル勤務ができるようになることを目標にしています。」 体調管理ツール「つなぐログ」を活用した労働者の健康保持のための取組 NTTクラルティ株式会社 健康保持・体調管理等の取組 ■ 改善前の状況 ・精神障害のある社員Aさんは、毎日元気そうに働いていたが、ある日突然体調を崩して出社できなくなった。再び出社したときには普段と変わりない様子だったが、その後も突然休むことが重なった。 ・Aさんにヒアリングを行ったが、不調の原因や体調の変化について自覚はなく、気づいた時には症状が悪化していることが分かった。 ・Aさん以外にも精神障害のある社員が多数在籍しており、社員が安定して出勤できるための取組が必要であった。 ■ 改善策 体調管理ツール「つなぐログ」の導入 @導入準備 ・社員が職場だけではなく生活全般の活動を記録し、心身の状況等の自己理解を深め、自ら対処行動を取ることができるような仕組みを全社的に導入することとした。 ・対象となる社員(以下「対象社員」)は新入社員及び上長が必要と判断した社員とし、それぞれの職場管理者に趣旨を説明して勤務時間内に活動記録を取ることについて了承を得た。 Aツールの開発 ・毎日の体調を記録する体調管理ツール「つなぐログ」を開発した。電子データで記録用フォーマットを作成。項目として「起床時間」「睡眠時間」「食欲」「疲労度合い」等を設け、対象社員が日々の状態を記入する。就業による心身への影響を確認するため、「疲労度合い」等の項目は始業時と終業時で記入欄を分けた。 ・「つなぐログ」は、対象社員、上長、定着支援担当のみが閲覧できるようにし、対象社員に対しては始業時と終業時に記録することを業務として指示した。 Bツールを利用するための事前相談の実施 ・対象社員と定着支援担当が事前相談を行い、「つなぐログ」の利用の趣旨や記入方法の説明を行う。また、対象社員が自ら設定する項目(疲労度合いの基準となる数値、具体的な対処行動や不調のサイン等)を取り決めて設定する。 Cツールの活用 ・対象社員は記録をつけることで心の状態や体調の波を自覚し、必要時は自発的に相談を申し出る。 ・対象社員が記録した「つなぐログ」は、上長及び定着支援コーディネーターが定期的に確認し、気になる記録内容があれば上長から対象社員へ声掛けを行う。 ・精神障害のある社員に対して実施している入社後半年から1年間の定期面談(月1回)でも「つなぐログ」の記録内容に触れ、生活面の状況と体調の変化との関連性などを話し合う機会としている。 体調管理ツール「つなぐログ」のイメージ画像 定期面談の様子 ■ 改善後の効果 @精神障害のある社員の突発的な休みが減少し、出社率が向上した。 ・つなぐログ使用開始前(6か月間)の平均出社率85%(同期間最低月の出社率68%) ・つなぐログ使用開始1か月以降(6か月間)の平均出社率89%(同期間最低月の出社率77%) Aつなぐログを定期面談と組み合わせて使用することで、不調時に他の要因との関連性に気づき、対象社員が不調に陥るサイクルを断ち切るための対処行動を自ら取ることができるようになった。 【例:A さんの対処行動】 ○体調を良い状態で維持するための恒常的な対処行動  呼吸法、個別ブースでリフレッシュ、休日に散歩する など ○不調を感じたときの対処行動 B業務上の変化と体調の変化について分析することで、業務指導担当者が本人に合った業務のペース・指導方法に調整しやすくなった。 【例:Aさんの場合】 ○つなぐログの記録を参考に、不調の前の出来事を確認したところ、難易度の高い業務を教えた時期に思考の混乱が見られたことが発覚した。 ○業務指導担当者は、Aさんの得意な分野から順番に教えることで作業へのモチベーションを高めたほか、業務範囲の見直しを行った。 ○指導方法を修正した結果、Aさんの習熟ペースが改善し、以前は覚えられなかった業務も遂行できるようになった。 ■ 担当者の声 Mさん(総務人事部定着支援担当)  「定着に関わる要素は複数ありますが、社員が自らの体調を意識的にコントロールできることはとても重要です。私たちは自分のことを分かっているようで実は知らないことが多く、つなぐログはうまく活用すれば気づきを得られるツールです。  Aさんと同様に、不調の理由がよくわからないと話す社員がおりました。その社員は日々の記録と定期的な振り返りから、不調の要因に気付き、対処を繰り返して、2年後には見違えるように安定して働くことが出来るようになりました。現在ではつなぐログを卒業し、職場でなくてはならない存在となっています。この社員の場合『体調を改善して、もっと業務で貢献できるようになりたい』という明確な目的を持ってツールを活用できたことが勝因です。  各社員とともにそれぞれの成長過程を体験できることは、私の励みになっています。今後も社員・職場・支援者・関係者とともに一丸となり、社員の目指す成長の形に寄り添っていきたいと考えております。」 自社の健康課題を把握・分析し、全労働者の健康の保持・増進を目標とした全社的な取組 株式会社ニッセイ・ニュークリエーション 健康保持・体調管理等の取組 ■ 改善前の状況 ・個別に健康への取組を実施してきたが、全社的な取組体制にはなっていなかった。 ・健康診断の結果などを通じて、生活習慣に課題のある社員を把握していた。他方で、生活習慣を改善したいとのニーズがあっても、知識を得るための社外研修がバリアフリーではないため参加が難しいなど、会社による更なるサポートの必要性が高かった。 ■ 改善策 1 健康経営推進委員会の立ち上げ、健康経営宣言の社内外への発信 ・若い社員も多いことから、生涯にわたるQOLの保持・増進に向けて、全社員のヘルスリテラシーの向上、心と身体の健康の保持・増進に向けた全社的な取組の推進が必要不可欠と考え、健康経営推進委員会を立ち上げ、「健康経営宣言」を社内外に発信した。 2 健康課題の把握・分析、取組目標・計画の策定 ・障害の有無に関わらず、自社の健康課題を把握・分析し、全社員の健康の保持・増進を目標とした取組計画を策定した。 3 社員主体の健康促進委員会と連動した健康取組の実施 ・「健康セミナー」の開催。 手話通訳士の派遣を依頼し、聴覚障害のある社員に配慮している。また、社員から意見を聴取するとともに、産業医と意見交換するなどにより自社の業務内容や障害特性に応じたセミナーを企画している。 ・「椅子ヨガセミナー」の開催。 下肢障害のある社員を含めて運動習慣が定着するよう企画。実施時は手話通訳士を手配。 ・「みんなの体操」の実施(始業時・午後3時) ・禁煙の促進(屋内全面禁煙化、啓発ポスター掲示など) 2019年度腰痛セミナー(健康セミナー)の様子 健康促進委員会で開催する、車いす使用の社員や聴覚障害のある社員も気軽に参加できる体験型「椅子ヨガセミナー」の様子 ■ 改善後の効果 ・産業医・臨床心理士・健康保険組合と連携した全社的な推進体制を整えることができた。 ・運動習慣のある者の割合が増加し、喫煙率が減少した。そのほか、セミナーの企画・継続的な参加により、社員一人ひとりのヘルスリテラシーが向上しつつある。 ■ 担当者の声 河野 俊一郎さん  「全社的な取組体制を整え、社内外に発信したことで、社員を大切にする会社方針を改めて実感し、自らの健康課題と向き合い、改善に取り組み始めた社員も多いと感じています。健康促進委員会のメンバーが中心となって、様々な啓発活動やセミナー開催など、社員の生の声を活かした活動を行うことで、社員の健康意識向上とメンバーの成長の相乗効果が得られています。今後は、40歳未満の特定保健指導予備層への動機づけや、健康増進を実感できる喫煙者ゼロに向けた仕掛けづくりなど、『予防』活動に更に力を入れていきたいと考えています。」 障害のある労働者に対する定期面談によるメンタルヘルスケア対策 百五管理サービス株式会社 メンタルヘルスケア対策 ■ 改善前の状況 ・不安障害のある社員Aさんを採用したが、服薬による眠気や頭痛などで体調の変化が激しく勤怠に影響が生じていた。また、「きちんと仕事ができていないのではないか」といった職場や仕事への不安が強く、事業所として指導方法に悩んでいた。 ■ 改善策 1 ナビゲーションブックの作成 ・自身の得意・不得意や通院状況、服薬状況等を記入し周囲に伝えるためのツール「ナビゲーションブック」を事業所独自の項目で作成した。Aさんに記入してもらい、指導担当者が通院状況や薬の効果、副作用等を把握した。また、Aさんも自身の特徴や健康状態を把握し、体調の自己管理の必要性を認識してもらった。 2 Aさん専用の作業日誌の導入 ・毎朝、体調や服薬状況、検温結果等をAさん専用の作業日誌に記入してもらい、その日の調子に合った業務内容と業務量を本人と指導担当者が相談して決めることとした。 ・毎日記入する日誌に何を書いていいのか悩むことがよくあるため、日誌の様式は各項目に〇をつける形式とし、記入するスペースもあまり広すぎないようにシンプルなものにするなど負担のないようにした。 ・仕事の成果は毎日記録し、1週間後にフィードバック面談を行い、達成感や安心感を得られるようにした。 3 定期面談の実施 ・障害のある社員を対象に役員が3か月ごとに実施する「定期カウンセリング」において、Aさんの仕事や職場環境、体調の変化、職場に関する満足度などに関するヒアリングを行った。 ・定期面談以外でも、企業在籍型ジョブコーチが月1回程度で業務の進捗に関する面談を行い、Aさんの様子を把握した。 ・これらの面談時には、「ナビゲーションブック」「作業日誌」などを適宜確認するほか、家族や就労支援機関からの情報収集も行い、社内で改善策を検討し対応した。 Aさんのナビゲーションブック Aさん専用の作業日誌 (資料・支援ツール202・203ページ) 【Aさんへの対応例】 @把握した状況 ・帳票印刷を担当。一度に与えられる業務量が多いと対応しきれるか不安を感じやすかった。 ・自身の担当分が終了していても、未処理の帳票が残っていると「会社に貢献できていない」と感じて自らを責めてしまうことがあった。 A職場での対応 ・指導担当者が集まるミーティングで、上記の状況を共有した。 ・当日処理する帳票のみをカゴに入れてAさんに作業の指示をするようにした。当日処理をしない帳票は別のカゴに入れてキャビネットに保管した。 B結果 ・Aさんはプレッシャーを感じることなく、落ち着いて業務に取り組むことができるようになった。 ・毎日の業務量を達成できていることが視覚的に分かりやすく、Aさんが安心感や業務への自信を持てるようになった。 ■ 改善後の効果 ・ナビゲーションブックの活用や定期面談を通して、Aさんの通院状況や服薬状況、仕事や職場に関する悩みや要望をしっかり聞き取ることができ、事業所として具体的な方策を実施することができた。 ・作業日誌に関するAさんとのフィードバック面談で、自身の業務内容や業務量が可視化され、会社に貢献できているとの認識を持てるようになった。また、毎朝体調を確認することで、無理のない業務計画を立てやすくなった。 ・Aさんへの取組を通して、他の障害のある社員についても改めて職場で必要な配慮や障害特性の理解に向けて話し合う機会が増え、1人ひとりが働きやすい職場環境づくりへの意識が全社的に高まった。なお、障害のある社員の対応で分からないことは、職場の管理者やジョブコーチが勉強会を行い、指導方法や助言内容の統一化を図ることで、支援体制の強化に取り組んでいる。 ■ 社員の声 A さん(勤続3年)  「不安なことや気になることがあっても、なかなか相談できず抱え込んでしまうことが多かったですが、職場で定期的に面談してもらえることで不安を解消できています。今後も、体調を安定させて働き、できる仕事を増やしていきたいです。」 ■ 担当者の声 仙崎 八重子さん(企業在籍型ジョブコーチ) 「Aさんは頑張り屋で責任感も強いことから、抱え込んで悩むことも多かったですが、面談や作業日誌などで状況をお互いに共有して助言することで、不安が和らいできたと思います。最近は体調面も少しずつ落ち着き、仕事にも慣れてきたので、得意なパソコンでのマニュアル作成や指導、効率化の提案など積極的にしてくれます。今後も不安や心配なことは早めにフォローしていきたいと思います。」 