障害者の職場改善ケースブック
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61②「自分専用マニュアル」の作成初めて担当する業務等について、社員全体に対する共通マニュアルではなく、対象社員本人が経験した作業内容を通じて自身での作業用マニュアルを作成させ、業務に反映させた(資料・支援ツール(P160〜162))。③障害特性の把握と能力開発対象社員の適性については障害者就業・生活支援センターを通した職場実習等を通じて把握し、適切と思われる工程に配置している。機械から発する動作音が大きい工程があり、これらの音により集中しにくい障害特性がある対象社員については、作業場の安全を十分に配慮したうえで、対象社員本人が好きな音楽を流しながら作業することを許可した。さらに、職場での経験を通して、自身の業務が問題なくこなせるようになったと判断した場合は、新しい業務にチャレンジできるようにした。 ②一般的な共有マニュアルではなく、自作のマニュアルを本人に作らせることにより、担当開始当初はミス等が目立ったが、自分専用マニュアルが充実するたびに、より対象作業への理解が深まり、結果としてミスが低減された。③通常のデスクワークや同僚とのコミュニケーションが必須となる職場ではなかなか困難と思われるが、決められた作業を繰り返すことがメインとなることから、自身の好きな音楽を聴きながらリラックスした状態で作業ができるようになったため、生産性が向上した。また、本人に別業務へのステップアップすることによりモチベーションアップにつながり、自身の能力への自信も出てきた。これにより普段の働きぶりも目に見えて活力がでてきているように見受けられた。結果として長い定着率につながっていると考えられる。◆取組後の効果①対象社員の体調管理や抱える課題について、面談という形式にこだわらず、日々の何気ない挨拶や日常会話から変化を感じ取ることにより、支援員内で情報共有できていた。また、課題が発生した場合であっても毎日の情報共有により、即時に対応することができ、問題がさらに大きくする心配はなかった。さらに、SNSでも簡単に情報伝達できることから、対象社員からは安心感が生まれると同時に、支援担当者としては情報共有がより簡便となった。

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