就業支援ハンドブック
112/300

104 第2章 就業支援の実際(事例)6)就業の維持と生活支援 就職後1年7か月が経過した。この間、本人の生活状況も変化し、次兄家族の同居を機に一人暮らしを希望している。また、現職の他にアルバイトをしたいとの相談も受けた。その都度、本人の気持ちを傾聴しながら助言することで、Aさんは以前のように一人で悩みを抱え込むことなく、支援者に相談しながら就業生活を送っている。に職場を訪問。職場の方への挨拶を本人、ジョブコーチと済ませてから支援を開始。初日は就業支援担当者とジョブコーチの支援方法等を共通のものにするため同時に支援に入った。2日目以降は、職場における支援はジョブコーチを中心とし、集中支援期は週2日から3日、移行支援期は週1日から2日程度の頻度でジョブコーチ支援を行った。就業支援担当者は、ジョブコーチ支援が終了した後の支援体制と職場の方々との関係性を維持するために、ジョブコーチ支援期間中も初めの1か月は週1日程度職場訪問を行い、2か月目以降は就業状況が安定していれば2週間から1か月に1日程度の職場訪問を続けた。 職場訪問では管理者の方の意見、現場で一緒に働いている方の意見の両方を聞くように心掛けている。特に現場の方からの不安や疑問についての相談には時間を掛けて耳を傾けるようにしている。ジョブコーチによる支援と合わせて職場訪問し、就業状況についてジョブコーチと確認し、課題点と支援内容についての整理も行う。この間、就業支援担当者より、適宜、ハローワーク担当者や家族に状況報告の連絡を入れている。 2か月半後、ジョブコーチ支援終了に伴うケース会議を行った。参集範囲は、本人、ジョブコーチ、就業支援担当者、企業の4者であった。支援経過が順調であったことから職業センターとハローワークDへは会議終了後に報告することとなった。基本的にはハローワークは参加、職業センターの参加も必要に応じて要請している。会議では再度、課題点とその後の支援を要する内容、各支援者の役割分担について確認を行う。 Aさんの今後の課題はモチベーションの維持であり、現場従業員の異動に伴う環境変化時の対応、本人の能力に応じた職域の拡大や就業時間の延長等、キャリアアップにつながるための適切な評価が必要になることを4者で確認する。また、ジョブコーチはフォローアップにより職場内の支援体制の維持を確認しつつ、就業支援担当者は職場訪問と本人との面談を継続することとした。ハローワークDと職業センターへも上記について報告し、各関係機関で適宜、情報共有の連絡を取り合った。

元のページ  ../index.html#112

このブックを見る