聴覚障害者の雇用支援マニュアル
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伝音性難聴感音性難聴混合性難聴1 聴覚の仕組み2 聴覚障害とは合      3 聴覚障害の種類と特徴、• 伝音系(外耳、中耳)に障害がある補聴器・人工内耳(原因としては、中耳炎の後遺症、耳小骨の欠損などがあります)害がある場合(原因としては、内耳の障害、聴神経の切断などがあります)種類別の聞こえ方には違いがあり、そのイメージを、13ページの「聴覚障害別の聞こえ方」に示しています。きこえにくい人の多くは、補聴器や人工内耳といった聞こえを補う機器を装用しています(補聴器などを利用する場合には「装用」を用いることが多いので、本マニュアルでも装用と表記します)。補聴器・人工内耳については次ページで紹介していますが、聴覚障害の種類によってその効果が異なります。伝音性難聴では障害により音が小さくなるだけなので、補聴器の効果は大きいとされています。一方、感音性難聴や混合性難聴の場合は音を大きくしても歪んだりするので、補聴器などの効果は小さいとされています。聴覚障害は外見からでは分かりづらいため、障害特性などが理解されづらい面があります。ここでは聴覚障害の特性や職場における配慮事項などについて考えていきます。聴覚器官の構造は、13ページの図のように、外耳、中耳、内耳、聴神経・大脳に分けられます。耳介で集められた音は、外耳道を通り、鼓膜を振動させます(①)。振動は耳小骨により機械的振動に変換され、蝸牛に伝えられます(②)。蝸牛では電気的な信号に変換され、聴神経を通って大脳に伝えられ、認知されます(③)。音を振動として伝える①②を「伝音系」、電気信号として伝える③を「感音系」といいます。聴覚障害とは、聴覚の仕組み・機能に何らかの障害があるため、全く聞こえないか、聞こえにくいことをいいます。そして、聴覚障害のある方を総称して「聴覚障害者」といいます(「聴覚障害者」の表記については5ページの【ご利用にあたり】をご覧ください)。なお、全く聞こえない人を「ろう者」ということもあります。また、音声言語(※)獲得後に聴力が落ちたり、失ったりした方を「中途失聴者」という場合もあります。※音声言語とは、口から発せられ、それを耳で聞いて了解する言語のことです。なお、本マニュアルで「日本語」と表記した場合には、原則として音声言語としての日本語を指します。聴覚障害は、聴覚のどこに障害があるかによって、 次の3種類に分けられます。場合手話を日常のコミュニケーション手段にしている人の大半は感音性・混合性難聴で、単に音量を大きくしただけでは言葉を聞き取れないことも多く、音量を上げると、かえって苦痛となることがあるので注意が必要とされています。 ........................• 感音系(内耳、聴神経・大脳)に障• 伝音系・感音系ともに障害がある場 ........................... .............One PointOne Pointがある場合もあります。特に、中途で聴力が低下した方、片耳だけ聞こえにくい方などでは自覚しにくい場合があります。障害者手帳制度を知らない人もいるかもしれません。 加齢のほか、何らかの事由により聴力の低下が懸念される社員がいれば、本人との面談などを通じ、聞こえについての確認を行うことで、聞こえにくさの自覚や必要な対応(医療機関の受診や補聴器などの利用、周囲の配慮)につながる場合もあります。障害者手帳のない人も 身体障害者手帳を持っていない人でも、聞こえにくさ(難聴)16

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