聴覚障害者の雇用支援マニュアル
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②職場における手話通訳これまで述べてきたように、きこえない・きこえにくい人には手話や要約筆記などによる情報保障が不可欠です。職場においては、情報保障だけでなく、コミュニケーションの促進や人間関係づくりの方法としても手話通訳は重要です。職場での手話通訳が必要な場面としては、まず、日常的な業務上の指示や相談・報告、会議・研修・ミーティングなどが考えられます。それ以外にも、会社説明会・採用面接など様々な場面が考えられます。そうした場面での手話通訳を、社内の人材(社員)が行う場合と、外部の手話通訳者を利用して行う場合があります。外部からの利用については、要約筆記者の利用も含め、後ほど紹介しますが、社員が手話通訳を担う場合にも、手話通訳者・要約筆記者の基本的な心構えや活用時の留意点などは参考になります。情報保護の観点から外部の手話通訳者・要約筆記者の利用に慎重になる企業もあるようですが、手話通訳者・要①手話通訳と手話通訳者手話通訳とは、きこえる人が話す日本語を手話で、きこえない・きこえにくい人に伝え、また逆に、きこえない・きこえにくい人の手話を読み取って、きこえる人に日本語で伝えることです。このようなコミュニケーションの仲立ちをする人が手話通訳者です。手話通訳者は、公的機関(ハローワーク、市役所、警察など)での相談、医療機関での受診・入院時など様々な場面で手話通訳を行っています。企業関係では、採用面接、会議、研修、面談などにおいて、手話通訳が行われています。手話通訳者には一定以上の手話のスキルと、聴覚障害の特性・福祉制度などに関する知識が必要です。それらを備えた専門家の資格認定制度として手話通訳士があります。手話通訳士以外にも、自治体が実施する手話通訳者養成事業において養成される手話通訳者があります。2 手話通訳    Check要約筆記のポイント 要約筆記の3原則は「速く」「正しく」「読みやすく」といわれています。する 働→仂、機→木、業務→業ム 口座→口ザ• 前もって略語・略号を決めておく コミュニケーション→コミ• 団体名などは略称を使う 高齢・障害・求職者雇用支援機構→JEED• 話の主旨をつかみ、主語・述語を捉える(必要な場合は補足する)• 分からないことは基本的に書かない。どうしても書き残す必要がある場合は、その部分に目印(例えば「?」)をつけておいて、後で確認して伝える• 数字、人名、地名などは正確に聞き取る。漢字が分からないときはカタカナで書く◉ 速く書くための工夫• 漢字を略字とする。2文字のうち一方は仮名書きに◉ 正しく書く• 主観を入れずに話を聞き取り、要点をつかむ• 縦書き、横書きは書きやすい方を選ぶ• 行間をあけ、改行、分かち書きなどを使い、文章を見やすくする•文章を中途半端に終わらせず、完結させる• 句読点、常用漢字、送り仮名など日本語の表記の約束を守るそのほかにも、以下のような点に配慮します。• 重要でない語や句の一部を省略する•短い表現に置き換える• 2つ以上の文を1つにまとめる• 似ている表現部分を削除する 削除できるもの: 前置き、繰り返し、つなぎの言葉、 削除できないもの: 意見、主張、結論、まとめ など◉ 分かりやすく(読みやすく)書く• 読みやすい文字で、少し大きな字を心がける言い換え、修飾語 など42

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