精神障害のある労働者への声かけや褒めることの徹底、マニュアルの活用により、安心できる仕事につなげた取組 医療法人社団知己会 龍岡ケアセンター メンタルヘルスケア対策 ■ 改善前の状況  高齢者施設において、精神障害のある社員(Aさん)を雇用するのは初めてであり、精神障害のある社員が安心して仕事できるような教え方や接し方、Aさんが不安を感じた時の対応などに戸惑いがあった。  また、Aさん自身も作業手順を含む仕事に対する不安や要望などを誰に相談していいかわからずストレスが生じていた。 ■ 改善策 〇社内体制の整備等 ・社員を対象とした障害者雇用に関する研修会の実施により、障害者雇用の意義や障害特性等の理解を深め、法人全体として障害者雇用に取り組んでいく必要性について共通認識を得た。 ・Aさんが混乱しないように、指導担当者を固定し、マンツーマンで顔色を見ながら見本を見せて対応した。また、社内支援担当者は「障害者職業生活相談員」の資格を取得した。 〇Aさんの特徴を踏まえた基本的な配慮 ・面談においては仕事以外の趣味などの話題を取り入れながら、Aさんがリラックスできるように配慮した。 ・Aさんが孤立しないように、周囲の社員が積極的に声かけするようにした。また、よかった点を具体的に提示しながら1日3回以上は褒めるようにした。 ・軽く頭をたたくことはAさんの不調のサインである。不調になっている原因を社内で共有し、その日のメンタルの調子により作業手順の見直しや作業の範囲などの再編成、休憩場所の確保などの対応を行った。 〇仕事への取組の配慮 ・Aさんの「できること」に注目して仕事内容を編成した。 ・清掃作業においては、写真付きのマニュアルを整備し、朝礼時には指導員用業務日誌によりAさんを含む社員に対してその日の仕事内容を具体的に説明するようにした。また、廊下や食堂等の床にテープを貼り、行うべき清掃範囲が一目でわかるようにした。 清掃マニュアルの整備 指導員用業務日誌(清掃) (資料・支援ツール204・205ページ) テープを貼って清掃範囲を示す  Aさん以外の障害のある社員に対しても、以上の取組を参考に配慮を行っている。その他、個々の特性に応じて、ストレスチェックの際は質問項目が理解できるよう質問項目を一問ずつ説明するなどの対応や、本人の同意を得た上で個々の受診状況について産業医を交えて社内での共有を行っている。 ■ 改善後の効果 〇安心感の醸成と安定した仕事への取組による作業能率の向上 ・本人が理解しやすいよう、大きな文字で写真付きのマニュアルを活用したことで、確実に業務をこなせるようになった。 ・その日に行う仕事の範囲を具体的に本人に提示することで、本人は先の見通しをもって仕事に取り組むことができるようになった。また、Aさんの仕事ぶりに対して褒めることで覚えが早くなり、Aさんは担当フロアの範囲の清掃をスムーズに終えることができるようになった。このような配慮により、Aさんの安心感、精神面の安定につながった。本人は安心して仕事に取り組むことができるようになり、作業能率も向上した。 〇社員の意識向上 ・Aさんをはじめ障害のある社員に指導することで、社員が相手の状況に応じた指導方法を考えることができるようになったことや、皆で声かけをしながら仕事をすることができるようになった。また、社員同士が以前より優しく指導するようになり、職場全体の雰囲気がよくなった。 ■ 社員の声 Aさん(清掃担当)  「普段の仕事では、入居者の気分を考えて、臨機応変に対応したいと思っています。入居者や職員に対しては、立ち止まってあいさつするようにしており、入居者に『ありがとう』と言ってもらえるとありがたいと思っています。  自分で軽く頭をたたいてしまうのは、不調時のサインであると自分でもわかっています。サインが現れたときは、周りの職員も声をかけてくれるのでとても安心しています。  今では仕事内容は頭に入っていますが、マニュアルは自分にとって使いやすいものです。  職場では、毎日血圧や体温を測り、体調管理を行っています。生活面では、夜眠れないときがありますが薄暗い中の方が睡眠をとりやすいことがわかり、このように対処しています。  行う必要のなかった居室の中にある大きな物をよけてしまったなどの失敗経験はありますが、このようなことを繰り返さないように気を付けています。また、後で入職してくる人もいるので、自分でも頑張らないといけないと思っています。」 ■ 担当者の声  「Aさんへの指導において、床にテープを貼り清掃範囲をわかりやすくしたことで、Aさんは自身の仕事に対する達成感を感じ、最近は自信をもって仕事に取り組んでいます。今後は、実習生等の指導も出来るように取り組んでもらいたいと思っています。  また、Aさんは、現在は一人暮らしに移行し自立した生活を送っています。生活面の指導は障害者就業・生活支援センターに依頼していますが、今後もAさんが安心して働けるように、生活面の安定を見守っていきます。」 事務局長 中山 雅靖さん 障害者職業生活相談員 長谷 正行さん ストレス軽減のための指示の伝え方 NSハートフルサービス関西株式会社和歌山事業所 メンタルヘルスケア対策 ■ 改善前の状況  発達障害のある社員Bさんの入社にあたり、社内に数名配置している障害のある社員の指導担当者(以下「指導担当者」という。)に対し事前に障害特性の説明を行った。  しかし、入社後、作業指示をきちんとしたつもりでも伝わっていなかったため、後でBさんを注意しなければならなくなり、Bさんの「自分だけが注意されている」との誤解につながった。 ■ 改善策 ・Bさんの指導後、指導担当者を招集し、指導事項、Bさんと約束した内容を共有し、指導担当者間で齟齬がないようにした。 ・障害のある社員が混乱しないよう分かりやすい伝え方に統一した。 (例1)Bさんの返事がはきはきとしているため、理解しているとの誤解を招き、一度にいくつも指示をしていたが、指示は一度に一つにすることを徹底した。 (例2)改善前「Bさん、○○の手入れをして下さい」 改善後@「Bさん、ちょっといいですか?」(Bさんが落ち着いて指示を聞く体制を作る) A「○○を○個、○分までに手入れして下さい。」(具体的に個数や時間を伝え、不安を軽減する) BBさんに指示を復唱してもらい、伝わっていない場合はわかるまで繰り返した。Bさんの前に見本を置くか、気を付ける点について質問し理解しているかどうか確認した。 C指示の後、「途中でわからなくなったら声掛けして下さい。終わったら報告して下さい。よろしくお願いします。」と言うことにした。 ・指導担当者間で月1回会議を行い、障害のある社員の状況を共有することにした。 ■ 改善後の効果 ・指導担当者で情報共有するようになった後、指導担当者に対し、ほかの社員から適切な伝え方や関わり方について質問が来るようになり、協力体制が構築された。 ・Bさんのストレスが軽減され、仕事への意欲、作業習得の状況が向上した。 安心して接客に取り組むために接客用語を変更 株式会社ヤオコー メンタルヘルスケア対策 ■ 改善前の状況 @店舗には、「接客8大用語」が決められており、皆が統一した言い方をすることになっている。しかし、障害のある社員の中には、「少々お待ちください」などの発音がうまくできず負担を感じてしまう者もいた。 A店舗で働くAさんは、近くにある食品スーパーマーケットの品揃えや売れ行きが気になり、業務に集中できないことがあった。 ■ 改善策 @実習の受入れの段階で、障害のある実習生が接客用語をスムーズに発音できるかどうかを把握することとした。発音がうまくできない社員には、以下の変換例のように、自分の言葉に言い換えることを容認する、言い換えた接客用語を指導するなどを行い、柔軟な対応が可能であることを本人にしっかりと伝えた。 AAさんとの話し合いの上、Aさんが作業に集中することができる別の店舗へ勤務先を変更することにした。 ■ 改善後の効果 ・接客への負担が減り、安心して業務に取り組めるようになった。 ・個別に対応してもらえることにより日常業務で困ることが少なくなった。 ・普段から自分のことを気にかけて対応してくれる雰囲気があるため、配慮してほしいことを人事総務部や上長に伝えやすくなった。 ■ 社員の声 店舗勤務のAさん  「以前勤務していた店舗は、すぐ近くに同じ食品スーパーマーケットがあって、どんな商品があるのか、売れているのか気になって仕方ありませんでしたが、異動で店舗が変わったので今は集中できています。また、早く作業することを優先しすぎて商品を運ぶ台車をスイングドアに勢いよくぶつけたり、急ぎ足で歩いたりしてしまい、安全面でその都度店長に指導をしてもらっています。他に会話する際、人との距離が近すぎることも注意をしてもらって気づくことができます。」 ■ 担当者の声 Aさんの上司 Bさん  「Aさんは非常に前向きな方で、目標をもって日々の仕事に取り組んでくださっています。今夏にAさんの自宅から少し離れたところに当社の新店がオープンしたので、最新のヤオコーを見るために行ったと聞きました。『どうだった?』と感想を尋ねると『新店は自分のいる店と床の素材が違ってキラキラしてとてもきれいだった』と話してくれました。通常、商品や売場レイアウトに目が行きがちですが、Aさんの感性にはっとしました。  一方で、安全や効率などいくつかの要件を合わせて丁度よい塩梅に調整することは苦手なようで、自分で『効率』に興味が強くなると『安全』がおろそかになることがあります。気が付いたことは都度指摘しており、Aさんも直す努力をしてくれます。今後もコミュニケーションを大切に共に働いていきたいと考えます。」 3S活動(整理、整頓、清掃)の成果を踏まえた安心して働ける職場作り 株式会社エムツープレスト メンタルヘルスケア対策 ■ 改善前の状況  製造業の現場において、「安全で、快適で、効率的な職場を造る」ことを目的に、以前から3S活動(整理、整頓、清掃)を推進しているが、これらの活動の成果を2016年から雇用している発達障害のある社員にも効果的に普及し、安心して働ける職場作りを行うことが必要であった。 ■ 改善策 ○3S活動の推進 ・3S活動を推進している他社の事例収集を行いながら、自社に合った3S活動を推進した。 ・具体的には、社員を4つのグループに分け、月1回3S活動(整理、整頓、清掃)を行った結果を月1回の全体会議で発表し合っており、また、月1回の3S活動に関する他社との定例会の中で自社の取組の発表や意見交換会を行い、その結果を自社の全体会議で報告するようにしている。 なお、現在障害のある社員は3S活動のメンバーには入っていないが、障害のある社員の気づきや要望を随時反映させながら改善等に取り組んでいる。 〇障害のある社員が安心して働ける職場作り ・整頓において重要な5頓(定位置、定量、定方向、表示、標識)は、障害のある社員にとって働きやすい職場作りにもつながるため、3S活動では、道具の定位置を決め、道具と置き場所の両方に名前を付けることなどについて取り組んだ。また、指示するときも「そこに片づけておいて」の「そこ」を具体的な名称で伝えるように徹底することや、苦手な仕事は無理に任せず得意なことを仕事に活かせるようにしたこと、問題行動が起きたときは原因を追究しながら対応策を一緒に考えることについても取り組むようにした。 〇3S活動の取組例 <道具置き場の物品を写真・イラストで表記> ・以前はテプラで物品の名前を表示しているだけだったが、絵・写真を掲載し、一目見ただけで分かるように工夫した。 道具置き場の物品を写真やイラストで表記(左:改善前、右:改善後) <荷物の置き場所を区分けしアルファベット(A,B,C)で表記> ・以前は荷物の置き場所を「あそこ」「そこ」と曖昧な言葉で表現することがあったが、「あそこってどこですか?」と聞き返されることが多かったため、荷物の置き場所をアルファベットで区分けし「Aに置いてきて」と明確に指示できるようにした。 荷物置き場の位置関係をアルファベットで示した構内図を職場に掲示 <姿絵により物品の定位置を表示> 以前は共用物品の定位置が決まっていなかったが、物の置き場所を姿絵で表示したことで、迷わずに物が置けるようになり、欠品も見つけやすくなった。 