聴覚障害者の雇用支援マニュアル
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3 災害発生時などの4 事前の準備と所内体制訓練の実施など5 BCP(事業継続計画)の策定について「BCP(事業継続計画)とは、企業が自然災害、大火災、テロ攻撃などの緊急事態に遭遇した場合において、事業資産の損害を最小限にとどめつつ、中核となる事業の継続あるいは早期復旧を可能とするために、平常時に行うべき活動や緊急時における事業継続のための方法、手段などを取り決めておく計画のこと」とされています。BCPの内容としては、①避難計画の作成、②非常時における社員との連絡網の作成と安否確認の方法、③食料品などの備蓄、防災用品(電源・電灯など)などの準備、④事業継続に向けた人員態勢の確保など、多岐にわたる例示があります。策定に当たっては、障害のある社員がいることを念頭に置いて作成することが求められます。きこえない・きこえにくい社員については、非常時の連絡や安否確認について、文字などの視覚的情報でも迅速・確実に行われることや、BCPについて分かりやすく周知することなどが基本です。また、避難訓練同様、実際に試行し、実効性の検証などを行うことも重要です。特に、障害のある社員が訓練に参加することは重要です。実際に参加することを通じて、計画やルールの妥当性の検証、障害のある社員を含め社員の意識面での向上などにつながり、全ての社員にとって安全・安心な職場の実現にもつながります。緊急時以外にも、社員の加齢による心身機能の変化や、施設・設備・機器の経年劣化などのリスクも考えられます。障害の有無にかかわらず、社員が安全・安心に働き続けるためには、職場のリスクアセスメントを継続的に行うことが大切です。全ての企業に策定が義務づけられているわけではありませんが、企業の安全配慮義務との関係から、緊急事態でも従業員とその家族の生命や健康を守った上で事業を継続するための「BCP(事業継続計画)」を策定しておくことが望ましいものとされています。中小企業庁のホームページによると、緊急時には全ての情報を視覚的な情報として提供することが難しい場合もあります。そうした場合には、きこえない・きこえにくい人の周囲の人が状況を伝えたり、一緒に行動したりすることで、安全を確保することも大切です。そのためには、声をかける人を予め決めておくことなどが望まれます。緊急時に適切な行動をとるためには、緊急時のルールや行動計画が事前に定められ、理解されていることや、事前の訓練が不可欠です。実際に機器を使ってみる、ルールに沿って避難してみる、訓練終了後には振り返りを通じて、機器は想定どおり動くのか、社員は冷静に行動できるのか、ルールなどに改善すべきことはないのかを確認しておくことが大切です。第6章安全・安心な職場づくりを目指して        安全・安心な職場づくりに役立つ資料• https://www.jeed.go.jp/disability/data/handbook/q2k4vk000003h4nf.html• https://www.jeed.go.jp/disability/data/handbook/casebook• https://www.jfd.or.jp/info/2010/teq/p018/1-shodou-anpi-manual.pdf◉ 「障害者の労働安全衛生対策」に関するサイト(JEED)◉ 「障害者の労働安全衛生対策ケースブック」(デジタルブック)(JEED)◉ 「聴覚障害者災害時初動・安否確認マニュアル」(一般財団法人全日本ろうあ連盟)109Check

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