一人ひとりに応じた作業指導・訓練バイザー制度」や「チューター制度」を設けている企業もあります。この基本もマンツーマンです。自社に合った方式を工夫してみてください。このように、一人ひとりに教えるのはマンツーマンが適していますが、企業全体で、きこえない・きこえにくい社員の教育を推進するためには、複数の部署が連携して取り組む組織的な対応も必要となります。入社時の教育訓練に当たっては、きこえる社員に対して、きこえない・きこえにくいということの特性の理解、コミュニケーションのとり方などについての教育も重要です。理解が十分でないと、誤解が生じたり、人間関係がうまくいかないことにもつながりかねないため、きこえる社員に対し、十分な教育を行うことが望まれます。障害の有無にかかわらず新入社員を指導・教育するときは、「本人に理解できるように教える」「本人の理解の進捗に合わせて一歩ずつ進める」といったきめ細かい取組が基本です。入社時の初期教育訓練の段階では、きこえる社員と一緒に行ったほうがよいようです。この段階では、仕事の具体的な内容よりは、職業人としての心構えや企業人として習得すべき必要な内容を一般的に教育することが多く、入社までの間に獲得してきた知識をもとにした理解が可能であるからです。その場合、講義形式が多いと思われますので、手話通訳や要約筆記などが必要です。このような方法で、きこえない・きこえにくい社員ときこえる社員が一緒に教育訓練を受けることは、きこえる社員にとっても、きこえない・きこえにくいということを理解する上で効果第4章採用・配置、受入れ態勢があります。グループディスカッションなどを実施する場合は、同じグループの中で情報保障をする必要があり、障害特性への理解がさらに深まる場合もあります(研修内容によっては、手話通訳者などの配置も必要です)。一定期間の集団指導を行った後の具体的な作業指導や専門指導は、理解の進捗や指導方法の違いから、きこえる社員とは別に行ったほうが効果は高いようです。教育方法は、実際の作業を通したマンツーマン方式による教育訓練(OJT)が有効です。その際には、手話や筆談による個別指導が有効であることから、必然的にきこえる社員とは別に行うことになります。障害者を各職場に配置し、その作業グループの指導者がマンツーマンで専門に指導します。先輩社員がパートナーとなる「アド(役割)(分かりました)6144
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