聴覚障害者の雇用支援マニュアル
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第7章職場の手話 (M社)(N社)技術的には、①手の位置と方向(動き)を正確に② 相手の顔の表情を見ながら、目を合わせ、通じているかを確認する③身ぶりや表現に気持ちを込めるという 3 点に留意することが大切です。 ただ、どうしても片言の手話では打ちとけた会話ができません。会社では、外部の手話講習会に毎年数名ずつを受講させて手話通訳者を養成しているので、私も来年は希望して本格的な手話を身につけたいと考えています。 (L社)◉ 手話のできる社員がいることが安心につながる  ―聴覚障害者の立場から① 採用面接時に手話ができる社員がいたので、この会社なら安心して働けると思って入社しました。 手話教室を開催していることも、障害に対する理解が(K社)あって働きやすい職場だと感じています。 ◉ もっと多くの同僚と手話で話をしてみたい  ―聴覚障害者の立場から② 聴覚障害者同士で話をするときは手話と口話を使っています。また、手話のできる同僚の人とは手話で話をしますが、内容が複雑な場合は筆談をお願いしています。この工場では手話のできる人が大勢いるので気分的に非常に楽ですが、もっと多くの同僚と手話で話をすることができれば、とてもうれしいと思います。  親指から小指まで、5 本の指はそれぞれ固有の意味を持っています。例えば、親指を立てれば「男性」を表し、小指を立てると「女性」を意味する手話になります。こうした指の持つ意味をうまく組み合わせて使うと、簡単に右のような単語を覚えることができます。 手話表現は、日常的な動作やものの形、その意味から生まれたものが中心となっています。その手話表現のもとになったものを理解すると、手話の習得も早くなるでしょう。 手話では、日本語の助詞にあたる単語が手話表出の際の頷き、手の位置、速さなどで表されることが多くみられます。手話の単語の語順については、いくつかの表し方がありますが、内容の具体化を工夫しながら、見てよく分かる表現を心がけることが基本です。事例◉ 仕事上の指示もほとんど手話で  ―上司の立場から 当課には約100名の従業員がおり、4班に分かれて作業をしています。聴覚障害者はそのうち3つの班に2名ずつ、計6名働いています。そのいずれの班にも手話のできる社員が配置され、朝礼での手話通訳から仕事上の指示・伝達まで、聴覚障害者と聴覚障害のない社員の間に立って、円滑にコミュニケーションを進めています。 ただし、正確な作業を要求される複雑な業務指示や、安全衛生上の伝達事項などは、筆談を交えて行っています。◉ 簡単な手話なら自然に身につく  ―同僚の立場から 最初は話がうまく通じるかどうか不安でした。でも一緒に仕事をするうちに、自然に「おはよう」「さようなら」といった挨拶から、「ここ」「そこ」「早く」「ゆっくり」といった簡単な手話を覚えてしまいました。仕事上で複雑な話をするときには手話の上手な同僚を呼んで伝えてもらいますが、日常会話程度なら、私も含めて班全員が手話で障害者と話をすることができます。手話に対してそれぞれの立場から親 指=男、父、息子小 指=女、母、娘、姉、妹中 指=兄、弟薬 指=(姉、妹)、薬の手話にも使う人差指=これ、あれ、私、あなたなどをさし示すときに使う121指を使った表現手話で会話をするときの留意点

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