就業支援ハンドブック
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102 第2章 就業支援の実際(事例)おり、近くで見守っていることの声掛けを行う。作業は意欲的に行っていた。基本的に就業支援担当者は本人の作業状況を見守り、必要な時のみ、言葉→ジェスチャー→モデリング→手添えの順で、本人が理解できる最小限の指示階層の助言を与えるように心掛けている。また、情報の共有化を目的とし、H移行支援事業所担当者と共同で職場実習支援を実施している。支援者が同じ状況を見て、様々な視点から実習状況をアセスメントし、必要な支援を共に検討することが重要と考えているためである。実習支援を行う中で、現場従業員へ本人の特性や指示の出し方等を説明している。また、現場従業員の不安を傾聴し、本人への対応の仕方について説明を加えた。実習4日目からは見守りが必要な時間に合わせ、H移行支援事業所と交代で実習巡回した。 職場実習終了時には本人、就業支援担当者、企業の3者でそれぞれ職場実習評価票を作成する。実習評価票作成時には、本人よりI社で働きたい旨の意向は確認している。後日、ハローワークDが主催する実習評価会議には、I社、ハローワークD、H移行支援事業所、就業支援担当者の4者が参集された。そこで、3者の評価票を基に実習状況を評価し、本人の評価、企業の評価、支援者の評価の共通点と相違点を確認し、雇用の可能性について話し合った。今回は評価が良好で雇用を検討する運びとなったため、ハローワークDが改めて求人受理を行うことした。雇用に向けた調整を行うこととなったため、実習評価会議終了後に障害者雇用支援制度について説明を行った。通常、当センターとハローワークとの連携においては、企業への障害者雇用支援制度の説明では、助成金制度等の支援制度に関する説明はハローワーク、障害者就業・生活支援センターやジョブコーチ支援制度といった人的支援に関する説明は就業支援担当者が行うこととしており、双方から説明を行った上で、ジョブコーチ支援の利用について社内で検討してもらうこととなった。 実習評価会議終了後、H移行支援事業所と就業支援担当者と本人で面談し、3者の評価票についてフィードバックし、実習評価会議の報告と求人開拓を行うこととなった旨を報告した。<職業センターの活用> I社での職場実習がチーム支援会議後まもなく決定したため、職業評価は実習評価会議後に実施することとなった。障害者職業カウンセラーがH移行支援事業所へ来所し、本人やH移行支援事業所と面談、実習評価や訓練状況の聞き取りを行った。面談内容をもとに、職業リハビリテーション計画を策定し、拡大ケース会議にて説明がなされた。多くの場合、就業支援担当者や移行支援事業所が本人および家族と事前調査票を作成し、職業

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