高次脳機能障害者と働く2020
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解 説解 説解~よりご理メモリーノート目的と効果 高次脳機能障害がある場合、その日に何をすべきなのか、いつどのタイミングで次の行動に移ればよいのか、どのような手順で作業をこなしていくのかなどを適切に処理できないことがあります。メモリーノートは、このような状況に対応するためのツールであり、記憶の補完手段として多くの高次脳機能障害のある方に活用されています。なお、メモリーノートには市販されているものも含め、個々人の状況や用途によって様式や記載内容が工夫された様々なタイプのものがあります。 本人がメモリーノートに必要な事項を記入し、本人や必要に応じて関係者が記入内容を確認することで、次のことが可能になります。企業が活用する上でのポイント メモリーノートには、高次脳機能障害のある本人が活用することに加えて、家族や職場の指導担当者等の関係者が記載内容を共有できるメリットもあります。例えば、職場の朝礼などで伝達された指示を本人がメモリーノートに記入する際に、一部に誤りや抜けなどが生じる場合がありますので、本人が慣れるまでは関係者が内容を確認し、必要であれば内容を修正するよう助言するということが考えられます。これによって、本人は誤りや抜け等に気づくことができ、関係者は本人の指示等に対する理解の度合いや受け取り方を把握することができます。 ただし、メモリーノートの記入がすでに習慣化して、ほぼ過不足なく記入できる人や、第三者の確認が必要ない人もいます。このため、メモリーノートの情報共有は、日頃の業務遂行の様子を見ながら、本人に十分な説明をし納得を得た上で、必要とする範囲内で行うよう留意してください。本人や職場等の関係者双方が過度な負担を感じないようにすることが情報共有を継続させるポイントです。 なお、高次脳機能障害がある方の中でメモリーノートが必要と考えられる人には、リハビリテーションや訓練の場においてメモリーノートを活用するための訓練が行われることが多く、その有効性についても訓練担当者等から本人に伝えられているのが一般的です。もしも、メモリーノートの記載が十分になされていないように感じられたり、業務遂行が不十分であったり、あるいはよりよい業務遂行のためにメモリーノートを確認したいと本人に説明しても第三者に見せることに抵抗を感じるという場合には、リハビリテーション機関や支援機関に相談してみることをお勧めします。● その日の作業内容や打合せの予定などの  スケジュール管理● 作業手順や、作業上で忘れてはいけない  注意事項等の必要な都度の確認● 実際にどのような作業を行ったか、どのような  行動をしたかなどの行動記録の蓄積● メモリーノートを介した  本人と関係者との情報共有48

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