就業支援ハンドブック
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第3項 まとめ(支援を通じて感じること)1)アセスメントの重要性 就業支援を行うためにはアセスメントを充分に行うことが重要である。本人に関する情報をどれだけ把握しているかが、その後の支援の方向性の提案に大きく関わる。また、アセスメントを行う際には、都度、本人の希望を確認することが必要であると考える。何のためにアセスメントするのかを本人と支援者が共有することから始めなければならない。聞き取りだけではわからないことも多く、作業アセスメントや心理検査など多面的な視点からアセスメントできるとより現実的な支援の方向性を検討できるようになると考える。そのためには、圏域内の移行支援事業所の暫定支給決定期間によるアセスメントや医療機関による心理検査の所見など、各関係機関の協力を得て情報共有することも必要である。 第1節 障害者就業・生活支援センターにおける支援の実際 1052)支援者間の連携の重要性 職場定着支援に関しては、ジョブコーチと就業支援担当者の役割分担と、適切な支援のバトンタッチが必要であると感じる。職場定着のための課題解消のために集中的な支援を行うジョブコーチと就業維持のための継続的な支援を行う就業支援担当者が、的確に連携を図りつつ支援を進めることが重要である。逆に、職場内支援をジョブコーチに任せきりにすると、ジョブコーチのフォローアップが終了する頃には就業支援担当者と企業との関係性が途切れていたり、現場の方との信頼関係が形成されていなかったりする。そうならないためにも、ジョブコーチが中心となり支援に入る時期、就業支援担当者に支援が再移行してくる時期を意識しつつ連携を密にした支援を進めることが必要であると感じている。3)圏域における支援ネットワーク構築の必要性 障害者就業・生活支援センターは就業支援と生活支援を一体的に行う機関である。そのため、就業も本人の生活の一部であることを意識し、本人の生活全般に対する希望を大切にしながら希望実現のために必要な機関を一つ一つ繋ぎ、チームにすることが求められる。「繋ぐ」役割を果たすためにも、地域の社会資源に精通し、顔と顔の見える機動力のあるインフォーマルな支援ネットワーク構築と、地域の自立支援協議会等のフォーマルな支援ネットワーク構築の両方に尽力しなければならない。

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