物品の定位置を表示(左:姿絵、右:姿絵をもとに物品を置いた様子) <発注カードで物品を管理> 物品の発注状態を一目で分かりやすいように整備した。 ■ 改善後の効果  3S活動の成果を踏まえながら職場改善を図ることで、障害のある社員にとっては仕事の進め方が分かりやすくなっている。その効果として、障害のある社員にとって安心して働ける環境を整備することができ、普段の業務において質問や確認の時間が減り、仕事の効率化・生産性の向上につながっている。 ■ 社員の声  障害のある社員からは、「表示・標識のおかげでものを置くときにすぐ分かるから助かる。どんどん分かりやすくもなってきた。」「姿絵・写真管理表示になりどこに片付けるか、どこにあるかすぐに分かるようになった。」「備品・ダンボールなどに発注点があることによって、いつ発注をかければ良いか分かる。」などの声が聞かれています。 ■ 担当者の声 増本 晃明さん(代表取締役)  「当社の経営理念の中に『人を尊重する企業』という一節があります。ダイバーシティやインクルージョンを推進する動きが増えていますが、我々中小企業こそが存続するために積極的に取り組むべき課題だと考えております。その一つが当社にとっては『障害者雇用』でした。  障害者雇用を行う前から取り組んでいた3S活動(整理・整頓・清掃)でしたが、障害者とともに働くようになってから、その重要性が増しています。  誰にとっても『安全で、快適で、効率的な職場』にすることに終わりはありません。掲載させて頂いた改善事例も、すべて社員自ら手作りで行っています。一度改善した箇所に新たな改善を加えたものも少なくありません。それは、その時にベストと思われた改善が、時がたち、自らの視座が上がったことにより、よりよいアイデア(気づき)が浮かんだ証拠です。これは障害者雇用が生んだ成果かもしれません。  障害者自身は特性により、一人ひとりは出来ることと出来ないことがあるかもしれません。しかし、どうすれば彼らを貴重な戦力として活躍してもらうかを社内全体で考える企業風土こそが、我々にとっての『人を尊重する企業』だと信じて、これからも取り組んでまいります。」 リフレッシュするための休憩、食事等を一人でとれるスペースの整備 株式会社ニッセイ・ニュークリエーション メンタルヘルスケア対策 ■ 改善前の状況 ・特性により対人コミュニケーションを苦手とする社員や感覚過敏のある社員が増え、オープンスペースでチームで仕事をする中で、休憩時間だけは一人になってリフレッシュできるようにしてほしいとの声が上がっていた。 ■ 改善策 1 休憩スペース「ひとりブース」の設置 サイドパネル付きのワーキングソファー、車いす使用者用ブースを設置し、一人になって気持ちの切り替えをできるようにした。 2 食事スペースとして「ひとりカウンター」「ひとり食堂」を設置 「ひとりカウンター」 屋外を眺めながら一人で食事ができる窓際のカウンター席を設置した。 「ひとり食堂」 パーテーションで区切られ、一人で落ち着いて食事ができるスペースを設置。車いす使用者などには電動昇降テーブルを併せて設置。 各スペースはいつでも利用可能とし、勤務中に離席して利用する場合は、上司の許可を得る(原則10分以内)ようにルールを決めた。 ■ 改善後の効果  勤務時間中に10分程度利用するだけでも気分転換を図ることができ、集中力の向上につながっている。 ■ 社員の声 Aさん  「今の社屋に移転する前は更衣室で休憩をとっていましたが、どうしてもほかの人と重なることがあり、一人になれなかったためリフレッシュできないこともありました。今は、業務時間中に気分転換で利用しており、とてもリフレッシュできます。」 パーティションの設置による休憩室や作業環境におけるストレス軽減の取組 百五管理サービス株式会社 メンタルヘルスケア対策 ■ 改善前の状況 ・平成28年2月に特例子会社の認定を受けた当初は知的障害のある社員5名の体制であったが、その後、精神障害や発達障害のある社員の雇用が進み、多様な特性のある社員が在籍するようになった。 ・社屋には複数のグループ会社が入居しており、来客も多い。また、他部署と共用の社内食堂はカフェテリア形式のオープンスペースとなっており、精神障害や発達障害のある社員にとって、人目が気になり緊張しやすい環境であった。 ■ 改善策 1 人目を気にせず休める休憩スペースを新設 ・障害のある社員の執務フロア内に休憩スペースを7箇所新たに設置した。 ・休憩スペースは周囲にパーティションを設置し、1人で落ち着いて休めるようにした。 ・パーティションの高さや位置は、社員が急に不調になることも想定して、管理者から様子が見えるように調整した。 2 作業デスクへのパーティションの設置 ・ノートパソコンを使用したデータ入力作業の際、周囲の社員の言動(独り言や貧乏ゆすり等)が気になり、業務に集中しにくい社員がいたことから、作業デスクの前と左右にパーティションを設置した。 ・先に設置していた休憩スペースのパーティションと同じ色合いにして視覚的に統一性を持たせた。 ・作業に集中しにくい場合には、パーティションに「声をかけないでください」と書かれた注意書きを掲示し、周囲からの配慮を得られるようにした。 外から見た休憩スペース 休憩スペースの内部 データ入力の様子 ■ 改善後の効果 ・休憩スペースでは周りを気にせず安心して休めることから、心身のリフレッシュに非常に効果的であり、仕事に集中して取り組めるようになった。休憩スペースでゆっくり休めるため、服薬のある社員は薬による眠気や疲労感が軽減された。 ・作業デスクへのパーティション設置は、パソコンを使用したデータ入力作業等の集中力と持続力が要求される作業では非常に有効で、データ入力作業を担当している社員の処理件数は大幅に増加した。 ・作業中や休憩時間のストレスが軽減され、早退や体調不良による連続した休暇取得が少なくなった。 ■ 社員の声 Aさん(勤続3年)  「作業中に人の動きや音などが気になり集中できないことがありました。しかし、パーティションがあると周りの様子があまり気にならなくなるので、仕事に集中することができます。今後も、得意なパソコンスキルを活かして幅広い仕事にチャレンジしていきたいです。」 ■ 担当者の声 仙崎 八重子さん(企業在籍型ジョブコーチ)  「一人でリラックスする場所と、集中して作業する空間が出来たことにより安心感を得て、メンタル面も少しずつ安定しました。作業にも集中出来て、効率も上がりました。これからも、健康面やメンタル面に配慮しながら、安心して仕事に取り組んでもらえる環境作りを目指していきます。」 面談記録票を活用したメンタルヘルスケア対策 株式会社ササキ メンタルヘルスケア対策 ■ 改善前の状況  障害のある社員も無い社員も、全員が月1回上長とコミュニケーションを取る機会を持っていた。 ■ 改善策  障害者職業生活相談員の配置をきっかけに、上記に加え、障害のある社員の面接を定期的に実施することにした。 <頻度> ・最低年1回とし、障害のある社員の状態や希望に応じ半年に1回、3か月に1回とすることもある。身体・精神面の不調により休みが増えた場合は面談を増やし、障害者就業・生活支援センターや専門機関とも緊密な連携を行っている。 <面談の方法> ・当事者・担当課長・相談員の三者面談のほか、それぞれが別々に当事者と話す形式にすることもある。 <『面談記録票』の作成> ・「主治医の意見」、「現状の課題」、「次回面談予定日」を記入。 <情報共有> ・原則として、安全衛生委員長、人事課長、部長以上の役職員との共有を行うが、本人の意思を尊重している。 ・担当課長、相談員それぞれが把握した現状の課題、体調面などについて情報共有を行っている。 ■ 改善後の効果 ・負担をかけてよいか上司が判断に迷う時や、当事者の行動の理由が分からない時などにお互いの考えを伝えることができるようになった。 ・支援機関からの助言を受けることが安心につながり、障害特性を理解した上で適切に対応できるようになった。 ・相談員と当事者の上長との間でコミュニケーションを取る機会が増えたことから、社内全体に障害のある社員への理解が広まった。その結果、障害のある社員への緊急時の配慮についても問題提起する声が挙がった。 面談記録票(資料・支援ツール185ページ) 通院や家庭環境などを考慮し、勤務制度を変更 大東コーポレートサービス株式会社 メンタルヘルスケア対策 ■ 改善前の状況  通院や家庭環境などを考慮し、障害特性や個々の生活スタイルに合わせた勤務制度の検討が必要になった。 ■ 改善策 @フレックス勤務制度を導入し、1か月の中での日々の勤務時間の調整を可能にした。たとえば通勤ラッシュを避けるための時差出勤をしたり、繁忙日は少し長めに働き、忙しくない日には早めに帰ったりするなど柔軟な勤務ができるようにした。 A在宅勤務制度を導入。まず在宅勤務が可能な業務を選定し、その上で障害のある社員の状態や特性などに応じて在宅勤務可能な日数などを決めた。 ■ 改善後の効果  フレックス勤務により通勤ラッシュが避けられたことや体調に応じ勤務時間が調整できることにより、社員の体調の安定化が図れた。  また、在宅勤務の導入により、通勤によるストレスが減り、通勤時間に掛かる身体的負担もなくなったことで、体調管理がしやすくなった。  また、自宅の落ち着いた環境で勤務できることで、集中して業務にあたることができるようになった。 ■ 担当者の声 辻 庸介さん(品川サービス部 次長)  「在宅勤務については、業務内容や体調管理の面等を考え、在宅勤務可能な社員に対して実施しています。在宅の頻度は週1〜4日と個別に決めていますが、週1日以上は出社するよう指示しています。また、在宅では社員の表情等が分からないため、朝礼などの打ち合わせ時には、顔が見えるよう、Microsoft Teamsのビデオ通話で対応をしています。フレックスタイム制度については、通勤混雑を避けるために出社時間を少し遅らせたり、勤務時間を1日30分〜1時間、時間調整するという形で活用をしています。総じて、体調面の安定化という点でメリットがあると感じており、業務内容によっては業務効率が上がるケースもあり、一定の成果が出ていると感じています。」 障害に配慮した休憩場所等の設置や休暇制度の変更 株式会社キトー メンタルヘルスケア対策 ■ 改善前の状況 @車いす使用の社員の中には、毎日、腰を伸ばすなどのストレッチが必要な者がいるが、休憩場所として指定されていた医務室は気軽に使いにくいなどの状況があった。また、障害のある社員が着替えなどに使えるスペースがなかった。 A身体障害のある社員に対し、周りの社員が外見的な印象でどのような配慮が必要を判断してしまい、必ずしも本人が望む配慮になっていないことがあった。 B障害のある社員の通院日を確保するために、月一日の通院休暇を設けていたが、一日単位であることから、半日の休暇で済む者、2か所に半日ずつ通院したい者など、様々なケースには使いにくい面があった。 ■ 改善策 @フロアの一部に移動式のパーティションで区切った車いす使用の社員専用の休憩スペースを設置し、本人のペースで気兼ねなく利用できるようになった。また、着替えなどに利用するため、一部のバリアフリートイレに多目的シートを設置し、利用できるようにした。 A事前に本人の了解を得た上で、入社の際に自己紹介シート(得意なことや苦手なこと、職場に理解・配慮してほしいことなどをまとめたもの)を作成してもらい、それを職場で情報共有した。 B一日単位であった通院休暇を半日単位で月2回に分けて取得することができる制度に変更した。 車いす使用の社員用休憩スペース バリアフリートイレ内に設置した多目的シート ■ 改善後の効果 @車いす使用の社員が休憩場所を気兼ねなく利用することができるようになった。トイレの多目的シートについても、着替えスペースとして利用できるようになった。 A配属先の社員は、身体障害のある社員本人の状況や必要な配慮が何かを正確に理解することができ、適切な配慮が行われている。本人も必要なことを明確に伝え、理解されていることで安心して働いている。 