① 口話や手話に交え、メモなどを活用言葉の意味・内容を理解することが困難な場合があるからです。理解できない言葉があるときには遠慮せずに確認(質問)するように、予め本人に伝えておくことも大切です。②伝達事項は書いて確実に伝える筆談はほかのコミュニケーション手段と比較すると、多少時間がかかりますが、伝えたい点を具体的にはっきりさせて伝えれば、意思の疎通が図りやすくなります。筆談には、何度も書いたり消したりできる、感圧式の液晶パネルや磁気ボードを利用した「筆談支援機器」なども便利です。特に、業務内容や伝達事項などは、できるだけ筆談を利用して、正確に伝わっているかどうかを確認することが大切です。確認は、本人にも内容を書いてもらう、手帳にメモしてもらうなどにより行います。また、重要な事項は、指示書やメモなどの「文書」によって行うことが、伝達すべき情報の漏れや行き違いを防ぐことにつながります。筆談は、正確度が高いコミュニケーション方法の一つです。きこえない・きこえにくい人が、手話が使えない人と少人数(一対一など)でコミュニケーションをとる場合に有効です。きこえない・きこえにくい人と初めて面談をする場合には、大きめのメモ用紙と鉛筆などを用意しておきましょう。可能であれば、後で紹介する「筆談支援機器」を活用するとスムーズです。筆談の際にも、分かりやすい表現にすることが基本です。また、紙に書くだけでなく、簡単な表現は口話や手話を交え、相手の表情などから理解したかどうかを確認しながら進めるとスムーズです。そして、重要な点は本人にも書いてもらうことで、より確実なコミュニケーションが図れます。必ずしも文章でなくても構いません。口話でうまく伝わらないと感じたときに、その言葉を書き表すこともコミュニケーションの進展につながります。ただし、書き手が一般的に使っている言葉で書いても通じないことがあります。字を読むことができても、その第2章きこえない・きこえにくい人とのコミュニケーションCheck重要なことは資料などを活用して伝える コミュニケーションの方法について述べてきましたが、情報の伝え方と、伝えたことを本人が理解しているかの確認は重要です。 ある聴覚障害者(63歳)は、就業規則上の定年が数年前に変更されたこと(60歳から65歳に変更)を認識しないまま勤務していました(本人は定年退職後の再雇用との認識でしたが、実際にはまだ定年に達していませんでした)。(分かりません) 会社では就業規則の変更時に全社員に伝えていましたが、ご本人は理解されていなかったようです。会社は改めて本人に伝え、理解にいたりましたが、このようなことを避けるには、例えば、変更時点で変更内容を文章にして渡し、説明と確認を行うといった対応が考えられます。変更時に限らず、入社時にも就業規則に関する説明をすることだけでなく、資料として渡し、分かりやすい説明を行うことも大切です。(分かりました)33
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