就業支援ハンドブック
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2)利用者の状況とサービスプログラム 当施設は、精神障害の特性に合わせた就業準備プログラムを提供し、就業支援を行っている。定員は15名で登録は20名前後である。施設利用者の年齢層は、20代から40代が主となっている。男女の比率は現在約1対1である。当施設でのプログラムの内容を紹介する(表1(108ページ)参照)。まず①基本的な労働習慣作りと職業適性を知るための、施設内実習(軽作業・印刷・発送作業・パソコン入力作業ほか)および企業実習(サービス業・事務補助・工場内業務・食品関連・清掃ほか)がある。また、様々な仕事内容をゲーム形式で行いながら正確で効率よく作業を進める方法を考えるための、作業遂行能力を高めるプログラムや、職場見学、就業体験談を聞くプログラムも行っている。次に②職場での対人技能および対処技能を習得するための社会生活技能訓練(Social Skills Training)やビジネスマナー講座がある。そして③疾病障害管理のための心理教育プログラムは、障害や服薬についての知識・ストレス対処法の工夫・主治医との相談の仕方や医療保健福祉機関および労働関連のサービスの利用の仕方等について、身につけられるものとなっている。④社会人マナーの習得や様々な社会経験の再構築を目的としたプログラムでは、敬語の使い方や余暇の工夫などの生活セミナーや、職場での忘年会やテーブルマナーを身につける食事会、レクリェーション等を行っている。⑤仕事探しのプログラム(就労セミナー)では、就職面接の対応方法や履歴書の書き方、障害をオープンにして働く方法やオープンにしないで働く方法を知る、精神障害をもちながら働いている方の体験談を聞く、ハローワークや企業の方の講話等、自分に合った働き方を考える機会を作っている。以上、職業準備性を高めるものが中心となっている(表1(108ページ)参照)。さらに各プログラムでは、就業への意欲や動機付けを高め維持するために、ピアサポートの力を促進するグループワークを取り入れている。またメンバーや就職者の家族を対象に、定期的に家族の会を開催し、心理教育や情報交換、相談支援を行っている。第2節 就労移行支援事業所における支援の実際 107

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