B障害のある社員一人ひとりの状況に応じて柔軟に通院休暇を利用できるようになり、安定した勤務につながった。 ■ 社員の声 Mさん(休憩スペースなどを利用されている方)  「制度や設備の利用による身体的負担軽減はもちろん、自己紹介シートの活用や相談しやすい体制・スピーディな対応により、精神的負担も軽減されています。また、自分だけでなく、今後(他の対象者)を考慮する改善姿勢から、自分も誰かのためになれると感じ、誰かのためになる相談をしようと考えるようになりました。」 障害のある労働者が安心して働けるようにするために社内体制の整備や従事する業務の設定等を行った取組 株式会社ティエラコム メンタルヘルスケア対策 ■ 改善前の状況  障害のある社員を雇用し、安心して働くことができるようにするためには、障害者雇用促進法の目的や理念を理解し障害者を支援する体制を整えたうえ、様々なケースを想定した支援方法を確立していく必要があった。 ■ 改善策 〇社内支援体制の整備 ・障害者雇用に関する各種セミナーや障害者職業生活相談員資格認定講習等へ積極的に参加し、社内支援体制、支援方法に関する情報を収集した。 ・専任社内支援者(障害者職業生活相談員)を配置することにより、障害のある社員が安心して働き、必要な場合には気軽に相談できる体制を作っている。 〇障害のある社員が従事する業務  障害のある社員はダイバーシティ推進センターに所属し、それぞれの持つ技能や経験が発揮できる業務に従事している。  単調な仕事が続くことに負担を感じる社員には、適時仕事の種類を変えるなど、疲労を軽減しながら安定して仕事が続けられるよう配慮している。  具体的な業務内容については、入社時に本人の希望を聞き取り、できるだけ希望に沿う内容に従事してもらうこととしている。  また、勤務を続ける中で、過去に経験のある専門的な仕事にも携わりたいという申し出がある場合がある。経験のある専門業務については、それ自体が過去の負の体験であり、体調不良の原因である場合が多いため、充分に本人と相談し体調面を考慮した上で当該業務に従事してもらっている。 〇在宅勤務  令和2年度のコロナ禍をきっかけにして、在宅勤務を取り入れており、身体障害のある社員、精神障害のある社員、いずれについても社内システムを介した情報管理業務のリモート化を図った。  在宅勤務時、当該社員とはチャット形式での業務報告を行うようにしている。体調面についての情報収集や相談についても、始業・終業の連絡時に行っている。体調面の不安が大きい場合は電話による相談を受け、体調不良とならないよう業務を調整している。 〇その他障害特性等に応じた取組 ・聴覚過敏の社員については、ノイズキャンセリングサウンドを聞くことを認め、集中して仕事できるようにした。 ・通勤ラッシュで疲労を感じやすい社員や、服薬の関係で朝が苦手な社員には、本人の希望に沿った時差出勤を可としている。 ・それぞれの仕事の締め切りについてはなるべく余裕を持った日時を設定し、心理的負担とならないように配慮している。 ・車いすを使用する社員のために、引き出しがないタイプの机を用意した。バリアフリー化された建物に事業所はあるが、ビル管理会社に相談してトイレの外扉を撤去するなど、更に便利な環境を準備した。 ・高層ビルの上層階にオフィスがあるため、万一の際には即時退避行動ができるように、車いす使用の社員は事業所の出入口最寄りに座席を配置している。ビル全体の避難訓練においては、周囲の社員がサポートして災害発生時のルールに従って対応できるよう、当該社員が安心して仕事に従事できるように配慮した。 ■ 改善後の効果  それ以前は身体障害のある社員を中心に雇用してきたが、平成28年度を境に精神障害のある社員を雇用していくこととし、受け入れ環境整備を目的に社内支援体制等を整えることができた。結果として、身体、精神問わず障害のある社員が安心して仕事に取り組めるようになった。また、障害のある社員には数ある業務の中から本人に適した業務を割り振ることで、仕事のやりがいを感じてもらえるようになった。  当初、障害のある社員に対する支援の取り組み情報は人事部内にとどめていたが、令和2年4月に、障害者雇用の専門部署としてダイバーシティ推進センターを立ち上げた後、本人の同意を得た上で、備わっている技能や過去の経験などの情報を他部署と共有している。これにより、広く社内にスキルを活かして活躍する場が広がっており、仕事へのやりがいが高まる効果をもたらしている。 ■ 担当者の声 寺崎 千典さん(支援担当者)  「職場では、障害のある社員それぞれの座席が近く、気軽に体調の話をしたり、お互いの状況を理解し合えるという良い関係性が築けています。また、社員募集の際、障害のある社員が複数在籍していることは、応募者にとって心強いようです。  なお、これまでの支援方法等については、これで良いとは考えておらず、今後もそれぞれの特性に合わせて社員が安心して働けるように、社内支援体制の整備、社内における支援方法の充実を図っていきたいと考えています。」 障害のある労働者の定着支援を担う専門組織を発足し支援体制を構築 NTTクラルティ株式会社 メンタルヘルスケア対策 ■ 改善前の状況 ・本社に加え、全国に6か所の事業所を展開しており、社員の定着支援業務は本社に在籍する人事担当が兼務していた。 ・障害者雇用の進展とともに、各事業所では身体障害者や内部障害者に加えて精神障害者の採用が増加したが、人事担当のみでは全事業所の定着支援をカバーすることが難しくなった。 ・特に精神障害のある社員の対応に関する専門知識や経験を持つ社員が不足していたほか、支援を通じて課題解決ができたとしても、全社的な情報共有や事例の蓄積につながっていなかった。 ■ 改善策 1 障害のある社員の定着支援を担う専門組織「定着支援担当」の発足 ・社員の定着支援を担う専門組織として、専門資格を持つ社員を配置した「定着支援担当」を発足し、定着支援体制を構築した。 ・定着支援担当は、事業所毎に割り振りを決め、全事業所の社員をもれなく支援できる体制を整えた。 (資料・支援ツール206ページ) 2 定着支援の内容 ○定期面談の実施 ・全社員:入社1週間後、定着支援コーディネーターが全社員と面談を行う。 ・精神障害のある社員:入社後半年から1年までの間、月1回の定期面談を行う。職場定着上の課題や本人からの希望等に応じて、面談期間を延長する。 ○社内外関係者との連携 ・面談の内容に応じて、社内の関係者(産業医、保健師、上長、企業在籍型ジョブコーチ、障害者職業生活相談員)や社外の関係者(主治医、支援機関)と連携する。 ○社員の相談窓口の設置 ・全社員が相談できる窓口として「つなぐ相談室」を設置。全事業所からの相談を定着支援コーディネーターが受けている。 3 障害者雇用に関する啓発 ・管理者研修の実施:全管理者を対象に、グループワーク(事例検討)を中心とした研修を実施(年1回) ・「障がい理解研修」の実施:全社員を対象に、障害特性や配慮が必要なこと等を相互に理解するための研修を実施(年1回) 【精神障害のある社員に対する面談・定着支援時の工夫】 ○体調を記録する体調管理ツール「つなぐログ」を導入。体調や疲労度合い、対処行動等を毎日記録してもらい、定期面談時に定着支援コーディネーターと社員が一緒に振り返りを行うことで、社員自身が体調の波や不調のサインに気づき対処行動を取ることができるようにしている。 ○面談時には面談の目的を踏まえて解決したい課題及び目標設定を行い具体的に取り組むことにより、面談期間が長期化しないように留意している。 ○定着支援担当からのアドバイスだけではなく、社員自身が考えて解決策を導き出せるような関わりを意識している。 ■ 改善後の効果 @定期面談を中心とした支援体制により、社員を中心に職場と支援機関がそれぞれの役割を担い連携し、効果的な支援を行うことができている。 A入社1週間後に全社員との面談を行うことで、課題や懸案事項を早期に発見し、その後の支援の方向性を決めることができている。  また、定着支援コーディネーターと顔の見える関係があることで、何かあったときには「つなぐ相談室」に気軽に相談できている。障害のある社員本人だけではなく、上司や同僚からの相談も受けており、職場内で問題を抱え込むことを防いでいる。 B障害の有無や障害種別、雇用形態に関わらずお互いを尊重し合いながら働く意識が醸成され、社員一人ひとりが安心感を持って働くことができている。 障害のある労働者が相互理解を深め、安心して働けるようにするためのミーティングの実施 NTTクラルティ株式会社 メンタルヘルスケア対策 ■ 改善前の状況 ・身体障害のある社員、精神障害のある社員、障害のない社員が同じ職場で勤務しているが、障害のある社員は疾病や障害によって不調時の対処方法が異なることから社員間で戸惑いの声が挙がっていた。 【不調時の対処方法の例】 不調時には休憩回数や休憩時間を増やす、短時間勤務とする 等 ・精神障害のある社員は外見ではどんな配慮が必要か分からず、他の社員と同じ指導方法では思うように習熟が進まないとの相談が業務指導担当者からあった。 ■ 改善策 「障がい理解ミーティング」の設定 ・同僚に、自身の障害について説明し、必要な配慮事項や不調時の対処法、周囲の社員にしてもらいたいことなどを自らの言葉で発信する機会「障がい理解ミーティング」を設定することとした。 ・ミーティングは職場ごとに行い、@新入社員が配属されたとき、A異動等で新たな社員が配属されたときに雇用形態を問わず実施する。 【実施の流れ】 @同意が得られた社員のみを参加対象とし、説明を行う社員に対してミーティングの目的や注意事項を事前に説明する。 <目的> 職場の仲間にお互いのことを伝え合う機会を持つことで相互理解が進み、お互いに補いあいながら働くことで各自の持つ力をさらに発揮すること。 <注意事項(一部)> ・障害の自己開示にはメリットもあればデメリットもある。伝えすぎて傷ついたり体調を崩したりしない範囲で自己開示すること。 ・就労支援機関の支援を受けている場合は、可能であれば支援者に連絡をして、内容のチェックやアドバイスをもらえるとよい。 ・記入に際して疑問や迷いなどが生じたときは定着支援担当に相談すること。 A説明を行う社員があらかじめ当日伝えたい内容をシートに整理し、事前に上長に提出する。 上長と社員でシートを確認しながら、自身の障害状況などをどの程度開示するか検討を行う。 B上長から定着支援担当にシートが提出され、説明を行う社員と定着支援担当で改めて記入事項を確認し、推敲する。 C「障がいの相互理解ミーティング」を実施する。 ミーティングは、概ね4〜8人程度のグループで行い、定着支援担当が進行を行う。 ■ 改善後の効果 ・不調時の対処方法に個人差があること、対処方法が必要な理由について理解が深まり、社員間の戸惑いの声が減少した。 ・職場の社員の顔ぶれが変わるタイミングでミーティングを行うため、新たに配属された社員を自然にフォローできる体制づくりにつながっている。 ・ミーティングを通して、個々の特性を理解することができ、社員の指導方法を見直すことができた。 (例)「口頭説明を覚えることが苦手」な社員に対しては、事前に文字による説明を加えることで業務内容を理解しやすく改善。 個別相談、自己紹介カードの作成、本人にあった職場環境の改善など、安心して働くための配慮を実施 株式会社旭化成アビリティ 延岡営業所 メンタルヘルスケア対策 ■ 改善前の状況  障がいのある社員には、それぞれ不安感や負担感、疲労感など様々な課題があり、それを一人で抱え込むことで長期の休みになってしまうなどの問題につながる人もいるため、安心して働けるような支援体制を整備していく必要があった。 ■ 改善策  障がいのある社員が安心して働けるように、社内の活き活き推進部(社員一人ひとりの成長、職場定着を促すための組織)の主にお世話係(定着支援員)では、以下のような活動を行った。 〇個別相談  基本的には、入社後3か月間は定期面談を行い、業務以外の困りごとや疑問などについて相談を受けている。  なお、3か月経過後であっても、社員に不安などがある場合は、本人の同意も得ながら継続相談又は適宜相談を行っており、社員それぞれの課題などに対応できるようにしている。 