聴覚障害者の雇用支援マニュアル
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1 個々人に応じて理解2 各人のライフヒストリーや価値観などを理解し、配慮する     一人ひとりに応じて理解するきこえにくい人の職業生活を含めた社会生活のありようや、精神・心理面を一律に理解することはできません。同じ障害等級であっても、聞こえ方や補聴器などの効果は一人ひとり異なり、必要とされる配慮も異なります。「全く聴力を失っている人」から「小さい音が聞こえない人」、「音が歪んで聞こえる人」まで、障害の性質・程度には大きな違いがあります。したがって、聴覚障害の等級と程度だけで、職業能力や困難さを画一的に評価せずに、個人の適性、言語使用能力なども含めた個々人の職務遂行能力を的確に把握して正しく評価することが、能力の発揮や職場定着を実現するために不可欠です。一人ひとりを尊重し、幅広く理解するために、各人のライフヒストリー(生育歴)を理解することも大切です。聴力損失の程度や失聴の時期、教育経験や社会経験の違いによって、日本語の習得の程度や手話、口話、筆談などのコミュニケーション手段、話す言葉の明瞭さや読み書きの能力は様々です。また、特別支援学校で学んできた人と、中途失聴者や通常の学校で教育を受けている人では、きこえないこと・きこえにくいことの受け入れ方や、障害者のコミュニティーへの帰属意識の有無などが異なる場合があります。加えて、個人の適性・能力や性格、価値観なども多様であり、きこえない・One PointOne PointColumnとがある• 筆談や文章作成の際に、日本語の文法上の間違いがある場合がある談などに関しても日本語の文法上の間違いは少ないものの、そのことから「聞こえにくさ」が周囲に理解されにくい• 障害への自己認識が乏しいため、コミュニケーションのズレや対人関係での不都合が生じ、または障害を受容する過程で、不安や孤独などを感じることがある• 手話を習得していない人もいる受障時期による 困難さの違いせても発語が不明瞭で音声言語によるコミュニケーションがとれない、あるいは、しにくい障害をいいます。原因としては、聴覚障害に起因するもの、失語症などの言語中枢機能の障害によるもの、喉頭の損失によるものなど、様々です。言語障害について 言語障害とは、声を出せないか、出◉ 音声言語を獲得する前の場合• 発語が明瞭でなく、分かりにくいこ◉ 音声言語を獲得した後の場合• 発音が分かりやすいことが多く、筆2033

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