し・四に二職場における具体的な方法として、口話、筆談、手話の順で紹介します。なお、外部の手話通訳者や要約筆記者の利用については、「第3章 保障と就労」で紹介します。口話は、話し手の唇や口の動きから話の内容を読み取り(読話)、自分の話したいことを声に出して話す(発語)コミュニケーション方法です。難しい言い回しなどは使わずに、できるだけ明瞭、簡潔な表現を用いることが大切です。きこえない・きこえにくい人は、話情報し手の口の形がつかめても、同じような口の形の言葉は読み取りにくいものです。鏡の前で試してみるとよく分かりますが、「たばこ」と「たまご」では全く口の形が同じです。これは母音が「○a○a○o」と同じだからです。同音異義語の場合はなおさらです。そうした場合には身ぶりなどを加えると理解してもらいやすくなります。以下に、口話によるコミュニケーションのポイントを示します。口話でコミュニケーションをとる場合でも、会議の要約や業務の指示はメモなどを使って確認し、誤解のないようにすることで、より確実な伝達が可能となります。Check口話によるコミュニケーションのポイントらくなります。相手の反応を見ながら、意味のまとまりごとに区切って、言葉の自然なリズムを崩さずに話します。 〈例〉 ア・ナ・タ・ノ・オ・ナ・マ・エ・ハ? アナタノ・オナマエハ?• 口の形を極端に大きくすると、かえって分かりづらくなります。ふだんの話し方を基本にしてください。• 二重否定などの複雑な表現は避けます。• 相手の発語が分からないときは、遠慮せずに確認することが大切です。確認は、聞き返すことや、発語の内容を本人に書き起こしてもらうことなどが考えられます。理解したつもりや思い込みは、後で大きな誤解につながります。• 口話に限らず、会話の際にはアイコンタクトが重要です。そして、相手の顔を見ながら、はっきりと口をあけ、ゆっくり話します。早口や、ぼそぼそとした話し方は避けます。• 話す人の口元や表情が見えやすい位置取りも大切です。窓や照明を背にして話すと、相手は唇の動きや表情が見えにくくなります。部屋全体の明るさも含め、見やすい環境が必要です。• 同じような口の形の言葉は読み取りにくいので、身ぶりや手ぶりで表す、指で具体物を指す、数を示すなどを加えると、より理解しやすくなります。 〈例〉 たばこ・たまご、おにいさん・おじいさん、• 言葉を1音ずつ区切って話すと、かえって分かりづ30
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