〇自己紹介シート  社員自身の特徴や特性(どのような障がいか、できること、苦手なことなど)や仕事をする中で周りに配慮してほしいこと、自分で努力していることなどについて、社員が自己理解し、周囲の社員にも自身のことを理解してもらうために「自己紹介シート」を作成している。  内容については社員それぞれの状態に応じて、お世話係も助言をしながら作成し社内(所属課やグループ内)で共有している。なお、これらのことについては、本人の同意を得ること及び個人情報の適切な管理(コピー厳禁など)を行っている。  一緒に業務を行うメンバーで共有することで、相互理解が深まり、コミュニケーションの一助になっている。また、毎年更新することで、自身の目標の変化や成長を感じられるツールにもなっている。 <自己紹介シート> 社員が自己紹介シートに記入します。 <自己紹介シートの見直し> 自身の振り返りと目標の設定のために、自己紹介シートは毎年見直しています。 (資料・支援ツール207・208ページ) 〇職場環境の改善  障がいのある社員が安心して働けるように、お世話係が業務の担当者(インストラクター)などと連携しながら、職場環境の改善も行っている。 事例 発達障がいのあるKさん 〈状況の確認〉  Kさんは、PC入力業務を主とする業務に従事していたが、職場の環境がKさんの心身に多大な影響を与えていた。そのため、仕事の効率が落ち、常に疲れと不安な様子が感じられる状態にあり、また、自身の障がいについて周囲の方に理解してもらえないのではと、気持ちが落ち込み不安定になることもあった。Kさんは、仕事はしっかりしたいという気持ちで毎日休まずに出社するが、カラダは相反しており、とてもきつかったとのことであった。 〈原因や背景の確認〉  お世話係と面談したところ、Kさんには感覚過敏の特性もあるため、人の往来や蛍光灯の光、人の話し声や電話、業務上発生する音など、常に外界からの多種多様な刺激にさらされ、集中できる状態にないことがわかった。 〈改善への対応〉  Kさんの意見を聞きながら、お世話係、現場の上司や業務の担当者で検討し、上司の了解を得た上で以下のような環境の整備を行った。 ・周囲の刺激が少なそうな場所に席替えする ・刺激を少しでも緩和させるため、折り畳み式の囲いを設置する ・ノイズキャンセリング(周囲の音を遮断するヘッドホン・イヤホン)を使用する ・Kさんの特徴を周囲の人に理解してもらうためのシートを囲いに貼る 仕事の環境 特徴を周囲の人に理解してもらうためのシート ■ 改善後の効果  お世話係を中心とした活き活き推進部の活動により、メンタルヘルスなどの健康面について、障害のある社員を支援・フォローできる体制が整い、働く社員にとっても、サポートし、コミュニケーションを取ってくれる担当者がいることは、社員の安心感にもつながっている。  職場環境の改善を実施したKさんについては、改善の結果、業務に集中できるようになり、作業効率が3倍に向上した。また、併せて本人の特徴を周囲に伝えることで、周囲の社員たちがさらなる改善案を出してくれるようになるなど、本人にとっても、周囲が自分のことを理解し、コミュニケーションを取ってくれているという場面が増えたと感じられるようになった。現在では、服薬もなく、定期的な受診とカウンセリングを行うことでコントロールができている。  最近は聴覚過敏がある方の入社が増加しているが、それぞれKさんと同様に上司と相談し、上司の許可を得た上でノイズキャンセリングなどを使用し、また、自身の特徴を周囲に伝えることで周囲の理解も得ることができており、仕事をする上での負担感を軽減することができたという効果があらわれている。さらには、お世話係の面談があることで、突然の休みが減少し、社員の安定した出勤にもつながっている。 健康診断における手話通訳者の活用 株式会社キトー 健康診断 ■ 改善前の状況  社員対象の健康診断の際、保健師(社内)や医療関係者(医師など)と聴覚障害のある社員とのコミュニケーションでは筆談ボードやUDトークなどを利用していたが、細かなことまで伝わっているか、問診する側も受診する側も不安があった。手話ができる同僚もいるが、健康診断はプライベートな情報を扱うため、同僚に手話通訳を担当させることは困難であった。 ■ 改善策  健康診断時には外部機関(山梨県立聴覚障害者情報センター)に手話通訳の派遣を依頼した。 ■ 改善後の効果  専門性と守秘義務を有する手話通訳者が関わることで、受診時のコミュニケーションがスムーズになされるとともに、受診者も安心できた。また、保健師などの負担も減らすことができた。 ■ 社員の声 深澤 遼さん  「年齢を重ねると、健康診断の受診項目が増えますが、医師の説明が理解できない部分もあり不安でした。手話通訳者がいると、医師への確認や質問などのコミュニケーションがスムーズにでき、自分の体のことも理解できるので、安心して健康診断を受診できます。  今後も健康診断の際は、必ず手話通訳者の派遣をお願いしたいです。」 ■ 担当者の声 古屋 由美さん(社内保健師:健康保健事業の担当者)  「健診時、以前はUDトークの利用や筆談で対応していましたが、検査方法の説明不足や理解不足により、ご本人の状況が十分に伝わらず、結果判定等の精度や本人の満足度が低下してしまうことが懸案事項でした。  手話通訳を依頼するようになり、ご本人もスタッフも安心して健診を受けることができるようになり良かったと思います。」 体調チェックや熱中症指標計の装着による屋外作業 NSハートフルサービス関西株式会社和歌山事業所 熱中症対策 ■ 改善前の状況  体力面で心配ないと思われた若手社員のAさんが、夏場の屋外作業時に軽い熱中症のような症状を呈したことがあった。 ■ 改善策 @通年の健康問視に加え、夏場はトイレの回数、睡眠の質、水分摂取量の記入と、日々の体調を申告するようにした。 熱中症指標計を装着しながらの園芸作業 夏季健康問視追加チェックリスト(資料・支援ツール200ページ) A夏場は、1日1本のスポーツドリンクを支給し、必ず作業時間中に飲み切るよう指示した。 B熱中症指標計を作業着に装着し、アラームが鳴ることで熱中症の危険性を知らせるようにした。 Cアラームが鳴らなくても気温に応じて20分経過後、あるいは気温が体温を超えたと感じた場合は休憩をこまめに取ることにした。 D頭痛がするなど体調に異変を感じた場合は、必ず構内の診療所を受診するようにした。 E冬場は防寒具を着用し、体調維持を図るよう指示した。 ■ 改善後の効果  たとえ10代の社員で体力があるように見受けられても、暑さに慣れず体調を崩すことがあると職場全体で認識し、適切な管理や指示をするようになってからは、熱中症になる社員がいなくなった。 ■ 担当者の声 三好 一幸さん(担当部長)  「WBGT測定器を装着する以前は、外での水やり作業などでは誰かがそばについていたり、メンバーの中には暑くてのどが渇いても頑張り屋さんなので我慢してしまい、体調を崩すこともありました。今では各自それぞれ測定器を装着することによって、少し離れた場所でも一人で任せられるようになり、警戒値や危険値など目で見て判断できるので、無理をせず作業ができるまでになりました。それにより、メンバー一人ひとりが自覚と自信を持って元気に楽しく働いています。」 産業医と常駐看護師との連携 株式会社ハチカン 熱中症対策 ■ 改善前の状況  加熱製造が多いため、工場内温度が上昇し、熱中症が多数発生することがあった。中でも知的障害のある社員は体調不良を自己申告できず熱中症にかかることが多かった。 ■ 改善策 1 産業医による工場内パトロールで職場環境改善 産業医に工場内のパトロールを依頼し、工場内の業務や設備を踏まえた熱中症対策を提案してもらった。その上で、冷房機器の増設に加え、断熱板やスポットクーラーの設置、冷房の効く休憩室や建物ごとの医務室の設置、スポーツドリンクやネッククーラーの用意等を行った。 2 常駐看護師の配置で即時の対応・相談できる体制づくり 知的障害のある社員には、同じ部署や労務課の他の社員がこまめに体調を確認し、休憩や水分補給を促すようにした。更に、専門的な観点からの対応ができるように常駐看護師を配置し、いつでも相談できる体制を整備した。常駐看護師の配置後は、障害のある社員が熱中症などの体調不良となった時は、看護師からご家族に連絡し、症状の説明や受診勧奨等を迅速に行えるようになった。 ■ 改善後の効果  熱中症が1か月に30人程度発生することもあったが、対応後はほぼ0人となった。  常駐看護師を配置したことで、全社員が健康面での相談を行いやすくなったほか、社員が体調不良となったときに軽度なうちに対応できるようになり、救急搬送対応がなくなった。 職場改善のために事業所が作成した資料・支援ツール 職場改善のために事業所が作成した資料・支援ツール  職場改善のために作成した資料や障害のある社員の方などに対して用いた支援ツールを、取材先事業所のご了解のもと掲載しています。職場改善に役立つ実践的な資料ですので、是非参考にしてください。 株式会社ニッセイ・ニュークリエーション @委員会の組織図 A委員会で作成したポスター ウシオ電機株式会社 ダイバーシティー推進プロジェクト(障がい者雇用分科会)について オムロン太陽株式会社 @ヒヤリハット報告書「転倒防止のため足元のマットにテープを貼った事例」 Aヒヤリハット報告書「自動機の部品投入口に安全カバーを取り付けた事例」 B避難時の社内体制図 C避難行動のフロー図(津波発生時) 株式会社ササキ @疾病説明用ペーパー A面談記録票 株式会社ハチカン @運動靴の基準(春・夏・秋) A運動靴の基準(冬) シダックスオフィスパートナー株式会社 @セルフケア研修資料「研修・グループワーク資料」 Aセルフケア研修資料「アクティブラーニング」 Bセルフケア研修資料「サポートスキル活用事例報告書」 C食生活に関する研修資料(一部抜粋) NSハートフルサービス関西株式会社和歌山事業所 @指さし確認の「見える化」 A夏季健康問視追加チェックリスト 株式会社ティエラコム 体調チェックシート 百五管理サービス株式会社 @Aさんのナビゲーションブック AAさん専用の作業日誌 医療法人社団知己会 龍岡ケアセンター @清掃マニュアル A指導員用業務日誌(清掃) NTTクラルティ株式会社 定着支援面談体制 株式会社旭化成アビリティ 延岡営業所 @自己紹介シート A自己紹介シートの見直し 株式会社ニッセイ・ニュークリエーション @委員会の組織図 A委員会で作成したポスター ●災害対策本部「新型コロナウィルス感染予防『5つの基本行動』」 A委員会で作成したポスター ●健康促進委員会「ウォーキングや散歩で元気&健康な体づくり!」 ウシオ電機株式会社 ダイバーシティー推進プロジェクト(障がい者雇用分科会)について オムロン太陽株式会社 @ヒヤリハット報告書「転倒防止のため足元のマットにテープを貼った事例」 Aヒヤリハット報告書「自動機の部品投入口に安全カバーを取り付けた事例」 B避難時の社内体制図 C避難行動のフロー図(津波発生時) 株式会社ササキ @疾病説明用ペーパー A面談記録票 株式会社ハチカン @通勤靴の基準(春・夏・秋) A通勤靴の基準(冬) シダックスオフィスパートナー株式会社 @セルフケア研修資料「研修・グループワーク資料」 Aセルフケア研修資料「アクティブラーニング」 Bセルフケア研修資料「サポートスキル活用事例報告書」 C食生活に関する研修資料(一部抜粋) NSハートフルサービス関西株式会社和歌山事業所 @指さし確認の「見える化」 A夏季健康問視追加チェックリスト 株式会社ティエラコム 体調チェックシート 百五管理サービス株式会社 @Aさんのナビゲーションブック AAさん専用の作業日誌 医療法人社団知己会 龍岡ケアセンター @清掃マニュアル A指導員用業務日誌(清掃) NTTクラルティ株式会社 定着支援面談体制 株式会社旭化成アビリティ 延岡営業所 @自己紹介シート A自己紹介シートの見直し 障害者雇用に役立つ資料 障害者雇用に役立つ資料 中央障害者雇用情報センターのごあんない  障害者雇用に豊富な経験を有する障害者雇用支援ネットワークコーディネーターが、企業の規模・業種の特性に応じた雇用管理や合理的配慮の提供等に関する相談・援助を行っています。