①要約筆記(要約筆記通訳)とは音声で聞きとった話を要約し、手書きあるいはパソコンなどで文字に書き表して伝える方法で、きこえない・きこえにくい人が講義や研修、会議などに参加する際には、内容を理解するのに必要とされるものです。特に中途失聴者や難聴者、老人性難聴の場合など、手話を習得するための十分な機会がなかった人たちにとって有効な方法です。要約筆記は、主に一対複数の場面で、話し手の意図をすばやく要約し、分かりやすく、正確に伝える専門的なコミュニケーション技術であり、要約筆記を行う人の知識及び技能を客観的に判定する「全国統一要約筆記者認定試第3章情報保障と就労 1 要約筆記情報保障の方法・手段の代わりに聞き取り、書き起こすのが要約筆記であり、単なるメモとは異なることを理解する必要があります。本人の日本語の語い力に応じた表現を用いることや、その職場で使われる用語や固有名詞は事前に表現(用語を短縮して表記するなど)を決めておくなどの工夫も重要です。●ノート(紙)を使う「ノートテイク」筆記者がきこえない・きこえにくい人の隣に座ってノートや大きめのメモ用紙にペンなどを使い、書いていく方法です。職場では周囲の人の協力による「ノートテイク」が日常の情報保障の有効な手段となります。●パソコン要約筆記聞き取った内容をすぐにパソコンに入力し、プロジェクターやディスプレイなどに映し出す方法です。きこえない・きこえにくい人が参加する会議や会合などの場合によく使われます。き験」に合格するなどした上で、各都道府県など、各市町村に登録して活動する人を要約筆記者といいます。要約筆記者を利用する場合、地方自治体などの派遣事業実施団体に依頼します。要約筆記者の派遣も、手話通訳者の派遣と同じ制度の枠組みで実施されていることが多いため、次項「手話通訳」でまとめて説明します。他方、日常的な就労場面で、外部からの要約筆記者を利用することが効率的でないなどのケースもあります。そうした場合は、同僚などによる要約筆記を用いた情報伝達が現実的な情報保障と考えられます。次に、要約筆記の方法やポイントを紹介しますので、参考にしてください。②要約筆記の方法要約筆記の方法には、主に以下のものがあります。いずれの方法においても、きこえない・きこえにくい人の耳こえない・きこえにくい人の人数が少なければ(ノートパソコンであれば2~3人が上限)、パソコンで会議記録をとる人の横から、きこえない・きこえにくい人がパソコン画面を直接見る方法もあります。その職場でよく使われる用語や固有名詞は事前に登録しておくと便利です。●OHC(オーバーヘッドカメラ)机上の用紙などにペンで書いたものを、カメラで撮影しスクリーンなどに拡大して映し出す方法です。手書きのイラストや写真などをそのまま映すこともできます。機種によっては、倍率を変えたり、字と地を白黒反転したりすることも可能です。4122
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