高次脳機能障害者と働く2020
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解 説解 説職場復帰までの流れとポイント解 説~よりご理解いただくために~解 説~よりご理解いただくため❶ 長期的な視点での対応 疾病や事故等により高次脳機能障害となることは、生活に大きな制限や困難をもたらし、精神的にも大きなダメージとなるため、本人が障害を受け止めるには時間がかかります。企業としては、これらのことを理解し、今後の支援の見通しなどを示すことが望まれます。 職場復帰の際には、配置転換やそれに伴う職務の習得、職場内の支援体制の構築など、長期的な視野で対応することが必要になります。産業医や主治医と相談したり、リハビリテーション施設や就労支援機関等からの情報収集やアドバイスを受けることなどにより職場復帰に向けたプロセスを確認することが大切です。❷ リハビリ出勤(試し出勤) リハビリ出勤とは、正式に職場復帰する前に、試験的に職場などに一定期間継続して出勤することを言います。 心の健康問題により休職した社員の職場復帰への取組としてよく耳にしますが、高次脳機能障害のある方が「休職」から「職場復帰」へ移行する際にも、体を慣らし、生活のリズムを整え、働く感覚を取り戻すことなどを目的とした有効な取組となります。 なお、リハビリ出勤制度の導入に当たっては、実施している時の処遇や災害が発生した場合の対応、人事労務管理上の位置づけ等についてあらかじめ労使間で十分に検討し、ルールを定めておくことが望まれます。❸本人、主治医や本人の通う病院の  スタッフ、本人の利用する  支援機関等との相談 必要な治療やリハビリテーションにより自立の見通しがたってきたら、職場復帰への準備をはじめます。 職場復帰の際には、配置転換等の検討が必要な場合があるので、本人の希望を確認した上で、職種や配属先についての打合せをします。その際、障害を踏まえた対応可能な職務内容、指示の仕方やマニュアルの必要性など職務を遂行する上での配慮事項を確認します。 このほか、職場でのコミュニケーション上の留意事項や就業時間・休憩時間などの職場環境面においてどのようなサポートが必要となるのかについても検討、調整を行います。 必要に応じて、ジョブコーチ支援などの制度の活用について検討することも考えられます。 本人が就労支援機関等を利用している場合は、当該機関の担当者からアドバイスを得ることが大切です。さらに、職場において医療的な面での配慮が必要な場合もあるため、本人の主治医や本人が通っている病院のスタッフなどから情報を収集することも有効です。❹ 社内の理解促進への取組 第1章でも触れましたが、高次脳機能障害は見た目では「見えにくい、わかりにくい障害」ですので、職場復帰が決まったら、企業として、配属先の上司や同僚等に対して障害の特性と対応方法などについて十分な説明を行うことが望まれます。必要に応じて、社内研修の場を活用し、講師は地域障害者職業センター等の支援機関に依頼することも効果的です。 高次脳機能障害のある方への一般的な配慮事項を知ってもらうことも大切ですが、障害の状況は一人ひとり違いますので、本人や家族、支援機関の担当者とよく話し合って、どのようなサポートがあると良いのかを職場で共有するようにしてください。ただし、誰にどの程度情報提供するのかについては、本人の意思を確認し、了解を得た上で対応することが必要です。解 説~よりご理解いただくために~治 療リハビリテーション(医学的リハ、社会リハ、職業リハ)職場復帰の調整(リハビリ出勤)職場復帰復帰後のフォロー<一般的な職場復帰の流れ図>33

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