また、就労支援機器アドバイザーが、障害者の就労を支援する機器の紹介や貸出しに関する相談を行っています。まずはお問い合わせください。 1.障害者雇用に関する相談・援助 障害者雇用支援ネットワークコーディネーターが、職域拡大や賃金体系の整備等に関する雇用管理相談や特例子会社の設置・運営に係るご相談に応じます。 2.障害者雇用支援人材ネットワーク事業 障害者の雇用管理に係る専門的な支援を必要とする事業所に、労務管理、医療、建築などさまざまな分野の専門家「障害者雇用管理サポーター」の紹介・派遣を行っています。 3.就労支援機器等普及啓発事業 就労支援機器アドバイザーが、支援機器の活用事例のご紹介やデモンストレーション、導入についてのご相談に対応いたします。また、支援機器を無料で貸出します。 障害者雇用職場改善好事例集  障害者の雇用管理や雇用形態、職場環境、職域開発などについて事業所が創意・工夫している取組を、テーマ別に取りまとめて紹介した事例集を作成しています。 過去に作成した好事例集の一例 ○中高年齢層の障害のある方の雇用継続に取り組んだ職場改善好事例集 ○精神障害・発達障害のある方の雇用促進・キャリアアップに取り組んだ職場改善好事例集 ○身体障害、難病のある方などの雇用促進・職場定着に取り組んだ職場改善好事例集 ○中小企業等における精神障害者や発達障害者の職場改善好事例集 ○就職困難性の高い障害者のための職場改善好事例集 など (URL https://www.jeed.go.jp/disability/data/handbook/ca_ls/ca_ls.html) 中高年齢層の障害のある方の雇用継続に取り組んだ職場改善好事例集 障害者雇用のためのマニュアル  (独)高齢・障害・求職者雇用支援機構では、事業主が障害者雇用を進める上で参考となる資料を作成しています。 (https://www.jeed.go.jp/disability/data/  handbook/manual/emp_ls_comic.html) 障害者雇用のためのDVD  障害者雇用を積極的に進めている企業の取組や、活き活きと働く障害者の様子、企業や障害者を支える支援者の姿を映像で紹介するとともに、企業担当者へのインタビュー等を通じて、雇用管理等に関するさまざまなノウハウをわかりやすく解説したDVDです。 お問い合せ 雇用開発推進部 TEL:043-297-9513 FAX:043-297-9547 ◆当機構ホームページに動画を掲載しています。上記のQRコードからご覧いただけます。 ◆DVDの無料貸出しを行っています。  詳しくは以下のホームページをご覧ください。 (URL https://www.jeed.go.jp/disability/data/handbook/dvd/index.html) 就労支援機器普及啓発ホームページ  就労支援機器に関する情報、貸出制度の概要を掲載しています。 (URL https:/ /www.kiki.jeed.go.jp/) 障害者雇用事例リファレンスサービス  障害者雇用について創意工夫を行い積極的に取り組んでいる事業所の事例(モデル事例)や合理的配慮の提供に関する事例をホームページで紹介しています。 (URL https://www.ref.jeed.go.jp/) 障害者の在宅就業支援ホームページ チャレンジホームオフィス  通勤困難な障害者の就業機会を促進するため、在宅勤務の事例や在宅就業を支援する団体等をホームページで紹介しています。 (URL https://www.challenge.jeed.go.jp/) 障害者雇用支援人材ネットワークシステム  障害者雇用の課題に対応した経験を持つ、労務管理、医療、建築などさまざまな分野の専門家「障害者雇用管理サポーター」を検索できます。企業の皆様が抱える疑問や課題に応じて実務的な助言・援助を行います。 (URL https://shienjinzai.jeed.go.jp/) 障害者雇用に取り組む事業主の方へのお役立ちページ  当機構ホームページの「障害者雇用に取り組む事業主の方へのお役立ちページ」で障害者雇用に取り組む事業主の方に役立つ情報を掲載しています。 ○はじめての障害者雇用 〜事業主のためのQ&A〜 ○障害者の労働安全衛生対策 (URL https://www.jeed.go.jp/disability/data/handbook/index.html) 障害者雇用を支援する施策 障害者雇用を支援する施策 障害者雇用率制度  障害者の雇用の促進等に関する法律では、「障害者雇用率制度」を定めており、事業主に対して常時雇用している労働者に障害者雇用率を乗じて得た数以上の障害者を雇用することを義務づけています。  事業主は、毎年6月1日時点の障害者雇用状況をハローワークに報告しなければなりません。また、障害者の雇用の促進と継続を図るための「障害者雇用推進者」を選任するよう努めなければなりません。 法定雇用率  民間企業における障害者の法定雇用率は、2.3%です(令和3年3月1日から)。対象となる民間企業の範囲は、常用雇用労働者数43.5人以上の事業主となります。  例えば、常時雇用している労働者120人の企業は、120人×2.3%=2.76人≒2人(小数点以下は切り捨て)となり、障害者雇用率制度においては、2人以上の障害者雇用義務があることになります。 企業において雇用率を算出する際の障害者の算定方法  障害者雇用率制度において、雇用障害者の数を算定する際は、以下の表のとおりとなります。  一方で、法定雇用障害者数の算定の基礎となる労働者の数を算定する際は、障害の種類や程度に関係なく、短時間以外の常用雇用労働者を1人、短時間労働者を0.5人として算定します。 週の所定労働時間30時間以上 20時間以上30時間未満(短時間労働) 身体障害者(重度以外) 1人を1人として算定 1人を0.5人として算定 身体障害者(重度) 1人を2人として算定 1人を1人として算定 知的障害者(重度以外) 1人を1人として算定 1人を0.5人として算定 知的障害者(重度) 1人を2人として算定 1人を1人として算定 精神障害者 1人を1人として算定 1人を0.5人として算定(注) (注)精神障害者である短時間労働者で、@かつAを満たす方については、1人をもって1人とみなす。 @新規雇入れから3年以内の方又は精神障害者保健福祉手帳取得から3年以内の方 A令和5年3月31日までに、雇い入れられ、精神障害者保健福祉手帳を取得した方 <障害者雇用率の算定例> (例)A企業 常時雇用している労働者250人(障害者5名雇用(身体2人、知的2人、精神1人))の場合 雇用労働者の勤務時間や雇用障害者の障害種別等をふまえて算定すると以下のようになります。 @ 短時間以外の常用雇用労働者 200人 A 短時間労働者 50人 B 身体障害者(重度以外・短時間以外) 1人 C 知的障害者(重度以外・短時間) 1人 D 身体障害者(重度・短時間以外) 1人 E 知的障害者(重度・短時間) 1人 F 精神障害者(短時間以外) 1人 B{(1人)+C(0.5人)+D(2人)+E(1人)+F(1人)}÷{@200人+A(50人×0.5)}×100=<雇用率>2.44%      A企業の障害者雇用率は、2.44%となります。 除外率制度  機械的に一律の雇用率を適用することになじまない性質の職務もあることから、障害者の就業が一般的に困難であると認められる業種について、雇用する労働者数を計算する際に、除外率に相当する労働者数を控除する制度を設けています。  この除外率制度は、廃止となっていますが、当面の間、廃止の方向で段階的に除外率を引き下げ、縮小することとされています。 ⇒厚生労働省「除外率制度について」 https://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-11600000-Shokugyouanteikyoku/4-1-2_5.pdf 障害者の雇入れに関する計画  障害者雇用の数が法定雇用障害者数を大きく下回っている企業に対して、ハローワークの所長は障害者の雇入れ計画に関する計画作成命令ができることになっています。  雇入れ計画の実施を怠っているなどの場合は、適正実施勧告がなされ、それでも従わない場合は、厚生労働大臣がその旨を公表する場合があります。企業名が公表されると企業のイメージダウンや社会的評価の低下につながり、企業経営に影響がでる場合もあります。 障害者トライアル雇用 障害者トライアル雇用事業  障害者雇用の知識や経験に乏しい事業主は、障害者雇用に取り組む意欲があっても雇い入れることに躊躇することがあります。  また、障害者の側でも「どのような職種が向いているかわからない」「仕事に耐えられるだろうか」といった不安を感じている場合があります。  そこで、障害者を短期間の試行雇用(トライアル雇用)の形で受け入れることにより、事業主の障害者雇用のきっかけをつくり、常用雇用への移行を促進することを目的とするトライアル雇用を実施しています。  トライアル雇用の期間は原則として3か月間(テレワーク勤務を行う者は原則3か月以上6か月以内。精神障害者は6か月以上12か月以内)で、ハローワークまたは民間の職業紹介事業者等の紹介により、事業主と対象障害者との間で有期雇用契約を締結します。トライアル雇用期間中の労働条件は、労働基準法などの労働関係法令に基づき定めなければなりません。 <助成額> @トライアル雇用助成金(障害者トライアルコース) トライアル雇用を実施した事業主に対して、トライアル雇用終了後に助成します。 〇精神障害者以外 支給対象者1人につき、月額最大4万円(最長3か月間) 〇精神障害者 支給対象者1人につき、3か月間は月額最大8万円、4か月目以降は月額最大4万円(最長6か月間) Aトライアル雇用助成金(障害者短時間トライアルコース)  直ちに週20時間以上勤務することが難しい精神障害者や発達障害者について、3〜12か月の期間をかけながら20時間以上勤務を目指して試行雇用を行う事業主に対して助成します。 支給対象者1人につき、月額最大4万円(最長12か月間) ※助成金を受給するには要件があります。 ◆お問い合わせ 都道府県労働局、ハローワーク ジョブコーチ支援 職場適応援助者(ジョブコーチ)による支援  障害者が円滑に職場に適応することができるように、ジョブコーチが支援計画に基づいて定期的に事業所を訪問等し、職場での課題を改善し、きめ細かな人的支援を行います。  事業所内のサポート体制をつくり、ジョブコーチによる支援の頻度を徐々に減らしつつ、事業主が主体的に支援できるようになることを目標としています。  〇障害者に対する支援  「作業手順を覚える」「作業のミスを防ぐ」などの職務を遂行するための支援、「質問や報告を適切に行う」など仕事をするうえで円滑にコミュニケーションをとるための支援などを行います。  また、「不安の軽減」や「ストレス・疲労への対処」のための相談を中心に支援を行うこともあります。  〇事業主に対する支援  「障害を理解し、適切な配慮をするための助言」や「仕事内容や指導方法に対する助言」などの支援を、事業主や職場の社員に対して行います。 ジョブコーチ @配置型ジョブコーチ:地域障害者職業センターに所属するジョブコーチ A訪問型ジョブコーチ:就労支援を行っている社会福祉法人等に所属するジョブコーチ B企業在籍型ジョブコーチ:障害者を雇用する企業に所属するジョブコーチ  ジョブコーチになるには、職場適応援助者養成研修を受講し修了することが必要です。 ⇒当機構の養成研修 https://www.jeed.go.jp/disability/supporter/seminar/job_adapt02.html  また、A訪問型ジョブコーチ、B企業在籍型ジョブコーチによる支援に関しては、助成金(職場適応援助者助成金)制度が設けられています。 ◆お問い合わせ 地域障害者職業センターなど 特定求職者雇用開発助成金 特定求職者雇用開発助成金(特定就職困難者コース)  身体障害者、知的障害者または精神障害者などの就職が特に困難な方をハローワークなどの紹介により継続して雇用する労働者として新たに雇い入れた事業主に対して、その賃金の一部に相当する額を一定期間助成することにより、これらの方の雇用機会の増大を図るものです。  助成金を受給するためには、助成額の対象となる要件を満たすことのほか、事業主が申請期間内に適正な支給申請を行うことが必要になりますので、ハローワークと十分に確認することが必要です。 主な受給要件    受給するためには、次の要件のいずれも満たすことが必要です。  また、このほかにも、雇用関係助成金共通の要件などいくつかの支給要件がありますので、詳しくは「お問い合わせ」までご確認ください。 @ハローワークまたは民間の職業紹介事業者等の紹介により雇い入れること。 A雇用保険一般被保険者として雇い入れ、継続して雇用すること(※)が確実であると認められること。 (※)対象労働者の年齢が65歳以上に達するまで継続して雇用し、かつ、当該雇用期間が継続して2年以上であることをいいます。 助成額など  対象労働者 助成額(大企業 中小企業※2)助成対象期間(大企業 中小企業)  身体障害者、知的障害者(短時間労働者 ※1以外) 50万円 120万円 1年 2年  身体障害者、知的障害者、精神障害者(短時間労働者) 30万円 80万円 1年 2年  重度身体・知的障害者、精神障害者、45歳以上の身体・知的障害者(短時間労働者以外) 100万円 240万円 1年6ヶ月 3年 ※1 「短時間労働者」とは、1週間の所定労働時間が20時間以上30時間未満の者をいいます。 ※2 ここでいう「中小企業の範囲」は下表のとおりです。 中小企業の範囲   産業分野 資本または出資額 常時雇用する労働者数  小売業(飲食店含む) 5,000万円以下 50人以下  サービス業 5,000万円以下 100人以下  卸売業 1億円以下 100人以下  その他業種 3億円以下 300人以下 ◆お問い合わせ 都道府県労働局、ハローワーク 障害者雇用納付金制度 障害者雇用納付金制度とは  障害者を雇用するには、作業施設や設備の改善、職場環境の整備、特別の雇用管理等が必要とされることが多く、経済的負担が伴うことから、雇用義務を履行している事業主と履行していない事業主とではその経済的負担に差が生じることとなります。  障害者雇用納付金制度は、身体障害者、知的障害者及び精神障害者を雇用することは事業主が共同して果たしていくべき責任であるとの社会連帯責任の理念に立って、事業主間の障害者雇用に伴う経済的負担の調整を図るとともに、障害者を雇用する事業主に対して助成、援助を行うことにより、障害者の雇用の促進と職業の安定を図るため「障害者の雇用の促進等に関する法律」に基づき設けられた制度です。 ◆障害者雇用納付金制度の概要 ◆詳細説明 ⇒https://www.jeed.go.jp/disability/koyounohu/index.html ◆お問い合わせ (独)高齢・障害・求職者雇用支援機構 都道府県支部高齢・障害者業務課(東京及び大阪は高齢・障害者窓口サービス課) 障害者雇用納付金制度に基づく助成金 障害者雇用納付金制度に基づく助成金とは  障害者雇用納付金制度に基づく助成金は、事業主等が障害者の雇用にあたって、施設・設備の整備等や適切な雇用管理を図るための特別な措置を行わなければ、障害者の新規雇入れや雇用の継続が困難であると認められる場合に、これらの事業主等に対して予算の範囲内で助成金を支給することにより、その一時的な経済的負担を軽減し、障害者の雇用の促進や雇用の継続を図ることを目的とするものです。 ◆助成金の種類 助成金 内容 障害者作業施設設置等助成金  障害者を労働者として雇い入れるか継続して雇用している事業主が、その障害者が障害を克服し、作業を容易に行うことができるよう配慮された作業施設、就労を容易にするために配慮されたトイレ、スロープ等の附帯施設もしくは作業を容易にするために配慮された作業設備の設置または整備を行う場合に、その費用を一部助成するものです。なお、対象となる障害者が雇用され、または職場復帰もしくは人事異動等から6か月を超える期間が経過しており、作業施設等の設置または整備を行う十分な必要性がないと判断される場合は、助成対象とはなりません。 障害者福祉施設設置等助成金  障害者を労働者として継続して雇用している事業主または事業主が加入している事業主の団体が、障害者である労働者の福祉の増進を図るため、障害者が利用できるよう配慮された休憩室等の福祉施設の設置または整備を行う場合に、その費用の一部を助成するものです。 障害者介助等助成金  障害者を労働者として雇い入れるか継続して雇用している事業主が、障害の特性に応じた適切な雇用管理のために必要な介助等の措置を行う場合に、その費用の一部を助成するものです。 職場適応援助者助成金  職場適応に課題を抱える障害者に対して、職場適応援助者による支援を行う場合に、その費用の一部を助成するものです。 重度障害者等通勤対策助成金  重度身体障害者、知的障害者、精神障害者または通勤が特に困難と認められる身体障害者を労働者として雇い入れるまたは継続して雇用する事業主、またはこれらの事業主を構成員とする事業主の団体が、その障害者である労働者の障害の特性に応じた通勤を容易にするための措置を行う場合に、その費用の一部を助成するものです。なお、対象となる障害者が雇用されて6か月を超える期間が経過しており、その通勤を改めて容易にする必要がないと判断される場合は、中途障害者となった場合または障害の重度化が認められる場合もしくは人事異動等を除き、助成対象とはなりません。 重度障害者多数雇用事業所施設設置等助成金  重度身体障害者、知的障害者または精神障害者を労働者として多数継続して雇用し、かつ、安定した雇用を継続することができると認められる事業主で、これらの障害者のために事業施設等の設置または整備を行い、モデル性が認められる場合に、その費用の一部を助成するものです。 ◆詳細説明(リンク先) ⇒https://www.jeed.go.jp/disability/subsidy/index.html ◆お問い合わせ (独)高齢・障害・求職者雇用支援機構 都道府県支部高齢・障害者業務課(東京及び大阪は高齢・障害者窓口サービス課) 連絡先一覧 連絡先一覧 地域障害者職業センター 一覧  障害者職業カウンセラーが配置され、公共職業安定所(ハローワーク)、障害者就業・生活支援センター、病院、特別支援学校等の関係機関との密接な連携の下、各都道府県における中核的な職業リハビリテーション機関として、地域に密着した職業リハビリテーションサービスを提供しています。 名称 郵便番号 所在地 電話番号 FAX番号 北海道障害者職業センター 001-0024 札幌市北区北二十四条西5-1-1札幌サンプラザ5階 011-747-8231 011-747-8134 北海道障害者職業センター 旭川支所 070-0034 旭川市四条通8丁目右1号 LEE旭川ビル5階 0166-26-8231 0166-26-8232 青森障害者職業センター 030-0845 青森市緑2-17-2 017-774-7123 017-776-2610 岩手障害者職業センター 020-0133 盛岡市青山4-12-30 019-646-4117 019-646-6860 宮城障害者職業センター 983-0836 仙台市宮城野区幸町4-6-1 022-257-5601 022-257-5675 秋田障害者職業センター 010-0944 秋田市川尻若葉町4-48 018-864-3608 018-864-3609 山形障害者職業センター 990-0021 山形市小白川町2-3-68 023-624-2102 023-624-2179 福島障害者職業センター 960-8054 福島市三河北町7-14 福島職業能力開発促進センター内 024-526-1005 024-535-1000 茨城障害者職業センター 309-1703 笠間市鯉淵6528-66 0296-77-7373 0296-77-4752 栃木障害者職業センター 320-0865 宇都宮市睦町3-8 028-637-3216 028-637-3190 群馬障害者職業センター 379-2154 前橋市天川大島町130-1 ハローワーク前橋3階 027-290-2540 027-290-2541 埼玉障害者職業センター 338-0825 さいたま市桜区下大久保136-1 048-854-3222 048-854-3260 千葉障害者職業センター 261-0001 千葉市美浜区幸町1-1-3 ハローワーク千葉合同庁舎4階 043-204-2080 043-204-2083 東京障害者職業センター 110-0015 台東区東上野4-27-3上野トーセイビル3階 03-6673-3938 03-6673-3948 東京障害者職業センター多摩支所 190-0012 立川市曙町2-38-5 立川ビジネスセンタービル5階 042-529-3341 042-529-3356 神奈川障害者職業センター 252-0315 相模原市南区桜台13-1 042-745-3131 042-742-5789 新潟障害者職業センター 950-0067 新潟市東区大山2-13-1 025-271-0333 025-271-9522 富山障害者職業センター 930-0004 富山市桜橋通り1-18 北日本桜橋ビル7階 076-413-5515 076-413-5516 石川障害者職業センター 920-0901 金沢市彦三町1-2-1 アソルティ金沢彦三2階 076-225-5011 076-225-5017 福井障害者職業センター 910-0026 福井市光陽2-3-32 0776-25-3685 0776-25-3694 山梨障害者職業センター 400-0864 甲府市湯田2-17-14 055-232-7069 055-232-7077 長野障害者職業センター 380-0935 長野市中御所3-2-4 026-227-9774 026-224-7089 岐阜障害者職業センター 502-0933 岐阜市日光町6-30 058-231-1222 058-231-1049 静岡障害者職業センター 420-0851 静岡市葵区黒金町59-6 大同生命静岡ビル7階 054-652-3322 054-652-3325 愛知障害者職業センター 460-0003 名古屋市中区錦1-10-1 MIテラス名古屋伏見5階 052-218-2380 052-218-2379 愛知障害者職業センター豊橋支所 440-0888 豊橋市駅前大通1-27 MUS豊橋ビル6階 0532-56-3861 0532-56-3860 三重障害者職業センター 514-0002 津市島崎町327-1 ハローワーク津3階 059-224-4726 059-224-4707 滋賀障害者職業センター 525-0027 草津市野村2-20-5 077-564-1641 077-564-1663 京都障害者職業センター 600-8235 京都市下京区西洞院通塩小路下る東油小路町803 ハローワーク京都七条5階 075-341-2666 075-341-2678 大阪障害者職業センター 541-0056 大阪市中央区久太郎町2-4-11クラボウアネックスビル4階 06-6261-7005 06-6261-7066 大阪障害者職業センター南大阪支所 591-8025 堺市北区長曽根町130-23 堺商工会議所5階 072-258-7137 072-258-7139 兵庫障害者職業センター 657-0833 神戸市灘区大内通5-2-2 ハローワーク灘3階 078-881-6776 078-881-6596 奈良障害者職業センター 630-8014 奈良市四条大路4-2-4 0742-34-5335 0742-34-1899 和歌山障害者職業センター 