就業支援ハンドブック
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110 第2章 就業支援の実際(事例)2)当施設におけるAさんへの支援 ① Aさんのアセスメント内容 施設利用開始から3か月経過し、様々なプログラムへの参加を経て把握したAさんのアセスメントと、それに対応した支援内容が表5である。れ、うつ状態となり、高校2年生の時に精神科クリニックを受診していた。その後症状が落ち着き、高校卒業後はコンピュータ関連の専門学校に進学する。卒業後は工業用機器の会社に就職し、経理の仕事に就いた。しかし1年半後、職場の人間関係に悩み症状が再燃、仕事を辞めざるを得なかった。しばらく自宅療養した後、郵便局やスーパーなどでアルバイトをするが、職場のストレスから不眠、そして何でもできるのではないかという万能感からの問題行動が見られる、買い物が止まらないなど躁状態となり、再度療養生活を送ることになった。症状が軽減した頃、主治医からの勧めによりデイケアを利用開始。その後2年を経て体調が安定し、本人より働きたい旨をデイケアスタッフに相談したところ、当施設を紹介された。真面目で素直な性格。自己評価がとても低く、否定的側面を強調し、物事を捉える傾向がある。あまり細かいところは気にせず、さっぱりしている面がある。パソコン関連のゲームが好きである。性格自己肯定感が持てるよう、できているところは積極的に声をかけ、評価していく。社会経験を増やすことで自信を得られるよう働きかける。支援内容通院や服薬自己管理もできている。気分や体調はほぼ安定しており、施設利用は週5日休まず参加されている。かつて職場で強く叱責されたり、新しい仕事を次々指示されるなどのストレスがかかるとうつ症状が出る、と話される。※ 通所に当たって本人、家族からの聴取に加え、デイケアスタッフから精神障害の状況医療情報を把握した上で、具体的な活動を通じ状態を把握している。支援内容心理教育プログラムに参加してもらいながら、疾病管理やストレス対処法などを少しずつ身につけられるように働きかける。アレルギー性鼻炎がある。筋力としての体力はないが、毎日通所する持続力がある。健康面・身体面支援内容基礎体力をつけるため、ラジオ体操・ウォーキング参加を奨励する。表5 Aさんのアセスメント内容

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