聴覚障害者の雇用支援マニュアル
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情報保障の基本的な考え方などについて、要約筆記、手話通訳、情報機器・ソフト、そのほかの順に紹介します。コミュニケーションの方法と重なる部分もありますが、職場で必要とされる情報伝達(作業上の指示や連絡事項など)及びこれを受けた意見の表示手段の確保という観点から説明します。基本的な考え方は、第二章と同じです。まず、一人ひとりにとって伝わりやすい、使いやすい方法を基本に、状況に応じた選択・工夫をしていくことです。企業は、「障害者雇用促進法」により、職場において、社員の障害の特性などに応じた合理的配慮の提供義務があり、情報保障もその一つです。情報保障とは、きこえない・きこえにくい人の「情報障害」の側面に着目し、音声に代わるほかの手段により情報を提供することをいいます。情報保障の重要性について、就労との関係でより詳しく紹介します。それぞれの会社や部門などには目的・方針などがあり、社員はそれらの実現に寄与すべく働いているともいえます。その実現のためには、それらが社員に認知・理解されていることが必要です。同様に、きこえない・きこえにくい社員も職業生活を継続し、キャリアアップなどを実現していくためは、会社の方針だけでなく、その周辺情報も含め取得し、周りの社員と共有することが不可欠です。しかし、きこえる人が音声情報に頼っているために、きこえない・きこえにくい人に必要な情報の伝達漏れがあったり、きこえない・きこえにくい人の日本語の習得状況などの点から、伝達した情報が正確に理解されなかったりすることがあります。そうしたことを防ぐため、必要な情報が伝わるようにすること、あわせて、伝える際には理解しやすい方法や表現に配慮することが、職場で必要な「情報保障」の考え方といえます。情報保障を図る際には、各人の障害の状況や情報保障を必要とする場面に応じた手段を選択できるようにすることや、障害の有無にかかわらず、同じ内容の情報を、同一時点で取得できるようにする観点も必要です。これらは、聴覚障害以外の障害のある方、高齢者や外国籍の人などについても同様です。次ページ以降で、きこえない・きこえにくい人への情報保障の方法・手段デジタル補聴システム送信機受信機 4011

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