640-8323 和歌山市太田130-3 073-472-3233 073-474-3069 鳥取障害者職業センター 680-0842 鳥取市吉方189 0857-22-0260 0857-26-1987 島根障害者職業センター 690-0877 松江市春日町532 0852-21-0900 0852-21-1909 岡山障害者職業センター 700-0821 岡山市北区中山下1-8-45 NTTクレド岡山ビル17階 086-235-0830 086-235-0831 広島障害者職業センター 730-0004 広島市中区東白島町14-15 NTTクレド白島ビル12階 082-502-4795 082-211-4070 山口障害者職業センター 747-0803 防府市岡村町3-1 0835-21-0520 0835-21-0569 徳島障害者職業センター 770-0823 徳島市出来島本町1-5 ハローワーク徳島4階 088-611-8111 088-611-8220 香川障害者職業センター 760-0055 高松市観光通2-5-20 087-861-6868 087-861-6880 愛媛障害者職業センター 790-0808 松山市若草町7-2 089-921-1213 089-921-1214 高知障害者職業センター 781-5102 高知市大津甲770-3 088-866-2111 088-866-0676 福岡障害者職業センター 810-0042 福岡市中央区赤坂1-6-19 ワークプラザ赤坂5階 092-752-5801 092-752-5751 福岡障害者職業センター 北九州支所 802-0066 北九州市小倉北区萩崎町1-27 093-941-8521 093-941-8513 佐賀障害者職業センター 840-0851 佐賀市天祐1-8-5 0952-24-8030 0952-24-8035 長崎障害者職業センター 852-8104 長崎市茂里町3-26 095-844-3431 095-848-1886 熊本障害者職業センター 862-0971 熊本市中央区大江6-1-38 ハローワーク熊本4階 096-371-8333 096-371-8806 大分障害者職業センター 874-0905 別府市上野口町3088-170 0977-25-9035 0977-25-9042 宮崎障害者職業センター 880-0014 宮崎市鶴島2-14-17 0985-26-5226 0985-25-6425 鹿児島障害者職業センター 890-0063 鹿児島市鴨池2-30-10 099-257-9240 099-257-9281 沖縄障害者職業センター 900-0006 那覇市おもろまち1-3-25 沖縄職業総合庁舎5階 098-861-1254 098-861-1116 広域障害者職業センター 一覧  障害者職業カウンセラー及び職業訓練指導員が配置され、医療リハビリテーションとの連携を図りながら、職業評価、職業指導、職業訓練等を一貫した体系の中で実施しています。 名称 郵便番号 所在地 電話番号 FAX番号 国立職業リハビリテーションセンター(中央障害者職業能力開発校) 359-0042 埼玉県所沢市並木4-2 04-2995-1711 04-2995-1052 国立吉備高原職業リハビリテーションセンター(吉備高原障害者職業能力開発校) 716-1241 岡山県加賀郡吉備中央町吉川7520 0866-56-9000 0866-56-7636 都道府県支部 高齢・障害者業務課 一覧(※東京、大阪は高齢・障害者窓口サービス課を含む)  障害者の雇用に関する相談・援助、障害者雇用納付金制度に基づく申告・申請の受付、啓発等の業務を実施しているほか、高年齢者等の雇用に関する相談・援助、各種給付金の申請の受付等を実施しています。 都道府県 郵便番号 所在地 電話番号 FAX番号 北海道 063-0804 札幌市西区二十四軒4条1-4-1 北海道職業能力開発促進センター内 011-622-3351 011-622-3354 青森 030-0822 青森市中央3-20-2 青森職業能力開発促進センター内 017-721-2125 017-721-2127 岩手 020-0024 盛岡市菜園1-12-18 盛岡菜園センタービル3階 019-654-2081 019-654-2082 宮城 985-8550 多賀城市明月2-2-1 宮城職業能力開発促進センター内 022-361-6288 022-361-6291 秋田 010-0101 潟上市天王字上北野4-143 秋田職業能力開発促進センター内 018-872-1801 018-873-8090 山形 990-2161 山形市漆山1954 山形職業能力開発促進センター内 023-674-9567 023-687-5733 福島 960-8054 福島市三河北町7-14 福島職業能力開発促進センター内 024-526-1510 024-526-1513 茨城 310-0803 水戸市城南1-4-7 第5プリンスビル5階 029-300-1215 029-300-1217 栃木 320-0072 宇都宮市若草1-4-23 栃木職業能力開発促進センター内 028-650-6226 028-623-0015 群馬 379-2154 前橋市天川大島町130-1 ハローワーク前橋3階 027-287-1511 027-287-1512 埼玉 336-0931 さいたま市緑区原山2-18-8 埼玉職業能力開発促進センター内 048-813-1112 048-813-1114 千葉 261-0001 千葉市美浜区幸町1-1-3 ハローワーク千葉5階 043-204-2901 043-204-2904 東京 130-0022 墨田区江東橋2-19-12 ハローワーク墨田5階 03-5638-2284 03-5638-2282 神奈川 241-0824 横浜市旭区南希望が丘78 関東職業能力開発促進センター内 045-360-6010 045-360-6011 新潟 951-8061 新潟市中央区西堀通6-866 NEXT21ビル12階 025-226-6011 025-226-6013 富山 933-0982 高岡市八ケ55 富山職業能力開発促進センター内 0766-26-1881 0766-26-8022 石川 920-0352 金沢市観音堂町へ-1 石川職業能力開発促進センター内 076-267-6001 076-267-6084 福井 915-0853 越前市行松町25-10 福井職業能力開発促進センター内 0778-23-1021 0778-23-1055 山梨 400-0854 甲府市中小河原町403-1 山梨職業能力開発促進センター内 055-242-3723 055-242-3721 長野 381-0043 長野市吉田4-25-12 長野職業能力開発促進センター内 026-258-6001 026-243-2077 岐阜 500-8842 岐阜市金町5-25 G-frontU7階 058-265-5823 058-266-5329 静岡 422-8033 静岡市駿河区登呂3-1-35 静岡職業能力開発促進センター内 054-280-3622 054-280-3623 愛知 460-0003 名古屋市中区錦1-10-1 MIテラス名古屋伏見4階 052-218-3385 052-218-3389 三重 514-0002 津市島崎町327-1 ハローワーク津2階 059-213-9255 059-213-9270 滋賀 520-0856 大津市光が丘町3-13 滋賀職業能力開発促進センター内 077-537-1214 077-537-1215 京都 617-0843 長岡京市友岡1-2-1 京都職業能力開発促進センター内 075-951-7481 075-951-7483 大阪 566-0022 摂津市三島1-2-1 関西職業能力開発促進センター内 06-7664-0722 06-7664-0364 兵庫 661-0045 尼崎市武庫豊町3-1-50 兵庫職業能力開発促進センター内 06-6431-8201 06-6431-8220 奈良 634-0033 橿原市城殿町433 奈良職業能力開発促進センター内 0744-22-5232 0744-22-5234 和歌山 640-8483 和歌山市園部1276 和歌山職業能力開発促進センター内 073-462-6900 073-462-6810 鳥取 689-1112 鳥取市若葉台南7-1-11 鳥取職業能力開発促進センター内 0857-52-8803 0857-52-8785 島根 690-0001 松江市東朝日町267 島根職業能力開発促進センター内 0852-60-1677 0852-60-1678 岡山 700-0951 岡山市北区田中580 岡山職業能力開発促進センター内 086-241-0166 086-241-0178 広島 730-0825 広島市中区光南5-2-65 広島職業能力開発促進センター内 082-545-7150 082-545-7152 山口 753-0861 山口市矢原1284-1 山口職業能力開発促進センター内 083-995-2050 083-995-2051 徳島 770-0823 徳島市出来島本町1-5 ハローワーク徳島5階 088-611-2388 088-611-2390 香川 761-8063 高松市花ノ宮町2-4-3 香川職業能力開発促進センター内 087-814-3791 087-814-3792 愛媛 791-8044 松山市西垣生町2184 愛媛職業能力開発促進センター内 089-905-6780 089-905-6781 高知 781-8010 高知市桟橋通4-15-68 高知職業能力開発促進センター内 088-837-1160 088-837-1163 福岡 810-0042 福岡市中央区赤坂1-10-17 しんくみ赤坂ビル6階 092-718-1310 092-718-1314 佐賀 849-0911 佐賀市兵庫町若宮1042-2 佐賀職業能力開発促進センター内 0952-37-9117 0952-37-9118 長崎 854-0062 諫早市小船越町1113 長崎職業能力開発促進センター内 0957-35-4721 0957-35-4723 熊本 861-1102 合志市須屋2505-3 熊本職業能力開発促進センター内 096-249-1888 096-249-1889 大分 870-0131 大分市皆春1483-1 大分職業能力開発促進センター内 097-522-7255 097-522-7256 宮崎 880-0916 宮崎市大字恒久4241 宮崎職業能力開発促進センター内 0985-51-1556 0985-51-1557 鹿児島 890-0068 鹿児島市東郡元町14-3 鹿児島職業能力開発促進センター内 099-813-0132 099-250-5152 沖縄 900-0006 那覇市おもろまち1-3-25 沖縄職業総合庁舎4階 098-941-3301 098-941-3302 中央障害者雇用情報センター  障害者の雇用管理に関する相談や援助、さまざまな分野の専門家(障害者雇用管理サポーター)の派遣に関する相談を行っているほか、就労支援機器の紹介や貸出しに関する相談を行っています。 郵便番号 所在地 電話番号 FAX番号 130-0022 東京都墨田区江東橋2-19-12 ハローワーク墨田5階 03-5638-2792 03-5638-2282 障害者の労働安全衛生対策ケースブック 2022年2月28日 初版発行 編集・発行 −− 独立行政法人高齢・障害・求職者雇用支援機構          〒261−0014 千葉県千葉市美浜区若葉3-1-3          障害者職業総合センター内          電話 043-297-9513(雇用開発推進部雇用開発課)          FAX 043-297-9547          URL https://www.jeed.go.jp 印 刷 所 −− 社会福祉法人東京コロニー 東京都大田福祉工場